「社会正義はいつも正しい」米国のキャンセルカルチャーを説明した訳者の解説記事をキャンセルした出版社、編集担当に謝罪を強要

先日私はツイッターで一ノ瀬翔太氏という早川書房編集担当者のこんなツイートを読んだ。

『「社会正義」はいつも正しい』解説記事の公開を停止しました。私はテキストが持ちうる具体的な個人への加害性にあまりに無自覚でした。記事により傷つけてしまった方々に対して、深くお詫び申し上げます。記事の公開後、多くのご批判を社内外で直接・間接に頂き、問題を自覚するまでに一週間を要しました。結果、対応がここまで遅れてしまったことにつきましても、誠に申し訳ございません。取り返しのつくことではございませんが、今後の仕事に真摯に向き合い、熟慮を重ねてまいります。

これはまるで説明になっていない。一ノ瀬氏のいう「記事によって傷つけてしまった方々」とはどういう人たちなのか?具体的に早川書房にはどのような批判が送られ、具体的に解説文のどこの部分が不適切とみなされて削除という結論に至ったのか、もっとはっきり書くべきなのではないか?

一ノ瀬氏の謝罪文は、外部からの圧力を受けて謝れと言われたから謝っているというおざなりのものにみえ、到底本人が納得して書いたものとは思えない。

早川書店の公式サイトにも記事の公開停止の説明がされていた。こちらの方はもう少し具体性がある。強調はカカシ。

記事の公開停止につきまして (2022/12/05)記事の公開停止につきまして (hayakawa-online.co.jp)

11月15日に弊社noteに掲載した記事「差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!」につきまして、読者の皆様から様々なご意見を頂いております。出版社がなんらかの差別に加担するようなことがあってはならず、ご指摘を重く受け止めております。

掲載した巻末解説は本文とあわせて読まれることを前提に書かれ、ポストモダニズムの三つのフェーズ、カッコつきの〈社会正義〉といった本文のキー概念にはあえて触れていません。そうしたテキストのみを、本文と切り離した形でウェブ公開すること自体が不適切でした。

つきましては、当該記事の公開を本日停止しました。

弊社はあらゆる差別を許容せず、それを大前提としたうえで多様な出版活動を行なってまいります。ウェブ・SNS上での情報発信に関して編集部内でのチェック体制を新たに整えるとともに、熟慮を重ね、不適切な情報発信の再発防止に努める所存です。

株式会社早川書房編集部

しかしこれも説明にはなっていない。役者の解説はあくまでも解説なのであり、本文に書かれていることをすべて触れるわけにはいかない。これは本文を読みたくなるような予告編のようなものなのだからそれが抜けてるからいけないというのは変な話だ。ここで唯一つだけ削除の理由とみなされるのは「出版社がなんらかの差別に加担するようなことがあってはならず」のくだりだが、具体的に役者の山形浩生氏解説のどの部分がどのように差別に加担していると判断したのか、それをきちんと説明すべきではないか?そうでないと、あたかも山形氏自身が差別に加担しているかのように読めてしまい、山形氏に対して非常に失礼だと思う。

原文は削除されてしまっているが、誰かがアーカイブ記事を見つけてくれたのでそこから引用して読んでみよう。リンクが切れてしまう可能性が高いので、後部に全文添付しておく。

ざっと読んでみて私には何が問題なのかさっぱりわからない。いや、それは嘘だ。問題は満載だ。だがそれは事実と異なることが書かれているとか、差別的だからだという意味ではない。もしこの原書がこの解説通りの本であるとしたら、多くの左翼活動家にとって非常に不都合な事実が山盛りなのだ。どうりで左翼たちが発狂した訳である。

例えば、ここ、、

現在のアメリカでは、一部の「意識の高い」人々による変な主張がやたらにまかりとおるようになっている。(略)大学の講義で、人間に生物学的な男女の性別があると言っただけで、性差別だと言われる。人種差別の歴史についての講義でかつて使われた差別用語を紹介しただけで、人種差別に加担したと糾弾される。大学で非白人学生による単位や成績の水増し要求を断ると、白人による抑圧の歴史を考慮しない差別だと糾弾される。

批判を受けるだけなら別に問題はない。だがいったんそうした発言をしたり糾弾を受けたりすると、それがまったくの曲解だろうと何だろうと、その人物は大学や企業などでボイコットを受け、発言の機会を奪われ、人民裁判じみた吊し上げにより村八分にされたりクビにされたりしてしまう。

それどころか、ジェンダーアイデンティティ選択の自由の名のもとに、子供への安易なホルモン投与や性器切除といった、直接的に健康や厚生を阻害しかねない措置が、容認どころか奨励されるという異常な事態すら起きつつある。身近なところでは白人が日本の着物を着れば(あるいは黒人が日本アニメのコスプレをしたら)それが(ほとんどの日本人は気にしないか、むしろおもしろがっていても)関係ない第三者により文化盗用だと糾弾され、他文化の要素を採り入れたデザイナーや企業が謝罪に追い込まれる事態も頻発している。

拙ブログの聡明なる読者諸氏はこれらの供述が全くの事実であることをよくご存じであろう。しかし同時に何故左翼活動家達が差別的だと言って激怒しているのかもお分かりいただけると思う。自分らこそが差別者であり、差別があることを指摘している人がキャンセルされているなどということを認めたくないのは当然だからである。

特にジェンダーアイデンティティーの下りで子供の性転換治療が奨励されているというのは事実無根だと騒いでいる人がいるが、これに関してはすでに拙ブログでも何度か紹介したように、デイリーワイヤーのマット・ウォルシ氏のチームがバンダービル小児病院の医師が熱心に小児の性転換治療を奨励している動画が暴露されている。下記のスレッドでそのいくつかの動画を観ることが出来る。

Matt Walsh on Twitter: “BREAKING: My team and I have been investigating the transgender clinic at Vanderbilt here in Nashville. Vanderbilt drugs, chemically castrates, and performs double mastectomies on minors. But it gets worse. Here is what we found. Let’s start at the beginning.” / Twitter

さて山形氏の原著の功績のところにこんな供述がある。

本書の最大の功績の一つは、多岐にわたる「社会正義」の各種「理論」を、まがりなりにも整理し、多少は理解可能なものとしてまとめてくれたことにある。

こうした「社会正義」の理論と称するものの多くは、とんでもなく晦渋だ。文字を追うだけでも一苦労で、なんとか読み通しても変な造語や我流の定義が説明なしに乱舞し、その理論展開は我田引水と牽強付会の屁理屈まがいに思える代物で、ほぼ常人の理解を超えている。それをわざわざ読んで整理してくれただけでも、実にありがたい話だ。

さらに一般的には、一応はまともな肩書きを持つ学者たちによる「理論」が、そんなおかしなものだとはだれも思っていない。読んでわからないのは自分の力不足で、理論そのものは難解だけれど、まともなのだろう、世の中で見られる異常な活動の多くは、末端の勇み足なのだろう、というわけだ。

が、実はだれにも理解できないのをいいことに、そうした「理論」自体が、まさに常軌を逸した異常なものと化している場合があまりに多い。それを本書は如実に明らかにしてくれる。

これは常々私も感じていたことなのだが、左翼活動家の文章は不必要に難解で一般人には解らない言葉使いが多く、読んでる人間を煙に巻こうとしている意図が見える。しかも活動家学者先生たちはもっともらしい肩書を持っているので、自分の読解力に自信のない人たちは、お偉い先生たちが言っているのだから間違いないだろうと騙されてしまうのだ。どうやらこの本ではそうした似非学者たちが実際何を言っているのかを分かりやすく説明しているようだ。

それにしてもキャンセルカルチャーを批判している本の紹介記事をキャンセルしてしまうとか、早川書房は本当に何をやっているのか。出版社として恥かしい限りである。

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差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!|Hayakawa Books & Magazines(β) (archive.ph)

「白人は、白人というだけで人種差別的である」
「病気や障害を治療・予防しようとする試みは、当事者への憎悪に基づいている」
「映画の中で黒人女性キャラクターを力強いタフな人物として描くのは黒人差別(だが、弱く従属的な存在として描くと女性差別)」

――ほんとうに?

現代世界を席捲する「社会正義」の根拠を問う全米ベストセラー『「社会正義」はいつも正しい 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』(ヘレン・プラックローズ、ジェームズ・リンゼイ:著、山形浩生、森本正史:訳、早川書房)。11月16日の刊行に先立ち、山形浩生氏によ

1 はじめに

本書はHelen Pluckrose and James Lindsay 『Cynical Theories: How Activist Scholarship Made Everything About Race, Gender, and Identity—and Why This Harms Everybody』(2020年)の全訳だ。翻訳にあたっては出版社からのPDFとハードカバー版を参照している。

2 本書の背景

本書は、ここ10年ほどで欧米、特にアメリカで猛威をふるうようになったポリティカル・コレクトネス(略してポリコレ)、あるいは「社会正義」運動の理論と、その思想的源流についてまとめた本だ。

現在のアメリカでは、一部の「意識の高い」人々による変な主張がやたらにまかりとおるようになっている。少なくとも、それを目にする機会はずいぶん増えた。性別は自分で選べるといって、女子スポーツに生物学的な男性が出たりする。大学の講義で、人間に生物学的な男女の性別があると言っただけで、性差別だと言われる。人種差別の歴史についての講義でかつて使われた差別用語を紹介しただけで、人種差別に加担したと糾弾される。大学で非白人学生による単位や成績の水増し要求を断ると、白人による抑圧の歴史を考慮しない差別だと糾弾される。

批判を受けるだけなら別に問題はない。だがいったんそうした発言をしたり糾弾を受けたりすると、それがまったくの曲解だろうと何だろうと、その人物は大学や企業などでボイコットを受け、発言の機会を奪われ、人民裁判じみた吊し上げにより村八分にされたりクビにされたりしてしまう。

それどころか、ジェンダーアイデンティティ選択の自由の名のもとに、子供への安易なホルモン投与や性器切除といった、直接的に健康や厚生を阻害しかねない措置が、容認どころか奨励されるという異常な事態すら起きつつある。身近なところでは白人が日本の着物を着れば(あるいは黒人が日本アニメのコスプレをしたら)それが(ほとんどの日本人は気にしないか、むしろおもしろがっていても)関係ない第三者により文化盗用だと糾弾され、他文化の要素を採り入れたデザイナーや企業が謝罪に追い込まれる事態も頻発している。

さらにこうした事態に対して科学的知見に基づく反論をすると、各種科学や数学はすべて植民地帝国主義時代の白人男性が開発したものだから、それを持ち出すこと自体が差別への加担だ、と変な逆ギレをされ、この理屈がいまやカリフォルニア州の算数公式カリキュラムの基盤となりつつある。

そして2022年夏には科学分野で有数の権威を持つ『ネイチャー』誌までこうした運動に入り込まれ、今後はマイノリティのお気持ちに配慮しない、つまり「社会正義」に都合の悪い論文は却下するという公式方針(! !)を打ち出し、中世暗黒時代の再来かと嘆かれている始末だ。いったい何が起きているのか? 何がどうよじれると、こんな変な考えがはびこり、表舞台にまで浸透するようになるのか?

