昨日中国はブラジルの原油産業に70億ドル(44億ユーロ)の出資をしたそうだ。これによって中国による資源獲得作戦が再び世界中で不安な空気をかもし出している。
下記はウォールストリートジャーナル日本語版より

スペインの石油大手レプソルは1日、ブラジル事業の資産の40%を中国石油化工(シノペック)に71億ドル(約5920億円)で売却すると発表した。

 レプソルのこの日の発表文によると、この案件により、同社はブラジル沖合深海の巨大油田開発でのコストを賄うことが可能になる。中国石油化工の幹部らはこの日、コメントを求める取材に対し、連絡が取れていない。この日は中国の祝日に当たり、企業や政府機関のほとんどが休業している。
 今回の案件により、南米最大の外資によるエネルギー合弁事業の一つに中国企業が出資することになる。中国は国内の景気拡大に必要な原材料へのアクセスならびに権益を拡大しつつあり、同国は国際的なエネルギーセクターでの存在感を強めている。
 レプソルによる今回の案件は、中国石油化工がスイスに本拠を置くアダックス石油を2009年に72億ドルで買収した中国企業によるこれまでで最大の石油関連での買収案件を若干下回る規模。

ザ・インディペンデント紙は、中国はレプソル社の価値の二倍とされる値段で買収を決定したことからして、中国は資源獲得のためなら金に糸目は付けない事がはっきりしたと書いている。
ブラジルの資源買収は中国にとってこれが最初ではない。昨年2月にもシノペック社が国営のペトロブラスに100億ドルの融資をし向こう10年間に渡り一日あたり1万バレルの石油供給の保証を獲得している。
世界各国が今の不況を乗り切るのに用心深くなっているなか、中国だけが大枚はたいて世界中の資源を買いあさっている。
今年だけでも中国企業は何十億ドルという金をかけてカナダの石油砂やギニアの鉄鉱山、アンゴラやウガンダの油田など次々に買収している。
このような中国の動きは世界中で少なからぬ波紋を呼んでいる。中国のシノ化学社がカナダのポタシュ社を買収しようとしているという噂は、中国が世界の肥料市場を独占するのではないかと危惧されている。
また原油流出事故後、株がどっと下がっているBPなども中国に買い取られるのではないかと心配されている。
オーストラリアでは、チャイナアルコ社がリオティント社を買収しようとした時、上院議会から「オーストラリア資源はオーストラリアで保持しろ」とクレームがついたほど。中国の投資が国の国土安全保障に支障を来すのではないかと人々が感じ始めているからだ。
ザ・インディペンデント紙は、こうした懸念とは裏腹に、中国に世界制覇の野心はないと書いている。というより、中国は国内消費が激しくて、そんな余裕はないのだという。中国の経済成長は毎年10%の割で増長している。この勢いは多少弱まることが予測されているとはいえ、このような成長に必要な資源獲得は中国にとって大優先だ。
中国はすでに世界で第二の消費国。国内資源はすでに使い果たしている。このままだとBPサイズの会社を向こう12年間にわたって毎年二つ以上買い取らなければ需要に追いつかないと言う。
また、これによって世界資源の値段が上がるという心配と共に、中国によって世界が不況から抜け出せるという楽観的な見方もある。
ま、諸外国からの援助なしでは自立出来ないアフリカや南米で中国が資源確保のために、こうした第三諸国のインフラ建設に援助をするというのなら、それはそれで良いのではないかという気もする。
これまではアメリカが結構そういうことをして来ているが、中国が経済大国を目指すのであれば、それなりに世界の経済に貢献するというのも悪くない話だ。
中国が民主主義国家であるなら、これは歓迎すべき出来事かもしれない。
だが、中国は自国の国益が大優先であり、人権だの環境保全だのと言った事には全く興味がない。国益になりさえすれば、他国が独裁政権であろうとテロ国家であろうとおかまいなしに資金援助もすれば武器調達もする。
例えば内戦で荒れているスーダンとかダルフールとか、またアフリカ諸国に賄賂をばらまいて、国連において台湾批判をさせてみたりとか、かなり国際社会でも評判の悪い振る舞いをしている。
私が疑問に思う点は、独裁政権は、例えばベネズエラとかキューバとか、諸外国から投資を受けておきながら、企業が利益を得てくると、突然国営企業だからといって外国経営を国から閉め出す傾向がある。もし、中国が投資している国のひとつでもそのような行為に出た場合、中国はどうするのだろうか?
中国はそう簡単に泣き寝入りするとも思えないので、そうなった場合、中国は武力で投資を守ろうとするのだろうか?そうなれば、中国は投資国というより占領国家となるわけだが。
なんにしても、中国の積極的な資源買いあさりは日本やアメリカを含む諸外国にとって、非常に心配な行為である。


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