国際法専門家でも国際法違反行為を正確に判断できない理由

先日倉山満氏の国際法に関する話をご紹介したが、今回はX上でミリオタ自称のJSKさんが国際法は専門ではない倉山教授の話よりも専門家の意見を聞くべきだといって紹介したこちらのビデオ東澤靖教授のお話をご紹介しよう。このビデオは1時間30分もあるので読者諸氏に全部観ろとは言わない。それより先日紹介した倉山氏の話と関係のある部分の説明と、今のイスラエル軍の行動が国際法に違反するという東澤教授に反論をしたいと思う。以下敬称は省く。

東澤は戦場においてどのような行為が国際法に違反するかを説いている。34:20で民間人・民用物を攻撃対象としてはならない(区別原則)の話をしており軍事標的は軍事目的の施設に限られるとしている。しかしこれが禁止しているのは意図的に民間人や民用物を標的にする行為であって、間違った場合や付随的損害(コラテラルダメージ)は違反行為とはみなされない。

37:06の区別原則:予防措置の部分では攻撃する側にも防御する側にも攻撃から民間人を守る措置が義務付けられているとしている。攻撃する側の義務として自制、中止、警告、選択があり、防御側には移動、回避、予防(人間の盾禁止)などがある。

この部分は倉山が言っていた、標的となる場所が軍事標的であるかどうかの証明は、攻める側にも防御する側にもあると言っていたことと一致している。アル・シファ病院について語るなら、イスラエルは昔からこの病院は軍事標的であると主張しており、多々の証拠を提示していた。またこの病院を攻めるにあたり一か月以上も避難勧告をおこなっていた。

それと共にハマスにはその攻撃から民間人を守るために医療関係者や患者を避難させる(移動)義務もあり、病院が軍事目的に使われていないことを証明して攻撃の回避と予防をする責任があった。

さてではハマスとイスラエルによる国際法違反行為について考えてみよう。

43:48ハマス側の行為をどう考えるかで、東澤は次のような違反行為を羅列している。

  • 10月7日の民間人の殺害
  • 軍事目標以外へのミサイル攻撃
  • 人質をとっていること
  • 軍事施設を病院など民間施設の近くにもうけていること
  • 人間の盾?

何故人間の盾に?が付いているのか分からないが、次に45:13イスラエルの行為についても羅列がある。

  1. 多くの民間施設への砲撃と生活基盤の破壊
  2. 包囲戦
  3. 民間人への移動指示
  4. 病院施設への攻撃

ちょっとこれはおかしいのではないか?1番と4番だが、東澤は民間の施設でも軍事施設として使われていた場合は例外として攻撃の対象となると前に述べている。ではここで東澤はイスラエルが攻撃した施設が軍事施設ではないと証明出来ない限りこれらの行為が違反行為であるとは断定できないはずである。

2番の意味は私には解らないのだが、戦争で包囲戦は一つの作戦であり、戦闘作戦が国際法に触れるというのであればこの法律そのものに問題があると思う。だがそれが法律だというならそれはちょっと横に置いておこう。

3番の民間人を強制的に移動させる行為は違法だというが、それは味方側の占領の目的としてそこに住んでいる人たちを無理やり立ち退かせる行為であって、攻撃の巻き添えにならないように無関係な民間人を避難させる行為とは同じではないはずである。だいたい民間員の避難はハマス側の責任であり、その責任を自らの危険を冒してまで負ったイスラエル側に対してこれが国際法に違反するなどというのは言い掛かりとしか思えない。

東澤はどのような行為が国際法に違反するかの説明はしているが、イスラエルの行為がそれに当てはまるという適切な説明を怠っている。そして私が全く同意できないのが46:39で始まるイスラエルのガザ地区への攻撃継続は、自衛権によって正当化されないと言う部分だ。東澤はまず「自衛権の行使には限界がある。」とし次の項目が必要条件となるとしている。

  1. 武力攻撃の存在
  2. 急迫性
  3. 必要性
  4. 均衡性

そして今の状況はそれぞれどの条件のどれも満たしていないとしてこう説明する。

  1. パレスチナ占領による急迫性の欠如。
  2. ハマス武装勢力を領域内から排除し急迫性は終了している。
  3. 将来の攻撃やテロの可能性は必要性としては不十分。専制的自衛を国際検証は認めていない。
  4. 「反撃」の行っている攻撃は明らかに過剰人質がとられていることは武力攻撃を正当化しない。

東澤はさらに歴史的な背景や大義名分は国際法では考慮されないとも語っている。先ず1と2だが、これはイスラエルがハマスの侵略を追い払ったというのであれば意味があるが、ハマスはイスラエル領に奇襲攻撃をしかけ1200~1300人の民間人を虐殺したうえでガザ側に自発的に引き返したのであって、イスラエル軍の反撃にあって逃げ帰ったわけではない。これは攻めて来た軍隊がこちら側の反撃にあって撤退したのとはわけが違う。なにしろガザはイスラエルと国境を接しておりほんの数キロの余裕もないのである。彼等は単にベース基地に戻って再度の攻撃を狙っているのだ。そしてハマスのリーダーは今後も第2第3の攻撃をすると宣言している。この状況で急迫性がないとはどういう意味だ?

3の必要性にしてもそうだ。イスラエルのやっていることは先制攻撃ではない。宣戦布告をした敵に対しての攻撃である。すでにこちらに攻め入り1300人もの民間人を虐殺(東澤も認める国際法違反行為)をし、今後も責め続けると宣戦布告をした敵への攻撃に必要性がない?いったいどうすればそういう結論が生まれるのだ?

そして均衡性。イスラエルの行為が「明らかに過剰」とは何を基準にして言っているのだ?この均衡性に関しては敵と味方の犠牲者の数では決められないという話は以前にもお話した通りである。

東澤のような弁護士が理解できないのは、これは法廷ではないということだ。相手がどれほど危険であるかを判断するのはその場に居ない法律家ではなく現場で戦争をやっている軍隊がするのだ。だから今現在起きている戦争が国際法に触れるかどうかはハマスのやったようなあからさまな違法行為以外は簡単に判断することは出来ないのである。東澤の専門は法律であり戦争ではない。この戦争に急迫性があるか必要性があるかを判断できるのは同じ敵と長年戦ってきて相手の出方を十分承知している当事者だけである。

つまりどれだけの専門家であろうとも、現場の戦況をきちんと把握できない人には誰がどのように国際法に違反しているかということは正しく判断できないのである。

東澤靖:所属明治学院大学 法学部グローバル法学科 教授学位、法学士(1983年3月 東京大学)LL.M.(1994年5月 コロンビア大学ロースクール) 研究分野:人文・社会・国際法額・交際人権法・公法学、憲法



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友達から引き取った冷凍食品が不味すぎた!

