ヒラリー・クリントンのチャイニーズコネクション

実は先日、ヒラリー・クリントンが、お尋ね者の中国人ビジネスマンから巨額の献金を受けていたという事実が明らかになった。
実は15年間に渡って法の目をかいくぐって逃げ続けいたお尋ね者のノーマン・シューという中国系ビジネスマンがいる。この男は窃盗の疑いで3年間の禁固刑になるはずだったのだが、土壇場で逃走し行方がわからなくなっていた。ところが最近になって2004年からヒラリー・クリントンの資金集めをし、自分の名前だけでなく別人の名前も使って違法に多額の献金をしていたことがわかった。
クリントン側はノーマン・シューは長年に渡ってクリントンのために資金集めをしてくれている大切な人だと最初は弁護していたが、彼がお尋ねものであったことが公になってしまってからは、シューからの献金はチャリティーに寄付するなどといってごまかしている。
実はクリントン夫婦が中国人ビジネスマンから怪しげな献金を受けたという話はこれが最初ではない。ビル・クリントン大統領の時代から、クリントン献金に多額の資金集めをしていた中国人のビジネスマンが中共と深い関わりがあるという話はしょっちゅう取りざたされていた。
クリントン政権に中国人ビジネスマンからの献金があった直後に、突然中国が「友情関係のある国家」と指名されたり、アメリカ人工衛星の最新技術が中国に輸出されたり、どうもおかしなことが多すぎた。
実はビル・クリントン在任中にクリントンが弾劾裁判にかけられるのではないかと考えていた人々は多かった。しかしその原因はいわゆるチャイナゲートと呼ばれる中国共産党との汚い関係によるものだと予想されていた。くだらないセックススキャンダルの調査妨害などという理由で弾劾裁判が起きた時は我々もかなり驚いた。

チャイナゲート:民主党出身のクリントン大統領が再選を果たした96年前後に中国系アメリカ人チャーリー・ツリー(崔亜琳)、ジョニー・チャン(Johnny・鍾)といった人物が日本円で一億以上もの違法な政治献金をクリントン民主党政権に行なった。

この問題が深刻なところは、これら在米中国人が中国人民解放軍と密接なつながりがあり、人民解放軍の資金が民主党への政治献金となっていたことである。(資料

主流メディアはアイダホの上院議員のセックススキャンダルではしゃいでいるが、本来ならばこっちのほうがよっぽども由々しきことだと思うのだが。少なくともロサンゼルスタイムスが報道したというのは良い徴候かもしれない。


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タリバン残りの7人も解放、今後も人質作戦を続けると宣言

タリバンは30日、6週間に渡って拘束していた韓国人宣教師の残りの7人も解放した。解放さされた人質やその家族のことを思うとホット胸をなで下ろし、よかった、よかった、一件落着と喜びたいところなのだが、実は素直には喜べない事情がある。
それというのも、人質解放にわたり、韓国とタリバンが直接交渉した結果、タリバンにはかなり有利は結果が生まれたことがタリバン側の声明から明らかだからである。

タリバン武装部隊は韓国人人質の最後の7人を木曜日、韓国との交換条件のもとに解放し、6週間に渡る劇は幕をおろした。タリバンはこれを「聖戦における偉大なる勝利だ」だと宣言している。

タリバン報道官のQari Yousef Ahmadiは今後ももっと外国人を拉致するつもりであると誓ったい、韓国が武装集団と直接交渉することが敵をよりごう慢にするという恐れが強まった。
「我々はこれからもアフガニスタンの同盟軍に同じことをするつもりだ。なぜならこの作戦は非常に効果的であることがわかったからだ。」と報道官はAPとの電話インタビューに答えた。

だからアメリカは常にテロリストとは交渉しないという姿勢を強攻に保ってきた。人質に身代金を払えば、再び誘拐を誘発するのは常識。韓国側が人質を取り戻したい気持ちは十分に理解できるが、この交渉によって、今現在アフガニスタンに在住中の韓国人宣教師のみならず、他国の外国人ボランティアなどの身上がずっと危険になったことは否めない。
韓国がタリバンにどのような約束をしたのかは分からないが、人質に付き添ってきた民兵が西側に渡した手紙には、『彼等は我々の信仰を変えようとしてやってきた』とあり、『アフガニスタン市民はこの信仰のために命を捧げてきた。よって彼等を逮捕したのである』と書かれていたという。明らかに韓国人の布教活動に抗議する内容であることから、タリバン側の要求のなかに、今後アフガニスタンに宣教師を送るなとか、現在滞在中の韓国人を帰国させろとかいうような条件があったとしても不思議ではない。
アメリカ政府は直接韓国政府のテロリストとの交渉について非難することは避け、アメリカ政府のテロリストと交渉はしないという姿勢はかわらないとだけ発表した。

一方韓国政府は何も悪いことはしていないと主張。誘拐者と交渉するのは普通のやり方だと言っている。

そのやり方が悪いっていってるんでしょうが、まったくしょうがないなあ。以前にイラクでドイツ人の誘拐が連続でおきたことがあるが、それというのもドイツ政府は身代金を払うという評判が立ってしまったことから、ドイツ人の身代金は数カ月で数十倍にもなったという話をきいたことがある。反対にアメリカ人は身代金を払うどころか交渉にも応じないので、最初から拷問や殺す目的でもない限り、アメリカ人が拉致されることはなくなった。日本人も最初の三馬鹿トリオの時も気の毒な香田さんの時も、断固たる姿勢を崩さなかったので、以後日本人がテロリストに拉致されるという事件は起きていない。
ところで、韓国人が拉致された前日に拉致されたドイツ人の人質はまだとらわれの身である。


