共和党討論会YouTube質問に民主党運動員を潜入させていたCNN!

今日アメリカの保守派ブログをいくつか読んでいて、昨日の共和党討論会におけるCNNによる信じられない陰謀を知った。なんと討論会を主催したCNNが採用した共和党大統領候補たちへのYouTubeでの質問の多くがヒラリーやエドワーズの選挙運動員によるものだったというのだ!
詳しいことをミッシェル・モルキンがまとめているのでここで、そのいくつかを紹介しよう。

  1. イスラムに関する質問をしたのはイスラム教市民団体でテロ組織と深い関係もあるCAIRの元インターンだった。
  2. 年金問題について質問した男性は民主党上院議員ディック・ダービィンのところで年金関係の仕事をしている人だった。
  3. とうもろこし生産援助に関する質問をした男性は民主党下院議員ジェーン・ハーマンの元インターンだった。
  4. 人工中絶について質問した若い女性ジャーニーと、子供二人とビデオに映っていたリアーンという若い母親は二人とも民主党大統領候補のジョン・エドワーズの支持者だった。
  5. 共和党同性愛政治団体のメンバーだと言っていたデイビッドという若い男性は実は民主党大統領候補のバラク・オバマの支持者だった。
  6. 軍隊の同性愛政策に批判的な発言をした退役軍人キース・カー准将はヒラリー・クリントンの支持者だった。

このほかにもまだかなりあるらしいのだが、何千と応募のあったビデオ質問のなかから、限られた時間で放映されたビデオのなかにこれほど多くの民主党支持者が入っているというのは偶然にしては出来過ぎている。CNNがこれらの人々の政治背景を知らなかったと言い訳するにしては、ここに登場した人々はこれまでにネット上で自分らの意見を大々的に発表しており、本名で検索すれば彼等のホームページや彼等が製作したビデオなどを簡単に見つけることができる。たとえば人工中絶について質問したジャーニーなる女性は別のビデオで「ジョン・エドワーズ’08」と書かれたTシャツを着ているし、共和党員だといっているデイビッドなる男性のHPのプロフィールで「私がバラク・オバマを支持する理由」といってオバマを称えているのを読むことができる。ミッシェルのページでこれらの映像が載っているので興味のある読者は参照されたし。
ま、CNNが民主党寄りなのはすでに周知の事実ではあるが、ここまであからさまに民主党のプロパガンダに協力するとは恥知らずにもほどがある。
それにしても、YouTubeというネット機構を使いながら、ネット検索という強い道具に気が付かなかったというのもCNNの間抜けぶりが伺われる。こんな子供だましが今時通用すると思ってるのだから。


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サルコージ第二の試練、パリの暴動

やっと鉄道労働組合のストライキが収まったと思ったら、今度はパリの暴動。酔っぱらったアフリカ系イスラム移民二人が警察のオートバイにぶつかって死んだのをきっかけに始まったこの暴動は2005年の時よりも大規模なものだという。

2005年の3週間に亘る暴動の最初の数日間よりも、或る意味この暴動はより悪質なようだ。当時、若者達はバラバラのようで、彼等の破壊はほとんど投石や放火によるものであり、車のような一番身近で一番簡単な標的が狙われていた。今回は猟銃、ガソリン爆弾、石が警察に向けられている。

「現場にいた同僚から聞いたところだと、これは2005年に我々が目撃したものよりも遥かに酷い状況だ」と警察官で組合幹部のPatrice Ribeiroが火曜日にRTLラジオに語った。
「昨夜は一線を越えた。要するに、彼らは武器を使ったんだ。彼らは武器を使って警察に発砲した。これは本物のゲリラ戦だ」。
Ribeiroは、過剰な武力を避けようと必死になっている警察も、いつまでも応戦せずに打たれっ放しではいない、と警告した

 (強調はカカシ)
サルコージ大統領は選挙の際にフランスの経済を立て直し、フランスに法と秩序を取り戻すと公約した。就任後のサルコージはここ6か月間、経済面に力を入れてきたようだが治安については特に新しい対策をとってきたわけではない。フランスのイスラム系暴徒らがここまで凶暴化したのも先のシラク政権が移民の気を損ねるのを恐れて何も対策をとってこなかったことにある。2005年の暴動でも警察はほとんどなにもせずに傍観していただけだ。
今回の暴動でも明らかなように、暴徒の行動は日増しに悪くなるばかりである。すでに今回は保育園に火がつけられ、駆け付けた警察や消防隊に暴徒が狩猟用ライフルを発砲するなどといった行為が連続した。このような行為を放っておけば単なる暴動が、自動車爆弾テロにエスカレートするのは時間の問題だ。このままではフランス各地で国内イスラム暴徒によるテロ多発が起きる可能性は非常に高い。
内政省時代から若者の暴力沙汰には強気な態度をみせてきたサルコージだが、大統領となった今、本気でこれらの暴徒を鎮圧するだけの勇気がサルコージにあるだろうか? ストライキ打破に続いて、今度はパリの治安維持。サルコージのお手並み拝見といったところだ。


