BLM暴動より数倍深刻なフランスのイスラム移民暴動

以前私はよくフランスに居るイスラム移民による問題を色々書いていた。しかしあまりにも日常的でマンネリ化してしまったので、それにあまり触れる機会が無くなった。しかしだからと言ってフランスにおけるイスラム移民による問題がなくなっていたわけではない。いやそれどころか、もっとひどい状態になっている。今回「非武装のアルジェリアン移民の少年が警官に射殺された」事件をきっかけに起きている暴動はその規模や暴力性から言って、あれだけひどかった2020年のアメリカのBLM暴動よりもさらに輪をかけて悲惨な状況になっている。

動画元主が書いているとおり、9%が都市全体を崩壊させる。 フランスが炎上中。 移民がフランスの人口に占める割合は9%、その内アフリカ圏からの移民は44%、なかでもアルジェリアからが全体の13%を占める。警察官に射殺された17歳の青年もアルジェリア系の家族出身だった。@vismogliさん)

フランス暴動まとめ 3日目 (髙安カミユ(ミジンコまさ)@martytaka777さん)

  • 公道で2560件の火災
  • 1350台の車両が放火
  • 250の建物や店舗が放火
  • 略奪:数千件

今回の暴動の主体は10代の未成年が多く、フランスの学生の中には、特に学校の授業を妨害したり、教師に暴力的行為をする移民系連中には、AfrocentrismやIslamismに感化され、そして政府や教育機関での左翼的思想のせいで反フランス、反政府、非服従のなのもと自分たちは何しても良いと考えてる層がいる(フランス在住CRISTALINE@sh29leさん)

暴動のきっかけはアメリカのジョージ・フロイドや他の黒人容疑者が警官によって撃たれた事件とよく似ていて、スピード違反か何かで警官に呼び止められた容疑者の17歳のアルジェリア系移民の少年が、警官二人による要請を無視して車のアクセルを踏んだとたんに警官が発砲。救急車が駆け付けたが少年はその場で死亡した。

少年が撃たれた瞬間のビデオを観たが、私の独断ではこれは警官の正当防衛だと思う。というのも車は十分に武器なのであって、もし警官が車に魅かれて殺されると判断したとしたら、発砲は十分に正当である。しかしアメリカと同じようにメディアは事情がはっきりしないうちに、これが非武装少年を人種差別の警官が訳もなく殺したと発表している。

はっきり言って直接のきっかけが何であったかはもうどでもよい。事情がどうあれ殺されたのがアルジェリア移民だったという事実だけで、日ごろの鬱憤ばらしとばかりにアフリカ系モスレム若者による暴動は始まってしまった。年齢からいってこれらの若者たちは多分移民二世だろう。

これは多くの移民二世に見られることなのだが、親たちは自分らの貧しい母国から逃れて豊かな先進国へ移住する。しかし先進国で成功できるような学歴も手に職もない移民たちの多くは移住先でも貧困生活をするか政府のお世話になって生活保護などを受けるしかない。そんな家庭に育つ二世たちは学校へ行っても家庭でのサポートがないため学力も伸びない。結局学校に興味を失くして落ちこぼれる。かれらは親の母国語でも生まれ育った国の言葉でも読み書きもまともに出来ない中途半端な状態になる。それで10代後半になっても学校へも行かず、かといってきちんとした仕事にもつけず、結局街でチンピラ生活を続けることになるのだ。現にツイッターではこの暴動中にもイスラム移民と思われるブルカ姿の中年女性たちが銀行に集まって生活保護支給金を引き出しに並んでいる姿が上がっていた。

モスレム移民はどこの国へ行ってもその移住先で融和せず、自分らのコミュニティーを作ってしまうことで知られている。そして彼等の間での犯罪率は他の移民をはるかに上回る。特に女性への性暴力はひどいものだ。政治的にも彼等は数が少ないうちはおとなしくしているが、だんだん増えてくると自分らの要求をどんどん押し通そうとしてくる。日本で土葬させろだの給食をハラルにしろだの言い出してるのを見ていれば解るはずだ。

ゲートウェイパンディットによれば 現在45000人の機動隊員が出動、1300人以上が逮捕されているが、暴動は全く収まりそうにない。今現在100以上の都市が燃えているという。France 24によれば、マルセイユでは金曜日略奪者が狩猟用ライフルを略奪したという。ツイッタービデオでは男が自動小銃を撃っているビデオもあり、ウクライナから違法銃が流れてきている可能性があるという。


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時代劇や史実番組で行われる人種挿げ替えがもたらす危険

先日ご紹介したネットフリックスのクレオパトラシリーズの放映が遂に始まったが、RottenTomatoesという批評家と視聴者の反響を示す指標では、批評家11%、視聴者2%というRT史上最低の結果が出た。これはつまり、観た人ほぼ全員がこの番組に悪評価を下したということになる。この番組は放映前からクレオパトラをアフリカ系黒人が演じているということでかなりの批判があり、特に現エジプト人からなぜエジプト系やギリシャ系の女優を使わなかったのだと不満の声が上がっていた。

Netflix’s ‘Queen Cleopatra’ docuseries slammed by both critics and audience for being historically incoherent

Netflixのアデラ・ジェイムス演じるクレオパトラ

ローマやエジプトの古代歴史に詳しいユーチューバー(多分ギリシャ系)の話を聞くと、北アフリカ系黒人は主役のアデラ・ジェイムスだけでなく、エジプト人とされる人々の役は全てアフロ黒人が演じているという。当時のエジプトの支配階級はマセドニア人(現在のギリシャ)であり、アフロ黒人ではない。なぜエジプト王家の話なのにエジプト系俳優が一人も起用されていないのか、とそのユーチューバーは怒っていた。

Elizabeth Taylor as Cleopatra in the 1963 epic drama film directed by Joseph L. Mankiewicz.

Elizabeth Taylor as Cleopatra in the 1963 epic drama film directed by Joseph L. Mankiewicz.

しかしエリザベス・テーラーがクレオパトラを演じた時は人種が違うなどという批判はなかったではないかという問いに対して、エジプト人芸人Bassem Youssefはハリウッドは昔からそういうことには無頓着であり、当時のエジプト人もそれがいいと思っていたわけではないと語っていた。しかし、そういう彼の顔立ちは、中東系とはいえイタリア人やギリシャ人と言っても通用するヨーロッパ系に見えるし、肌はどちらかと言うと白人に近く目は青い。今のエジプト人でもこうなのだ。古代エジプトのマセドニア人であったクレオパトラがエリザベス・テーラーとアデラ・ジェイムスのどちらに似ていたかと言えば、明らかにテーラーの方に似ていたはずだ。

Bassem Youssef

Photo courtesy of Mustapha Azab Bassem Youssef

拙ブログでも何度かお話しているように、昨今のハリウッドやイギリスのドラマにおける人種挿げ替えの勢いは凄まじい。リトルマーメイドやティンカーベルのような架空のファンタジーキャラクターなら人種などどうでもいいという理屈も通るかもしれないが(通らないと私は思うが)、時代劇など史実を元に実在した歴史上の人物で肖像画などからその容貌が広く知れ渡っているような人たちですら黒人が演じるという本当におかしな状況になっている。

つい先日も、ウィリアム・F・バックリーJr.(1925ー2008)という1955年にナショナル・レビューを設立した保守派作家の役を黒人が演じているお芝居のコマーシャルを観た。彼は1950年代から2008年に亡くなる寸前までテレビなも多く出演しており、その教養あふれる上流階級人らしい彼独特の話方に関しては、まだまだ記憶に新しい人々が多く居る。彼の友人だった保守派の人びとも未だに作家や評論家として活躍しているわけで、全くイメージの違う人を配役することの意味がわからない。私の今は亡き我が友人はバックリーと面識もあり、彼の物真似が非常にうまかった。

しかし問題なのはイメージが違うなどという表面的なことだけではない。ほぼ単一民族だけの社会ではよそ者を忌み嫌うのはごく普通である。だいたいつい数十年前までどんな社会でもよそ者差別は普通だった。海岸沿いで貿易港などがあり諸外国の人びとが入り混じる都市ならともかく、小さいコミュニティーでは誰もが何世代も前からの知り合いだ。だからよそ者を警戒するのは当然の’話だ。

