オリンピックは弁当持参のアメリカチーム

The English version of this entry can be found here.
中国からの危険な製品や食品の話はこのブログでの何回か取り上げてきたが、次から次へと危険物が入ってきて、今後もそれがおさまる気配は全くない。ここ数カ月の間で起きた事件だけを取り上げてみてもこんなにある。

  • 中国製冷凍餃子に含まれていた殺虫剤で子供を含む何十人も日本人が中毒を起こす。死者が出なかったのも日本の救急医療施設が行き届いていたおかげで、日本の医学が中国並みだったらどれだけの人間が死んでいたか分からない。
  • ほんの数日前、中国のレストランで工業用の塩、亜硫酸塩を使って客が二人死亡、何十人が入院するという事件が起きた。
  • 去年にも食塩が足りなくなって近くの工事現場から亜硫酸塩を借りてきて肉料理に使った料理を食べて男の子が即死した事件があったばかり。
  • そしてアメリカでも中国製の血液製剤グロブリンでアレルギー反応をだした患者が4人死に、何百人という負傷者がでた事件などがある。これも日本の餃子事件と同じで中国は自分らの非を一切認めていない。

中国の大気や水汚染は相当なもので、川など汚染がひどくて乾ききっているというではないか。こんな汚い国で作られる食品など安心して食べられるはずがない。これではアメリカのオリンピックチームが選手の食べるすべての食料品をアメリカから持参することになったというのも納得がいく。

8月に開催される北京オリンピック(五輪)の際、米国代表チームはすべての食材料を中国の外から持ち込むことにした。

米オリンピック委員会(USOC)は、牛肉・豚肉・鶏肉などの肉類2万5000ポンド(11.3トン)をケロッグやタイソンなど米大手食品企業の支援を受けて北京に空輸する計画だと、米ニューヨークタイムズ(NYT)が9日(現地時間)報じた。
米国から送られた肉類は五輪開幕2カ月前に現地に到着する。 その後、徹底した税関検査を経て、600人余の米五輪代表チームが到着する3週間前、USOC側に引き渡される予定だ。

中国政府はこのアメリカの決断に顔を潰されたとかなり憤慨しているという。国際オリンピック委員会の規定ではオリンピック村への食料持参は禁じられている。それというのもオリンピック村と契約を結んでいる食品やレストラン業者の利益を守るということと、外部から違法の筋力増幅薬などが持ちこまれるのを防ぐのが目的だ。アメリカはその規則にひっかからないようにオリンピック村の外にある学校の敷地を借りるらしい。
実際には中国で売られている食品は危険なだけでなく、信じられない量の違法薬剤が平気で含まれているのだという。

USOCの関係者は、2年前から現地調査を行ってきた結果、こうした決定を下した、と明らかにした。 中国産の鶏肉に禁止薬物のステロイドが多量に含まれていることを確認した、ということだ。

NYTはこの関係者の話を引用し、「選手がこの鶏肉を食べた場合、薬物テストで引っかかる可能性もある」と報じた。これだけではない。 他の多くの食品も殺虫剤や不法薬物で汚染され、米国選手が現地の食品を食べた場合、病気にかかる危険もあると、USOCは判断した。

アメリカですらこうなのだから、中国で日本の運動選手やファンたちが暴力を振るわれるような国に、日本が中国へ選手を大量に送り込むのはさぞかし心配なことだろう。この間の毒餃子にしたとこで、事故なのかテロ行為なのかまだはっきりしていない。日本で中国オリンピックをボイコットすべきだという意見がでるのは当然だ。
中国において偶発的に起きる食中毒だけでなく、カカシは中国政府が意図的に外国人チームの食事に毒を盛ったり違法薬剤を投入して薬物テストにひっかけて失格させようという策略があるのではないかと勘ぐりたくなる。これまでの中国の反日感情を考えるとまんざら被害妄想では片付けられないと思う。
これまでも日本のサッカーチームが中国でひどい仕打ちを受けた話はいくつも聞いているが、この間のアジアカップでの日本対中国の試合はひどいものだった。これは坂さんのところで読んだのだが、YouTubeのビデオをみてみると、坂さんの文章を読んで想像していたよりずっとひどい試合だった。
この試合中、中国選手は日本選手を殴る蹴るはもとよりタックルだの首を締めるだのひどいったらない。それを北朝鮮のレフェリーは完全に見て見ぬ振り。イエローカードがたった3回出ただけでレッドカードはゼロ。

 

 

(Here’s the YouTube link, if you cannot see the video here.)
よくぞこれで勝ったと声援を送りたい!
さて、アメリカの食料持ち込み宣言に怒った中国は海外からの食料持ち込みを禁止する方針を明らかにしている。関税あたりで差しとめて没収するつもりらしい。
もしそのようなことが起きたら、私は正直いってアメリカチームは選手一同回り右してかえってくるべきだと思う。中国政府が外国人選手たちの安全を保証できない以上、こんなゲームに参加すべきではない。日本も食料持ち込みを拒否されたらオリンピックはボイコットすべきだろう。日本の選手のほうがアメリカの選手よりもずっと危険な状態にさらされているのだから。
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人権擁護法反対! 米アファーマティブアクション制度のえじきにされる企業

今日は昨日の続きで、米国のアファーマティブアクション制度(AA)が、職場でどのような悪影響を及ぼしているかについてもう少し詳しくお話したいと思う。昨日も書いたが大事な点なのでもう一度繰り返そう。

AAは才能のあるなしに関わらず、ある企業はある一定数の少数民族や女性を雇わなければならない、それだけでなく、昇進の時でも人種や性別を考慮にいれなければならない。仕事のできない少数民族や女性でもやたらに解雇できないといった非常に厳しい規制がある。こうなってくると企業は少数民族や女性を雇う利点を見いだすことができない。かえって少数民族や女性には迷惑な政府介入なのである。

どなたかからのご指摘があったように、AAは連邦政府の方針であって法律ではない。従って企業はAAを自主的に取り入れているだけであって、政府からその適用を強制されているわけではないという意見がある。こういう見方は厳密ないい方をすれば一見正しいようにも見えるが、実は現実を無視した非常に不誠実な議論なのである。

昨日もお話したように、アメリカには企業が雇用昇進解雇などにおいて差別をしているかいないかを監視するEEOCという連邦政府機関がある。ある企業で差別を受けたとする従業員は直接訴訟をおこすのではなく、先ずこのEEOCに相談に行く。EEOCはその訴えが正当であるかどうかを審議し、正当であると感じた場合にはEEOC自体が市民の税金を使って企業相手に訴訟を起こすことができるのである。この点はカナダの人権擁護審議会(HRC)とちょっと似ている。

ただカナダと違って、EEOCはアメリカの法廷に頼るため必ずしも理不尽な結果になるとは限らないのだが、ここで被告が敗訴した場合、もしくは敗訴を恐れて示談になった場合、法廷が企業に課すのは罰金の他にアファーマティブアクションの適用の強制である。裁判で企業が満たさなければならない条件が取り決められれば、これは法律と同じで政府に強制力も施行力もある。ということは、アファーマティブアクション法という強制的な法律がないとはいうものの、実質的には企業はこの規則を強制されるということになるのだ。

このような例がいくらでもあるので、訴訟例を見ながら考えてみよう。

1997年テキサコ訴訟: 1994年に6人の黒人社員がテキサコ(石油会社)を相手に自分達が得るべき昇格や昇級がないのは人種差別のせいであるとしてテキサコを訴えた件。彼等の弁護士はテキサコには組織的な人種差別があると加えた。黒人市民団体のNAACP とクリントン政権時代のEEOCの支持を受け、1400人以上の黒人社員が訴訟に参加。恐れをなしたテキサコは1997年に示談に同意。1億7千6百万ドルの損害賠償を支払うことになった。この損害賠償の中身には次のようなものであった。