入院している友人のLの後見人から電話で、今日彼のマンションに来て掃除しているから、欲しいものがあったら持って帰っていいと言われたので行って来た。私の家も断捨離中なので他人のものをそうそうもらってきてもしょうがないのだが、まあDVDとか観たことないものがあれば多少は引き取ってもいいかなと思ったのだ。

以前にも話した通り友達のLは貯め込み癖があり、彼のマンションはガラクタでごった返しており、一か月前に行った時には玄関から足の踏み場もない状態だったのだが、今回は大分片付いていた。今日は掃除の業者が来て二つあるトイレと風呂場を掃除しているところだった。ベッドや本棚などいくつかの家具を廃棄したとかで、ベッドルームと書斎は多少すっきりしていた。しかし戸棚をひとつ取り除いたらその後ろ側に本が詰まった別の本棚が出て来て驚いたと後見人さんは呆れていた。

瀕死の状態で発見された友達

Lの部屋にはLの上の階に住む老婦人が来ていた。Lが倒れた時、何日も貯まっている郵便を不審に思って配達の女性が連絡したのがこの女性だったのだ。彼女からその時の様子を聞いたところ、Lの話よりも事態はもっと深刻だったのだということを知った。

Lは何かに躓いて倒れたのか糖尿病の発作で意識を失くしたのか自分では覚えていな言っていた。そしてどのくらい倒れていたのかも覚えていないと言っていた。郵便が貯まるくらいだから2~3日は倒れていたのだろうと思っていたが、老婦人の話だと二週間近かったという。彼女が警察に連絡をし警察が消防隊と救急車を派遣してくれたという。しかし部屋の中がごった返していたため、救急隊員は担架ではなくシーツを使ってLを寝室から運びだしたのだそうだ。その時シーツから零れ落ちたLの片腕を見て、婦人は彼はもう死んでいるのではないかと思ったほどひどい状態で、思わず「ああ、彼は死んでいるの?」と叫んでしまったという。しかし救急隊員が「いいえ、大丈夫、間に合いました。」と答えたそうだ。

本当に危ないところだった。それにしても二週間近くも、糖尿病患者が飲まず食わずで生き延びられたとは奇跡のような話だ。

幸いLはかなり回復し、今は歩行器を使えば多少は歩けるようになった。

たくさんもらってきた冷凍食品

前に行った時は部屋の中が誇り臭くて息が詰まる思いがしたのだが、今回はだいぶ換気が出来ていた。しかし掃除の人が使っている洗浄液の臭いがひどくて私は別な意味で息が詰まった。それであまり長居はできなかったのだが、後見人さんが冷凍庫に詰まっている冷凍食品を引き取ってくれというのでいくつか貰って来た。実はこの金曜日にちょっとした手術をすることになっており、その後一週間は運転が出来ない。また動き回ってもいけないということなので冷凍食品を買いだめしておかねばと思っていた矢先だった。それで渡りに船と沢山の箱をもらって来た。

ところがうちの冷凍庫はそんなに大きくないので沢山は入らない。それでちょうどお昼時になったことでもあり、試しに今日のお昼に食べてみることにした。全部違う料理だったのでスイディッシュミートボール、鳥のフライとヌードル、ミートソースとマカロニの三つを開けてみた。見た目はまあまあだったが、私はミートソースを食べてみた。そしたら一口食べて「おえっ」となった。ま、不味い!お爺ちゃんが食べていたミートボールのソースだけ味見したらこれも不味かった。鳥フライのヌードルは不味くはなかったが味気なかった。

いやあ冷凍食品てこんなに不味いもんなの?

実はそれは正しくない。うちの近所にはトレーダージョーズ(略してトレジョ)という多少グルメのスーパーがある。そこで私は最近しょっちゅう冷凍食品を買っている。アメリカの店なのだが餃子や焼売や照り焼きチキンなど中華や日本風のものも結構あるし、インド料理やメキシコ料理などもある。色々試してみたが結構おいしいので私は忙しい時はトレジョの冷凍食品を愛用しているのだ。

しかし友人のLが持っていたのは近所の普通のスーパーで買った安いものばかり。安かろう悪かろうとは良く言ったものだ。


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池内恵教授、多々のネットインフルエンサーに乱射攻撃で墓穴を掘る

現在のイスラエルとハマスとの紛争で、東大の池内恵教授がXで毎日のように連投しているらしい。私はブロックされているから彼が何を言っているのかは知らないが、先日よもぎねこさんのブログでご紹介いただいた(よもぎねこです♪ 自衛隊は国民を守ってくれる 池内恵教授vs小川清史元陸将 (fc2.com))というチャンネルくららの番組や飯山陽博士のYTチャンネルでも池内教授に対する批判がかなり出ていた。そしてそのどちらも池内教授の方からの攻撃的な抗議や飯山博士に言わせれば「個人的な誹謗中傷」への反論だった。

私はチャンネルくららの倉山満氏による反論のビデオを三つほど観た。また飯山女史のほうは昨日ライブストリームを観た。本来ならば池内教授が何を言ったのか私が調べてから感想を述べるべきかもしれないが、飯山女史は池内教授のXポストをいちいち全文引用して反論していたので信用できると思う。またクララの方にしても、番組側は池内教授を招待すると言っているのに対し、池内教授は研究員の一年分の給料を出演料として払うなら出てやってもいいという高飛車な態度で拒否しているので、これもクララ側の言い分に理があるのではないかと私は判断している。

それと読者諸氏もご存じのように、私は池内教授と個人的にTwitter時代にやり取りをしたことがあり、完全に人をバカにした態度に非常に腹が立った経験がある。単に私を「素人」と呼んだだけでなく、私がデマを飛ばしていると批判し、私のポストにいいねした人はすべてブロックすると言って、私からフォロワーさんが離れるようにせこい小細工をしたことがあるのだ。

