尖閣防衛は日本が率先しなければ何もはじまらない

古森義久さんが尖閣に関するアメリカの姿勢について米国連邦議会の下院外交委員会が開いた南シナ海などでの中国威力拡張についての公聴会の模様をリポートしている。
古森さんによると、アメリカは中国が日本を攻めてきた場合、和平条約に乗っ取って日本を援助する用意はあるらしいが、とにかく先ず万が一の場合は日本が率先して主導権をとらなければならないと強調する。

 米国側はこの種の領有権紛争にはもちろん超党派で平和的な解決を求めるが、この公聴会は尖閣を含む中国がらみの海洋紛争をすでに軍事課題に近い位置づけ をしていることが明白だった。ロスレイティネン委員長も冒頭の声明で「中国の西太平洋までもの覇権の追求のために海洋での軍事衝突の可能性が確実に高まっ てきました」と述べていたのだ。だから南シナ海、東シナ海での米軍の戦力強化もしきりに論じられた。

(略) 証人として発言したトシ・ヨシハラ米海軍大学教授は「尖閣防衛の主責任は当然、日本にあり、万が一の中国の尖閣攻撃には日本が最初に自力で対処して、反 撃しなければ、日米共同防衛も機能しないでしょう」と述べた。こうして最悪の事態の軍事衝突を想定して、その対処への能力の強化を語るのは、軍事の強固な 備えがあれば、軍事攻撃が防げるという抑止の思考からだろう。

私はオバマ政権が日本を守ろうために指一本もあげるとは思えないので、アメリカからの援助に関してはかなり悲観的な見解を持っている。だが、もしアメリカがその気でも、日本が全く自国を守ろうという気がないとしたら、アメリカががんばっても意味ないだろう。
で肝心の日本はどういう態度をしめしているのかというと、演出された中国での反日でもの激しさに恐れをなして低姿勢外交を貫くらしい。

 野田佳彦首相も19日「さまざまなルートを通じ、中国と対話する必要がある」として、特使の派遣を検討する意向を表明した。野田首相は中国の反発について「尖閣諸島を国有化したことで、ある程度の摩擦は予想していたが、(反日デモや報復措置が)規模などの面で予想を上回った」と語った。日本政府は、尖閣諸島問題をめぐって最近行われた関係閣僚会議に防衛相を出席させなかった。防衛相が会議に出席した場合、中国を刺激しかねないとの理由からだ。

朝鮮日報の記事なので、日本の竹島問題をめぐる韓国への強気な姿勢とは対照的に中国に対しての低姿勢には不満気なのがうかがわれる。
しかし日本の領土をめぐって中国が理不尽な要求をしてきているのに、「中国を刺激しかねない」という懸念はどういうことなのだ?刺激をしているのは中国のほうではないか。日本が上海は日本の港だと言い出したら、中国はやたらに否定すると日本を刺激するかもしれない、などと考慮などするか?なんで被害者が加害者の気持ちを考慮にいれなきゃならんのだ?
ま、とにかくだ、日本がこんなふうではアメリカは応援したくても出来ないだろう。


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弱い指導力、舐められているアメリカと日本

アラブ諸国で反米暴動が起きているのも、中国で反日デモが起きているのも、どちらの国の指導者も弱体とみなされ完全に敵から舐められているからである。特に、中国が日本と戦闘の用意があるなどと公言できるのは、日本の弱さにもまして、アメリカが日本を守るために中国に牽制をかけてくる可能性がないと踏んだからに違いない。どれだけオバマ王が世界中から舐められているかを証明するようなものだ。
私は日本の事情はよくわからないので、アメリカに居る立場から書かせてもらうと、アメリカのメディアは中国による反日デモをほとんど報道していない理由というのはアメリカのメディアが中日間の関係に興味がないというよりも、アラブの動乱の上に中日問題まで重なっては、オバマが落ち着いて選挙運動などやってられなくなるから、というのが本当の理由なのではないか。
なにしろあまりにも色々な世界情勢をいっぺんに報道すると、この大事なときにオバマは何をやっているのかという話しになってしまう。オバマ王は夜のお笑いトークショーに出演したり、アメリカで最大人気のヒップホップカップル、ジェイZとビヨンセ夫婦の主催で$105,000のシャンペンタワーが披露される献金晩餐会でドンちゃん騒ぎをしたりするので忙しい。(一本300ドルのシャンペンだそうだ)国際情勢になどかかわっていりう暇はないのである。無論ゴルフの腕もみがかなきゃならんしね。
だらしがないのは日本の首相もオバマと同じだ。
中国側が日本との戦闘行為も考えていると発言した以上、日本は中国に特使を送るとかなんとか言うまえに、わが国は中国によるこの理不尽な横暴を見てみぬ振りをするつもりはない、最悪にも軍事行使が起きた場合、こちらも武力で応戦する用意がある、くらいのことは首相に言ってもらいたい。
中国は極端な発言をすることによってアメリカや日本の反応をうかがっている。もしも中国が日米両国中国の武力行使に応戦する度胸がないと踏んだ場合、彼らが攻めてくることは先ず間違いない。こういうことは最初が肝心。相手も日本を攻めたらやすやすとは勝てないと思えば戦闘は控えるはず。だが、反撃の恐れがないと判断すれば、次は攻撃だ、これ当然の順序。
日本の皆さんは、このことの深刻さを理解しているのだろうか?


