オバマさんよ、北朝鮮が撃ったらどうする?

「おいカカシ、お前来月ハワイに行くか?」と出張日程を決める同僚のMが聞いて来た。長期でいくはずだった東海岸への出張が急遽とりやめになって本社でだらだらしているように見えたカカシに、Mは東の方よりハワイ方面が忙しくなっているので行きたけりゃ行かしてやるという。「ハワイが嫌なら日本に行ってもいいぞ」と笑うM。真夏の日本とワイキキビーチではちょっと比べ物にならないんだけどね。
しかし、「晴れた空、そよぐ風、あ〜、あこがれ〜のハワイ航路〜!」などと歌いながら荷造りを始めている場合ではない。最近北朝鮮はアメリカの独立記念日にハワイに向けて長距離ミサイルを発射するかもしれないという話がある。これが本当なら由々しきことであるはずなのだが、オバマ政権からの反応は今ひとつ鈍いものだ。
当初、ゲーツ国防長官は、どうせ北朝鮮のミサイルなんてハワイ本島にまで届きゃしないんだから心配することはないと言っていたが、それではあまりにも無責任だと感じたのか、19日になると、迎撃する用意はあると発表した。

北朝鮮、ハワイ方面へミサイル発射でも迎撃可能 国防長官

ワシントン(CNN) ゲーツ米国防長官は18日、北朝鮮がハワイ方面へ長距離弾道ミサイルを発射してもこれを迎撃出来るとの考えを示した。北朝鮮は現在、弾道ミサイルの発射を準備中との情報があり、米軍が状況を注意深く監視し、対策を進めていることを示す発言ともなっている。
長官は、ハワイ州周辺に迎撃ミサイルや警戒レーダーを配置したことを明らかにし、「米領土防衛に必要な措置に迫られた場合、これに対処出来る態勢にある」と述べた。
北朝鮮は今年5月25日に2度目の核実験を実施、同時に短距離ミサイルを数日間発射するなど国際社会への挑発行為を繰り返した。国連安保理が制裁決議を採択したことにも反発、再度の核実験と大陸間弾道ミサイルの発射もちらつかせている。

どうせミサイルは届きっこない、たとえ届いたとしても、最悪の場合には迎撃できる、だからご心配なく、などと言われても、はっきり言ってハワイに居るもんにとっちゃとんでもないことだ。だいたい北がそこまでするのを何で指を加えて待っている必要があるのだと聞きたい。北がミサイル燃料を注入した時点でこっちからミサイルを撃ってやればいいではないか。少なくとも、「ミサイルをこっちに向けたと感じた時は、容赦なくぶっとばす。我々の攻撃の後には貴国は焼け野原になると覚悟せよ。」くらいのことを言ってもいいはず。
こと防衛に関しては対イランにしろ対北朝鮮にしろ完全にへっぴり腰のオバマ王。ブッシュ時代に、こちらがあまりにも強気に出たから世界中に敵をつくってしまったのだ、などというナイーブなことを言ってた馬鹿左翼連中を尻目に、オバマ王の弱腰にイランも北朝鮮も完全にアメリカを舐めきった行動に出ている。こいつらは「話せば解る」なんて連中ではないのだ。ブッシュがフセインイラクとイランと、そして北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだ時、左翼連中はブッシュは単純だといってあざ笑った。だが悪の枢軸国と外交交渉をしようとしたオバマ政権は少しでもアメリカ及び世界をイランや北朝鮮の核脅威から守ることに成功しているというのか?
とんでもない。それどころか、イランも北も核兵器開発にこれまで以上のフル回転にいそしんでいるではないか。両国の核兵器開発を「はななだ遺憾であります。」なんて記者会見で言ってるだけじゃ何の解決にもならない。
アメリカのジャーナリスト二人が北朝鮮に拉致された件に関しても、「即二人を釈放しなければお前らの国なんぞぶっつぶす!」などと言うどころか、オバマ王は北に対して軍事行使はあり得ないと最初から宣言して、元副大統領の地球温暖化迷信論者のアル・ゴアを命乞いの使者として北朝鮮に送るというのだから呆れてしまう。

バラク・オバマ大統領の北朝鮮への特別使者は、アメリカが共産国に侵略し、政権を武力で倒す意志はないことを明らかにした。…

北朝鮮は火曜日、挑発されれば核兵器を使った「容赦ない攻撃に出ると発表した。これは先日大なわれた核兵器実験に対する国際的な制裁へのあきらかな警告と見られる。

相手は核兵器攻撃も辞さないと豪語しているのに、なんでこっちは最初から武力行使をする意志はないなどと下手(したで)に出なければならないのだ? そんな態度はこちらの善意を表すどころか、単なる弱さとして受け取られるだけだ。
1979年にアクマディネジャドを含むイランの過激派学生がテヘランのアメリカ大使館を襲った時、当時のリベラル大統領、ジミー・カーターがアメリカ側は武力でイランを制裁しないと発表し、勇気づけられた過激派学生たちは、数日で解放するつもりだった人質を一年以上も拘束する結果となった。カーターの弱腰がイラン側の姿勢を強攻にさせてしまったのと同じで、こんなやり方では人質は帰ってこない。核攻撃も避けられない。
アメリカが今まだ危険な状態になっていないのは、イランも北朝鮮もそこまでのレベルに達していないというだけのことだ。奴らにその能力があったら、いますぐにでもアメリカや日本やイスラエルに攻撃を仕掛けるだろうことは誰もが確信できる。
だが、敵が弱い時に攻める勇気もない男が、敵が手強い相手になった時に攻めることができるのか?
アメリカの将来を思うと、オバマ王の存在は恐ろしい。


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北朝鮮ミサイル発射、日米そろって呆然とたちすくむ

遂に北朝鮮はミサイルを発射した。で、日本やアメリカはご自慢のBMDを使って迎撃したのかと思いきや、本土に落ちる可能性は低いと言って指を加えてみていただけ。
日本海には日本の護衛艦が二隻も待機していたというのに、なにしにいったのさ、という感じである。日本本土に落ちなかったから何もしなくて良かったのだ、などと言って済まされることではない。これによって北朝鮮のみならず世界中に日本やアメリカの骨抜き腰抜けの印象がしっかりと与えられた打撃を真剣に考えていただきたい。
BMDは打ち上げる場所がはっきりしている場合には命中率はほぼ100%。北朝鮮のミサイルを迎撃するなんざ朝飯前だったはず。ここで日本のBMDが北朝鮮のミサイルを見事撃ち落としていれば、日本が北朝鮮の核兵器開発に与える衝撃がどれほど大きかった事か。それをみすみす敵が自国の本土の上を通り越すミサイルを撃っているのを見逃すとは、いったいどういう政策なのだ?
これは日本のみならず、アメリカの防衛庁、いや、総司令官のオバマ王にもお聞きしたいね!どういうつもりなのよ!
そんなに北朝鮮が怖いのか?
こんな腰抜けに国家の首脳を勤められているのかと思うと、日本もアメリカも将来が思いやられるよ。マケインが大統領ならこんなことはあり得なかったのに!
麻生首相!オバマ大統領!あんたら国を滅ぼす気?