それと昔の社会はどこの社会でも階級制度というものがあった。自分らが付き合う相手は同じ階級のものだけであり、ましてや結婚などということになれば位が高ければ高いほど相手の家柄を選ばなければならない。位の違うひとたちとの付き合いは同じ階級の人びととのそれとはまるで違う。身分の違うもの同士の対等なつきあいなどというものは存在しなかったのである。

そういう社会を背景にした物語で、全く違う人種や階級の人間が、あたかも対等であるかのように自然な付き合いをする描写があった場合、歴史を良く知らない観客は昔の欧米社会についてどんな印象をもつだろうか?何も知らない観客は中世のイギリスやフランスの宮廷には普通にアフリカ系黒人の貴族が出入りし、貴族も商人も農民もみな同じようにふるまい、諸外国からの移民で街は溢れかえっていたと思ってしまうのではないか?だがそうだとしたら、当時全く文化の違う諸外国からの移民がヨーロッパの宮廷でヨーロッパ人と同じようにふるまうだけの教養を持っていたということになってしまい、当時の中東アラブの奴隷商人やアフリカ大陸からの黒人奴隷らの存在はかき消されてしまう。

つまり史実上の人物や当時の社会を無視した人種挿げ替えは当時の社会構成や文化全体を否定することになり、欧州及びアフリカや中東の歴史まで書き換えてしまうことになるのだ。

今の世の中でも人種差別が消えたわけではない。いや、それどころか人権屋が常に現社会の人種差別について声高に訴えている。しかし、ドラマの世界を信じるならば、中世や近代歴史の欧米で多人種が仲良く全く問題なく共存していたのに、昨今の人種差別は何時頃から始まったのであろうか、何故昔は人種差別がなかったのに突然現代になって人種差別が始まったのだ、そしてその原因は何なのだ?というおかしな疑問が生まれてしまう。よしんば昔から人種差別はあったと考えたとしても、ドラマの世界を見る限り、いまとそんなに違わない程度のものだったと判断せざる負えなくなり、欧米の人種問題は昔から全く変わっていないという印象を持ってしまう。実際はまるで違うにもかかわらずである。

それともうひとつ、昨今の人種挿げ替えはほぼ元の役が何人であろうと黒人が配役される。そして白人役を黒人が演じるのは構わないのに黒人役を白人が演じたら大問題になる。この間も書いた通り、現代のハワイ諸島民の役を実際のハワイ島民が配役されたにもかかわらず、役者の肌の色が白すぎると言って大騒ぎする黒人活動家たち。ハワイ諸島民はアフロ黒人ではなくヨーロッパの植民地時代が長く続いたせいで肌の色もまちまちであることなど完全無視。それでいて、非白人の有色人種(エジプト人)をあり得ない人種のアフロ黒人が演じることは全く問題がないと言い張り、当のエジプト人からの非難を「黒人差別だ」だとしてエジプト人ファン全般を侮辱するという傲慢さ。このままでいくと、そのうち「ショーグン」や「ラストサムライ」のリメイクが行われたら日本人役は全員黒人がやるのではないかとさえ思われるほどだ。

黒人俳優を多く起用したいというなら、黒人独自の歴史を語ればよい。近代の黒人英雄の遺伝はいくらもある。奴隷から政治家になったフレドリック・ダグラスやジム・クロー時代に育ちながら最高裁判事にまでなったクレアランス・トーマス判事の話など探せばいくらでもあるはず。なぜ他民族の歴史を乗っ取らなければならないのだ?何故他人の創造物を破壊しなければならないのだ?

今回のクレオパトラシリーズの大不評が良い例であるなら、今後このような人種挿げ替えはどんどん拒絶されていくだろう。そうなって反感を買うのは単に与えられた仕事をしていた黒人俳優たちのほうである。

追記:これを書いてからクレオパトラのプロデューサー、ジェダ・ピンケット・スミス(ウィル・スミスの悪妻)は、クレオパトラの失敗は白人至上主義のせいだと言っているという記事を見つけた。Jada Pinkett Smith claims her Cleopatra documentary FAILED due to WHITE SUPREMACISM (msn.com)。苦情の多くは非白人のエジプト人からなのに、なんでもかんでも白人至上主義の性にするな!歴史的にも間違いだらけの駄作を作った責任をちゃんと取るべきである。

ネット仲間のBlahさんがおもしろい動画を紹介してくれてるので張っておく。(5) 🇺🇸 🇯🇵Blah on Twitter: “ポリコレ改変が大好きなNetflix、今度はシャーロット王妃を黒人にして炎上。 シャーロット王妃黒人説は一部で根強く、原作者も賛同も、歴史家はこの説を強く否定。奴隷制廃止前に黒人系王族は無理があると批判の声。 ↓リプ欄で恒例のポリコレ映画ミーム集 https://t.co/PAqdaduhUg” / Twitter


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スコットランドの新しい刑務所方針はスタージョン首相の主張と真向から矛盾するのではないか?

アップデート:2/15/2023現在。スタージョン首相が辞任を発表。行き過ぎたトランスジェンダー政策が原因か?

スタージョン氏は、2014年に行われた独立住民投票でスコットランドが55%対45%で英国の一部にとどまることを決めた後、SNP党首となった。

ここ数カ月は、新たな独立住民投票の実施が英最高裁によって妨げられ、性別変更手続きの簡略化法案を巡っても、英政府に阻止された。

スタージョン氏はエディンバラでの記者会見で、スコットランドでは独立支持者が多数だと確信しているが、SNPはその支持を固め、拡大する必要があると訴え、「それを達成するためには、スコットランドの政治的分断を乗り越えて連携しなければならない。そして、新しいリーダーの方が、これを上手に行うことができるだろうと判断した」述べた。

2/1/23現在 先日、スコットランドのスタージョン首相(英語ではFirst MiniStor)が、連続強姦魔のアイラ・ブライソンを男子施設に収容することに決めたこと、スコットランド刑務所サービス(SPS)が女性自認男性囚人の女子施設収容について見直しをする方針であると発表したことが、これはスタージョン政権が主張していた「トランス女性は女性です」の方針と完全に矛盾するのではないかという声が上がっている。

スコットランドの新しい方針(イギリス政府によって阻止されたが)である性別認定改定案(GRR)によれば、誰でも自分が異性だと言えば法律的に異性と見なされると言うものだ。これまでのように医者の診断書も必要とされず、異性として暮らす時間も2年間から3か月に縮小された。

にもかかわらず、スコットランド刑務所は時と場合によってトランスジェンダー女性が女性収容所に収容されないことがあるというのである。そしてこれは1994年から起用されている方針であり、GRRは全く無関係だというのだ。そうであるならば、何故今になって男子の女子施設収容が一時停止されたり、スコットランドの副首相が今後は男性器のあるトランスジェンダーを女子収容所に送ることはなくなるだろうなどと発言しているのだ?

もし本当に男性器のある男子は、法律上の性別がどうあれ女子施設には収容されないというのであれば、これは非常に喜ばしい方針転換ではある。しかし我々ジェンダークリティカル(TRA批評家)にとっては納得のいかないことがある。

常に「トランス女性は女性です」と言っている人たちが、何故、刑務所に関してだけは、時と場合によってトランス女性は男性として扱われることがあるという事実を素直に受け入れることが出来るのであろうか?

繰り返すがGRR通過の審議が議会でされていた時、性犯罪者や殺人犯の性転換は例外とすべしという補正案を棄却したのはスタージョン政権である。犯罪者でも法律に沿って性別を変えることが出来るのであれば、その性別に沿った扱いをされないのは人権迫害ではないのか?差別ではないのか?

スポーツ界でも種目ごとの協会が、それぞれ男性体の選手を女子競技に参加させるかどうかを決めるべきだと主張するTRAが居る。これも全く変な話だ。トランスジェンダー女性が女性なら、何故時と場合によって男性体であることが問題視されるのだ?