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反戦派のパニック! 増える民主党のイラク米軍駐留支持

この間から始まったイラク戦争支持者による大型広告運動だが、パワーラインによるとどうやら全国ネットのNBC局とそのケーブルの子会社MSNBCは戦争支持広告を報道しない方針を明らかにしたようだ。反戦広告はいくらでも報道しているくせに、いつものことながらダブルスタンダードはひどいものだ。それにしても最近の主流メディアは自分らが中立だという振りすらしなくなってきた。
さて、これとは反対に米民主党と深いつながりのある過激派左翼市民団体ムーブオンは民主党のブライアン・ベアード下院議員に対する攻撃広告を開始した。ベアード議員は最初からイラク戦争には反対しており、最近のイラク戦争の増派作戦にも反対していた議員である。そういう人をどうしてムーブオンが攻撃するのかというと、その理由は先日イラク状況の視察旅行からかえってきた時にベアード議員が発表した声明にある。
先日紹介したミネソタの民主党上院議員のキース・エリソン氏もそうだが、ベアード議員もイラク新作戦はうまくいっており駐留はこのまま継続すべきであるという意見を発表したのである。実は、最近イラク視察旅行から帰ってきた政治家たちは党の共和/民主を問わず、皆口を揃えてイラクからの即撤退は好ましくないと語っている。もともと戦争に賛成な共和党議員にとってはこれは全く問題ない姿勢だが、ずっと戦争反対をいい続けてきた党にとってはこれらの民主党議員の『裏切り』は許せない行為である。
先日ベアード議員は地元の選挙区で市民相手の説明会を行ったが、ベアード議員は説明をするどころか二時間以上にわたって反戦派の市民から吊るしあげを食った。さらに過激派左翼の間からはベアード議員は辞職すべきだなどという意見さえあがっている。説明会に参加した一人の市民は「彼の信念なんかどうでもいい。議員は我々の意見を代表すべきだ」と断言した。ベアード議員自身は、いまでもイラク戦争は歴史的にまれに見る外交の失敗だと考えているが、アメリカ軍がイラクに実際にいるという事実と、新作戦が効果をあげているという事実を考えて、成功する可能性がある戦争を途中で放り出すべきではないとしている。党の方針だけに盲目的に従わず事実をもとにした自分の判断をはっきり発表したベアード議員は立派だと思う。
会場に集まった市民のなかでも目立ったのはイラク帰還兵で今は反戦活動家のジョン・ソルツ。彼は元陸軍大尉で2003年のイラクフリーダム作戦に参加している。彼はベアード議員はブッシュ政権がお膳立てしたやらせ劇にだまされていると主張。そのせいでベアード議員はブッシュ政権の隠れ蓑を提供していると批判。実はこのソルツなる人物は先に紹介した極左翼サイトのデイリーコス主催年次会で戦争支持の軍曹に大尉という位を持ち出して(軍曹よりも位が高い)ことを持ち出して意見を言わせなかった司会者その人である。
しかし、イラク戦争が良い方向に向かえば向かうほど、エリソンやベアードのような民主党議員が増えてくるだろう。そうなれば民主党の反戦の姿勢はまとまりがつかなくなる。イラクからは撤退すべきだと言っているヒラリー・クリントンですら今や軍事的勝利は可能だと認めざる終えなくなっている。戦争はうまくいっているが今すぐ撤退すべきだという理屈は全く説得力がない。
9月のペトラエウスの報告に備えて平和団体を装った共産主義看板団体のアンサーが反戦デモ行進を予定している。それに対抗しようと退役や現役の軍人たちが「鷹の集まり」という名前で対抗デモ行進を呼びかけている。3月に行われた反戦デモでは非常な寒さにも関わらず、戦争支持の鷹達が反対側の人数と対等できるほど多く参加した。今回は前回を上回る参加者を主催者は期待している。
ペトラエウスの報告まで二週間足らず。どういうことになるのだろうか、、、


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アメリカ撤退後のイラクを狙うイラン、アフマネナジャド大統領が発言

The English version of this post can be read here.
先日ブッシュ大統領はアメリカ軍のイラク中途撤退は危険だとしたが、イランのアフマネナジャド大統領がそのブッシュの議論を裏付けるような発言をした。(以下APの記事より

「占領軍の政治力は急速に弱まっている」とアフマネナジャドは記者会見でイラクのアメリカ軍について語った。「すぐにあの地域には真空状態がみられるようになるでしょう。無論その時は付近のサウジやイラク国の協力をうけ、我々がその空間を埋める用意ができています。」

ブッシュ大統領はイラクが中途撤退すればイランがイラクに侵入してイラク政権を乗っ取ってしまうだろうと何度も強調してきた。イランには精巧な武器もあり、巨大な原油資源もある。このような敵にイラクの統治権を奪われたら、これは大変なことになる。だが民主党はそんなことはあり得ないことだとその主張を拒絶してきた。そんな民主党の主張とは裏腹に、今、アフマネナジャドはイランには、うるさいアメリカ軍が去った後のイラクを乗っ取る計画が確かにあることを認めてしまったのである。民主党はこのアフマネナジャドの裏切りに首をかしげていることだろう。
アフマネナジャドのこのばか正直な告白は米民主党のバランスをくずしている。民主党は対反乱分子作戦(COIN)を「増派」と呼び、あたかも新作戦と古い作戦の違いは単に兵士を多少増やしただけであるかのようにばかにしてきたが、この作戦が効果をあげはじめると作戦の成功とその作戦を実行している軍隊の功績を認めないわけにはいかなくなった。すると今度はあたかもアメリカ軍の軍事的勝利は最初からわかっていたことかのように振る舞いはじめ、そのかわりイラク戦争の真の目的は全国レベルでイラク政治の進展があることだとさらにハードルをあげはじめた。
議会が夏休みをとっている8月とはいえ、民主党の指導者たちはうかうかと休んでなどいられない。二度も共和党の反対を押し切ってイラク政策を変えることに失敗した民主党はかなり支持率を失っている。下院民主党指導者たちは急きょ早朝会議をひらき、「アメリカ軍の新作戦がイラク治安を向上させたのは当たり前だ、問題は政治的な発展にある、それがなければアメリカ軍の血も汗も無意味となる」という新しい主張に焦点があてられた。
イラクの政治的変化は起きているが、それは民主党が要求するような国家レベルではなく、各地域の地元レベルでおきている。イラクの政治改革は上からだんだんに下の方に広がるトップダウンではなく、下からじょじょに上にあがっていくボトムアップの形で進んでいくものと思われる。

