つまずくオバマ、突っ込むマケイン

日本でオリンピック観戦に熱中してしまって、アメリカの選挙運動をちっとも追っかけていなかったら、さっきカリフォルニアにいるミスター苺からメールが来ていて、民主党大統領候補のバラク・オバマがへまばかりやっている、それに比べて共和党候補のジョン・マケインの突っ込みはかなりいい線いっているとのこと。「この調子だとマケインが9点差くらいで勝てると思うよ。」とミスター苺。ほんとかね?
今週の水曜日、マケインがインタビュー中に「いくつ家を持っているか」という質問に対して即座に答えられなかったのを利用して、オバマ選挙事務所はマケインは金持ちすぎて自分の家が何軒あるかもしらない、庶民とはかけ離れた生活をしているという内容のテレビコマーシャルを作った。このコマーシャルの題名は「セブン」といい、アメリカ社会は景気の停滞に悩んでいるというのに、マケインは自分が何軒の家を持っているかも知らない、そしてマケインが7つ家を持っているとし、最後にホワイトハウスを見せて、この家だけはマケインに明け渡してはならないと締めくくっている。
確かにマケインは多くの不動産を所持してはいるが、実際に自分ですんでいる家は二軒で、他は人に貸したり投資の目的で持っていたりする。マケインのシンディ婦人の実家はビールの卸行をしていてかなりの金持ちなので、そういう関係もあってマケインには不動産だけでなくいろいろな財産があるわけだ。しかし実際に住んでいない家なら、何軒あるかすぐに答えられないとしてもそれほどおかしくはない。なぜなら投資としての不動産ならマケインはビジネスマネージャーに任せてあるはずだからだ。これはわれわれがもっている株券や積み立て講座の数を突然聞かれてもすぐには正確な数がいえないのと同じ理屈だ。
ま、それはいいとして、マケインは即座にこのオバマのコマーシャルに反撃。マケイン側はふたつのコマーシャルを作った。ひとつは大学を出たばかりのオバマが購入した100万ドルもする最初の家を世話したトニー・レズコという男とオバマの関係を追及する内容。トニー・レズコがオバマの家を世話するにあたり、かなり怪しげな行為をしたという噂だが、最近レズコは詐欺罪で有罪になったばかりだ。そっちが不動産で来るならこっちも不動産で反撃してやるぞってことだろう。もうひとつは、1970年代の国内テロリスト、ビル・アヤースとの関係を追及する内容。オバマはこの男の家を選挙の際に会議に使ったりして仲良くしていたことがあるからで、オバマはアヤースが元テロリストであったことを知っていながらかなり親しい間柄だった。オバマはこの男との関係をまだはっきりとは説明していない。
アメリカメディアはレズコのことにしろアヤースのことにしろあまり報道していないので、知らない有権者は多いはずだ。それをコマーシャルにするとはマケインも考えたものだ。ところで二週間くらい前になるが、テレビの政治評論番組で評論家の一人が、最近ユートゥーブでマケインのコマーシャルへのヒット数がオバマのそれよりも勝るようになったと語っていた。それというのもマケインのコマーシャルはユーモアたっぷりでかなりオバマをおちょくるものが多いからだ。私は最初、マケインのコマーシャルはオバマを救世主に仕立てたりセレブだと言ってみたりして、オバマの格好いい映像をいくつも見せていたので、これはかえって逆効果なのではないかと思ったのだが、どうやら私の考えは間違っていたようだ。有権者はマケインのユーモアのセンスを買っているらしい。となると、マケインのオバマへの突っ込みコマーシャルは案外有権者が知らなかったことを知るいい機会になるかもしれない。
ところでオバマは民主党の党大会に先駆けてジョー・バイデン上院議員を副大統領候補とすることを発表した。これもミスター苺によると、非常に間の悪い発表の仕方だったという。なぜかというと、オバマは副大統領をアメリカ時間の金曜日の夜遅く発表した。ニュースサイクルというのは金曜日の午後には終わってしまい、月曜日まではニュースも週末の休みになる。休みといっても週末にニュースがないという意味ではなく、一般に週末は人々はニュースに耳を傾けない。金曜日の午後に発表されたことは月曜日までにはすでに二日以上たっているのであまり取りざたされない。そこで政府は悪いニュースは金曜の夜に発表するといわれているくらいなのだ。オバマが誰を副大統領にするのかは色々と取りざたされていたことなので、選挙運動として最大効果を狙うなら金曜日の夜は最悪のタイミングといえる。これはかなりのヘマだといえる。


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やらせ、CG, 年齢偽装、中国の虚飾オリンピック

実家で読売新聞を読んでいたら、中国の「見栄え優先虚飾の五輪」という特集があった。中国側が認めたものだけでも、、

    開会式で放映した花火で描く「足跡」はCGによる合成映像。
    開会式の少女の歌が実は「口パク」。歌ったのは別の少女。
    開会式に登場した「56民族の子供たち」は大半が漢民族。
    空席の多い競技場に黄色いTシャツの中国人応援団を動員。