それに、男性体の女子刑務所収容が問題なら、何故男性体の女子トイレや更衣室やお風呂は問題にならないのだ?女子刑務所に収容するには危険すぎると判断された個人でも、釈放されれば世の中に出て行くのだ。そういう人たちが女子専用空間に簡単に入れることは何故許されるのだ?

つまりトランスジェンダー活動家もアライも、男女が同じだなどとは信じていないのである。

真実でないことを真実だと主張するから、あちこちで歪が生じるのだ。

いま必要なのは刑務所の方針を変えるだけでなく、男女の性別が変えられるという概念そのものを排除することだ。

いますぐそれが出来ないというのであれば、せめて、犯罪者や犯罪歴のある人物の性転換は全面的に禁止するべき。そうでないとSPS方針は完全な法律違反になってしまう。


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スコットランド刑務所、法律的女性を女子収容所に収容しないのは差別ではないのか?(ラープ副首相トランス女性の女子収容を禁止を発表)

アップデート:2023年2月1日現在。ドミニク・ラーブ副首相は、政府は今後、「男性器」を持つトランス女性を女子刑務所に収容しないことを発表した。Trans prisoners with ‘male genitalia’ banned from women’s prisons (thepinknews.com)

2023年1月29日現在。先ほどもアップデートでちょっと話たが、スコットランド刑務所サービス(SPS)は29日、女性を自認する囚役者を女子収容所に収容することを一時停止すると発表した。SPSは女性自認囚人の女子施設配送について緊急な見直しをする意図を明らかにした。異性体の囚人を本人が望む方の収容所に収容する方針は2014年から行われてきたが、何故いまになって「緊急」な見直しが必要となったのだろうか?(DeepL翻訳)

スコットランド刑務所サービスの広報担当者は、次のように述べています。「私たちは、現在私たちの施設で管理されているすべてのトランスジェンダーのケースについて、緊急の見直しを開始しました。

「私たちの第一の関心事は、常に、そしてこれからも、私たちのケアを受けるすべての人々と職員の健康、安全、ウェルビーイングであります。

「私たちは、非常に強固なリスク評価プロセスを持ち、しばしば困難な状況においても、人々の安全を守ってきた実績があります。

「そのため、見直しが完了するまで、すべてのトランスジェンダーの移動を一時停止しています」。

広報担当者は、この見直しが「女性に対する暴力や性犯罪の履歴とそれに伴うリスクを考慮し、その人が収容される最も適切な場所を決定する」ことになると述べています。

「この見直しが完了するまで、女性に対する暴力の履歴があるトランスジェンダーの方々は、私たちのケアに初めて参加される際に、男性用の施設にのみ隔離して収容されます」と広報担当者は付け加えました。

この発表は、未成年への性犯罪と刑務所内部で職員を襲った罪とで終身刑を服役中のティファニー・スコット(本名アンドリュー・バーンズ)と二人の女性を強姦した連続強姦魔アイラ・ブライソン(Isla Bryson)が女子施設への配送許可が下りた後に起きた非難囂々の嵐に応えて起きたものだ。

ご存じのように連続強姦の罪で有罪判決を受けたばかりのブライソンの女子施設への配送はスタージョン首相によって差し止められた。しかしスコットの男子施設から女子施設への転送許可は取り消しにはなっておらず、このままいけば今年の終わりには女子施設に移転されることになっている。

スコットランド刑務所サービスはこれまで、女性を自認する男性囚人の女子施設転送はケースバイケースでその都度女子囚役者に与える危険度を十分に審議(リスクアセスメント)して決められていると言って来た。しかし女子施設への転送が許可されたスコットは13歳の少女にストーカー行為を行って就役中、男子収容所で椅子で看護師の背中を殴り、看守の一人の顔面にパンチを食らわせもう一人の職員に唾を吐きかけたうえ噛みつこうとした前歴のある。そんな危険人物が申請した女子施設への転送が許可されたのである。何がケースバイケースなリスクアセスメントだ、人をバカにするのもいい加減にしろ!

スタージョン首相は明らかに反対派議員からだけでなくJ.K.ローリング女史のような著名人や一般市民からの怒りを感じ取っている。性別認定改定案(GRR)はごり押ししたものの、一般市民の怒りはそう簡単には抑えられない。

スコットランドのキース・ブラウン司法長官は、次のように述べています。「トランス女性が暴力や性的犯罪で有罪判決を受けるという問題は、非常に感情的なテーマであり、国民の懸念は理解できるものです。

先週、第一大臣が指摘したように、トランス女性が女性にとって固有の脅威となるような示唆を根付かせてはならないのです。略奪的な男性こそ、女性にとってのリスクなのです。(略)

(前略)今回の措置が、トランスジェンダーの管理とすべての受刑者の安全を確保するための刑務所の継続的な能力について安心感を与えることを期待します。

また、これらの事件には被害者がいることを忘れてはなりません。私の思いは彼らとともにあります。

なにが「安心感を与える」だ。こんな緊急措置はただの気休めだ。「継続的な安心感」など程遠いわ。

だいたい男性体の囚役者が女性を名乗りさせすれば女子収容所への移転が考慮されるというシステムそのものに問題があるのだ。ケースバイケースだのリスクアセスメントだの言ってみたところで、今回のように誰かが声を挙げなければ連続強姦魔が女子収容所へ配送されるところだったではないか!こんなシステムが存在する以上、将来も誰も気が付かないうちに危険な男性体性犯罪者が女子施設へ配送されないという保証は全くないのだ。誰が安心感など持てるのだ、バカも休み休み言え!

しかしSPSがこの緊急な見直しを行った結果、男性体囚人を女子施設に収容しないという結論が出た場合のことを考えてみよう。

スコットランド及びイングランドとウェールスにはGRA(性別認定法)という所謂イギリス版特例法がある。一定の条件を満たした個人はこれにより性別を変更することが出来、認定された人はGRCという性別認定証を受け取ることが出来る。GRCがあれば、すべての面で異性として扱われるようになるはずである。にもかかわらず刑務所だけは例外というのはおかしくないか?

去年性別認定改定案(GRR)が審議された時、スコットランド議会は性犯罪者を例外とする補正案に圧倒的多数で反対した。もうこの時からすでに囚役中、もしくはこれから囚役される極悪性犯罪者が女性自認を言い出すことは十分に予測されていたことのはずである。にもかかわらず、議会は刑務所の方針がGRCとは直接関係がないので心配はいらないと、反対者の懸念を一笑に付していた。その結果がこれである。

今更あわてて強姦魔の女子施設収容は禁止するなどと騒いでみても遅い。トランス女性は女性ですと言ったのはお前たちではないのか?トランス女性が女性なら強姦魔であろうが殺人鬼であろうが本人が女性だと言い張れば女性として扱わないのは差別ではないか、トランスフォーブではないか!

問題なのは性別は変えられるという概念そのものだ。条件を満たせば性別は変えられるなどという法律をつくってしまうから、条件が厳しすぎるなどといい出す奴らが出てくるのだ。日本も全く同じだ。特例法の手術要件や子供の居る居ないや、既婚未婚など、絶対に緩和しろという声が出てくる。そしてその時もまた「この法律で影響が出るのはほんの一握りの人びとであり、一般市民は何の心配も要らない」と騙そうとするのである。

市民よ騙されるな!

TRAは嘘しか言わない。

今回のスコットランドの状況をよ~く脳裏に焼き付けておいて欲しい。日本も他人事ではない!