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手放しで喜ぶな!ヒラリー国務長官の東洋訪問、消去法で選ばれた日本

ヒラリー・クリントン国務長官の最初の訪問国が日本になったことで、今後アメリカは日本並びに東洋を重視する政策なのではないか、と外務省は喜んでいるようだが、実は真相はそんな単純なことではないと、産經新聞の古森義久さんは警告する。先ずは読売新聞の記事から。(強調はカカシ)

日本が最初の訪問国…クリントン国務長官、16日来日

 クリントン米国務長官が16日に来日する。クリントン氏の外国訪問は就任後初めてで、新任の国務長官が最初の訪問国に日本を選ぶ初のケースともなる。
 17日に行われる麻生首相、中曽根外相、浜田防衛相との会談では、日米同盟の重要性を再確認するとともに、北朝鮮問題などアジア情勢を中心に、国際社会の懸案について幅広く協議する見通しだ。(中略)
 日本政府は最初の訪問国が日本となったことを「日米同盟重視を示す象徴的意味がある」(外務省幹部)と歓迎している。
  …クリントン氏は滞在中、小沢民主党代表、北朝鮮による拉致被害者の家族とも会談する。(2009年2月15日00時53分 読売新聞)

外務省の歓迎ぶりとは裏腹に、古森さんによると、オバマ大統領は中東や南米にはすでに別の代表を送り込んでいるため、クリントン国務長官の行ける場所は北東アジアのみとなったのだと説明する。

オバマ大統領は外交の出発点でジョージ・ミッチェル元上院議員を中東担当特使に、リチャード・ホルブルック元国連大使をアフガニスタンやパキスタンのイスラム過激派がらみの西南アジア担当特使に任命した。いずれも国務長官の管轄下におかれるとはいえ、大統領と直接、協議する権限も与えられた。

中東、イスラム、対テロと、米国政府にとってみな切迫した主要課題を国務長官とは別個の特使が扱うのだ。だからクリントン国務長官とすれば、中東には直接に関与できず、アフガニスタンやパキスタン、インドにもすぐに手を出すこともできなくなった。
しかも欧州は6日からのミュンヘン安全保障会議に米国代表としてはバイデン副大統領が参加し、短期にせよ、欧州やロシアの担当の形になっていた。
そうなると、クリントン長官に残された地域は中南米と北東アジアだけとなった。だが中南米は国によっては激しい反米感情があり、国務長官の来訪でどう爆発するかわからない。
となると、残された訪問地域は北東アジアしかないことになってくる。…「クリントン長官がアジアを最初の訪問の対象に選んだのは『消去法』の結果だといえる。

もともとカカシはオバマ政権にとって外交政策が真っ向から対立しているヒラリー・クリントンを国務長官としたことには問題があると考えていた。これは別にヒラリーに国務長官としての技量がないという意味ではなく、ヒラリーとオバマとでは考え方が違いすぎるからで、国務長官は大統領の意志を代弁する立場である以上、あまりにも意見の対立する人間を起用するのは賢いやり方とは言えないという意味だ。
しかし、オバマはこの問題を解決するために、ヒラリーを無難な国々に送り込んで、『大切な国々』は自分の信用出来る配下を送り込むことにしたらしい。
正直な話、オバマの各部署への人選はお粗末としかいいようがない。ホルブルックはまだしもミッチェルなど中東の専門家ではないし、これ以前にもオバマはイラク大使選考の際に一端は大使の座をイラク問題では信用の厚いアンソニー・C・ズニーニ将軍(Gen. Anthony C. Zinni)に依頼しておきながら、後で軍人ばかりで大使の座を埋めるのはよくないと考えを変え、本人に何の断りもなく数日後ベテラン外交官のクリストファー・R・ヒル(Christopher R. Hill)をイラク大使に任命してしまった。ズニーニ将軍は任命に変更のあいさつも受け取らなかったと、そのあまりの失礼さに怒って公に抗議するという一幕があったばかりだ。オバマの人選は候補者のスキャンダル続きで候補を辞任する人が多いなか、ズニーニ将軍には脱税や他のスキャンダルが全くなかったので、オバマ政権には適さなかったのだろう。
ヨーロッパにバイデン副大統領を送り込むのもどうかと思う。バイデンは口を開けば馬鹿なことばかり言って、ほんの数週間で何回オバマに恥をかかせたかわからない。そういうノータリンにロシアの行動が気になるこの時期にヨーロッパを任せていいのかねえ、、
というわけなので、東洋諸国としてはヒラリーに来てもらってありがたいかもしれないが、そう手放しで喜んでもいられないということらしい。


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プーチン、オバマに一発かます

今回はキルギスタン(Kyrgyzstan)という元ソ連圏にあった「スタン諸国」のひとつについてお話したいと思う。ミスター苺が詳しく説明してくれてるので、それを元に紹介しよう。この先はミスター苺口調でいくのであしからず。
尻の青い政治家が大統領などになって「世界の市民」とかナイーブなことを言っていい気になっていると、アメリカは海千山千の諸外国にいいようにおもちゃにされる。外交官として何の経験もないオバマは何が起きたのかさっぱりわからず狐につままれたような顔できょとんとしている。だから言っただろうが、こんな青二才を大統領にしたらアメリカは大変なことになるって。

キルギスタン(Kyrgyzstan:キルギスタンの大統領は火曜日、アフガニスタン軍事作戦の援助に使われて来た 米国の空軍基地の使用を終了させる と発表した。

え — ? 何だって?  どっからそういう話が出てくる訳?

