隠しきれないイラクからのいいニュース

昨晩遅くキャプテンズコータースを読んでいたら、これまでイラクからの悪いニュースしか興味がなかった左向きのニューヨークタイムスにイラクからのいいニュースが載っているとあってちょっと驚いた。
この記事を書いているのは左系のシンクタンク、ブルッキングスインスティトゥーション( Brookings Institution)のマイケル・オーハンロンとケニス・ポーラック(Michael O’Hanlon and Kenneth Pollack)のふたり。二人は最近イラクの視察旅行から帰国したばかりだ。

これがアメリカ人が理解しなければならない一番大事なことなのだが、我々はついにイラクで良い方へ向かいつつある。少なくとも軍隊用語でいえばそうだ。ブッシュ政権のぶざまなイラク政策を厳しく批判してきた二人の分析者として、我々はその目覚ましい向上ぶりに驚いた。必ずしも「勝利」とは言えないまでも、イラク人も我々も容認できるような状況維持の可能性が見られたからである。

バグダッドに着いて天火のような暑さを感じた後、最初に気が付くのは我が軍の士気の高さである。以前の訪問ではよくアメリカ兵たちの怒りや欲求不満を目にしたものだ。多くの兵士たちが作戦は間違っている、間違った戦略によって成功する可能性のない目的のために命が危険にさらされていると感じていた。
しかし今日(こんにち)士気は高い。兵士や海兵隊員たちやは、今回、有能なデイビッド・ペトラエウス将軍を司令官として迎えたことで将軍の戦略で確固たる結果を得ることができると自信をもっていること、やっと必要な兵数が整い状況を好転させることができることなどを我々に語った。

イラク各地でアメリカの陸軍や海兵隊は地元のイラク警備隊と協力し、電気、燃料、清潔な水、衛生といった基本的な生活環境を人々に供給できるよう、地元の必要度にあわせて政治面や経済面での援助に取組んでいるという。その結果市民の死亡率は増派が始まってからなんと1/3に減っているという。このリポートがブッシュ政権のイラク政策に非常に批判的であった人たちからの報告であることもさることながら、それをニューヨークタイムスが掲載したということは大いに意味のあることである。
折も折り、イラク視察から帰国したキース・エリソン議員もイラクの情勢は目覚ましく良くなっていると報告したとミスター苺が書いている。キース・エリソン議員といえば、ミネソタ代表でアメリカ発のイスラム教議員として話題になった民主党の下院議員であり、ブッシュ政権のイラク政策には非常に批判的な議員のひとりだ。
エリソン議員はアンバー地区のラマディを訪問し、地元のシークたちと会見した。このシークたちはアンバー・サルベーション・カウンシル(the Anbar Salvation Council)と言うスンニ派の反アルカエダ勢力のメンバーらしいのだが、彼等はエリソン議員にアメリカに帰って自分達がどれだけアメリカ軍に協力してアルカエダと戦っているかを伝えてほしいと嘆願したという。特にアルカエダはスンニの代表ではないと強調したそうだ。

「彼等はアルカエダが間違ったイスラム教像を広めていることに非常に腹をたてています。」エリソン議員は月曜日帰国途中のドイツから電話で語った。「彼等はもっと洗練された正しいイスラム教のイメージを広めるために私に何ができるかを語りました。」

私はここ数年APやロイターのヘッドラインを読んでいるが、イラク戦争が始まって以来およそ良いニュースを示すヘッドラインを読んだことがなかった。「ラマディ戦闘、アメリカ兵二人戦死!」「バグダッド市街戦で市民10人死亡」といったヘッドラインばかりがもう4年も続いているのだから、多くのアメリカ人がイラク戦争はもう駄目なのではないかと気が滅入るのは当たり前である。
しかし実際にはイラクでは良いことも起きていた。一見悪いニュースに見える記事でも、よくよく読むといいニュースが埋もれていることがままああった。例えば、アメリカ兵が殺されたという記事も、よく読んでみると100人のテロリストに囲まれた十数人のアメリカ兵が勇敢に戦った末、テロリストはほぼ全滅、こちらの犠牲者は二人だったというようなことが結構あったのである。本来ならばこの記事のヘッドラインは「ラマディで激戦、米軍、テロリスト100人を殺傷!」とすべきニュースなのだが、ヘッドラインが与える印象だけでイラクはひどい状態だと考えて中身を読まなかった読者がどれだけ居ただろうか?私が2年前にミスター苺とBig Lizardsをはじめたのも、こうしたイラクからの隠れたいいニュースをなるべく取り上げたいと思ったからだ。
しかし最近ニュースのヘッドラインに変化が起きてきた。イラクやアフガニスタンでの戦闘でアメリカ兵の犠牲者の前にテロリストの死亡数が記載されることが多くなってきたのである。以前にミスター苺はこんなことを言ったことがある。いくら主流メディアでも本当にイラクの情勢が良くなっているなら、いつまでもその真実を隠し通すことはできない。なぜなら昔と違ってネットやケーブルといった情報源は他にもあるし、イラク戦地で実際の状況をみてきた従軍記者や帰還兵からの直接の情報も入ってくる。アフガニスタン戦争中にいくらソ連政府が情報規制をしてアフガニスタン戦況はうまくいってるというプロパガンダを流しても、戦地から帰還した兵士らの話などからソ連軍がアフガニスタンで惨敗している情勢がソ連市民に伝わったように、いずれはイラクからのいいニュースがアメリカ市民の間でも広まるだろうと。
2月から始まったアメリカの新作戦は非常な成功を遂げている。ブッシュ政権のイラク戦争のやり方はまずいと考えていた批評家たちでさえその事実を無視できなくなってきた。だからこそ主流メディアすらもイラクからのいいニュースを報道せざる終えなくなってきたのである。
戦争反対イラク即撤退と騒いでいる民主党が多数議席を占めるアメリカ議会は夏休みが終わって帰ってきたら、ペトラエウス将軍のイラク情勢にかんする報告を受けることになっている。もしそれまでにイラク情勢が左翼メディアですらも無視できないほど好転し、人々がイラクからのいいニュースを毎日読むようになっていたらどうなるのだろう?