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スコットランド、性自認のみで性別が変えられる性別認定改悪法が議会を通る、性犯罪前科があっても問題なし

拙ブログでも何度かご紹介したスコットランドの性自認のみで性別が変えられる性別認定改悪法が先週の木曜日(12/22/22)国民の2/3が反対しているにも関わらず、ついに86:39という圧倒的な数で議会を通ってしまった。

以前にもお話したように、この法律は、本人が異性を自認していると言うだけで性違和という医師の診断書を必要とせず、過去に三か月ほど異性として暮らした実績があれば法的な性別を変更することが出来るというもの。議会では性犯罪歴のある男性の場合はもっと慎重な審査が必要であるという補正案も否決された。そして性別変更の年齢もこれまでの18歳から16歳まで引き下げられることとなった。

実はこの法律が施行されることを阻止する方法がひとつだけある。それは史上一度も使われたことのないイギリス政府の拒否権である。日本では一口にイギリスと言っているが、実はイギリスはユナイテッドキングダムと呼ばれイングランド、スコットランド、アイルランド、そしてウェールズという四つの王国からなる合衆国である。とはいっても王様はバッキンガムに居る王一人なのだが。それはともかく、スコットランドはこの合衆国の一つであるから、イギリス政府にはスコットランドの決議を否決する権限がある。1998年スコットランド法の35条がそれである。(Section 35 of the 1998 Scotland Act)。

もともとイギリス政府はこの改悪案に否定的であり、スコットランドの二コラ・スタージョン首相にこの法を諦めるようにと要請していた。大抵の場合イギリス政府がスコットランドの内政に干渉することは望ましくないとされているが、法律が社会に多大なる害を与えるとイギリス議会が判断した場合にはイギリス議会に否決することは可能なのである。そして今回は実際にその特別な場合かもしれないというわけだ。

スコットランドは一応自治体ではあるが、イギリスの一部である以上、スコットランドで性別を合法に変えた人間の性別は他の三か国でも尊重しなければならない。そうなると、容易に性別を変えられるスコットランドに性別を変えるために訪れるけしからん者が増える可能性がある。いくら他の国々で厳しい法律があっても、それらの法律は意味のないものとなってしまう恐れがあるのだ。

例えば、この新法では女性空間に侵入したい男性が非常に容易に合法に女性を名乗ることが出来る。しかも女性への性犯罪を犯した前科者ですら規制がないのだ。だから性犯罪歴のある男がスコットランドで性別を変更し、その後イングランドで再び犯罪を犯してイングランドで逮捕された場合、イングランドの女子収容所に収容されなければならないという恐ろしいことが起きかねないのだ。

最近日本でも多々の地方自治体でパートナーシップ制度だのLGBT差別禁止法だのといって誰でも賛成できそうな法律に隠れて性自認法を通そうと言う動きがある。杉並区パートナーシップ法案などがその典型だ。

説明文から抜粋すると,条令の目的と基本理念というところにこう書かれている。強調はカカシ。

条例の目的は、杉並区(以下「区」という。)において、
基本構想(令和3年10月策定)に掲げた福祉・地域共生分
野の将来像「すべての人が認め合い、支え・支えられなが
ら共生するまち」を踏まえ、性の多様性が尊重される地域
社会の実現に向け、基本理念、区・区民及び事業者の果た
すべき責務及び区の取組の基本事項を定め、推進すること
です。

そして用語の説明部分では「性自認 自己の性別についての認識をいいます。」とある。一番問題となるのは第三項目の「区・区民と事業者の責務及び性を理由とする差別などの禁止」という部分。

  • 区は、性の多様性が尊重される地域社会の実現に関する施策を実施します。
  • 区民は、性の多様性について理解を深め、区が実施する施策に協力するよう努めます。
  • 事業者は、性の多様性について理解を深め、事業活動を行うに当たっては性の多様性に配慮するとともに、区が実施する施策に協力するよう努めます。
  • 性を理由とする差別、性的指向又は性自認の表明を強制し、又は禁止すること、本人の意に反して性的指向又は性自認を明らかにすること、その他の権利利益を侵害する行為を禁止します

元来パートナー法というのは、現在合法に結婚出来ない同性同士のカップルが法律上ほぼ婚姻関係と同じ関係を結べるようにするための法律のはずであり、トランスジェンダーだの性自認など無関係なはずだ。それなのに何故そんな言葉が法案の説明文に記載されているのだろうか?

だいたい同性同士でパートナーシップを結びたいというカップルはすでに自分らで自分らの性指向を明らかにしているので強制もなにもない。また性自認がどうあれ、カップルの法律上の性別が異性同士であれば普通に結婚できるわけだからパートナーシップの必要はない。だからこの「性自認の表明を強制」するなどということが起きる理由がない。なんでこんな項目がパートナーシップ法のなかに入っているのだ?

聡明な読者諸氏はもうお分かりだろう。実はこのパートナーシップ法はパートナーシップとは完全に無関係なのだ。この法律の真の目的は性自認を認めさせること、つまり他人の性自認に対して誰も文句を言えなくすることなのだ。

杉並区の法律を推進している政治家や支持者たちは、他人の性自認を認めないことは差別だと言い張る。しかし彼等は故意にこの「他人の性自認を認める」とはどういう意味なのかという議論を避ける。なぜなら真にそれがどういう意味であるかを一般人が知ったら、そんな法律を支持する人など居ないことを彼らは熟知しているからである。

言うまでもないが、ここでいう「性自認を認める」とは、「性違和を患い自分を異性だと思い込んでいる可哀そうな人がいることを認める」という意味ではない。真の意味は「他人が自認している方の性別を全面的に受け入れること」だ。つまり、以前に松浦大悟氏が言っていたような「男性器付きの自称女が女湯にはいってくる」ことを認めるという意味になるのだ。

それに気づかずに安易な感情論でこんな法律を支持すれば、いずれ東京都もスコットランドのようなことになってしまうだろう。どうか杉並区民はそのことに気付いて、断固区議会に反対意見を送ってほしい。

関連記事:

スコットランド政府の性自認制度ごり押しに抵抗する名もなき女性達を支持するJ.K.ローリング女史 – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)

スコットランドの性別認定改訂法案に国連が警鐘をならす – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)


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スコットランド政府の性自認制度ごり押しに抵抗する名もなき女性達を支持するJ.K.ローリング女史

先日、作家のJ.K.ローリング女史がツイートでスコットランドの第一相(First Ministor)が、圧倒的多数の市民の反対を押し切って本人が自認してさえいれば公的に性別を変更できる法律をごり押ししていると発信した。そしてこのままだとあと2週間以内にその悪法は通ってしまうと女史は訴えていた。このスコットランドの所謂セルフID法とはどんなものなのか、それに何故ローリング女史及び大多数の市民が反対しているのか、女史自身が意見を発表しているので読んでみたい。My article for the Sunday Times Scotland on why I oppose Gender Recognition Act reformーJ.K.ローリング。 

女史はスコットランドの女性達が新しく提案されているセル法に抗議するのには根性の要ることだったと称賛する。無論イランで命がけでヒジャブなしの権利を要求している女性達とは危険度の差こそあれ、それでも昨今のトランスジェンダーロビーに抵抗するのは勇気のいることである。

スコットランドの女性第一相である二コーラ・スタージェンは( First Minister, Nicola Sturgeon)自らを真のフェミニストと自称しているが、BBCのインタビューで新しく提案されているGender Recognition Act(性別認識法)は女性の権利を奪うものではないと主張している。

しかしローリング女史はその意見には同意できないとはっきり言う。そう思うのは女史だけではない。ローナ・ハッチキス女史(Rhona Hotchkiss)元Masters in Law and a qualification in Research Methodologyのリーダー、イザベル・カー( Isabelle Kerr)元グラスゴー&クライドレイプ救済センターーの支配人で長年強姦犠牲者の救済にあたっている女性達も反対している。

もしサージョンの新法が立法されれば、人は三か月ほど異性として暮らしたことを証明できれば性別を公式に変更できるようになる。しかし誰もこの異性として生活するということがどういうことなのかという定義を示していない。

現在の法律では個人が性別変更をするためには性同一性障害を病んでいるという医者の診断が必要である。しかし新法ではこの診断書要件が必要とされていない。多分それはサージョンが絶大な権力を持つ活動家ロビーによる、性違和の非病気化の思想に迎合してのことだろう。彼らの理屈によれば、性違和は精神病ではなく、同性愛のように自然なものだというもの。ストーン・ウォールの宣伝部長レイチェル・コーヘン(Rachel Cohen)によれば、「トランスであるということは性転換でもなければ、服を買えることではない。これは自然な性そのものである。」いったい他人が人の「本物の自然な性そのもの」を審査できるのか「私にはまったくわからない」とローリング女史。