ブッシュとアメリカイラク大使はバグダッドの政治停滞について正直な見解として、ブッシュはイラク政権を交代させる必要があるかどうかはイラク人が決めることだと語った。

しかしヒラリー・ロダム・クリントンを含む民主党幹部の政治家たちは、シーアが多数はを握る政権が国家をまとめることができないことから、アルマリキは交替されるべきだと主張している。
シーア派のベテラン活動家であるアルマリキを追い出すためにはイラク議会の275票を必要とする。クルド派とマリキ支持者が団結しているかぎり、反対派は票がたりない。

これも運命のいたずらだろうか、民主党はなんとイラク市民の意図を無視してマリキ首相をやめさせよと主張するはめとなった。
しかも裏切り者アフマネナジャドは「彼等は無礼にもイラクの首相と憲法を変えよと言っている」とイランの強い味方である米民主党を責めている。「そのような変化を要求するとは、いったい何様だと思っているのだ」とアフマネナジャド。アフマネナジャドは馬鹿だ。イランにはイラクを侵略する計画などない、これはすべてブッシュ大統領の妄想だ、といってしまえば反戦派の民主党がアメリカ市民を説得してアメリカ軍中途撤退もありえるのに、イラクに攻め入る計画をこうあからさまに公言してしまっては、民主党としては立つ瀬がない。
さて、民主党はイラク新作戦成功を認めデイビッド・ペトラエウス将軍の功績をたたえながら、どうやって時間制限をしてイラク即撤退をすべきであると主張するのか、是非ともそのお手並み拝見といこう。


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タリバン韓国人質8人を解放!

久しぶりにタリバンに拉致されている韓国の人質に関する良いニュースが入ってきた。(以下CNN日本語版より)

タリバーンが8人解放、合意受け アフガンの韓国人拉致

2007.08.29
Web posted at: 20:36 JST
– CNN/AP
ソウル——アフガニスタンの旧政権勢力、イスラム強硬派タリバーンによる韓国人拉致、殺害事件で、韓国政府は29日、残る人質19人のうち女性3人が解放され、韓国が身柄を確保したと述べた。
AP通信によると、数時間後、別の場所で女性4人、男性1人が新たに解放され、赤新月社の職員に引き渡された。韓国政府がこれを確認しているのかは不明。
最初の3人は31歳─34歳で、車1台に乗って事件の現場ともなったガズニ州中央部のカライカジ村に到着、赤新月社メンバーに引き渡された。記者団が詰め掛けたが、無言のままだった。3人は青いショールを被り、顔を隠すようにしていた。
韓国政府によると、3人の健康状態に問題はないという。男性を含む5人は州内の砂漠地帯で引き渡された。
今年7月19日の事件発生後、人質が解放されたのは8月13日の病気の女性2人以来。当初は23人が拉致され、解放交渉の過程で男性2人が殺害されている。
韓国とタリバーンは直接の個別交渉で28日、人質全員の解放に合意。アフガン駐留韓国軍部隊の年内撤退などが条件になったが、韓国政府は身代金支払いはないとも強調している。また、タリバーンが当初要求したアフガン政府、米軍が拘束する仲間の釈放も条件に入っていないと述べた。
タリバーンは人質19人を少人数に分け、別の場所で監禁、移動を繰り返していたとされ、今後順次に解放していくとみられる。

まだ全員が解放されたわけではないので、大手をあげて喜ぶわけにはいかないが、全く希望がないと思われていた交渉が多少なりと進展したことはいいことだろう。ただ、アフガニスタンがタリバン囚人の解放に応じたわけではないので、タリバンが人質解放に応じたということは、韓国側から相当の身代金の支払いが約束されたと考えるのが妥当だろう。だとしたら、無論人質がかえってくるのは喜ばしいことではあるが、今後もこのような事件は起きるだろう。
アフガニスタンには宣教師やボランティアといった役割を果たすかなり多くの韓国人が在住している。今後身の回りの安全には十分に気を使ってほしいものだ。
のこった11人の早期解放を願うものである。


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公衆トイレで覆面警官を誘惑! ラリー・クレイグ米共和党議員無罪を主張

読売新聞にまで載ってしまったので、読者のみなさんはもう米共和党のラリー・クレイグ上院議員が数カ月前にみだらな行為をして警察のお世話になっていたというニュースをお聞きになったことだろう。しかし一応背景として、CNNの記事の方が詳細が載っているので、引用はそちらから。

ワシントン——アイダホ州選出のラリー・クレイグ上院議員(共和党)は27日、中西部ミネソタ州のミネアポリス・セントポール国際空港内の男子手洗い所内で今年6月、内偵捜査の私服警官にみだらな行為を働こうとして、逮捕された事実を明らかにした。

今月初旬、有罪を認めたという。ロイター通信によると、米議会紙ロールコールは、同議員は罰金500ドル(約5万8000円)、観察処分1年などの罰則を受けた、と伝えた。
同議員は27日声明を発表、わいせつ行為の詳細には触れなかったが、「混乱した行動に及んだ」ことを認めた。同紙が報じた警察の報告書によると、議員は手洗い所内でわいせつ行為の発生などを調べていた私服警官の隣りの個室に入り、同性愛者が誘惑のために通常用いる合図を送ったという。
同議員は3期目で、妻と子供3人がいる。来年、選挙を迎える。
米国の男性の同性愛団体は昨年10月、ウェブ上でクレイグ議員が複数の同性愛の関係を結んでいたと指摘したが、議員の事務所は根拠のないでたらめな話と否定していた。同議員は上院で2006年、同性同士の結婚を禁止する憲法修正案に賛成していた。