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軍人の戦争支持はプロパガンダなのか? 勝利を訴える帰還兵団体VFFを考える

先日私はとんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末はで、イラク・アフガニスタン帰還兵からなる戦争支持派のVets for Freedom(VFF)という組織のメンバーが民主党の反戦決議案に反対して議員たちと直談判するためワシントンへ乗り込んだという話をした。その時、民主党の議員たちは彼等にそっぽを向いたという話もした。
主流メディアもほとんど取り上げず完全無視を決め込もうとしたが、ブッシュ大統領が一時間も帰還兵たちと会談をしたため、完全無視はちょっと無理だった。(Hat tip Power Line)
しかしこのような戦争支持団体が現れると反戦派からの潰しがかかるのは、もういつものことである。実際は帰還兵による反戦草の根運動なんてののほうがよっぽどもうさん臭いのだが、ま、それはいいとして、反戦派はVFFはどちらの党にも所属しない無所属の団体であると表明していることにかなり腹をたてたようで、なんとかVFFは共和党直属の表看板団体なのだと証明しようと必死である。
センター・フォー・メディア・デモクラシー(CMD)という極左翼団体のこの批判など典型的な例である。

Vets for Freedomという政権のイラク戦争進路を守ろうとロビーしている団体の背後にいるものは何者なのであろうか? 我々の捜査ウェッブサイト、ソースウォッチでは、まさにその問題を取り上げている。無所属で愛国的という建前の目的はかなりうさん臭い。

実際このCMDなる団体はソースウォッチというウェッブサイトでわざわざVFFのカテゴリーを設けてVFFの信用度を落とそうとしている。しかしCMDはVFFが共和党直属の組織だと証明しようとして、図らずも民主党がどれだけ軍隊を支持していないかを証明してしまっている。
CMDの捜査部ソースウォッチではVFFが実は共和党直属の表看板なのだという 根拠としてVFFが共和党関係者から公共関係、メディア、法律などの助言を受けているということをあげている。だが単に共和党関係者から多くの助言や援助をもらっているというだけではVFFが共和党直属だという証拠にはならない。
元来「共和党の表看板団体」といはどういう団体を意味するのといえば、看板グループの目的が共和党の政治方針を押し進めることになければならない。単に団体への援助が主に共和党から来ているとか、この団体の支持する方針が共和党の方針の一部と一致しているというだけでは不十分である。
例えば全アメリカライフル協会(NRA)は大抵の場合共和党を支持しているが、それは単に共和党議員の方が民主党議員に比べて市民の銃砲保持権利に同情的だからである。だが、NRAはプロガンの民主党議員ならアンチガンの共和党議員を差し置いて支持することはざらである。なぜならNRAにとって大事なのは銃砲保持権利なのであって、共和党の政治力前進とは直接関係ないからである。
これと同じようにVFFの唯一の目的はイラクとアフガニスタンの戦争を最後までやり遂げることにある。だからこそ彼等は無所属のジョー・リーバーマン上院議員の選挙を応援した。コネチカット代表のリーバーマン氏は2000年には民主党の副大統領候補にまでなったほどリベラルな人でおよそ共和党シンパとはいえない。戦争支持の件で民主党を離脱して無所属になったとはいえ、ほかの面では75%の割で民主党の方針を支持している。
ではここでCMDがVFFが共和党の表看板団体だとする根拠を具体的に分析してみよう。

VFFのメンバーはネオコンのロビーイストであると言う嘘

CMDのソースウォッチはVFFのメンバーがネオコンだという根拠はかなり希薄だ。

  • VFFのメンバーであるアレックス・ガロの戦争支持の記事が2007年7月18日、ナショナルレビューオンライン(NRO)に掲載された。ガロはリーバーマン議員の選挙運動を応援した。
  • 2006年に元ホワイトハウス報道官の公共宣伝会社がVFFの創設者ウエイド・ザークルとデイビッド・ベラビアを主流メディアに従軍記者として推薦し、ニオコン週刊誌の記者として雇われた。同雑誌の編集者ビル・クルスタルは後にVFFの非公式アドバイザーとなり、共和党戦略者のダン・セノアーに紹介し資金集めに協力している。

戦争を支持しているクリスタルが戦争支持関係の記事を出版したからといって何がおかしい?テイラー・グロスやダン・セノアといった面々もコネはあるとはいえ政治家ではないただの一般人だ。VFFが同じ意見を持つ一般人の援助を受けたからといって何が悪い? 普通ロビーというからにはどこかの団体に雇われて代わりに政治家に説得にあたることをいうのであって、自分達の意見を議員に直接訴える行為は「議会への嘆願」というのである。

VFFは右翼団体であるという嘘

同じような理屈でCMDはVFFの活動を取り上げたのが右翼のブロガーや雑誌、ウォールストリートジャーナルという「保守派」の新聞だけだったことからVFFは右翼団体だと決めつけている。反戦のブロガーや編集者がVFFの活動に興味がないのは当たり前。ましてやラリーの宣伝などするわけがない。だがもし過激派左翼のデイリーコスやワン・コールや、左よりのニューヨークタイムスが取り上げてくれたらVFFは喜んで受け入れただろう。宣伝は大きければ大きいにこしたことはないからだ。
CMDはくだらない陰謀説など考える暇があったら、どうして主流メディアがVFFの活動を無視しているのかという疑問を抱くべきである。反戦派の帰還兵グループ、An Appeal for Redressが議員たちとイラク撤退について話にきた時は大々的に取り上げていたメディアがなぜ戦争支持の帰還兵グループの勝利への訴えを無視するのかそっちの方が大事な質問ではないのか?
ここでCMDが証明したのは民主党と名ばかりの共和党議員たちは、口では「軍隊を支持しよう」などと言っているが、実は軍隊もそしてその任務も全く支持していないということだけだ。

VFFのメンバーは共和党議員との会談しか興味がなかったという嘘

ソースウォッチはVFFのメンバーがリーバーマンを例外として、共和党の議員としか会見しなかったこと、記者会見の席には民主党議員がひとりも出席していなかったことを指摘して、彼等の目的はもともと共和党議員とあうことだったのだと書いている。しかしこの間も私が指摘しているように、VFFは民主党議員にたった5分間でいいからという会見のリクエストを拒絶されたのである。
ここでCMDが本当のジャーナリストなら、どうして民主党の議員は誰も記者会見に参加しなかったのかきちんと調べるべきである。VFFは共和党議員だけ招待したとでもいうのか? むろんこれは完全にナンセンスだ。ソースウォッチは民主党議員がVFFとの会見を拒否した事実を十分に心得ているのである。なぜならソースウォッチが引用した新聞記事にちゃんとそう書いてあるからだ。

「増派支持の帰還兵と会見したのは彼等と見解を共にする議員たちだけだった。彼等の本当の標的であった反戦派や戦争支持の揺らいでいる議員たちはシニアスタッフを送り込んで自分達は影に隠れていた。」とマッカーシー(記者)は書いている。

帰還兵たちが反戦派議員に興味がなかったのではなく、民主党や名ばかりの共和党の反戦派議員たちが帰還兵のいうことなど聞く耳もたないと拒絶したのである。これでは話が逆さまだ。