インターファックスとRIAーノヴォスティ(Interfax and RIA-Novosti )によると、この声明はKurmanbek Bakiyev(キルギスタン大統領)によって、ロシアがこの元ソ連圏の貧乏な国に何億ドルという資金援助をすると発表した数分後に出された。

その金額というのは、キルギスタンに先ず直接一億5千万ドル($150 million)の支援金が払われ、それプラス20億ドルの借款を保証するというもの。これに比べたらアメリカが毎年支援金として払って来た1.5億ドル (基地使用料の6千3百万を含む)なんて雀の涙みたいなもんだ。
ソビエト連邦ロシアがキルギスタンに資金援助をすることと、キルギスタンがアメリカを基地から追い出すのとどういう関係があるのかというと、

キルギスタンの、中央アジア国の首都ビシケク(Bishkek)外側に位置するマナス(Manas)基地の米軍による使用を終わらせるという決断は、米国とNATO(北大西洋同盟)のアフガニスタンにおける軍事行動に大きな影響を及ぼす恐れがある。アフガニスタン・イラク米軍司令官のデイビッド・ペトラエウス将軍は、先月中央アジアを訪れた際、マナス空軍基地はここ数ヶ月のうちにアフガニスタンに3万ほど兵力を増派するために鍵となる場所であると語った。…..

米国は2001年9月のテロ攻撃の後、アフガニスタン作戦の後方援助のためキルギスタンのマナスとその隣国のウズベクスタンに空軍基地を設置した….
ロシアは自国の戦略上の裏庭と考える地域に米国の存在があることをずっとうさんくさく感じていた。

The 'Stans

スタン諸国


キルギスタンは中国の左隣(政治的にではなく地理的に左)にある小さな緑色の国で、キルギスタンにつきささってるような小さな緑色の国がウズベクスタンだ。そのすぐ下にある二つの国はタークマニスタン(薄緑)とタジキスタン(紫)。そしてもちろんアフガニスタン(茶) 言うまでもないがロシアは地図の頭部にあるだだっぴろいオレンジ色の国。
ではここでどういう課程でこういうことになったのかおさらいしてみよう。
2001: 911同時多発テロ発生。ジョージ・W・ブッシュ大統領がどう説得したのか、孤立主義で悪名高いキルギスタンとウズベクスタンというふたつの国に、このイスラム圏で元ソ連衛星国家だったふたつの国に、アフガニスタンにおけるアルカイダとタリバンの独裁を破壊すべく、『永続する自由作戦』(Operation Enduring Freedom)において空爆援助に必要な空軍基地設立を承諾させてしまった。
2005: ウズベクスタンにおいてイスラム過激派のテロリスト容疑者の裁判が行われた。人に依ては彼は単なるビジネスマンで政府にぬれぎぬを着せられたと言う人もあるが、誰と話すかによってこれは異なる。ともかく、この裁判に怒った地元市民がAndijan市で暴動をおこした。ウズベクスタン政府はイスラム過激派を鎮圧するという口実でしょっちゅう自国民を弾圧してきていた。武装した群衆は容疑者の収容されていた留置場を攻撃し、容疑者を解放し、建物に放火し政府役人を人質にとった。これに対応してウズベク軍は群衆に発砲し400人から5000人の市民が殺された。ウズベク政府は殺したのは187人だと主張しているが。
このウズベクスタン政府の強行な手段を西側諸国はこぞって糾弾した。しかしブッシュ政権だけは、もっと公平な調査をすべきだと主張した。 そもそも事件の発端は武装した群衆による攻撃だったわけで、政府役人が人質にとられたり政府の建物が放火されたりしているのである。この際、イスラムテロリストを含む多くの犯罪者が解放されてしまった。政府の対応が行き過ぎだったとしても、一方的な糾弾は早計だという理屈からである。
ところがここで、おせっかいにも元共和党大統領候補ジョン・マケインを含む穏健派共和党上院議員4人と現副大統領のジョー・バイドンを含む二人の超リベラル民主党議員が、ブッシュ政権に対してウズベクスタンに半永久的に米空軍基地を設けるというウズベクスタンとの交渉は即打ち切るべきだと声明文を出した。 これに怒ったウズベクスタン政府は米軍を自国から追い出してしまった。おかげでアフガニスタンへの後方援助のできる米軍空軍基地はキルギスタンのみとなったのである。

議員たちはブッシュ政権にウズベクスタンに常時基地を設立することを考え直すように陳誠し、また合衆国はウズベクスタンとの関係を変更する柔軟性をもたせるために、キルギスタンのような別の隣国に基地を建てることを考えるべきだと主張した。

「戦略的に重要な地域において、政府との関係を断ち切るかどうかが難しい質問であることは理解できます。」「しかしながら、Andijanでの惨殺の結果、アメリカはウズベクスタンとの関係を変更しないわけにはいかないのです。」

2005: この間、三月におきた「チューリップ革命」にも関わらず、キルギスタンはジョージ・W・ブッシュが大統領である限り、米国に空軍基地の使用を許可した。
2005-2008: 2008年まで大統領をつとめその後は首相となったプーチン(Vladimir Putin)は急激に西側諸国に攻撃的な姿勢をとるようになっていった。イランのムラー達やアクマディネジャド大統領と親密な交際をはじめ、カスピアン海の自然ガスや原油のパイプライン独占権を強化する方針をとるようになった。 偶然だがカスピアン海といえばスタン諸国に一番近い海であり、バク→ティビリシ→セイハンのパイプライン(Baku-Tbilisi-Ceyhan pipeline)はキャスピアン海から始まって、アザバジャンとグルジアそしてトルコを通って地中海にそそぐ。バク→サプサ、バク→ノボロシスク(Baku-Novorossiysk)原油パイプラインも、いま提案されているトランスキャスピアン自然ガスパイプラインも同様だ。この自然ガスはキャスピアン海からタークメニスタンの地下から掘られることになり、スタン国としてロシアの影響をうけずに独立した発掘ができるはずのものである。

