滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その2

ヨーロッパの世俗化、イスラムの過激化
どうして欧州では少子化が進むのか、そのヒントとしてスタインは2002年の世論調査をあげている。2002年、9月11日、あの悲劇の日から一周年の記念日に、あなたは将来について楽観的かというう質問に対して、61%のアメリカ市民が楽観的であると答えた。
それに対して、楽観的な将来を持っていると答えたヨーロッパ人は、カナダで43%、英国42%、フランス29%、ロシア23%、ドイツにおいてはなんとたったの15%。こんなに悲観的に将来を見ているのでは、そんな社会に子供を送り出したくないと考えるのも当たり前というものである。いったいこの悲観主義は何処から来るのであろうか?
その原因はヨーロッパの世俗主義にあるとスタインは言う。欧州の人間はアメリカが信心深いことを洗練されていない田舎者だと馬鹿にする。だが、アメリカ国内でも2000年の選挙でリベラル(青)と保守派(赤)と分かれた州のうち、赤い州の出産率は青い州に比べて圧倒的に多いのである。バイブルベルト(聖書地域)と呼ばれるこれらの地域はなんといっても信心深い人が多く集まっている。
欧州や日本では話題にもならない人工中絶の合法性や、欧州各地ですでに合法となっている同性愛結婚の是非が選挙の度に話題になるのも、こうした宗教心がアメリカの基盤となっているからだ。
この間もアメリカは国が新しいため守るべき伝統がないと言っているある右翼ブロガーの意見を紹介したが現実はその反対だ。古い歴史のあるヨーロッパこそが自らの伝統を捨て去りユダヤ・キリスト教の価値観や信念を見捨ててしまった。ヨーロッパから受け継いだその伝統を頑なに守り通している国を田舎者といって馬鹿にするヨーロッパのざまを見よ!国が古かろうが伝統があろうがそれを守ろうとしないのなら何の意味があるというのだ?
自らの宗教を足蹴にしてきたヨーロッパではイスラム教の信仰の深さやその強さを理解することができない。だからイスラム教の横暴は宗教心そのものに起因するのであり、世俗主義こそがイスラムに対抗できるのだと唱える人々がいる。2006年に十数人のインテリたちによって出版された対イスラムマニフェストの著者には元イスラム教徒で今は世俗主義のAyaan Hirsi Ali, Irsahd Manji, Salman Rushdieといった人たちが名を連ねている。
スタインはこれらの人々の勇気を讃えながらも、彼らは間違っていると断言する。そしてカナダのKathy Shaidleの言葉を借りてこう語る。

「世俗主義そのものが問題のひとつなのだ、解決方法ではない。世俗主義こそがヨーロッパの精神的道徳的真空状態をつくってしまい、そこへイスラム主義が突入してきたのだから。」

ヨーロッパのあちこちで、イスラム教の理不尽な要求にヨーロッパが迎合する度にイスラム教徒はヨーロッパ人の信念の無さをあざ笑っている。ヨーロッパのクリスチャンの価値観が弱いからこそ偉大なるイスラム教の要求に服従するのだと考える。もともとイスラム教徒は異教徒を汚れたもの卑しいものと考える傾向がある。欧州の政府が多様文化主義などという言い訳で彼らに迎合すればするほどイスラム教徒はこの教えを確信するのだ。これではヨーロッパに移住したイスラム教徒がヨーロッパ文化に溶け込もうなどとしないのは当たり前だろう。
Anjem Choudaryという39歳のイギリスイスラム教徒のリーダー格のイマームはイギリスはシャリア法を取り入れるべきだと主張している。BBCのインタビューでそれならすでにシャリア法を取り入れている国へ引っ越してはどうかと聞かれて、彼はこう答えた。

「イギリスがあなた方のものだと誰が決めたのです?…イギリスはアラーのものです。世界中がアラーのものなのです。」「私がジャングルへ行ったなら、私は動物のように生きません。私は崇高なる生き方を広めます。イスラムこそが崇高な生き方なのです。」

欧州人たちがこのようなイスラム教徒の野心を理解できず、イスラム教徒に迎合するのはその場しのぎの対策しか考えていないからだ。スーパーのお菓子の棚の前で「買って買って~!」と駄々をこねる子供に欲しいものをかってやればその場はおとなしくなるかもしれないが、長い目で見て決していい結果を生まない。いずれ子供が要求してくるものはお菓子どころではすまなくなる。
このようにヨーロッパ人が長期的な見方をして国家対策を立てることが出来ないのも、まさに世俗主義が原因なのである。ヨーロッパは自分達の今の生活がよければそれでいいという日和見主義。だから短い労働時間や長い休暇が将来自分らの国を破壊してしまう可能性など無頓着なのだ。今日イスラム教徒に迎合して煩い蠅を追い払ったつもりでも、それが次の世代にどんな悪影響を与えるかなど考えてもいない、、おっと子供がいないんだから関係ないか、、、
トーマス・カイル著のThe Gifts of the Jews(ユダヤの贈り物)という本のなかで、ユダヤ教が始めて過去現在未来は違うという概念を生み出したと書かれていた。それまで人々は世界は今あるままの姿でずっと存在していたのであり、これからもこのまま何の変化もなく永遠に続くのだと考えていた。だが旧約聖書は初めて「歴史」という継続した時間の概念を人々に紹介したのである。将来は今よりもよくなっているという希望を人々に初めて与えたのがユダヤ教だとカイルは言う。
我々の行動は将来の社会に影響を与える。未来は現在とは継続しながら変わって行くという概念があるからこそ我々は未来のために今は我慢して頑張ろうと言う気になれるのだ。将来への希望があるからこそ子供を生む。
また宗教は道徳観と切っても切り離せないものがある。私は昔、もし世の中の人々が警察に捕まることだけを恐れて悪いことをしなかったとしたら、今いる警察官の数ではとても治安を守りきれないと言われたことがる。我々が犯罪を犯さないのはそれが違法だからではなくて、それが道徳的に悪いことだと知っているからだ。それを教えてくれるのは誰なのか?それが神ではないだろうか?
だからヨーロッパで起きているようなイスラム教徒への迎合はアメリカでは起こりにくい。無論ここでも何度も紹介したように、アメリカにも世俗主義や多様文化主義のリベラルが大学などにはうようよいるので、全く無いとは言わない。だが、宗教心の強いアメリカではイスラム教の教えが我々のユダヤ・キリスト教の価値観よりも優れているなどという考えは拒絶される。
宗教こそが宗教の横暴に対抗できるのである。世俗主義に勝ち目はない。