VFFの資金源は怪しいという勘ぐり

VFFが創設した去年の初期から、CMDはVFFの資金源が怪しいといい続けてきた。しかし去年の6月の段階でCMDの調査が得たものは下記である。

  1. VFFのウェッブサイトはかっこ良すぎる。
  2. 今は消えているが、VFFは一時、ウェッブサイトに「時々情報を他の共和党候補や同意見の人々と共有することがある。」と記載していた。
  3. VFFは反戦派の民主党のジョン・マーサ下院議員に何かと反論している。
  4. 組織の資金源に関する情報がほとんど存在しない。

一年後の今日もソースウォッチの調査はほとんどはかどっていないらしく、CMDはVFFの資金源について新しい情報は全く提示していない。言い換えればVFFの資金源が共和党であるという証拠はゼロなのである。
というわけで、CMDはVFFが共和党直属の表看板グループであるという証明には完全に失敗している。VFFは共和党の団体でもなければ資金源におかしな面もない。
CMDは実際に戦場で戦った兵士たちが戦争を支持するはずがないという先入観から、帰還兵たちの動機を最初から疑ってかかった。だがその過程において彼等が証明したものは、我々右翼の戦争支持者たちがずっと主張してきたことだった。それは共和党は軍隊を本気で支持しているが、民主党は全く支持をしていない、という事実である。
軍人が戦争を支持したら共和党のプロパガンダに違いないという考えはやめてもらいたいものだ。


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アジア杯:祝 イラク初優勝!!!!

やった、やった、やった〜!!!イラクがサウジに勝って優勝した〜!

イラク、1—0でサウジに勝利 アジア杯に初優勝

 東南アジア4カ国で共催されたサッカー・アジアカップ決勝が29日に行われ、イラクがサウジアラビアを1—0で破り、初優勝を遂げた。サウジアラビアは大会最多となる4度目の優勝を逃した。最優秀選手には、後半にCKから決勝点を挙げたユーニスが輝いた。得点王は4点で並んだ日本の高原(フランクフルト)、ユーニス、Y・カハタニ(サウジアラビア)の3人が獲得した。また、日本はフェアプレー賞に輝いた。

イラク人はサッカーを非常に真剣に見ているので、この優勝には重要な意味を持つ。イラク政府は仕事は半日にして市民が早く帰宅してテレビを観られるようにしたそうだ。下記はイラク・ザ・モデルを参照

今日はバグダッドで選挙があった日と同じくらい興奮していると言っても言い過ぎじゃない。わが国のサッカーチームが初めてアジアカップを取るために戦うんだ。言ってみればアメリカのチームがコパアメリカでブラジルやアルゼンチンと対抗するようなものだ。もちろんイラク人はアメリカ人よりサッカーには真剣だけどね。おっと失礼!

政府はすでに市民が早く帰って試合が見られるように、議会も含めて今日は半ドンにすると発表した。

午後2時、オマー君はガソリンなど必需品の買い物に出かけた。午後4時から外出規制がかかっているので早めに買いだめをしておこうというわけである。ところがそう思ったイラク市民が多くいたようで、ガソリンの値段が一時的にあがったそうだ。買い物をすますと皆大急ぎで帰宅の途についた。

4時35分、試合開始!

前半の45分と3分の追加では、イラクは完全に優勢をみせている。同時に両チーム間の緊張度はかなり高い。かなりラフなプレイが続いてイラクとサウジの間で5つもイエローカードがでた。実はアラブチーム同士の試合ではほかのチームとするよりお互いより乱暴になるというのはよく知られている。いってみればアラブ人同士の「兄弟愛」ってやつかな!
前半はゴールなしの零対零。
5時25分、ハーフタイムを使ってちょっと書いてる。さてラップトップは脇においてビールの缶をもう一つあけよう。セカンドハーフを見るぞ。(カカシ注:ビール????)
多くのイラク人は今日は試合の勝ち負けに関わらずお祝いをすると言っている。何が起きようとうれしいことに違いはない。
6時30分、いや、この喜びは「何が起きようと」なんかじゃない、、、我がチームはたった今、我がサッカー史上始まって以来初めてアジアカップで優勝した。この勝ち点はフォーワードの英雄ユーニス・マフムードが試合71分目に見せたすばらしいゴールによってもたらされた。
我がチームはすべての基準において制覇していた。ディフェンス、ミドルフィールド、そしてアタック、すべて彼等が最高だった。彼等は今やアジアサッカーの王者となったのだ!
今日は絶対にここ数年でイラクにとって一番幸せな日だ。何百万というイラクじんの顔には喜びの涙と希望とが混ざりあっている。言葉がみつからない、この気持ちをどう表現していいのか分からない。だからもし訳の分からないことを書いたら勘弁してほしい。外から歓声と音楽の音が聞こえてくる祝いで撃たれた銃弾が屋根や地面に次々に落ちてくる。でも誰も心配していないようだ。この瞬間があまりにも偉大だから何百万のファンの心に恐怖が入り込む隙間がない。それが落ちてくる銃弾であろうと先週我々の喜びを抹殺しようとした気違いの自爆テロであろうとも。
我々の選手たち、今夜の英雄たちは、チームワークによってのみ勝つチャンスがあるのだと教えてくれた。わが政治家たちも選手たちと輝かしい団結と国民の誇りを持ったファンたちを見習って、テロリストたちに教えてやろう、不死身のチグリスとユーファラテスの息子たちの精神を何者も打ち砕くことはできないのだと!
恐怖は消え去った。外出規制は無視された。今夜、イラクは喜びだけを知る、、、

おめでとうオマー!おめでとうイラクチーム!おめでとうイラク!テロリストなんかに負けるな!正義は勝つ!


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アジアカップ:イラク決勝進出!

明日はいよいよサッカーアジア杯の決勝戦。決勝戦は強豪サウジアラビア対イラク。三回優勝しているサウジが決勝に出るのは驚かないが、イラクチームが決勝戦進出というのはすごいものだ。パワーラインの記事によると、イラクチームのメンバーはシーア、スンニ、クルドの混合チーム。チームとしてここまで勝ち抜いてきたということはそれぞれの宗派間の違いを乗り越えた本当の意味でのチームワークを持っているということになる。

イラクサッカーチーム

決勝進出が決まって喜ぶイラクチーム


イラクチームのキャプテン、ユーニス・マフムード曰く:

選手は皆いろいろな苦労がありました。でも私たちはイラクの人々に幸せを届けられると思います。サッカーを通じてイラク市民に幸せをもたらす多大なる責任を共有しています。だから私たちは試合に集中しているのです。私たちはサッカーが大好きです。そして私たちは愛する国をいつでも守る心構えができています。

1980年のオリンピックでアメリカのアイスホッケーチームがソビエトチームをやぶった時、それまでうつ状態にあったアメリカ人の気持ちが希望へとかわったように、イラクがサウジに勝つことはイラクチームだけでなくイラクの国としての未来に希望をもたらすことになる。無論サウジは強敵だからどうなるかは分からないが、それでも少なくともイラクチームが第二位の座に輝くことは間違いない。
がんばれイラク!