本書はこうした「社会正義」の様々な潮流を総覧して整理してみせる。そしてその源流が、かつてのポストモダン思想(日本では「ニューアカデミズム」とも呼ばれたフランス現代思想)の歪んだ発展にあるのだと指摘する。それが、過去数世紀にわたる飛躍的な人類進歩をもたらした、普遍性と客観性を重視するリベラルで啓蒙主義的な考え方を完全に否定する明確に危険なもので、これを放置するのは分断と敵対、自閉と退行につながりかねないと警鐘を鳴らす。

3 著者たちについて

ジェームズ・リンゼイは1979年生まれ、アメリカの数学者であり、また文化批評家でもある。ヘレン・プラックローズはイギリスの作家・評論家だ。いずれも、リベラリズムと言論の自由を強く支持し、本書に挙げられたような社会正義運動と、それに伴う言論弾圧やキャンセルカルチャーについては強く批判する立場を採る。

どちらも、いろいろ著作や活動はある。だが二人が有名になったのは何よりも、2017~2018年に起こった通称「不満スタディーズ事件」のおかげだ。

哲学研究者ピーター・ボゴシアンとともに、この二人はカルチュラル・スタディーズ、クィア研究、ジェンダー研究、人種研究等の「学術」雑誌(もちろん本書で批判されている各種分野のもの)にデタラメな論文を次々に投稿し、こうした学術誌の査読基準や学問的な鑑識眼、ひいてはその分野自体の学術レベルの低さを暴こうとした。「ペニスは実在せず社会構築物である」といった、明らかにバカげた論文が全部で20本作成・投稿され、途中で企みがバレたものの、その時点ですでに七本が各誌に受理・掲載されてしまった。もちろんこれは1995年にポストモダン系学術誌に物理学者アラン・ソーカルらがでたらめ論文を投稿したソーカル事件(後ほど少し説明する)を明確に意識していたものだったし、この事件も「ソーカル二乗」スキャンダルなどと呼ばれたりする。

この事件で各種現代思想/社会正義研究(少なくともその刊行物)のデタラメさ加減が見事に暴かれた、と考える人は多い。その一方で、ソーカル事件のときとまったく同じく、「手口が汚い」「学者の良心を信じる善意につけこんだ下品な手口」「はめられた雑誌は業界で最弱の面汚しにすぎず、何の証明にもならない」「主流派の焦りを示す悪意に満ちた詐術であり、これ自体がマイノリティ攻撃の差別言説だ」といった擁護論もたくさん登場した。首謀者の一人ボゴシアンは、この一件が不正研究に該当すると糾弾され(だまされた雑誌が「人間の被験者」であり、人間を研究対象とするときの倫理ガイドラインに違反した、とのこと)、勤務先のポートランド州立大学からの辞職に追い込まれている。

その残りの二人が、おそらくはこの事件を直接的に受けてまとめたのが本書となる。

4 本書の概要

本書の最大の功績の一つは、多岐にわたる「社会正義」の各種「理論」を、まがりなりにも整理し、多少は理解可能なものとしてまとめてくれたことにある。

こうした「社会正義」の理論と称するものの多くは、とんでもなく晦渋だ。文字を追うだけでも一苦労で、なんとか読み通しても変な造語や我流の定義が説明なしに乱舞し、その理論展開は我田引水と牽強付会の屁理屈まがいに思える代物で、ほぼ常人の理解を超えている。それをわざわざ読んで整理してくれただけでも、実にありがたい話だ。

さらに一般的には、一応はまともな肩書きを持つ学者たちによる「理論」が、そんなおかしなものだとはだれも思っていない。読んでわからないのは自分の力不足で、理論そのものは難解だけれど、まともなのだろう、世の中で見られる異常な活動の多くは、末端の勇み足なのだろう、というわけだ。

が、実はだれにも理解できないのをいいことに、そうした「理論」自体が、まさに常軌を逸した異常なものと化している場合があまりに多い。それを本書は如実に明らかにしてくれる。

では、本書の指摘する各種理論の変な部分はどこにあるのだろうか? そのあらすじを以下でざっとまとめておこう。

フェミニズム、批判的人種理論、クィア理論等々の個別理論については、ここで細かくまとめる余裕はないので本文を参照してほしい。だが、本書によればそうした理論のほとんどは同じ構造を持ち、その歴史的な源流も同じなのだ。こうした様々な「思想」の基本的な源流はかつてのポストモダン思想にあるという。

で、そのポモ思想って何?

ポモ思想は、本書の認識では左派知識人の挫折から生まれたやけっぱちの虚勢だ。1960年代の社会主義(学生運動)の破綻で、左翼系知識人の多くは深い絶望と挫折を感じ、資本主義社会にかわる現実的な方向性を打ち出せなくなった。その幻滅といじけた無力感のため、彼らは無意味な相対化と極論と言葉遊びに退行した。それがポストモダン思想の本質だった、という。

そのポモ思想によれば世界は幻想だ。客観的事実などは存在せず、すべてはその人や社会の採用する思考の枠組みや見方次第だ。だから資本主義社会の優位性も、ただの幻想なんだよ、と彼らは述べる。

そして、その思考の枠組み(パラダイムとか、エピステーメーとか「知」とかいうとカッコいい)は社会の権力関係により押しつけられる。それは社会の言説(ディスクール、というとカッコいい)としてあらわれるのだ。その中にいるパンピーは、知らぬ間にそうした枠組みに組み込まれてしまい、それがありのままの客観的な世界だと思い込んでいる。そして人々がその支配的な言説に基づき行動/発言すること自体が、まさにその枠組みを強化し、延命させるのだ。

つまりオメーらみんな、口を開いた瞬間に権力に加担している。えらいアタマのいい、言語に対するシャープな批判力を養い、社会を超越した視線を持つ自分たちだけが、その欺瞞に気づけるし、資本主義の幻想の中で右往左往するだけのオメーらのバカさ加減を認識できるんだよ、というのがポストモダニズムだ、と本書は述べる。

ふーん、それで? 資本主義社会が幻想ならどうしろと? それに代わるものをこの理屈は提出できない。その意味でポモ思想は、左翼がかった高踏的なインテリどもの知的お遊びにすぎなかった。やがてその遊びのネタが次第に尽き、自己参照的な言葉遊びに堕すと、こうした知的お遊戯自体が無内容で非建設的なものとして逆に嘲笑の対象と化した。現代思想業界の雑誌が、本物の科学者たちの捏造した無内容なインチキ論文を嬉々として採用してバカにされた1995年のソーカル事件は、そうした社会的な認識の現れでもある。

が、それと前後してポモ思想に飛びついた人々がいた。それが活動家たちだ。活動家たちも、20世紀後半には壁にぶちあたっていた。女性の抑圧や植民地主義、人種差別といった社会の問題は、当初は資本主義社会の抱える本質的な問題と思われていた。社会主義は、資本主義がそういう搾取の上に成立しているのだ、自分たちはそれを解決する、と主張し続けてきた。それを信じて、多くの社会活動家は社会主義、マルクス主義的な立場からの活動を続けてきた。

が……社会主義の惨状と崩壊で、その立場も崩れてきた。一方で啓蒙思想とリベラリズムが広がるとともに、こうした問題も次第に資本主義の枠内で改善してきた。もちろん完璧ではない。地域差もある。だが20世紀半ばまでに、こうした問題のフォーマルな面はかなり解消された。それにつれて多くの社会活動家たちの活動範囲もどんどんせばまった。しかも残された差別の多くは、社会的な慣習、惰性、初期条件の差から来る創発的なもので、政治的な発言力などではなかなかどうにかできるものではないし……

そこにあらわれたのがポモ思想だ。そこでは、各種の抑圧や差別は、社会全体における権力関係として、人々の「知」の構造の中にはびこるものとなる。それを表現するのが言説であり、そしてその言説が繰り返されると「知」は強化され、そこに内在する差別や抑圧はますます強まる。それを何とかしない限り、形式的な法律だの規制だのをいくらいじったところで、各種社会問題は何も解決しないのである! 社会の正義を実現するためには、社会全体の言説と「知」のあり方を変えねばならない!

だがこれは、一瞬で言葉狩りと思想統制と人民裁判へと転じかねない発想だ。差別的な発言を探して糾弾し、それを述べた人物を吊し上げて、言説を発する立場(つまりは職場など)から追い落とすことで言説の権力構造を変える──まさに現在はびこりつつあるキャンセルカルチャーそのものだ。

そして……抑圧者、権力者たちは自分たちに都合のいい、差別を構造化した知/言説を構築し、そこに安住しすぎているが故に、そうした権力構造をそもそも認識できない。それを認識できるのは、排除され、抑圧されてきたが故にその欺瞞を実感している、被抑圧者、被差別者、弱者、他者、マイノリティたち……そしてもちろん、こうした思想や活動を学んで「社会正義」に目覚めた(Wokeな)意識の高い人たち(つまり自分たち)だけなのだ!

つまり自分たちだけが言葉狩りと思想統制の審問官になれる、というわけだ。だからこの人たちの癇にさわった(「トリガーした」)言説は、それだけで有罪確定だ。そこでは事実も論理も関係ない(それ自体が権力的な言説なのだから)。表面的な意味を越えて、そうした言説や表現の持つ構造的な含意にこそ差別があるのであり、それを検出できるのは被差別者や他者のお気持ちだけだ。それに反論するのはまさに、その反論者が差別構造に気づけない、つまりその人物が無自覚な(いやヘタをすると悪意に満ち)罪深い差別者である証拠だ。いやそれどころか、その反論自体が被抑圧者へのセカンドレイプでヘイトスピーチなのだ。

本書で挙げられた各種の「社会正義」理論の流派は、すべてこのパターンにあてはまる。そこでの「弱者」は何でもいい。女性、LGBT、黒人、マイノリティ、肥満者、身体障害者、病人、そしてそうした各種要因の無数の組み合わせ。歴史的経緯や主要論者の嗜好により多少の差はあれ、本書での説明ではどれもおおむね似たようなパターンをたどる。

そしてそのいずれでも、弱者アピールが何よりも正統性の根拠となる。差別されているというアイデンティティによってこそ、その人の「正義」と批判力は担保される。「社会正義」運動の多くが「アイデンティティ・ポリティクス」と呼ばれる所以だ。そしてこれは、往々にしてきわめて倒錯的な主張につながる。この発想からすれば差別をなくして対等な立場と平等性を実現しようとするのは、そうした弱者の特権性をつぶして既存権力構造に隷属させようとする差別的な口封じの陰謀になりかねない。病気を治療したり、マイノリティの教育水準を引き上げて社会的な不利をなくそうとしたりするのは、その人々の弱者としてのアイデンティティ否定だ!