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滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その1

この先数日間ネットアクセス不能になるため、カナダの政治評論家マーク・スタイン著のアメリカアローンを参考にヨーロッパにおける、少子化問題、イスラム教台頭、そして今後のヨーロッパの宗教と文化が世界に与える影響などについて考えて生きたいと思う。
まず、最初に断っておくが、私は著者のスタインの意見に全面的に賛成しているわけではない。スタインは以前に紹介したロバート・スペンサー氏と同じで非常に悲観的な世界観をもっている。スペンサーのイスラム論にも参考になる部分は多々あったがイスラム教に未来はないというその結論には同意できなかったのように、スタインの警告には耳を傾ける価値は多いにあると思うが、ヨーロッパは決してスタインが言うほど絶望的な状態にはないとカカシは考える。
スタインは地球最後の日を唱える最後論者と自分は違うと主張している。たしかに一昔前までは氷河期が来て人口増加のため資源を使い果たして地球は滅びると言う最後論者が多かったのに、最近は地球温暖化と少子化問題で地球は滅びるという人々にとってかわった。しかしどういうわけか、地球最後の日を唱える人々は地球が冷めようと熱しようと人口が増えようと減ろうとその解決策はいつも同じで、個々の国々が目指す資本主義の産業発展を諦め、世界がひとつに団結して自然を守ろうと主張する。無論そのためには世界政府なる大きな政府に巨大な権限を与え、人々は個々の幸せを犠牲にして世界のために貢献することが要求される。なにしろ悪の根源は文明発展と人類にあるのだから。京都規定などがその典型といえる。
その点政府の権限をなるべく最小限にして資本主義を拡大すべきだと主張するスタインは最後論者としては異質だと言える。だが、その絶望的な世界観はやはり最後論者を思わせる。
単純に人口分布を考える
少子化はヨーロッパだけでなくすべての文明国の間で深刻な問題だ。日本やアメリカも全く他人事ではない。しかしヨーロッパの少子化問題はその膨大な福祉制度を考えると日本のそれよりもずっと深刻である。
ではここで先ず、欧米並びに日本の出生率を見てみよう。社会が人口増加も減少もせずに同じ率を維持していくためには、一夫婦あたり2.1人の子供を生む必要がある。先進国でこの数をぎりぎり満たしているのは僅かにアメリカの2.11人があるだけで、後はニュージーランドとアイルランドの1.9人、アルベニア、1.8人、オーストラリアの1.7人と続く。 しかしカナダになってくると1.5人と極端に減り、ドイツとオーストリアは共に1.3人。ロシアとイタリアは1.2人、スペインが最低でなんと1.1人。 ヨーロッパの平均出生率はなんと1.3人! (出生率が最低だった2005年現在の日本は1.25人だから、かなり低いことがわかる。)
もしこのままの状態が続けば、スペインなど次の世代で人口が半減してしまうことになるのだ。ロシア、イタリアそして日本もほぼ同じような状態にある。
しかし私など都市部に住み毎日渋滞した高速を走って通勤してることもあるし、故郷も東京のベッドタウンといわれる郊外なので、あの満員電車を見ていると人口が減ることがそれほど悪いことには思えない。だが都市部に労働者が集中してしまうということ事態、それだけ地方では産業が成り立たないことを意味する。日本にしろアメリカにしろちょっと地方へ足を運べばその過疎化は明白だ。
では何故人口減少は社会にとってよくないことなのか。自然の世界で考えれば種族の存続こそがその種族の一番大切な目的であり、繁殖率の高い種族こそが成功種族といえるのであり、世代ごとに半減してしまう種族は成功しているとは言いがたい。文明社会は古代大木だのパンダだの珍種の海老などの絶滅を心配している場合ではない。絶滅の一番の危機にあるのは文明人なのだ、とスタインは言う。
少子化が進む欧米をよそ目に健康な出生率を保ちその種族繁栄を充分に謳歌している国々は、無論存在する。それらの国々はどこかと言うと、ナイジャー,7.46人、マリ, 7.42人、ソマリア, 6.76人、アフガニスタン, 6.69人、そしてイエメンの6.58人。これらの国々に共通するものが何か読者諸君にはもうお分かりだろう。その通り、イで始まってスラムで終わる、あの宗教イスラムである!
ここで思い出してもらいたいのがアルベニアの出生率の1.8人。イスラム諸国に比べて比較的低い数値ではあるが、ヨーロッパのなかでは一番高い。その理由はなんだかお分かりになるだろうか?その通り、アルベニアはヨーロッパ唯一のイスラム教が多数を占める国なのである。実際イスラム教移民の多いフランスなどは、イスラム移民の出生率を除けばもっと数値が低くなるという。
単純に出生率だけをみても、欧米諸国はイスラム教諸国に押されていることがわかる。しかもこれらのイスラム教徒らは自分らの祖国だけでなくヨーロッパ全土にどんどん移住しているという事実がある。
これまでヨーロッパでは「ゆりかごから墓場」までと言われた社会福祉を進めてきた。これらの国々ではすべての市民が短い労働時間で長期休暇を取ることができ、医療費も学費も無料及びただ同然。年金は保証されてるし失業保険もばっちり。一見こんなすばらしいシステムはない。だが、「ただほど怖いものはない」と言うように、これらのサービスは決してただではないのだ。誰かが払っているのである。
そしてその誰かとはまさに消え行く若い世代であり、彼らが払う高い税金によってこれらは賄われているのだ。しかし、このシステムの最大の欠点は次の世代の人口が増え続けて行くことを前提としている点だ。前世代の引退者への年金は今世代の労働者の税金が補っているのである。ということは次世代の人口が半減した場合、労働者一人当たりにかかる負担は二倍になってしまうわけだ。こんなことを永久に続けられないことは子供でもわかる。
そこでヨーロッパは第三諸国から大量の安い労働力を輸入して問題を解決しようとした。それが現在ヨーロッパを内側から揺るがす原因となっていることは言うまでもない。たかが数パーセントの少数派イスラム教にこれだけ脅かされているヨーロッパが、出生率の高いイスラム教徒に多数派の座をうばわれたならどういうことになるのか、想像するだけでも恐ろしい。