この法律が通ってしまえば、誰でも出生届そしてパスポートの性別を公式に変えられるようになる。そうなれば、男性器が付いた男性体の男が手術を受けた人たち同様、正式に女子トイレや更衣室やレイプ救済センターやDV被害者避難センターや女子病棟や刑務所の女子収容所などに平然と入って来れるようになるのだ。

2019年にサンデータイムスが掲載した記事によれば、イギリス司法省は90%の性犯罪が男女共用更衣室でおきることを認めている。にも拘わらず、サージョンはそのような心配を一笑に付す。そして常に私たちが聞き飽きた同じ「罪を犯す人に焦点を当てるべきなのであって、すでに社会でひどいスティグマを持っている人口のごく一部である人たちに、これ以上のスティグマを与えるべきではない」という理屈にならない主張をしている。つまり、女子施設で起きる犯罪は犯罪者が悪いのであってトランスジェンダーには無関係だと言うのである。サージョンが新法が必要だという根拠としているのは次の三つの嘘からなりたつ。

その一:トランスジェンダー女性は特に危険にさらされているという嘘。スコットランドでは2009年から2019年にかけて112人の女性が殺されているが、トランスジェンダー「女性」が殺された例はひとつもない。

その二:女性を自認する男性は女性に危害を与えないという嘘。しかし女性を自認する男が一般の男性の犯罪傾向を保持していないという科学的根拠はまるでない。犯罪学者のジョー・フィーニックス博士によれば、犯罪傾向で最も重要な要素は性別である。1850年来からの犯罪を研究するうえで、犯罪を犯す80%が男子であり、特に暴力的犯罪を犯すのはほぼ全員が男子である。性自認が変わったからといって、この傾向が変わるという根拠はどこにもない。

その三:トランスジェンダーに成り済ます男性など居ないという嘘。(そういう主張はトランス差別だ)よっぽどの馬鹿でない限り、自分は女性だと偽って女性空間に入り込もうとする悪者が存在することくらい想像できる。 すでに女装男子を女性として受け入れた女性病棟や刑務所で自称女の男の性被害になった女性が多々いることが報告されているではないか。何故か自分の自然な性そのものを自覚するのは刑務所が最適な場所のようで、スコットランドでトランスを自認する犯罪者の半分が有罪になってから自認するようになるという不思議な状況がある。

拙ブログでも何度か紹介した通り、ローリング女史は25年も前からシングルマザーや性犯罪やDVの犠牲者となった女性や女児を守るために戦い続けてきた。最近になってトランスジェンダーへの憎悪からこうした主張をするようになったわけではないのだ。ハリーポッターの若い俳優たちが生まれる以前からの運動なのだ。

この法案の審議において、性犯罪生存者の何人かの女性達が、この法律が性犯罪者の女性空間侵入を容易にするという証言をしようとしたとき、審議会は彼女達の証言の公聴を拒否。書面で提出するよう支持した。しかし審議会は17人のトランス自認の人々の公聴を行った。

スコットランド政府は一番犠牲になる底辺にいる女性や女児の安全よりも、女装男達の身勝手な要求を優先させることに決めたのである。

テネシー州、ドラアグクィーンショーを違法にする法律が提案される

一方アメリカはテネシー州では、一般の父母たちが中心となって、トランスジェンダーリズムの子ども洗脳を阻止すべく多々の運動が繰り広げられている。テネシー州では、デイリーワイヤーのマット・ウォルシらが指揮をとって子供病院でも性転換手術や治療を一時差し止めることに成功したが、今度は性的に破廉恥な子供相手のドラアグクィーンショーを違法にしようという法律が提案された。

J.K.ローリング女史同様、マット・ウォルシのこの運動は、昨日今日の付け焼刃ではない。実は私自身も忘れていたのだが、2015年に書いた5歳の幼女をトランスとして育てるのは幼児虐待だ! – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)(2015年)の中で、まだポッドキャスターとしては有名ではなかったウォルシのブログを引用していた。

そしてもちろん私も子供の性転換にはずっと前から反対だった。信じられない、子供の性転換増える! – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net) (2012年)

スコットランドの法律がどうなるかは分からない。だが、JKR女史が声をあげてくれたことで、世界中がスコットランドに注目するに至った。TRAの強みは誰の目にも触れないうちに闇の中で自分らのやりたい放題の政策をとってしまうことにある。一体奴らの悪だくみが表ざたになれば、そう簡単に奴らの思うようにはいかなくなるだろう。

そのためには、我々一般人が、事あるごとにTRAの陰謀を暴露していかなければならないのだ。

アップデート:12月22日現在。スコットランド、性自認のみで性別が変えられる性別認定改悪法が議会を通る、性犯罪前科があっても問題なし – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)


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ロシアの計画通りに進んでいるロシア軍ウクライナ侵攻

先日私はロシアのキエフ撤退はロシア軍の当初の計画通りなのだと言う話をご紹介した。その続編を先日ご紹介した西田さんが書いてくださっているのでまたまた引用させてもらう。

先ずロシアは何故ウクライナ侵攻を実行したのか。ロシアは当初から停戦のための六つの条件を明確に宣言している。

  1. ウクライナがNATOに入らないことを保証、
  2. 非軍事化
  3. クリミアをロシア領と認める
  4. ドンバス地域の2国(ドネツク、ルガンスク)を独立国として認める
  5. 政権からネオナチの追放
  6. ロシア語を第2公用語に戻す

もともとロシアの軍事目的は、東部のドンバスの制圧「解放」のはずだった。ところがロシアはウクライナ各地を攻撃しキエフに向かって進軍した。これによって西側諜報はロシアの目的はウクライナ全土の支配だとかゼレンスキー暗殺だとか憶測していた。だが実は先日TillyBさんもおっしゃっていたように、キエフ進軍はウクライナ軍を足止めしておくためのおとり作戦だったと考えた方が納得がいく。

ロシアはドンバスに進軍したいが、直接ドンバスまで行くとなると道々ウクライナ軍の抵抗にあう。ロシア軍全体はウクライナ軍より規模は大きいがウクライナに侵攻した軍は20万人で、ウクライナ軍の60万よりは圧倒的に規模が小さい。能率的にドンパスを攻めるにはどうしたらいいのか?

さてここでドンパスがどの地域を指すのか地図をみてみよう。濃い黄色の部分のルガンスク州(Luhansk)とドネツク州(Donetsk)を合わせてドンパス地域と呼ばれる。

See the source image

南部のクリミアはロシアの勢力下にあるため、そこから北上は可能だが、物資の補給をするためには途中のマリウポリ(Mariupol)を陥落する必要がある。そこでロシアが出た作戦とは、、

ロシア軍は ウクライナ軍の主力を首都キエフや北部、東部、南部のそれぞれの都市に閉じ込め、ドンバスにいる最大規模のウクライナ軍を支援できなくする という戦術をとりました。

まず開戦早々、ウクライナ国内の補給線、制空権、コミュニケーション、長距離ミサイル網などを破壊 結果、ウクライナ軍はそれぞれの軍隊の間のコーディネートができなくなった。 3月27日の時点では 529のタンク、1177の軍備装甲車、160のコマンド・通信用のレーダーが破壊、 空軍と海軍消滅そしてそれぞれの地域での作戦が始まる。 北部: キエフをロシア軍で囲い込むことで、ウクライナ軍は首都防衛のために動けなくなった。 赤:ロシア軍支配 青:ウクライナ軍抵抗エリア

Image

以前に私はロシア軍が誤ってウクライナのインフラを破壊しすぎて、ウクライナのセルタワーなども破壊してしまい、自国軍内の通信が滞っているという話をしたが、その時よもぎねこさんが、ロシアが誤ってセルタワーを破壊したとは考えにくい。ウクライナのインフラ破壊は故意にやったことではないかとおっしゃっていた。西田さんの話を読んでいると、よもさんは正しかったことが解る。ロシアの作戦は最初からドンパスに居るウクライナ軍を孤立させることにあったのだ。

なぜロシアがこれだけの損傷を受けても撤退しないのか。それは犠牲は多いとはいえロシアは当初の目的を達成しつつあるからなのだ。すでにクリミアはほぼロシア管轄下にあるし、ドンパス地域の陥落も時間の問題。となるとロシアが提示した条件の一番大事な3と4がうまく行っていることになる。