昨日飯山女史も、池内氏は研究者ではない専門外の人びとを「一般人」とか「素人」といって常に馬鹿にしていると指摘していたが、池内氏は私にだけでなく、彼の論に同意しない人々をことごとくバカにする心の狭い人間であるようだ。

もっとも飯山博士も私が何か一言言ったらすぐブロックしてきたので(彼女に同意したのに)他人のことは言えないかも。ただ私が思うに女史の場合は大量のクソリプが来るようなので、私のポストも内容を良く読まずに他と一緒にブロックされた可能性は大いにあるので、そういうことにしておこう。

私は池内教授の本は読んだことがない。彼の本を読んだ他の人達の話だとイスラム教について非常に良く書かれた本だという話なので、それなりに実績のある人なんだろうと思う。ただ私が思うに、こういう問題は専門が細分化されているため、イスラム教研究者だからといって中東の紛争に詳しいかどうかとはまた別の話だし、国際法や戦闘作戦などになってくると、池内教授も完全に専門外なのである。専門外であれば池内氏もまたド素人なのだ。少なくとも三年前にハマスが停戦を守るはずがないと言った私のほうが池内氏より正しかったからね。

それにしても飯山博士も言っているように、池内氏は研究科としてこういう時こそ研究資料を分析して論文でも発表すべきなのではないか?Xなどで他人を誹謗中傷している暇があったら、、


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ホストにそそのかされて売春に走る少女たち、それって単にヒモでしょ

最近やたらとホストに貢ぐお金がなくて売春に走る少女たちが増えているという話を聞くが、これはなんのことはない昔田舎から出て来た家出少女を食い物にしてたヒモと全く同じ構図だ。昔はハブステーションだった上野駅であかぬけない少女が大きな荷物を持って当てもなく突っ立っていると、優しそうなお兄さんが声をかけた。ご飯をごちそうになったり色々話している間に恋人になった気分にさせ、きがついたら売春させられていた、なんてあまりにも万国共通の話で何を今更と思ってしまう。

ホストの売掛金の話を聞いていると、これは現代風の人身売買だなとつくづく思う。廓に売られた少女たちが多額の「借金」を抱えてがんじがらめにされたのと同じで、この子たちも売掛金という借金でがんじがらめにされているのだ。女郎たちも年季が来たら自由になれる建前だったが、食費だの着物代だのお稽古事だので経費を抜かれるので借金はいつまで経っても減らない。ホストに嵌る女の子たちも働いてもその分クラブで高い酒を無理やり買わされて借金は全然へらないのだ。

私が読んだ記事では、家に居場所がなくて歌舞伎町をぶらぶらしていたらホストに声をかけられたという18歳の女の子の話が載っていた。こんな若い子がホストクラブに通えるお金を持っているはずはない。あきらかに最初から売春をさせようと企んで声をかけたのだろう。

最近このホストクラブの売掛金制度を違法にすると言う話や、少女たちの借金をチャラにする法案などがあるという話を聞いたのだが、それはちょっと違うのではないかという気がする。

先ず売春そのものが違法のはず。ということは売春斡旋も違法だ。だから売掛金云々の前に「借金をかえすため」として売春をやらせる方の男を逮捕すべきではないのか?こういうことは組織的にやられているはずだから、売春宿も摘発すべきだろう。無論これはイタチごっこになるとは思うが。なにせこういう商売は今始まったわけではないから。

法律をいくら厳しくしてみても売春はなくならない。ホストクラブをどれだけ規制しようと、また新しいやり方で女たちは食い物にされていくのだ。しかし出来る限りそういう少女たちが出ないように努めることはできる。だが何と言っても基盤となるのは家族である。

ホストクラブに嵌るような少女は頭が悪い。普通に考えて18~9歳の子が貰える給料でホストクラブになど通えるはずがない。ホストからどれだけ優しくされようが一本何十万円(時には100万円以上)もするようなお酒を買えるはずがない。そんな判断もつかないと言うことがこの子たちの知能の低さの証拠である。

昔はこういうバカな子を守る制度が日本にはあった。世間しらずでちょっと頭の悪い子は、やたらに就職させたり独立させたりせず、実家で家事手伝いという花嫁修業をさせ、さっさとお見合いをして適当な男性と結婚させていたのだ。若い女は結婚後は親ではなく夫とその家族に守ってもらっていたのだ。つくづく家父長制度というのは女性を守る制度だったんだなと思う。そりゃ古いしがらみで良くないことも多々あっただろう。でも少なくとも都会で変なヒモがつくなんてことは避けられた。やっぱり基盤は家族なんだな。


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トランスジェンダー選手をおちょくった保守系映画に発狂するリベラル

私がメンバー登録をしている保守派のポッドキャストチャンネルのデイリーワイヤー(DW)がコメディー映画を制作した。DWは数年前からポッドキャストやニュース記事だけでなく、ハリウッド映画界から締め出された保守派俳優などを雇ってサスペンスドラマや西部劇などのストリーミング映画を作ってきた。しかし最近映画プロダクションの予算をかなり引き揚げて色々な映画を発表している。来年の4月には白雪姫も公開予定だ。また虹色に染まってる子供向けテレビ番組に対抗して独自に子供向け番組の制作も始めた。12月1日にオンディマンドストリーミングで公開される映画Lady Ballers(レイディーボーラー)を左翼リベラルのLGBT雑誌LGBTQ Nationが紹介していたので読んでみたい。Rightwingers made a “comedy” movie attacking trans women in sports & it looks terrible (msn.com)。下記はDWの共同経営者ジェラミー・ボーリングのXより。

LGBTQネイションはこの映画を「極右翼反トランスのデイリーワイヤー」による反トランスジェンダー映画だと言っている。出演者にはリア・トーマスと対戦したこともあり、今や女子スポーツを守る運動をしているライリー・バーカー(旧姓ゲインズ)を含め、「女とは何ぞや」のドキュメンタリーで一躍スターになったマット・ウォルシが長髪のヒッピーのノンバイナリー(?)役で出演。