Hydrocarbon pipelines originating at the Caspian Sea

キャスピアン海から始まるパイプライン


これはすべて地理的な基礎知識、少なくともそうあるべき知識だ。ブッシュはきちんと理解していた。ヒラリー・クリントン国務長官も理解しているし、その陰でヒラリーを操ってるビルも理解している。議会の議員たちの多くですらも、ちょっと頭のいい連中なら、このくらいの知識はあるだろう。
2009: しかしバラク・H・オバマ新大統領にはこんな知識に時間を浪費している暇はない。ロシアによる資金援助がマナス空軍基地からアメリカ軍を追い出すことにつながるかもしれないなんてことは寝耳に水だったようで、この話を聞いてオバマは大ショックを受けている。もちろんこれによってアフガニスタンに駐留するアメリカ陸軍は戦略に必要不可欠な空からの援助がうけられなくなり孤立してしまうという影響もあるわけだが。
俺(ミスター苺)はブラジミール・プーチンはソ連がアフガニスタンを失ったことを未だに根にもっていると考える。プーチンはプーチンが夢見る新しいロシア帝国に旧ソ連配下にあったウクレーン、グルジア、ポーランド、旧チェコスロバキア、ユーゴスラビアなどと供にスタン諸国もロシアの配下に取り入れようとしているのだ。アフガニスタンはその自然な一部と考えらえられるだろう。まずいことにアフガニスタンのハミッド・カルザイ大統領はブッシュの時のようにアメリカ政権との関係に安心感をもっていないらしい。 上記にリンクしたAPの記事より。

アフガニスタンのハミッド・カルザイ大統領はこの数週間ロシアへの接近を強めている。大統領事務所は両国の間で交わされた手紙を公表し、ロシアはアフガニスタンの防衛に協力する用意があることを発表した。

この数週間」というのはどうやら「11月4日から」つまり、オバマが次期大統領になると決まった日から今日までの13週間を意味するようだ。

デイビッド・ペトラエウス将軍は、先月中央アジアを訪れた際、マナス空軍基地はアフガニスタンに米軍を増派するために鍵となる場所であると語った。将軍はまた合衆国はキルギスタンにマナスの使用料6千3百万を含む1臆5千万ドルを毎年つぎ込んでいると語った。

ロシアは火曜日、キルギスタンに20億ドルの借款に加えて1億5千万ドルの資金援助をすることに合意した。

…そしてキルギスタンはその直後、、ほんの数分後、、アメリカを追い出すと発表したのである。ペトラエウス将軍もペンタゴンのジェッフ・モレル報道官もキルギスタンのこの行為はアメリカからもっと金をせびり取ろうという、ただのゆすりくらいにしか思っていないようだ。

(アフガニスタンのトップ米軍報道官)グレッグ・ジュリアン大佐は、キルギスタンがマナス米軍基地へのアクセスを閉鎖するという脅しは「政治的位置づけ」にすぎないと語った。アフガニスタンとイラクの戦闘を監督するデイビッド・ペトラエウス将軍は、先月キルギスタンの高官と会見し、「すべて順調であるという印象をもって帰って来た」と大佐は語った。

「我々には契約があります。彼らは我々が居ることで何百万ドルというお金儲けをしているのです。基地を閉鎖する予定は当面全くありません。」と大佐はアソシエートプレスに語った。

契約があるからなんだというのだ?ロシアが約束している金額は、我が国の議会が承認し国民が納得できる金額なんかとは桁がちがうんだぞ。キルギスタンがお前ら出てけ、とやったら我が国はどうするのだ?国際法廷にでも訴えるのか? そんなことをすれば他のスタン諸国と供に余計にキルギスタンをロシアの胸元に追い込むことになるだろう。 これはアフガニスタンも含めてだ。カルザイがプーチンと何かと接近してることでもわかるよういにね。
まったくミスター苺はうれしいよ!オバマがブッシュの古くさい政策を廃棄して、イランやアルカイダに敬意を表する政策に変更してくれてさ。 これはブッシュ大統領が『アメリカはイスラム教と戦争をしているのではない、イスラムは「平和な宗教」だ』と何百回と繰り返してきたのとは大違いだもんな。
俺たちは過去8年にわたって 世界のいじめっこだったらしいけど、オバマがそれを止めてシリア、パキスタン、ロシア、そして北朝鮮や中国とも協力しようってのにはうれしくて涙がでるよ。
オバマはブッシュみたいに40国の有志軍を募ってひとりで行くようなことはしないもんな。そのかわりオバマは条約とか安全保障契約に署名してくれるんだ。オバマは過激派イスラム戦闘員や再台頭する共産主義国家と契約書を交わしさえすれば平和が保てると保証してくれてるもんな。なにしろブッシュ政権で抜けてたのは直接外交だけだったんだからね。
俺は一生のうちで何一つ采配をふるったことがない経験不足の大統領が、戦争とか、軍隊とか、殺しなんていう古いしきたりに頭が固まってないってことをすばらしいと考えるべきなのかもしれない。自国の利権を優先させてばかりいる経験豊かな年寄りの政治家なんかよりオバマが見せた「勇気」に陶酔すべきなのかもしれない。俺はこの希望の変革や国際主義や先見者や崇高な 世界の利権優先を心配する替わりに、奇跡を信じるべきなのかもしれない。
多くの保守派共和党支持者らは俺たちが『投票にはいかなきゃいけない』と言った忠告を無視した。俺たちの、『国の安全を守るためには、オバマは大統領になってはいけない、鼻をつまんでもマケインを大統領にしなければならない。これは我が国の存続に関わることなのだ』という警告に耳を貸さなかった。保守派は前回の選挙はどちらの候補者も理想ではなかった、それでもまだましな候補であるジョン・S・マケインに投票すべきだったのだ。
ま、今更だけどね、 だから言ったじゃねえかよ〜


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やらせ、CG, 年齢偽装、中国の虚飾オリンピック

実家で読売新聞を読んでいたら、中国の「見栄え優先虚飾の五輪」という特集があった。中国側が認めたものだけでも、、

    開会式で放映した花火で描く「足跡」はCGによる合成映像。
    開会式の少女の歌が実は「口パク」。歌ったのは別の少女。
    開会式に登場した「56民族の子供たち」は大半が漢民族。
    空席の多い競技場に黄色いTシャツの中国人応援団を動員。