(a) 1億1千5百万は1400から1500人の少数民族社員に支払われる。
(b) 2千万ドルは少数民族社員の昇給にあてがわれる。
(c)3千5百万は新入社員が強制的に受けさせられる「多様性を気づかう訓練」 にあてがう。
(d) テキサコの原告が選び法廷の承認を得た人員で平等公正委員会を設立し、この委員会が差別的なテキサコの企業経営を是正する権力を持たせる。

2000年、コカコーラ訴訟: 4人の黒人社員が給料が低すぎる差別を受けているとしてコカコーラを訴えた訴訟で、コカコーラはこれも示談の条件として黒人社員全員の給料をに直すことに同意した。
損害賠償は約1億9千2百5十万ドル。そのほかに少数民族のクォータ制の適用や、特定の市民団体への寄付や贈り物までが強制された。しかしこの市民団体というのは得体の知れない少数民族の経営する慈善事業とは名ばかりの左翼団体がほとんど。また、一部の少数民族企業が優先にコカコーラから契約が取れるなどという条件までついていた。

私が最初に説明した雇用昇格解雇の規制はこのような訴訟の結果企業に課せられるものである。このようにして適用されるアファーマティブアクションのどこが「自主的」なのだ?

このような人種差別をしているとして訴えられることを防ぐために防衛の意味でAAを適用する企業もある。しかしAAという方針を適用していれば訴えられる可能性が減るのだからかえってAAは企業の役にたっているのではないかという議論は「盗人猛々しい」としかいいようがない。これはやくざが守ってやるから所場代払えよ、といってる恐喝となんら変わりはないのである。

しかし、逆差別をされたとして訴えを起こして勝っているケースもあるのだから、一概にAAを適用することが企業にとってプラスになるとは限らないのではないかという意見もある。しかしAAを適用しないことで起きる訴訟と、逆差別を問題にしてたまに起きる訴訟とを比べたら、差別を理由に訴えられるほうがよっぽども多いし損害も大きい。企業の経費として考えた場合、AAを取り入れておいたほうがよっぽども安全だ。第一法廷がAA適用を命令した場合には企業には選択の余地はない。

これで「アファーマティブアクションという企業に強制力を持つ法律など存在しないとか、企業は自主的にAAを適用している」という理屈がどれほど空々しく虚しく不誠実なものであるかお分かり頂けたと思う。


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人権擁護法反対! アメリカの悪制度アファーマティブアクションに学ぶ

お断り:このエントリーは数時間前に掲載したものを訂正して書き直したものです。特定の人物への個人攻撃のような内容があったのでその部分を削除しました。数時間前の内容と多少違う面があることをご了承ください。
米国で少数民族や女性が大学への入学や就職の際に不当な差別を受けないようにと設けられた制度にアファーマティブアクション(AA)というものがある。これについて私は何度かその悪質な特質について、大学入試や就職の際に特定の少数民族が優遇される人数枠組みを決めたいわゆるクォータ制を例にあげて、ここやここで述べてきた。
私の説明するような形ではアファーマティブアクションは存在しないと主張する人もいる。厳密な意味でアファーマティブアクションという法律が存在しないと言うのは正しい。AAは連邦政府の方針であり、その適用は州単位でそれぞれの地域が自分らに見合ったと思われる規則を設立して行うことになっているからだ。しかしAAを適用するために設立された規制や規則は私がいう通りの結果を生んでいるのであり、そんな法律は存在しないから、カカシのいっていることは真実ではないという言い方はそうした現実を無視した非常に不誠実な意見である。
AAには良い面もあれば悪い面もあると主張する人は、アウトリーチ(勧誘)という制度に重点を置いて話をしている。アウトリーチとは、普通では大学入学などには不利な立場にいると思われる少数民族が一流の大学に入れるように種々の方法で援助をするというのが建前になっている。だが、時間もお金も手間もかかるアウトリーチなどという制度は簡単に適用できるものではない。結果的に簡単に適用出来るクォータ制度が優先し、アウトリーチなど現実の日の目を見ないのが普通だ。つまり建前はどうあれ、現実的にはAAの適用は少数派優遇のクォータ制となったり、アウトリーチという名目で少数派受験生の成績が水増しされたりする形で落ち着いてしまうのである。だから私に言わせればAAに良い面など存在しない。
悪法アファーマティブアクションが生んだ訴訟例:
AAの悪質な制度は1961年の創設当時から問題になっていた。1969年には当時のニクソン大統領が、AAの目的は差別廃止の「目的と予定表」(goals and timetable)であって、少数民族優遇システムであってはならないと説明しなければならないほどだった。しかし、その不公平な適用は1970年代から最近では2001年に至るまであちこちで訴訟の対象となっている。
最初にアファーマティブアクションによる不公正な大学入試制度に関する訴訟を紹介しよう。私は以前にアメリカの大学入試システムをこのように説明した。

大学入試を例にして説明すると、大学入学の際、少数民族だからといって入学を拒否されないように、新入生の人種の枠をつける方針が多くの大学で取り入れられた。 この枠組みはアメリカ社会の人口比率が参考にされており、詳細は学校によって違うがここでは便宜上黒人20%、ラテン系10%、東洋系10%、白人60%としておこう。 ここで問題なのは大学志願者の比率が社会の人口比率とは一致しない点である。 これは文化の違いによるのだが、黒人やラテン系の若者が大学へ進む比率は東洋人や白人のそれよりもずっと低い。 ということは同じ大学へ志願しているにもかかわらず人種によってその倍率が全く違うということになってしまうわけだ。