記事はトランスの男性や男児をバカにした映画でかなりひどそうと書いている。私は予告編を見たが、予告だけでもかなり面白そうだ。

Lady Ballers』と題されたこの映画の予告編は、シスジェンダーの男性たちがトランス女性になりすまし、このスポーツを支配する目的で女子バスケットボールのリーグに1チームとして参加することを決意する様子を描いている。記事からちょっと引用しよう。今回のDeepLの翻訳は酷すぎたので日本語として通じるようにかなり書き換えた。

予告編では、この映画を「今年最もトリガーを引き起こすコメディ」と呼んでいるが、これは革新派な人々は敏感過ぎる(トリガー)「雪片」のようにもろいという右派の説を揶揄したものだ。しかしこれは皮肉だ、なにしろ『デイリー・ワイヤー』こそがトランスジェンダーの存在を恐れるあまり、起きてもいないことを題材に映画まで作ってしまったのだから。

予告編には、トランス活動家のディラン・マルバニー(プロのスポーツ選手ではまったくない)をあざ笑うシーンや、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)がカメオ出演しているシーンもある。また別のシーンでは、俳優たちが 「トランスエイジ」になり、大人として子供たちのスポーツチームでプレーすることも可能だとトランスのアイデンティティーの概念を軽んじる場面もある。そして予告編は、野球の試合中に大人が子供に大怪我を負わせるシーンに切り替わる。

記事はこの映画はシス女性はスポーツに適しておらずシス男性のほうが自然に優れているという前提で作られていると語る。いや、女子がスポーツに適していないのではなく、女子スポーツと男子スポーツは全く別物であるという話をしているのだ。子供が大人に勝てないからといって子供はスポーツに適していないなどという人はいない。次元の違う話をして誤魔化さないでもらいたいもんだ。

映画ではDWのポッドキャスターであるベン・シャピーロやマイケル・ノールズや上院議員のテッド・クルーズなどもちょい役で登場する。

私はすでにメンバーなので映画を観たらまたその感想を書くつもりだが、LGBTQ雑誌がわざわざ予告編をこき下ろしているということは結構波紋を呼びそうだ。


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想像力と常識に欠ける自称専門家たち

イスラエル関係の専門家と言われる学者たちやジャーナリストや自称ミリオタなどのX投稿を読んでいると、往々にして彼等には想像力というものがない。彼等は自分らの専門部門についてはエキスパートなのかもしれないが、そのほかのことはまるでド素人である。文字通り机上の理論を繰り広げているだけで、実際戦地で戦争やってる兵士のことや、空襲警報を毎日何百回と聞かされている市民の生活についてまるで想像できないようだ。

人質交換のために戦闘は一時休止状態にある。しかし休戦15分後にガザからロケット弾が飛んできた。それについてエルサレム在だという邦人記者はこのようにツイート。

曽我太一 Taichi Soga@エルサレム: 停戦の16分後にイスラエル側で警報が鳴った。ただ、その後は鳴ってない。戦闘停止直後にも単発的な攻撃があるのはいつものこと。 これが続いたなら別だが、在住者であれば、その辺も熟知しているであろうことなので、それくらいでは騒ぎ立てないで欲しい

このツイートはイスラエル在住の方々の神経を逆なでした。

@HadarJP_IL「停戦直後のミサイル攻撃はいつものことだから騒ぎ立てるな」 市民に対する無差別爆撃攻撃をこの様に軽々しく扱う人がいることに驚く。この人は停戦の16分後にイスラエルがガザを空爆しても同じ事を言うのだろうか。

そして定番のJSFさんいよるフォロー。

JSF:この捉え方は紛争の停戦がどういうものか知っていれば、普通の感覚です。2014〜2022年の東部ウクライナの違反が横行した酷い停戦の状態に比べたら、今のガザの停戦はよく守られてる方です。双方とも散発な発砲してますけれどね。でも単発的な小規模の違反でいちいち停戦を反故にしたりしません。

停戦を破るのはどの戦争でもあることだから騒ぐなというのは現地に居る人の気持ちをまるで解っていないから言えることだ。曽我氏に至っては現地に居るにもかかわらずイスラエル住民の気持ちをまるで察することが出来ていない。この人はいったいなんのために現地に居るのだ?

JSF氏が忘れているのは10月6日までイスラエルとハマスは停戦状態にあったのだということ。ハマスは停戦など平気で破ってくる連中なのだ。そういう意味ではハマスの行為は想定内ではあるが、だからといって空襲警報が鳴る度に避難しなければならないイスラエル市民が平気でいられるわけではない。北朝鮮から数か月に一回ミサイルが飛んでくる(しかも日本国内への着弾の可能性はほぼゼロ)でも大騒ぎする日本人が、一日数百という数で飛んでくるロケット弾のことをまるで想像できないというのが不思議だ。

問題なのはハマスが停戦を破ったことではなく、曽我氏の「騒ぎ立てないで欲しい」という口調にある。停戦後たったの15分で違反行為をしたハマスをイスラエルが批判して何が悪い?普段なにかと国際法を持ち出すJSF氏がこの時だけ違反を停戦なんてそういうもんだなどと平気な顔で良く言えると思う。

ところでJSF氏の常識のなさには本当に呆れる。この人は軍事オタクと自負している割には戦争というものを解っていない。

JSF:ガザ住民が北部に戻ろうとするのは権利であり合法なので、イスラエル側がいくら禁止だと言い張っても国際法上でもイスラエル側に正当性は無く、イスラエル軍が住民を追い返そうと発砲すればそちらの方が国際法違反になる。

JSF氏は南へ逃げようとしていたガザ市民を阻止しようと射殺したハマスの違法性については何もいっていなかったがね。まだ戦争は終わったわけではなく、戦闘は数日後には始まるのだ。せっかく一か月以上もかけて民間人を避難させたのに、ここでまた北への帰還を許したら今までの苦労が水の泡だ。第一何故ガザ民は北へ戻りたいなどと思うのだ?なんのために帰るのだ?空襲で瓦礫の山になった自宅の掃除にでもいくのか?そんなところへ帰って何の意味がある?戦闘が始まれば自分の身にも危険が及ぶ。普通の神経の人ならこの時点で帰ろうなどとはしないだろう。

ガザ市はイスラエル軍が包囲している。こんな状況で北へ帰りたいなどというのはハマス戦闘員くらいだろう。いくら停戦中だからといって敵の戦闘員が自由に包囲網を出入りするのを許可するなど愚の骨頂である。JSF氏のように「この捉え方は紛争の停戦がどういうものか知っていれば、普通の感覚」として理解してる人になら理解できるはずである。


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感謝祭の思い出いろいろ

昨日11月23日はアメリカの感謝祭だった。実はうちは家族の日程の都合で家族で集まるのは日曜日の予定。それで今日はこれまでの感謝祭の思い出をちょっと集めてみようと思う。

2006年:本日の感謝祭でメインコースとなるはずの七面鳥が、なんと食卓から逃げようというのか電車に乗ろうと大急ぎしているのをニュージャージーの駅員さんが発見。

電車を待つ七面鳥

お父さん、早く早く、乗り遅れますよ!