実はクレイグ議員が同性愛者なのではないかという噂は大分前からあったらしい。だがその話があからさまにされるようになったのは上記の記事にもあるように去年の10月頃の話だ。実はカカシもその話を聞いたが、ちょうど2006年の中間選挙直前のことだったため、私はてっきり左翼連中が得意な事実無根な中傷誹謗に違いないと一笑に付した
妻子もいるいい年したおっさんが、公衆便所で男性に言い寄るなんて信じられない!しかも彼は常に家族の大切さを訴えている保守派の上院議員だけにこれは痛い。なんで共和党議員ばっかりセックススキャンダルが続くのか、嫌だなあ。
クレイグ議員は現在共和党から大統領に立候補しているミット・ラムニーの選挙運動事務所の幹部。つい昨日までラムニーのホームページに推薦の言葉を述べるクレイグ議員のビデオが掲載されていたくらいだ。本日クレイグ議員はラム二ーの選挙事務所から辞任。ホームページからもビデオは削除された。
しかしクレイグ議員自身は自分は「同性愛者ではない!」ときっぱり断言しており、警察で罪を認めたのは、はやく片付けてしまいたかったからだと説明している。しかし議員を連行した覆面捜査官の話では、クレイグ議員は警察官の入っている個室の隣の個室に入り、スーツケースをドアの前に置いて、何度か足踏みをして警察官の注意をひいたあと、手を壁の下から警察官のいる個室の方へのばしてきたという。アメリカの個室トイレは足下が30センチくらい開いているからこういうことが可能なのだが、クレイグ議員は床に落ちた書類を拾おうとした行為を誤解されたなどと苦し紛れの言い訳をしている。だったら罪を認めるなアホ!
しかしながらクレイグ議員から言い寄られたとか実際に性交渉があったという男性たちが次々に現れ、クレイグ議員の「私はホモではない!」宣言もかなり空しく聞こえる。
政治的に考えて、こういうふしだらなエロおやじには早く辞めてもらいたい。選挙にはまだ一年以上もあるので、今のうちにこの親爺が辞めてくれれば共和党は十分に立ち直れるだろう。去年選挙直前に明かになったマーク・フォリーのセクハラ事件の二の舞いはごめんだ。


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AP:イラク死傷者の数は倍増という不誠実報道

今日APのイラク死者数倍増Iraq Body Count Running at Double Pace)という記事をみて、どうも変だなと思った。主流メディアの記事は見出しが非常に不誠実な場合が多いので記事は注意深く読む必要がある。

APの記録はイラク市民、政府高官、警察、警備隊のうち戦闘やスンニによる自爆テロなどの攻撃で死亡した人数を含む。またシーア派の死の団体による処刑スタイルの殺人も含まれる。

調査の結果には下記が含まれる:

  • イラクは去年にくらべて国全体で2006年の一日あたり33人から今年は62人と戦争関係での死者数は倍になっている。
  • 今年の最初の8か月で2006年全体で暴力的に殺されたイラク人の数を1000人近く上回っている。今年はすでに14,800人が戦争関係の攻撃や宗派間争いで殺されている。…
  • 民間や警察の死者の76%がバグダッドで出ていた今年の一月から、7月には52%となりほぼ去年の割合と同じになった。
  • イラク赤三日月によると避難したイラク人は今年一月447,337人から7がつ31日の100万から114万人と倍増した。

しかしペンタゴンのリチャード・シャーロック准将は2006年から比べてイラクでの攻撃数は減っていると語っているとAPにはある。これはいったいどういうことなのだろうか?
先ずイラクでの死亡者数を記録しているicasualties.orgの民間人死者の数をみてみると確かにAPの記事にある通り今年の方が去年よりは多い。だが、イラクで何が起きているのかという事変を考慮に入れずに単に暦で年度末に線をひっぱってみても、それが何を意味するのか全くわからない。ましてや現在の新作戦がうまくいっているかどうかという判断には全くつながらないのである。下記の表をみていただきたい。

イラク民間人死者数 2006〜2007年8月
2006年 死者数
1月 590
2月 688
3月 901
4月 808
5月 969
6月 738
7月 1063
8月 2733
9月 3389
10月 1315
11月 1741
12月 1629
2007年 死者数
1月 1711
2月 2864
3月 2762
4月 1521
5月 1782
6月 1148
7月 1458
8月 1313


去年の民間人の死亡者数は1月から7月にかけて1月の600人程度から1000人を超える7月までじょじょに増えていった。去年の2月にシーア派のアルアレキサー聖廟の爆破事件以来宗派間争いが激しくなっていたから、死者が増え続けたのは当然だろう。8月になると突然2733人と増えるが、8月はシーア派の巡礼の月で、9月はラマダンの月である。イスラムテロリストが祭日を狙って攻撃を増加させるのは周知のことであるからこの数字もおかしくない。ラマダンが終わった10月から今年の1月まではその数は千数百人とあまり変化はない。だが、アメリカ軍の増派があると発表のあった2月と3月にはそれぞれ2864人と2762人と急増している。これはアメリカ軍の増派に備えてアルカエダが攻撃を増加させたのが原因だ。
しかし新作戦が本格的に始まり出した4月になるとその数は1521人に減り、その後もその低レベルが続いており、今月はシリア国境の250人という犠牲者を出すテロを含めても7月の数よりも減りそうである。
またAPは、今年7月のテロ攻撃の35%が北部で起きており、去年の22%よりも増加しており、8月ではこの割合はもっと増えるだろうと指摘している。これは明らかにアメリカ・イラク軍がバグダッドで激しい掃蕩を行っていることから、テロリストが手薄な北部を狙っているのが理由だ。
イラク市民の犠牲者数から現在行われている新作戦の効果を測ろうというのであれば、新作戦が本格的に始まった今年の4月から一年間さかのぼった数字とその後の数字を比べるべきである。背景の状況を無視して去年と今年という暦上のでの比較などしてみても何の意味もなさない。