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ヨーロッパの中国離れ、でもフランスは武器を売りたい

最近中国というと悪い話ししかきかないが、これまで比較的中国には穏健だったヨーロッパでも中国離れが起きているようだ、喜多さんが翻訳しているこの「『中国への密月』は終わった」という記事でその傾向が詳しく説明されている。
今週北京で第十回EU中国サミットが行われるそうだが、これまでと違って参加者の間ではかなり緊張した雰囲気が高まっているという。ヨーロッパによる中国に対する印象が悪化した理由は対中赤字や中国政府のスパイ行為、人権問題など多くある。

中国への前向きな世論の認識はこの一年間で劇的に下がった。フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスでの世論調査では、20%から15%に下がっている。これは主に仕事のアウトソーシングと、EUの膨れ上がる対中赤字の結果である。対中赤字は一時間毎に€1,500万ずつ増えており、2007年は2006年の€1,280億から€1,700億以上に上りそうだ。

ヨーロッパのムードは、中国の産業スパイ事件やドイツ首相事務所やイギリス外務省(そして米国防総省)のコンピューター・ネットワークへのハッキング事件にも影響を受けている。
また、中国での、特にチベットでの人権侵害への懸念も同様だ。
ヨーロッパ企業も中国への不満の声を益々高めている。様々な差別的貿易および投資行為は、中国にあるヨーロッパその他の企業を苦しめており特に知的財産権の盗難や、中国金融サービス業、流通ネットワーク、そして保護対象産業への市場参入障壁が挙げられる。

ヨーロッパの中国に関するムードが悪化している徴候は去年の暮れに発表された欧州委員会の中国に関する「コミュニケーション」や欧州理事会の「結論」調書や今年初めの悲観的な「中国戦略文書」などに現れているという。
またヨーロッパの政権交代でこれまで比較的親中国だった政治リーダーたちが去ったこともヨーロッパの中国離れの要因になっているらしい。この中国への険悪ムードは、中国からの粗悪品流入や貿易赤字、スパイ行為、そしてこの間の香港でのバトルグループ寄港拒絶など、中国からのあからさまな敵意などでかなり頭にきているアメリカのムードと一致しているらしい。
もっとも比較的親米といわれるフランスのサルコージ新大統領は、中国訪問の際にアメリカが先導している中国への武器輸出禁止問題については輸出禁止を解禁すべきだという意志をあらわにしており、前首相のシラクよりは中道派とはいうものの、まだまだ武器輸出で金儲けをしたいお腐乱すフランスの中国市場への姿勢はかわらないようだ。しかしそれに関してフランス各紙がサルコージ大統領が中国に「へつらっている」と一斉に批判しているのはちょっと面白い。


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信用度低い、ヒラリーが共和党候補には勝てないというゾグビー世論調査

ヒラリー・クリントンがアイオワコーカスでは不利な模様だという話をこの間したが、昨日ゾグビーの世論調査で共和党候補との一騎討ちではバラク・オバマとジョン・エドワーズのほうが有利だという結果が発表された。

調査結果によると、クリントン氏は、共和党のジュリアーニ前ニューヨーク市長、ロムニー前マサチューセッツ州知事、マケイン上院議員、トンプソン元上院議員の4候補との比較でそれぞれ5~3ポイント差で敗れた。7月時点では4候補全員に勝っていたが、今回逆転された。無党派、若年層の離反が響いたという。

一方、オバマ氏は共和党4候補に全勝。民主党3番手のエドワーズ元上院議員も3勝1分けだった。クリントン氏は全米規模の支持率で首位を維持。このため民主、共和両陣営からの批判を一身に集めていることが苦戦の背景にあるとみられる。