などがある。先週カリフォルニアの自宅で水泳や体操を観ていたときに、アメリカのNBCテレビのアナウンサーが中国観客の行儀の良さに感心していたので、私はどうもおかしいと思っていた。それで私はミスター苺に「中国のフーリガンは悪名たかいよ。行儀がいいなんて信じられない。」と話していたほどだ。後になってミスター苺が、観客はすべて中国共産党によって選らばえらた「サクラ」なんだと教えてくれて、やっぱりそうだったんだなと納得した。
美少女の歌が口パクだったという話は浜村淳さんのラジオで聞いて知っていたが、漢民族が異民族の衣装を着て登場という話は知らなかった。ま、民族衣装など私としてはどうでもいいが、口パクで実際に歌った少女は、それほど不細工ではないし、彼女が歌ったからといってそれほどイメージが崩れるとは思えないのだが、そこが表向きだけは完ぺき主義の中共ならではのことか。
さて、開会式のごまかしなどはっきり言ってどうでもいいことだが、中国のいんちきはその程度ではおさまらない。女子体操の中国人選手がやたらに幼くみえたことは誰でも気がついたことだ。大会前から選手のなかの少なくとも三人は16歳未満だという噂が立っていたが、体操競技の中継中、アメリカの解説者で元ルーマニアのコーチだったべラさん(Béla Károlyi)が、あの娘たちはどうみても14~5歳だと語っていた。その時は確たる証拠があったわけではないので、司会者がベラさんの単刀直入な言い方に困っていた。ベラさんは元共産圏でコーチをしていた身だし、パーフェクト10を連発したナディア・コマネチは当時15歳だったから (当時は年齢制限はなかった)、彼にしてみたら共産圏の国がどうやっていんちきをするかくらいすべてお見通しなのだろう。
今日のヤフーニュースによれば、ロンドンタイムスが中国選手が16歳未満だったことを証明する確たる証拠が出てきたと報道しているとある。先週アメリカでもミスター苺がそんな記事を読んだといっていたが、こちらではその報道はちょっと遅れたようだ。

タイムズなどによると、ニューヨークのコンピューター専門家が中国のインターネット検索エンジンを使って何選手が現在14歳であることを示す中国政府の公式記録にたどり着いたという。同紙は中国にとって「打ち勝つことのできない証拠」としている。

女子体操は小柄な体形が有利とされており、極端な低年齢化を防ぐため国際体操連盟は競技開催年の年末までに16歳に達しない選手の五輪参加を認めていない。タイムズ紙の報道が事実なら何選手はメダルを剥奪(はくだつ)される可能性がある。
 何選手ら中国の体操女子選手の年齢詐称疑惑は五輪開始前から米メディアを中心に報じられており、中国当局は旅券のコピーなどを示して何選手の生年月日は「1992年1月1日」と否定に躍起になっていた。
 しかし、国営新華社通信は昨年11月、何選手の年齢を13歳と表記した記事を掲載。同記事はAP通信がこれを指摘した直後にウェブサイトから消去されていた。

読売新聞も指摘しているが、五輪のために地元住民の家を取り壊し住民を追い出したり、出稼ぎ人に給料も払わずに国へ強制的に帰郷させたり、中国のやることはえげつない。
中国選手が失格になるかどうか、世界オリンピック協会が調査をするというのではあまり当てにはならない。だいたい中国みたいな国を開催国に選んだ張本人たちなのだから。
ところで上記の読売に載っていたもうひとつの記事も面白い。中国は中国武術を五輪の正式競技にすべく申し込んでいたが、それを却下されたにもかかわらず、五輪会場を使って五輪さながらの中国武術協議会を五輪開催中にはじめたというのである。参加を却下されたのに無理やりやってしまう五輪まがいの協議会。
さすが猿真似上手な中国だけある。


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マケインとの討論に負けたオバマの見苦しい言いがかり

更新が遅れて申し訳ありません。実は今日本の実家に里帰り中。お盆やオリンピック観戦など色々あって、まったくブログに専念できずご迷惑をおかけしております。
アメリカ時間の17日、米大統領民主党候補のバラク・オバマと共和党候補のジョン・マケインとがリック・ワレン牧師司会のフォーラムに参加した。この形式ではワレン牧師があらかじめ用意した同じ質問をオバマとマケインの双方にするというものだったのだが、どうやらこれにはマケインのほうに勝負があったようだ。それというのも、オバマ側の陣営はマケインの答えがあまりにもよくできていたので、マケイン側はあらかじめ質問を聞いていたのではないかと下種のかんぐりをしているからだ。
問題となったのはワレン牧師の「人権はいくつから保障されるのか」という質問で、オバマが「私の給料レベルより上の質問だ」と自分には答えられないとしたのに対し、マケインが「妊娠した時」と躊躇せずに答えたことで、オバマ側はこの質問は明らかにマケインに有利なものだったと主張している。

「もちろんマケインはよく見えましたよ。」と匿名のオバマスタッフ。「彼は自分の答えがどう受け止められるか心配する必要がないんですから。自分の話す要点を思い出す必要もなかったし、考える必要もないし、考えるふりすらする必要さえなかったんですから。 信じていることをおもいつくまま言えばよかったんです。明らかにこの試合ではマケインのほうに不公平な有利性がありますよ。そのことはアメリカ市民にもよくわかってもらえると思いますが、、、例によってこれが共和党の汚いやり方ですよ。」

マケインの「不公平な有利性」とは、マケインのほうが政治家として経験豊かであり、普段からそういう質問についてきちんと考えをまとめているということだけだ。自分の考えがないので専門家に台本を書いてもらわなければ何も言えない経験不足で政治的才能ゼロのオバマでは力が及ばないのは当たり前だ。
しかし、NBCテレビのアンドレア・ミッチェル司会者はオバマ側の言いがかりをそのままあたかも事実でもあるかのように、ミートザプレスという政治評論番組で繰り返した。このことで、さすがにマケイン側からクレームがついた
マケイン選挙事務所はオバマ陣営の、マケインがあらかじめ質問の内容を知っていたという言いがかりには何の根拠もないとし、にもかかわらずジャーナリストであるはずのミッチェルが裏も取らずにあたかもオバマの言いがかりが真実であるかのようにテレビ放送で発言したことは遺憾であるとして抗議文を送った。
マケイン側の抗議は当たり前だが、はっきり言って、討論会やフォーラムで失敗する度にそれを司会者や討論相手のせいにして、自分の失言の言い訳ばかりしているオバマの見苦しい態度こそ有権者はいずれうんざりするのではないだろうか。プロの政治家とは思えないほどナイーブな反応に私は呆れているのだが、マケインもこのオバマのこの子供じみた言い訳を指摘して選挙運動にがんばってもらいたい。


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ロシアのグルジア侵略拡大する

The English version of this post can be read here.
世界中がオリンピックで浮かれている隙に、なんとロシアはお隣のグルジアに侵略。(英語ではグルジアはアメリカの州と同じでジョージアと発音する。)これについてミスター苺がBig Lizardsで詳細に渡って書いているのでそこから紹介しよう。