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「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング

数日前、アメリカのニューリパブリック(TNR)という三流新聞にスコット・トーマスという仮名を使ったイラク駐留米兵によるものとされる「日記」が掲載された。三部に分けて掲載されたその日記に描かれた兵士らの行動は、路肩爆弾で顔に傷を負った女性を大声でからかった話や、大量埋葬地で見つかった子供の骸骨を頭に乗せて遊んでいる兵士、ブラッドリー戦車を乱暴に乗り回して野良犬を殺す悪趣味な兵士の話など、戦争犯罪に値するひどいものであった。(最後に日記の詳細を掲載するのでご参照のこと。)
このため現役や退役及び家族など軍関係の人々が書いているミルブログとよばれるブロガーたちの間で怒りが爆発。この話はねつ造だ、著者が本当はきっと偽兵士に違いない、TNRは真義を確かめもせず掲載したのか、本当にそんな事実があったのなら著者は仮名など使わず実名で正々堂々と名乗りを上げるべきだと、非難轟々の声があがった。そのなかでもあるブロガーは仲間のブロガーたちに、この著者の正体や日記の審議を確かめようとイラクに駐留したことのある軍人らに呼びかけた。
その結果、このスコット・トーマスSir Real Scott Thomasというブログを書いていたイラク駐留陸軍スコット・ビーチャム二等兵であることが判明した。間抜けなことにスコットは自分の本名のファーストネームのスコットとミドルネームのトーマスを仮名としてTNRの「日記」に使っていたのだからおかしい。しかも本人のブログに自分の連絡先まで明記されている。これについて陸軍の名簿を調べたある兵士によると、、

自分は現役の陸軍兵でイラク帰還兵であります。今スコット・トーマス・ビーチャムで陸軍名簿のウェッブサイトを検索してみました。それによると彼の階級は二等兵となっています。…

2006年9月のブログエントリーでは彼は自分の階級を一等兵と記述しています。ということはこの人間は軍隊規則の(Uniform Code of Military Jsutice)の15条に触れる罪を犯して少なくとも一階級格下げされたものと思われ、軍隊に恨みを持っていると考えられます。

格下げされたのか最初から嘘をついて階級を一つ上と偽っていたのかは解らないが、二等兵と言えば陸軍でも一番下っ端である。この男どうやらまったくうだつの上がらない陸軍兵のようだ。最初にビーチャムの日記が掲載された時、元陸軍特別部隊出身のミルブロガー,Black Fiveのジンボー親爺がこんなことを書いていた。

スコット・トーマスは嘘つきの糞野郎だ。どの部隊にもスコット・トーマスみてえな奴はいる。自分のすばらしい才能を誰も認めてくれない、自分は悪くないのにいつも上官から叱られていると文句ばかり言ってる奴だ。だから周りからは、ぐだぐだ文句ばっかいってないで黙って仕事しろと怒鳴られてばかりいるんだ。

ジンボー親爺は、こういう人間が軍隊をこき下ろすのは理解できるし、そういう話をメディアが鵜呑みしたとしても不思議でもなんでもないと語る。スコット・トーマスの正体が割れて、彼が2006年の9月に書いたこのエントリーを読んでみると、ジンボー親爺の分析がどれだけ正しかったかがわかる。(カカシ注:訳そうと思ったが句読点のない、ながったらしい文章なので、このまま訳したら訳が分からなくなる。仕方ないので意訳することにした。これで作家志望だというのだから驚くな。)

毎朝俺は起きる度に自分に言う。俺、スコット・ビーチャム、陸軍兵、ドイツ在住。これが俺の人生だ。俺は今日も糞みてえな扱いをされ、庭仕事や掃除だのをして、人殺しの訓練をする。この経験に耐えられなければ、俺がかつてもっていたもの、そして俺が外へ出てから持つだろう人生のありがたさが十分に理解できなかっただろう。俺が本当にしたいことは歴史を教えたり、寝転んだり、世界中飛び回って世界を修理することなんだ。…でもそれをするにはこの陸軍での経験を積んどかなきゃ出来ないんだ。俺が何をするにしても陸軍体験でハクをつけた後じゃなきゃだめなんだ。

ビーチャムは将来作家になりたいらしい。それでイラク帰還兵だということになれば、それなりにハクがつくからと陸軍に志願したらしいのだが、仕事が思った以上に辛くて毎日愚痴ばかり言ってるというわけだ。しかしビーチャムの所属隊も分かったことだし彼のこれまでの任務もすぐに明らかになることなので、彼のいうような体験を本当に彼がしているならば事実はそのうちハッキリするだろう。
ただ、ビーチャムの書いたようなことが本当に起きたのだとしたら、ビーチャムはその場にいた当事者であったにも関わらず同胞がこのような軍規約に触れる違法行為をしていたことを今まで黙っていたことになり、それ自体規約違反である。もし彼の話が本当ならこれらの事件に関わった人間はビーチャムも含めてすべて戦争犯罪者として罰せられるべきである。
だがもしこれがビーチャムによるただのでっちあげであったとしたら、現役兵隊が軍隊の活動を批判する政治意見を公の場で述べること自体が違法であるから、その罪で罰せられるべきである。とにかくこんな奴が大事なアメリカ軍のブラッドリーの修理に当たっているというのは非常に危険だ。早速最前線から取り除いて帰国させ、臭い飯でも食ってもらいたいものだ。
それにしても、自分の隊にこんな負け犬の非国民が混ざっていたことを知った所属隊の面々はいったいどんな気持ちだろうか?