ヒラリーおばさんだけは勘弁してもらいたいカカシとしてはこの話は一見良いニュースだ。残念ながらこの調査、そう手放しで喜べるほど信用できるものではないのだ。まず世論調査というもの、特にまだ選挙まで一年近くもあるこの時期に行われるものはあまり当てにならない。しかもこれはオンラインアンケートで、9,150人を対象に11月21から26日にかけてオンラインで行われたという。
対象がオンラインで政治アンケートに答えるくらい四六時中コンピューターに張り付いている人間だということと、対象となったサンプルが少ないということを考慮にいれるべきだろう。我々はオンライン人間だから何でもかんでもオンラインですることが普通になっているが、まだまだ一般市民はそれほどオンラインに頼っているわけではないのだ。
1948年にシカゴ・トリビューンが大統領選挙の世論調査を電話アンケートで行ったことがある。その結果実際には圧勝したトゥルーマンが惨敗するという結果が出たという。これは1948年当時に電話を持っていたエリート市民だけを対象にしたことによる偏った結果に問題があった。今回のオンライン調査も似たようなものである。
ミスター苺によると、アメリカの世論調査は往々にして民主党のサンプルをとり過ぎるそうだ。これは意識的にそうしているというわけではないが、週末に電話でアンケートをとる場合、週末は家族サービスで忙しい共和党支持者はながながとアンケートに答えずにきってしまうことが多い。民主党支持者が多い都市部での調査は自然と民主党に偏ってしまう。むろんこの偏向は単に返答した人たちの投票登録がどちらの党かを聞くことによって、調査結果をアメリカの投票登録者の割合と調整すればいいだけの話なのだが、一般の調査会社はこれをしない。彼等の理屈は共和党に登録している人間が必ずしも共和党候補を支持するとは限らないからだというものだ。これは阪神ファンが巨人と阪神のどちらがいいチームかときかれて、巨人と答える可能性が大いにあるといっているのと同じで馬鹿げた理論なのだが。
無論、今回の調査は民主党支持者だけが対象だから民主党よりの偏向は影響をもたない。だが、今回の偏向はオンライン使用者のみという対象にある。世論調査ではサンプルが一番大切だ。誰を対象にしたか、それが一般の人口分布を反映しているかどうか、それがはっきりしなければその調査結果は意味あるものとはいえない。
そういう意味で今回のゾグビー社の調査はそれほど信用のおけるものとは言えないのだ。


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イラク治安向上で作戦に悩む民主党大統領候補たち

今日のニューヨークタイムスにイラク情勢が良くなっていることから、ペトラエウス将軍の新作戦に真っ向から反対していた民主党の候補者たちは新作戦が大成功を遂げている事実を前にどのように自分らの選挙運動を繰り広げていくか難かしい立場にたたされているとある。
面白いのはこのNYTの記事はいかにして民主党候補がこの状況を乗り切るかという選挙運動作戦への助言のように書かれていることである。さすがニューヨークタイムス、民主党支持の偏向を隠す気もないらしい。

ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員の選挙アドバイザーたちは、増派後のイラクにおいて警備状況が良くなっているという事実を見てきた以上その成果を認めないのは間違いだと結論づけている。しかし同時にアメリカ軍の死傷者はまだ多すぎること、早急な撤退こそがこの戦争を終わらせる唯一の方法であり、いわゆる増派はイラクの政治過程には成果をあげていないことを強調している。

つまり、アメリカ軍の努力は認めながらも、まだまだ十分ではないという主題で貫こうという作戦のようだ。なにしろイラク戦争の失敗を振り上げてブッシュ政権並びに共和党を攻撃してきた民主党だけに、戦争に勝てそうだなどという現状は非常に都合が悪いわけだ。
しかしニューヨークタイムスは、民主党候補たちは気をつけないと共和党候補者らに、勝てる戦争を時期尚早な撤退によって負けようとしている、民主党は敗北主義だ、と攻撃されかねないと指摘する。
攻撃されかねないもなにも、実際敗北主義なのだから仕方ないではないか。選挙に勝つためになんとかアメリカにはこの戦争に負けてもらわなければならない連中なのだから。

「イラクの希望的な状況が続く限り、一般選挙におけるイラク関係の政治は劇的な変化を遂げるでしょう。」とブルッキングス・インスティトゥーションのマイケル・E・オーハンロン氏。氏はクリントン女史の支持者であり、軍隊増派賛成派でもある。「もしイラクが少しでも救いようがあるなら、候補者としてどのように救うのかを説明することが大事です。どうやって戦争に負けずに軍隊を撤退させるのか、民主党は何と言うか自分らを追い込まないように非常な注意を払う必要があります。」