下記の訴訟例を吟味してみよう。
1979年、カリフォルニア州立大学対バッキー(the University of California v. Bakke): 大学の不公平な入学制度に挑戦した一番有名な訴訟は、1979年にカリフォルニア州立のデイビス医学大学においておきた。当時UCデイビスでは、100人中の16人は少数民族のためにとっておくという人員枠を決めており、入学の基準も少数民族と白人学生とでは全く違う二重基準になっていた。アラン・バッキーという白人学生は自分よりも成績の劣る少数民族の学生が合格したのに自分が入学を拒否されたのは人種差別であり、憲法違反であるとして大学側を訴えた。
合衆国最高裁判所は、人種が大学入試基準の一部として考慮されることは正当だが、融通のきかない人員枠決めは正当ではないと判決をくだした。
1996年、カリフォルニア州、提案209条: 1990年代の後半からカリフォルニアを中心に、アファーマティブアクションによる不公平な大学入学システムを廃止しようという運動が起きた。カリフォルニアの黒人ビジネスマン、ワード・コネリーは1996年に特定の人種や性別を優遇する入学システムを全面的に廃止する法律、提案209条を提案。カリフォルニア州市民の圧倒的多数の同意を得て議案は通過した。しかし、小山エミが「賛成する人などどこにもいない」といっている少数民族優遇システムを支持する運動家らが、この法律は憲法違反だとして州を相手に訴訟を起こし、一旦は地方裁判所(U.S. District Court)で議案の施行一旦停止判決がでたが、後の高等裁判所の審査によって(9th Circuit Court)判決は覆され法律として成立した。しかしその後も少数民族女性優遇システムを支持する人々の間からこの法律への訴訟は後を絶たない。
ところで、この法律が通って以来、バークレーのような一流大学への入学生は減ったが、カリフォルニアの州立大学全体では少数民族の卒業率が増加した。つまりAAによって自分の能力にあわない高度な大学へ行って落ちこぼれていた少数民族の学生たちが、自分の能力にあった大学へ入ったため、卒業率が増えたということだ。いくら一流大学へ入っても、ついていけずに落ちこぼれるくらいなら、二流大学でもちゃんと卒業したほうがいいに決まっている。AAの少数民族優遇制度がいかに少数民族を傷つけてきたかという証拠だ。
1996年、ホップワード対テキサス大学法律学校(Hopwood v. University of Texas Law School):シェリル・ホップウッド並びに三人の白人受験生がテキサス大学のアファーマティブアクションに挑戦して起こした訴訟。ホップウッドたちは自分たちが入学を拒否されたのは学力が劣るにも関わらず一部の少数民族が優先されたからだと主張。 その結果、法廷は(the 5th U.S. Court of Appeals)は大学のアファーマティブアクションによる入学制度を差しとめるように命令し、同時に1978年のバッキー訴訟で、人種が入学審査の際に考慮に入れられるのは正当であるとした判決は不当であったと裁断した。これが原因でテキサス州は1997年から入学審査に人種中立の制度を取り入れることになった。
2003年、グラッツ、ハマチャー/グラッター対ミシガン州立大学 Gratz and Hamacher / Grutter v.The Regents of the University of Michigan
2003年に最高裁判所が下した判決は、ミシガン州立大学のAA制度に対する二つの訴訟がもとになっている。ミシガン州立大学と法律学校の双方で、人種を基準にした大学受け入れ制度は憲法違反であるという訴えが起きたが、地方裁判所は人種が入学基準の一部の要素となることは正当であると判決をくだした。ただし大学のほうで少数民族の受験生に水増し点があてがわれる制度は改正されるべきであるとした。後に最高裁は人種を考慮することは憲法違反であるとすでに判決が出ていることから、この判決は覆された。
不公正な就職制度
AAが適用されるのは大学入学審査の時だけではない。就職や職場での昇格や解雇の時などでも考慮される。私はそのことについてこのように説明した。

AAは才能のあるなしに関わらず、ある企業はある一定数の少数民族や女性を雇わなければならない、それだけでなく、昇進の時でも人種や性別を考慮にいれなければならない。仕事のできない少数民族や女性でもやたらに解雇できないといった非常に厳しい規制がある。こうなってくると企業は少数民族や女性を雇う利点を見いだすことができない。かえって少数民族や女性には迷惑な政府介入なのである。

これに関して企業におけるアファーマティヴアクションはあくまで企業が自主的に行なうもので、それを強制するような法律は存在しないという人がいる。これも厳密には正しい。しかしここでどうして企業が自主的にAAを起用したりするのか考えてみる必要がある。AAの実施は企業にとって合理的でも経済的でもない。ではなぜそんなことを強制もされていないのにやるのか?
アメリカではAAとは別にEqual Employment Opportunity Law (EEO)という職場での差別を禁じる法律がある。職場で差別を受けたと思う従業員はEEOCという連邦施設に苦情を訴えられるようになっている。企業が差別訴訟を避けるための予防対策としては、AAを自発的に適用することが最善の方法なのだ。つまり、「わが社はAAを取り入れており人種差別はしておりません」と言うように。
しかし州立の大学でさえアウトリーチなどという面倒くさいことが出来ない以上、企業でのAAでそんなことが出来るはずがない。であるから必然的に簡単なクォータ制度が取り入れられてしまうわけだ。1000人の従業員のうち黒人が一人しかいないという企業はたとえ偶然そうだったとしても、黒人の市民団体から人種差別をしていると訴えられかねないし、やたらに黒人を解雇すれば、黒人差別だといってまたまた訴えられる恐れが十分にあるからだ。
これがどのような結果を生むか、これも訴訟例をあげて吟味してみよう。
1986年、ワイガント対ジャクソン教育委員会(Wygant v. Jackson Board of Education): 少数民族の教員を守るために、年功では勝る少数派でない教員が先に解雇されたことで教育委員会が訴えられた訴訟。最高裁判所は教育委員会の少数民族を保護する目的でも少数民族でない教員から解雇するというのは、雇用の際に少数民族を優遇するというのとは違って、個人に与える損害は大きく正当化できないとして勝訴となった。
AA方針は法律ではなく企業が自発的に適用するものだというが、AAを導入していない公営施設は存在しない。つまり、公務員は必然的にAAの元に生きることになる。それでなくても解雇が難かしい公営施設は民間企業よりも神経質にAA方針を貫こうとする。AAは法律ではないから強制されているわけではないという議論がどれほど空しいかが良く分かるはずだ。
さて、AAそのものに行使力はなくても、裁判所によってクォータ制度が強制されるという例がある。
1987年、合衆国対パラダイス(United States v. Paradise):
アラバマ州の公共安全局(the State of Alabama Department of Public Safety )では組織的に黒人差別をする傾向があるとして、何度も訴えられた。その結果裁判所は、局の従業員の25%が黒人になるまで、白人が一人雇われるごとに一人の黒人が雇われるか昇格されなければならないとした。このクォータ制は上訴されたが、この場合は極端な人種差別を是正するためにやむ終えない処置であったとして維持されるべきと判決が下された。
雇用や昇格にクォータ制度を用いなければならないという法律が存在しなくても、このように裁判所が企業に制度を強制することが出来れば、法律と同じ機能を果たすわけだ。
AAにはほかにも悪い点があるのだが、長くなるのでそれはまた別の機会に続けよう。とにかく、人種や男女差別を廃止する目的で作られた制度が、結果的に一部の少数民族や女性優遇のシステムになってしまったという例として、アメリカのアファーマティブアクションからは、今人権擁護法を考えている日本社会にとって良い反面教師となるはずである。


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人権擁護法など必要ない。差別は自由市場が解決する。

私は何度も差別をなくす法律など存在しないと主張してきた。差別をなくすためには差別主義の法律を取り除くことによって、後は市場に任せ、なるべく政府が介入しないことが一番いいことなのだと私は信じている。私は自由市場が差別をなくすことにつながるという話は下記のように何度もしてきた。
日本とアメリカ、共通する差別問題と落とし穴
なんで左翼は自分を左翼と認めないのか?

以前に私は人種差別にしろ男女差別にしろ政府が差別する(女性は何々の仕事についてはいけないとか、黒人はどこそこの公立学校に入学できないといったような)法律さえ取り除きさえすれば、あとは市場が解決してくれると書いた。これは女性や黒人の賃金が白人男性よりも安ければ人種や性別にこだわりのない雇用主が人件費節約のために優秀な黒人や女性を雇うようになるからで、他の企業が人件費が高すぎて経費がかさんで最初の企業と競争できないとなれば、こちらの企業も黒人や女性を雇うようになる。多くの企業が同じことをはじめれば黒人や女性の需要は高まり自然と給料も上がり、そのうち才能のある黒人や女性は白人男性と同等の給料をもらえるようになるというわけだ。

ただ、市場の解決には時間がかかる。市場が人種や男女の差別をほぼ取り除くまでには10年や20年は平気でかかるだろう。だからそういう状況を見ていると差別廃止の速度を早めるために誰かが手助けする必要があるという考えが生まれるのは十分に理解できる。これについて、例の自他共に認める左翼系リベラル、レズビアンフェミニスト(でも絶対マルクス共産主義者ではないと主張する)小山のエミちゃんはこのように語る

