最近後退派左翼過激派の間では大人によるトランスジェンダーどころか年端も行かない未成年しかも思春期前の少年少女に異性ホルモンや思春期停止ホルモンの投与をして子供のトランスジェンダーを生み出すことが流行っている。先日も私は10歳の男児が自分はトランスキッズだと言ってけばけばし厚化粧をして自慢げにツイッターに投稿している気持ちの悪い映像を見せつけられた。子供がお遊びでやっているのならともかく、周りの大人がその異常行為をたしなめるどころか奨励及び促進しているところに問題がある。これにホルモン投与などが加われば、これはもう幼児虐待以外の何物でもない。
思春期前後の少年少女が初めて持った自意識に困惑するのは普通である。それまでは子供として自分の存在に何の疑問も持たずに暮らしてきたのに、ある日突然、自分というものに気が付く。そうするといったい自分は何者なんだろうという人生の岐路となる大切な疑問を持つようになるのだ。この時期を何事もなく何も悩まずに通り過ぎる人間は先ずいないだろう。人はこの関門にぶち当たり色々悩んだ末に大人になっていく。
しかしこういう多感な時期に、何故自分がこんなにも不幸だと感じるのか、何故自分であることに違和感を持つのか、と悩んでいる少年少女が、性転換をしたらすべての悩みが解決したなどというユーチューバーのビデオに遭遇したらどうなるだろうか?自分がこんなふうに感じるのは自分が間違った性に生まれたからなのではないか、性転換をしたらすべて悩みが解決するのではないか、と錯覚を起こす少年少女が居たとしてもおかしくはない。特に自分の性嗜好が回りの同年代の人々と違うように感じた場合には、もしかして、と思ってしまうのも理解できる。しかし問題はその悩みをどうするかにある。
本来ならば、こういう悩みを抱く少年少女を正しい道に導くのが回りに居る大人の責任だ。普通の子は放っておけば自然に通り過ぎる。だが多感な子はこの時期が一番危険でもある。だから普通以上に落ち込んでいる青少年には適切なカウンセリングが必要だ。
実をいうと私も思春期の頃、男の子にあこがれるあまりに、自分も男の子だったらよかったのにと思ったことがある。それで髪の毛も男の子のように短くしデニムの上下を着るなどして、周りから男の子と間違われたりすると、自分があたかも秘密のアイデンティティーを持っているようで興奮したものだ。しかしこれは、あくまでも私が普通の異性愛者だったゆえ、異性である男の子の格好良さを意識し始めていたからにすぎない。
もしあの頃の私が今のような悪い意味での情報過多社会に生き、人気トランスジェンダーユーチューバーのビデオに遭遇していたら、そして周りの大人たちにトランスは格好いいと常に洗脳されていたら、いったいどんな取り返しのつかないことをしてしまっていただろうかと思うと考えただけでも恐ろしい。
事実幼児や思春期に異性ではないかと悩む子供たちの80%以上が、思春期を超えると自然に神から授かった性を受け入れるようになるという。だから自分はトランスなのではないかと悩む子供たちの親は、即座にホルモン治療などを受けさせず、他の活動をさせるなり、きちんとした精神科のお医者さんに悩みの根底は何なのか、しっかりカウンセリングしてもらうなりせねばならない。
だが、このカウンセラーは即座に性転換を進めるいわゆる「トランス専門家」ではなく、小児科や小児専門の医学的カウンセラーでなくてはならない。
即座にホルモン治療などをせずに親が親身になって色々な活動に参加させて女性としての自覚を取り戻した例がザ・アトランティックで紹介されている。題して「子供が自分はトランスだと宣言したとき」。
この記事では14歳のローリーという少女が自分の思春期の悩みを自分がトランスだと錯覚し、それを両親に告白したところ、両親はトランス治療を受けさせる前にローリーをインターネットから離してアウトドア活動に連れ出し、極力彼女の気が紛れるように努めたところ、ある日突然ローリーは自分は女の子だと自覚したという話。この記事の著者ジェス・シンガルはその記事の書き方から決して右翼保守ではない。きわめてトランスジェンダーに対して同情的な姿勢を取っている。だが、こと思春期のこどもに関しては、少し経つと自然に自分の性を受け入れる率が非常に高いことでもあり、子供が自分はトランスだと宣言したからといって即座に医療的な措置を取ることの危険性について書いたにすぎない。
だが普段どれだけポリコレに服従していようとも、多少なりとも左翼絶対主義から外れたこの記者に対し、過激派からの批判は迅速かつ壮絶であった。ザ・デイリー・ドットに載った「なぜトランスに関して間違った報道をしたジャーナリストが更なるトランスフォビアを拡散することが許されるのか?」と題したこの記事などが典型。
著者のアレックス・ダルビーはシンガルの記事の題名そのものにひっかかっている。ダルビーは「子供がトランスジェンダーだった時」とせずに「子供がトランスジェンダーだと宣言した時」とすることで子供が自分がトランスであることを自覚できないという先入観を抱かせると書く。
ダルビーはローリーの両親がネット情報からローリーを隔離しトランス治療を拒絶した結果ローリーが女性だと自覚したことは「よく耳にする恐ろしい話」だと言う。ちょっと待った!女の子として生まれた子供が自分は女の子だと自覚するに至ったことの何が恐ろしいのだろうか?もしトランス活動家がいうようなトランスに対する差別や虐待が真実だとすれば、自分の子供がそんな状況に至らないように極力努力することの何が恐ろしいことなのか?