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廃墟と化した中国のオリンピック施設

あと二週間でロンドンオリンピックが開かれるということで、今回はオリンピックに関する話題。四年前に大々的にオリンピックを開いた中国だが、その後表向きは経済的にも発展しているように見える。だが、オリンピック開催前に地元住民を強制的に追い出して建設したオリンピック施設は現在、将来のオリンピック選手を育てるべく有意義に活用されているのかと思いきや、なんとほとんどが遺棄され廃墟と化している
カカシ注:添付したリンク先のページにはオリンピック当時の華々しい写真と廃墟となっている写真とが何枚か載っているので是非ご参照のこと。写真の張り方を学んだら後で張っておく。
共産圏はオリンピックをかなり真剣に扱うので、選手を育てるにも国がスポンサーでやるのが普通だが、それならそれでせっかく大金かけて建てた施設を活用するのが常識というものだろう。なのに何故それをしないのだろう?
ミスター苺曰く、共産圏の国は表向きは5年計画とか長期的な計画があるように見えて、実は目先の利益しか考えていないのだという。例えば中国では国が計画して建てた都市に誰も住まずにゴーストタウンとなっているところがいくつもある。きったならしいスラム街があちこちにあって、宿無しの庶民がいくらでもいるというのに何故そういうことになるんだろうと不思議でしょうがないのだが、それが共産主義社会では当たり前の姿なのだ。
つまり、施設を建てるということが時の権力者の最終目的となってしまい、それがその後どのように使われるかという計画までは頭が回らない。後に現れた権力者は先代の建てた施設なんぞは使いたくないから、自分は自分でまた新しいことを始める。せっかくある施設なんだから活用して国の利益にしよう、何て考えは全く起きない。
中国では、単にその時の権力者が個人の私腹を肥やす、もしくは権力を強めるために卓上の空論で物事を進めて行くからそういうことになる。それが実際に現実社会で通用するかどうかなんてことは考えていない。実際に農学を全く知らない毛沢東とその取り巻き連中が現実を無視して進めた農業政策が、何百万という中国市民を餓死に至らしめた大躍進計画なんぞがその最たるもんだろう。
現代中国は経済面でどんどん発展しているように見えるが、中身は毛沢東時代のメンタリティーと大した変わりはないのだ。単に共産主義がファシズムへと変化しつつあるというだけの話。ファシズムは共産主義より経済的には多少ましだが、それでも結局は行き詰まる。それは歴史を見ていれば明らかな事だ。
文明の発展は自由市場と自由社会でのみ実現する。にもかかわらず、その自由社会の理想とも言われるアメリカで、オバマ王がファシズムを押し進めようとしていることは何と嘆かわしいことか。添付した記事のコメント欄に、「共産主義や社会主義を唱える連中は、一度そういう社会に住んでみることをお薦めするね。」と書いた人が居るが全くその通りだね。


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世界地図が読めない部下

北朝鮮のミサイル発射はどうやら失敗に終わったらしい。日本領海や公海に域に入った場合には撃ち落とすと日本やアメリカがいきり立っていた割にはあっけなかった。

北朝鮮が13日午前7時39分に発射した長距離ロケットは発射後1、2分ほど飛行して空中で爆発したと、国防部が公式発表した。

国防部のシン・ウォンシク政策企画官は「北朝鮮のロケットは発射後に飛行し、ペクリョン島上空151キロ地点で落下を始め、本体と推進体は20余りの破片に分離して、平沢(ピョンテク)と群山(クンサン)西側100-150キロ地点の公海上に墜落した」と明らかにした。続いて「北朝鮮ロケットが私たちの領海を侵犯することはなかった」と説明した。
、、、米国とカナダが共同運営する統合防衛組織NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)はこの日の声明で、「北朝鮮が13日に発射したロケットはテポドン2号弾道ミサイル」とし「北朝鮮のテポドン2号発射を探知した後、追跡を続けていたが、1段階で海に墜落した」と明らかにした。

まあね、かなりの専門家が成功は危ういと予測していたから、驚くべき結果ではないが。第三段階までいくはずだったのに一段階目で墜落では、まだまだ研究が必要ということかな。ま、もっともロケットが海に落ちても、ランチングシステムが悪いのかロケットそのもに問題があるのか解らないから、データ分析しないうちには何がどう失敗だったのか断定は出来ない。
こういうことがあると、我が職場では我が軍の艦船はどのあたりに出動してるのか、また別のストライクグループがどのあたりに待機しているのかといったことが話題になる。
昨日、私は会議の時に上司から「○○艦はどのへんに居るのかね」と聞かれたので、部下のRが用意したリポートを読みながら「ハワイです」と答えると、「え〜そうかあ?」と正されてしまった。よくよく地図を見てみると○○艦がいるのは日本海。
おい、どうなってんだよR君。「R君、これが太平洋に見えるか、ここがハワイか?」と問いつめると彼は単に肩をすくめるだけ。
実を言うとRは地理の知識ゼロ。私も高校時代地理は大の苦手だったので他人に自慢できるほうではないが、太平洋と日本海の区別くらいつく。
以前にもRとは、ホルムズ海峡の話をしていて、Rがホルムズ海峡というものがあることも知らなかっただけでなく、中近東がどのへんかということも全然しらなかったことに驚いたことがある。ましてやどうして、アメリカにとってあのあたりが重大な場所なのかなんてことはRはまるで理解出来ていない。
というわけなので今回も、彼は地図をみても○○艦がどこにいるのか解らなかったのだ。だからRは地図を無視して単に○○艦の普段の任務区域はハワイだからハワイに居るんだと報告したわけ。こういう仕事していて世界地図も読めないんじゃ話にならんだろうが。これだから本社勤務は嫌なのよ。