「我々こそがあなた方を変えるのだ。」ノルウェーのイマーム、ムラー・クレカーは2006年、オスロの新聞Dagbladetに書いた。「ヨーロッパでの発展をみてごらんなさい。そこではイスラム教徒が蚊のように増えています。西洋の女たちは平均1.4人しか生んでいないのに対して、同じ国々に住むイスラムの女達は3.5人も生んでいるのです。」そうして彼は次の言葉で締めくくった。「我々の思想があなた方のものより強力であるということが証明されるでしょう。」

果たしてヨーロッパは外側からも内側からもイスラム教に侵略されてしまうのだろうか? そしてヨーロッパのイスラム化が起きた後の世界はいったいどうなってしまうのだろうか?
次回はヨーロッパの宗教排斥、世俗化がもたらした悲劇について語りたい。


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21世紀の共産主義、多様文化主義は自由社会を滅ぼす

カカシの苺畑よりをご愛読いただいている読者の皆様はもういつものことなので慣れていらっしゃると思うが、カカシはまたまた来週からネットアクセス不能の状態となる。リアルタイムでのエントリー更新は不可能な時はテーマを決めての特集をしているが、今回は今読んでいるマーク・スタイン著のアメリカアローン(アメリカ一人で)について特集するつもりだ。スタインの主題は欧州の少子化がイスラム文化侵略を許容しているといものだ。
しかしそれに先駆けて、同じテーマの記事を見つけたので今日はそれを紹介しておきたいと思う。ここでは少子化ではなく、多様文化主義がヨーロッパへのイスラム教侵略を許しているというもの。
私は長いことマルチカルチャーリズム(Multiculturalism)、いわゆる多様文化主義には疑いの目を向けてきた。多様文化主義とは何かといえば、どのような文化も均等に価値のあるものであり、どれが善くてどれが悪いということはない、それぞれの違いを認めた上でお互いに尊重し合おうというものだ。
一方でお互いの違いを尊重しあおうと言いながら、その違いを指摘すれば人種差別者とレッテルを貼られるのも多様文化主義の矛盾である。この矛盾を乗り越えて多様文化主義を完全に取り入れることができるのは全体主義でしかあり得ないと語るのがブルッセルジャーナル(Brussel Journal)のFjordman である。
多様文化主義では文化が非常に軽視されている。文化などファッションのようなもの。ただのアクセサリー。時々変えてみるのも悪くない。しかし、この文化への軽視こそが共産主義の本質であったことを忘れるべきではないとFjordmanは警告する。

文化が一般に重要ではないという考えはまさにマルクス的見解の世界であることを忘れてはならない。この、人は経済において一様であり、労働者と消費者の合わさった存在以上の何者でもないという考えは左翼だけでなく、政治的な右翼の間ですら受け入れられている。マルクス主義者は文化的考えが全く意味がないとは言っていないが、政治機構や経済についで比較的重要性の低いものと考えている。

多様文化主義者たちは宗教の価値を大幅に過小評価しているため、たとえイスラム教が世界を制覇するようになったとしても、キリスト教と名前が変わり協会の代わりに聖廟へいくだけのことでたいした差はないと考えている。これこそマルクス主義の物欲主義だとFjordmanは言う。

暗黙の了解となっている前提は独特の文化の時代は終わったということだ。それは世界中の人々がじょじょにお互いと混ざり合い、民族や宗教、人種間の緊張も消えてなくなる。なぜなら人類はひとつであり平等だからだ。これこそ共産主義の遺伝と文化である。個々の国の憲法や国境を守ることは「差別」であり、新しい理想郷の障害物となるだけだ。そしてこの妨害は無論西側諸侯を筆頭に自然と破壊される。そしてそれに成り代わり国際法や人権条例といった、良心的とされるエリートが取り決めした、彼らが我々の生活を統括する世界へと移り変わる、という思想だ。