交渉は弱い立場からより強い立場からする方がいいに決まっているが、ロシアはこの戦争に負けているどころか勝っているわけなので、今すぐ停戦する意味は全くないのだ。ウクライナが折れなければ停戦の希望は全くもてない。

西側のメディアの情報だけ読んでいると、ロシアのウクライナ侵攻は負け戦だという印象を受けるが、ここが我々西側の人間と東側の人間の考え方の違いがあると思う。つまり、最近の西側諸国の考えは軍の消耗に関して物凄いアレルギーがあるということ。

10年戦ったイラク・アフガニスタン戦争を合わせても米軍の戦死者数は8000人程度だった。イラク戦争が始まった当初、戦死者の数がまだ1000人足らずだった頃に、毎日のように戦死者が~、戦死者が~と反戦メディアががなりたてていたのをみて、それまでの戦争に比べたら、この程度の戦死者は非常に少ないと私は思ったものだ。しかしアメリカ軍は自国の戦死者を極力抑える戦略を取れるようになったせいで、西側諸国は戦争とはそういうものだと思い込んでしまったのだ。だからロシア軍がたった数週間の戦争で15000からの兵士を消耗したとしたら、ロシア軍の士気も衰え撤退するのではないかと勘違いしたのである。

しかしプーチンは、戦争には戦死者がつきものだと腹をくくっている。大量の戦死者が出ても目的を達成することが出来ればそれでいいと思っている。プーチンが冷酷非情な元KGBだからこそ出来る物量作戦なのだ。

西田さんは、ロシアの目的と戦略を理解していれば、一見ロシアが撤退しているかに見える記事も、実はロシアが作戦通り着々と目的に近づいていることが解ると指摘する。ロシアはキエフを落とせないのではない。キエフの陥落はもともと目的ではなかったのである。下記は読売新聞の記事より。強調はカカシ。

ロシア、キーウ近郊の空港から撤退…ウクライナ軍前進「30か所が管理下に戻った」2022/04/03 00:45

 【ジュネーブ=森井雄一】ロシアによるウクライナ侵攻で、米CNNは1日、露軍が首都キーウ(キエフ)近郊のアントノフ国際空港から撤退したと報じた。英国防省の2日の発表によると、キーウ周辺では露軍の撤退に伴い、ウクライナ軍が前進を続けている。一方、露軍は、軍事作戦の重心を移すと表明した東部や南部で支配地域の拡大に向け、ミサイルなどでの攻撃を強めている。ウクライナ東部のハルキウ近郊で、ロシア軍の砲撃により炎上するガス輸送管(3月31日、ロイター)

 アントノフ国際空港は、2月24日の侵攻開始直後から露軍が制圧していた。CNNは、米宇宙企業が3月31日に撮影した衛星写真と米国防総省関係者の分析を基に、空港に駐留していた露軍の軍用車両などが姿を消したと報じた。

 ウクライナ軍参謀本部は1日、キーウ周辺などの約30か所の地区が、露軍の撤退を受けてウクライナ側の管理下に戻ったと発表した。空港の南にあるブチャの市長は1日、「市が露軍から解放された」と明らかにした。

 一方、東部では露軍の攻勢が強まっている。ウクライナ軍は1日、東部ハルキウ(ハリコフ)州で輸送の拠点となっているイジュームを露軍が占領したと認めた。露国防省は、東部の複数の軍用飛行場をミサイルで攻撃したと発表した。

 南部オデーサ(オデッサ)では1日、ロシアが併合したクリミアから発射されたミサイルが着弾し、死傷者が出ているという。

 ウクライナ軍は2日、隣国モルドバのウクライナとの国境沿いでロシア系住民らが一方的に独立を宣言している「沿ドニエストル共和国」で、駐留する露軍部隊がウクライナへの攻撃を準備していると指摘した。

 一方、露軍が包囲する南東部マリウポリでは、赤十字国際委員会(ICRC)が住民の退避の支援に向け、2日も引き続き現地入りを試みている。ウクライナ大統領府の高官によると、1日にはマリウポリから独自に住民約3000人が退避したが、約10万人がいまだに取り残されているとされる。

 また、露南西部ベルゴロド州の燃料貯蔵施設がウクライナ軍のヘリコプター2機により空爆されたと露国防省が発表したことについて、ウクライナの国家安全保障国防会議のトップは1日、「事実と全く異なる」と露側の主張を否定した。

なるほど、こうして読んでいくと西田さんやTillyBさんが言っていたことが良く分かる。

ところで西田さんが参照した解説は元アメリカ軍海兵隊のスコット・リッター氏と Gleb Bazov氏とあるが、スコット・リッター氏は聞いたことのある名前だなと思った。確かこの人はイラク戦争中に、イラク大量破壊兵器の国連主任査察官だった人だが、その後にイラクに大量破壊兵器はないと言い出し、アメリカ軍のイラク侵攻に批判的な態度をとるようになっていた。それで当時は「イラクから賄賂でももらったのではないのか、この裏切り者!」と私が勝手に思っていた人である(笑)。

西田さんがロシアの侵攻経過について詳しく説明してくれているので、こちらをご参照のこと


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ロシアへの経済制裁は効き目がない説

バイデン爺が今後食料品不足は避けられないと宣言したので、一か月分くらいの食糧や必需品を揃えておく必要があると思い、主人と二人でスーパーを三軒回って色々なものをかき集めて来た。おかげでもらったばかりのお給料ががた減り!信じられないほどの出費となってしまった。それにあちこち運転して回ったのでガソリン代も馬鹿にならない。このインフレとガソリン高騰、なんとかしてくれ!

しかもバイデン爺はこの間、ガソリンの値段についても、国民がみんなで電気自動車を買えばガソリン代が一家庭平均8000円節約できるとかアホなことを言いだした。バイデンは電気自動車の相場を知らないのか?ガソリン代高騰で苦しむ庶民が一台5万ドル以上する車を簡単に買えると思ってるのか?そのローンの支払いはガソリン代の比ではない!この糞爺は全く庶民のことをなんだと思っているのだ!

何度も書いているが、バイデンがこの不況からアメリカを救おうという気持ちが少しでもあるなら、アメリカは今日からでも変わることができるのだ。だが、バイデンにその気はない。バイデンにとってロシアのウクライナ侵攻は渡りに船である。なぜなら国内における多々の問題をすべてロシアへの経済制裁のせいに出来るからだ。

ところでこのロシアへの経済制裁なのだが、一向に効果が見えてこない。ロシア軍は苦戦していると言われているにも関わらず、ロシア軍がウクライナから撤退する動きは全く見えない。いったいどういうことになっているのか。先日これもツイッターで興味深いことを言ってる人がいたので、そちらを紹介しておこう。はっきり言ってツイッターで情報の宝庫だと思うなあ。

著者はフロリダ住まいの実業家Kan Nishidaさん。彼のスレッドはこちら

「浅はかな人間は運を信じる。賢い人間は因果を信じる。」 ラルフ・ウォルドー・エマーソン ロシアにもっと制裁を!と叫ぶ人達は、 回り回って日本に災難となって帰ってくる これを想像できない、もしくは隠している。 ステップを追って見てみましょう。

ステップ1 – ロシアへの経済制裁

ステップ2- ロシアに住む市民が苦しむ ここまでは誰もが想像できますね。

ただ問題は、この制裁に期待する効果です。 市民による反乱が起きる、プーチンが折れる、クーデターが起きる などを期待しているのでしょう。 しかし。。。

これまで、アメリカによる金融・経済制裁くらって 政権が転覆したというケースはほぼないんです。 例えば、今でも制裁中の キューバ、北朝鮮、シリア、イラン、ベネズエラ 政権転覆しないどころか、むしろ現政権の権力を強め、 独裁傾向をさらに強める。

西田さんは欧米による経済制裁で転覆した政権はほぼないどころか、国民は一眼となって制裁を加えた国を憎むようになるだけで逆効果だと言う。第二次世界大戦前の日本もアメリカからの経済制裁で国民は苦しんだが、その憎しみは日本政府ではなくアメリカに向いたと指摘。