カカシ注:アメリカの○○艦は仮名で現在位地は架空のものです。○○艦が日本海にいるという事実はありませんのであしからず。

あ〜海に帰りたい!


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崩壊寸前、貧富の差広がる深刻な中国の現状

今、中国の経済発展は飛ぶ取りを落とす勢いだと思われているが、実は中国の経済発展は張り子の虎、つまりバブルだという話があり、しかもそのバブル経済は崩壊寸前で根底で苦しむ国民の不満が爆発し革命につながる恐れもあるという。
2003年から中国の家の値段は三倍になった。インフレがひどくても給料もそれに見合って上がっているというならまだしも、中国では何と5億人近くが一日2ドル以下で暮らしているという。
一方で中国の各地に全く人が住まない中国語で鬼城と呼ばれるゴーストタウンがいくつも建てられているという話は読者諸君もすでにご存知だろう。過去17年間に渡ってこの無謀な都市建設のために家や土地から追い出された中国人の農民の数はなんと1億4千万人にも登る!
だがそんな犠牲を払って自然破壊も何のそのと建てた都市には誰も住み手がない。先日読んだ記事でも、中国人のしきたりや風水など全く関知しないドイツ人建築家に欧州のモダンな都市建設を依頼して作ったドイツ風住宅街の話があった。中国人にはまるで人気がなく居住者が集まらない。だが居住希望者がまるでいないのに、中国政府は建設を止めるどころか次から次へと新しいビルを建て続けている。いったいどこからこんな金が出ているのだ?そしていつまでその資金源は持つのだろうか?
この土地建設は膨大な不良債権によって支えられているらしい。産經新聞にその話が載っている。

現代化」などの掛け声よろしく、自然破壊&資源の無駄遣いをしながら各地で暴走開発を繰り返し、表面上は急成長を遂げてきた中国。が、報道によると、「地方都市の債務総額は年内で12兆元(約150兆円)へ膨らみ、そのうち約2兆元がデフォルトになる可能性がある」、つまり「超過剰供給で膨大な不良債権をつくりました」って顛末(てんまつ)。
 「隠れ不良債権もあるはずだから、実際の数字は天文学的では?」という声すら聞こえる。
債務総額を12兆元で見積もっても、中国のGDP(国内総生産)の3割を占める。米国発の金融危機サブプライムローンの焦げ付きはGDPの1割に満たない規模だったというから、中国政府が不良債権処理に大ナタを振るったとしても、中国経済が超危険水域にあることは疑いようもない。
 そもそも、これまで札束を刷りまくり融資しまくってきた国有銀行が破綻せず乗り切れるのか? 債権者はインフレ&重税に怒りデモする人民他、外国の金融機関・機関投資家が多数含まれる。

すでに中国の不動産は暴落の兆しを見せている。

たとえば北京近郊の通州市では、今年8月に1平方メートルあたり1・7万元(約21万円)だった分譲住宅の平均価格が9月には1・6万元、10月には1・5万元に下がった。そして10月末、市内で発売中の「東亜逸品閣」という新規物件の販売価格はとうとう1・2万元に下げられた。

 北京市内の場合、今年9月4日までの1週間で分譲住宅の平均価格が12・4%も下落したのに続いて、10月発売の新規分譲住宅のほとんどが、周辺の古い物件より20%程度値下げして売り出されている。
 今月4日、中国各紙のネット版は3日付の『京華時報』記事を一斉に転載して、不動産価格下落の動きは既に全国の地方都市に広がっていると伝えた。たとえば杭州の住宅価格の値下げ幅は10~20%、成都は5~10%、南京は約10%、天津は5~15%であったという。
 価格の急落が突出しているのが経済の中心地・上海である。10月24日から30日までの1週間、上海市内の分譲住宅の平均価格は前の週より10・5%も下がったことが専門機関の調査で判明している。
(中略)
10月3日、国営の新華通信社が関連記事を配信して「全国の不動産価格は年内に大暴落の可能性もある」との予測を行ったのに続いて、済南大学経済学院副院長の張偉教授が最近、不動産価格は今後「40%以上も暴落するだろう」との不気味な予言を口にした。
 そして10月18日、中国銀行監査委員会の劉明康主席が「全国の不動産価格が40%落ちたとしても、銀行はそれに耐えることができる」と放言したため、「不動産価格40%暴落説」はいよいよ真実味を帯びてきたのである。