まるでジョン・レノンのイマジンそのものの世界だなあ。

イマジン

想像してごらん 天国なんてないんだと・・・
その気になれば簡単なことさ
僕らの足下に地獄はなく
頭上にはただ空があるだけ
想像してごらん すべての人々が
今日のために生きていると・・・
想像してごらん 国境なんてないんだと・・・
そんなに難しいことじゃない
殺したり死んだりする理由もなく
宗教さえもない
想像してごらん すべての人々が
平和な暮らしを送っていると・・・
想像してごらん 所有するものなんか何もないと・・・
果たしてきみにできるかな
欲張りや飢えの必要もなく
人は皆兄弟なのさ
想像してごらん すべての人々が
世界を分かち合っていると・・・
僕を空想家だと思うかも知れない
だけど 僕ひとりじゃないはずさ
いつの日か きみも僕らに加われば
この世界はひとつに結ばれるんだ

おっとろし~!1960年代のカウンターカルチャー(反文化)といわれたリベラルの動きの真っ只中にいたジョン・レノンがこういう歌を書いたのは当たり前と言えば当たり前だ。小野ヨー子の影響もあるしね。ま、そういう時代だったのだ。しかしこの反文化的思想が今日の社会に与えた悪影響は計り知れない。たった一世代がこれだけ欧米社会を変えてしまうと誰が予想したであろうか?
しかし多様文化主義者がどれだけすべての文化が同じだと唱えようとも、個々の文化には大きな差があることは事実であり、人々の好き嫌いまで多様文化主義の理想ではコントロールできない。にもかかわらず多様文化主義者達は異質文化を受け入れられない個人を処罰してまでこの思想を強制的に受け入れさせようとしている。
Fjordmanは多様文化主義が個人の自由意志を迫害する全体主義であることの証明として、イギリスの少女コーディ・スコットちゃんが英語の話せない東南アジアの学生と同席することを拒んだため、公共人種差別禁止法第5条に触れるとして逮捕された例や、ブライアン・コークさんという49歳のイギリス人男性が「イギリス人であることを誇りに思う」などとイスラム教徒に対して「故郷(くに)へ帰れ」と聖廟の前で怒鳴ったことから、人種差別的発言をしたとして6ヶ月の禁固刑となった例をあげている。しかもその一方でイギリス内のある地方都市ではイスラム法を主張するイスラム男性が数人の妻を娶る権利を与えられたというのだから驚く。
欧米の左翼思想はソ連や東圏の共産主義の崩壊と共に滅びなかった。欧米の左翼達は共産主義が実現できなかった全体主義を今度は多様文化主義という名のもとでイスラム系移民を使って実現させようというのである。共産革命は充分に暴力を駆使することが出来ず失敗したので、今度は暴力の有り余るイスラム教移民のジハードを利用して自由社会の崩壊を企んでいるのだ。
そしてまた、もともと暴力的な性質のイスラム過激派は欧米諸国左翼をさげすみながらもその多様文化主義を多いに利用して欧米社会を乗っ取ろうとしている。残念なことに両者の思惑は今のところ非常な成果を挙げていると認めざる終えない。
欧米諸国は自らの少子化による労働者不足を第三世界からの移民で補おうとした。しかも宗教も文化も極端に違うこれらの移民を多様文化主義の名の下に寛容に受け入れ、その違いを指摘する人々を「人種差別者」「排他主義者」と罵倒して無視してきた。左翼連中は多様文化主義を隠れ蓑として言論の自由、宗教の自由、そして交友の自由まで奪うことに成功しつつあるのだ。多様文化主義の国境のないヨーロッパ連盟とはまさに第二のソビエト連邦への第一歩といえる。

思想は重要だ。個性は重要だ。文化は重要だ。真実は重要であり真実は存在する。我々はかつてそのことを知っていた。我々が再びその事実を知るべき時がきたのだ。文化が無意味だという間違った考えは拒絶すべきだ。我々の伝統を未来の世代に伝えたいと思うことは人種差別ではない。また社会実験のモルモットのように扱われることに抵抗することは悪ではない。我々は国境を越えた多様文化主義そして採取的な大量移民の悪の芽を21世紀の共産主義として暴露し摘み取るべきである。

私は多様文化主義が共産主義かどうかという議論にはあまり興味がない。だが、多様文化主義の「寛容」という言葉は実は不寛容の裏返しである。異文化を寛容に受け入れなければならないという主張が異文化の悪い面を指摘する自由を奪っている。異文化を持つ人々を受け入れなければならないという主張が自由社会では基本となる交友の自由を迫害している。これらの問題は共産主義と呼ぼうと多様文化主義と呼ぼうと同じことだ。我々の自由はどのような名目の上にも奪われてはならないのである。


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サルコージ新仏大統領の親米演説に沸くフランス観衆

読者の皆さん昨日はニュースの添付だけで失礼しました。実は長期出張先から一時的な移動があってごたごたしてブログエントリーをしている余裕がなかったのです。
さて、カカシが社会主義のロワイヤル女史ではなく保守派のサルコージ氏を応援していた理由は三つある。ひとつは彼のフランス経済立て直しの政策がフランスの政治家としては資本的だからだ。二つ目はシラク大統領のように悪化する治安を無視するのではなく、法と秩序を取り戻すために厳しく取り締まると公約していることだ。そして一番大切な理由は氏がフランスの政治家としては類稀なる親米だということだ。
昨日行われたサルコージ氏の勝利宣言でも氏は我々の期待を裏切らないすばらしい演説をしてくれたようだ。

私はアメリカの友人らに訴えたい、彼らは私たちの友情を頼りにできると。この友情は過去の歴史的悲劇を共に対面したことでより強められました。 私は彼らにいいたい、フランスはあなた方が助けの要るときには常にそばにいますと。

氏のスピーチもさることながら、観衆の反応にはもっと意義がある。それというのも氏が「私たちの友情を頼りにしてください。」と言ったとたんに観衆は歓声をあげたというのである。私はフランス人は往々にしてアメリカ嫌いだと思っていたので、この話をきいて非常に感激してしまった。(ビデオはこちら


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フランス大統領選挙: サルコージ勝利!