…こういう説明が経済学的に間違いであることは、過去エントリ…で解説している。簡単にまとめると、差別にはここでカカシさんが想定しているような「経済合理性の観点から言って非合理な差別」(経済学用語でいうと「選好による差別 taste-based discrimination」だけでなく、経済合理性にかなった「合理的(ここでは、それが正当であるという意味ではなく、行為主体の利益を最大化するという意味)な差別」(「統計型差別 statistical discrimination」)が存在しており、前者についてはカカシさんの言う通り市場による解決が理論上可能だが、後者についてはそれでは解決できない。

要するにだ、自分が嫌いな人間とはつきあいたくないという嗜好による差別は不経済なので、いずれは自由市場が解決してくれるが、ある種の人間は統計的に見て劣っているという偏見は市場では解決できないという意味。小山エミは女性の労働者を例にあげて次のように説明している。

統計型差別というのは、集団についての統計的情報をもとに個人を判断することだ。たとえば「女性は早期退職する可能性が高い」という情報が事実なら、女性より男性を優先的に採用したり、男性に優先的に将来的な出世に繋がるような経験を積ませたりすることは経営上理にかなっている。…そうした差別については放置しておいて構わないというならそれも一つの見解ーーわたしに言わせれば、公正性に欠ける見解ーーだが、市場に任せておけば解決するという論理は経済学的に言って間違いだ。

自分が賛同できない議論は「間違いだ」と決めつけてしまうのがエミちゃんの悪い癖なのだが、ま、この際そういう下らないことは無視して現実を考えてみよう。
先ずここで考えなければならないのは、エミちゃんのいう「統計的な差別」の元になっている統計が事実であった場合、雇用主が対象の集団を差別する権利は認められるべきだということだ。もしも女性が早期退職するという傾向が事実だった場合、すぐやめる人を訓練するのは不経済だから雇いたくないと考える雇用主の意志は尊重されるべきだとカカシは考える。
もちろん、女性だからといって誰もが早期退職をするわけではない。女性でも長期就職を望んでいるひとはいくらでもいる。それが単に傾向だけで判断されるのは不公正だというエミちゃんのいい分は理解できる。しかしながら、私はこういう統計的な差別もいずれは自由市場が解決すると考える。何故ならば、どの経営者も全く同じ動機で従業員を雇うとは限らないからだ。
新しい零細企業で企業自体がどれだけ長持ちするか分からないようなところなら、短期でもいいから有能な人を安く雇いたいと思うかもしれない。そういう雇用主なら若い女性を雇うことは多いにありうる。または子育てを終わらせて長期にわたってできる仕事をさがしている中高年の女性なら結婚妊娠による退職の恐れがないため雇われる可能性は高くなる。年齢差別でスーパーのパートのおばさんくらいでしか雇ってもらえない中高年の女性は多少給料が安くてもこうした企業での就職を歓迎するだろう。
私のこのような考えは現実を無視した卓上の空論であり全く間違っているという人は、自分こそ現実を見ていないとカカシは言いたい。
最近の旅客機や銀行で働く女性の容姿や年齢層をみてみれば、20年や30年前とはかなり違うことに気付かれた人は多いはずだ。昔は容姿端麗で妙齢の女性だけしか雇わなかった航空会社や銀行だが、最近のスチュワーデス(最近は機内乗務員と呼ぶのかな?)にはかなり昔は美人だったかもしれないといった風の人が結構多い。これは無論ある程度歳のいった従業員が解雇された時に年齢差別を理由に訴訟を起こしたりしたことが直接の原因だったといえばそうかもしれないが、安い航空運賃を競い合って航空会社同士の競争が激しくなるにつれ、若くて美人の女性ばかりを雇う余裕が経営者にはなくなってきたということのほうが現実だ。
カカシが20代の頃はスチュワーデスといえば女性の職業としては花形だった。(カカシは美貌や才能では決して劣らなかった(?)のだが、いかんせん背が低かったため、涙を飲んであきらめた。笑)しかし2008年の現在、若くて美しい女性が出来る仕事はほかにいくらでもある。それに乗客も昔のように金持ちのエリートばかりではなく、カカシのようにA地点からB地点までなるべく苦労せずに無事につければいいと思ってる働き蜂が大半だ。そんな人間にはスチュワーデスが若いとかきれいだとかなんてことはどうでもいいことだ。
銀行の窓口にしてもそうだ。昔は高卒でかわいい女の子たちが雇われたものだが、最近は子育ての終わった中高年の女性がパートで雇われることは結構ある。カカシの高校生の同級生なども大手銀行で窓口をやっているくらいだ。
これは若い女性は短期で退職するという統計的事実から来る女性の雇用問題を長期就職が期待できる中高年の女性が補うという形で市場が解決したいい例である。
また、1980年代のバブルの時期に、日本企業は世界にずいぶん広く事業を進めた。当時日本国内では女性蔑視がひどすぎてまともな仕事につけなかった日本女性たちは海外へ脱出した。日本相手に商売をしたい海外企業は日本語がはなせる教養高い日本女性を競って雇った。おかげで日本女性は外資会社の従業員として日本企業の男性ビジネスマンと同等に交渉する立場にたった。
海外へ進出した日本企業が雇った地元の職員のなかにも日本を出て海外で暮らしている日本人女性が多かった。もともと日本人だから日本企業のやり方には慣れてるが、日本並みの給料を払わず地元の給料で足りるということで、海外在住の日本人女性は日本企業にとっても重宝な存在だった。つまりだ、女性は短期で退職するから雇わないという統計的な理由での差別は、このように別な形で市場が解決してくれたということである。このように海外で日本人女性や外国人女性と同等に働いた経験のある日本人男性たちによって、女性への偏見はかなり減ったのではないだろうか?それが日本国内において女性の地位が向上することに結びついているといえないだろうか?
これは決して短期で起きたことでも完璧な形で起きたことでもない。まだまだ日本において男女は同等とはいい難い。しかしながらこれに政府が介入することによって早期にもっと良い結果が生まれるはずだという考えには、政府の介入が市場よりも良い結果を生むという根本的に誤った考えがあるのである。
なぜ差別問題に政府が介入することが害あって益なしなのか、話が長くなるので続きはまたこの次。


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米イージス艦迎撃ミサイル、制御不能の人工衛星に直撃!

一週間くらい前にブッシュ大統領が制御不能となった人工衛星が落下する恐れがあるとして,弾道ミサイル迎撃システムを使ってこの人工衛星を撃ち落とす計画だと発表して以来、もしもこれが失敗したらBMDプログラムの将来が心配だとかなんと平和主義の批評家たちがやいのやいの言っていたが、昨晩見事に撃墜に成功。

スパイ衛星をミサイルで撃墜、有毒燃料タンクを破壊か

ワシントン(CNN) 米国防総省は20日、制御不可能となり、地球に落下、衝突する恐れがあった米軍事用スパイ衛星を同日の東部時間午後10時半(日本時間21日午後12時半)ごろ、海上配備型迎撃ミサイルSM3で約247キロ上空で撃墜したと発表した。
ハワイ西方の太平洋上でイージス艦「レイクエリー」からミサイルを同10時26分ごろ発射、衛星が大気圏に突入寸前の軌道で撃墜に成功したとしている。発射は1発だった。ミサイル防衛システムを用いた衛星破壊は初めて。撃墜費用は最大6000万ドル(約65億円)。
米国防総省は地球に向かっていたスペースシャトル「アトランティス」に衛星の破片が激突しないよう、フロリダ州のケネディ宇宙センターにシャトルが着陸した後に迎撃ミサイルを発射した。
破壊した偵察衛星の重量は約2.3トンで、毒性が強く発がん性も指摘されるヒドラジンを搭載。米国防総省は、衛星落下で有毒ガスが人口密集地域に拡散する恐れが出たことから撃墜に踏み切ったと説明していた。
ミサイルがヒドラジンが積まれる燃料タンクを直撃したのかは不明。タンクに命中したのかの精査には24時間掛かるとしているが、国防総省高官はタンクを明らかに破壊したと述べた。
破壊によって生まれた衛星のゴミはほとんどが大気圏突入で燃え尽きると分析、周回する他の衛星などに悪影響はほとんどないとの見方を示した。
このスパイ衛星は2006年末に打ち上げられた直後、交信不能となった。撃墜しない場合、3月初旬に地球に落下する見通しだった。
一方、昨年1月に弾道ミサイルを使った衛星破壊実験を実施した中国の国営・新華社通信は、米国によるミサイル撃墜について「懸念している」と伝えた。米国は昨年、中国の実験を強く非難していた。
ミサイルによる破壊を受け、中国外務省報道官は米国が国際社会に必要な情報を迅速に提供することを求めると指摘。また、米国の今回の行動で宇宙で予想される被害を綿密に警戒しているとも語った。中国は昨年1月の衛星破壊実験で関連情報を国際社会に流さず、批判を受けている。