さてこの40%という数値が鍵なのだが、中国の不動産バブルは日本やアメリカで起きたバブルのようなひどい着地にはならないだろうという予測する人がいる。それというのも、中国人は不動産のローンを組む時40%以上の頭金を払うのが普通だからで、多少の下落ではローンの方が住宅の価値より高いという、所謂アップサイドダウン(逆さま)ローンにはならないというわけ。
だが、もしも不動産が40%暴落したらどうなる?
この不動産の下落は今年の始めに不動産が高くなりすぎないように金利を上げることでブレーキをかけたことが直接の原因だ。それというのも中国では住宅難で住宅が見つからずに不満をもった中国人が多くいる。政府としてはこれ以上の不動産暴騰は好ましくないと考えたからだろう。なにせ中国では毎日平均して493件の反政府抗議デモが起きているというのだから。
中国政府内部のエリートですら中国は革命前夜なのではと懸念するほど状況は差し迫っている。
すでに国民は腐敗した政府に不信感を抱き、政治的コネがなければ経済的に上昇する可能性はないと感じている。貧富の差は広がる一方であり、ここで不動産バブルの崩壊などという危機が生じたら、中国はどうなるのか?
中国に多くの国債を握られてるアメリカとしては他人ごとではない。


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胡主席への見苦しいオバマ王の迎合ぶり、晩餐会では中国人ピアニストが反米行進曲で主席を歓迎

この間の中国の胡主席訪米中のオバマ王の媚びへつらいぶりは見ていて腹立たしい限りだった。日本の麻生首相が訪米した時は合同記者会見も行わず、外国の来賓特別の宿泊施設も提供せず、民営のホテルに泊まらせるという失礼な態度をとったくせに、中国の胡主席訪米となったらオバマ王は合同記者会見はもちろんのこと、豪華絢爛な晩餐会を開くなど、いたれりつくせりの大歓迎。普段から現代のマリー・アントワネットと言われる妃のミッシェルなどは、チャイナレッド真っ赤っかのイブニングドレスを着て晩餐会に出席。イギリス、日本、イスラエルなど、同盟国の首相たちを足蹴にしてきた態度とは正反対の大歓迎ぶりだ。
そのあまりのへつらいぶりをおちょくって、台湾の風刺アニメが面白い動画を作っている(日本語訳付き)が、これは中国でも結構評判がいいとか、オバマはまさに世界の笑い者だ。
さらに腹立たしいことに、ホワイトハウスの歓迎会で在米中国人のピアニストは、中国の反米映画主題曲を演奏して、オバマ王並びにアメリカを完全にコケにした。
アメリカと中国の親睦を深めるといううたい文句で開催された晩餐会では、何人かの有名なジャズミューシャンが演奏を披露したが、そのうちの一人、在米中国人のピアニスト、郎朗(ランラン)氏が独奏した曲が朝鮮戦争を舞台にした有名な中国の反米映画 “Battle on Shangganling Mountain”(上甘岭山の戦い)の主題曲”My Motherland” (我が母国)だった。
中国ポータルのシナとソーフーはそれぞれ、北京新聞の「ランランの演奏は中国の力を示すためのものだ」と讃えた記事を再掲。シナのマイクロブログサイトに書かれた「アメリカ人は音楽に魅了されていた。アメリカ人は本当に馬鹿だ」というコメントが何度も再掲載された。
ここまで中国にバカにされたアメリカ大統領はオバマくらいだ。まったく恥かしったらありゃしない。


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片親が子供を連れ去っても犯罪にならない日本

離婚後に前妻に子供を連れ去られ、日本の家庭裁判所から面接権を与えられたにも関わらず、娘には三年以上も合わせてもらっていないというニューヨーク住まいのアメリカ人男性の話は以前にしたが、このたび、日本は国際結婚が破綻した場合の親権について採決するハーグ条約というものに加盟する意志を表明した。

政府は9日、国際結婚で生まれた子供の親権争いの解決ルールを定めた「ハーグ条約」加盟に向け、月内にも関係省庁による副大臣級会議を設置する方針を固めた。

(略)
同条約を巡っては、国際結婚が破綻した日本人の親が結婚相手に無断で子供を日本に連れ帰り、外国人の親が面会を求めても、日本は条約非加盟のために法的に対応できず、トラブルになる事例が相次いでいる。欧米諸国は日本の早期加盟を求め、とくに米国は昨年9月に下院が日本政府に加盟を求める決議を採択するなど圧力を強めていて、日米間の摩擦になっている。6日(日本時間7日)のワシントンでの日米外相会談でも、クリントン国務長官が前原外相に早期加盟を求め、前原氏は「真剣に検討する」と応じた。