アップデートあり、後部参照のこと

<仏大統領選>サルコジ氏の当選確実 ロワイヤル氏破り

5月7日2時42分配信 毎日新聞
 【パリ福井聡】フランスのシラク大統領(74)の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票が6日実施され、即日開票の結果、仏国営テレビ・フランス2によると、右派与党・国民運動連合のサルコジ前内相(52)が左派野党・社会党のロワイヤル元家庭担当相(53)を破って当選を確実にした。
 仏国営テレビ・フランス2が6日午後8時(日本時間7日午前3時)の投票終了直後に報じた開票推計によると、サルコジ氏は得票率53%でロワイヤル氏の47%を上回った。また仏調査機関CSAによると国民の関心の高さを反映して投票率は85.5%に達した。
 経済を中心にグローバル化が進む中、フランスの雇用・国際競争力・アイデンティティーをどう確保するかが選挙戦の争点だった。市場・競争原理に基づく英米型の自由主義経済を志向するサルコジ氏は公務員削減などによる「小さな政府」の実現を呼びかけ、フランス初の女性大統領を目指したロワイヤル氏は「母親」イメージを前面に打ち出し、社会・福祉政策の充実による「弱者への思いやり」を訴えた。
 両氏とも決選投票に向け、第1回投票(4月22日)で3位となり姿を消した中道・フランス民主連合のバイル議長(55)の支持層である中道票の取り込みを図った。サルコジ氏が支持率調査で優位を保つ中、ロワイヤル氏は最終盤、テレビ討論でサルコジ氏を打ち負かしての「逆転勝利」を狙ったが、果たせなかった。
 サルコジ氏は55年1月28日パリ生まれのハンガリー系移民2世。76年、シラク大統領が旗揚げした右派政党「共和国連合」に入党。88年に国民議会(下院)議員に初当選し、93年に38歳の若さで予算相として初入閣した。
 95年の大統領選ではシラク氏の政敵バラデュール元首相を支持。02年以降、内相、財務相を歴任し、04年11月、国民運動連合党首に選出。05年6月〜07年3月に内相。治安優先姿勢で知られ、05年秋の暴動では移民系若者を「ごろつき」呼ばわりした。
 欧州政治家きっての親日家で大相撲ファンのシラク氏へのライバル意識から、サルコジ氏は04年初めの中国訪問の際、「相撲は知的スポーツではない」と語り、物議を醸したことがある。

まずはご報告まで。感想は後で書きます。
アップデート: ごめんなさい、まだ感想書く余裕ありません。しかしフランスではすでに暴動の兆し。

<仏大統領選>サルコジ氏当選…左派の一部が警官隊と衝突

5月7日11時20分配信 毎日新聞
 【パリ海保真人】フランスの新大統領に右派サルコジ氏が選ばれた6日夜、パリの街では支持者が全身で喜びを表し、勝利を祝った。一方、敗れた左派ロワイヤル氏の支持者の一部は「反サルコジ」を叫び、警官隊と衝突し、右派と左派の対立・亀裂の修復に禍根を残した。
 シャンゼリゼ通りに近いサルコジ氏の選対本部前には数千人の支持者が詰めかけ、午後8時、大型スクリーンで「勝利」が報じられると会場は熱狂の渦に包まれた。フランス国旗を掲げた学生の運動員のコトブさん(21)は「新しい時代の始まりだ」と絶叫した。支持者はシャンパンを開け、国歌を歌い、噴水に飛び込み、車はクラクションを鳴らして勝利に酔った。
 支持者の多くはサルコジ氏の厳しい移民・治安対策、経済活性化策に共鳴したと語る。会社幹部のビオルグンデールさん(43)は「フランスはこれ以上の外国人移民を受け入れられない。まずは職に困るフランス国民を助けなければならない」と話した。支持者からは、サルコジ氏の掲げる減税や週35時間労働制の撤廃に賛同する声が多く聞かれ、「現実的でないロワイヤル氏が大嫌い。だからサルコジ氏に入れたの」と話す女子大生も。
 一方、左派支持者が集まったバスティーユ広場では敗北に怒った若者が警官隊と衝突。一部が石畳の石をはがして警官に投げつけ、警官側は群衆に催涙弾を発射し放水、騒然となった。学生のデュッフさん(22)は「(警官隊の)この横暴はサルコジが指揮したに違いない。彼は移民をはじめ貧しい者をいじめ、金持ちだけを助ける」と語った。「サルコジはファシストだ」との叫び声も響いた。


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フランス、サルコージが勝ったら暴動が起きるとロワヤル候補が警告!

本日フランスでは大統領選挙が行われているが、今日の選挙を前にして押され気味のロヤル候補がサルコージが勝ったらフランスでは暴動が起きるだろうと脅迫まがいの発言をした。もちろん彼女自身が暴動を先導するといってるわけではないが、それでなくても暴動好きのイスラム教ギャングたちに暴動をおこせと煽っていることは確かである。

金曜日、右翼のニコラス・サルコージが日曜日の大統領選挙に勝ったらフランスは暴力と残虐の憂き目に会うだろう社会主義の競争相手であるセゴリーヌ・ロヤルは語った。

公式選挙運動最後の日の世論調査ではサルコージがロヤルよりも確実なリードを見せており、ロワヤルは元内政省大臣は嘘をついてフランスを分裂させていると責めた。
「ニコラス・サルコージを選ぶことは危険な選択です。」ロワイヤルはRTLラジオで語った。
「私には彼の立候補によってフランス国に放たれる暴力と残虐性について警告する責任があります。」と彼女語った。
本当に暴動がおこるのかと問いただされるとロワヤルは2005年にフランス郊外にひろまった暴動をさして「そう思います」と答えた。