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人気テレビ番組の反戦テーマで垣間みたアメリカの意外な素顔

私とミスター苺が好きで見ている番組にSo You Think You Can Dance?というダンス番組がある。意訳すると「あなたは踊れるつもり?」というような意味になるが、番組の構成は全国からオーディションを受けて受かった男女合計20人のセミプロダンサーが、毎週いろいろなジャンルの踊りに挑戦。水曜日に踊りを披露し木曜日に視聴者の電話投票によって一番票の少なかった男子と女子が毎週一人づつ取り除かれていき、最後の週に残った4人からチャンピオンが選ばれるというもの。
この人気番組において、昨日、木曜日の結果ショーで不思議なことが起きた。先ず審査委員の一人でもあり振り付け師でもあるミア・マイケルが水曜日に着ていた上着が米海兵隊の制服にそっくりであっただけでなく、階級を示す喪章が逆さまに縫い付けられていたことに対して長々と謝罪をした。どうやら視聴者の間から海兵隊員でもない人間が制服を着ているというだけでも失礼なのに、喪章を逆さまにつけるとは海兵隊をばかにするにもほどがあると苦情が寄せられたらしいのだ。
ミア・マイケルはファッションのつもりできていただけで、それが海兵隊をばかにする意味になるとは全然気が付かなかっ、無神経なことをして申し訳ないと誠意を込めて謝った。
それに続いて審査員長でプロデューサーでもあるナイジェル・リスコーは、ウエイド・ローブソン振り付けの水曜日の課題ダンスのテーマが「反戦」だったことについて、決して軍隊を侮辱する意味ではなかったと釈明。価値のある戦争が存在することは認める、あのダンスは特定の戦争への反対意見ではなかったのだ、しかし戦争に反対でも軍隊は応援することは出来るはずだ、第一平和を求めない市民がどこにいるだろうか、と問いかけた。ナイジェルの口調から平和を訴えかけてクレームがつくなどとは思ってもみなかったという彼の気持ちは明白だった。しかしウエイドは番組中に「テーマは反戦だ」とはっきり断言していたのを私は聞いたし、戦争中に反戦だと言えば今の戦争に反対してると取られて当たり前だ。
頭の悪い芸能人がリベラルであることはよくあることなので、ナイジェルや、ウエイド、そしてミアが反戦派のリベラルだったとしても別に不思議でもなんでもない。ミアのようにコンテンポラリーの振り付けをするような芸術家は案外世情には疎いので制服の意味を知らなかったというのも多分本当だろう。それに芸能界が何かにつけてリベラル思想を観客に押し付ける傾向は何も今始まったことではないので、水曜日の課題ダンスを観た時もそのテーマには苛立ちはしたが驚きはしなかった。ただ私は振り付け師としてのウエイドを高く買っていたので多少失望したし、これからも彼の振り付けを偏向なしにみることは出来ないだろう。
しかし私が驚いたのはウエイドの反戦テーマやミアの制服ではなく、それに対する視聴者の反応である。普通リベラルが自分の政治思想を明かにした場合、彼等はそれが一般的な認識だと思っているから特に説明の必要があるなどとは考えない。それが番組の冒頭に視聴者に謝罪したり釈明したりしなければならないと判断したということは、テレビ局にかなり多くの苦情が寄せられたのだと判断すべきだろう。
無論競争率の高いテレビ番組ではほんの一部の人からのクレームでも神経質になるのは当たり前なので、これだけで視聴者の政治的見解を理解できるとは私は思っていない。ただ、番組が終わってすぐ、私は番組のファンが集まる掲示板を覗いてみたのだが聞き慣れた反戦派連中の「ブッシュの嘘で人が死んだ!」「ナイジェルが謝る必要はない!」「言論の自由を守ろう」というような投稿に混じって、「自分の夫は海兵隊員だ。ミアの上着には頭にきた」とか「軍隊のおかげで君たちが好き勝手なことがいえるのだ、感謝しろ」といったような投稿も案外あったことに私はまたまた驚いてしまった。
下記の二つの投稿は問題の水曜日の放映があった直後、掲示板で「海兵隊への侮辱」というスレッドで200以上寄せられた海兵隊員たちからの典型的な苦情である。

自分は海兵隊の曹長であります。私はこの下らない番組はこれまで見たことはなかったのでありますが、たまたま観ていたらミアが海兵隊の青い正装用上着をきているのに気が付きました。我々がこの制服を着るためにはその権限を取得しなければならないのであります。それをミアは全国放送のテレビで着ていただけでなく、ボタンもかけず喪章を逆さまにつけて着ていたのです。今は70年代ではありません。自分も自分の同胞も我々のする仕事をからかうような真似はしないでいただきたいと存じます。ウィリアム曹長、米軍海兵隊

私は元海軍将校であり光栄にも海兵隊基地で仕事をした経験のあるものです。私もミアの上着は制服をきる特権を得た勇敢な海兵隊員に対する侮辱だと思います。テレビ局は謝るべきです。シャーマン大尉、米海軍退役

正直言って私はミアの上着が軍隊関係のパターンだなとは気が付いたが、それが海兵隊の正装だったとか、喪章が逆さまだなどということには全く気が付かなかった。しかし海兵隊員にしてみれば自分が苦労してあの制服を着る特権を得たのに、脳天気な振り付け師などにファッション感覚などで着てもらいたくないというのは本当だろう。それ自体は分かるのだが、そういう人たちがこの番組を見ていたという事実が興味深い。
さてそれとは別にウエイド・ローブソン振り付けで10人のダンサーが全く同じ踊りをしたダンスのテーマは「反戦」。それぞれのダンサーがピースマークのついたシャツを着て、背中に「平和」「希望」「忍耐」といったスローガンが書かれていた。踊り自体もウエイドとしてはかなり質の低いつまらないものだったが、私はミスター苺に「どうして、『勝利』『勇気』『名誉』てな言葉は出てこないのかしらね。」と話していたほど反戦色の濃すぎる内容だった。これに対しても苦情が殺到した。

…私は本日の過激な反戦メッセージにはとても失望しました。この番組のプロデューサーは我々が楽しみのために戦争をしているとでも思っているのでしょうか? 私たちは私たちの命のために戦っているのです。どうしてこんなことが分からないのでしょうか。…私の娘はこの番組の大ファンで、去年はデトロイトでツアーも観にいきました。今年もツアーに参加する予定でしたが、この「平和」ダンスを見て、お金は反戦番組を支持するために使うよりましな使い道があるだろうと考え直しました。アメリカに神のご加護を! 匿名主婦

面白いのは反戦派の何気ない行動が愛国者たちの反感を買うと、彼等はこぞって我々の反論は彼等の言論の自由を脅かすものだと批判することだ。リベラルや反戦派はまるでそれが常識でもあるかのようにブッシュ政権の悪口や反戦の意見を平気でどこでも言い出す。彼等は自分達がダンスコンテスト娯楽番組という全く政治見解の表明には適切でない場所で自分達の偏向した意見を我々に押し付ける自由は主張しても、何の関係もないところでいちいち侮辱される我々が反論する「言論の自由」は認めない。我々がもし彼等のあまりのリベラルな意見に反論すれば、「娯楽番組の掲示板で政治の話など持ち込むな」とこうである。自分達が不適当な場所で政治見解を注入したことなどおかまいなしだ。
アメリカメディアは70%のアメリカ人がイラク戦争に反対しているといい続けている。戦争がそんなに不人気なら反戦をテーマにしたダンスくらいで視聴者がいきり立つほどのこともないと普通は思うだろう。だが、たった30%でも視聴者は視聴者。視聴者の30%を失ってもかまわないと考えるテレビプロデューサーなど存在しない。特定の観客を対象にした地方劇場じゃあるまいし、色々な考えの視聴者が観ているのだということを番組側は考慮にいれるべきだっただろう。
それにしてもダンス番組のファンにこれほど軍関係の人や保守派の視聴者が多いと知って私としてはうれしい出来事だった。今後番組のプロデューサーは視聴者の多くが保守派であることを念頭に置いて政治見解の注入は極力避けてもらいたい。視聴者は家族だんらんでダンス番組を見る時くらい戦争のことなど忘れたいのだから。


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韓国はアフガニスタンへ増兵せよ!