本当は戦争に負けたいが、それを言っては一般国民の支持は得られない。軍隊バッシングはジョン・ケリー候補者の失言でも分かるように大統領候補としては致命的。しかし撤退をうりものにしてきた候補者たちが突然撤退しないと主張すれば民主党の反戦派市民からの反感を買うので、そうするわけにはいかない。とはいえ勝てる可能性の出てきた戦争から兵を撤退させることがアメリカにとって良いことなのだと国民を説得するのは至難の業である。
最近の民主党候補者たちの口からは、イラクの治安問題に関する批判の声は減り、今度はイラク政府の政治的進展が遅すぎるという批判が多くなった。しかし政治家たちが協力せずに仲間割ればかりしているというのであれば、アメリカ政府だって同じことだ。なにもイラクだけに問題があるわけではない。候補者たちがアメリカ軍の増派によってイラク内政への効果があがっていないと主張すればするほど、現場の治安問題はほぼ解決されたという印象が強まってしまう。
ニューヨータイムスはこのような増派が軍事的効果をあげているというメッセージは民主党支持者の間では快く受け入れられないだろうとし、(民主党)候補者がこの話をする時は、かなりの注意が必要だと忠告する。
ここで民主党強力候補者の三人の言い訳を聞いてみよう。まずはヒラリー。

「我が軍は世界最強です。その数を増やせば効果があがるのは当然です。」…
「基本的な点は、増派の目的は政治的解決をする余裕を作り出すことだったのに、それが起きておらず、おこるような兆しすらなく、イラク人が政治的な目標に達することができないということです。」…「我々は内戦の仲介などやめてさっさと出ていくべきなのです。」

ブラコ・オバマは話題を変えるのに必死。

「11月にガソリンが3ドル代なんて前代未聞です。」…「人々はより多く働き少ない見返りを得ています。クレジットカードの限界まで使いきり、なんとか生活をしているのです。人々は苦労しているのです。それをワシントンは気にかけているようには見えません。」

ガソリンが高いのは通勤の長いカカシとしても非常に迷惑な話だが、この好景気に人々が苦労しているというメッセージがどのくらい効果があるのかちょっと不明。しかしオバマもイラク情勢を無視することはできない。

オバマの報道官、ビル・バートンはイラクの暴力減少について「歓迎すべきニュースである」としながらも、今年の戦死者の数は記録的な高さであり、イラク国内の政治見解の相違が歩み寄られていないと語った。

「イラクの政治リーダーたちにちゃんと仕事をさせるために一番いいやり方は即軍隊を撤退しはじめることです」とバートン氏は語った。

アメリカ兵の戦死者の数は去年に比べて激減しているというのに、いったいバートンのいう「記録的な高さ」とはどういう意味だ? 第一アメリカ軍が撤退することとイラクの政治家たちが歩み寄ることとどういう関係があるというのだろう?
そして最後に「撤退、撤退、なんでも撤退」としかいわないジョン・エドワーズは今の時点ではまだ自分のイラク見解を再検討するに値する政治的な効果はあがっていないとしている。

「基本となる疑問は全く変わっていません。その疑問とは政治面において真剣な努力がされ、真剣な動きがあったかどうかということです。」…「スンニとシーアの間で政治的な解決がされない限り安定などあり得ません。暴力は終わらないのです。ですからこういう面ではほとんど進展がみられないと私は思います。」

エドワーズはイラクの話はよく取り上げるが、増派そのものよりもライバル候補者のイラク戦争に対する姿勢を批判することの方が多い。特にヒラリーが当初イラク戦争に賛成票を投票した事実や最近のイラン革命軍をテロリストと指定する議案に賛成した事実をあげ、ヒラリーをブッシュと一緒くたにして批判している。
民主党候補者の本音はイラクへの米軍増派があまりにも効果をあげているので、早急に撤退してもらって再びイラクを混乱に陥れたいというものだ。しかし民主党が主権を握っているにもかかわらず議会はブッシュ大統領の意向に背いて米軍撤退を実現させることができない。だからイラク内政に進展がないということくらいしか批判のしようがないのだ。しかしこの方法も民主党にとってはかなり危険な賭けである。なぜならば、イラク内政に焦点を当て過ぎるとイラク治安がそうであったように、来年の11月までにイラク内政に大幅な進歩が見られた場合にどのように言い訳をするのかという疑問が残るからだ。
イラクは軍事的にも政治的にもブッシュ政権による大失敗だったという結論をつけたい米民主党が、どちらもうまくいっているという現実に直面した場合、いったいこれをどうやって乗り切るのか、そしてそれが選挙にどのような影響を与えるのか、かなり面白いことになってきた。
追記:イラク情勢良化について古森義久さんがアメリカのメディアの反響についてまとめているので参照されたし。それにしても、イラクからの良いニュースについて日本メディアが完全無視しているというのは不思議だ。


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悲劇的な封切り、ディパルマ監督の反米映画「リダクテド」

このあいだも反戦映画が不入りなのはなぜか?でも書いたが、アメリカで次々に公開されている対テロ戦争への批判メッセージを多分に含んだ反戦映画が全く人気がない。しかしその中でもアメリカ兵がイラク少女を強姦しその家族を惨殺するという話を描いたブライアン・ディパルマ監督の「リダクテド」には観客は全く近寄らない。ニューヨークポストによれば、封切りの週末の売り上げ成績はなんとたったの$25,628、全国でこの映画を見た人はたった3000人という計算になる。 これは興行上まれにみる大惨事となった。プロデューサーのマーク・キューバンはディパルマに経費だけで売り下げたいと提案したが、周到なディパルマは断った。