ロワイヤルの呼びかけに応えるようにフランスの多種の若者たちがサルコージ勝利の際は暴れてやると宣言している。
しかし私が思うにこういう脅しはかえって逆効果だろう。サルコージはフランスの政治家として初めてイスラム教暴徒を「クズ」とか「ちんぴら」と評して辞さなかった人物だ。彼の公約はフランスの法と秩序を守るというものであり、サルコージが勝ったら暴れてやると「クズ」や「ちんぴら」連中が騒いだら、それこそフランス国民に今こそフランスにはサルコージが必要だと再認識させるようなものだ。
実は先のメキシコの大統領選挙でも全く同じことがおきた。保守派の候補フェリペ・カルデローンが勝ったらメキシコで暴動が起きるとおどした社会主義の候補アンドレ・マニュエル・オブラドアは大敗してしまった。その後も選挙は違法だと言い張ってデモ行進を国民に呼びかけたが効果なく尻つぼみした。
フランスでも同じような結果がおきるかもしれない。そしてもしフランスの「若者たち」が抗議の暴動を起こしたら、大統領としてサルコージは断固たる取り締まりをするだろう。2005年のシラク大統領のようなぶざまな真似の二の舞いはすまい。なにしろ法と秩序が売り物のサルコージ、暴動くらい鎮圧できなければ意味がない。
なんにしても2〜3日中にはその結果がでる。


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ロヤル対サルコージ、フランス大統領候補討論会

本日フランス大統領候補の上位二位になった社会主義のロヤル女史(Ségolène Royal)と保守派のサルコージ氏(Nicolas Sarkozy)との討論会があった。
アメリカの選挙も汚いと思ったが、フランスのそれに比べたらきれいなもんだ。私がよく読んでいるフランスのブログle’Extreme-Centreで紹介しているミッシェル・ガーフィンケル(Michel Gurfinkiel)の記事では、まず二人とも外交よりも国内の問題に焦点を当てたいようだ。二人とも外交面でかなり批判を浴びていとしているが、、

ロヤル女史は外交の経験がないと批判されている。そしてサルコージ氏はハンガリー移民の息子でバルカン人の孫であることから「外国人」と攻撃され、アメリカとイスラエルの工作員だと攻められている。インターネットのあるサイトでは地獄の三角形といってワシントン=テルアビブ=サルコージと称し、サルコージの顔の真ん中にダビデの星を描いている。

アメリカでもブッシュをヒットラーと例える過激派がいるにはいるが、これがフランスでは普通だというのだから驚く。ま、フランスではかなり反ユダヤの人種差別意識が強いので驚くこともないのかもしれないが、それにしてもひどものだ。 
さてそれでは肝心の討論会からいくつか面白いやり取りを抜粋してみよう。International Herald の記事参照。
二時間に渡って行われた討論会ではフランスの国内の問題である、高い失業率、犯罪、若者の希望喪失、健康保険、年金の不足などについて激しい論争が交わされた。なにしろシラクのじいさんが長いこと大統領をやっていたから、今回の討論はなんと12年ぶり。支持率では多少遅れ気味のロヤル女史はこの日曜日の選挙を前に、ここでノックアウトパンチを見せたいところ。
最初の重要な質問は双方の候補がどういうスタイルで大統領の仕事に挑むかというものだったが、討論はすぐにフランスの失業率と犯罪率の高さに関する激しい討論へと進んだ。まずロヤル候補は現在内政省の大臣としてのサルコージ候補の過去5年間に渡る仕事振りについて、内政省は犯罪を減らすことも出来ず、福祉や病院警察に充分に予算をあてがわなかったと批判した。

「あなたは5年間何をやってたんですか? この5年間すべての力を所持していたのですよ。これは信頼度の問題です。」とロヤルはサルコージが今後の組織と経済の改革について概要を述べた後突っ込んだ。

「信頼度とおっしゃいますか?ロヤル夫人。」とサルコージは問い返した。
司会者がペリーでかわすなか二人のボレーに閃光が走った。討論の途中で障害者の教育についてロヤルはサルコージを冷血漢扱いした。サルコージはロヤルに落ち着くように言うと、「私は落ち着きません!、落ち着きません!」とロヤルは三回繰り返して怒鳴った。サルコージはすかさず「共和国の大統領となるには落ち着かなければなりません。」と答えた。(Touche!)

大統領候補がヒステリーを起こした伯母さんのように写ってはよくないだろう。ここはロヤル、一本取られたな。

…大統領とは「常に約束を守り、特定の問題について本当に取り組む人を言います。…私はフランスに頻繁に話かけるつもりです。」これは明らかに現大統領シラク氏へのジャブである。シラク大統領は12年間にわたり、危機の際に沈黙を守ることが多かった。「私はタブーの背後に隠れるようなことはしません。」とサルコージ。

さて、現役の内政省大臣としてサルコージは失業率や犯罪率について何もしてこなかったというロヤルの批判に対して、ロヤルの所属する社会党が政府を握っていたときはもっとひどかった、自分らの代になってかなり改善されたとサルコージは反撃。
サルコージの言うとおりフランスの経済困窮は何も5年前に始まったわけではない。長年にわたる社会主義のせいで失業保険だの、生活保護だの、高い年金だのでたまった借金が返せない状態になっている。いくら税金を上げてみても少子化の進むフランスでは産業率も低い。税金が高くなりすぎて若い労働者は外国へ移住してしまうし、失業手当が高いから若者の就業意欲も落ちる。フランスは基礎からのやり直しが必要なのだ。にも拘わらずロヤルは福祉を減らす気はないと断言している。