今回の制裁も、プーチンは侵攻を諦めるどころか「交渉上有意になるためにさらに軍事侵攻を拡大させる」だろうとのこと。実際ロシア軍はウクライナから撤退する様子はまるで見えないので西田さんのおっしゃる通りだろう。

またロシアへの経済制裁によって苦しむのはロシア人よりもロシアからのエネルギー輸入に依存している世界中の諸国である。例えばエネルギー生産国でない日本は天然ガスをほぼ100%輸入に頼っており、そのうちの10%がロシアからの輸入である。地方によっては広島などロシアからの天然ガスに5割も依存しているところがあるそうだ。

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天然ガスは電力にも使われている。現在原子力発電を停止している日本では深刻な電力不足が起きている。その10%をロシアから買えないのだとしたらどこから買うのか?中東から買うにしても、ガスが足りない諸外国との取り合いになり、ガス料金はもちろんのこと電気料金の莫大な値上げが予想される。ところどころで定期的な停電も避けられないだろう。

さらに、もっと酷いのは、国民がロシアへの制裁を叫ぶようになると日本がロシアに持つガス、石油の権益を手放すという話になる。 アメリカはエクソンモービルが、イギリスはBPが制裁としてロシアに持つ権益をすでに手放した。 彼らは「日本、お前も手放せ!」とプレッシャーかけてるだろう。

しかし、エネルギーを自給できない日本にはそんなに簡単な話ではない。 そもそも、日本が手放した権益はどこに行くと思いますか?

今から10年ほど前に日本が手放したイランに持っていたアザデガン油田の10%の権益 覚えてますか? あれ、まるっと中国の中国石油天然ガス集団(CNPC)が譲り受けたんです。

諸外国がロシアから輸入しているのはエネルギーだけではない。例えば、農業に欠かせない肥料をアメリカは輸入に頼っているが、そのうちの1割以上をロシアから輸入しているそうだ。この間テレビのニュースで肥料の値段が上がりすぎて非常に困っているという農家の人の話しを聞いたが、そういうことだったのか。

肥料の価格が高騰すれば、必然的に食料の値段が上がる。いまでさえひどいインフレがもっとひどいことになるというわけだ。道理でバイデン爺が食糧危機が迫っていると宣言したわけだ。

また西田さんによると、半導体に使われるネオンガスの65%がモスクワとオデッサ(ウクライナ)で製造されているという。半導体が足りなくなれば自動車のシステムや冷蔵庫や電子レンジなどの家電にも影響が及ぶ。

ロシアがウクライナのオデッサの工場を制覇できたら、そこで作られるネオンガスを経済制裁した欧米に売るだろうか?

西田さんは、欧米は、自分たちの政策がうまくいかないと解った時の軌道修正をしたたかにやると言う。コロナの件でもマスクだのワクチン強制だのうまくいかないと解ると辞めてしまう。ところが日本はそれが下手だという。

日本は軌道修正苦手です、実際マスクとかワクチンとかもまだやっていますね。 欧米では最近原子力が「クリーンエネルギー」になりました しかし、日本はまだ原発反対ですね。 もっと制裁を!と叫ぶ人たちの一番の問題は、 Exitストラテジーがないこと。

期待したことが起きなかったらどうするのか? どれくらいの期間、その「期待」が起きるのを待つのか? 待っている間、どれだけの犠牲を許容するのか、国民に押し付けるのか? 何を基準に、制裁を止めるのか?

こういった事を議論または説明することなしに、 制裁、制裁、と叫ぶのは ワクチン、ワクチン、と叫ぶのといっしょだ どれだけ国民に犠牲が出てても、真実を隠し、見ないふりでズルズル行く。

結局一番とばっちりを食うのは、国民なんです。 コロナのときは、お年寄りのため、コロナ死亡者を無くすために、という誰にも否定しにくい大義名分がまかり通り、 その結果、国民、とくに若い人、子供達の貴重な2年間が失われてしまいました。

今回も、ウクライナに住む市民のため、という感情的な議論の下、 肝心の日本の国民のため、さらに次の世代である子供たちのため、 という視点での議論が全くされていないのが問題であり、心配です。

日本は確かにそうなのかもしれないが、アメリカでもロックダウンが完全に終わるまでには二年近くかかったし、マスクやワクチン強制も止めるまでに二年半もかかった。今のバイデン政権には明確なExit Strategy(出口計画)があるとはとうてい思えない。

物価の高騰で人々は贅沢できず節約するようになるだろう。コロナのおかげで大打撃を受けたレストランや劇場など、さらに追い打ちをかけて打撃を受けるだろう。

昨日も買い物の帰りにちょっとお昼ご飯でも食べて帰ろうと主人と二人で入った日本食レストラン。うな重が一人前で30ドルもした!本当は二人前頼むつもりだったのだが、結局一人前だけうな重にして、もうひとつは半額のラーメンを注文し、うな重は二人で半分づつ食べた。せちがらい世の中である。


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ロシア軍キエフ撤退は予定通りの作戦?

本日ロシア軍がウクライナの首都キエフから撤退して再編成をしているという記事を読んだ。下記は朝日新聞の記事より。

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、米国防総省のカービー報道官は29日の記者会見で、一部のロシア軍部隊が首都キエフから離れる動きを始めたことを確認したことを明らかにした。ただ、大部分の部隊は依然として現地にとどまり続けているとして「撤退」の動きであることには否定的な見方を示した。さらに、キエフを離れた部隊が東部ドンバス地方などウクライナ国内の別の地域に再配置される可能性があるとして、強い警戒感を示した。

ロシア防衛省は、軍事作戦の第1段階の目標が完了したのでキエフとチェルニゴフ方面で部隊の計画的再編成が行われている と発表。初期段階では、ウ軍にキエフ方面に軍事装備を集中させ、都市への襲撃を避けながら作戦の主要なドンバスでの活動をしたと説明。キエフ付近からは撤退しドンバス地域のほうに力を入れるため再編成しているという。

西側の報道を観ているとロシアが軍の消耗に押されて撤退を余儀なくされており、再編成せざる負えない事態になっているという印象を受けるが、実はこれが当初から目的だったというのがロシア側の発表だ。

本日ツイッターで面白い話をしている人がいたので、そちらから引用する。彼の情報元が何なのかは私は知らないし確認も出来ないので、一応こういう話もあるということで紹介しておこう。

著者はTillyB フォロー前にプロフ読んで!@TillyBeeTillyさん。

「テレビに出ない」元CIA、元UN兵器インスペクター、元DIA、元米軍インテリジェンスなど読んだり聞いたりしてると口を揃えて「西側の戦況報道はただのシネマ」と言い切る。最初に断っておくけれど彼らは分析し呆れ果ててるだけでどちらの味方でもない。(略)

最新の勝利宣言は、キエフからロシアの大軍を押し返した「勝利」になっているが、これはこの3週間のロシアの目的がキエフの占領だ、ゼの暗殺だと仮想の物語の上での戦況報道だから。 キエフを包囲したのは、ウ軍の残存部隊の大部分を釘付けにして、露が東部と南部で攻撃的な作戦を展開をできるようにする目的。

今日の報道では目的達成と、和平交渉もありキエフ周辺の部隊を大幅に撤退。西側を攻めた露軍は無傷で空域の大部分を支配し、ウクライナの最西部にあるウクライナの基地や燃料貯蔵所を攻撃。 極超音速ミサイルの使用でNATOが対抗できない事実を露呈、そして物流拠点や燃料を攻撃することで、ウクライナの物資補給や再武装、部隊の集結を支援するNATOの取り組みが阻害されている。

西部の報道をして東部でのメインのミッションから目を背けさせる目的もあるだろう、と解析。ベトナム戦争で米国がベトコンと北ベトナムの攻撃を壮大に読み違えたのと同じ過ちをしている、と。 露が淡々と緻密に長期計画されたミッションを遂行しているのが理解出来なかったら生き残りのアゾフ隊員に聞いてみろ、と結構辛辣なコメント多し。

TillyBさんはロシアとウクライナのトルコでの会談内容についても説明してくれている。

露の攻撃規模を縮小 露国防省は、この会談の直接的な効果としてウの一部地域での軍事活動を緩和することを発表した。特に、チェルニゴフ市と首都キエフ近郊の作戦を「劇的に」縮小すると約束。国境線 開戦直前までウはドネツクとルガンスクの大部分を支配し、この地域を自国の領土と考えている。 ウ代表はキエフが1991年の独立宣言時に持っていた全領土の主権を主張することを明らかにし、妥協はあり得ないとした。 

ゼ・プ会談の条件 露は将来の平和条約交渉の最終段階の一環として、首脳会談を企画することに合意したが、通例は文書が完成し、それぞれの外相が署名した後にのみ予定することができると述べてた。

報道官の話からは難航しそうな印象。米側はブリンケンが露は和平に興味ないだろ、とか冷水発言。

これを読んでいく限り、この戦争がそう簡単には終わりそうもないことは良く分かる。


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LGBT活動に関するロシアが広めた陰謀論とは何か?