映画評論家のマイケル・メッドビッドは「私が見たなかで最悪の映画」と批判。…「Aリストの映画監督、大規模な宣伝、タイムス、ニューヨーカー、左よりのサローンのようなサイトなどでの高い評価にもかかわらずです。もっと少ない劇場で公開されたジョー・ストラマーのパンクロックバンド、クラッシュのドキュメンタリーの三周目より少ない客入りです。」とある映画関係者はメールで語った。「映画の反戦テーマに賛成してるひとたちですら観にいく努力をしなかったということになります。」

反戦だからといって反米とは限らないと私は何度も強調しているのに、まだ映画関係者は分からないらしい。
私が心配するのは、アメリカ国内でこのような映画がいくら不人気でも、これが諸外国で公開された場合の悪影響である。特に言論の自由のないイスラム諸国では、真実でない背信映画を国が政策を許可するはずがないと考える。だからこのような映画がアメリカ人の手でつくられたということは真実に違いないと勘違いしてしまう可能性が高い。それでなくてもアメリカへ嫌悪の意識が高いこれらの国へ、アメリカ人自らの手で反米プロパガンダをつくることの愚かさ。これでテロリストへの志願者が増え、アメリカ人が一人でも多く殺されたら、彼等の血はマーク・キューバンとブライアン・ディパルマの手に塗られていると自覚してもらいたいものだ。


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前代未聞! ストライキを破った仏サルコージ首相

フランスの新しい首相、ニコラス・サルコージは本気でフランスの暴走している年金問題に取り組むと公約した。しかし前首相のシラクなども年金問題を改良すると公約しながら労働組合のストに会って怯んでしまった例もあり、サルコージがどれだけ強力なフランスの労働組合に立ち向かえるのか多くの市民がサルコージの信念の強さに疑問をもっていた。
そのサルコージの信念を試す時がついに訪れた。11月に入ってフランスでは鉄道労働組合を中心とする大規模なストライキが行われたのである。

パリ:フランスはもう一週間以上にわたってサルコージ首相の経済改革に抗議したストライキで麻痺状態にある。ノアの箱船よろしく労働組合の抗議はフランスでは通常の鉄道、公務員、教員、の他に看護婦、タバコ店経営者、空港職員、漁師や劇場の大道具係までが一緒になってのストである。

この木曜日、フランスの大学半分は抗議者によって休校となり、弁護士や裁判官らまでが仕事から離れると異議申し立てをしたほどだ。
デモ行進による交通混乱はまるで過去の革命を思い出させる。しかし今回はなにかが違っていた。

その違っているものとは何か? それはこのゼネストに一般市民からの支持がほとんど得られなかったということである。通勤の不便を感じているビジネスマンや中間試験を逃した大学生など、フランス市民はこれまでと違って、50歳でそれまでの給料相当の年金がもらえるようになる贅沢すぎる年金プログラムを維持しようという労働組合の姿勢にあからさまな反感を見せている。
フランスでは黒い11月(Black November)といわれ、政府が新しい方針を打ち出す度に労働組合による大規模なストライキがおき、政権はそれに負けてあきらめるというやり方が、1968年以降何度も繰り返されてきた。フランスの経済方針はこのやり方で何十年も続いてきたのである。
しかし今回はサルコージの全く怯みを見せない態度とそれを支持する市民の声に労働組合もじょじょにあきらめを見せ、22日の木曜日には多くの労働者がストをやめて職場にもどった

組合のリーダーたちは昨日敗北をみとめた。「我々は現実を見つめなければならない。事情が変わったのだ。ストライキはもう解決方法ではない。スト作戦では勝てない。」とパリの地下鉄従業員を代表しているサッド連合のリーダー、Philippe Touzet氏はブルームバーグニュースのインタビューで語った。