なんでアメリカが自国の防衛システムをわざわざ中国に説明しなきゃならないのか不思議だ。どうして中国はそんなことを知りたがるのだろうか?
とにかく、失敗したらアメリカの迎撃システムは全く役立たずで将来のBMDプログラムの行方が危ぶまれると言っていた批評家たちは、この大成功をどのように評価するのだろう、興味深いところだ。
とにかくBMD万歳!


BMD関連エントリー:
日本にテポドンは撃ち落とせるか?
アメリカにテポドンは撃ち落とせるか?
ミサイル迎撃システム日米合同実験大成功!
で、イージスは何をしてたの?
ミサイル迎撃システムは効果あるのか?
日本発のBMD実験成功!
海自のBMD装備は税金の無駄使いなのか?


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ついに始まった主流メディアのマケインバッシング

人の名誉を汚すことを主な目的に書かれた記事をヒットピースというが、今日のニューヨークタイムスのマケインに関する記事はその典型だ。
私は先月ニューヨークタイムスがマケインを共和党の候補者として支持した時に、ニューヨークタイムスのマケイン贔屓は長続きしないはずだと書いた。

ニューヨークタイムスは絶対にマケインを批判したりはしない。だがそれもマケインが共和党の大統領候補指名を受けるまでの話だ。一旦指名を受けて民主党候補のライバルとなった日には手のひらを返したように「マケインは狂犬だ」とかなんとかものすごいマケインバッシングをはじめるのは十分に予想できる。

案の定、マケインが共和党候補確実となった途端にNYTは8年も前の浮気疑惑を持ち出してきてあたかもマケインが金髪美女の魅力に惑わされて議会に圧力をかけたような記事を掲載した。以下はCNNの記事より。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は20日、米大統領選で共和党候補指名を手中にしているマケイン上院議員(71)が2000年の大統領選に出馬した際、同氏が当時、委員長を務めていた上院商業科学運輸委員会に関係ある電気通信関連企業のロビイストを務めていた女性と親密な関係があり、選挙への悪影響を案じた選対幹部が2人を引き離していたと報じた。

マケイン氏の現在の選対幹部はこの記事の正確さを否定し、中傷と批判。「マケイン氏は国民の信頼を裏切ったことはなく、特殊権益やロビイストにいかなる便宜を図ったことはない」とも強調した。ただ、マケイン氏は清潔なイメージを前面に出しているだけに、今回の記事が今後の選挙戦に響く可能性もある。
タイムズ紙は、2000年当時の陣営幹部を話を引用し、マケイン氏と女性との関係は恋愛関係に発展すると確信し、2人に付き合いが不適当であることを説得したという。女性とマケイン氏は共に、恋愛関係となっていたことを否定した。
女性はまた、マケイン氏からロビー活動などで特別な便宜を図ってもらったことを打ち消したという。
現在のマケイン陣営幹部によると、タイムズ紙がこの問題を取材していることは昨年10月から知っており、関連情報を提供してもいた。ただ、女性ロビイストを雇う企業に利益を与えるためマケイン氏が影響力を行使したことは否定していたという。

CNNの記事ではあたかもマケインと、この女性に恋愛関係があったかのような書き方になっているが、もともとのNYTの記事を読んでみると、マケインとこの女性が実際に恋愛関係にあったとは書かれていない。マケインが2000年の大統領選挙に出馬する際にビッキー・アイズマンという金髪美人のロビーイストがマケインの周りをうろちょろしていたので、外聞が悪いと心配した幹部がこの女性とマケインに付き合いはやめるように忠告したというだけの話だ。
この記事に書かれていることが100%真実だとしてもこの程度の話なのである。ところが、当時マケインの幹部をしていたジョン・ウィーバー氏はマケインにそんな話をした覚えは全くないという。

「ニューヨークタイムスから公式なインタビューを申し込まれましたが、私は断りました。そのかわり書面での質問を要請しました。タイムスは私とアイズマンさんとの会見について他の人から聞いて知っていました。私には誰からきいたとは明かしませんでしたが、それについて質問してきたのです。私はアイズマンさんとの会談についてはマケイン上院議員に報告しませんでした。

商工委員会とそのスタッフと深いつながりがあるという彼女の発言が我々の耳に入ったため、それが誤りであり(選挙運動に)損害を及ぼすことを彼女に知らせ、今後そのような発言は控え、選挙運動には関わらないでくれとお願いしたのです。それ以上のこともそれ以下のことも全くありません。

ロビーイストというのは自分の顧客に都合の良い政策をたててもらうために政治家に陳述する仕事であるから、自分が実際よりも政治家や議会の委員会にコネがあると吹聴したがる人間がいたとしても不思議でもなんでもない。その度が行き過ぎたと考えた選挙運動事務所の幹部がロビーイストを禁めたというのもまた自然な話だ。これのどこがスキャンダルなのだ?
NYTは匿名の元マケインスタッフがアイズマンとの関係をやめるように助言したとしているが、ジョン・ウィーバーのような幹部が知らないところでそんな話がされたはずがない。
しかしこの話を焼き直ししているAPにおいては、マケインのシンディー夫人が「夫は浮気などしていない」といって夫をかばっている姿を、ヒラリーもビルの浮気のスキャンダルの時は夫を弁護していたなどと本当のスキャンダルを持ち出して、あたかもマケインへの中傷が事実であるかのような書き方をしている。
それにしても、NYTはこの話を去年の10月頃から知っていたというから、今年の1月24日にマケインへの支持表明をした時はこの話は別に問題ないと思っていたことになる。共和党候補として民主党には勝てそうもないと利用できる時には無視しておいて、いざ手強いライバルになったとなると、これまで無視していたどうでもいい記事を持ち出してきてマケインバッシングというわけだ。
ま、こうなることは保守派市民はすべてお見通しだったので、マケインを支持した時から、かえってNYTの支持なんて有り難迷惑だなと感じていたのである。マケイン議員も今後このような主流メディアによる攻撃は十分覚悟していただきたいものだ。


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オバマかヒラリーか、どちらが手強い?