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ブッシュ大統領が戦前日本とアルカエダを同一視したという誤解

この間のブッシュ大統領のミズーリ州における退役軍人相手の演説について、私はちょうど日本の戦後の発展についてブッシュ大統領が語っている部分を帰宅途中のラジオで聴いていたという話は先日した通り。今日になって坂さんのところでブッシュ大統領は戦前日本をアルカエダと同一視していると朝日新聞が報道したというエントリーを読んでたまげてしまった。生放送で聞いていた私はブッシュ大統領がそんなことをいったようには全く聞こえなかったからだ。
今回の演説の主題は歴史的に過去の戦争や戦後の復興をふりかえって、どれだけ専門家といわれた人々の意見が間違っていたかというものだ。それを太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争を振り返ってブッシュ大統領は証明しようとしているのだ。そして私はそれは成功したと思う。
しかし朝日新聞の批判には反論の余地はあると思うので、ブッシュ大統領が実際なんといったのか原文を読みながら考えてみたいと思う。
先ずは朝日新聞の記事から。

ブッシュ米大統領が22日に中西部ミズーリ州カンザスシティーで行った演説は、自らのイラク政策を正当化するため、日本の戦後民主主義の成功体験を絶賛、フル活用する内容だったが、半面で戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。米軍撤退論が勢いを増す中でブッシュ氏の苦境を示すものでもある。

冒頭は9.11テロかと思わせて、実は日本の真珠湾攻撃の話をする、という仕掛けだ。戦前の日本をアルカイダと同列に置き、米国の勝利があって初めて日本が民主化した、という構成をとっている。大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。…
テロとの戦いにかけるブッシュ氏だが、今回の演説は日本を含めた諸外国の歴史や文化への無理解をさらした。都合の悪い事実を捨象し、米国の「理想」と「善意」を内向きにアピールするものとなっている。

確かにブッシュ大統領は戦前の日本の行為とアルカエダの行為との共通点を指摘してはいるが、戦前日本がアルカエダのようなテロリスト団体であったなどとは一言もいっていない。朝日新聞がそのようにこの演説を受け取ったのであれば、これは完全なる誤解であり、ジャーナリストとしてその英語力と理解力の不足が批判されるべきである。また大正デモクラシーにしろ、日本の議会制度にしろ、当時の日本がどう考えていたにせよ、アメリカ人が考えるような民主主義ではなかったことは確かなのであり、その見解の相違をもってして『粗雑な歴史観を露呈した』などというのは馬鹿げた解釈である。この記事について坂さんはこのように感想を述べておられる。

戦前の日本を批判することが多い朝日だが、さすがにアルカイダと同列視されることには我慢がならなかったということだろう。が、逆に言えば、ブッシュ氏のわが国の歴史に対する認識が、それだけ粗雑で無知であるということだ。

坂さんは朝日新聞の記事をもとに感想を述べておられるのでこのような解釈になっても仕方ないのだが、朝日新聞が『さすがにアルカイダと同列師されることには我慢ならなかった』というのは朝日新聞を買いかぶりすぎだと思う。朝日新聞はブッシュ大統領が歴史について無知であるということを強調したいがために、いつもは批判している日本の軍事主義を擁護するという不思議な立場に立たされただけだ。そして朝日新聞はブッシュ批判が先行してこの演説における肝心な点を見逃しているのだ。
それではここで、原文から問題の部分を抜粋してみよう。問題点を指摘する理由で段落が前後することをご了承いただきたい。

我々を攻撃した敵は自由を忌み嫌っていた。そしてアメリカや西洋諸国が自国民に害を与えていたと信じ恨みを抱いていた。敵は自らの基準を地域全体に設立するために戦った。そして時間と共に自殺攻撃に及び多大なる殺りくによって、アメリカ人が疲れて戦いをあきらめるのをねらった。

もしこの話が聞き覚えのあるものだとしたら、確かにそうです。ただひとつ。私が今説明した敵はアルカエダでもなければ911攻撃でもなく、過激派回教朝を夢見るオサマビンラデンの帝国でもありません。私が説明したのは1940年代の日本帝国の戦争マシンであり、真珠湾での奇襲攻撃であり、その帝国主義を東アジアに広めようとした行為です。
(中略)
我々が戦った極東との戦いと今日我々が戦っているテロとの戦いには多くの違いがあります。しかしひとつ重要な類似点があります。それは核心にあるイデオロジーの葛藤です。日本の軍国主義や朝鮮やベトナムの共産主義は人類のあり方への無慈悲な考えに動かされていました。彼等はそのイデオロジーを他者に強要しようとし、それを防ごうとしたアメリカ人を殺しました。今日名前や場所は変わっても、根本的な葛藤の性質は変わりません。過去の敵がそうであったように、イラクやアフガニスタンや他の場所で戦争を仕掛けているテロリストたちは、自由と寛容と反対意見を破壊する厳しい目的をもって自分らの思想を広めようとしているのです。
…この敵は危険です、この敵は決然としています、しかしこの敵もまた打ち負かされるのです。(拍手)