Georgia On My Mind(ジョージアを想う)

ミスター苺著
俺はソ連帝国の時代からロシアにはあまりいい感情を持っていない。ソビエト連盟が崩壊した時も高見の見物っていう姿勢をとっていた。もちろんあの酔っぱらいのヤルツェン親父が戦車の上に乗っかってソ連共産党をくずした時は歓声を上げたし、当初はプーチンに騙されさえした。もっともブッシュ大統領も最初は奴に騙されたようだが。しかしここ最近プーチンのロシア像はイラン/アルカエダ枢軸の次に中国や北朝鮮よりも、アメリカにとって暗雲の陰を落としつつある。
そいうい背景があるので、俺はロシアが民主主義で自由市場を持つ国家であるグルジアに攻め入ったと聴いた時、すぐに悪いのはロシアだと判断した。即座にジョン・マケインが天使の方に味方したことでも安心した。社会主義のバラク・オバマがどっちの味方をするもはっきりしないままロシアのほうに傾いてるというのも全く不思議じゃない。このロシアの野心丸出しの侵略に対して、アメリカが何も出来そうもないことに、多くのアメリカ人が苛立ちを感じるているのも俺にはよく理解できる。
だが大事なのは誰が戦争を最初に始めたかということじゃない。俺たちはロシアが昔みたいに誰からも阻止されずに近隣諸国に侵略するなんて行為を放っておくわけにはいかないのだ。プーチンが今後こんな野心を持たないように奴には手痛く高い代償を払ってもらう必要がある。俺たちはまた、双方引き分けで終わらして単に侵略前の状態に戻すなんて結果も許してはならない。イスラエルとヘズボラ戦の時でも学んだように引き分けなら結果的に攻め入った方が勝ちだ。ロシアは何の損もしない。
KGB の支配
グルジアがロシア親派で独立を求める南オセチアにちょっかいを出したタイミングはどうも変だ。ロシアは2003年の無血のバラ革命の時からグルジアを取り戻そうとオセチアを焚き付けてきた。(この革命で腐敗した元ソビエト外相だったEduard Shevardnadzeが失脚し、現在のMikheil Saakashvili大統領が権力を握った。)
ロシアの反応は大げさ過ぎるだけでなく、気違い沙汰とすら言える。それに突発的に起きた反応にしては敏速で効果的過ぎる。ということは理屈から言って ロシアはグルジア侵略をずっと前から企てていたと考えることが出来る。 世界の目がオリンピックに集中している隙を狙ってちょっとしたグルジアの行動を口実に攻め入る機会を狙っていたのだ。
ロシア軍は南オセチアとアブハジアに居座っている。ここは1994年にグルジアの一部となったロシア民族の自治区である。ロシアはずっとこの地区の独立派をそそのかしてグルジア市民に対してテロ行為をやらせて来た。チェッチェンがロシアを攻撃しているように、ロシアはグルジアに攻撃を射かけていたのである。そう考えると「誰が最初に挑発したのか」という質問の答えはブラジミール・プーチン、ロシア帝王にあることは誰が観ても明白なはずである。
ロシアの現大統領がドミトリ・メドベージェフだってことくらい俺は知っている。だがプーチンが大統領を引退して首相となったのは、大統領任期切れをごまかす手段であり、メドベージェフ大統領はプーチンの手先にすぎない。
プーチンは未だにKGBの哲学で生きている。プーチンはかつてのソビエト連盟でKGBの輝ける新星だったのだから当たり前だ。奴らのやり方は常に:

  1. 狙いをつけた自治区で、もめ事を挑発する。
  2. そこで外地のロシア民族を救うという口実で軍隊を送り込み選挙を乗っ取る。
  3. 自分たちの手先を占領地の指導者におっ立てて誰か文句あっかと居直る。

だから俺にはロシアがグルジアを再支配しようとしていることは明白だ。 嫌がるグルジアを無理矢理ロシアの衛星国にし、奴隷国家として傀儡政権を通じて支配するつもりなのだ。(いや、直接ロシアの支配下におくつもりなのかもしれない。)
プーチンは戦火を南オセチアとアブハジアの国境をずっと超えた地域まで拡大し、グルジアの首都Tbilisiまで空爆している。成功しなかったとはいえ、ロシアは先週末Baku-Tbilisi-Ceyhan 石油パイプラインを破壊しようとした。このパイプラインはアブハジアからグルジアを通じてトルコまで続き、地中海のカスピアン現油田とつながっている。つまり国際石油市場へのパイプラインである。
ロシアの企みは明白だが、それでは我々はどうすべきなのか。実をいうと俺にはちょっとした考えがある。元ソビエト連盟の奴隷国で、現在は民主主義国家として生まれ変わった北ヨーロッパ諸国のNATO(北大西洋同盟)参加を促進することだ。(グルジアは戦争が終わるまではメンバーには加えられない。今メンバーにすると我々は同盟国としてすぐさ援軍を送らなければならなくなる。)現在のNATO諸国がそれを否決するなら、アメリカも強気で出て、今後 NATOの議案はことごとく否決すると脅迫くらいしてもいい。
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ミスター苺は特にNATO参加を促進すべき国としてウクレーン、モルドバ、アジャバジャーン、そしてアルメニアを上げている。何故これらの国々が重要なのかという詳細については次回に述べることにする。


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中国、米国人観光客夫婦が襲われる、夫死亡妻重体、中国人犯人は自殺

五輪開会たった一日目で、もうアメリカ人が殺されるという事件があった。
五輪観戦の米国人男性を観光名所で殺害、犯人の中国人自殺

北京——中国の国営・新華社通信は9日、五輪観戦で北京を訪れていた米国人男性が現地時間の同日正午ごろ、市内の観光名所、鼓楼で中国人の男に襲われ、死亡したと伝えた。連れの米国人女性とツアーガイドの中国人女性も負傷した。

