私が若い頃の日本では、女性でも男性でもある程度の年齢になったら結婚しなければならないという社会的なしきたりがあった。いくら独身生活が好きだと思っていても女性は25歳が近づくと回りが放っておかなかったし、男性もせいぜい30歳くらいまでには結婚していないと、会社でも出世に響くという時代だった。男性が何時までも独身だと、あちゃら系の人に見られる可能性もあった。
特に結婚したくないと思っていた若い男女にしてみれば、社会的圧力は非常にわずらわしく感じられたものだ。 また、当時の日本では未婚の母になるなど絶対に許されないという雰囲気があった。たとえ未亡人でも片親のみで育った子供が差別されるような時代でもあった。
こうしたことが良かったというわけではない。社会的制裁が必ずしも公平であるとか正義であるとかいうことでもない。ただ、社会におけるそうした制裁には、社会を守るそれなりの意味があったのだということを、私は最近ひしひしと感じている。
一足先に未婚の母のスティグマを捨て去ったアメリカで、未婚の母が多い社会における経済的な打撃を示す調査結果が発表された。
ザ・アメリカン エンタープライズ インスティトゥート アンド ザ・インステイトゥートフォーファミリースタディースのW・ブラッドフォード・ウィルコックスとロバート・リーマン(the American Enterprise Institute and the Institute for Family Studies, authored by W. Bradford Wilcox and Robert Lerman)によると、既婚男性は独身男性に比べ平均収入も多く、良く働くという。1980年から2000年にかけて男性の就職率が51%も減ったのは結婚率の低下が原因だとする。失業・無職率が一番高いのは何と言っても独身男性がダントツ。これは単に学歴や人種の問題ではないという。
著者らの結論は結婚の大事さを奨励し、結婚を罰するような生活保護制度の見直しをし、共同体の指導者らが若者に結婚の重大さを説くべきだというもの。
結婚こそが経済回復の鍵なのだ。
現在、同性婚などで、元来の伝統的な結婚が破壊されつつある。いつまでも独身でいることに対する社会的な制裁もなくなった。結婚率が減れば出産率も減る。子供の数が減れば就業者の数も減り、経済は低迷する。
出産は出産でも、婚外出産でうまれる子供のほとんどが貧困生活を強いられ、学歴も低く犯罪に走る確立が高い。未婚の母家庭では家族の大人が誰も働いていないというのは普通で、生活保護しか知らない子供がそのまま育って就職する可能性は低い。また結婚という手本を見ずに片親の入れ替わり立ち代りするパートナーしか知らないと、自分が将来を共にする伴侶を求める確立はさらに減る。
やっぱり男性は妻子が居てこそ「がんばって働こう!」という気持ちになるのだろう。ここで一夫一婦制の大事さが再確認される。
アメリカが世俗主義になったヨーロッパや日本よりも少子化が進まない唯一の理由はユダヤ・キリスト教が基盤となる宗教。これらの宗教が結婚と子作りの大事さを奨励しているから何とか再生出産率の2.1倍を保てているのだ。
今、アメリカ社会では同性婚がこの結婚の基盤を崩そうとしている。私は何度も言ってきた。同成婚はアメリカの結婚制度を破壊し、アメリカ社会を破壊すると。
今回の調査で結婚の破壊は経済の低迷へと続くことがわかり、さらに私は同性婚の悪を再認識するにいたった。