ブッシュ大統領が比較しているのは日本帝国とアルカエダという組織の比較ではなく、アルカエダの行為と日本軍隊の行為の類似点である。そしてまた戦前に日本が手強い敵であったのと同じようにアルカエダも手強い敵なのだと強調しているのだ。
戦闘体験のある軍人に対して輝かしい勝利を得た戦争を例にとって、アメリカは当時も手強い敵と戦って勝利をえることが出来たのだから今回の戦争にも勝てるのだとするやり方にはそれなりに効果がある。ブッシュ大統領は目の前にいる退役軍人に敬意を示しすことで、アメリカ軍全体に対する尊敬の心を表現しているのである。日本人としては負け戦だった太平洋戦争を引き合いに出されるのは気に入らないかもしれないが、ブッシュ大統領が現在の戦争への比喩として過去の勝ち戦を持ち出したからといってブッシュ大統領が戦前日本とアルカエダを同一視しているという見方は乱暴すぎる。現にブッシュ大統領は極東の戦争と今の対テロ戦争には多くの違いがあることを指摘している。
ブッシュ大統領が強調したいことは戦前の日本がどれほどひどい国だったかということではない。それよりも戦前日本がアメリカにとってどれだけ手強い相手だったか、そしてそれだけ手強い敵を相手にしながらアメリカがどのように勝利を得ることができたのかということにある。つまり、『この敵は危険である。この敵は決然としている。しかしこの敵もまた打ち負かされるのである』という点が大切なのである。

最終的にアメリカ合衆国は第二次世界大戦に勝ちました。そしてアジアではもう二つの戦争で戦いました。この会場においでの多くの退役軍人のみなさんがそれらの作戦の帰還兵です。しかしみなさんのなかで最も楽観的な人たちですら、日本がアメリカにとって最も強く最も誠実な同盟国として生まれ変わるとは思いも寄らなかったことでしょう。また韓国が敵の侵略から立ち上がって世界でも指折りの経済国となることやアジアが貧困と失望から抜け出し自由市場を抱擁するようになるとは予測していなかったでしょう。

アジア発展の教訓は自由への願望は否定できないということです。いちど人々が少しでも自由を味わったなら、(人々は完全に)自由になるまであきらめないということです。 今日のダイナミックで希望に満ちたアジアは…アメリカの存在と辛抱強さなくしては不可能でした。本日この会場にお集りの帰還兵のみなさんなくしてはあり得なかったのです。みなさんのご奉仕に感謝もうしあげます。(拍手)

ブッシュの演説で大事なのはこの先だ。ブッシュ大統領は戦後日本の民主化と復興について、日本の天皇制や、神道や、女性に対する考え方の違いなどを理由にどれだけ多くの人々が日本人をばかにして、その才能や実行力を過小評価していたかを羅列した後、それぞれの考えがどれほど間違っていたかを指摘している。

日本の降伏後、多くの人が日本事態を民主主義に生まれ変わらせようなどという考えは甘いと考えました。今と同じように自由とは相容れない民族がいるのだと批評家は主張しました。

日本は文化的に民主主義とは共存できないと言いました。ハリー・トルーマンの下で勤めた前アメリカ日本大使のジョセフ・グルーは大統領に「日本で民主主義は絶対にうまくいかない」と断言しました。…
また、あるひとたちはアメリカは自分たちの考えを日本に押し付けていると批判しました。例えば日本女性に選挙権を与えることは「日本の政治的発展を遅らせるものだ」と言い切りました。

ここでブッシュ大統領は女性の選挙権を薦めるマッカーサー元帥が、日本女性は伝統的で男性に従順すぎるため夫と独立した政治的な考えなど持つことはないと、多くの専門家から批判された事実をその回顧録から紹介した。

今日、日本の防衛省大臣は女性です。しかも先月行われた参議院選挙では史上最高の女性議員が当支援しました。(拍手)
信じられないことですが、日本の国教のせいで民主主義は成功しないと主張した人がいました。 神道は熱狂すぎて、帝国の深く根付いているというのです。リチャード・ラッセル上慇懃は日本人の宗教を非難し、天皇を裁判にかけなければ「民主主義へのどのような努力も失敗する運命にある」と言いました。…
神道と民主主義が共存できないと主張した人々は間違っていました。幸運なことにアメリカにも日本にもそれが間違っていると分かっていた指導者がいたのです。神道を弾圧するのではなくアメリカ政府は日本人と一緒に日本における宗教の自由を設立したのです。天皇制を廃止するかわりに、アメリカ人と日本人は天皇が民主主義社会で占める適切な立場を考え出したのです。
その結果、すべての日本人が宗教の自由を獲得し、天皇は日本の民主主義の象徴として強く育ち日本文化の貴重な一部として受け入れられています。今日、日本は批評家や猜疑心や懐疑心んをもっていた人々に立ち向かい、宗教と伝統文化を保ちながら世界でも偉大なる自由社会となったのです。(拍手)

こうして読んでみるとブッシュ大統領は戦前の日本を理解していないどころか、専門家といわれた歴史家や政治家たちなどよりも、よっぽども日本を理解していることがわかる。
ブッシュ大統領はこの後、朝鮮戦争やベトナムを引き合いに出し、歴史上からみて世界に民主主義を広める考えは正しいこと、専門家の悲観的な考えは得てして間違っていること、イラク戦争を最後までやりとげ、イラクに民主主義をもたらすことの大切さを強調した。
朝日新聞がいうように、民主党や反戦派の間からはブッシュの歴史観は間違っているとする批評は出ている。しかし、ブッシュ大統領の言ったことを誤解してか故意にわい曲してかしらないが、ブッシュ大統領が戦前日本とアルカエダを同一視したなどというデマを流すのはやめてもらいたいものだ。それにしてもアメリカの主流メディアも記事を装って自分の偏向意見を述べるのことはよくあるが、朝日新聞に比べたらずいぶんと大人しいものだ。
関連エントリー:ブッシュ大統領の演説、イラク撤退はベトナムの二の舞いになると主張


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イラク新作戦はうまくいっている! イラク帰還兵が7人の駐留兵に反論