これはサルコージ首相の最初の大勝利である。フランスの労働者にストライキは解決方法ではないと認めさせるとは、フランス首相としては前代未聞である!
ストライキを破って政権の方針を貫き通した例としては、過去にイギリスのマーガレット・サッチャーやアメリカのロナルド・レーガンがあるが、サルコージの名はフランスの悪名高い労働組合のストを破った例として歴史に残るだろう。
フランスといえばストライキというイメージがあるほど、フランスの労働組合の強さは有名だが、昨今組合は結構フランス市民からの支持を失っているようだ。実際にフランスで組合に属している人口はたったの7%なのだそうだ。これならアメリカのそれよりずっと低い。しかも最近は組合のなかでも理想派と現実派でかなり分裂が起きているという。
大学などでも学生組合のメンバーはゼネスト参加に反対したにもかかわらず、過激な学生らによって学校全体が閉鎖された学校もあり、伝統的に左よりで労働組合に同情的だったフランスの学生らもフランス経済はこれまで通りではなだめだ、改革が必要だという現実路線に移行しているようだ。
むろんそういう背景があるからこそ、保守派のサルコージが首相に選ばれたわけだが、選挙時の公約と実際の方針とが噛み合ないのはよくあること。それをサルコージが先ず最初の試練に打ち勝ったというのは非常に大きな意味がある。


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ヒラリー危機? 大統領選挙アイオワ州コーカス地区予選

来年の11月にある大統領選では共和党と民主党それからあまり意味はないが他党からそれぞれ候補者が出て争う。しかしその前に各党は自分らの党を代表する候補者を選ばなければならない。これが大統領選挙の予備選挙である。この候補者の選び方なのだが、各州でどのように候補者を選ぶかは一般市民が選挙で選ぶプライマリーと党員だけで決めるコーカスと呼ばれる会合の二つがある。そこでその州が一番適当と考える候補者が選ばれる。候補者たちはこうやって州の支持をひとつひとつ得ていかなければならない。だから全国的に人気のある候補者でも地方での予備選で勝てるという保証はないのである。
さてコーカスの一番最初の州はアイオワ州。ここでヒラリー・クリントンの人気がちょっと危ないらしい。ワシントンポストABCニュースの世論調査(PDFファイルのリンクはこれ)によるとアイオワではバラク・オバマの支持率が30%で、その次にヒラリ・クリントンが26%とヒラリーを抜いている。しかも三位のジョン・エドワーズも22%とヒラリーを追いつめている。パワーラインによるとヒラリーの支持者は比較的若い女性が多く、コーカスに参加する人のほとんどは男性や年配の女性で若い女性は少ないのだという。アイオワでのコーカス会合は1月で非常に寒い。そういうところにわざわざ平日の夜遅くまでかかる会合に出席するほど熱心なクリントン支持者がいるかどうかわからない。
ヒラリーはこのことを十分に承知しているらしく、夫のビルを出演させて「コーカスは易しい」というビデオキャンペーンを行っているくらいだ。
しかし、ヒラリーにとってアイオワはそれほど大事ではないという人もいる。アイオワコーカスがヒラリーの選挙運動にどういう意味を持つのか、ニューヨークオブザーバーでスティーブ・コーナッキ(Steve Kornacki)が説明している。
コーナッキによれば、アイオワでのシナリオは4つ考えられる。まず第一にヒラリーが勝つこと。ここで勝てればヒラリーの候補指名はまず間違いない。なぜかといえば次の予選はニューハンプシャーのプライマリー。アイオワと違ってヒラリーはニューハンプシャーでは二番のオバマを20%も離して一番人気。 三番のエドワーズとは30%も離れている。
もしアイオワでエドワーズが勝った場合でもヒラリーはニューハンプシャーは勝てるだろうとコーナッキ。 エドワーズはアイオワではかなり熱心に選挙運動をしているらしい。しかしここでヒラリーが二番になったとしてもヒラリーにとって最大のライバルはオバマであるから、オバマに勝てさえすれば問題はない。
エドワーズはニューハンプシャーではあまり人気がないし、ヒラリーやオバマと比べ選挙資金に限りがある。そこで多分エドワーズはニューハンプシャーは飛ばしてサウスカロライナへ直接持ち込もうとするだろう。ヒラリーはニューハンプシャーを勝ち取っていればサウスカロライナで勝てる可能性は大きい。万が一サウスカロライナで負けたとしてもエドワーズよりも選挙資金が勝っているヒラリーなら2月の大型予選でエドワーズを圧倒することができる。
しかし三番目のシナリオで、オバマが勝ってヒラリーが二番になった場合はちょっと問題だ。これが起きるとヒラリーの候補指名がかなり危なくなってしまう。オバマがアイオワで勝ったら、エドワーズのキャンペーンは終わりだとコーナッキは言う。となるとここでヒラリー対オバマの一騎討ちとなるわけだ。アイオワで勝利を得ればオバマには勢いがつきニューハンプシャーでも勝てるかもしれない。アイオワとニューハンプシャーを連続で勝ち取ったジョン・ケリーの例もある。
ニューハンプシャーでは無所属がかなりの数で民主党の予選で投票する。無所属はオバマ支持が非常に多い。オバマがアイオワとニューハンプシャーで勝利をおさめればこれまでのようにヒラリーが自動的に候補指名を受けるというわけにはいかなくなる。オバマがその後積極的な運動をすればオバマ勝利の可能性は高まる。
四つ目のシナリオで、一番ヒラリーにとってよくない結果はヒラリーがオバマとエドワーズの双方にまけて三位になることだ。特に距離をあけての三位だった場合にはニューハンプシャーで勝てるかどうかでヒラリーが候補者として生き残れるかが決まることになる。
私が思うにヒラリーはアイオワでもニューハンプシャーでも勝たねばならない。なぜならば、いまヒラリーの第一人気はヒラリーが絶対に候補者に指名されると誰もが考えていることからきている。ほかの候補者たちはヒラリーが大統領候補になった場合に副大統領候補になるために存在している程度にしかメディアも民主党支持者たちも考えていない。ところがもしもヒラリーがアイオワで負けたら、ヒラリーが絶対に勝つという保証はなくなる。そうなれば、それほどヒラリーは好きではないが民主党大統領候補になる人物だからと支持している民主党員の間からヒラリーを見捨てる可能性が高まる。ヒラリーの民主党候補指名は自動的ではないということになるのだ。
先の大統領選挙でずっと民主党の有力候補者といわれていたハワード・ディーンが蓋をあけてみたら、最初のプライマリーで惨敗してキャンペーンが完全に崩壊してしまったなんて例もある。ヒラリーも今支持率一番だからといって全く油断はできない。
むろん私としては、ヒラリーおばさんだけは勘弁してほしいのだが、、、