北京五輪開催で市内が厳戒態勢にある中、有名な観光スポットで白昼起きる殺人事件となった。北京には現在、五輪開会式に参加したブッシュ米大統領が滞在中だが、ホワイトハウスによると事件は大統領に知らされたという。
AP通信によると、米国オリンピック委員会は声明を発表し、被害者の米国人男女は五輪参加のバレーボール・チームのコーチの家族だと述べた。
犯行の動機、経緯や武器などは不明。刃物のようなものを保持していたとの情報がある。
犯人は犯行後、鼓楼から飛び降りて自殺した。新華社によると、この男は47歳で、杭州出身。

ミネソタの新聞、スタートリビューンによると、襲われたのはミネソタ州のバックマンズガーデンセンターズ会社の会長で、トッド・バックマンさん62歳とその奥さんのバーバラさん(同じく62歳)。
バーバラさんの怪我は重傷で瀕死の状態だという。一緒にいた中国人ガイドの女性も怪我を負ったらしい。
スタートリビューンは犯人は精神的に錯乱した男と書いているが、ただの精神異常者なのかアメリカ人を狙ったテロリストなのか解らない。ただ、観光中だったといはいっても、この夫婦はアメリカチームのコーチの家族。ただの観光客ではない。ということは中国側からはガイドだけでなく公式にしろ非公式にしろガードマン兼秘密警察官が同行していたはずである。先日天安門で抗議運動をしようとして拘束されたアメリカ人も話していた通り、北京の町は一般人の格好をした警察官や軍人がうようよしているという。だとしたら、変な男が刃物を振り回してアメリカ人の重要なお客さんに近づいて来たら、何かしてもいいようなものではないか?男が旦那さんの方を刺し、奥さんを刺し、ガイドを刺している間に、周りの秘密警察官は何をしていたのだ?
抗議をしようとする人間が現れると、あっと言う間に取り囲んで連行する段取りが出来ている秘密警察官たちが、三人の人間に襲いかかっている男一人を取り押さえることが出来ないということがあるだろうか?
そう考えると、この事件が単なる通り魔の仕業だと簡単に片付けるべきではない。秘密警察がテロリストの味方をするとは考えられないが、アメリカ人など殺されても知るものかと無視した可能性はある。中国のことなので、事件の究明はかなり難しいことになるだろう。


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いよいよオリンピック開会、激化する外国人への言論規制

六日の日、朝のローラ・イングラムのラジオ番組を聞いていたら、天安門近くで中国の警察に一時的に拘束されたというキリスト教運動家の女性の電話インタビューがあった。このことについては朝日新聞も報道している。

 【北京=峯村健司】中国国営新華社通信によると、北京市中心部の天安門広場に近い国家博物館の近くで6日午後、3人の米国人が、中国で一人っ子政策を巡って一部の地方政府が強制堕胎をしているとされる問題について抗議活動をした。

 一方、同通信は6日夜、北京市内で同日、「チベットに自由を」などの横断幕を掲げてチベットの独立を訴えた、米国人2人と英国人2人の計4人に警察当局が国外退去を命じたと伝えた。
 6日、外国人による抗議活動が相次いだことについて、北京五輪組織委員会の孫偉徳・新聞宣伝部副部長は「五輪は世界的なスポーツの祭典でいかなる政治化の動きに対しても反対する」と述べた。

このアメリカ女性の話によると、オリンピック会場近くには一般人を装った警察官があちこちで見張りをしており、彼女たちが天安門で花を添えようとした途端に数人の男女に取り囲まれたという。そして彼女達が大きな声で強制堕胎反対などの声を上げると、さらにその周りをもっと多くの人たちが取り囲み口々に大声を出して活動家たちの姿も声も外から聞こえなくした。そして制服姿の警察官ではなく、私服の秘密警察官に5人は強制的に撤去され、建物のなかに連行されて椅子に投げるように座らされ尋問を受けたという。
活動家の女性は「私はつくづくアメリカ人で良かったと思いました。私が中国人だったら今頃は刑務所に拘留されこの先何年出てこれるかわかったものではありません。」と語っていた。
現にチャイナエイドによれば、先月からの手入れで210人の中国人キリスト教司教や信者たちが逮捕されているという。三月には8人のアメリカ人を含む10人のキリスト教外国人指導者が強制送還されている。
それを考えると彼らが一時間後には解放されたというのは、この程度で済んだなら幸運と言わざる負えない。
ウィグルで取材をしていた日本人記者たちのほうは、そう幸運ではなかったようである。

<テレビウォッチ>一昨日(8月4日)中国・新彊ウイグル自治区で武装警察が襲われて16人が死亡した現場を取材中だった日本テレビの記者らが、武装警察に連行され、拘束を受けて暴力を振るわれた事件の詳報を番組が伝えた。

日テレの記者は、やはり取材していた香港の取材班が連行される様子を自分のカメラで撮影し始めたところ、ともに連行され、武装警察の施設内で 2時間にわたって拘束され、顔面を殴られるなどした。記者は正規の手続きを踏んで取材し、拘束中も「日本の記者だ」と繰り返したにも拘わらず、武装警察側は聞き入れずに手荒な行為に及んだようだ。ようやく解放されて自宅に帰った記者のシャツには泥がこびりつき、殴られた顎の部分は黒くなっている。「若干、痛いです」と弱々しく話す。
武装警察について、中嶋嶺雄(国際教養大学学長)は、「警察と軍隊の中間的組織。中国人に対しては、ちょっとでも疑いがあると一方的に検挙したり、暴力を振るっている。外国の記者に暴行を加えるようなことは今までなかった。異例中の異例」と解説する。
事件翌日、地元政府関係者が記者を訪れて「大変申し訳ないことをした」と謝罪。
武装警察担当者は、「多くの犠牲者を出し感情が高ぶっていた隊員たちが記者の身分を分からずに行った行為であり、心情を理解してほしい」と述べたらしい。
江田けんじ(衆院議員)は、「日本なら特別公務員暴行陵虐罪が成立する。福田首相がオリンピックの開会式に出席して胡錦濤主席と会談するのだから、そこで厳重抗議と再発防止、報道の自由の確保を、首脳レベルでしっかり言う必要がある」と語る。それ以前にまず謝罪のことばがあるのが普通だと思うが……。