前回に紹介した空挺隊82部隊7人のイラク状況に関するコラムに対して、以前にも紹介したVets for Freedomの7人が反論しているので、今日はそれを紹介しよう。
お互いイラク戦地で危険な任務を体験した兵士同士、VFFの7人は空挺隊の7人に対して非常な敬意を示しながらも、彼等の考えは間違っているという。82部隊はまだ二か月しかたっていないCOIN作戦の効果を目の当たりにしていない。82部隊の7人が新作戦がうまくいっているように感じない理由は、彼等の駐留している場所では、まだ新作戦が起用される以前のバグダッドの状態が続いているからなのだとVFFの7人は語る。
82部隊が勤務している場所はイラク国内でもAdihamiyah と Sadr Cityという非常に危険といわれている場所である。この二つの地域はアルカエダとマフディの最悪の人間が集まっている場所であり、まだ始まって二か月しかたっていないCOIN作戦の効果が現れていないというのが現実だ。現在アメリカ軍とイラク軍はバグダッド南部の掃蕩に当たっており、それが済み次第82部隊のいる北側に目を向ける予定である。

これらの兵士らが体験した宗派間争いや無法状態や無差別殺人といったことはむろん正確で正直な状況表現ですが、これはどちらかと言えば増派前のバグダッドの状態といえます。

しかしイラクの他の地域やバグダッドの大半ですらも、もうこのような危険な状況ではなくなってきているとVFFの7人は言う。アメリカの増派は首都の周りから始まり自爆テロや自動車爆弾の犯人たちの温床を潰した。その結果、市民へのアルカエダによる攻撃は5割も減り、この六か月で最低の数となった。

アンバー地区の例をとって見てみましょう。2006年にはアルカエダがラマディの首都を占拠し海兵隊の諜報員は地区は事実上負けたと宣言しました。漏えいした海兵隊の報告書によれば、「西アンバー地区を安定させる希望は非常に暗く、米軍は政治的にも社会的にも状況を好転させられる希望は全くもてない。」とありました。

しかし今日、ラマディは平和となり、アンバーはもはやアルカエダの温床地ではありません。ラマディーとアンバーの部族はアメリカ軍によって治安安定が向上したことから、政治的な和解と安定によって目をさましつつあります。アメリカはラマディを掃蕩しただけでなく、65か所を占拠し保持しているのです。

ここで以前にも紹介した対反乱分子作戦、COINの原則を思い出してみよう。

  1. 兵を一地区に集中させること。テロリストは自動車爆弾などを使って少人数で大規模なダメージを起こすことができるが、政府軍は大人数の軍隊を使っても広範囲に散らばっていてはとてもとても市民ひとりひとりを監視することなどできない。そこでガルーラは守る地域を、白、ピンク、赤という地区に分けた。白とは政府の統括下にある地域、ピンクはゲリラと政府が競争している地域、赤は完全にゲリラが制覇している地域。対反乱作戦を成功させる鍵は、ピンクを白に、赤をピンクへと、一区画づつ地道に変えていくことにかかっている。
  2. 継続的で目立つ軍事的防御体制。地元市民が常に安心してたよりにできる民間および軍事的な施設の存在は反乱軍を牽制し地元民の信用を得るための必要不可欠な要素である。正規軍が常に監視に目をひからせパトロールを継続させゲリラの潜入を絶対に容認しない。テロリストは厳しく処罰し、市民の協力を報酬などを使って奨励する。これによって地域は安定を保つことができるようになる。
  3. 勝利は確実と市民に確信させること。地元の人々は政府と政府軍が結果的には勝つと確信しなければならない。そのためには地元軍の存在は必要不可欠である。なぜなら駐留軍がいなくなった後でもこの平和は継続される、生活の基盤は崩れないという信頼感がなければ市民は安心して政府に協力などできないからだ。

このなかでも2)と3)は地元の市民たちからアメリカ軍への協力を得るのに必要不可欠な条件だ。VFFの7人はスンニ部族たちがアルカエダにようやく立ち向かう決心んをしたのも、この状況が起きているからだと主張する。そしてこの状況はアンバー地区をこえてディヤラやバビル地方にも広がっているという。

第82空挺隊のメンバーはイラク人が「我々に必要なのはただ飯ではなく安全だ」と語ったと書いています。まさしくその通りです。そしてアメリカ軍やイラク軍が今していることはまさにそれなのです。この戦争において初めてイラクの地元レベルで反乱分子を追い出し継続的な治安維持を提供しているのです。

VFFの7人も空挺隊の7人と同じようにイラク政府の進展には不満を抱いている。そしてイラクでの政治が進展するのもイラク国内の武力紛争の解決があってのことだと言う点では空挺隊と全く同意見だ。

私たちは同胞兵士らの不満は非常によく理解できます。我々は皆、治安維持を基盤とした分かりやすい対反乱分子作戦が取られる「増派」前のイラクを経験しています。…
しかし私たちはほんの僅かでも対反乱分子作戦が起用されただけで何が可能となるかも知っています。敵は暴露され指導者たちが立ち上がり安定が訪れるのです。デイビッド・ペトラエウス将軍とライアン・クローカー大使は対反乱分子作戦の基本をよく理解し起用しています。…第82空挺隊がまだこの新作戦の恩恵を授かっていないのは残念です。しかし彼等の任務がこれを実現させ戦闘に散った同胞の死は決して無駄にはなりません。
第82空挺隊の戦火における勇気に拍手をおくり、彼等の国家への忠誠心に感謝の念をあらわしたいと思います。同時に負傷した著者の一人の早期回復をお祈り申し上げます。

先の欄を書いた空挺隊のメンバーに将校はいない。そして今回の記事を書いたVFFのメンバーは皆将校の位だ。現場で一番危険な目にあわされるグランツと呼ばれる下士官以下の位にいる兵士らと将校とでは同じ戦争をやっていても見方が違う。これは兵はいわれた通りのことをするだけだが、将校は全体的な作戦を考える立場にあるからだ。兵にはどうして自分らが特定の任務についているのかはっきりわからないことが多い。特に自分らの身に危険が及ぶ場合には実際に自分らのやっていることに価値があるのかどうか疑わしくなっても当然だろう。
危険なのは自分らのいる場所だけを見て、戦地全体がそうであると解釈してしまう点だ。これは私がイラク人のブロガーの書いていることを読んでいても感じることなのだが、イラク全体の状況を知るにはかえって一歩下がった場所にいた方がわかるといった場合も多々あるのである。
ところでVFFの反論は最初、空挺隊の意見を掲載したニューヨークタイムスに投書されたが、ニューヨークタイムスは掲載を拒否したためウィークリースタンダードが掲載した。反戦派に都合のいい兵士の意見は聞くが、戦争を支持する帰還兵の意見は無視というのはアメリカ主流メディアにはありがちなダブルスタンダードである。