これは、日本人の元配偶者に子供を奪われた外国人からしてみれば歓迎すべきニュースではあるが、私は日本がハーグ条約に加盟した程度のことではことの本随は解決しないと思う。
ハーグ条約は単に外国人の親から日本に住む子供の親権を求められた場合に、日本政府が協力しなければならないといった程度のもので、日本に連れ去られた子供をそう簡単に国につれて返れるかといえばそうはいかない。
欧米では離婚しても共同親権制度というものがあって、どちらか片方だけに親権が与えられるとは限らない。私の知り合いでも子供が一週おきに父親と母親の家を行ったり来たりしてる家族がいた。またどちらか片方に親権が行っても、親権のない親は子供に一週間おきの週末に泊まりにこさせるとか、夏休みはずっとそっちの家に行くとか、子供の養育には積極的に参加するのが普通だ。
しかし、日本の場合は親権はどちらか片方の親にしか与えられない。親権を持たなくなった親には、一応子供との面接権は与えられても、その頻度や時間は非常に限られていて、上記の米パパさんなどは一年に一回36時間だけとかいう信じられない判決がでた。しかもそんな限られた面接権ですらも、親権のある親が無視して邪魔しても、法廷には親権のある親に子供を強制的に元配偶者に会わせる施行力も意志もないから事実上はどうしようもない。
私がもっとも驚いたのは、日本では親権があろうとなかろうと、つまり離婚する前に別れ話がこじれて片親が連れ合いに無断で子供を連れて家を出て行った場合でも、子供を奪われた親のほうには法的に子供を連れ戻す権利がほとんどないということだ。
それは欧米では信じられないことなのだが、日本では片親が子供を連れ去る行為は誘拐という犯罪とは見なされないからなのだ。
子供を連れ去られた片親が、なんとか親権について法廷に訴えることが出来たとしても、法廷は現在子供が一緒に居住しているほうの親に親権を与えるのが普通だという。だとしたら、別れ話が出た時点で先に子供をひっさらって逃げた方が勝ちということになってしまう。これはとても公平な制度とは思えない。
私は最初、この問題は国際結婚における離婚問題なのだと考えていたが、実際にはそうではなく、日本で結婚して離婚したすべての夫婦に当てはまる親権の問題だということに気がついた。
この問題を解決するためには、日本はハーグ条約加盟云々ではなく、法廷は離婚した両親双方の権利を尊重し、きちんとした理由もなしに片親から子供を奪う行為は犯罪であると見なす必要がある。そのために先ずしなければならないことは、、

  1. 親権が決まっていない場合や、親権のない片親が、配偶者に無断で子供を連れ去ることを法律で禁じる。もし連れ去った場合には誘拐罪に問う。
  2. 親権ある親が面接権のある親の子供との面接を拒否することを法律で禁じ、拒否した場合には禁固刑などの罰を与える。それを何度も繰り返した場合には反対に親権を失う。
  3. 面接権のある親が子供に会いに行けない場所に相手に無断で引っ越すことも禁じる。子供が片親に会いたくないと主張した場合でも、面接権のある親が子供を虐待している証拠がない限りは施行されなければならない。
  4. 法廷は親権を考慮する際、現在子供がどちらと居住しているかではなく、どちらと住むことが子供にとって最も適切であるかを判断する。この際、相手に無断で勝手に子供を連れ去った行為は不利になるようにする。

この場合大事なのは、家庭裁判所で決められた取り決めはきちんと守られなければならないということで、今のように、判決は降りてもそれを無視した片親が何の咎めも受けず、判決で勝った側はお金と時間を使っただけ無駄で、何の解決にもなっていないというような状態を続けるべきではない。そのためには違反した片親に刑事責任を取らせるべきだ。また、子供を隠す事に協力した祖父母や家族なども同じように誘拐幇助罪に問うなど、こうした行為はれっきとした犯罪であるということをはっきりさせるべきである。
こうしたことができないのであれば、残念ながらハーグ条約に加盟しただけでは、子供を奪われた外国人の親達が子供達に会える日はまだ遠いと言わざる負えない。無論、子供を奪われた日本人の親達には、全く意味のないことだ。


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扶養権を失った親の権利を重んじない日本の法律、国際結婚の場合はより深刻

カカシはひょんなことから、日本女性と離婚後、裁判で一人娘への訪問権を保証されたにも関わらず母親に邪魔されて娘に二年以上会っていないというアメリカ人法律学生のブログを発見した。
この男性の体験は非常に気の毒で、初期の頃のエントリーを読んでいると涙が出てくる。しかし彼の体験は決してユニークなものではなく、日本人と結婚して離婚後に子供に会わせてもらえない外国人の片親は非常に多い。これは親が女性でも男性でも状況はあまり変わらない。
問題なのは、日本の離婚法は西洋社会のそれとはかなり異なるらしく、外国人の配偶者は日本の法律をよく理解しないまま安易に離婚届に署名してしまうことにあるらしい。下記はインターナショナルファミリーロー(国際家庭法律)のサイトを参考にした。
デール・マーティンさんというイギリス人男性は6歳になる彼の娘にすでに二年間会っていないという。それというのも彼の前妻が娘に会わせるのを拒絶しているからだ。マーティンさんは家庭裁判所から娘への訪問権を認められている。
また、12歳の息子を持つ東京住まいのアメリカ人ジャーナリスト女性、マーガレット・レイマンさんは、前夫が息子との面会を禁じて会わせてくれないと言う。
「私の息子はもう12歳になりますが、義母と住んでいます。家庭裁判所は私が職を持つ外国人ということで責任ある母親とは言えないと決断しました。」
マーティンさんとレイマンさんの両方のケースで、二人は離婚届けに署名した際に、扶養権を元配偶者に渡す許可書にも署名していたということに気がつかなかった。
日本の法律では双方が同意すれば離婚は認められているが、マーティンにしろレイマンにしろ欧米の法律のように扶養権に関する裁断はまた別の話だと思い込んでいた。だから離婚届けがまさか扶養権放棄の書類にもなっているなど思いもよらなかったのだ。
「私は子供に会う権利を放棄する書類に署名してしまったと知ってショックを受けました。まさか、私の息子から異文化の母親を持つ権利を略奪することになるとは」 切羽詰まった彼女はせめて面会権だけでもと裁判所に訴えた。
日本には欧米諸国のように離婚後の片親が子供に会う権利とか、別れた双方の親が共同で扶養権を持つという概念がない。よってそうした親の権利を保証する法律もあいまいなのだという。これは日本ではまだまだ子供は個人という考えよりも、家族に属するものという考えが根強く残っているからだとこのサイトでは説明している。
フィリピンなどのアジア系の女性で、日本での居住権がきちんとしていない女性たちの場合はもっと悲惨だ。日本人男性と結婚していて離婚した場合、日本での居住権を失ってしまうことが多いこうした女性達は、離婚後に子供を連れて故郷に帰るなどということは先ず望めない。それで子供を失うことが怖くて暴力を振るう夫と我慢して暮らしている外国人女性がかなり居るという。
これについてはまだ色々あるので後に改めて書くつもりだ。本日は紹介まで。