ま、何があっても謝らない中国政府が今回に限ってはすぐに謝ったというのは進歩といえば言えるが、オリンピック直前に国際問題を起こしたくないというのが本音だろう。
また、中国でオリンピック中にダルフールについて講演をする予定だった元オリンピック金メダリストのアメリカ人選手ジョーイ・チークさんが、中国訪問どたんばで入国ビザを取り消されるという出来事があった。これも朝のラジオでインタビューを聴いたのだが、彼の所属するグループには世界中のオリンピック選手も参加しているが、他の国の選手らはこの運動に参加するならオリンピック出場権利を剥奪すると脅されたという。
チーク選手の話だと、最初に中国でオリンピックが開かれるという話が出た時から、どうしてあんな人権迫害がひどい国でオリンピックなどするのかという批判の声がオリンピック選手の間でも上がったのだと言う。それについて世界オリンピック協会(IOC)に抗議したところ、IOCは中国でオリンピックを開くことで中国の人権問題の焦点を当てることが出来る。中国に対してオリンピック選手らの意見も多いに奨励すると語ったという。ところがオリンピックが近づくにつれ、選手らの抗議の声は厳しく制限されてきた。そして今回ついにビザの取り消しとなったわけだ。
これについてIOCは、判断は中国政府に任せるといって取りつく島もない。だいたいIOCが共産主義国に楯をつく根性があるなどと信じるほうが最初からお人好しだとしか言いようが無い。中国にオリンピク開催など許して、中国が人権問題を見直すなんてことがあるはずないではないか。IOCはもともとそんなことには興味がないのだ。どうせ中国から巨額の賄賂でももらっての決断だったのだろう。アホクサ!
今回のオリンピックでは、中国は汚い手段を使ってアメリカや日本選手からメダルを奪いとろうとするだろう。訳のわからない失格があったり、あからさまに不公平な審判があることは充分に覚悟すべきだ。
それでもアメリカはメダル数は世界一となることは先ず間違いないと思う。同じことが日本には言えないのは残念だが、中国の陰謀に負けずに日本選手にも是非がんばって頂きたい。
カカシは来週から四週間ほど日本へ出張なので、日本選手の活躍を日本で観ることが出来そうだ。


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楽して痩せる方法を説いたら嫌われた!

実は、ミスター苺とカカシはこの一年近く、かなり大幅な体重減量作戦に取り組んでいる。すでにかなり効果を上げているのだが、減量の話を興味のない人の前で長々とすると顰蹙を買うし、相手にも退屈で嫌な思いをさせるので、「カカシさん、最近痩せたわね、なにやってるの?」とでも直接聞かれない限りはこちらからこの話題は極力避けて来た。
それでも自分がやっていることは誰かと話たいと思うのが人情。そこで同じように減量と痩せた後の体重維持に努力している人たちが集まる某掲示板に日頃の経過を記入して、同じ気持ちの人々と話をしたいと考えた。それをここ二ヶ月ほどしていたのだが、本日掲示板のトピ主から「レッドカード」をもらい、退場を命令された。
その原因は、カカシは不覚にも、楽して痩せる方法をポロっと漏らしてしまったことにある。
減量には我慢しかないという誤解
妙薬口に苦しというが、我々は苦労しないで楽に目的を達成することに猜疑心を持っている。何かを得るためには何かを犠牲にしなければならなと考えるのは世界共通。だが自分たちの払う犠牲が必ずしも目的達成には関係がないという場合も少なくない。息子の大学受験のために母親がお茶断ちするなんてのがその典型だ。母親がお茶を諦めることと、息子の成績とどういう関係があるのかと問うのは野暮というもの。なぜならこれは理屈ではなく信心だからだ。
しかし、ダイエットの世界でも一緒に苦労している仲間とサポートグループを作ったりしているひとたちの間では、実際に痩せてそれを維持する効果的なやり方を見つけるという当初の目的が、いつの間にか我慢に我慢を重ねた禁欲ダイエットだけが正統だという信仰になってしまっている人が多い。大好きなカレーも丼物もトンカツもがまんして必死で痩せようとしているのに、楽して痩せられるなん説く人間が現れたら、それは邪道だ!非信心者め!と脊髄反射で拒絶したくなるようである。
だが私はその拒絶心がここまで暴力的な感情をもたらすとは想像していなかった。
信仰となった禁欲ダイエット
このブログはダイエットブログではないので、ミスター苺とカカシがどうやって大幅減量に成功したかという話を長々と詳細にわたってするつもりは毛頭ない。だが我々はお腹が空いた時に好きなものをお腹が張るまで食べてもいいという方法で大幅減量に成功した。我慢に我慢を重ねる禁欲ダイエットなどしなくても痩せる方法はあるのである。いや、むしろ、私はあえて、いわゆる禁欲ダイエットは先ず成功しないと断言しておこう。
これは私自身が過去10年以上も何度もやっては失敗した体験と、周りでダイエットをやっては10キロ〜20キロと一時的に痩せても数ヶ月するとまたもとに戻って前以上に太ってしまったなんてひとをいくらでも観て出した結論である。事実禁欲ダイエットは90%以上失敗するという統計が出ている。
そんな成功率の少ないやり方をいつまでも同じように繰り返していても意味がない。本当に痩せてそれを維持したいなら、これまでとは違ったやり方を見いだす必要がある。減量やダイエットに関する考え方を根本的に見直す必要があるのだ。
だが、禁欲ダイエット信仰の信者達はそんな話に聞く耳は持たない。楽して痩せる方法があるなどと言っただけで、そんな邪道は説くな、不愉快だ!と言われてしまう。実際にこの人たちは本当に痩せたいのだろうか?本当に一旦痩せたらその体重を一生維持していきたいと考えているのだろうか?それとも単に「ダイエットしてるのよ〜」と言っている仲間達と自分がどれだけ食事制限しているかという自慢話を交わしたいだけなのだろうか?
前記の掲示板のトピ主は、私の「痩せてそれを維持していくという目的が達成できるなら、どんなやり方をしてもいいではないか」という質問に対して、それは断固違うと断言した。「痩せるだけが目的なのではない、生活習慣を変えることこそが目的なのだ」と。
だが、彼女のいう新しい生活習慣とはどんなものなのだろうか?明らかに今後太らないような健康的な生き方をするという意味ではない。何故ならそれが目的であるなら、一生続けられる楽な食事方法に興味を示すはずで、カカシの少量の食事で我慢できる方法を頭から拒絶する必要はないからである。
これはもうダイエットの問題からは離れてしまっている。私のしたことは彼女の教祖としての威厳に傷をつけることだったのだ。この掲示板トピでは彼女の教祖として権限が絶対であり、彼女の教えこそが正統なのだ。それ以外の方法を唱えることは不信心な行為であり、断固阻害されなければならないのである。
目的達成よりも過程が大事
ハインラインの小説に、理想の星を求めて巨大な宇宙船に乗って出かけた地球人たちが、何世代も宇宙を彷徨ううちに、目的の理想の星をみつけることよりも、宇宙船の中での勢力争いのほうが大事になってしまうという話があった。彼らにとっては目的の星にたどり付かないほうが都合がいいのである。そのうち人々は宇宙船以外の世界が存在することすら忘れてしまうという話だった。
こういう傾向はダイエットのみに限らない。環境保全にしろ、エイズ予防/治療法にしろ、生存危機の動物種を守る運動にしても、最終的な目的を達成することに意味があるのではなく、その目的のために作られた組織の権力を維持していくことのほうが大事になっていくという例はいくらでもある。
例えば環境保全だが、グリーンピースのような過激団体が本当に環境汚染を撲滅したいと考えるなら原子力発電を促進すべきである。だが、彼らは原発には真っ向から反対している。エイズにしてもそうだ。本気でエイズを予防したいなら、一番感染度の高いとされる特定の行為の危険性を説くのが先決。だがコンドーム使用以外の方法をとなえたりすれば、同性愛恐怖症と責め立てられかねない。動物保護法が行き過ぎて生存危機の動物が発見されると土地を奪われかねないので、地主達はそういう動物を発見し次第抹殺するという行為に追い込まれ、かえってその動物は絶滅の危機に瀕するなどという皮肉な実情もある。
自分たちが長年投資してきた時間と努力がすべて無駄な行為だったと指摘されて気分がいい人がいるはずはない。だが、無駄な行為をそのまま信じてこれからもずっと続けて行くほうがよっぽども不幸なことだと思う。
我々は或る行為が目的達成のために最適な行為なのか見直していく必要があるのではないだろうか。市民運動などでも、それが単に運動家の権力獲得のための手段になっていないか見極める必要があるのではないだろうか。
カカシの単なるダイエット論が思わぬ波紋を呼んでしまった最近である。