カカシはヒラリーおばさんだけは勘弁して欲しいと、もうずっと前から繰り返しているが、かと言ってバラク・オバマが民主党候補に指名された場合、ジョン・マケインで一般選挙に勝てるのだろうかという疑問は残る。とはいえヒラリー・クリントンにはビル・クリントンの選挙運動組織がついている。ビルは昔下院議員になり損なった他はすべての選挙に勝っているという実績があり、どんな汚い手を使ってでも勝つ主義だから敵に回したら油断できない相手だ。
ヒラリーとオバマが接戦でこのままどちらも撤退せずに党大会まで持ち込まれた場合、党大会で選ばれる候補者はそれぞれかなりの傷を負っての勝利ということになる。
ヒラリーが民主党候補になった場合:
今の段階ではヒラリーの代議員数はオバマに劣るため、党大会でヒラリーが勝つためには、今オバマに投票すると口約束している代議員たちの気持ちを翻す必要がある。民主党の規則では市民の投票によってオバマに投票することが決まっている代議員が土壇場でヒラリーに投票してもいいことになっているんだそうだ。すでにヒラリーの選挙事務所はオバマの代議員に取り入ろうと働きかけているという。
このような不公平な規則が今まで問題にならなかったのは、これまでの選挙では党大会にいきつくまでに弱小な候補者はすべて撤退してしまい、候補者が一人しか残っていないということが普通だったから、党大会は単なる儀式的な意味しかなかったからだ。しかし、ヒラリーもオバマも指名候補となるために必要最低限の代議員数を党大会までに集められなかった場合は党大会でどちらかの候補者が圧倒多数票を得られるまで投票に投票を繰り返す必要がある。
もしも、党大会に挑む時点でヒラリーが選挙で正々堂々と獲得されたオバマの代議員を汚い手を使って奪い取ってヒラリーが勝ったとしたら、オバマの支持者たちが黙っているだろうか?アメリカ最初の黒人大統領が生まれると信じていたオバマ支持の黒人たちは腹を立てるあまり、一般選挙では投票拒否をするかもしれない。黒人でなくても、クリントン夫婦の汚さに嫌気がさしていた民主党有権者たちは、ヒラリーに投票するくらいなら、共和党でも比較的リベラルなマケインに投票するかもしれない。
これを利用して共和党が心を一つにしてマケインに投票すれば、無所属からはマケインは人気があるし、それに多少でも民主党の票を集めることが出来ればマケインが勝てる可能性は結構高い。
オバマが指名を受けた場合:
オバマがこのまま勢いにのって民主党候補の指名を受けた場合は、民主党が二つに割れるなどということは無さそうだがそうでもない。ヒラリー・クリントンはラテン系に非常に人気がある。しかしラテン系と黒人系は仲が悪い。自分らが強く押していたヒラリーを破った相手が黒人であるということで、ラテン系はオバマには投票しないかもしれない。
オバマを見放したラテン系がどうするかを考えた場合、興味深いのはジョン・マケインのこれまでの実績である。ジョン・マケインの移民対策は保守派の間では人気がないが、まだまだ永住権を所持しない親戚を多く持っているラテン系移民の間では人気がある。少なくともマケインはメキシコと国境を接するアリゾナ州の上院議員としてラテン系には同情的であるという評判がある。となると、黒人のオバマなんかに入れるくらいなら、共和党でも移民に同情的なマケインに投票しようという民主党ラテン系有権者が結構出てくるかもしれない。現大統領のジョージ・W・ブッシュもラテン系からの票をかなり集めて当選している。マケインならラテン系をもっと多く引き付けられるかもしれない。この場合、黒人よりもラテン系の市民の方が圧倒的に多いということも考慮に入れておく必要がある。
オバマかヒラリーか?
こうして見てみると、ジョン・マケインはヒラリーにでもオバマにでも打ち勝つ力を持っていると思う。ただ、主流メディアは圧倒的に民主党支持なので、オバマにしてもヒラリーにしても民主党への厳しい質問など全くされないだろうが、マケインはやることなすこと全て突っ込まれること間違いなし。ジョン・マケインが勝つためには保守派のラジオトークショーやブロガーなどの支持を得て、民主党候補の落ち度をどんどん指摘してもらう必要がある。共和党が心を一つにしてマケインを応援すれば、マケインが大統領になるのも夢ではない。
結論からいってどちらが民主党の候補になろうと共和党有権者がやるべきことはただ一つ。
共和党諸君!心を一つにしてマケインを応援しよう!


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イギリス、カンタベリー大主教の発言が呼ぶ波紋、その2

今日は、イギリスの国教教会の最高指導者であるカンタベリー大主教の問題発言についての分析を続けよう。これまでのお話は下記参照。
ことの起こりはこちら
カンタベリー大主教の発言が呼ぶ波紋、その1

個人主義より全体主義

ウィリアムス大主教にとって大事なのは個人ではなく、その個人が所属する団体である。この場合は無論イスラム教団体だ。
ウィリアムス主教はイスラム教団体がシャリアを求める以上、イスラム教徒全員がシャリアの法のもとで生きるべきだと主張する。ウマと呼ばれるイスラム教徒たちはサウジアラビアに住んでいようと、インドネシアだろうとワジリスタンだろうとパキスタンやアフガニスタンであろうと、パリの郊外であろうとオーストラリアのクロヌラ海岸であろうと、そしてもちろんそれがイギリスでも、イスラム教徒であれば誰でもシャリア法のもとに生きるべきだというのである。ウィリアムスはシャリア法のもとに生きることが個人ではなくウマ(イスラム教徒)という団体が受け継いだ権利だというのだ。
しかし、単にイスラム教という漠然とした宗教でつながっているだけの団体に「権利」などというものがあるのだろうか?(アメリカの法廷では「権利」とは常に個人の権利でありグループや団体に認められるべきではないという裁断をくだしている。)
ウィリアムス大主教が、人々がウマに属している、と語る時これは人々がある協会に所属しているというのとは全く違う意味を持つ。一個人が特定のキリスト教の協会のメンバーになる場合、これはその一個人の意志によるものであり、生まれながらにしてその協会に属しているというわけではない。しかしイスラム教徒は自分が好むと好まざるとに関わらずイスラム教徒の子供として生まれた人間はすべてイスラム教に属すると考える。そのような状況に生まれた一個人がイスラム教を拒絶した場合、イスラム教はその個人の意志を認めるどころか背信者として非常に重たい罪に問う。背信者に課する罰は大抵が死刑である。
ウィリアムス大主教もこの点については問題だと認めており、イギリスの法廷は背信者への罰を認めるべきではないと主張している。しかしながらウィリアムス大主教は背信者への社会的制裁は容認している。つまりウィリアムスは、イスラム教徒として生まれた者がイスラム教を拒絶するのは罪であり死すらもイスラムの呪文から個人を解かない、という概念を容認しているのだ。
ウィリアム大主教が「ウマ」(イスラム教徒)という場合には、こうした自らの意志に反してイスラム教社会に無理矢理組み込まれた人々まで含まれてしまうのである。

非現実的な理想主義:

ウィリアムスの念頭には非常に洗練された理想的なイスラム教徒が存在するようで、イギリスが適用するシャリア法は決して個人の人権を迫害するようなものにはならないという幻想を抱いているようだ。だがこれはイギリスですでに起きている現実とはかけ離れた理想だ。ウィリアムスは自分の目で見ている現実のイスラム教徒を無視している。西洋文化の基本ともいえる推論から観察そして結論を出すというシステムを完全に無視してしまっているのだ。下記はウィリアムス主教のお説教の一部。

There needs to be access to recognised authority acting for a religious group: there is already, of course, an Islamic Shari’a Council, much in demand for rulings on marital questions in the UK; and if we were to see more latitude given in law to rights and scruples rooted in religious identity, we should need a much enhanced and quite sophisticated version of such a body, with increased resource and a high degree of community recognition, so that ‘vexatious’ claims could be summarily dealt with. The secular lawyer needs to know where the potential conflict is real, legally and religiously serious, and where it is grounded in either nuisance or ignorance. There can be no blank cheques given to unexamined scruples.