上記のエントリーは実父が大喜びして親戚中に見せて回った。平和だったなあ。

ところでこの年の感謝祭直前私はバージニアに居た。何度もお話しているように私は一年中しょっちゅう出張をしていたので、祭日だからといって家で過ごせるとは限らなかった。この年も感謝祭は出先で過ごすと覚悟していたのだが、突然予定が変わり土壇場で帰れることになった。しかし土壇場なので航空券をとるのに一苦労。しかも通常より割増料金。職場と10ドルの割り増し料で揉めた。そして当日の天候は最悪。

しっかしバージニアの朝は寒かった。気温はせいぜい10度程度で特に低いというほどでもなかったのだが、まあ風がひどい。風による冷却効果を入れると零下10度以下。(笑)厚手のセーターの上にノースフェイスのウィンドブレーカーを着ても寒い。しかもすごい風だからまっすぐに歩けない。
それでも空港についてしまえば、後は車をガレージに返してすべてビルの内部だからいいかと考えていたら、レンタルカーを返すところが空港のビル内部ではなくターミナルから数十メートルはなれた野外。大きなスーツケースに、ラップトップ、それに寝袋と折り畳みの椅子をかかえて号風のなかをジグザグに歩く姿は外からみたら滑稽だっただろう。 平たいラップトップを風があおり、私は何度も足をすくわれそうになった。かぶっていた帽子がで回って目を覆い途中で前が見えなくなったが手いっぱいの荷物なので帽子がなおせない。しかも空港についたら雨が降り出す始末。もう泣きっ面に蜂とはこのことだ。

2007年:この年は私はパールハーバーで勤務していた。しかし前年と同じでこの年もなんとかぎりぎりセーフでロサンゼルスに帰ってこれた。

「昨日の木曜日はアメリカでは感謝祭だった。(略)だから今週の月曜日から水曜日まであらゆる交通機関は大混雑。私も日曜日にホノルルからかえってきたが朝から空港はごったがえしで、出発一時間半前に空港についたのに搭乗は最後のほうで滑り込みセーフだったくらいだ。」

同エントリーには香港についた空母艦が突然中国の差し金で停泊できなくなったことも書かれている。家族と一緒に香港で感謝祭を過ごそうとしていた人々の休日が台無しになってしまった事件であった。

2008年:この年はサンディエゴに居た。この年だったかどうか記憶にないのだが、私は一度感謝祭をサンディエゴで過ごしたことがある。うちはサンディエゴからは車で3時間弱なので、帰って来ようと思えば帰ってこれない距離ではない。感謝祭は木曜日だが金曜日が休みになれば四日連中だから長期出張中でも一時帰宅は可能である。ところがある年、感謝祭の翌日の金曜日の朝から仕事ということがあった。それで木曜日一日のために帰るというのも大変なので感謝祭を出先で過ごすことになったのだ。しかしアメリカでは感謝祭の日はレストランがどこも開いていない。やはりサンディエゴに居残った同僚と一緒にホテル付近のレストランをいくつか当たってみたが結局あいていたのはデニーズだけだった。

デニーズは便利だがまずいという評判だったのでずっと行っていなかったのだが、背に腹は代えられない。それで仕方なくデニーズでターキーディナーを食べた。それが意外にもおいしくて、一緒にチェリーパイもデザートに注文。寂しい感謝際だったが、なんとかほっこりしたものである。

2010年:この年は私は感謝祭の帰省で忙しい空港でセキュリティーがとみに厳しくなったことで起きた色々な混乱について書いている。面白かったのはインディアナ州兵100名を含む陸軍兵330名が、軍の特別チャーター機でアフガニスタンから帰還した際の出来事だ。帰還兵らは玉ははいっていないとはいえ、皆武器を持っていた。全員がM4カービンライフル、数名はM9ピストルを所持していた。人に寄ってはM−240Bマシンガンを持っていた。兵士たちはすでに航空機に乗り込む前から色々厳しい審査を受けていたのだが、アメリカのインディアナポリスで給油のため着地した際、アメリカのTSAから審査をうけることになった。列の前のほうにいた兵士のポケットナイフが没収された後、著者の前にいた兵士のポケットから爪切りが発見された。

TSA職員: これは飛行機に持ち込めません。
兵士: へ?国を出た時からずっと持ってたんだぜ。
TSA職員: 持ち込めない事になっています。
兵士: なんで?
TSA職員: 武器をとして使われる可能性があるからです。
兵士: (ライフルを触って)これは本当の武器だよ。そしてこれを持ち込むことは許可されてるんだぜ。
TSA職員: はい。でもそれで飛行機乗っ取りは出来ません。銃弾が入ってないんですから。
兵士: でも爪切りで乗っ取りは出来るって訳?
TSA職員: [困った顔で沈黙]
俺: おい、爪切りなんぞ渡しちまえよ。そうすれば早くこっから出て行けるんだからさ。欲しいなら俺が新しいのを買ってやるよ。
兵士: [爪切りを職員に渡し、無事審査を通過する。]

だいたい飛行機はチャーター便であり、兵士ばかりが乗っているのに誰がハイジャックなんかするんだ?バカバカしい。

2020年:うちでは七面鳥の料理はずっとミスター苺がしていたのだが、ミスター苺の健康状態の問題もあり、この頃から私が料理担当になっていた。そして今や悪名高い「カカシ10kgの大型七面鳥解凍に苦戦するの巻」である。主人は自分は料理担当を降りたくせに沢山の客を招いてやっていたパーティの時と同じように10キロという七面鳥を買ってきてしまい、しかもそれが冷凍だったため、解凍にものすごい時間がかかってしまったという話だ。