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アメリカ、どうして国内原油発掘では駄目なのか? ペロシ議長のしどろもどろな言い訳

この間、アメリカの下院議会でナンシー・ペロシ議長が、アメリカ国内の原油発掘を解禁するかどうかという法案を賛成/反対という投票をしようという共和党の提案を拒否して決議見送りで夏休みに入った件に関し、日曜日の朝番組でABCテレビのジョージ・ステパノポリス司会がペロシ議長に、「どうして投票を行わないのですか?」と質問した。その時のペロシ議長の綱渡り的な答えにならない答えは面白い。

ペロシ議長: 私たち(民主党)が提案した解決策はガソリンスタンドで結果が出る策なのです。大統領に貯蓄ガソリンを解放してくださいと、、、、一億ガロン(3.78億リットル)の石油があるんですから。

司会者:でも共和党だけでなく、民主党の議員からも投票すべきだという声が上がっています。
ペロシ議長: これは(ブッシュ政権の)失敗したエネルギー政策から話をそらせようという企てなのです。
司会者: そういう議論をするならどうして投票をしないんですか?
ペロシ議長: なぜならこの対策がガソリンの値段を下げるという偽りがすでに述べられているからです。これはからくりです、解決策ではありません。
司会者: それが正しいなら、討論をして投票したらいいんじゃないですか?
ペロシ議長: これに関する討論なら毎日しています。しかし私たち守るべく惑星があるのです。
司会者: それはどういう意味ですか?他の議案と一緒なら許可するが単にこの法案だけの賛否を決める投票は許可しないということですか?
ペロシ議長: 私は、、そういうつもりは、、、私たちは原油を解放しろと提案しました。それには両党から強い支持があります、、
(略)
司会者: 彼ら(共和党)が国内発掘というアイディアがあるなら、なぜそれについて賛否を決める投票をさせないんですか?
ペロシ: それは、それは、、、彼らは想像力を使ってどうすれば投票を獲得できるか考えなければなりません。私がしようとしていることは、、、私たちは真剣な政策があり、、、
(略)
司会者: ちょっと明確にさせてください。議長は他の法案と一緒であれば、国内石油発掘を含んだ案でも投票を許可するつもりがあるという意味ですか?
ペロシ: いえ、私はそういうことは、、、(訳の解らない言い訳が続く、、、)
司会者: つまり、どんな場合でも投票させないということですね。私に解らないのは、そんなに大事な政策ならどうして投票を許可しないのかということなんです。