「私は週35時間の就業を好みます。」とサルコージは主張。しかし、それ以上働きたいひとは働く自由があるべきだとする。特に低所得の人々は。「お金がないのに休む時間が余計にあるからってなんになるでしょう?…もっと働きたいと言う人たちに稼がせてあげるべきです。」

今夜激しく交わされた論議のひとつで、サルコージはロヤルは信頼できる経済計画がまったくないと攻めた。
「借金についてですが」氏はいった。「どうやって減らすのかという話をまったくしていません。それはあなたの権利ですが、経済成長というからにはそれなりに成長を吹き返す必要があります。おっしゃるとおり経済成長は必要です。フランスの問題は経済成長率が他の民主主義国家よりも1%低いことです。なぜでしょうか?その理由は単純です。ロヤル夫人。我々は他の国の人々ほど働いてないからです。」
「驚かれるかもしれませんが」氏は、ヨーロッパの10カ国のうち週35時間の就業時間をフルタイムとしている国はないと語った。「公務員を増やしたいですか?」氏は付け加えた。「それはいいですね。でもどうやって払うんですか?」ロヤルはつき返した。「私の言葉を歪曲しないでください。私は公務員の数を保持するといったのです。増やすとは言ってません。私はもっと能率的な人事異動をするつもりです。」

インターナショナルヘラルドの書き方から言ってかなりロヤル候補を押しているように読めるので、そのヘラルドがここまで書くとなると、この討論会はどうやらサルコージに軍配が上がったようである。それにしても福祉を減らすという話が出るたびに労働組合がストを起こして町中が麻痺してしまったような国で、サルコージのようにあからさまに福祉を減らすと言っている候補者が人気を得ているということは、フランス人もやっと自分達の非現実的な社会主義の限界に気がつき始めたのだろうか?
今フランスでは一人の引退者を二人以下の就業者が背負っている状態だと言う。 このままいけば一人当たり一人が背負う日も近い。そんな社会には生きられないとフランスは目をさましつつあるのかもしれない。


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中国人暴動の背景にあるイタリアの移民問題

どこに国でも移民を受け入れるということは難しい問題だ。片方では言葉も文化も違う外国人を受け入れれば地元社会との間に摩擦がおこり犯罪などの悪影響が起こる可能性がある。しかしもう一方では日本も含め少子化の進む先進国では老齢化する国民の生活保障のためにも若い労働者を外国から受け入れることが必要不可欠になっている。
特に福祉社会のヨーロッパでは膨大に膨らんだ年功者の生活保障は自国民の労働者だけではとても補えない。この間中国人商人による暴動が起きたイタリアでも最近はかなり移民が増えているようである。
あたりまえのことだが、イタリアにも日本人のブロガーが結構いらっしゃるようで、そのなかのひとつイタリア言の葉さんがこのイタリアの移民についてちょっと背景を書いてくれているので引用したい。

去年の夏パドバ市長は、売春やドラッグの売買をするアフリカからの違法滞在者が集中して住み、移民グループ同士の対立(ナイジェリア系とモロッコ系だったと思う)で発砲沙汰が起きたりと、10年来大きな問題だった「 Via Anelli地区」の解決策として、非常に思い切った決断をしました。

違法滞在者が住むアパート郡とその他の一般市民のアパート郡の間に行き来ができないよう巨大な壁を建設したのです。これがパドバの「壁」として大きな議論を呼び、賛成・反対で非常に活発な議論が交わされました。

移民で成り立っているアメリカでは移民地区を隔離する壁を建設するなどということは絶対に考えられない。こんなことを提案する市長がいたらすぐさま弾劾選挙がおきてしまう。
外国へ移住するということはそう簡単なことではない。言葉も文化もよく理解できない外国人は最初はあまり技術の必要ない肉体労働につくより仕方ない。特にアフリカ系の移民は自国でもあまり教養がないので外国で出来ることは限られているだろう。また先に移民した親戚や知り合いを頼って違法にやってくる犯罪者などの存在も無視できない問題だ。
しかしアメリカでもそうなのだが、東洋からの移民は持ち前の勤勉さから比較的短い期間でホストカントリーで結構成功してしまう。 東洋人移民の多くがもともと教養が高い。それで一代目でもコンビニの店員から店長へ、レストランのウエイトレスから経営者へ、農家の労働者から農園主へと出世し、二代目からはきちんとホストカントリーの大学を出て弁護士や医者、ビジネスマンになってしまうという例が少なくない。
イタリアの場合でも中国人移民はアフリカ系移民とちがって犯罪などを犯すような社会問題をおこしているというよりも、持ち前の勤勉さと商売上手が災いして地元のビジネスとの間で亀裂を起こしているようなのだ。

ミラノの中国人問題にもどりますが、Via Sarpi地区に住む合法的な中国系住民は400世帯、そのほとんどが自営業で一国一城の主だそうです。

問題は家族を呼び寄せたり、親戚を頼ってここ数年ミラノに移り住む中国人の数がイタリア人に脅威を感じさせるほど増えたこと。中でもVia Sarpi 地区はそれまであった商店やピッツェリアが軒並み中国商品を売る店、中華レストランに変わっているそうです。
経済的にもイタリア人に脅威を感じさせる存在になったわけです。おまけに食品と服飾や靴製造というイタリアの産業と共通の土俵で勝負に出たわけですから、どちらにしても軋轢は避けられなかったと思います。