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イラク新作戦はうまくいってない! イラク駐留兵が語るイラク状況

イラク状況について語るには、はやり現地で実際に戦争をやっている軍人たちの意見を聞く必要がある。そこでカカシは二回に分けてペトラエウス将軍の対反乱分子作戦(Counter Insuregency, COIN)が現地でどのような効果をあげているのか、現地からの意見を紹介したいと思う。
今日は8月20日のニューヨークタイムスに掲載された、イラクから15か月の任務を終えて帰還を間近に控えた陸軍第82空挺隊の下士官7人が共同で書いたコラムを紹介しよう。

帰還をまじかに控えた空挺隊の一部隊として、我々は最近メディアが表現しているようなイラク紛争が序々にまとまりがつきそうだという考え方には猜疑心をもっており、我々が毎日のように見てきた内乱や政治的な不安定さを無視したものだと感じます。

7人は戦場がアメリカのコントロール下にあるという考え方は、単に戦場が別の場所に移ったというだけの状況を無視した間違った考え方だと語る。著者はイラクにはアルカエダ、スンニ過激派、民兵、犯罪者といった色々な役者がおり、彼等の忠誠心にはそれぞれまちまちだとし、イラク警察やイラク軍といった我々アメリカ軍が訓練している人員ですら我々は安易に信用できない事実を指摘している。

例えば数日前の夜、イラク軍の関門と警察署の間で爆発した爆弾によってアメリカ兵一人が死亡、二人の兵が重傷を負うという事件を目撃しました。地元イラク市民はアメリカ人の捜査官にイラク軍人と警察官が犯人を案内して爆弾を仕掛けるのを手伝ったと証言しました。これらの地元市民の証言は爆弾が爆発する前にアメリカ軍に通告していたなら、イラク兵や警察や地元シーア民兵に家族を皆殺しにされる運命にあったことを暴露しました。

シーア地区だけでなく、スンニ地区でも同じようなことが起きていると著者は言う。スンニ派はシーア民兵やシーアが多数を握る政権から自分らを守るためには自分達が結束してスンニ民兵を組織することにあると考えはじめた。アメリカ軍はアルカエダと戦うためにこれらのスンニを武装しはじめた。COIN作戦には地元民を駐留軍の代理として使うことが大事だが、この代理の忠誠心は必ずしもアメリカ軍にあるとは限らない。確かにスンニ民兵らは対テロ戦争には効果をあげてはいるものの、一旦武装したスンニ民兵がアメリカ軍撤退後の将来、イラク政府と衝突しないとは誰も言い切れない。
つまるところ、敵が誰なのか、味方が誰なのかさえも分からないような状況で、前線は混乱状態にあるという。彼等のいる場所がいかに危険かを象徴するかのように、この記事の著者の一人が途中でパトロールに出て頭を撃たれて避難するという事件が起きた。このような状況にあってイラクの治安情勢をアメリカ中心の見解で判断するのは危険だと著者らは語る。

アメリカからの視察団が以前に危険だった町で安心して歩き回ることができるというようなことではイラクの治安向上の確たる証拠とはいえないのです。問題なのは地元市民の体験と我々の対反乱分子作戦の未来です。この見方をすると大多数のイラク人が不安を感じており、四年間もかかってまったく平常な状況をもたらすことのできなかった占領軍と見るようになり、今後もそのようなことはできそうにないと考えているのです。

またアメリカ側がイラク政府がもっと責任をとるようにと圧力をかけるのも逆効果になっていると7人の著者は言う。イラク政府はこれまでフセイン時代に弾圧されていたシーア派が大多数を占めているので、彼等は自分達が得た権力をどうやって守り通すかに必死であり、イラク統治など興味がないと著者らは考えるらしい。イラク政府のまとまりのなさの原因として、著者らはアメリカ政府のおかした1)バース党員の排除、2)イラク軍の解散、3)緩やかな連邦制の起用、といった三つの間違いが、シーア派の自分勝手な意図とアメリカとの間ですれ違いが起きているというのである。
ただ著者らが言うイラク政府の政策はアメリカ政府が期待するような基準や時間表で起きるのではなく、イラク人がイラクにとって適していると考える方法で起きるという考え方にも、イラク政権のまとまりがつくのは、軍事的な紛争が解決した後だとする考え方にもカカシは同意できる。

四年間に渡る占領で、我々はすべての約束に失敗しました。…私はあるイラク人から「我々に必要なのはただ飯ではなく安全だ」といわれました。…我々の存在がイラク人を独裁者から解放したかもしれませんが、それと同時に我々はイラク人の自尊心を奪ったことにも気が付かねばなりません。我々は彼等の尊厳を取り戻すためには自分達を占領軍であると認め、撤退をせざる終えなくなるでしょう。…

我が軍の士気について語る必要はありません。敬虔なる兵士として我々は任務を必ず遂行させます。

実際に現地で同胞を失いながら命がけで戦っている兵士らの言うことであるから、これは現地の状況を全く知らない反戦派の意見のように意味のないものとして無視することはできない。確かに現地では難かしい状況が存在している。以前にサドルシティから報道していたマイケル・トットンもシーア派民兵がイラク軍に大分入り込んでいる事実を書いていた。またこれまで敵としてみていたスンニ反乱分子をアルカエダと戦ってくれているからといって安易に信用するのも危険だというのはよく分かる。
これについて、別のグループのイラク帰還兵が反論しているので、それは次回に紹介しよう。


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