なぜかと言えば、投票を許可すれば案が通ってしまうとペロシ議長は充分に承知しているからだ。需要が多すぎて供給が足りないなら供給を増やすのが解決策だということくらい子供でも解る。非常時用にためてある貯蓄原油を今市場に流したりしたら、一時しのぎにはなっても問題の根本的な解決になどならない。第一平常時に非常時用の蓄えを使ってしまったら、本当の非常時にはどうするんだという質問にオバマを始め民主党は答えていない。
有権者の大多数が国内原油発掘を望んでいる。次の選挙で勝ちたい国会議員たちはそんなことは百も承知だ。だから今の段階でこの決議案が投票にかけられたら共和党だけでなく民主党からも賛成票が多くでて、決議案は通りに決まっている。ペロシ議長はそれを許す訳にはいかないのだ。
何故、民主党は国民の生活が楽になる原油の発掘を許可しないのか。その理由は社会主義の民主党にとって国民の生活は苦しい方が都合がいいからだ。国民が共和党の現政権下で苦労すればするほど民主党は自分たちの支持率が上がると信じている。そうやって民主党が今度の選挙でさらに議席を稼ぎ大統領も民主党から出るとなった暁には、生活に苦しむ国民に民主党の政府こそが国民を救えるのだと主張して税金を大幅に上げようという魂胆だ。
しかしペロし議員が甘く見ているのは有権者の判断力だ。アメリカの有権者も馬鹿ではない。アメリカ人の生活を楽にするために石油の自給力を高めようとする共和党とそれを阻止する民主党。どちらが国民の味方なのか、結構アメリカの有権者は正しい判断を下す可能性は高い。
共和党議員たちは、今後もこの線で、何故民主党が議会や政権を握ってはいいけないのか、はっきりアピールして行っていただきたい。


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マケインの挑戦から逃げ腰のオバマ

先週はマケインによる激しい攻撃を防ぐのに必死なオバマは、マケインのネガチブな選挙運動は本質的に大事な問題から話題をそらすのが目的だと何度も批難した。
ところが、実際にマケインが、では大事な問題を討論しようではないかと10回に渡る討論会を提案したが、オバマは完全に逃げでマケインの提案を頭から拒絶した。
討論会のやり方や回数については、共和党と民主党の候補がほぼ確定した今年の6月上旬から二人の間で意見が割れていた
民主党候補のオバマはリベラルなメディアの放送局から選ばれた司会者によってそれぞれの候補者が時間制限内で答え、それに対して相手側が反論をするという形を好んだ。これで選挙委員会が決めている三回に二回足して合計五回の討論会を開こうと提案した。
オバマがこういう形式を好む理由は明白だ。オバマは台本どおり舞台稽古をした討論会ならイメージ通りに演技をすることが出来る。主流メディアの司会者なら民主党のオバマに対して厳しい質問をしたりはしない。格好つけて意味のない返答をしても突っ込まれる心配は全くない。
それに対してマケインは、プロの司会者ではなく一般の有権者が自由に質問できる有権者参加のタウンホールミーティングの形で選挙委員会が取り決めている正式な三回の討論会の他に十回足そうと提案した。台本がなく、リハーサルをしていないと頓珍漢な答えをしてしまうオバマに対し、台本なしのぶっつけ本番が得意なマケインとの対照的な好みがここで現れたわけだ。
昨日、オバマはマケインが提案した十回に渡るリンカーン対ダグラス風のタウンホールミーティング形式討論会を正式に拒否した。これでオバマは選挙委員会が決めている最低限の司会者を立てた三回の討論に合意するのみとなった。
おもしろいのは、この討論会を巡って、これまで結構オバマ支持だった主流メディアの報道の仕方が多少変わって来たことである。普通討論会を求めるのは不利な立場にある候補者と相場は決まっている。勝っている人間がわざわざ討論などする必要はないからだ。だから支持率で勝っている方が度重なる討論会など無駄だと判断したとしても決しておかしくはない。にもかかわらず、主流メディアはオバマの態度に批判的である。
昨日のAP記事の見出しは『オバマ、マケインの討論挑戦に退く』(Obama backs away from McCain’s debate challenge)とあり、オバマの逃げ腰を強調。
先月30日のサンフランシスコクロニクルの社説では、オバマを正式にマケインが提案した討論に招待すると招待宣言が載った。サンフランシスコクロニクルと言えばリベラルで有名。マケインにはおよそ友好的とはいえない。その新聞社主催の討論会をオバマが拒絶すれば、リベラル市民の間ですらオバマはマケインから逃げていると思われること必定。
オバマの報道官は単に三回の討論に同意したのであって、他の討論会に参加しないと決めた訳ではないと説明している。
主流メディアは先月のオバマの海外遠征キャンペーンの間、オバマが記者会見も開かず記者からの質問に全く答えなかった態度にかなり腹を立てているようだ。帰国してからもオバマは大統領候補としては驚くほど少ない回数しか記者達の質問に答えていない。海外遠征の後も期待されたほどオバマの支持率は上がっていないし、かえってマケインとの差が縮まってしまった。
オバマはこのまま難しい質問を避けて選挙に及びたいのかもしれないが、今はまだ8月が始まったばかりである。マケインとの差が20ポイントくらいあるというならともかく、今の差はせいぜい3点。11月までには3ヶ月以上あるのだ。主流メディアが協力してくれたとしてもこのまま三ヶ月も逃げ切るのは不可能。しかもオバマは味方であるメディアを怒らせる行為を続けている。メディアがいつまでも甘い顔をしてくれると思うならオバマはまだまだケツが青い。
オバマはいずれマケインの挑戦に受けて立たなければならない。一国の大統領になろうという人間が、ライバル候補との討論もまともに出来ないと思われては選挙で勝つなどかなり難しいのではいだろうか?