などがある。先週カリフォルニアの自宅で水泳や体操を観ていたときに、アメリカのNBCテレビのアナウンサーが中国観客の行儀の良さに感心していたので、私はどうもおかしいと思っていた。それで私はミスター苺に「中国のフーリガンは悪名たかいよ。行儀がいいなんて信じられない。」と話していたほどだ。後になってミスター苺が、観客はすべて中国共産党によって選らばえらた「サクラ」なんだと教えてくれて、やっぱりそうだったんだなと納得した。
美少女の歌が口パクだったという話は浜村淳さんのラジオで聞いて知っていたが、漢民族が異民族の衣装を着て登場という話は知らなかった。ま、民族衣装など私としてはどうでもいいが、口パクで実際に歌った少女は、それほど不細工ではないし、彼女が歌ったからといってそれほどイメージが崩れるとは思えないのだが、そこが表向きだけは完ぺき主義の中共ならではのことか。
さて、開会式のごまかしなどはっきり言ってどうでもいいことだが、中国のいんちきはその程度ではおさまらない。女子体操の中国人選手がやたらに幼くみえたことは誰でも気がついたことだ。大会前から選手のなかの少なくとも三人は16歳未満だという噂が立っていたが、体操競技の中継中、アメリカの解説者で元ルーマニアのコーチだったべラさん(Béla Károlyi)が、あの娘たちはどうみても14~5歳だと語っていた。その時は確たる証拠があったわけではないので、司会者がベラさんの単刀直入な言い方に困っていた。ベラさんは元共産圏でコーチをしていた身だし、パーフェクト10を連発したナディア・コマネチは当時15歳だったから (当時は年齢制限はなかった)、彼にしてみたら共産圏の国がどうやっていんちきをするかくらいすべてお見通しなのだろう。
今日のヤフーニュースによれば、ロンドンタイムスが中国選手が16歳未満だったことを証明する確たる証拠が出てきたと報道しているとある。先週アメリカでもミスター苺がそんな記事を読んだといっていたが、こちらではその報道はちょっと遅れたようだ。

タイムズなどによると、ニューヨークのコンピューター専門家が中国のインターネット検索エンジンを使って何選手が現在14歳であることを示す中国政府の公式記録にたどり着いたという。同紙は中国にとって「打ち勝つことのできない証拠」としている。

女子体操は小柄な体形が有利とされており、極端な低年齢化を防ぐため国際体操連盟は競技開催年の年末までに16歳に達しない選手の五輪参加を認めていない。タイムズ紙の報道が事実なら何選手はメダルを剥奪(はくだつ)される可能性がある。
 何選手ら中国の体操女子選手の年齢詐称疑惑は五輪開始前から米メディアを中心に報じられており、中国当局は旅券のコピーなどを示して何選手の生年月日は「1992年1月1日」と否定に躍起になっていた。
 しかし、国営新華社通信は昨年11月、何選手の年齢を13歳と表記した記事を掲載。同記事はAP通信がこれを指摘した直後にウェブサイトから消去されていた。

読売新聞も指摘しているが、五輪のために地元住民の家を取り壊し住民を追い出したり、出稼ぎ人に給料も払わずに国へ強制的に帰郷させたり、中国のやることはえげつない。
中国選手が失格になるかどうか、世界オリンピック協会が調査をするというのではあまり当てにはならない。だいたい中国みたいな国を開催国に選んだ張本人たちなのだから。
ところで上記の読売に載っていたもうひとつの記事も面白い。中国は中国武術を五輪の正式競技にすべく申し込んでいたが、それを却下されたにもかかわらず、五輪会場を使って五輪さながらの中国武術協議会を五輪開催中にはじめたというのである。参加を却下されたのに無理やりやってしまう五輪まがいの協議会。
さすが猿真似上手な中国だけある。


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中国、米国人観光客夫婦が襲われる、夫死亡妻重体、中国人犯人は自殺

五輪開会たった一日目で、もうアメリカ人が殺されるという事件があった。
五輪観戦の米国人男性を観光名所で殺害、犯人の中国人自殺

北京——中国の国営・新華社通信は9日、五輪観戦で北京を訪れていた米国人男性が現地時間の同日正午ごろ、市内の観光名所、鼓楼で中国人の男に襲われ、死亡したと伝えた。連れの米国人女性とツアーガイドの中国人女性も負傷した。

北京五輪開催で市内が厳戒態勢にある中、有名な観光スポットで白昼起きる殺人事件となった。北京には現在、五輪開会式に参加したブッシュ米大統領が滞在中だが、ホワイトハウスによると事件は大統領に知らされたという。
AP通信によると、米国オリンピック委員会は声明を発表し、被害者の米国人男女は五輪参加のバレーボール・チームのコーチの家族だと述べた。
犯行の動機、経緯や武器などは不明。刃物のようなものを保持していたとの情報がある。
犯人は犯行後、鼓楼から飛び降りて自殺した。新華社によると、この男は47歳で、杭州出身。

ミネソタの新聞、スタートリビューンによると、襲われたのはミネソタ州のバックマンズガーデンセンターズ会社の会長で、トッド・バックマンさん62歳とその奥さんのバーバラさん(同じく62歳)。
バーバラさんの怪我は重傷で瀕死の状態だという。一緒にいた中国人ガイドの女性も怪我を負ったらしい。
スタートリビューンは犯人は精神的に錯乱した男と書いているが、ただの精神異常者なのかアメリカ人を狙ったテロリストなのか解らない。ただ、観光中だったといはいっても、この夫婦はアメリカチームのコーチの家族。ただの観光客ではない。ということは中国側からはガイドだけでなく公式にしろ非公式にしろガードマン兼秘密警察官が同行していたはずである。先日天安門で抗議運動をしようとして拘束されたアメリカ人も話していた通り、北京の町は一般人の格好をした警察官や軍人がうようよしているという。だとしたら、変な男が刃物を振り回してアメリカ人の重要なお客さんに近づいて来たら、何かしてもいいようなものではないか?男が旦那さんの方を刺し、奥さんを刺し、ガイドを刺している間に、周りの秘密警察官は何をしていたのだ?
抗議をしようとする人間が現れると、あっと言う間に取り囲んで連行する段取りが出来ている秘密警察官たちが、三人の人間に襲いかかっている男一人を取り押さえることが出来ないということがあるだろうか?
そう考えると、この事件が単なる通り魔の仕業だと簡単に片付けるべきではない。秘密警察がテロリストの味方をするとは考えられないが、アメリカ人など殺されても知るものかと無視した可能性はある。中国のことなので、事件の究明はかなり難しいことになるだろう。


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いよいよオリンピック開会、激化する外国人への言論規制

六日の日、朝のローラ・イングラムのラジオ番組を聞いていたら、天安門近くで中国の警察に一時的に拘束されたというキリスト教運動家の女性の電話インタビューがあった。このことについては朝日新聞も報道している。