ダルビーによれば、自分はトランスではないかと思う子供は即座にトランス専門家の世話になるべきだとのことだが、これらの専門家にはなるべく多くの性転換者を増やしたいという下心があることも忘れてはならない。カウンセラーと言われる人々が性転換医療で金儲けをしている業者と密接な関係がある場合は多いのだから。
ダルビーが言うように、自分がトランスなのではないかと悩む子供たちを即座にトランスだと診断して性転換治療を始めてしまったら、八割強居ると言われる思春期後に自然に自分の性を受け入れるはずだった子供たちの将来はどうなるのか?思春期の気の迷いで乳房や睾丸を取り除いたり成長阻止ホルモンを摂取してしまって生殖機能を失ったり発癌の可能性を高めてしまったうえに、自分はやっぱり生まれたままの性でよかったのだと気づいた子供たちの人生を誰が弁償するのだ?
トランスの人々はありのままの自分を受け入れてほしいとよく言うが、ありのままの自分を最初に拒絶したのは他ならぬ自分なのだということを忘れている。トランスジェンダーほど男女のステレオタイプや男女の差を意識している人々もいない。もし男女が平等であり男女に全く差がないという従来のリベラル派の考えが正しいのであれば、男っぽい女や女っぽい男がいてもいいはず。なにも無理して危険な医療処置を受けて異性に似た格好や振る舞いをする必要はないはず。
女でも筋力逞しく男顔負けの運動神経を持っていて何がわるい?男でも繊細な感性を持ってデザインやファッションの仕事をして何がわるい?自分が持って生まれた外見にそれほどこだわらなければならない理由は何?そしてそれを年端も行かない自己意識が確立していない思春期間際の子供たちに押し付ける動機は何なんだ?
ダルビーは性別には色々あり二者択一ではないという過激派思想を持っている。自分は異性であるべきなのではないかと疑問を持つ子供に対して、それは違う、お前は生まれたままの性を受け入れるべきだとする教育が彼女には許せないのだ。だからダルビーのような過激派は子供が自意識に疑問を持ったその時点で、子供の気がかわらないうちに、なるべく早くトランスへの道を歩ませようとする。
ダルビーの記事からは、最初からトランスジェンダーに関して自分と違った考え方は弾圧されるべきだという姿勢が見え見えだ。題名からしてシンガルが記事を書くことがなぜ「許されるのか」としていることからして明白である。
彼女に言わせると、思春期のトランスに関する思い違いは子供が成長するにつれ消えていくという思想そのものが許せない。そんなことを言う人間の言論は弾圧されるべきとの考えなのだ。
さらに危険なのは、シンガルのようなシスジェンダー(生物学的性侮蔑と意識が一致している)でトランスについて間違った記事を書いてきた過去のある人間にこの件について書くために雇われたということだ。
ダルビーは、他にいくらもトランス専門家がいるにも拘わらず、わざわざトランスは異常だという考えの記者に調査をさせたということ自体に腹を立てているようだ。しかしこういう「専門家」のアジェンダは、子供の悩みを解決することではなく、より多くのトランスジェンダーを勧誘することでしかない。ローリーの両親がこういう自称専門家から娘を遠ざけたのは非常に賢明な行動だった。
18歳以上の大人が自分の意志で野蛮な「性転換」処置を受けるというのは本人の勝手だ。しかし未成年が自分の人生を変えてしまう不必要な医療措置を両親が許可することや、ましては奨励することは幼児虐待以外のなにものでもない。