差別をなくす、というのは本来、社会的な不利をなくす、ということだったはずだ。それが弱者アイデンティティの否定だというなら、これは差別をなくすために差別を温存すべきだ、というに等しい変な議論になりかねない。が、いまの「社会正義」理論の一部はまさにそういうものになり果てている。これは誰のための、何のための「正義」なのか、と本書は批判する。

マーティン・ルーサー・キングは、肌の色ではなくその中身で人が判断される時代を待望した。これは啓蒙主義とリベラリズムの思想で、あらゆる人を平等に扱おうとする。だが「弱者」に特権的な視点と判断力があり、その人たちのお気持ちだけを重視すべきで、そこに含まれない人々は目覚めていないんだからその主張は無視してよい、というこの「社会正義」の理論は、分断と対立を煽り、別の形で差別を温存させるだけだ。

そうした危険な動きの拡大には警戒すべきだ、と本書は述べる。アイデンティティを超える普遍的な価値観と万人の共通性を強調した、啓蒙主義とリベラリズムの立場を復活させるべきなのだ。だって、それが実際に社会の平等と公正を拡大してきたのはまちがいのない事実なのだから。そしてそのためには、本書で異様な「社会正義」理論を理解したうえで、それに対して筋の通った反論をしよう。

これまでは、「差別はいけません」といった漠然としたお題目のために、みんなこうした理論に正面きって反対するのを恐れてきた面がある。それがこうした「理論」をはびこらせてしまった。だが「社会正義」理論を否定するというのは、別に差別を容認するということではない。どこは認め、どこは受け入れないのかをはっきりさせて、決然とした対応を!

5 本書の受容とその後

当然ながら、本書はスティーブン・ピンカーをはじめ、啓蒙主義とリベラリズムを擁護し、その21世紀的な復権を主張する論者からはきわめて好意的に迎えられた。もちろん、著者二人の先人ともいうべき、ソーカル事件のアラン・ソーカルも絶賛している。「社会正義」サイドは、無理もないが本書を口をきわめてののしっていて、著者たちも執拗な攻撃を受けている。著者の一人リンゼイは、LGBT活動などをからかったツイートをやり玉にあげられて、2022年の8月5日にツイッターの垢バンをくらってしまった。

またこうした思想的な潮流よりは、社会経済的な背景が重要との指摘もある。学術界全般の悪しきこむずかしさ崇拝傾向に加え、アメリカの大学のほとんどが私学で、学費と寄付金のために生徒やその親の過激な主張に断固とした態度がとれないこと、つぶしのきかない人文系大卒者の激増と就職難に伴う「意識の高い」NGO急増のほうが主因だという説も出た。現代思想は彼らの方便でしかないというわけだ。これは一理あるが、その方便に気圧されないためにも、それが出てきた背景と中身を知っておくのは無駄ではない。

いずれにしても読者の評判はかなりよく、いくつかメジャー紙のベストセラーにランクインするほどの売上を見せている。『フィナンシャル・タイムズ』紙などの年間ベストブックにも選ばれた。こうした理論の冷静でわかりやすい概説書が欲しいというニーズは(おそらく支持者側とアンチ側の双方に)それなりにあったらしい。

そうした解説ニーズに応えるためか、2022年には本書をさらに噛み砕いた「読みやすいリミックス版」(Social (In)justice: Why Many Popular Answers to Important Questions of Race, Gender, and Identity Are Wrong—and How to Know What’s Right)も出版され、こちらもかなり好評だ。

そしておそらく、その後のアメリカの政治状況も、本書の好評とある程度は関係している。「社会正義」理論の弊害への懸念が2010年代末から高まっていたのはすでに述べた通り。それが本書登場の背景でもある。特に2020年に全米で吹き荒れた、黒人差別に抗議するBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動とそれに伴う騒乱は、社会に大きな傷痕を残し、それを「社会正義」的な思想の広まりがその暴走を煽ったという指摘もあった。つまりは、左派による「社会正義」理論の濫用が問題だということだ。

だがそこで奇妙な倒錯が生じた。2020年のヴァージニア州知事選で、共和党候補が批判的人種理論ことCRTの教育制限を公約に挙げた。「社会正義」の理論と、その教育現場への安易な導入こそが、人種分断を煽る大きな要因なのだという。だが実際に当選してから彼らがはじめたのは、きわめて穏健な人種差別教育や多様性教育の抑圧だった。そしてそれが、続々と他の州にも拡大し、同時にジェンダー教育などもCRTのレッテルの下に含めて潰そうとしつつある。つまり今度は右派による「社会正義」理論の(レッテルとしての)濫用が課題になってきたというわけだ。

こうしていまや「社会正義」理論は、一部の人しか知らない特異な社会運動理論から、政争ツール最前線にまで踊り出てしまった。好き嫌い(および肯定否定)を問わず、こうした議論の妥当性を判断する一助としても、思想や理論について、概略でも理解する必要性は高まっている。その意味で、本書のような見通しのよい解説書への需要は、今後当分続くのではないだろうか。

6 日本にとっての意義

日本では幸いなことに、本書の発端になったような異常な事件が頻発したりはしていないようだ。各種の思想や哲学系の雑誌で、「社会正義」的な思想の特集が組まれても、その思想自体が各種の運動を煽ったという事例は、寡聞にして知らない。「社会正義」的主張を掲げる抗議運動や、それを口実にした吊し上げやキャンセル活動は確かにある。

だが系統だったものは少なく、また多くの場合には本音の私的な遺恨や派閥抗争がだらしなく透けて見える。一方で受容側の企業や、かなり遅れてはいるが公的機関や大学なども、SNS炎上などの対処方法がだんだんわかってきた様子はうかがえる(基本、無視がいいようだ)。

だからおそらく読者の多くは、「社会正義」が生み出した変な運動の矢面に立たされることもないだろう(と祈っていますよ)。政治トピックに上がるとも思えないから、本書に述べられた個別理論の細部を理解する必要に迫られることもないだろう。本書への関心も、恐い物見たさの野次馬めいたものが大きいのではないか。

だが怪しげな理論の先鋭化と暴走が現実的な問題を引き起こす可能性は常にある。本書を通じてその現れ方を理解しておくのは、決して無駄にはならない。そしてそれ以上に、本当の社会正義や社会集団共存の実現は当然ながら必要なことだ。多くの人がそれを認識しているからこそ、異様な「社会正義」理論(またはその反動)がつけいる隙も生まれてしまう。

それを防ぐためには、その社会正義を自分自身がどう考えるのか、何を目指すのかについて、個人や組織が自分なりの基盤と筋を確立しておく必要がある(本書で懸念されている、「社会正義」の巣窟となりかねない企業や組織の多様性担当者といった役職は、本来はそうした基準の構築が仕事だろう。もちろんCRT禁止の旗印で常識的なジェンダーや多様性の教育まで潰されそうになったときにも、ある程度の知識があれば「これはCRTとちがう」と変な介入をはねかえして筋の通った対応をしやすくなる)。

そして本書や類書の最大の貢献はそこにあるはずだ。本書により「社会正義」理論のおかしな展開を見る中で、読者は自ずと自分にとって何が正しいかを考えるよう迫られるからだ。

それを一人でも多くの読者がやってくれれば、訳者(そしてまちがいなく著者たちも)冥利につきようというものだ。

7 謝辞など

翻訳は、前半を森本、後半を山形が行い、最終的に山形がすべてを見直している。

訳者たちはいずれも、こうした分野の専門家ではない。各種専門用語などは、なるべく慣用や定訳に従ったつもりだが、思わぬまちがいや各種理論・理屈の誤解などはあるかもしれない。また引用部分については、邦訳があるものはなるべく邦訳を参照したが(邦訳の該当ページは注を参照)、文脈その他に応じて修正した部分もそこそこある。誤訳、用語のまちがいなど、お気づきの点があれば、訳者までご一報いただければ、反映させていただく。そうした正誤表や関連リソースについては、以下のサポートページで随時更新する。https://cruel.org/books/books.html#translations

本書の編集は早川書房の一ノ瀬翔太氏が担当された。当方の様々な見落としをご指摘いただいたばかりか、太字や大文字表記などで特殊な概念を示した原著を、日本語での違和感のない表記法を編み出してわかりやすくしていただき、心より感謝する。そしてもちろん、本書を手に取ってくださる読者のみなさんにも。

 2022年9月 デン・ハーグにて
 訳者代表 山形浩生(hiyori13@alum.mit.edu

◆著者紹介

ヘレン・プラックローズ Helen Pluckrose
政治・文化に関する著述家。ウェブマガジン「Areo」元編集長。ポストモダニズム、リベラリズム、フェミニズムなどをテーマにした評論を数多く手がける。2017年から2018年にかけて、ジェームズ・リンゼイ、哲学者のピーター・ボゴシアンとともに社会学系学術誌に虚偽の論文を投稿し、その一部が受理・掲載された。社会正義にまつわる研究の杜撰さ、イデオロギー性を浮き彫りにしたこの出来事は「不満スタディーズ事件」「第二のソーカル事件」と呼ばれ、ニューヨーク・タイムズ紙の一面で報じられるなど全米に論争を巻き起こしている。

ジェームズ・リンゼイ James Lindsay
数学者、文化評論家。ウェブサイト「New Discourses」創設者。テネシー大学で数学の博士号を取得。ウォールストリート・ジャーナル紙、ロサンゼルス・タイムズ紙、サイエンティフィック・アメリカン誌などに寄稿。著書に Everybody is Wrong about God、Life in Light of Death、How to Have Impossible Conversations(共著)など。

◆訳者略歴

山形 浩生(やまがた・ひろお)
翻訳家、評論家。1964年生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。大手シンクタンクに勤務するかたわら、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。著書に『経済のトリセツ』『たかがバロウズ本。』など。訳書にクルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』『ゾンビとの論争』(ともに早川書房刊)、フランクファート『ウンコな議論』、ピケティ『21世紀の資本』(共訳)ほか多数。

森本 正史(もりもと・まさふみ)
翻訳家。1967年生まれ。共訳書にウェスト『スケール』(早川書房刊)、ノルベリ『OPEN』、トゥーズ『ナチス 破壊の経済』、アトキンソン『21世紀の不平等』、シーブライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』、ケンリック『野蛮な進化心理学』など。