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バブルはじけて20年低迷続く日本経済、やる気を失わせるデフレの悪

カカシがアメリカに移住したのは1981年だった。日本は経済バブルの真っ最中で、アメリカにも数多くの日本企業が進出していた。ハワイの不動産はもちろんのこと、ロサンゼルスやニューヨークでの日本企業による大型不動産の買い取りの勢いはすさまじいものがあった。
駐在する日本人ビジネスマンやその家族を対象に、カカシの住むロサンゼルス地域では、リトル東京にしろガーディナ、トーレンスなどで、八百半を中心に日系のショッピングセンターがあちこちにオープン。繁華街では日系のナイトクラブや居酒屋なども軒並み建てられた。
ランチョパロスバレスの高級住宅街には高級車を乗り回し週末はゴルフをする日本のビジネスマンや奥方達や、ビジネスマンの腕にぶらさがる派手派手な愛人達の姿をよくみかけた。(私の知り合いにそういう愛人をやってる娘がいて、よくパロスバレスの愛人宅へ伺ったのだ。笑)
以前にも書いたと思うが、当時は友達とナイトクラブなどに遊びに行くと、必ず「うちで働かない?」と誘われたものだ。どこのクラブも女の子の人手が足りなかったからだが、当時カカシの高卒事務員としての給料がたかが月収20万円程度だったのに比べ、クラブなら最低でも40万は稼げるとか、前記のホステス友人が教えてくれた。
それが、80年代の後半から90年代にかけてのバブル崩壊。私が三回リストラにあったのはこの時期。日本企業相手に仕事してたオフィスで私は毎日のようにレーゾンオフィスをたたんで帰国する企業からの通知を何通も読んだ記憶がある。「お得意先がこんなにつぶれてるんじゃ、私の仕事もさい先短い」と悟ったのもその頃。
本日のニューヨークタイムスの記事に、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本が、バブルはじけてはや20年以上たつというのに、一向に経済低迷から抜け出る気配のない不況状態は、今やアメリカやヨーロッパにも他人事ではないと書かれている。
30年代の大恐慌以来日本以外の国では例を見なかったデフレーションが、もしかすると欧米でも起きるのではないかという危機感が、欧米の経済学者たちの間でもたれている。
「我々は日本とは違います。」スタンフォード大学のロバート・E・ホール経済学教授。「アメリカではなんとか再び人々が消費や投資をすることを考えだせるはずです。」
しかし、他の経済学者たちは欧米経済の悪い意味での「日本化」が進んでいるのではないかと懸念する。デフレが起きるのは、消費者が消費を拒絶し、企業が投資を控え、銀行が現金を溜め込むことによって、商品の値段が下がり職が失われ、人々は余計に財布のヒモを絞めるので、ものの値段はどんどん下がるという悪循環が原因。

最近日本の経済状態について本を書いた野村証券のチーフ経済学者リチャード・クー氏は、「アメリカも英国もスペインもアイルランドも皆、日本が10年ほど前に体験したことを今体験しつつあります。」と語る。「何百万という個人や企業のバランスシートが赤字なのを見て、借りたり使ったりせず、現金をで返済しているのです。」