今日kazukazu88@kazukazu881という「エキセントリックなポストモダン新左翼ラディカル・フェミニスト・クィア」と自称する人が、私が言うトランスジェンダー活動家の裏には億万長者の陰謀がある説を、それロシアが広めた陰謀論に過ぎないと言って来た。これはロシアのプーチンがJKR女史を引き合いに出して西洋社会のキャンセルカルチャーを批判したことから始まった議論だ。確かにプーチンは反LGBTだが、JKR女史は単にトランス活動(TRA)の横暴を批判しているのであり、彼女自身は反LGBTなどではない。プーチンが女史を引き合いに出したからといって、彼女をプーチンと同列に並べるのには無理があるだろう。

私はLGBT活動の裏には強大な権力があるという考え方はロシアの陰謀だという考えは初めて聞いたので、それなりに分析する価値はあると思う。すくなくとも反対派が持ち出す議論には一応目を通しておいた方が、今後の討論に役に立つというものだ。

この論文は欧州同盟の役員によるもの。著者はCecilia STRAND, Jakob SVENSSON
European Parliament coordinator:Policy Department for External RelationsDirectorate General for External Policies of the UnionPE 653.644 – July 2021.題名は”Disinformation campaigns about LGBTI+ people in the EU and foreign influence.” (欧州同盟内におけるLGBTI+に関する間違った虚偽情報を広める活動と、外国からの影響)。この論文の目的は、LGBTI+に関した誤ったもしくは虚偽の情報がどのようにEU以外の国によって広められているかを存在する情報を元に説明することにあるというもの。

ではロシアが広めている「偽情報プロパガンダ」が広めようとしているアイデアとはどのようなものかひとつづつ吟味してみよう。

ロシア及び東圏が広めるLGBTI+に関するプロパガンダ

1)LGBTI+許容は西洋リベラルによる「植民地政策」である。

LGBTI+の権利を奨励するのは西洋による「植民地政策」だという主張。これは道徳的に腐敗した西洋が中央および東欧を堕落させるものだと言う説。こうした考えは東欧のいくつかの著述にみられるとしてロシアを含む東圏の論文がいくつか紹介されている。

またよく言われるのが、LGBTI+活動はグローバライゼーションの一貫であるということ。西洋リベラルによるグローバル化は普通一般の人々の価値観から全くはずれるものであると言う考え。西洋リベラルは資本主義で反家族で反宗教で神を信じない人々であるのに比べ、特にロシアはこそが救済への道であるとする説。

2)LGBTI+許容は子供の安全への脅威である。

子どもへの性教育において、にペドフィリアや性自認表現や不自然な性行為を奨励する教育は子供を危険にさらすと言う説。西欧の捕食者的教育のなかには、子供を変態的性指向に変えようとするものだとし、ひいては社会全体にその変態的性指向を広めようというものだいうもの。ロシアはこのような邪悪な性教育から世界を救うものだと主張。その例として西洋の学校では自慰のやり方を教えるなどの授業があるとしている。

3)LGBTI+の人々を否定的な言葉で表す

東圏の書物にはLGBTI+の人々を否定的に表す言葉が散漫している。LGBTI+は道徳的に腐敗しているとか、社会に脅威をもたらすなど。また侮蔑的な表現、英語の‘faggot’ フランス語の ‘pédé’ (French), スペイン語の‘maricón’そしてドイツ語の ‘Tunte’ 等がそれにあたる。こうした書物にはLGBTI+をバカにした理蔑むような表現がいくらも出てくると言う。

また他人を侮辱するときにLGBTI+を持ち出し、「女々しい奴」と言ったヘイトスピーチが普通に行われている。最近はコロナ蔓延がLGBTI+のせいだなどと言い出す人も出ている。

4)ジェンダーイデオロギーは男性の覇権を脅かす

東欧の著者Kuhar and Paternotteは、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランドポーランド、ロシア、スロべニア、スペインなどの研究で、「ジェンダーイデオロギー(ジェンダー概念)」に抵抗する団結した動きがあると語る。この「ジェンダーイデオロギーー」は西側諸国にはびこるもので特に欧州同盟国で顕著である。 男女平等やLGBTI+権利への探求は男性覇権を脅かすものである。

この反ジェンダーイデオロギーは、女性の権利や人工中絶や同性愛結婚に反対する様々な右翼組織との連帯を成功させている。

この「ジェンダーイデオロギー」は最近では「LGBT イデオロジー」と言う言葉が侮辱的な意味合いでポーランドの書籍で使われるようになった。これはLGBTI+を非人間化するために使われている。「ジェンダーイデオロギー」はジェンダーやLGBTI+平等に対抗するために、一般人を騙すために意図的に作られた言葉である。

5)異性愛と自然な家族制度を守る権利

リベラルのいうジェンダーは人間の種族保存に脅威をもたらすものであるという考え。ジェンダー概念は男女の性別の違いを完全に無視するものであり、よって一人の男と一人の女が結婚して子供を産み家族をはぐくむという結婚を否定するものである。この「自然な家族」という考えが、ジェンダーやLGBTI+へに向けられるヘイトスピーチによく使われている。

6)神が定めた「自然な」秩序を取り戻す

この誤った情報とヘイトスピーチのなかで宗教は大事な役割を果たす。カトリック教会などは、もともと性指向は個人の選択によるという非科学的な説を信じていた。それで以前は同性愛を治す治療などというものが存在していた。

現在でも宗教に汚染された説で、反LGBT側は神や神の計画などいってLGBTI+許容と闘っている。神の計画は結婚や家族の自然な形を守るためという考えが中心にある。そしてこのような考えがLGBTI+の人々への不公平な差別にと繋がっている。

反LGBTI+プロパガンダを広めているのは誰なのかなんてどうでもいい件

さて、この論文の第三章は上記にあげた5項目のプロパガンダを広めているのはどういう団体なのかという話になるのだが、実をいうと私はそれには全く興味がない。何故かと言うと、ロシア及び東欧圏がこのような考えを持っていることなど周知の事実であり、そうした考えを彼らが世界的に訴えていたとして、その行為そのものがプロパガンダだという理由にはならない。

プロパガンダというのは全く事実に基づかないことを不特定多数の人々を騙すために拡散することをいうのであり自分たちの考えを発表すること自体はプロパガンダとは言わない。

例えば中国政府がヨーロッパ系外国人ユーチューバーを使って「ウイグル人が虐待されている事実はない」という動画を拡散すれば、これはプロパガンダと言えるが、単に我々はLGBT思想は伝統的社会を腐敗させるものだと信じると宣言することは、自分の意見を述べているだけであり、それをいうならLGBT思想こそが自由の基盤だと言い張るLGBT活動家たちのやっていることとなんら変わりはない。

だいたいkazukazu88@kazukazu881は、「トランスジェンダリズムの背後には巨大な組織がある」という説そのものがロシアが広めた陰謀論だということを証明するためにこの論文を提示したはずなのに、ここに書かれているのはロシアがLGBTについてどういう見解を持っているかということだけだ。

それにここでロシアが挙げている考えには一理も二理もあると思う。それに関してひとつひとつ書いていくのは時間がかかると思うので、またそれは次回に回すことにする。





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