大きい鳥だが三日もあれば十分だろうと四日前の夕方にアイスチェストに氷水を張って鳥を入れ一晩おいた。一応確認のためと思ってネットで調べたら、このサイズの鳥の解凍は冷蔵庫のなかで5日かかると書かれていてびっくり!調理前24時間ブラインに漬けておく必要があり、それまでには完全に解凍出来てないとダメと書かれていた。ということは三日足りない!感謝祭に間に合わないよ~、とパニック。

しかしここで、冷水による解凍方法があったはずと思い出し再び検索。プラスチックの包装をそのままにして氷水ではなく冷水に浸せば、完全に凍っていても12時間かければ解かせるとのこと。だが30分毎に水を換えないとバクテリアが湧く可能性ありとあって絶望。しかしこの時点で鳥はすでに一日半氷水につかって4度Cを保っていたので、かなり解凍は進んでいるはず、12時間も冷水に漬けなくても大丈夫かもと思い、風呂桶に冷水をはって解凍に挑んだ。

案の定二時間もすると鳥は半分以上解凍状態になった。それで再び氷水に移して一晩置いたところ翌朝には完全に解凍完了。包装を解いて大き目のビニール袋に入れつけ汁に浸して一晩置く。この時も上から氷をどっさり被せてチェストに入れた。

アイスチェストに入れて時間をかけて解凍する場合は、摂氏4度に保つことが大事。ちなみにこれは普通に冷蔵庫の温度なので、冷蔵庫に場所が取れるならそれが一番安全。ただブラインに漬けるときにはアイスチェストが一番楽。たとえ漬け汁が漏れても他の食品が汚染される心配はないから。

2024年:2020年の教訓から私は七面鳥は余裕をもって解凍することにしている。しかし家族はさほど沢山七面鳥を食べるわけではないので、今年は5ポンドの半ターキーを購入。日曜日のためにすでに冷蔵庫で解凍中。


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誤解のある国際法、病院が軍事司令部でないことの証明責任はハマスの方にある

数日前にXでミリオタのJSF氏が専門家の国際法無理解 病院が軍事施設でない証明義務はハマスにある 憲政史家倉山満【チャンネルくらら】 (youtube.com)を紹介していて、「違います、証明の責任はイスラエルの方にあります」と言っているのを見かけた。私はその時はこのビデオをちゃんと観なかったのだが、昨日よもぎねこさんのところでも紹介があったのでちゃんと観てみた。そうしたら私は国際法というものを根本的に誤解していたということに気付いた。

少し前にも私は国際法による均衡性について書いた。その時も思ったのだが国際法を持ち出す多くの人が、実は国際法をきちんと理解していないのではないかということだ。かく言う私も国際法なんぞ施行力がないので意味がないと思い、国際法を持ち出す人は相手にしてこなかった。しかし実は国際法には色々な誤解があるということを知り、イスラエルもそれをうまく利用すればこのプロパガンダ作戦に勝てるのではないかと考えを変えた。

倉山満氏はイスラエルの病院攻撃について下記のように語った。これは私の要約なので全体をお聞きになりたいかたは動画をご参照のこと。

イスラエルは病院にハマスの司令部があると主張している。ハマス擁護派は、ではそれを証明してみろという。国際法の一義的にはハマスの側にここは病院であって軍事施設ではないことを証明する義務がある。国際法では「疑わしきは決めつけて滅ぼせ」であり、これは冗談ではない。

国際法は戦争のルールである。頭に血の登っている軍人でも理解できるように作っていなければいけない。ここは病院か軍事施設かわからないので攻撃はやめようなどという判断を現場で出来るかどうか考えてほしい。国際法は不可能を求めない。攻撃する側と防御する側の戦っている双方に義務を求める。

民間人や病院を攻撃されたくなければ、そこには戦闘員が居ないと言う証明はハマスの側がしなければならない。よってイスラエルが病院が指令室であることを証明する義務はない。ハマスは民間人へのテロをやり人質を拉致するなど国際法どころか犯罪行為のオンパレードをやっている。ハマスが国際法を破っているのにイスラエルだけ国際法を守れと要求するのは不可能である。国際法は一方が国際法を守っていないのに片方だけ完全にまもれなどということは求めていない。そこが国内法とは全然ちがうところである。

ただイスラエルの側が何をやってもいいと言うことではない。少なくともハマスが病院が軍事基地ではないことの証明を怠っているということを証明する義務がある

国際法的では本当に悪くないのに国際社会から非難されるというということは宣伝戦がドヘタと言う意味である。国際法というのは宣伝戦の道具でもある。国際法とは人類の理想の面もある。もうひとつは力によってそれが守られる。ハマスは論外だがイスラエルもそれが解っていない。イスラエル批判派は国際法は人類の理想だから守れと言う、イスラエルの方もそんなのは理想であり出来もしないので守る気はないといってる。

というわけである。なるほどこれはよくわかる説明だ。だいたい戦争中に敵側が相手の軍事基地についてどのくらいの情報を得ているかなどということを攻撃前に発表する義理はない。そんなことをしたら相手にこちらの手のうちを晒すようなものだからだ。それでもイスラエル側が最初からアル・シファ病院を標的にするから民間人は避難するようにと警告しただけでも十分に国際法の義務を果たしているといえるだろう。ただ、倉山氏がおっしゃるように、イスラエル側も「国際法なんかなんぼのもんじゃい」という態度を改めて、実は我々の方ここれこれしかじかの理由で守っており、ハマスにはこれこれの義務があるのだともっと宣伝する必要があるだろう。私も国際法なんか、と思っていたくちなので大きなことは言えないが、倉山氏の説明で国際法にも意味があることがわかった。

何と言っても今はイスラエルは宣伝戦で負けている。敵側はガザの人びとが可哀そうだということにばかり焦点をあて人々の感情に訴えている。本来であるならば10月7日のテロだけでもイスラエルに一方的な同情が集まってもいいはずなのに、それがあっというまに反ユダヤ運動になってしまったのは恐ろしい。