Comment

ハフポのLGBTQ記者、J.Kローリング女史に謝罪する

数日前に極左翼リベラル新聞のハッフィントンポストのコラムニストが作家のJ.Kローリング女史に謝罪するというツイートを読んだ。

著者はLGBTQコラムニストのEJ ロゼッタ女史(EJ Rosetta)。彼女は三か月にわたり、ローリング女史が言ったとされるトランスフォビックな発言を取材していたが、ローリング女史の発言にトランスフォビックなものは一切発見することが出来なかったと自分のツイッターで発表した。

三か月雨、私は「『もうたくさん、JKローリングによる20のトランスフォビック発言(20 Transphobic JK Rowling Quotes We’re Done With)』という記事のために詳細を調べる任務を与えられた。12週間にわたり彼女の書籍やツイートやエッセイを読んで「発言」を探したが、トランスフォビックとみられるメッセ―ジをひとつも見つけることが出来なかった。

この経過により、私はJKローリングは不寛容なトランスフォビックなどではないという結論に達した。彼女は才能ある女性として何もせずに愛され続けることも出来た。だが彼女は周りを見てトランス権利と女性の権利との間で必然的に大きくなっている苦しみに注意を払った。

多くの場合、一つのグループの権利が他のグループのために犠牲になっており、一番危険にさらされている女性達にその代償を払わされている。このイギリスでは常に双方を支持したいと考えている。だが、DVシェルターなど特定の場所ではそれは不可能だ。そしてJKはそれに注目したのだ。

ロゼッタはローリングが声を上げれば、どれだけの批判を集めるかは十分に承知だったはずなのに、あえて声を上げたその勇気を讃えた。彼女にむけられた殺人や強姦などの脅迫は恐ろしいものであり、それに勇敢に立ち向かっているローリングの姿勢に敬意を称した。

同時にロゼッタはローリングにたいしてメディアが報道という名目で行った誹謗中傷にも「恥を知れ!」と強く批判した。

ロゼッタ自身はLGTBQ活動家であり、実は元TERF(トランス排除的過激派フェミニスト)だったという。

ロゼッタはすでに自分のエージェントからこのツイートを消すように圧力をかけられているという。彼女自身が再びTERFと罵倒されるのも時間の問題だろう。

しかし本当に残念なのは、ハリー・ポッターのおかげで名誉と地位を得た映画の出演者たちが次々にローリング女史を見捨てたことである。せめて「人にはそれぞれ意見がありますから」とか「著者の政治見解と映画は関係ありません」「私個人は彼女のお世話になりましたので」くらいで済ませておけばよいものを、あれだけお世話になった女史が何を言ったかさえ調べもせず、LGBT界隈の尻馬に乗ってローリング女史を叩き始めた俳優たちは本当に恥しらずだ。

ロゼッタ記者がきちんと自分の道義心に従ってこの発言をしたの喜ばしいことではあるが、なぜもっと早い時期にこれが言えなかったのだろうか、それが残念だ。

最近ローリング女史はスコットランドで起きている性自認法の改悪の対して声を大にして抗議しているが、彼女のおかげでスコットランド市民は自分らの国に何が起きているかを知ることとなり、多くの女性達がこの改定案に反対している。そして彼女のおかげで国連までもが注意を払うようになったのである。

私は、ほんの数年のうちにローリング女史は底辺の弱い立場にいる女性達を救った偉大なりヒロインとして称えられることになると私は信じる。その時になって、彼女が最初に批判された当時からずっと彼女を弁護して来た人たちと、世論の尻馬に乗って彼女を罵倒した人たちとの差がはっきりすることだろう。


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イギリスの未成年トランス擁護団体マーメイド、次々に明るみにでる不祥事に大揺れ

アップデート&バンプ 本日11月27日にこのマーメイドのスージー・グリーン会長が辞任したとのニュースが入ってきた。Head of trans children charity Mermaids resigns after six years | Transgender | The Guardian.

グリーンは6年間マーメイドの会長を務めていた。グリーンは息子のジャックが16歳の時、イギリスでは違法だった性適合手術(去勢)を行うためにタイに連れ出して手術をさせた。息子のジャックは10歳くらいから思春期抑制剤を飲んでおり、ペニスは未発達であり、人口膣の形成のために必要な皮が足りないなどの支障が出ていた。

ツイッタラーの噂によると、今はジャッキーと名乗るグリーンの息子は過去7年間にわたるツイートを全部削除したそうだ。またスージー自身も、かなりの過去ログを消していると言う話。

最近、未成年への性転換治療が色々と批判的な目で見られるようになったことから考えても、マーメイドはかなり大きな方向変換をして生き延びようとしているのかもしれない。

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こちらオリジナルの2022年10月のエントリー

数週間前にイギリスの未成年トランスジェンダー推進団体マーメイドが、トランスジェンダー概念に批判的な慈善事業団体LGBAlliance(LGBA LGB同盟)と、慈善事業審査委員会(the Charities Commission)を相手取って訴訟を起こした。マーメイド側はLGBAのトランスジェンダーを排除する姿勢が慈善事業としてふさわしくないものであり、LGBAの慈善事業資格は取り上げられるべきだと訴えていた。

ところが数日前、当のマーメイドが親に内緒で未成年少女たちに乳房を抑えるバインダーを配布していたこと、医療者としての資格のないスタッフが未成年に性転換に関するカウンセリングをしていたことなどが明るみに出て、マーメイド自身の慈善事業資格の見直しが行われるというどんでん返しが起きた。

さらにマーメイドはLGBA相手に訴訟を起こした際に列挙した役員のなかに、それまで公には知られていなかった幼児性愛者がはいっていたことがばれてしまい、その役員が辞任するという事態にまで発展。マーメイド側はこの役員が小児性愛者の学会で研究発表をしていたことは知らなかったと主張しているが、知らなかったで済まされるのかどうか疑問だ。

辞任した役員の名前はジェイコブ・ブレスロー博士。2011年に、ロンドン経済大学でジェンダー研究をしていた頃、アメリカのボルティモアで行われたBAU-ACTのイベントで自身の研究発表を行ったという。B4UーACTという団体は科学的に子供や未成年に魅力を感じる人々について研究する団体だ。

ブレスロー博士の研究はSexual Alignment: Critiquing Sexual Orientation, The Pedophile, and the DSM Vというタイトルで、一般的な小児性愛者に対する理解を批判する内容だった。彼の論文には、ペドフィリアの代わりに「未成年に魅かれる人」という意味のminor attracted person (MAP)という言葉が多く使われていたという。

本人が小児性愛・ペドフィリアについて研究していたからといって彼自身がペドだという証拠にはならないが、ペドを正当化しようとする団体主催にイベントでペドに同情的な研究発表をしたというのは非常に問題だ。本人もマーメイド側もそうと解っているからこそ今回の辞任という結論になったのだろう。

マーメイドの売りは未成年トランスジェンダーを擁護するというもので、その団体の役員に小児性愛者が混じっているのは単なる偶然だったのだろうか?

さらに本日、マーメイドで働くダレン・ミューという人がハウスマガジンというポルノ雑誌に載せた作品がツイッターに上がってきた。リンクはつけるがポルノ画像なのでリンクをたどる時は注意していただきたい。

なぜマーメイドにはこういうおかしな連中が集まるのだろうか?

マーメイドに限らないが、昨今のLGBT界隈の活動には子供の性的洗脳がとみに目立つ。幼稚園児に性的表現のあるドラアグショーを見せたり、小児性愛犯罪歴のあるドラアグの膝に子供を乗せてLGBT関連の本を読んできかせたり、プライドマーチで全裸の男が子供たちの前で踊ったりと、非常にあからさまな手懐け(グルーミング)が行われている。

LGBT界隈と特にトランスジェンダー活動家(TRA)は性に異常に固執している。先日もメキシコで初のトランスジェンダー(女性自認の男性)議員が自分のツイッターに自作ポルノ動画を載せたことで問題になっているが(リンクはつけない)、もし普通一般の政治家が自分が性行為をしている動画を誰もが観られる公共のソーシャルメディアに掲載したりしたら、即刻首になることは間違いない。にもかかわらず、トランスジェンダーなら、どんな卑猥なことをやっても許されるというのはどういうことなのか?

今までゲイやドラアグクィーンたちによる過激な性癖はごく一部の人々がうちうちにやっているものとして社会は容認していた。ゲイ男性同士の乱交は悪名高く、多くのゲイ男性が未成年を好むことも暗黙の了解だった。それが一般社会に影響を与えていないうちはほとんどの人は自分とは関係ない世界だとして無視していた。

しかし今やそれは無視できない状況となっている。

私はストーンウォールやマーメイドの寿命はあまり長くないと考えている。イギリスではすでに風向きが変わってきている。マーメイドの醜聞が後から後から聞こえてくるようになったのがその証拠だ。

アメリカ各地でも、州知事や議会が中心となって子供の性転換治療を禁止する動きが広まっている。保守派ポッドキャスターのマット・ウォルシは地元テネシー州の病院における治療を全面的に禁止すべく運動を始めている。

イギリスでもアメリカでも多くの人たちが目を覚まし始めたのだ。


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スコットランドの性別認定改訂法案に国連が警鐘をならす

先日もお話したスコットランドにおける「人は三か月ほど異性として暮らしたことを証明できれば性別を公式に変更できるようになる」性別承認法(GRA)改訂案に関して、ことトランスジェンダリズムに関しては比較的リベラルな姿勢を取ってきた国連からも、性犯罪者に悪用される可能性があるとしてスコットランド政府に考え直すようにとの意見が表示された。

この記事を紹介してくれているMoja Mojappa@MojaMojappaさんが一部を邦訳してくれているので引用する。強調はカカシ。もと記事はこちら。UN expert warns men could ‘abuse’ Scottish gender reforms

女性と女児に対する暴力に関する国連特別報告者であるアルサレム氏は、英国政府への4,500語の書簡の中で、スタージョン氏(スコットランドの女性首相)に対して「予見可能なすべての結果を徹底的に評価するための十分な時間」を確保するように訴えた。

アルサレム氏は、運動家たちが提起した懸念の多くを強調してこう言った。「このような提案は、男性として認識する暴力的な男性が、GRC取得のプロセスやそれに伴う権利を乱用する扉を開く可能性があります。これは、多様な女性の安全に対する潜在的なリスクとなります。

スコットランド政府は… 性犯罪者や他の暴力の加害者によって悪用されないように保障するいかなる保障措置も規定していない。(GRA←ジェンダー承認法についてこれを言ってる)