韓国在住(だと思う)のアメリカ人のブログ、the Marmot’s Holeのロバート(Robert Koehler)によると、韓国のメディアはもしアフガニスタンでタリバンに捕われの身となっている韓国人宣教師23人(一人殺されていまは22人、8人が解放されたというニュースはガセネタだったおようだ)が殺されたなら、これはすべてアメリカのせいにするつもりらしい。
韓国のメディアのいい分は、アフガニスタン政府がタリバンとの人質交換交渉に応じない理由は西側、、つまりアメリカとその忠犬イギリスから圧力がかかっているからだというものだ。なにしろアフガニスタンは外国からの資金援助を非常に必要としているため、ハミッド・カルザイ首相はアメリカや連合軍に遠慮しているというのである。つまり全てアメリカが悪いという結論だ。
しかしロバートはカルザイ首相が交渉に消極的な理由はほかにあると指摘する。それは韓国政府がアフガニスタン政府に影響を及ぼせるほど、アフガニスタン戦争に貢献してきていないということにある。

ヨンハップ紙は考慮にいれていないが、カブールがタリバンの要求を無視しているのは a) 誘拐を利益のある商売にしたくないということもあるが、それよりも b) 韓国の対タリバン戦争における貢献はゼロに近いということがある。たかが200人の非戦闘員、しかも今年末にはそれすら撤退することになっている。囚人たちは解放されればその足で学校や病院やその他のインフラを破壊し、アフガン市民を殺しやアフガン軍および同盟軍を攻撃しはじめるに違いない敵である。そんな危険な敵をアフガン政府が入国すべきでないのに無責任に入国して違法ともとれる好ましくない活動(キリスト教の布教)をしていた人たちを救うために解放する理由など全くない。今年のはじめアフガニスタン政府がイタリア人記者を救うために5人のタリバンテロリストを解放したのは、カルザイやブッシュの真心からの行動などではない。アフガニスタン政府がそうしたのはイタリアから2000人の兵を即撤退させると脅かされたからである。影響力とは稼ぐものだ。残念ながらソウルはそれを全くしていない。

では韓国はどうすればいいのだろうか?ロバートは韓国はアメリカを責める暇があったら、アフガニスタンから200足らずの非戦闘員を撤退させるなどといってないで、反対に数千人の兵を治安維持や警察官として派遣すべきだという。韓国がアフガン政府に多少でも幅をきかせたいとおもうのであれば、その権限は稼がねばならない。無論そのような行為はタリバンを怒らせ、人質は皆殺しにされてしまうかもしれない。だが、アフガン政府が交渉に応じない以上、何もしなくても人質の運命にはあまり希望は持てない。
しかし韓国が誘拐や脅迫に怯まず力で応答すれば、すくなくともタリバン及び全世界に韓国は馬鹿にできないと分からせることが出来る。なにしろアフガニスタンにはまだ150人からの韓国人宣教師やボランティアが活動しているのである。将来韓国人の拉致を防ぐ意味でも、韓国は今、断固たる姿勢をとり腰抜けではない姿をタリバンに見せつけておく必要がある。


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韓国市民、キリスト教宣師人質への冷たい反応

韓国で23人のキリスト教宣教師がタリバンの人質になっている事件だが、本日8人が解放されたという朗報と共に一人の男性が頭に数発の銃弾を受けて殺されたという悲報をきき、非常に複雑な気持ちである。まずは朝日新聞のニュースから。

アフガン人質「8人解放」 韓国報道 1人殺害の情報も
2007年07月25日23時14分

 韓国の通信社・聯合ニュースは25日夜、韓国政府消息筋の話として、アフガニスタンで拉致された23人の韓国人人質のうち「8人が解放され、移動中だ」と伝えた。一方、タリバーンのガズニ州現地司令官は同日、朝日新聞に「韓国人男性1人を殺した」と話した。ロイター通信は、別のタリバーン報道官が「最終的な交渉期限」を26日午前5時半(日本時間)に設定し、その後は「残りの人質も殺害されるだろう」と語った、と伝えた。
 「解放された」と伝えられた人質8人はほとんど女性で、ガズニ州内の米軍基地へ移動している模様だ。韓国政府消息筋は「安全に移動が完了した後、簡単な健康診断を経て、早い時期に韓国に帰国させる方針だ」と語った。
 韓国政府は25日夜現在、人質の一部解放及び殺害の事実について公式確認を避けている。タリバーンの現地司令官が「殺した」と述べた1人についてアフガン政府関係者は同日、朝日新聞に「殺害されたと確認した」と明らかにした。韓国メディアは政府消息筋の話として「殺されたのは40代男性のペ・ヒョンギュ牧師で、射殺だった」との情報を流している。
 報道に先立ち、韓国大統領府の千皓宣(チョン・ホソン)報道官は25日の定例会見で「アフガン政府や現地の国際治安部隊、米軍などと協調して情報を取得し、ひとつひとつ慎重にアプローチしている」と強調。「タリバーンとみられる武装団体と多様なチャンネルを通じ接触中だ。政府は拉致された全員の無事帰還のため最善を尽くしている」と述べ、現地で解放交渉が続いていることを認めていた。
 一方、「男性の人質1人を殺した」と語ったタリバーンの現地司令官は、殺害理由について「(アフガン、韓国両政府が)交渉のスピードアップをしないからだ」とも言及。交渉が思うように進まなかった不満を暗に示した。8人の解放については否定している。

ミッシェル・モルキンのサイトでは韓国政府がタリバンに多額の身代金を払ったのではないかという憶測がされているが、これもどうもはっきりしない。ところで、これとは別に韓国では人質となったキリスト教宣教師どころか、キリスト教バッシングを目的としたインターネット上の攻撃がされているという話だ。