国際法はうまく使えば宣伝戦の道具として有意義である。イスラエルも早くそのやり方を学んでほしい。

ところでXで誰かが多くの人は事実関係より感情に訴えるほうに弱いと言っていた。それで私は思ったのだが、欧米のあちこちでハマスに拉致された人質の写真ポスターを剥がす人たちがいる。最初からユダヤ人を憎悪しているモスリム活動家は別として、モスリムでもなんでもないリベラル欧米人が何故ポスターを剥がすのか私には疑問だった。ガザの子供たちの命を大切にしたいと言うのは分かる。誰も無実の子供たちを犠牲にしたいとは思っていない。だがそれとイスラエルの人質のポスターと何の関係があるのだろうか?彼等はテロの犠牲者である。犠牲者のなかには欧米からイスラエルを訪問していた人々も含まれている。ガザの子供たちもイスラエルの子供たちも命に変わりはないはず。イスラエルの人質のポスターを破くことでパレスチナの子供達の命は救われるわけではない。ではなぜそんなことをするのだ?

ポスターを剥がしている人々に「何故はがすの?」と聞くと、大抵の人たちは「これはプロパガンダだから!」と答える。彼等は実際にイスラエルから人々が拉致された事実を知らないのか?これはイスラエルのでっちあげだとでもいうのか?いや、そうではあるまい。

彼等は本心ではこれが真実であると知っている。いや、知っているからこそ剥がさなければならないのだ。彼等もハマスによる虐殺行為や拉致行為がよいことだなどとは思っていない。しかし彼等の中にはイスラエルが悪いという固定観念がありイスラエルにも正当性があるなどという考えは絶対に受け入れられない。彼等はモスリムのように非モスリムはどんな目にあってもいいなどとは思っていない。何故なら彼等の道徳観念はあくまでも欧米文化に基づくものだからだ。しかしそうであるなら、イスラエルが完全悪だと信じるためにはハマスの悪を無きものとしなければならない。拉致被害者のポスターは彼等の良心に訴える。ハマスの悪を思い起こさせるものだ。だから剥がさなければならないのだ。

倉山 満(くらやま みつる、1973年〈昭和48年〉12月18日 – は、日本の歴史学者。 専門は憲政史、特に憲政の常道 。救国シンクタンク所長・理事長。 国士舘大学非常勤講師、国立公文書館アジア歴史資料センター非常勤職員、希望日本研究所所長、次世代の党自主憲法起草委員会顧問を歴任。


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窓際族になったカカシ

前回仕事を引退したと書いたが、そうなった経緯について少し書いてみよう。三年くらい前、職場では大規模な人事異動の計画が発表された。新入社員もたくさんはいってくるということで、席が足りなくなるので、普段あまりオフィスに居ない出張の多い職員を中心にオープンスィーティングというシステムを取り入れる予定だと言われた。オープンスィーティングというのはラップトップ(ノートパソコン)を設置できるドッキングステーションのある机をいくつか並べておいて、誰の席とは指定せず、オフィスに居る人が好き勝手に交替で使えるシステムである。

アメリカのオフィスというのは大企業の場合、一人ひとり仕切りのあるキュービクルというところで仕事をするのが常なので、となりと仕切りのない日本のオフィスのような職場は皆ちょっと抵抗があった。しかしこれが実現するかしないかという時にコロナである。コロナ禍でまさか隣と仕切りのない席に座って仕事をすることもできないというので、この計画は一時棚上げにされた。そして始まったのが在宅勤務とフレキシタイム。(職場内での混雑を防ぐために時間をずらしての出勤制度である)

しかしここは軍隊だ。誰もかれもが在宅勤務をするわけにはいかない。それで徐々にではあるが職員は出勤するようになっていった。だが人々が在宅とフレキシで時間をずらして出勤するため、出勤しても同僚と顔を合わすことが少なくなり、私はかなり寂しかった。

そのうちにコロナ禍で延期になっていた大規模人事異動が遂に実行されることになった。私は部署がかわり、長年座っていた席から移動し別の建物に引っ越しすることになった。運悪く私はこの頃開胸手術をすることになってしまい、一か月ほどの病欠と自宅療養のための在宅勤務で正味二か月間出勤できなくなった。しかし引っ越し先の建物での私の席は決まっていたので、荷物はすべて運送屋さんが私の留守中に移してくれることになっていた。

在宅になってすぐ、用があって職場に出勤した。荷物がきちんと移動されているかも心配だったし、新しい席も確認しておきたいと思ったからである。しかし私の席であるはずのキュービクルにはプリンターが置かれており、倉庫のように色々な箱が置かれていた。机はあったがイスもなく、凡そ私が座って仕事をできるような状態ではなかった。上司にその話をすると、引っ越しのごたごたで、空いているキュービクルを一時的にプリンターやがらくたの倉庫に使ったという。しかし私の在宅期間が終わって常時出勤するようになるまでには片付けておくから心配は要らないとのことだった。

しかし一か月後、週3で出勤することになり職場に行くと、私のキュービクルは一か月前と全く同じ状態であり、片付けた様子もなければ片付ける予定もないことが解った。つまり、私には戻る席が用意されていなかったのだ!

上司にその話をすると、新入社員もたくさんはいり、席が足りないので、在宅勤務や出張の多い人たちは空いている席をその都度探して使ってほしいと言われた。しかし席がないのは私だけのようで、長期出張でほとんどオフィスに来ない同僚にはきちんと席がある。しかもこれから入ってくるという新入社員の席は用意されていた。いったい何なんだこれは?

仕方なく空いている席を探してうろうろしていると、同僚Vと顔を合わせた。Vは「ああ、君も席がないの?僕も席がないんだ。」え~なんで?「引っ越してからオープンスィーティングになるからって言われたんだ。でも他の人には席があるんだよ。」Vは私と同年代でこの道のベテラン。それどういうこと?他に席がない人はいるの?「ああ、Fもないっていった」あれ、Fさんは私の先輩だった。どうしてこうもベテランの中高年ばっかり席がないわけ?それってもしかして、、、

私たち窓際族にされちゃったのか?