アルサレム氏「性犯罪者の大半は男性であり、執拗な性犯罪者は虐待したい人に近づくために多大な努力をすることが証拠によって証明されている。」 「この法案に関する協議は、十分に公正かつ包括的なものではなかった。」

アルサレム氏「ホリールード委員会がトランス女性の声に耳を傾けたにもかかわらず、同じスコットランド議会議員が男性からの暴力を受けた5人の生存者に「『彼らに会い、異議を文書で提出する時間はない』と言ったことが心配だ」

自発的トラウマ、代理性、尊厳を無視し、損なうものです」

アルサレム氏「ジェンダー変更証明」を取得する手続きを簡略化すれば『当該移行者の過去の暴力歴を判断する』ことがより困難になる」「認証の手続きそのものに十分な安全対策への配慮が必要。スコ政府は、移行した人が以前の性自認に戻る場合、どのような手順で対処するのかまだ明確にしていない」

アルサレム氏「トランスの人々は差別や嫌がらせのない生活を送り、人権を保護される権利がある」 そして記事は「トランスの人々自身が性別違和の精神衛生上の診断を必要とするため、現状を心配している」と結んで終わる。

はっきり言って、トランスジェンダリズムなどという概念を認めてしまった以上、こういう極端な法律がいずれ取沙汰されるようになることは時間の問題だった。日本の特例法でも手術要件どころか医師の診断書要件まで外すべきだと運動している人たちがいることからも明らかなように、「○○をしさえすれば公式に性別を変えることが出来る」という考えがそもそも間違っているのである。言うまでもなく性同一性障害を精神病の枠からはずすべきだと運動している人々の動機も、この医師の診断書不要を薦めるための布石である。

この改定案がどれほど危険であるかという話をいまさらするまでもないが、興味深いのは、その警鐘を鳴らしたのが国連だということだ。これまでならトランスロビーの言い分は100%無条件で受け入れていた国連が、何故突然異見を述べるようになったのだろうか?

もしかすると本当にトランスジェンダリズム圧制の潮の流れが変わりつつあるのかもしれない。これは注目の価値がありそうだ。

アップデート:2022年12月222日現在 スコットランド、性自認のみで性別が変えられる性別認定改悪法が議会を通る、性犯罪前科があっても問題なし – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)


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性自認法が通っても男性器のある人が女子専用施設を冒すことなどないというTRAの嘘に騙されてはいけない

埼玉県のLGBT条令について、多くの人が知らないうちに性自認に関するおかしな条令が通ってしまい、一般の人たちは知らないうちに被害に合っている可能性があるという話を聞いたので、そのやり取りを追ってみた。

では埼玉県の条令とはどういうものなのか、特に性自認に関する部分を読んでみよう。

第4条(差別的取扱い等の禁止)

1 何人も、性的指向又は性自認を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない。

2 何人も、性的指向又は性自認の表明に関して、強制し、又は禁止してはならない。

3 何人も、正当な理由なくアウティング(性的指向又は性自認に関して本人の意に反して本人が秘密にしていることを明かすことをいう。)をしてはならない。

この条項には大きな問題点がいくつもある。先ず項目1だが、「性自認を理由とする不当な差別的取扱い」とはどんな取り扱いを指すのであろうか。性自認が女性だという男性を女子専用施設に立ち入らせないことは「不当な差別」と見なされるのであろうか?

また、明らかな男性が女子専用施設を使っていた場合、出て行ってほしいという時に「心が女性だから」が言い訳になるとしたら、「性自認の表明に関して強制」したことにならないか?そしてそれは第三項目のアウティングに繋がるのではないか?

女性自認の男性は「静かにお風呂を楽しんでいただけなのに『あなたは本当に女性なのか』と聞かれてアウティングを強要された」と浴場経営者を訴えることが可能なのではないだろうか?

この条例が悪用されれば、公衆トイレや民間のジムのシャワー室や小売店の試着室など、男女を身体で分けている施設はすべてLGBT条令に違反しているとして訴えられる可能性が高くなる。いや、訴訟を気にして最初から男女共用施設にしてしまうとか、自認女性の男子を許容するといった施設が出てくる可能性は非常に高い。ロサンゼルスのWiSpaの例を見ていればそれは明らかだろう。

そうした心配をよそに、日本ではそんなことは起き得ない、そのような心配はただの老婆心であると決めつける人が居た。

いくつかの地方自治体レベルでは既に性自認による差別的取り扱いはいけないということになっています。しかし同時に同じ自治体の別の条例では男女別の浴場使用を定めていますし、浴場組合でも未手術の人は女/男湯に入れないことになっています。施設基準でも大概そうです。@naotate1(antifaでーす)

といってこの人が提示した埼玉県の公衆浴場法施行条例を読んでみたが、この条例では浴場や脱衣所やお手洗いを男女別にしなければならないという規則はいくつも書かれているが、その男女の区別をどうつけるのかという詳細な説明はない。例えばこの部分、

浴室及び脱衣室は、男女別に設け、外部から及び男女各室相互に見通すことができないようにし、かつ、その出入口を男女別にすること。

このpdfファイル全体を「男性器」で検索してみたが、男性器のある自認女性などという表現は一行もなく、また性自認、未手術、戸籍、といった言葉は一度も出て来ない。これは一体何を意味するのか?

当たり前のことながら公衆浴場施行条例が書かれた当時、性自認は女と称する男性器のある男が女湯に入りたがるなどという状況は誰も想定していなかった。だから男女別とすれば誰もが了解している体の性別を意味していた。

@naotate1は性自認条令があっても別の条令が男女別を規定しているから大丈夫だと言っているが、これが大丈夫でないことは聡明な読者諸氏にはもうお分かりだろう。

LGBT条令で個人の性自認による差別を禁止している以上、自分が女だと自認する人を女性扱いしないのは差別だと言い張る人が出てくるのは時間の問題だ。別の条令では浴場の男女別は規定していても、女性の定義に男性器の無い人とは特定していないので、この男女の定義が「男性を自認する人」と「女性を自認する人」と変わってしまえば浴場条令など全く意味のないものとなってしまうのだ。

それから全国浴場組合の規則では男性器のある人が女湯に入るのは禁止されているという話なのだが、組合のサイトやルールなどを読んでも、そんな項目は全く見当たらない。男児の女湯入室は7歳児までという項目ならあったが。

しかしよしんば組合にそうした規則があったとしてもそれは全く意味がない。なぜなら県の条令で性自認女性を差別してはならないとある以上、組合が自分を女性と言い張る人を自分らの勝手な規則で排除できるとすることは、かならずやトランスジェンダー当事者から訴訟を起こされる理由となるだろう。そんな面倒臭いことには関わりたくないと思った民営施設が個別の例で他の客には知られないように、こっそりとこうした人々を許容してしまう可能性は非常に大きい。ロサンゼルスのWiSpaのように。

しかし前述の@naotate1は、そんな心配もないと言い張る。

自治体は国法に違反できず、あくまでも国法の範囲内、地方自治法第14条に基づき「条例」を作ることが可能です。

無論それはそうである。しかしどの国法が、お風呂や更衣室やトイレなどといった施設を男女の体で分けなければならないと規定しているのだ?この間提案された理解増進法にもそのような記載はなかったはずだ。ということは、もしも民営の浴場がトランス差別で訴えられた場合、裁判所が男女を体で分けることは差別ではないという裁断を下さない限り、埼玉県の条令は認められることになるのだ。

つまり、トランスジェンダー活動家はやりたい放題できるという意味だ。

男性器を持ったまま女湯に入ろうとするトランスジェンダーなど居ないから心配するな、などと何度言われても信用できない。現に違法である現在ですら男性器を股間に隠して女湯に入ったとか言って自慢げに自撮りをしている変態男たちが後を絶たない。

地方政府が県民の異見も聞き入れずに過激なLGBT条令をどんどん通してしまっているので、県民はそのことに注意を払い、反差別条令には男女を体の性で分けることは差別にあたらないという項目を必ず入れることを要求すべきである。

何も心配することはないという@naotate1のような嘘つきトランスジェンダー活動家(TRA/ANTIFA)の口車に乗ってはいけない。


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スコットランド政府の性自認制度ごり押しに抵抗する名もなき女性達を支持するJ.K.ローリング女史

先日、作家のJ.K.ローリング女史がツイートでスコットランドの第一相(First Ministor)が、圧倒的多数の市民の反対を押し切って本人が自認してさえいれば公的に性別を変更できる法律をごり押ししていると発信した。そしてこのままだとあと2週間以内にその悪法は通ってしまうと女史は訴えていた。このスコットランドの所謂セルフID法とはどんなものなのか、それに何故ローリング女史及び大多数の市民が反対しているのか、女史自身が意見を発表しているので読んでみたい。My article for the Sunday Times Scotland on why I oppose Gender Recognition Act reformーJ.K.ローリング。 

女史はスコットランドの女性達が新しく提案されているセル法に抗議するのには根性の要ることだったと称賛する。無論イランで命がけでヒジャブなしの権利を要求している女性達とは危険度の差こそあれ、それでも昨今のトランスジェンダーロビーに抵抗するのは勇気のいることである。

スコットランドの女性第一相である二コーラ・スタージェンは( First Minister, Nicola Sturgeon)自らを真のフェミニストと自称しているが、BBCのインタビューで新しく提案されているGender Recognition Act(性別認識法)は女性の権利を奪うものではないと主張している。

しかしローリング女史はその意見には同意できないとはっきり言う。そう思うのは女史だけではない。ローナ・ハッチキス女史(Rhona Hotchkiss)元Masters in Law and a qualification in Research Methodologyのリーダー、イザベル・カー( Isabelle Kerr)元グラスゴー&クライドレイプ救済センターーの支配人で長年強姦犠牲者の救済にあたっている女性達も反対している。

もしサージョンの新法が立法されれば、人は三か月ほど異性として暮らしたことを証明できれば性別を公式に変更できるようになる。しかし誰もこの異性として生活するということがどういうことなのかという定義を示していない。

現在の法律では個人が性別変更をするためには性同一性障害を病んでいるという医者の診断が必要である。しかし新法ではこの診断書要件が必要とされていない。多分それはサージョンが絶大な権力を持つ活動家ロビーによる、性違和の非病気化の思想に迎合してのことだろう。彼らの理屈によれば、性違和は精神病ではなく、同性愛のように自然なものだというもの。ストーン・ウォールの宣伝部長レイチェル・コーヘン(Rachel Cohen)によれば、「トランスであるということは性転換でもなければ、服を買えることではない。これは自然な性そのものである。」いったい他人が人の「本物の自然な性そのもの」を審査できるのか「私にはまったくわからない」とローリング女史。