インフレも怖いがデフレも怖い。いや、デフレの方が経済低迷を長引かせ、もっと長期的な打撃を与えるかもしれない。
ニューヨークタイムスは長く続くデフレのために、日本人は非常に悲観的で将来への期待感も過去に比べ縮小されていると書いている。
40歳以下の日本人にとって、バブルなど遠い記憶の彼方だろう。日本企業がアメリカの自動車市場を独占し、ユニバーサルやコロンビアといったアメリカの代表のような映画会社やペブルビーチゴルフ場やロックフェラーセンターといったアメリカを象徴する不動産物件を買いあさり、日本は戦争で負けたが円でアメリカを占領するのではないかと恐れられたあの1980年代なんて、今の状態がどれほどあの時と格差があるのか、きっと想像もつかないだろう。
おごる平家も久しからずというか、バブル後の日本企業は法外な値段を払って買いあさったアメリカの物件を半値以下で元の持ち主に買い取ってもらうという無様な結果を招いた。私はバブル崩壊当時、アメリカの不動産ブローカーに勤めていて、この過程を見ていたから、よく覚えている。
1991年当時、日本経済が世界経済を制覇するのではと予測されたのも何処へやら、いまや中国が日本を追い越して世界第二の経済大国となってしまった。一時は大人気だった大学の日本語教室はからっぽ。今や商売人の目は中国へと向いている。
日本の株市場は1989年の1/4の価値に下落し、一般の住宅の値段は1983年当時のまま、そして政府による赤字はなんと200パーセントと、世界で一番の赤字を抱えている。
しかし、NYTは日本で一番失われているのは「自信」だと言う。1980年のバブル真っ最中の頃は、傲慢とも思えるような日本人の自信過剰な態度がアメリカでは反感を買ったものだが、いまや将来に失望した日本人はささやかな幸せで満足するかのように殻に閉じこもって世界市場から退散しつつあるように見えると。
工業産業は近隣の韓国や中国にどんどん持って行かれるし、団体で海外旅行してはブランド商品を買いあさっていた観光客も、いまや海外旅行は控えて国内で節約旅行。高価な車や電化製品ではなく、ユニクロなどでの買い物が普通になっているとか。
去年カカシが、昔ハワイの免税店で勤めていた日系女性と買い物した時に、がらがらで閑古鳥が泣いている店を見て、彼女は「昔だったら歩けないほど日本人で混雑していたのに」とその不景気を嘆いていた。日本人観光客を頼りにしていたハワイの高級ブランド店やショッピングモールなどもかなり痛手を被っていることは言うまでもない。
デフレの一番の悪は人々が消費をしなくなることだ。お金が入ってくる期待が持てないのにお金を使うわけにはいかない。それは自然な反応だ。だがデフレが長年続きデフレ状態しか知らずに育っている若い世代への悪影響は経済以上のものがあるという。
国の経済が発達するのは、誰かが危険を承知の上で商売を始め、銀行もある程度の損は覚悟のうえで投資するからだが、将来が不安定な世の中では危険承知で商売の賭けをするのは難しい。
日本で最近増えていると言われる草食系の男性というのも、このデフレの生み出した賜物なのかもしれない。
東京よりも楽観的で商売は専門の大阪でも、なんとか消費者にお金を使ってもらおうという努力がかえって値段下競争を生み出し、値段は下がる一方だと言う。
缶ソーダを10円で売る自動販売機、50円のビールを出すレストラン。最初の月の家賃は100円なんていうアパートもある。一時は豪華絢爛を誇った日本の結婚式でさえ、いまや6万円で出来るところがあるとか。うちの妹が20年前に挙げた結婚式の十分の一の値段だ。
高価な洋服を買う若いひとも減ったとかで、2002年に自分で経営していた洋品店がつぶれて以来、別の小売店でパート店員をしている63歳の岡あき子さんは「まるで日本人はよく見せようという願望をなくしてしまったようです。」と語っている。
30年前に日本を後にし、その後も2〜3年おきくらいに帰国しているカカシは、バブルで大繁盛していた日本が、だんだんと廃れている様子を目の当たりに見て来た。ずっと日本に居ないので、時々帰って見る日本の様子がスナップショットのように映るから、かえってその変化が目にとまる。
昔は日本に帰る度に女性達の素敵なファッションに目を見張ったものだが、最近は若い人も中年女性もブランドもののスーツなど着ている人は滅多に見かけないし、ジーパンや地味なパンツ姿の人が多くなった。
日本人ビジネスマンで繁盛したロサンゼルスのナイトクラブが次々につぶれたのは言うまでもないが、日本国内でも高級ナイトクラブの受けた痛手は大きい。昔は単に座っただけで5万円なんて高級ナイトクラブがざらにあった大阪の北新町。いまや1200店あったクラブはたったの480店に減ってしまったという。
昔は交際費とか言って会社が高級クラブで飲めや歌えやとお金を使ったものだ。私が19800年に勤めていた日本の会社では、副社長の一晩の遊び代が私の一ヶ月のお給料より多かったのを覚えている。いまやそんなことができる企業は存在しないだろう。あんなバカ高い飲み代を個人で出せる人間などそうはいないだろうから、店がつぶれるのも無理はない。
不況しか知らずに育った日本の若者は、全世代のような浪費は嫌う。日本マーケティング研究所の取締役で現在若者について幾つか本を書いている松田久一氏は、このような20代の若者を「嫌消費」世代を呼んでいる。松田氏は彼らが60歳になるころまでには、かれらの倹約主義が日本で4200億ドルの損失になっているだろうと語る。
「こんな世代は世界でもありませんでしたよ。」「彼らは消費は愚かだと思ってるんです。」
デフレが一番怖いのは、人々に資本主義の基本である危険承知の投資を敬遠させてしまうからだ。たとえ商売が失敗しても、資本主義経済がきちんと機能していれば、何度でもやり直しがきく。だが、失敗したら借金を抱えるだけで、やり直しの機会はないと人々が思えば、最初からリスクをかけた商売など始めないだろう。
経済が育つのは人々が商売に賭け銀行が融資し人々が投資をするからなのであり、それが出来なければ経済は低迷するばかりなのだ。
日本はこのままデフレの穴底へ転落の一途を辿るのであろうか? 私にはそうは思えない。いくら草食系の若者が増えているとはいえ、いくら嫌消費世代とはいえ、冒険心を持つのが若者の特権だ。
まだまだ日本の若者を見捨てるのは早過ぎると思う。