14 So the second objection to an increased legal recognition of communal religious identities can be met if we are prepared to think about the basic ground rules that might organise the relationship between jurisdictions, making sure that we do not collude with unexamined systems that have oppressive effect or allow shared public liberties to be decisively taken away by a supplementary jurisdiction. Once again, there are no blank cheques.

ーーイスラム教徒には正しいシャリア法を適用できる公式に認められた組織が必要である。すでにシャリア法を解釈するイスラム法評議会(Islamic Shari’a Council)という非公式な組織がイギリス国内での結婚問題の解決に大変必要とされている。このような組織に合法な権限を与え社会が公式な組織として認めれば、評議会はより洗練されたものとなり、下らない嫌がらせのような訴訟は的確に処分されるようになる。宗教的な習慣を十分に理解した世俗主義の弁護士は、宗教上どういう点で問題が起き、どういう訴えが宗教上正しいもので、どういうものが単に無知やきまぐれからくるものなのか判断する知識を習得する必要がある。こうした調査なくして訴えを盲滅法に認めることはない。またこの新しい法が人々の権利や自由を弾圧するようなものにならないよう十分な配慮が必要であるーー
だが現実にシャリア法を適用することで市民の自由が弾圧されないなどという理想が通用したことはない。マルクス主義の理想がスターリン主義の現実に取って代わられたように、平和主義の理想が凶暴な左翼反米革命主義に変貌したように、シャリア法廷がどれほど「洗練された」西洋式概念を取り入れた形でイギリス国民が納得できるような法廷、という理想で始まろうと現実には単にシャリア法を文字どおり行使する横暴な組織と化すことは目に見えている。
ウィリアムスの欠点は彼が信じているはずの宗教を基盤としている西洋文化を全く信用していないということだ。宗教と西洋の法廷は矛盾しない。もしあるイスラム教徒がシャリア法のもとに生きたいと思えば我々は彼のその権利を尊重する。だが、その反対は絶対に許されない。
ウィリアムスがいうような「洗練された」イスラム教なら特に西洋の法律との矛盾はない。今現在のイギリスで、非公式なシャリア法廷がアクメッドの娘のソフィアはファイサルと結婚しなければならないと決めることは完全に合法だ。ただし、ソフィアとファイサルがその決断を受け入れるか拒絶するかは彼等自身の判断に任される。なぜなら西洋文化は個人の決断の権利を保証しているからだ。
イスラム教への自発的な「服従」はすでに西洋社会は実存する法律で認めている。ウィリアムスがいうようなシャリア法を裁定する法廷など取り入れれば、シャリア法が既存の法律を規制する形になってしまうことは免れない。

  1. イギリスにはすでに強制力はないが自発的に従いたい個人が従うことが出来るイスラム教法廷が存在している。
  2. ウィリアムスはこのイスラム法廷に強制力のある公式な権力を与えよと唱えている。
  3. つまりウィリアムスはイスラム教法廷に、彼等が自分勝手に決めた「イスラム教徒」たちに、個人がそのような法律に従いたいと思っているかどうかにかかわらず、無理矢理にイスラム教を行使する権限を与えよというのだ。

このような法律が適用されれば、現実の社会ではイスラム法評議会が貧民窟のイスラム教住民を独裁政権によって牛耳ることは間違いない。たとえイギリスの法律がそのような拡大されたシャリアを認めなかったとしても、一旦公式で行使力のあるシャリア法が存在するという概念んが人々の思想に入れば、シャリア法をとなえる支配層の権限を強大させようという動きに発展することは間違いないのである。そうなれば無教養で民度の低いイスラム移民がイスラム教リーダーたちの唱える単純なシャリアに従って、奴隷を持ったり、重婚したり、家族の名誉のために妻や娘を殺すことなど普通になるだろう。
「軒下貸して母屋取られる」というように、一旦一部でもシャリアが公式に認められれば、その権限を拡大しようとするのは人間として当たり前の欲望だ。ましてやイスラム教には常に他の宗教を迫害して自分らの宗教を強制的に広めるというモハメッドの教えがある。イスラム教徒が多数を占める地域で、イギリスのごく一部だからといって少しでもシャリアが合法として認められれば、イスラム教徒がそれだけで満足するはずがない。そのうちイスラム教徒が住んでいようといまいとイギリス全体でシャリア法を受け入れるべきだという要求が生まれ、それが実現すれば現存するイギリスの法律がシャリアと矛盾する場合にはシャリアを優先させるべきだという主張になり、いずれはイギリスの法律をシャリアのみにすべきだという要求になるのだ。
それを多数派のイギリス国民が拒絶すれば、シャリアが国の法律となるまでテロ行為をしてでも命がけで戦うと誓う過激派が出てくるのは時間の問題だ。そうなったらイギリスは内乱の憂き目にあう。
イギリスがほんの一部だからなどといって、シャリアの一部でも適用すれば、その妥協はイギリス政府が軟弱な証拠であると解釈され、今こそイギリス政府を攻めるチャンスとばかりに、イスラム教徒らはそれを足場にどんどんと無理難題をふっかけてくるだろう。一旦降参したイギリス法廷が次の要求を拒絶するのはもっとむずかしくなるのだ。


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中身は空っぽ、バラク・オバマの宗教がかった選挙運動

ヒラリー・クリントンをどんどん追い上げ、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのバラク・オバマだが、彼の選挙運動は選挙運動というよりも信仰宗教の布教のようで気持ち悪いという意見があちこちで出てきている。
ナショナル・レビューでチャールズ・クラウトハンマー(Charles Krauthammer)が、この不思議なオバマ熱現象について書いている。

…銀の舌を持つ新人上院議員は希望を売り込む方法を発見した。(希望を)得るためには彼に投票さえすればいいのだ。バラク・オバマは何百万も持っているのだから。

このようなセールは別に新しいことではない。宗教団体は「救い」という似たような商品を何千年も売り込んできた。だからオバマの選挙運動が作家のジェームス・ウォルコットが観察したような「熱狂的な救い」や「これといった政策とはかけ離れた理想的な熱意もしくは純粋な陶酔によって導かれている二輪戦車」のような宗教復活のように感じるのだろう。
オバマのたまわく、「我々は未来の希望である」我々には「世界をあるべき姿に作り直すことが」できる。我を信じよ、さすればそなたたちのみならずそなたの国も救われるであろう。あいや、我々は「この国を癒し世界を修理する賛美歌となり、我等が時代を他のすべて時代と違うものとするのだ。」