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マケインのオバマ攻撃激化、差別被害者意識が裏目に出たオバマ

ここ数日、マケイン側の激化するオバマ攻撃に、オバマはかなりビビっている様子だ。
先日オバマは選挙演説の中で、マケインについてこんなことを語った。

経済難に面している選挙戦州において、オバマは水曜日、ブッシュ大統領とマケインは脅し作戦でホワイトハウスの実権を保持しようとするだろうと語った。 なぜなら彼らには他に有権者に与えるものがないからだと。

「ブッシュとマケインが我々が直面する問題の答えを盛っているとは考えていません。ですから彼らは皆さんに私を怖がらせようとするでしょう。」とオバマ。「いいですか、彼は愛国精神が足りないとか、名前が変だとか、ドル紙幣に載ってる歴代の大統領たちには似ていないとか言って。」

明らかにアフリカ系の名字を持ち、歴代の白人の大統領とは顔が似ていないという言い方は、オバマはマケインとブッシュがオバマの人種を持ち出してきて批判するだろうと予測して批判していることになる。
もちろんマケインもブッシュもオバマの人種について一言も言及したことはないので、これは完全にオバマの言いがかりである。
マケイン側からは正式な抗議はなかったが、オバマがマケインを人種差別者扱いしたことで批評家の間からは、オバマは人種を超えた新しい候補などと言ってみても、結局切羽詰まると何でも人種を言い訳にするこれまでの黒人運動家となんら変わりはないとして、オバマを強く批判する声があがった。
オバマ側もこれはまずいと思ったのか、すぐに訂正の声明文を発表し、自分の発言は決してマケインが人種差別をしているという意味で言ったのではないと反論したが、その反論でオバマのアメリカ歴史に関する無知がさらけだされるという失態がおきてしまった。

オバマのロバート・ギブス報道官は、オバマ議員は人種について語っていたのではないと説明した。
「バラク・オバマが話していたことは、ワシントンで何十年も過ごしてから来た人間ではないということです。」とギブスは木曜日語った。「単に彼は自分が政治の社会では新しいという以上の意味ではありません。彼は他人の歴史を引きずって来たわけではないという事実を語っていたのです。人種とは関係ありません。」

オバマは歴史を引きずってないというより、歴史を知らないと言った方が的確だ。オバマのいうドル札に絵がのっている歴代の大統領がワシントンで過ごした時間を振り返ってみよう。

  • 1ドル紙幣のジョージ・ワシントン初代大統領は、元軍人。最初の政治活動はまだ合衆国になる前のバージニア州の下院議員。今で言う政治の中心という意味でのワシントンは、当時のニューヨークかフィラデルフィアだが、それを全部合わせてもワシントン大統領が『ワシントン』に駐在したのは三年程度、オバマより一年すくない。
  • 2ドル札のトーマス・ジェファーソンは色々やったので、合計すると10年だが、ギブスのいう何十年とはほど遠い。
  • 5ドル札のエイブラハム・リンカーンは、下院議員を一期やったのみの2年間。
  • 10ドル札のアレキサンダー・ハミルトンは大統領だったことはないが、ギブス氏はそのことを知っているのかな?
  • 20ドル札のアンドリュー・ジャクソンは色々やったが30年間のうちワシントンでの駐在はせいぜい5年程度。
  • 100ドル札のベンジャミン・フランクリンは大統領ではなかったし、外交官としてフランスに長く駐在していたが、ワシントンでの駐在期間ゼロ。

要するに、ワシントンで何十年も政治活動をした歴代の大統領などドル紙幣には一人も載っていないのである。ではいったいオバマは何を理由にドル紙幣を持ち出したのか。
ま、もっともオバマは確かにこれらの偉大なる人物とは根本的に異なることがある。ワシントンにしろリンカーンにしろジェファーソンにしろ大統領になる前にすでに軍人とか弁護士とか外交官などといった国民の誰もが知る功績を残している。オバマのこれまでの功績といったら、、、ゼロ。
オバマは激化するマケインからの攻撃に対して、マケインは人種差別者ではないが、シニカルな攻撃で大事な問題から話題をそらそうとしていると反撃した。これに対してマケインはオバマこそありもしない人種差別を持ち出してきて話題をそらそうとしているではないかと反撃した。
現にオバマは大事なエネルギー問題ではアメリカ沿岸の原油発掘を支持する姿勢を見せている。エネルギー危機を原油発掘では解決出来ないと主張していたオバマは、有権者からの圧力を感じて意見を変えざる負えなくなっているのだ。そういうことをあまり深く突っ込まれては困るので、反対に共和党の選挙運動が汚いと攻撃しているのが見え見えである。
ところでマケインのオバマ攻撃はかなり面白い。マケインのテレビコマーシャルではオバマをブリットニー・スピヤースやパリス・ヒルトンに例えて、上辺だけで中身のない単なるセレブと指摘。また、マケイン側が出した新しいコマーシャルではオバマは救世主気取りだとして、映画「十戒」からチャールトン・ヘストンのモーゼスの映像を出して来て、オバマがアメリカ市民を約束の土地につれていく、といった信仰的なオバマの選挙運動をおちょくっている。
オバマがマケインのこの程度の攻撃にびびっているんじゃ、この先とても大統領候補としては勤まらないだろう。ましてや実際に大統領をやろうだなんて10年早いんだよ。(10年後ではもっと危険だが、、、)
アップデート:報道官がオバマは人種について話していたのではないと説明した舌の根もかわかないうちに、オバマは自分の発言に人種問題が全く関わっていなかったという言い方は正しくないと、訂正を訂正した。

「私のコメントが人種とは一切関係ないという言い方は正しいとは思えません。」とオバマは語った。「私が言おうとしたことはこういうことで、誰も異論はないのです。大統領選挙にいたっては、私は中央配役事務所からは来ていない。 色々な理由から、私は若い、私は国内政治のシーンには新しい、私の名前はバラク・オバマ、私はアフリカ系アメリカ人(黒人)そして私はハワイ生まれでインドネシアでしばらく過ごしました。私は大統領候補として一般的な履歴は持っていません。」

オバマがそういう意味でこの発言をしたのだとしたら、マケイン側の批判は正しいではないか。オバマはマケインがオバマの人種を使って汚いキャンペーンをしてくるだろうと予測した。相手がしていないことをしたとか、するだろうとか言って先に攻撃するやり方は汚くないのか?
今後は自分の報道官が口を開く前にちゃんと相談しておくことだな。
ところで、オバマはマケインがオバマの背景を出してオバマに大統領をやらせるのは危ないと主張しているというが、これのどこが汚いやり方なのだろうか?相手の経験不足を指摘して、政治家として一度も試されていない人間を最初から大統領にするのは危険が大きすぎると指摘することは非常に妥当な議論だと思うが。


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