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中国の世界資源獲得戦略に不安な諸国

昨日中国はブラジルの原油産業に70億ドル(44億ユーロ)の出資をしたそうだ。これによって中国による資源獲得作戦が再び世界中で不安な空気をかもし出している。
下記はウォールストリートジャーナル日本語版より

スペインの石油大手レプソルは1日、ブラジル事業の資産の40%を中国石油化工(シノペック)に71億ドル(約5920億円)で売却すると発表した。

 レプソルのこの日の発表文によると、この案件により、同社はブラジル沖合深海の巨大油田開発でのコストを賄うことが可能になる。中国石油化工の幹部らはこの日、コメントを求める取材に対し、連絡が取れていない。この日は中国の祝日に当たり、企業や政府機関のほとんどが休業している。
 今回の案件により、南米最大の外資によるエネルギー合弁事業の一つに中国企業が出資することになる。中国は国内の景気拡大に必要な原材料へのアクセスならびに権益を拡大しつつあり、同国は国際的なエネルギーセクターでの存在感を強めている。
 レプソルによる今回の案件は、中国石油化工がスイスに本拠を置くアダックス石油を2009年に72億ドルで買収した中国企業によるこれまでで最大の石油関連での買収案件を若干下回る規模。

ザ・インディペンデント紙は、中国はレプソル社の価値の二倍とされる値段で買収を決定したことからして、中国は資源獲得のためなら金に糸目は付けない事がはっきりしたと書いている。
ブラジルの資源買収は中国にとってこれが最初ではない。昨年2月にもシノペック社が国営のペトロブラスに100億ドルの融資をし向こう10年間に渡り一日あたり1万バレルの石油供給の保証を獲得している。
世界各国が今の不況を乗り切るのに用心深くなっているなか、中国だけが大枚はたいて世界中の資源を買いあさっている。
今年だけでも中国企業は何十億ドルという金をかけてカナダの石油砂やギニアの鉄鉱山、アンゴラやウガンダの油田など次々に買収している。
このような中国の動きは世界中で少なからぬ波紋を呼んでいる。中国のシノ化学社がカナダのポタシュ社を買収しようとしているという噂は、中国が世界の肥料市場を独占するのではないかと危惧されている。
また原油流出事故後、株がどっと下がっているBPなども中国に買い取られるのではないかと心配されている。
オーストラリアでは、チャイナアルコ社がリオティント社を買収しようとした時、上院議会から「オーストラリア資源はオーストラリアで保持しろ」とクレームがついたほど。中国の投資が国の国土安全保障に支障を来すのではないかと人々が感じ始めているからだ。
ザ・インディペンデント紙は、こうした懸念とは裏腹に、中国に世界制覇の野心はないと書いている。というより、中国は国内消費が激しくて、そんな余裕はないのだという。中国の経済成長は毎年10%の割で増長している。この勢いは多少弱まることが予測されているとはいえ、このような成長に必要な資源獲得は中国にとって大優先だ。
中国はすでに世界で第二の消費国。国内資源はすでに使い果たしている。このままだとBPサイズの会社を向こう12年間にわたって毎年二つ以上買い取らなければ需要に追いつかないと言う。
また、これによって世界資源の値段が上がるという心配と共に、中国によって世界が不況から抜け出せるという楽観的な見方もある。
ま、諸外国からの援助なしでは自立出来ないアフリカや南米で中国が資源確保のために、こうした第三諸国のインフラ建設に援助をするというのなら、それはそれで良いのではないかという気もする。
これまではアメリカが結構そういうことをして来ているが、中国が経済大国を目指すのであれば、それなりに世界の経済に貢献するというのも悪くない話だ。
中国が民主主義国家であるなら、これは歓迎すべき出来事かもしれない。
だが、中国は自国の国益が大優先であり、人権だの環境保全だのと言った事には全く興味がない。国益になりさえすれば、他国が独裁政権であろうとテロ国家であろうとおかまいなしに資金援助もすれば武器調達もする。
例えば内戦で荒れているスーダンとかダルフールとか、またアフリカ諸国に賄賂をばらまいて、国連において台湾批判をさせてみたりとか、かなり国際社会でも評判の悪い振る舞いをしている。
私が疑問に思う点は、独裁政権は、例えばベネズエラとかキューバとか、諸外国から投資を受けておきながら、企業が利益を得てくると、突然国営企業だからといって外国経営を国から閉め出す傾向がある。もし、中国が投資している国のひとつでもそのような行為に出た場合、中国はどうするのだろうか?
中国はそう簡単に泣き寝入りするとも思えないので、そうなった場合、中国は武力で投資を守ろうとするのだろうか?そうなれば、中国は投資国というより占領国家となるわけだが。
なんにしても、中国の積極的な資源買いあさりは日本やアメリカを含む諸外国にとって、非常に心配な行為である。


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