 【北京=峯村健司】中国国営新華社通信によると、北京市中心部の天安門広場に近い国家博物館の近くで6日午後、3人の米国人が、中国で一人っ子政策を巡って一部の地方政府が強制堕胎をしているとされる問題について抗議活動をした。

 一方、同通信は6日夜、北京市内で同日、「チベットに自由を」などの横断幕を掲げてチベットの独立を訴えた、米国人2人と英国人2人の計4人に警察当局が国外退去を命じたと伝えた。
 6日、外国人による抗議活動が相次いだことについて、北京五輪組織委員会の孫偉徳・新聞宣伝部副部長は「五輪は世界的なスポーツの祭典でいかなる政治化の動きに対しても反対する」と述べた。

このアメリカ女性の話によると、オリンピック会場近くには一般人を装った警察官があちこちで見張りをしており、彼女たちが天安門で花を添えようとした途端に数人の男女に取り囲まれたという。そして彼女達が大きな声で強制堕胎反対などの声を上げると、さらにその周りをもっと多くの人たちが取り囲み口々に大声を出して活動家たちの姿も声も外から聞こえなくした。そして制服姿の警察官ではなく、私服の秘密警察官に5人は強制的に撤去され、建物のなかに連行されて椅子に投げるように座らされ尋問を受けたという。
活動家の女性は「私はつくづくアメリカ人で良かったと思いました。私が中国人だったら今頃は刑務所に拘留されこの先何年出てこれるかわかったものではありません。」と語っていた。
現にチャイナエイドによれば、先月からの手入れで210人の中国人キリスト教司教や信者たちが逮捕されているという。三月には8人のアメリカ人を含む10人のキリスト教外国人指導者が強制送還されている。
それを考えると彼らが一時間後には解放されたというのは、この程度で済んだなら幸運と言わざる負えない。
ウィグルで取材をしていた日本人記者たちのほうは、そう幸運ではなかったようである。

<テレビウォッチ>一昨日(8月4日)中国・新彊ウイグル自治区で武装警察が襲われて16人が死亡した現場を取材中だった日本テレビの記者らが、武装警察に連行され、拘束を受けて暴力を振るわれた事件の詳報を番組が伝えた。

日テレの記者は、やはり取材していた香港の取材班が連行される様子を自分のカメラで撮影し始めたところ、ともに連行され、武装警察の施設内で 2時間にわたって拘束され、顔面を殴られるなどした。記者は正規の手続きを踏んで取材し、拘束中も「日本の記者だ」と繰り返したにも拘わらず、武装警察側は聞き入れずに手荒な行為に及んだようだ。ようやく解放されて自宅に帰った記者のシャツには泥がこびりつき、殴られた顎の部分は黒くなっている。「若干、痛いです」と弱々しく話す。
武装警察について、中嶋嶺雄(国際教養大学学長)は、「警察と軍隊の中間的組織。中国人に対しては、ちょっとでも疑いがあると一方的に検挙したり、暴力を振るっている。外国の記者に暴行を加えるようなことは今までなかった。異例中の異例」と解説する。
事件翌日、地元政府関係者が記者を訪れて「大変申し訳ないことをした」と謝罪。
武装警察担当者は、「多くの犠牲者を出し感情が高ぶっていた隊員たちが記者の身分を分からずに行った行為であり、心情を理解してほしい」と述べたらしい。
江田けんじ(衆院議員)は、「日本なら特別公務員暴行陵虐罪が成立する。福田首相がオリンピックの開会式に出席して胡錦濤主席と会談するのだから、そこで厳重抗議と再発防止、報道の自由の確保を、首脳レベルでしっかり言う必要がある」と語る。それ以前にまず謝罪のことばがあるのが普通だと思うが……。

ま、何があっても謝らない中国政府が今回に限ってはすぐに謝ったというのは進歩といえば言えるが、オリンピック直前に国際問題を起こしたくないというのが本音だろう。
また、中国でオリンピック中にダルフールについて講演をする予定だった元オリンピック金メダリストのアメリカ人選手ジョーイ・チークさんが、中国訪問どたんばで入国ビザを取り消されるという出来事があった。これも朝のラジオでインタビューを聴いたのだが、彼の所属するグループには世界中のオリンピック選手も参加しているが、他の国の選手らはこの運動に参加するならオリンピック出場権利を剥奪すると脅されたという。
チーク選手の話だと、最初に中国でオリンピックが開かれるという話が出た時から、どうしてあんな人権迫害がひどい国でオリンピックなどするのかという批判の声がオリンピック選手の間でも上がったのだと言う。それについて世界オリンピック協会(IOC)に抗議したところ、IOCは中国でオリンピックを開くことで中国の人権問題の焦点を当てることが出来る。中国に対してオリンピック選手らの意見も多いに奨励すると語ったという。ところがオリンピックが近づくにつれ、選手らの抗議の声は厳しく制限されてきた。そして今回ついにビザの取り消しとなったわけだ。
これについてIOCは、判断は中国政府に任せるといって取りつく島もない。だいたいIOCが共産主義国に楯をつく根性があるなどと信じるほうが最初からお人好しだとしか言いようが無い。中国にオリンピク開催など許して、中国が人権問題を見直すなんてことがあるはずないではないか。IOCはもともとそんなことには興味がないのだ。どうせ中国から巨額の賄賂でももらっての決断だったのだろう。アホクサ!
今回のオリンピックでは、中国は汚い手段を使ってアメリカや日本選手からメダルを奪いとろうとするだろう。訳のわからない失格があったり、あからさまに不公平な審判があることは充分に覚悟すべきだ。
それでもアメリカはメダル数は世界一となることは先ず間違いないと思う。同じことが日本には言えないのは残念だが、中国の陰謀に負けずに日本選手にも是非がんばって頂きたい。
カカシは来週から四週間ほど日本へ出張なので、日本選手の活躍を日本で観ることが出来そうだ。


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謎につつまれる聖火エベレスト登頂

昨日のエントリーで紹介したぼやきくっくりさんのエントリーでも、中国登山チームによる聖火登頂の秘密めいたやり方にはいくつかの疑問が残るというご指摘があった。登山チームの全員が無事生還したのだろうかというのもその一つだ。