そして投票者たちは本当にこのオバマのナンセンスを信じ込んでいるようだ。なにしろ予備選で8州連続の勝利を遂げたオバマは次のふたつ、ハワイとウイスコンシンでも楽勝しそうだ。ヒラリーが3月4日のオハイオとテキサスで圧勝しない限り、オバマの希望が花を見そうである。
オバマは全く中身のない演説でずっと支持者たちを魅了しつづけているが、民主党候補には極端に甘い主流メディアですらも、オバマの人気に疑いの目を向けはじめている。
ABCテレビネットワークのジェイク・タッパーは、「オバマの信者たちは…へルタースケルターのようなカルト的な性質がある」と言い、ロサンゼルスタイムスのジョール・スタインはオバマの支持者を「オバマカルト」と呼んでいる。
スーパーチューズデー後の小浜の勝利演説なんかを聞いていると本当にカルト的だ。「我々こそが我々が待っていたものたちである(歓声、拍手喝采)我々こそが我々が探していた変化なのだ!」なんてのはまるで意味はないが、観客の熱狂を煽るのには効果があった。
ニューヨークタイムスのジョー・クレインなどは救世主並の扱いは「なんかちょっと気持ち悪いものがある」とさえ書いている。オバマの選挙運動はどれだけ自分達の選挙運動がすばらしいものであるかといった雰囲気で酔っている。ニューヨークタイムスのポール・クラグマンは「パーソナリティーによるカルトだ」とまで言っている。
しかしオバマの魅力に完全に陶酔しているニュースキャスターもいる。MSNBCのクリス・マシューなどはオバマの演説を聞いて「脚に何かつたってくるようなスリルを感じた」などとコメントしている。はっきり言って中年男性が男性候補者の演説を聞いて股間にスリルを感じるなど気持ち悪いったらない。
オバマには全く実績といったものがない。上院議員をたったの一期つとめただけの新人なのだ。そんな驚くべき新人が何の政策も述べずに漠然とした「変化」だの「希望」だのを唱えるだけで、支持者の心を魅了してしまっているのだから、これがカルトといわずして何だろうか?
オバマは何の経験もないのに、イランのアクマディネジャドと交渉するとか、イラクから即刻撤退するとか、そのような行動がアメリカや世界に及ぼす影響など全く考えもなく約束してまわっている。民主党はオバマの呪文が一般選挙の前に解けてホワイトハウスを共和党にとられてしまうのではないかと心配しているが、常に悲観的なクラウトハンマーは呪文が解けるのは来年の1月、国民はひどい頭痛で悪夢から覚めるだろうと語っている。
カカシはもっと楽観的だ。ジョン・マケインは政治家としての経験も選挙運動の経験もからっぽスーツのバラク・オバマよりも積んでいる。すでに共和党候補指名確実となっているマケインは今後ハッカビーなど無視して、オバマの中身のなさをどんどん攻めるだろう。オバマとヒラリーのどちらが指名されるか分からない民主党の今の状態では、メディアもどちらの味方をすれば良いか分からない状態にある。この状況を最大限に利用してマケインがバラク・オバマのカルト性を十分に暴露してくれることを期待しよう。


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政府は中国産製品を公表せよ!

コメンターのともちゃんが中国制の血液抗凝結薬の不良品で死亡者まで出ているという記事を紹介してくれた。これがロサンゼルスタイムスの記事だが、翻訳はこちらのサイトからお借りした。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は中国から輸入された血液の抗凝結薬が、激しいアレルギー反応を示し幾つかの死亡例と何百もの症例報告と直結している可能性があるとし調査を開始した。

バクスターヘルスケア社のヘパリンは、いくつかの有効成分を中国で生産している。ただしFDAやメーカ側もそれが原因として発生したと判断するにはまだ早計だと話している。
FDA によるとヘパリンを投与された何人かの患者は生命に危険が及ぶほどのショック症状を示し、呼吸困難や吐き気、嘔吐、多汗、急激な血圧の低下などといった症状が見られたとのこと。FDA職員は薬との直接な関係は不明としながらも、ヘパリン投与後に四人が死亡したと話した。
中国国家食品医薬品局へ問い合わせても回答は得られなかった。近年中国は輸出で食品材料と同様、調剤成分の分野も活発化し主要な輸出業者となった。中国の貿易統計を引用したドラッグビジネスニュースによれば、ヘパリンとその成分に関する中国の輸出は2007年の前半だけで、前年同期間より13.7%増加し計5780万ドルに達したと報じている。
公表では広州だけでも49の会社がヘパリンとその成分を輸出しているとのこと。バクスター社は月曜日にヘパリンの複数回投与用瓶の製造を停止したと発表した。ヘパリンは注射薬で、ブタの腸から作られる。心臓のバイパス手術やその他の外科手術において危険な血液の凝固を防ぐために用いられる。バクスター社によると、全米で使われるヘパリンの半分は同社が製造しているとの事。
バクスター社のスポークスウーマン、エリン・ガーディナーによると製造元は30年以上ヘパリンを製造しており、バクスターに対しても20年以上供給を続けてきたと話している。また中国でのプラントはこの数年稼動を続けてきていたとの事。
バクスター社は去年米国内の製造元施設と、中国のプラントを検査し双方で良好な成績を出したと言っている。政府職員の話によれば、FDAは中国国内のプラントについては検査をしていないと話した。

もう世界のどの国も中国製品の輸入は全面的に禁止すべきだ。安かろう悪かろうもここまで来たら度が過ぎる。大昔、なにもかもがメイドインジャパンで日本製の質の悪い品物が諸外国に出回った時代があった。しかしこれらの製品の質の悪さは単に一度洗ったら色あせする洋服とか、長もちしない傘とか、すぐにオーバーヒートしてしまう乗用車とか、いってみれば買った方もそれほど期待していない製品ばかりだった。しかし消費者の身体に危害を及ぼすようなものはなかった。どんな発展途上国も経済成長の過程ではこの程度の学習はしていくものだ。台湾にしろ韓国にしろインドにしろ、皆同じ過程を踏んできたのだ。
しかし中国は違う。中国だけはその経済成長のために近道をしようとして、他人の命を全く顧みない非人道的な手段を使っている。このような行為は輸出国家として経済成長をめざす国にとって、非常に致命的な行為である。消費者を殺したり怪我させたりして商売が続けられるわけがないことに、いい加減中国は気が付くべきだが、自国の市民の命さえ大して重んじない中国にそんな常識は通用しないだろう。
中国政府が責任をとって制度を改めようなどという気が毛頭ないのはすでに明らかだ。毒性の偽グリセリンで何百人というパナマ人を10年も前に殺しておいて、全く反省せず再び製造した例をみただけでもその姿勢は明白だ。中国の毒製品の市場流出を防ぐのは中国ではなく諸外国の消費者の肩にかかっている。
日本にしろアメリカにしろ、中国製商品を買うか買わないかを政府の政策に頼っている余裕はない。消費者ひとりひとりが判断せねばならない時がきている。しかしそのためには我々が購入する製品が(特に食品や薬品)もともと何処で製造されたものなのか知る必要がある。
諸外国に中国製品が入るまでの過程ではいくつもの仲買人が入るため、いつの間にか製造元の表示が故意にか偶発的にか消えてしまうということがよくある。この間の偽グリセリンの件にしても、製造元が中国だと突き止めるまでに時間がかかった。
毒餃子事件でも明らかになったように、日本の冷凍食品の多くが中国産だという。そしてこれは学校給食やファミリーレストランなどでも多く使われているという話だ。となれば、いくら我々消費者が家庭での料理で気をつけていても、学校や社員食堂やファミリーレストランで知らないうちに中国製品を口にしているかもしれない。
今回の薬品の例にしたところで、病気をして病院で治療を受けている時、投薬された薬の一部の成分が中国産だったなど、使用した病院側でも知らなかったことだろう。
となれば、我々消費者は議会に働きかけ、国内で売られている製品のもともとの製造元を製品の包装にはっきり表記しなければならないという法律を早急に通すよう要求する必要がある。製品への表示には時間がかかるとしても、政府がすでに持っているはずの、リコールされた中国製品のデータベースの公表ならすぐにできるはずだし、冷凍食品や他の製品の製造元が中国である会社のデータベースも早急に公開すべきだ。
医療品にいたっては原因がはっきりするまで当面は中国製品全面的に使用禁止にする。中国がきちんとした調査をするとは思えないので、輸入国の専門家が直接中国へいって立ち入り検査などしても、その後も常に安全基準を保てるという保証は全くないのであるから、輸入する時点でもっと厳しい審査を行い、少しでも怪しい時は輸入しない方針をしっかりとっておくべきだ。
これ以上中国製品で死亡者や病人を出さないように、我々消費者が政府に働きかけて、この危険な輸入制度を改正させよう!


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