この法律が通ってしまえば、誰でも出生届そしてパスポートの性別を公式に変えられるようになる。そうなれば、男性器が付いた男性体の男が手術を受けた人たち同様、正式に女子トイレや更衣室やレイプ救済センターやDV被害者避難センターや女子病棟や刑務所の女子収容所などに平然と入って来れるようになるのだ。

2019年にサンデータイムスが掲載した記事によれば、イギリス司法省は90%の性犯罪が男女共用更衣室でおきることを認めている。にも拘わらず、サージョンはそのような心配を一笑に付す。そして常に私たちが聞き飽きた同じ「罪を犯す人に焦点を当てるべきなのであって、すでに社会でひどいスティグマを持っている人口のごく一部である人たちに、これ以上のスティグマを与えるべきではない」という理屈にならない主張をしている。つまり、女子施設で起きる犯罪は犯罪者が悪いのであってトランスジェンダーには無関係だと言うのである。サージョンが新法が必要だという根拠としているのは次の三つの嘘からなりたつ。

その一:トランスジェンダー女性は特に危険にさらされているという嘘。スコットランドでは2009年から2019年にかけて112人の女性が殺されているが、トランスジェンダー「女性」が殺された例はひとつもない。

その二:女性を自認する男性は女性に危害を与えないという嘘。しかし女性を自認する男が一般の男性の犯罪傾向を保持していないという科学的根拠はまるでない。犯罪学者のジョー・フィーニックス博士によれば、犯罪傾向で最も重要な要素は性別である。1850年来からの犯罪を研究するうえで、犯罪を犯す80%が男子であり、特に暴力的犯罪を犯すのはほぼ全員が男子である。性自認が変わったからといって、この傾向が変わるという根拠はどこにもない。

その三:トランスジェンダーに成り済ます男性など居ないという嘘。(そういう主張はトランス差別だ)よっぽどの馬鹿でない限り、自分は女性だと偽って女性空間に入り込もうとする悪者が存在することくらい想像できる。 すでに女装男子を女性として受け入れた女性病棟や刑務所で自称女の男の性被害になった女性が多々いることが報告されているではないか。何故か自分の自然な性そのものを自覚するのは刑務所が最適な場所のようで、スコットランドでトランスを自認する犯罪者の半分が有罪になってから自認するようになるという不思議な状況がある。

拙ブログでも何度か紹介した通り、ローリング女史は25年も前からシングルマザーや性犯罪やDVの犠牲者となった女性や女児を守るために戦い続けてきた。最近になってトランスジェンダーへの憎悪からこうした主張をするようになったわけではないのだ。ハリーポッターの若い俳優たちが生まれる以前からの運動なのだ。

この法案の審議において、性犯罪生存者の何人かの女性達が、この法律が性犯罪者の女性空間侵入を容易にするという証言をしようとしたとき、審議会は彼女達の証言の公聴を拒否。書面で提出するよう支持した。しかし審議会は17人のトランス自認の人々の公聴を行った。

スコットランド政府は一番犠牲になる底辺にいる女性や女児の安全よりも、女装男達の身勝手な要求を優先させることに決めたのである。

テネシー州、ドラアグクィーンショーを違法にする法律が提案される

一方アメリカはテネシー州では、一般の父母たちが中心となって、トランスジェンダーリズムの子ども洗脳を阻止すべく多々の運動が繰り広げられている。テネシー州では、デイリーワイヤーのマット・ウォルシらが指揮をとって子供病院でも性転換手術や治療を一時差し止めることに成功したが、今度は性的に破廉恥な子供相手のドラアグクィーンショーを違法にしようという法律が提案された。

J.K.ローリング女史同様、マット・ウォルシのこの運動は、昨日今日の付け焼刃ではない。実は私自身も忘れていたのだが、2015年に書いた5歳の幼女をトランスとして育てるのは幼児虐待だ! – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)(2015年)の中で、まだポッドキャスターとしては有名ではなかったウォルシのブログを引用していた。

そしてもちろん私も子供の性転換にはずっと前から反対だった。信じられない、子供の性転換増える! – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net) (2012年)

スコットランドの法律がどうなるかは分からない。だが、JKR女史が声をあげてくれたことで、世界中がスコットランドに注目するに至った。TRAの強みは誰の目にも触れないうちに闇の中で自分らのやりたい放題の政策をとってしまうことにある。一体奴らの悪だくみが表ざたになれば、そう簡単に奴らの思うようにはいかなくなるだろう。

そのためには、我々一般人が、事あるごとにTRAの陰謀を暴露していかなければならないのだ。

アップデート:12月22日現在。スコットランド、性自認のみで性別が変えられる性別認定改悪法が議会を通る、性犯罪前科があっても問題なし – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)


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職場はトランス自認社員にどこまで配慮すべきなのか?

数日前こんな記事を読んだ。「トランスジェンダー社員に上司「戸籍の性別変更を」…「SOGIハラ」でうつ病、労災認定」強調はカカシ。

心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」の40歳代会社員が、勤務先の職場で性自認を侮辱する「SOGI(ソジ)ハラスメント(SOGIハラ)」により、うつ病を発症したとして、神奈川県内の労働基準監督署から労災と認定されていたことがわかった。認定は6月30日付。代理人弁護士によると、SOGIハラによる労災認定が明らかになるのは、全国的にも珍しいという。

会社員は戸籍上の性は男性で、性自認は女性。2006年に神奈川県内の大手製造会社に就職し、17年に職場で性自認を公表した。会社員が情報開示請求で入手した労災認定を巡る調査書によると、会社側は会社員を女性として扱い、敬称を「さん」とするよう従業員に周知した。

 その後、指導役だった上司との関係が悪化。18年4月、別の管理職を交えた話し合いの場で、会社員が上司から「彼」と呼ばれたことに抗議すると、上司は「戸籍上の性別変更をしてから言いなさい」と発言した。「女性らしく見られたいなら、こまやかな心遣いが必要」とも言われた。この席で、上司は会社員のことを何度も「彼」と呼び、数日後の話し合いでも「くん」の敬称で5回呼んだという。

 会社員はその後、体調を崩した。医療機関で睡眠障害や、うつ病と診断され、18年12月から休職した。

 労基署はこうした上司の発言を「性自認に関する侮辱的な言動。本人の人格を否定する精神的攻撃で、執拗(しつよう)に行われた」と指摘。会社員に強い心理的な負荷がかかり、うつ病を発症したとして、労災認定した。会社員は21年9月に復職している。

この読売新聞は女性自認の男性への取材を行い、上司から髪の毛を切るように言われたことが苦痛になったなどと書いているが、その上司が何故そんなことを言ったのかという上司側の取材をしていない。この記事の内容はトランスジェンダー(TG)の一方的な訴えであり、この男性の性自認によって周りがどんな影響をうけたのかという話が全くされていないなと思った。

先ずこの男性は戸籍は男性のままだ。ということは法律上この男性を女性職員扱いする義務は職場にはないはずだ。上司がこの男性の多々の要求に対して「戸籍上の性別変更をしてから言いなさい」と言ったのは全く筋が通っていると思う。何故なら「自分は○○と自認するから、そう扱え」という社員の勝手な要求にいちいち配慮していては会社は成り立たないからだ。この男性を特別扱いしろというなら、その法律的根拠があるべきである。

11年も男性として働いていた職場で、突然自分は女だと言い出し、髪の毛を伸ばして女装して現れれば周りが戸惑うのは当然だ。しかも移行の段階によっては全く女性には見えない、ただの醜い中年女装男に見えたかもしれない。人生半ばで女性を自認する男性が、年齢不相応の派手な恰好で、まるでコミコンのコスプレみたいな恰好をしている姿をいくらもみたことがある。そして女装に慣れていないため、ミニスカートをはいたまま両足を広げて座ったり、ハイヒールを履きながら蟹股で歩くなど、目も当てられない態度の人も多い。そういうふうにおよそ女性とは思えないふるまいをしているにもかかわらず、女性として扱えと要求すれば、上司から「女性らしく見られたいなら、こまやかな心遣いが必要」と言われたとしてもしょうがないのではないか?

それに、この男性が言われたことは彼が女性自認の男性だから言われたことなのか、それとも普通の女性なら当たり前のように常々言われていることなのか、この男性に解るのだろうか?彼は11年間も男性社員として働いていたので、普段女性社員たちが男性の同僚や上司からどんなふうに接されていたかなど知らないだろう。だからそんな当たり前の批評を自分がトランスだから嫌がらせをされたのだと思い込んだだけかもしれない。

女性がセクハラに甘んじるべきだと言っているのではない。しかし女性は長年この程度のことは大したことではないと無視してきたし、そのくらいで鬱になる女性などいないだろう。万が一女性が「くん」と呼ばれた程度で鬱になったとしても、職場で暴言を受けたとして女性に労災が認められるなんてことは先ず考えられない。トランスジェンダーだから特別扱いされたのだとしか思えない。

この男性は記者の取材の際に、「性自認は自分でコントロールできるものではなく、職場の理解が不可欠だ」と言っているが、私はこの性自認が自分でコントロールできるものではないという理屈はナンセンスだと思っている。

もしそれが本当なら30年以上普通に男性として暮らせていたことがおかしいではないか?中年になるまで男として生きて来れたのに、何故突然女装しなければ生きていけなくなったのだ?そして周りに女性として認められないことが苦痛で鬱にまでなるとしたら、その根本的原因は彼の精神状態にあるのではないか?

それとここが一番大切な点なのだが、いったい職場は戸籍も変更していないどう見ても元の性にみえる自認のみ異性の社員にどれだけの配慮をする義務があるのかということだ。性別適合手術も受け戸籍上も異性となったというひとならば、法律上この人たちを元の性で扱うことは出来ないというのは同意できないが理解できる。しかしそんなことも全くしていないのに、自称異性だと言う人を職場はどう扱うべきなのだろうか?

この記事では書かれていないが、この男性がトイレはどちらを使っていたのかは不明。

私はだいたいトランスジェンダーを名乗る人たちのこれ見よがしの態度には非常に腹が立つ。例えば自分は女だと思っていたとしても、別に厚化粧をしてスカートをはいて出勤する必要はないはずだ。女性でも中性的な恰好をしている人はいくらも居る。なにもこれみよがしに髪を伸ばして人が不快になるような女装をする必要はないはずだ。ジェンダー移行が進むまでは中性的な目立たない恰好をしていればいいし、代名詞や敬称を間違われるくらい受け流しておけばいいのだ。

彼の上司が彼に嫌がらせ(を本当にしたかどうかは不明だが)を言ったのは、この女性自認男性のことあるごとに特別扱いされて当然という態度に腹が立ったからなのではないか?

だいたい彼らは周りの人間には理解を求めるくせに、周りの人間への迷惑に対する理解を全く示していないではないか?