…気がかりなことがあります。「全員」が無事にチョモランマ(エベレスト)山頂にたどり着いたのでしょうか?
…チョモランマでは通常の登山でも毎年死者が出ており、(アルピニスト・野口健)さん自身、昨年登頂した際に仲間を一人亡くされているそうです。
 日頃から訓練している登山家であっても死と隣り合わせの危険が伴うのに、聖火ランナーたちは日にちが厳命されているから、悪天候の中でも決行せざるを得ない。そういう厳しい条件下での登頂となったわけです。
 1960年代にチベット側からのチョモランマ初登頂を達成したのは中国隊でした。実はこの時、死者が出たのではないかと登山関係者の間で言われているそうです。公式記録には全く載っていないが、「初登頂記録」を輝かしいものにするために公にしなかったのではないかと、野口さんは言います。
 今回の聖火リレーで死者が出れば大変な騒ぎになります。…入山禁止の理由を中国側は「チベット側から入山したチベット人がネパール側に出てそのまま亡命することを防ぐ」としましたが、本当の理由は、聖火隊が遭難した場合に隠すためであろうと、野口さんは見ています。
 近くに別の登山隊がいれば、万一死者が出たらばれてしまう。そうなれば当然、世界中から非難を浴びることになるからです。

全員生還したのかという疑問もそうだが、その前にそもそも本当に登頂できていたのかさえかなり疑わしいと、カカシとは数年来のネット仲間、ハミッシュ・エディさんが指摘している。

聖火をエベレスト山頂に灯すというたいそう派手なイベントもその派手さのわりには、ずいぶんと分かりにくい。
登山隊は本当にエベレスト山頂に到達したのだろうか?
というそもそものところから失礼ながらも疑問を抱く人が少なからずおりまして…。国際的な宣揚という意味では、この聖火のエベレスト登頂はそれほどうまく目的を達成することができなかったのではなかろうかなどと心配になるわけです。

エディが紹介している4月30日ヘラルド・トリビューンの記事によると(翻訳はエディ):

中国国営テレビは、ベース・キャンプから世界最高峰のエベレスト登頂までの聖火リレーを生放送するという、技術的に極めて難しい初の番組を組む準備に取り掛かり始めた。同テレビによると、登山隊は出発地点から8,300メートル(27,390フィート)上を目指し、頂点の8,850メートル(29,035 フィート)を登頂するための準備を終えたという。

しかしながら、31人で構成されているという登山隊がエベレスト頂点のどこで聖火を灯すのか。登山隊はどこにいるのか。そして、いつ頂上に到達するのかなどについての情報がまったくもたらされてこない。北京デイリーのウェブサイトは、この情報の欠如を「ベース・キャンプを覆う不可思議なヴェール」とたとえた。
…新華通信はベース・キャンプにいる天気予報士のYang Xingguo氏が水曜日の遅くに、強い吹雪のため3日は登山できそうにないと語っていたことを紹介している。

中国側はオリンピック100日前を記念して連休中に登頂を達成させたかったようだが、結局達成のニュースがあったのは8日になってからだった。

【北京=竹内誠一郎】北京五輪の聖火を携えた中国の登山隊は8日午前9時(日本時間10時)過ぎ、世界最高峰チョモランマ(英名エベレスト、8848メートル)の登頂に成功、チベット族女性隊員の手で、頂上で聖火が掲げられた。
国営中央テレビが登山隊に同行し、実況生中継で伝えた。

中国チーム以外に目撃者が居ない以上、生中継とかいってもどこから映しているかなんてはっきり言ってわからない訳だし、かなり怪しいものだ。
私は二年連続してエベレスト登山のドキュメンタリーを観たが、サミットへの挑戦は並大抵のものではない。一歩一歩歩くだけでマラソンを完走したかのような疲労を感じるという。標高が高いため空気は薄く、酸素ボンベなくしてはたいていの人は歩けない。頂上で居られるのはほんの数分で、それ以上長居をすると脳に異常をきたすそうだ。だからこんな場所で聖火妨害なんてとてもとても出来るものではない。亡命をするにしてもわざわざ危険なエベレストなど登らずとも他に方法があるはずだ。
中国側のいい分は単なる言い訳に過ぎないことは明白。いったい中国は何を隠しているのだろうか?


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聖火エベレスト登頂の「オリンピック精神」

私の英語版のブログBiglizards.net/blogのほうで、いかに中共の留学生が長野や韓国で暴挙を働いたかということを紹介したが、その際に今回の聖火エベレスト登頂について冒頭に書いたところ、親中共のコメンターから、どこからも妨害されずに聖火が登頂できて良かったというコメントがあった。

OK…カカシ、君もミスター苺も反中国側を支持してることは知ってる。だからエベレスト山に関することだけコメントさせてもらう。

個人的に反中国(「親チベット」)の暴徒がオリンピック「精神」に対してやったことをみてきた後で(特に英国やヨーロッパの各地で)オリンピック聖火が邪魔されずにエベレスト頂上まで上るのを見られたのは気持ちよかったよ。

あ、そう。エベレスト登山のために大金かけて何週間も地元で訓練積んで、いざサミットへと挑もうとする登山家を9日間も足止めしておいて、「聖火が邪魔されず」に良かっただって?「チベット解放」という旗を持っていたアメリカ登山家がネバールから追放されたそうだが、中国国外での言論の自由まで圧力かけて阻止しておいて、何がオリンピック精神だ!
このコメンターは以前にもオリンピック聖火を政治に利用するなとチベット支持者達を批判していた。だが聖火を政治に利用しているのはいったい誰なのだとこっちが聞きたい。
ぼやきくっくりさんが紹介している登山家の野口健さんによるとエベレスト登山の現地の様子はこんな感じだ。

自然現象よりも人間社会のほうがよほど怖く、またたちが悪い。なにしろエベレスト街道には中国から私服に化けた公安、または情報機関などのいわゆる工作員ら約50人が潜んでいるとのこと。そしてベースキャンプにも中国大使館員と思われる人物がテントを張り監視活動を行っていた。メラピーク登山最中にもダークグリーンに塗られた軍用機がエベレスト上空を何度も旋回しているのを目撃した。