クリスチャンポストは、「韓国福音書キリスト教会は人質危機に関してサイバー攻撃を受けている」と報道している。「韓国の福音書協会は23人のボランティアが人質になったことがきっかけとなり、アフガニスタンに宣教師を送っていることへの批判を浴びており、世界でも飛び抜けてネット知識の高い韓国では反キリスト教を訴える目的で「ネット市民」がブログや掲示板などで被害者やその家族への侮辱的投稿を続けている。…中でも人気のあるワシントンDCを基盤にしたサイトではネット市民の一人がタリバンに人質を殺してくれと呼びかけたことを自慢している投稿がされたりしている。このウェッブサイトは現在こうした投稿をフィルターにかけて通らないようにしている。朝鮮日報によると人質の協会であるバンダングのサエミュル協会は韓国人をアフガニスタンへ送ったとして侮辱や嫌がらせがひどいため、一時閉鎖に追い込まれている。

2004年に日本人の反戦派三人組がイラクで人質になった事件があった時、日本国内でもかなり三人の不注意な行動に対する批判が起きたが、私は日本人の三人と今回の韓国人の人質とは状況がかなり違うと考えている。
まず第一に日本人三人の人質について私の意見をはっきり明記しておくべきだろう。私は彼等三人の拉致はやらせだと思っている。もともと人質になることを計画して三人がイラク入りしたとは考えていないが、彼等は明かにアメリカ軍によるイラク侵攻に反対していたプロ市民たちであった。当時イラクでは抵抗軍やテロリストの間で外国人を拉致することで多国籍連合軍を撤退させたり身代金を払わせることがはやっていたが、拉致された日本人が抵抗軍に同情的であることを知った人さらいは、「な〜んだ、仲間だったのか」と考えて彼等を政治目的に利用したのではないかと私は考えている。
しかし今回の韓国人ボランティアの場合は、拉致がやらせである可能性はほぼゼロだ。特に人質の一人が殺されたとなればなおさらであろう。第一、彼等はただのボランティアではない。キリスト教の宣教師たちである。穏健派のアフガニスタン政府からも快く思われていない彼等がタリバンと協力しあうとは到底想像できない。
私はこの23人の行動はあさはかだったとは思うが、韓国の反キリスト教派から嫌がらせを受けるいわれはないだろう。生きるか死ぬかの身におかれている被害者やその家族に嫌がらせをするなど言語道断である。
このような難かしい状況にありながら、命がけで神の良いニュースを伝えようとした人々に励ましの声を送りたい。どうか無事にかえれますように。


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内外二つの敵と戦う『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

日本では21日公開のハリー・ポッターの新作映画ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(Harry Potter and the Order of the phoenix)。リンク先であらすじや配役、写真集、予告編など詳しい情報が読めるのでご参照頂きたい。
今回のハリー・ポッターを観ていてその根底に流れる強い正義感を感じた人は私だけではないだろう。J.K.ローリング著の同名の原作から映画化されたハリーポッターの新作が、いわんとすることは明白だ。
『この世には交渉不可能な絶対的な悪が存在する、敵が恐いからといって頭を穴に突っ込み相手の存在さえ認めなければ敵がいつの間にかいなくなってくれるなどという考えは甘い、その悪に滅ぼされないためには勇気を持って立ち向かわなければならない、もし誰もその戦いに協力してくれなかったら、自分ひとりでも戦わねばならない、なぜならこの世には命をかけて守る価値のあるものが存在するからだ』
私はこの映画を見ていて、イスラム教過激派という悪と戦う自由主義諸国という現在の状況を比較せずにいられなかった。ローリング女史がどのような政治思想を持つのか私は知らないが、911事件後に書かれたこの著書にあの事件が全く影響を受けていないと考えるのはナイーブすぎるだろう。
ヴォルデモートという凶悪な魔法使いの帰還を訴えるハリーやホグワーツ校の校長アルバス・ダンブルドアに魔法省のお偉方が全く耳を傾けない様子や、それどころか警鐘を鳴らすハリー達こそが問題であるかのように扱い、平穏を守るためとハリーたちを沈黙させようとさえする魔法省のお役人を観ていると、イスラム過激派という邪悪な敵の脅威を全く認めようとせず、戦いは必要だと訴えたアメリカ政府やイギリス政府をせせら笑っていたフランス並びに国連を思い出さずにはいられない。
本来ならば、善である魔法使い達が力を合わせて悪であるヴォルデモートとその一味と戦わねばならないはずである。着々と力をつけているヴォルデモートらを相手に一刻の猶予も許されない時に、魔法省は内部で勢力争いに明け暮れている。特に大臣のコーネリアス・ファッジはヴォルデモートを恐れるあまりその再来すらも認めようとしない。魔法省の腰抜けお役人たちはヴォルデモートの名前さえ口にしない。あたかも声に出していわなければその存在がかき消されるかのように。このような姿勢はブッシュ大統領について『ブッシュはテロリストの脅威を誇張して無益な戦争に国民を巻き込もうとしている』と言ってアルカエダの存在さえ認めようとしないアメリカ国内の民主党議員たちや反戦派の市民団体の姿とだぶってしまう。
魔法省から派遣されてきた新しい教授ローレンス・アンブリッジ女史は次期魔法省大臣の座を狙っている。アンブリッジ女史は次期アメリカ大統領有力候補ヒラリー・クリントンさながらの暴君である。アンブリッジ教授は生徒たちの教育など全く興味がない。魔法会での自分の勢力を強化するためにホグワーツの学長という立場を利用することができれば、魔法会がヴォルデモートの脅威にさらされて破壊の危機に陥ることすら価値ある犠牲と考えるような魔女である。民主党が自分らの国内での勢力強化のために勝てる可能性のあるイラク戦争に必死に負けようとしているのと全く同じだ。
私が心を打たれのは、このような逆境にあって勇気を捨てないハリー・ポッターと彼の正義を信じて疑わないハーマイオニーやロンたちの友情だ。大人たちから平穏を乱すとして厳しい処罰を受ける危険を知りながら、あえて三人は悪の軍団ヴォルデモートと戦うべく生徒たちのなかから戦士をつのりはじめる。悪は相手が子供だからと手加減などしてくれない。大人が頼りにならないなら自分達だけでも戦おう、敵が攻めてくるのをのんびり待っているわけにはいかないのだというハリー達の勇気には感動させられる。
多様文化主義の台頭で、伝統的な価値観がどんどん失われていく中、子供向けの小説、そして映画となったハリー・ポッターが、全世界の子供たちの間で大人気を呼んでいるというのはすばらしいことだと思う。子供たちに必要なのは政治的に正しい大人たちの下らない三流心理学や思想ではない。子供たちにとって必要なのは、いつの世にも悪と善が存在する、そして善を悪による攻撃から守るために、人々は勇気を持って戦わねばならないということを知ることだ。
世界中の子供たちがこの映画からその道徳を学んでくれたとしたらこれほどすばらしいことはない。


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イランの被害妄想、リス14匹をスパイ容疑で逮捕!