今後、こういう理不尽なことを言い出す人が増えるのは目に見えている。職場は戸籍変更もしていない性自認だけの自称トランスジェンダーをどのように扱うのか、きちんとした基準を決めておかないとソギハラとやらの訴訟を起こされることになるだろう。

 ◆SOGIハラスメント=恋愛対象などの性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)を侮辱する行為。職場や学校で、こうした行為に悩まされてきた性的少数者らが2017年に定義した。許可なく他人の性自認や性的指向を公表する「アウティング」なども含まれる。


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トランスジェンダーへの寛容度が急激に減りつつあるアメリカ

トランスジェンダーアジェンダが一般市民の知らないうちにどんどん進められ、特に公立学校を中心に女子トイレに平然と男子が入れるようになったり、図書館でゲイポルノ本が性教育の教科書まがいに置かれるようになり、男子が女子競技で連勝したり、危険な幼児へのホルモン治療などが普通になるにつれ、私はこんな狂気がいつまでも続くはずがないと思っていた。感性の強い10代の子たちは騙せても、大の大人が性別が変えられるなど本気で信じるはずはないと思っていた。

本日読んだこの記事では、トランスジェンダーへの人々の支持が薄れていることと、その原因について言及している。Americans’ support for transgender rights has declined. Here’s why. Kelsy Burke , Emily Kazyak

先月行われた世論調査(Public Religion Research Institute’s American Values Survey )によるとアメリカ社会におけるLGBTQ人権について、特にトランスジェンダーに関しての支持が減っているということが解った。本日の選挙においても共和党はトランスジェンダリズムを標的にしており、リベラルラジオ局のNPRなどは共和党はこの問題を新しい文化戦争の前線としているなどと表現している。(the new front in the culture wars

驚くべきことに、2016年にノースカロライナ州でトイレは性自認に関係なく身体の性に合った方を使うことを義務付ける法律(バスルームビル・いわゆるトイレ法)を支持していたアメリカ人はなんとたったの36%。ところが、2022年多々の州で同様の法律が提案されると、その支持率は52%へと上がった。個人的にいわせれてもらうと52%でもまだまだ少なすぎるが、それでも良い傾向だ。

この率が特に上がっているのは白人福音書信者と共和党支持者の間だという。(いや、昨日読んだ記事ではトランスジェンダリズムに否定的なのは白人よりラテン系や黒人であり、一番肯定的なのは白人女性という結果がでていたはずだが?)

2016年の時点でトイレ法を支持していた白人福音書信者と共和党支持者はそれぞれ41%と44%だったが、2020年にはなんとその倍の86%と87%に膨れ上がった。民主党支持者の宗教者の間でもこれほどまでではないがトイレ法支持は増加をみせており、2016年はたった27%の支持だったのが、2022年には31%へと増えた。また無宗教者の間でも21%から34%まで増えている。

記事の著者らはトランスジェンダリズムが社会を分断する問題へと進んでおり、まさに「文化戦争」の原因となっていると言う。しかしなぜこんなことが起きているのだろうか?

著者らはネブラスカ州の調査を例にして考える。

938人の主に「シス」ジェンダーの住人を対象に郵便でおこなったこの調査では51%の人が自分の身体の性に合ったほうのトイレを使うべきだと答えた。これはPRRIの全国調査と同じように白人福音書信者がトランスジェンダーによる異性トイレ使用には批判てきであることがわかった。

体の性に合った方のトイレを使うべきと考えるひとはほぼ性別は生まれた時から変わることはないと信じる傾向があり、反対にトランスジェンダーに同情的な人々は性別は流動的であると信じる人が多いことがわかった。

トイレ法反対の回答者のひとりは「人は自分の自認する生き方をすべきである」と答え、トランスの人々が自認にあったほうのトイレを使えないのは彼らに対する「不敬」であり「差別」であり「不必要に屈辱をあたえることになる」と説明した。ある回答者は何故社会はジェンダーを基本に組織されているのかと疑問を投げかけた。そしてすべての性別に寛容な誰でもトイレを作り「平和的に排尿できる」べきであると答えた。

トイレ法支持の側は性別を変えられるということが不当であると考え、性別は選べない、社会が男子女子以外の性別を認めさせられるべきではない、そしてトランスジェンダリズムは社会に脅威を及ぼすものであり、特に女性と子供たちにとって危険な思想であり「プライバシーの侵害だ」と答えた。

PRRIの調査でも59%の成人アメリカ人が性は生まれた時から変わることはないと信じており、宗教や党派支持によってきっぱりと分かれている。2022年87%の白人福音書信者が性は男女二つしかないと答えており、伝統的白人プロテスタントでは68%、黒人プロテスタント76%、白人カトリック教徒70%、ラテン系カトリック51%、無宗教者の45%と差が出ている。また共和党支持者の間では80%が性別は男女のみと信じ、それが無所属では66%、民主党では36%であった。

著者らは、これらの結果は共和党が反トランスジェンダリズムの法律を積極的に押していることが原因と思われると書く。そうかなあ。単に共和党には常識的な人が多いというだけではないのか?

著者らは今トランスジェンダリズムに焦点が当てられているとはいえ、これは「シス」ジェンダーを含んだ社会全体の文化戦争の現れであると語る。トランスジェンダーだけでなく、人工中絶や性教育といったことにも波及していることでも解るように、今やアメリカは誰のアイデンティティ―を優先させるかで分断されているのだと結論付ける

Kelsy Burke is an associate professor of sociology at the University of Nebraska at Lincoln and 2022-2023 Public Fellow for the Public Religion Research Institute (PRRI).

Emily Kazyak is an associate professor of sociology and women’s and gender studies at the University of Nebraska at Lincoln.

アメリカ社会が分断されているのは確かだが、分断を引き起こしたのは右翼保守の方ではなく、ましてや共和党でもない。性別は男女の二つのみという考えは人間社会の初めから、いや、それをいうなら原始人の時代からはっきりしていた。そんなこと当たり前すぎで誰も意識したりしていなかった。それを性別は変えられる、性別は流動的などと言って、非常識な考えを社会に押し付け始めたのはLGBT界隈とトランスジェンダー活動家(TRA)の方である。

2016年当時の調査で多くの人はこの問題がいかに社会に悪影響を与えるかをしっかり認知していなかった。我々反TRAは早期から男性を女子専用施設に入れて良いことなどあるはずがないと主張していたが、多くの人たちは、まさか、そんなことを本気で進める人たちなどいないだろうくらいの気持ちだったと思う。

それに何度も繰り返しているのように、実際に性違和を病む人(GID)の数は人口の1%にも及ばない。だから我々が生きている間に真のGIDに遭遇する可能性はほぼゼロに近い。つまり自分の生活には全く影響がない話だと思ったのではないだろうか。

しかし実際に蓋を開けてみると、とんでもないことが起き始めた。女性を自認する性犯罪者が女子収容所に移され女子受刑者を強姦する、高校の女子トイレで女装した男子に女学生が襲われる、高校の陸上競技で男子生徒が優勝する、大学の水泳競技で男が女子の賞を次々にかっさらう、高校の更衣室にいる自称女の男子生徒について苦情を言ったバレーボールチームのコーチが解雇され、メンバーの一人は停学処分となる。

これは超リベラルな欧州諸国だけで起きているのではなく、自分らの住む地域の高校や近所のデパートの更衣室などで頻繁に起きるようになった事件なのである。こうなってくると、トランスジェンダリズムは自分とは関係ないと思っていた人々も、その存在を考え直さざる負えない。それが2022年の調査結果に反映しているのだと私は思う。

共和党がそのことに焦点を当て、民主党が文化戦争を射かけていると唱えるのは良い作戦だ。LGBTQ界隈とTRAはバンパイヤのように日の光に当てられることを嫌がる。彼等の弱点は、自分達の正体が日の目に晒されることにあるのだ。彼らの実態がどんどん暴露されるにつれて人々の支持はさらに減っていくだろう。そして近い将来、西洋社会は(日本も含め)この狂気から目覚めることになるだろう。

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中間選挙直前、有権者が求めているのは何か?

いよいよ明日(アメリカ時間11月8日)は中間選挙である。わが苺畑家はすでに郵便投票をしてしまったので、後は結果を待つばかりである。郵便投票は不正に悪用される可能性が高いので当日投票が薦められていたが、うちは病人ばかりなので、二時間も並んで投票とか無理である。

さて、今回の選挙で有権者が一番になっている問題とは何なのか。先ず有権者が望んでいないトランスジェンダーの問題から。

大半の有権者は未成年のトランス治療を望んでいない。

先日のデイリーワイヤーの記事によると、最近の世論調査で70%のアメリカ人が来る7日の中間選挙で、子供の性転換治療に反対する候補者に投票すると回答した。この世論調査(survey)によれば、無所属の80%、民主党の43%、共和党の97%が子供の性転換治療に反対する候補者に投票する医師を表明。

私はトランスジェンダーリズムは、特に子供のトランス問題は、右も左もないとずっと思っていた。自分の子どもが5歳でトランスを表明したとして、そのまま思春期抑制剤を子供に投与させるなど、いくら民主党支持者でも普通にあることとは思えなかったからだ。

しかし左翼は常にやりすぎるのだ。左翼は自分らの意見しか聞かない。自分と違う意見を持っている人たちが居るということすら認めない。そのせいで普通の市民がどんな意見を持っているか知らないのだ。民主党だろうが共和党だろうが、どの親が子供を永久的に難病患者にしてしまうことを望むと思うのだ? しかもそれに反対したら国が親権を奪って子供を実の親たちから取り上げようと言うのである。そんな政策に誰が賛成する?