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中国のドタキャンで台無しになった米水兵たちの感謝祭

昨日の木曜日はアメリカでは感謝祭だった。感謝祭というのはアメリカ特有の祭日で、日本のお彼岸のように家族が集まって祝うクリスマスに次いで大事な祝日である。だから今週の月曜日から水曜日まであらゆる交通機関は大混雑。私も日曜日にホノルルからかえってきたが朝から空港はごったがえしで、出発一時間半前に空港についたのに搭乗は最後のほうで滑り込みセーフだったくらいだ。
さて、アメリカ海軍のバトルグループキティホークは、感謝祭に香港へ入港する予定になっていた。感謝祭に地元へかえって来れない船は停泊地に家族が訪れるということはよくあることだ。私の乗っていた船も感謝祭は真珠湾に停泊しているので、乗組員の家族が各地からホノルルへやってきて感謝祭はハワイで過ごそうという人たちが大勢いた。わざわざ日本から子供連れできた奥さんたちも結構いた。それでキティホークの乗員たちとその家族も香港で落ち合って休暇を楽しもうと計画していた。
ところが中国政府が突然キティホークの寄港依頼を拒絶した。我々の船など乗組員はせいぜい数百人だが、キティホークはバトルグループ。水兵だけでなく戦闘機のパイロットなども大勢のっている。その家族たちが高い航空費を出してホテルやツアーの予約をして兵士らを楽しみに待っていたというのに、それが土壇場でキャンセル。おかげで8000人を超える水兵やパイロットやその家族たちがせっかくの感謝祭を台無しにされた。
中国がキティホークの寄港許可を拒否したのはキティホークが中国海域へはいる許可依頼を無線でした時。これでは家族たちが予定変更のできる余裕は全くなかった。昨日の木曜日になって中国はこの決断を取り消し、再びキティホークの入港を「人道的な理由で」許可すると発表したが時すでに遅し。キティホーク並びに護衛艦らは現在香港から300マイルの海域で台風をつっきりながら横須賀へ向かっている。いまさら引き返すことはできない。
どうやら中国は先週発表されたアメリカが台湾にペイトリアットミサイルIIのアップグレードを売る計画や、10月にブッシュ大統領がダリ・ラマと会見したことなどに腹を立て今回の拒否となったらしい。まったくせこい国だ。


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イギリス軍撤退後のバスラ状況は悪化しているという嘘

<お詫び> 下記は10月6日付けのエントリーだったのですが、記入に間違いがあり途中で切れて読めなくなっていました。コメンターのソルティカフェさんとエマニュエルさんからご指摘があったのですが、ネットアクセス不能が何日も続いたため今まで気が付きませんでした。管理不行届きをお詫び申し上げます。では間違いを正しましたので、あらためて掲載いたします。
***************
アンバル地区の状況が良くなっているという報告が多くあるなか、イギリス軍撤退前後のバスラの状況は悪化するばかりという記事をよく読むようになった。この8月7日つけのワシントンポストの記事などはその典型である。