これのせいかどうかは分からないが、F先輩はその後すぐに引退してしまった。席がなくなった我々年寄りは数人で集まっては、そろそろ引退すべきかな、これって肩たたきなのかな、とか言いながら職場で肩を寄せながらお茶をすする毎日。な~んてのは冗談。いや、そろそろ引退の潮時かなと言う話はしていたが、仕事そのものは忙しく、週に3回くらいの出勤では追いつかないほどだった。どうして仕事はあるのに席はないんだ?リストラしたいなら仕事もないはずだろうに。

私は引っ越し先の建物のなかを色々歩き回った。すると席が足りないどころか席は有り余っていた。このビルはかなり大きなビルでドアで仕切ってはいないが、東西南北に大きな区域に分かれていた。南と西の区域の席は埋まっていたが、東は結構空いており、北にいたっては完全に空で、50以上あるキュービクルに誰も人が座っていなかったのだ!いったいこれはどうなってるんだ?

聞いた話では、そこには新しい部署が作られる予定だということだったが、一年経った今でも誰も入ってくる気配がない。

で、我々はどうしたかというと、誰も使っていない空席に自分の名札をはりつけ、ITの職員に言って大きなモニターをとりつけてもらい、ドッキングステーションもつけて自分の書類も戸棚に広げた。他にも席を失くした同僚達は同じように空席を分捕ってしまった。これは上の人も文句は言えない。なにしろ空いてる席を適当に使えと言ったのは彼等なのだから。

私が思うに我々の席がなくなったのは必ずしも意図的なものではなかったのだろう。引っ越しを期に、あまりオフィスに出勤してこない人からオープンスィーティングを試してみようと思ったのだろう。北ウイングにも本当に新しい部が出来るはずだったのだろう。しかし何せお役所仕事というものは往々にして計画倒れになる。オープンスィーティングの対象となる規則がまるではっきりせず適当だったため、人々の間から不満が溢れ、結局オープンスィーティングは大失敗に終わった。今後どうするのか私のしったこっちゃないわい!

結局私は今年引退することに決めた。席がなくなったということだけでなく人事異動があってから何か職場がしっくりいっていない気がしていた。ずっと一緒に仕事をしてきた人たちがバラバラに別の部所に配置され、私は前と同じ上司だったとはいうものの、彼自身も部下を2/3に減らされてしまったことをぼやいていた。私はこの上司がまだ昇進する前からの知り合いだ。そんな彼は「僕専用の個室のオフィスが貰えたのはいいけど、みんなとすぐ顔を合わせらえる場所じゃないから、部下との交流が保てない。それにコロナ以来、在宅やフレキシでオフィスに居ない人も多くて、なんかつまらなくなったよ」と言っていた。

本当に引退するにはちょうどよい潮時だったのかもしれない。


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え?カカシさんは元軍人じゃない?違います!

本日、よもぎねこさんとこのコメント欄でよもぎねこさんが「カカシさんは軍隊に居たことがあります」とおっしゃっていて、え~いやいや、それは違いますよ誤解ですよ、と思った。でも私の書き方が悪くて、そういう印象を読者諸氏に与えていたのなら実際の退役軍人さんたちに失礼なのでここで正しておかなければならないと思った。

苺畑カカシは軍人だったことはありません!ここではっきり申し上げておきます。

ただそういう誤解を得るようなエントリーがいくつかあったことは否めないのでその説明が必要だろう。実は私は先週一杯で仕事から引退した。なので今まであまり詳細を語れなかった私の仕事についてちょっとお話してもいいかと思う。

私は軍人ではないが、アメリカ海軍に民間人として22年間勤めていた。皆さまもご存じとは思うが、軍隊というところは軍人だけで成り立っているわけではない。実際に戦場に行って戦闘をする軍人の他にも兵器開発をしたりその兵器の性能を確かめたり兵器の操作を軍人に教育したりするエンジニアリング関係の人も居れば、兵站(へいたん)といって「戦争において作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、また、実施する活動戦争において作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、また、実施する活動(ウィキより)」をする人たちもいる。大抵の民間人は内地で普通の事務職をしているが、極端な人はイラク戦争中に物資輸送をしていた軍隊の護衛をしていた民間人警備員などもいる。であるから軍隊所属の民間人の仕事というのは多種多様なのである。私の知り合いのお父さんは何と潜水艦に乗っていた!

というわけなので私も民間人従業員としてアメリカ各地にある海軍基地に派遣され色々仕事をしてきた。時には海軍の護衛艦に乗り込み何週間も水兵たちと一緒に仕事をしたこともある。「こともある」というより、ほんの数年前までは船に乗るのが私の仕事だったと言っても過言ではない。それで多分読者諸氏が体験したことのないような、日本の佐世保港から真珠湾まで護衛艦に乗って船の旅をしたり、フロリダからパナマ海峡を通ってカリフォルニアまで航海したり、ギリシャの軍事基地でイスラエルとの軍事訓練に参加したり、サンディエゴからパールハーバーを往復したりとか、まあ普通では出来ない仕事をやってきた。言うまでもないが護衛艦に乗っての旅は豪華客船の旅とは全然違う。

このブログを始めた当初はそんな話を時々していたので、もしかしてカカシさんて米海軍に居るの?とか思われたとしても不思議ではない。思わせぶりなことを書いてしまい申し訳ないと思っている。

私がこの仕事を始めたのは何と2001年9月11日の一週間前。というわけなので就職してすぐアフガニスタンやイラク戦争を体験した。もちろん戦地になど行ってないが、それでも戦争中の軍隊の仕事をしているというのは結構大変な話。それでヤフーの掲示板などで「そんなにイラク戦争に賛成ならお前が軍隊に入隊しろ!」とか言われる度に「お前らは何もしらない!」と思いながら沈黙を守ったのであった。

海軍でWWII戦争中から言われている注意事項に”Loose lips sink ships.”「軽い口が船を沈める」というのがある。やたらに軍事機密をぺらぺらしゃべると敵にこちらの動きを知られて危険だと言う意味。それで我々はフェイスブックなどのソーシャルメディアで仕事関係のことを話してはならないという決まりがあった。

数年前に人事異動があり長期間の出張や船に乗ることはなくなり、職場と自宅を往復するだけの普通のオフィスワーカーになった。その直後コロナ禍となり在宅勤務が普通になってからというもの、この仕事は全くつまらないものになった。ま、その話はいずれ引退の経緯をお話するときにでもするとしよう。


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