ザ・タラファルガーグループが去る10月に1000人の有権者、民主党39.3%、共和党35.6%、無所属25.1%をを対象に行った世論調査によれば、未成年の思春期抑制剤や異性ホルモン及び性転換手術を支持する候補者に投票するかという質問に対して、多分投票すると答えた人は全体の僅か9.4%だった。比べて79.2%の無所属有権者が多分投票しないと答えている。驚くべきことに民主党有権者の42.7%が多分投票しないと答え、そのうちの26.2%は絶対に投票しないと答えていることだ。これが共和党になると圧倒的多数の96.5%が投票しないと答えている。

平均的アメリカ市民は民主党のWOKE・お目覚め主義を支持していない。人種別にすると、91.1%のラテン系、72.8%のアジア系、87%の黒人、そして67.1%、その他の人種の86.5%が子供の性転換治療を支持する候補者に投票しないと答えている。

白人の数が一番少ないのは、トランスキッズを持っていると主張する女性が白人エリート層に多い傾向と一致している。

こうして考えると民主党はかなりの計算違いをしていると思われる。先月未成年の性転換に関して最近トランス界隈の新星として一斉を風靡しているティックトッカ―のディラン・マルべーニーがバイデン大統領にインタビューした時、バイデンが青少年の性転換治療を支持していると答えたことは決して民主党のためにはならないだろう。

また別の世論調査によれば、75%のアメリカ有権者がトランスジェンダー運動は行き過ぎていると答えている。また別の調査では80%のアメリカ有権差yが未成年は大人になるまで治療を待つべきだと答えている。

中流層を見放した民主党

拙ブログでも何度もお話しているが、今のアメリカのインフレはただものではない。40年来のインフレというが、多々の状況を考慮にいれると1930年代の大恐慌以来のインフレだと言う人も居る。アメリカは今や、この極度のインフレ、不況の波、治安悪化、無制御の移民問題、などなど深刻な問題を多く抱えている。今回の選挙で共和党はこうした問題に正面から取り組んでいる。

だが民主党はどうだろうか?本日のニュースウィークにいかにして民主党が中流層の支持を失ったかというコラムがあったのでそこから読んでみよう。How the Democrats Lost the Middle Class | Opinion by Douglas Schoen & Rober Green, Democrat Pollster and Pierrepoint consulting & analytics principal. 

コラムによれば、民主党はアメリカ有権者の大半を占める中流層の考えからかなりかけ離れてしまっているという。最近行われたアメリカ市民が今回の選挙で基本と考える道徳観念についての世論調査によると、70%の有権者が今市民に差し迫った問題に焦点を当ててほしいと望んでいることが解った。

市民にとって差し迫った問題というのは、上記に挙げた経済や治安及び移民問題であることは言うまでもない。

アメリカの有権者三分の二はポピュリストの傾向がある。ポピュリストとは個人の自由を尊重しアメリカ本来の価値観である勤勉を尊重している。少数民族のなかにもこの傾向は強く、お目覚め主義は社会を後退させていると考えている。これらの人々は共和党が多いとはいえ、ポピュリストの四人に一人は2020年にバイデンに投票している。

ポピュリストのなかでも比較的リベラルな人は、妊娠人工中絶の権利についてはロウ対ウエードを支持しているとはいうものの、中絶はそれほど大きな問題ではないと考えている。それよりも問題なのはコントロールの効かなくなっている国境と、それによる治安悪化である。

ポピュリストは石油や天然ガスや原子力発電といったエネルギーの国内生産を支持している。そして多くがアメリカの中国産業依存を終わらせるべきであり、製造業をアメリカに戻すべきだと考えている。

有権者の三分の一は自分らを反ポピュリストと自認しており、いわゆる民主党の基盤となっている。人種はまちまちだが、どちらかというと大学卒の白人が多い。彼らは他のグループより少し若く女性が多い。共和党支持はほとんどいない。しかしこれらの人々は2022年の選挙で一番投票する可能性の低いグループだ。

反ポピュリストはアメリカが特筆した国であるという考えを敢然に拒絶している。彼らは環境規制やコロナ禍のロックダウンは機能したと信じ込んでいる。そしてたとえ国民の負担になったとしてもソーラーや風力といった再燃エネルギーに頼るべきだという考えをもっている。

反ポピュリストは国境問題が起きているとは信じておらず、違法移民の入国を阻止すべきであるという考えにも反対している。そして治安問題を国家が瀕している重要問題の第十位にランクするなど、ほとんど気にかけていない。

問題なのは民主党のキャンペーンはこの有権者の三分の一の反ポピュリストしか対象にしていない。有権者の69%が真のポピュリストかポピュリスト傾向のある人であるにも関わらずである。そして共和党はこの69%を対象に政治政策を立てているのだ。

コラムの著者らは、だからといって共和党が今回の選挙で20ポイントの差をつけて圧勝すると言っているのではないという。しかしながら、このデータは如何に民主党が国民の気持ちを理解していないかを物語っている。民主党はかつて中流層の労働階級の味方だったはず、と著者らは言う。しかし2016年、2020年と、大卒でない労働層は民主党寄り4ポイントも多く共和党に投票している。この傾向が続けば2022年は共和党の圧勝も夢ではない。


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異見を許さない左翼馬鹿フェミ、反トランス活動家の足をひっぱる

私はずっとトランスジェンダー活動家らのカルトぶりを批判してきたが、昨晩私は左外野から反TRAと自称するフェミニストたちから突然多数の批判攻撃を受けた。ことの起こりは、私が日本の特例法は悪法であり廃止すべきだと言ったことに発する。それに関し「お前はいつからTRA(トランスジェンダー活動家)になったのか」という質問がきた。どういう意味かと聞いたところ、TRAは特例法廃止を推進している、よって同じく特例法廃止を推進するカカシもTRAだと言う理屈であった。

私は凡そ二時間にわたって何人もの自称反TRAの女性達から袋叩きにあった。ネット上とはいえ、私はかなり狂暴なTRAからですらここまで凄まじい攻撃は受けたことがない。「GIDに暴言を浴びせかけた」「GIDの歴史を知らない」「読解力ない」「GIDの人権を侵害した」などという言われのない批判に始まって、ヘイトだ差別だとまるでTRA顔負けの罵倒の嵐だった。この間私は四つのツイッターアカウントをブロックしたが、後から後からモグラのように湧いてくる自称反TRAを叩きのめすのは難儀であった。

先日お話した滝本太郎弁護士ですらも、特例法廃止を訴えるのはトランスと対抗するにあたり逆効果であるとして、私の発言の訂正を求めて来た。私はTRAのいうことに一度でも屈したことはない。ましてや反TRAからのこのような理不尽な攻撃にも屈するつもりは毛頭ない。

私は常々反トランスジェンダー概念を持つ左翼過激派フェミニストたちと自分の間には深い溝があることは察知していた。反TRAに関しては私には彼女らと共感出来る点はいくつかあるが、元来右と左という別な方向から来たこともあり、色々な面で意見の違いが出てしまうのはしょうがいないことだろう。

しかし過激派フェミニストの中には、同じ目的を達成するために運動している人たちを、自分らが正しいと信じるやり方とは違う手段を使って運動しているというだけで、まるで宿敵のように扱って足を引っ張る人がいる。彼女らのこうした女性達への攻撃はTRAのやり方となんら変わりがない。

イギリスの反TRA活動家のポージー・パーカー(別名ケリー・ジェイ・キーン)女史も、同じく反TRAの左翼過激派フェミニストたちから理不尽な攻撃を受けているひとりである。

ポージーはいま、アメリカ各地を周り野外で女性集会を開いて演説をおこなっている。当然のことながら、極左翼暴力団のANTIFA連中が、女史の集会を妨害しようとして黒装束の覆面姿で現れている。彼女個人への脅迫がかなりひどかった場合は集会そのものがキャンセルされることもあった。それでも集まって演説を始めた女性達がANTIFA暴徒に襲われて怪我人が出るなどの事件が起きている。

こんなことが起きても怯まずに行動を続けるポージーの勇気をイギリスのフェミニストたちは称賛しているかというと全くそうではない。先日も、長年左翼フェミニストとして知られ、反TRAとしても活動しているジュリー・ビンデル(Julie Bindel)が、ポージーの集会でボディーガードとして雇われた男性がアメリカの右翼団体プラウドボーイズの一員だったとしてポージーを批判するツイートをした。ビンデルの支持者と思われる人たちが、ビンデルに同意するツイートを続けていた。

事実テキサスの集会でポージーが演説をしているときに、彼女の演説を邪魔しようとして表れた若い男が、強面(こわもて)のおっさんに追い払われるという一幕があった。この男性がポージーに雇われたボディーガードなのか、単に参加しただけのボランティアなのか、実際プラウドボーイズの一員なのかは全く不明。

これはポージーに限ったことではないが、女性達が女性空間を守る集会をしたり反TRA演説をしたりしようとすると必ずといっていいほど左翼ANTIFA・TRAの男どもから妨害を受ける。ポージーの集会でもすでに、パイを顔に投げられたり指を折られるなどの被害を受けた女性が出ている。そうした女性達を守ろうとボディーガードを買ってでるのは必ず右翼保守の男性だ。

トランス活動家たちはこれみよがしに、それみろ反トランスのフェミニストたちは右翼保守に身を売ったのだ、奴らは本物のフェミニストなんかじゃない。あんな奴らの味方をするのかと大騒ぎ。そして残念なことに、ビンデルのような左翼フェミ達までが右翼保守の庇護を受けたポージーや他のフェミニスト達を右翼に迎合しているだの家父長制度に加担しているなどと言って責めたてるのである。

しかしこれらの左翼フェミさんたちは目的を見失っている。いったいあなたがた反TRAフェミニストたちの目的は何なのだ?右翼だ左翼だに拘って女性達の間で仲たがいをすることなのか?TRAを打倒するより誰が反TRA運動で一番活躍するかという権力争いの方が大事なのか?

反TRAのフェミニスト達が、本気で女装男たちの暴虐からフェミニズム及び女性一般を守ろうと思っているのであれば、その戦いに参加するのが右翼保守男性だからと拒絶することは賢明なことなのか?

少なくともアメリカでは、トランスジェンダリズムに対抗して効果的な運動を進めているのは左翼フェミニスト達ではない。

私が何度となく紹介している右翼保守派白人男性のマット・ウォルシの「女性とはなんぞや」という映画は、劇場公開がされていないにもかかわらず大評判になり、TRA界隈に多大なる波紋を呼んでいる。ウォルシが呼びかけた未成年の性転換治療禁止は、アメリカ各地の州で実際に実現している。先日もフロリダの医療機関が未成年トランス治療を禁止したばかりだ。ウォルシの地元テネシーのバンダービル病院でも治療は廃止された。

こう言ってはなんだが、ポージーの集会に集まる女性達の数はせいぜい20人程度。ウォルシの講演に集まる老若男女の数は毎回大学の講堂や公民館会場を埋め尽くす千人近い数である。無論ウォルシはデイリーワイヤーという大規模なポッドキャスト機関の一員であるから、会場や十分な警備体制を取る予算がある。

アメリカで、女性自認男子のスポーツ参加や女子施設の使用など、禁止条例を出しているのはすべて右翼保守の共和党知事や地方議会である。それなのに何故反TRAの左翼フェミ達はいつまでも右翼保守を忌み嫌うのだ?

反TRA運動が左翼過激派フェミニストの間でちまちまやられている間は、そういう問題が起きてるようだというかすかな気配を醸し出しただけだった。実際にTRA撲滅のために効果を上げているのは右翼保守の男たちが乗り出してきてからだ。

いい加減に左翼の馬鹿フェミどもは目を覚ませ。この問題は左翼でも右翼でもない。文明社会の存続をかけた大問題なのである。


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