イギリス軍がイラク南部のバスラから撤退するにつけ、地元の政治的勢力争いや原油資源の所有権ををめぐってシーア派民兵同士の暴力がエスカレートしている。バグダッドのアメリカ高官たちはシーアが多数派を閉めるイラク政府は米軍が兵削減を始める際仲間割れをするのではないかと心配している。

地元の三つのシーア派グループは、民兵や犯罪ギャングなどの手によって血みどろの戦いを続けている。かれらは地元の政府機関から市民の住宅街まで幅広くコントロールしている。町は「組織的な地元政府機関の不法利用や、暗殺、部族間の恨みあい、市民による不法な裁きや社会道徳の強制などで蝕まれ、それと共に犯罪マフィアの台頭がおこり、それが地元政治と深く絡み合っている。」とインターナショナルクライシスグループの報告書は告げている。

「要するにイギリス軍は南で敗北したのです」と最近バグダッドにてアメリカ諜報部の高官は語った。この高官はまたイギリス軍はバスラ宮廷の本拠地を捨てたという。ここは最近訪れたロンドンからの高官が「カウボーイやインディアンのように囲まれていた」と表現した場所である。空港は待ちの外側にあり、そこにアメリカ大使事務所やイギリス軍の残りの5500兵がビルのように高々と詰まれたサンドバッグでのバリケードの後ろ隠れている。ここはすでに過去4ヶ月の間に600回もモーター攻撃を受けている。

このことについてヒュー・ヒューイットが彼のラジオ番組で多国籍軍副司令官シモンズ少将にインタビューした際、シモンズ少将はこのように答えた。

それは正しくありません。捏造といってもいいくらいです。宮廷とPJCCのイラク軍への任務譲渡は計画的なものであり、受け継ぎは生気のイラク政府軍にされています。彼らは基準を満たし、きちんと訓練をうけた装備もととのったイラク警備軍です。平和的な祝いのようなデモンストレーションがおこなわれましたが、一時でも同盟軍が攻撃をうけたなどということはありません。モーハン将軍のもと、地元イラク高官はバスラの状況はきちんと把握しています。

さてバスラにはここでも何度も紹介している体当たりフリーランス記者のマイケル・ヨンが向かっている。クエートで待機中のマイケルにヒューがインタビューをした。

マイケル:私は今クエートにいます。イラクには10時間くらいでつけると思います。そしてかなりの長丁場になりそうです。最初はイギリス軍と一緒にバスラへ行き、一ヶ月ほど彼らと滞在します。その後はアメリカ空軍に従軍し、次に歩兵隊と一緒に帰ってくることになっています。ちょうど24時ほど前ですが、モスールで四ヶ月ほど前に撃たれたジェームス・ピピン曹長がイラクへ戻るのに出会いました。彼は頚骨を撃たれたんですよ。四ヶ月前に頚骨を粉々にされたというのにもうモスールへもどるっていうんです。すごいですね。
ヒュー: それはすごい。彼はどの軍に所属ですか?
マイケル: 陸軍です。モスール歩兵隊の上級曹長です。飛行機にのるんで、いやその手続きをするんで、列にならんでいたらその列にいたんですよ。私は自分の目が信じられませんでした。この間撃たれたばっかりなのに、もう戻るっていうんですから。
ヒュー: それは本当にすごいな。ところで君がバスラに行くっていうのは好都合だ。なぜかというとバスラについてはずいぶん色々は話をきいてるけど、イギリス軍の前線撤退後に地獄状態になって手がつけられないとか、君はこれについてどんなことを聞いてる?
マイケル:その報道は正確とはおもえません。私はついこの間までロンドンにいましたけど、今年の初めにバスラに駐留していたイギリス人ともすごしましたけど、実際には兵を削減していく潮時だろうと思うんです。彼らのやり方は賢明だと思いますよ。イギリス軍はアフガニスタンで大任がありますし、彼らの軍隊はわれわれのものよりずっと小規模ですからね。それにバスラの問題は他の地区の問題とは違います。卵の殻にひびが入ってるような状態じゃないですし。あんまり先のことを予測するのもなんですが、私はイラクの暴力は地元のより多くの地元民が協力してくれるようになるにつけ、この先数ヶ月でじょじょにへっていくと思います。ディヤラなんかでは25ある部族のうち20が同盟軍およびイラク軍と協力するという条約に調印したほどです。これってすごいことですよ。

マイケルは他にもイラク各地で地元の人々が目覚めアルカエダと対抗しようという気になっていることや、当初はアメリカ軍もずいぶん躓いたが、いまではイラク市民とうまくやっていくコツをつかんだことなどを語っている。
マイケルは一年以上まえ、イラクは宗派間で内乱になっている言っていたくらいだから、この変貌ぶりは非常に評価できる。今後もマイケルのバスラからの報道に期待したものだ。


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