 やれ5月10日まで上部キャンプに上がってはならないだとか、信じられない事に登山隊付きの医師までもが「ベースキャンプから退却せよ」とのお達しがネパール観光省からあったとのこと。そして山頂を目指していたアメリカ人登山家が「フリーチベット」(チベット解放)と書かれた旗を持っていただけなのにエベレストから追放されてしまったとか。なにゆえに中国は越境までしてネパールにそこまで圧力をかける必要があるのか。そこまでしてなにを隠したいのか。中国はチベット問題を「内政干渉」と表現されるが、ネパールで行っている行為はどのように説明されるのだろうか。内政干渉どころかネパールを完全に支配下におき属国扱いしているではないか。
 「言論の自由」が一切許されない、まるで戦時中の日本の憲兵による、またはナチのゲシュタボのような異常な監視体制化下の中で山頂を目指さなければならない全ての登山隊がまことに不憫でならない。聖火リレーを走った日本人選手の中に「スポーツと政治は別ですから」とのコメントがあったそうな。いかにも綺麗な「正論」でしょう。しかし、もしチベットでの悲劇を目の当たりにしたら、その「正論」が通用しない世界があることを知るに違いない。なにしろ「ヒマラヤ登山」という「スポーツ」が中国の政治によって弾圧されているのだから。(強調はカカシ)

中国国内で自国民を弾圧するのは中国の自由かもしれない。100歩譲ってチベットが中国の一部だという理屈が通って、チベット独立の言論が中国国内で許されないとしてもそれを我々がどうこういうのは内政干渉かもしれない。
だが、今回の聖火リレーで中国の見せた態度はどうだ?中国は世界のどこでも反中共の批判は断固許さない。中国から聖火防衛隊のような暴力団を送り込むか、出なければ地元の中国人暴徒を勧誘して外国で暴れさせ、中国への批判は世界中どこであろうと暴力で対処すると全世界に知らしめたのである。これはまだ度合いは違うとはいえイスラム過激派テロリストのやることと何の変わりもないではないか。
ところで12人の中国登山チームの8人までもがチベット人だったという。多分エベレストでガイドをやっている経験豊かな地元の人間を中国人として起用したのだろう。彼らも中国のプロパガンダに利用されてさぞかし悔しかったことだろう。
こんな国でオリンピック協会はオリンピックをやることを許可したのだ。そんな大失態を犯しておいて、今更政治とオリンピックは別だなんてきれいごとはいってられない。


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韓国人もびっくり、聖火リレーで見せた中国人の野蛮ぶり

先日聖火リレーが長野を発って韓国のソウルで行われたという新聞記事を読んだが、そこでも中国留学生が一万人あまり現れて中国国旗を振りまくって脱北者やチベット支持者と小競り合いがあったと書かれていた。浜村淳さんのラジオ番組では、中国人に平和的にデモをしていた韓国人や外国人が殴る蹴るの乱暴をうけるケースもあったときいたが、太田述正さん紹介の朝鮮日報の記事では在韓中国人の理不尽な行動に韓国の世論が反中国へと急変したと書かれている。

韓国の対中世論の劇的な変化

・・・北京五輪の聖火リレーが行われた27日、五星紅旗(中国国旗)がソウルの都心部を覆うと、市民の間で「どこからあれほど多くの中国の青年が現れたのか」と いう驚きの声が上がった。ソウル市民は中国の青年たちによる行動を「愛国心」と理解した。しかし、翌朝には彼らを見る視線は冷淡なものに変わっていた。

・・・世論が急変したきっかけとなったのは、ソウル市中区のプラザホテルで起きた無差別暴行をとらえた動画だった。動画には中国人とみられる100人余りがホテルのロビーに押し寄せ、チベット支援団体のメンバー数人を壁側に追いやり、国旗のポールや手足で暴行を加える場面が映っていた。止めようとした制服姿の義務警察(兵役中の男性が行う警察業務)が殴られもした。中国人らは「殺せ」「謝れ」などと叫んだ。・・・ある大学教授は「外国で自国の聖火を迎える立場ならば、五星紅旗だけでなく、太極旗(韓国国旗)やオリンピック旗も持参するのが常識的な行動だ。五星紅旗だけを持参し、暴力行為まで見られた今回の事態は、民主主義を経験していない中国人が異なる意見を受け入れられないことも原因ではないか」と話した。

中国国内で反政府意見を弾圧するという行為だけでも問題なのに、外国でまで自国民のボランティアを募って反中国意見を暴力で弾圧しようというのだから中国という国は本当にしょうがない。それにしても中国がオリンピック開催国として国際社会の一員であることを証明したかったのであれば、これほど裏目に出る行為はないだろう。
独裁国家ではよくあることなのだが彼らは自分らの力を過大評価してやり過ぎる傾向がある。独裁社会の性質として支配階級は反対意見を受け入れないから建設的な助言を支配者にする政治家も存在しない。もし外交のプロが中国の政治家のなかに存在していれば、諸外国でチベットシンパの暴力的なデモが起きているなら、諸外国の警備体制にその対応を任せ中国はあくまでも被害者を気取るべきであることに気がついていたはずだ。そうすれば「こういう過激派が中国の治安を乱すので中国もその鎮圧に苦労してるんですよ。」と諸外国に訴えることができたからだ。
ところが中共はチベット人に扮した中国人に騒動をおこさせたところまでは良かったのだが、外国へ聖火警備隊を送り込んで平和的に抗議をしている地元民に暴力をふるったり、警備隊を受け入れない国では在外の中国人を募って暴力行為をさせたりと、やり過ぎな行為が仇となってかえって諸外国の反感を買うこととなってしまった。
こういうところに中国の外交の未熟さが歴然と現れてしまったのである。中国はオリンピック開催国として交際社会の一員であることを証明するどころか、一連の事件を巡って、いかに中国が国際社会進出にはまだまだほど遠いかということを証明するに至った。
しかし問題なのは、日本を初めアメリカでも格安の品物はほとんどが中国製。中国製品をボイコットしようにもあまりにも多すぎてとてもボイコットは無理。せいぜい食料品くらいは中国製品を避けているが、ズボンのベルトから石けんの受け皿や電気のコードに至まで中国製品に頼らなければ生きていけないこの情けなさ。我々消費者は安価に惑わされて中国の人権迫害に長年目をつむってきた。しかしここ最近日本からの中国野菜輸入はなんと40%も減ったという。これは政治家が出来ないことを消費者自らがボイコットという形でおこなったすばらしい例だろう。
韓国でも北朝鮮からの避難民のことなどもふまえて、決して中国が韓国の友人などではないことに気がつくべきだ。中国と一緒になって日本を責めているより、韓国と日本は協力しあって中共や北朝鮮の独裁政権と立ち向かうべきなのである。今年のオリンピックが全世界に中国の野蛮ぶりを見せる機会となるのであれば、なまじオリンピックも悪くないかもしれない。


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