このあいだ私の英語のブログのほうへ、イランがリスをスパイ容疑で取り押さえたという記事を紹介してくれたコメンターがいた。その時には私はその記事は一笑に伏して終わったのだが、後になってイランがアメリカ市民二人をスパイ容疑で逮捕していまだに拘束中だという記事を読んでこれは笑い事ではないのかもしれないと考え直した。
読者のみなさんは「え?リス?」と、もう一度一行目を読み返していらっしゃるかもしれないが、その通り、あのしっぽふさふさの動物のことだ。

イラン、リスを逮捕!

イラン警察は14匹のリスをスパイ容疑で拘束したと発表した。
このげっ歯類動物はイラン国境沿いで発見され盗聴器を身に付けていたという。この発表は公式にイスラミックリパブリックニュース(IRNA)から出たものである。
スパイリスの逮捕似ついて質問を受けた警察署長は「話には聞いているが詳細はしらない」と答えた。
IRNAによるとリスは外国諜報部によって放たれたもので二週間前に捕獲されていたと発表した。

これだけ聞いていると冗談だろうと笑ってすんでしまうような話なのだが、実はイランではここ数カ月おかしな方針がまかり通っており、それとあわせて考えるとまんざら冗談とも思えなくなってくるのだ。
イランは回教徒の国とはいいながら、サウジアラビアのように厳しい掟を施行してこなかった。イランに仕事でしょっちゅう出かける人から聞いた話では、イランの通りで頭からつま先まで隠れるバーカを着ている女性など見かけたこともないし、男性も長髪でヒゲのないひとなどざらだったという。ところがここ数年、イランはサテライトディシュを規制したり、インターネットの取り締まりなども厳しくし、今年の五月にイラク警察は突然女性のコートの長さまで規制しはじめ、正しい服装をしていない女性に警察官が罰金を課したり、大人しく注意に従わない女性を拘束したりしはじめた。数週間前には取り締まりの対象は若い男性へと移り、長髪、髭がない、西洋風の服装をしている、といった口実で危険分子と思われる若者が取り押さえられ警察から暴行を受けたうえ汚物の入ったやかんを首からぶらさげて町中引きずり回されるといったことが起きている。この新しい規則によって逮捕されたり暴行を受けたり罰金を課せられた若者はすで二15万人に及ぶ。
(参考文献: Crackdown in Iran over dress codes, Iran Focus
さて、そんななかでイラン出身のアメリカ市民がイランに滞在中にスパイ容疑で逮捕されるという事件が起きた。(以下IRAN: THE CONSPIRACY THAT WASN’T、By AMIR TAHERI から参照。)
1979年にイスラミック共和党が宗教革命によって政権を握ってからというもの、イラン政府は外国からの陰謀で政権が倒されるのではないかと神経質になっている。この被害妄想は最近おきたイラン系アメリカ市民二人の逮捕に現れている。「イスラムの敵」、「悪魔の手先」と責められているこの二人は小柄な女性ハレーさん(Haleh Esfandiari-Bakhash)67歳と, キアンさん40歳(Kian Tajbakhsh)。
国営テレビの報道ではこの二人はイランで革命を起こそうと企んでいるとされているが、テレビに映った二人の「自供」は明かに強制されたもので、自供をテレビ番組の一部に使うべきではないとイラン政府検察官ですら距離を置いているという。
さて逮捕された二人はイラン出身でアメリカ在住だがしょっちゅうイランを訪問しており、ブッシュ政権のイラン対策には批判的だった。ハレーさんはウッドロー・ウイルソン国際センターというシンクタンクのメンバーで、イラン政府とアメリカとの正式な国交の回復に、もう何年も努力をしてきた人である。つい最近もイラク調査委員会のメンバー、リー・ハミルトンのイラン対策に助言をしたことでも知られている。ハレーさんの過去30年に渡る意見書を読めば、彼女が女性の待遇について多少の批判はあるものの、イラン宗教革命を支持し現イラン政府がイランにとって一番適したかたちであると信じていることが明確なはずである。
ハレーさんにしてもキアンさんにしても現イラン政府には非常に同情的であり現イラン政府のムラーたちを批判するような発言はしたことがないだけでなく、シャーの時代に戻るべきだなどという考えには真っ先に反対してきた人たちである。イラン革命などこの二人にとって考えられないことのはずだ。この二人がアメリカの工作員だなどということはあり得ない。
人によってはこれはイラン政府の内部争いの結果ではないかという見方もある。過激派アフマネナジャド大統領はこの二人が穏健派元大統領のハシミ・ラフサンジャニを来期の選挙で援助するのではないかと懸念してのことだというのである。
しかしハレーさんは過去32年もイランには在住しておらず、キアンさんにいたっては10代にイランを出たきりである。二人ともイラン政治に影響を及ぼせるようなコネは持っていない。
この二人の逮捕はイラン政府が日に日に自分の影におびえていることの現れであり、アフマネナジャドが穏健派による革命が企てられているという陰謀説を信じて疑わないことを象徴するものだとコラムニストのアミアー・タヘリは言う。ここで最近のアフマネナジャドの被害妄想ぶりを振り返ってみよう。

  • 今年の5月に始まった服装取り締まりですでに15万の若い男女が拘束、暴行、罰金などの処罰を受けている。
  • 400人の大学生や教授が反イスラム教の危険思想を持つとして追放されている。
  • 少数民族の住むパキスタン国境沿いの東南地域で非常事態勢が引かれている。
  • 組合長のマンスアー・オサンロー(Mansour Osanloo)を含む少なくとも30人の労働組合員が逮捕されており、組合の資産は没収され組合は閉鎖された。
  • 何十社という新聞、雑誌は閉鎖され、何百人ものジャーナリストや著者がブラックリストに載せられている。
  • 先の大統領ムハマッド・カタミの弟を含むアフマネナジャドの強力ライバルたちが次々に逮捕され裁判にかけられている。
  • アフマネナジャドはラフサンジャニやその取り巻きに対して、自分の言いなりにならなければ1989年から2005年にわたる彼等の贈賄などの腐敗を公表すると恐喝している。

独裁政権は独裁者がどれだけ他者を弾圧できるかによって機能している。だから独裁者が権力を保つためには常に自分に取って代わろうとするライバルを牽制しておかねばならない。今は自分の側近でも、あまり実力のある人間や他者から人気のある人間は役に立つ分将来危険である。だから独裁者は常に自分の身の回りにいる人間を疑い続けなければならない。独裁者が被害妄想になるのはそれほど不思議なことではないのである。
さて、これに関連した記事として、イラクで暗躍しているイランの特別部隊がイラン政府の手に終えなくなっているという話がある。しかしこれに関してはミスター苺はイランの特別部隊がイラクでしている行為は彼等の勝手な暴走であってイラン政府には責任がないと後で言い訳できるように技と流したガセネタではないかと疑っている。


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