はっきり言ってミラノに移住してきた中国人の数などミラノ地元民が脅威を覚えるような数ではない。市民の約半分が自分か親の世代には移民だったロサンゼルスなどに比べたらどうということのない数なのだ。しかも私に言わせたら中国人はミラノで生活保護を受けているとか犯罪を犯しているとかしてミラノの経済に負担をかけているどころか、ビジネスの経営者として地元の経済に多いに貢献しているわけで、地元からは感謝されこそすれ邪魔者扱いされるべきではないと思う。地元のビジネスは中国人との競争に勝てるように頑張ればいいだけの話だ。
とはいうものの、移民としての中国人も地元市民への遠慮というものが必要だ。なにしろ相手は自分達を受け入れてくれたのだからそれなりに敬意を評する必要がある。 いくら自分達の店だからといって中国語だけの看板を立て、店には地元の言葉を全く話せない従業員だけを雇い、地元消費者など相手にしないという態度をあからさまにしては地元から反感を買うのは当たり前である。
私自身が移民であるから言うのだが、言ってみれば私は客人なのであり、その私を家族の一員として受け入れてくれたホストの好意を無駄にするようなことがあってはならない。恩を仇で返すようなことがあってはならない。出来るだけホストに迷惑がかからないよう早くその家のしきたりを学び、その家のために価値ある家族の一員となるのが客たるものの責任だろう。
それをしないで自分達だけで孤立してしまうと今回のようなことになってしまうのである。


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中国人移民がイタリアのミラノで暴動

最近ヨーロッパで暴動があったというニュースを聞くとイスラム系移民による暴動がすぐ頭に浮かぶのだが、今回イタリアのミラノで起きた暴動事件はなんと中華街での中国人移民によるものである。(Hat tip Occidentalism)
ことの起こりは商品を違法に自家用車で運搬していた中国人女性が摘発され罰金を課されたことがきっかけだという。
100人以上の中国人商店街の商人たちが中華人民共和国の旗を翻して人種差別を批判して暴れはじめた。その結果10人の警察官が負傷しほぼ同数の中国人もけがをした。
日が暮れるまで続いた暴動では車は倒されるは警察がバトンを振り回すは罰金を課された女性は逮捕されるはで大変だったようだ。
イタリアでは現在11万4千人の中国人がすんでいるといわれるが、違法移民の数もかなりあるため実際にはその倍以上だとされている。ミラノだけでも中国人の人口は過去10年で1万2千にふくれあがっているという。ローマ、プラト、タスカニーといった大都市でも中国人労働者の数はかなり増えているようだ。
特にローマとミラノでは中国人経営のビジネスが町の一画を完全に仕切っており、中国産繊維類の運搬で付近の道がかなり混雑していたことから普段から地元警察と中国人商人との間でかなりの摩擦が起きていたようだ。
オクシデンタリズムのサイトで数枚暴動の写真が張られているので見る価値あり。
はっきり言って移民として受け入れてくれた国で祖国の旗を翻して暴動するなんてのはどう考えてもいいことだとは思えない。そんなにイタリアのやり方が気に入らないならイタリアで商売なんかするなといわれても文句いえないだろう。
それにしてもたかが1万2千くらいの移民に手こずるとは、ミラノも情けないね。


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『法と秩序』か社会福祉か、揺れるフランス大統領選挙

フランスも長年に渡るジャック・シャラク大統領の時代がついに終わり、新しい大統領選挙がいよいよ大詰めである

サルコジ氏首位で最終盤へ=第1回投票まで1週間−仏大統領選

 【パリ14日時事】22日のフランス大統領選第1回投票まであと1週間。ニコラ・サルコジ国民運動連合(UMP)総裁が支持率トップを維持しているが、同総裁の問題発言が報じられるなど、選挙戦の行方にはなお不透明な要素もある。
 主要6機関による世論調査の支持率は、サルコジ氏が27−29.5%、社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相22−25%、仏民主連合(UDF)のフランソワ・バイル議長18−20%、国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首13−15%。1−4位の座は最終盤にきて固まりつつある。
 こうした中、サルコジ氏が哲学誌に掲載された対談で、小児性愛や若者の自殺志向について「先天的なもの」と発言。これは「人の運命が最初から決まっていると言っているようなもの。非常に重大な発言だ」(バイル氏)などと対立候補から批判されたほか、有識者や聖職者からも相次いで厳しい指摘を受けた。

 
選挙を目前にして保守派とリベラルの間ではフランスの遊園地で起きた警察官殺人事件を巡ってフランスをまっぷたつに割っている深刻な問題が浮き彫りになった。
4月12日、Foire du Trôneという遊園地で、『若者』数人が乗車券を買わずに観覧車に乗ろうとしたところを係員に注意されけんかになった。警備に当たっていた二人の警察官が仲裁にはいったが、そのうちの一人の警察官、レイナルド・カローン巡査(31歳)が観覧車の通路に落ち観覧車に打たれて即死した。カローン巡査は強い衝撃で体がふきとばされ、そのあまりの惨さに思わずパートナーの警察官は失神しそうになったほどだという。
当初この事件はカローン巡査が誤って落ちた事故死であると報道されたが、その場にいた二人の目撃者が名乗り出て、巡査は『若者ら』に突き落とされたのだと証言したことから、殺人事件とみなされた。事件に関わった少年3人が即座に事情聴取で連行され、犯罪の常習犯でパリでも特に柄の悪いことで知られるla Cité des Pyramidesという貧民窟にすむ大柄な『黒人』の少年(15歳)が故意に巡査を突き落としたことを認めた。
フランスのメディアが「移民」「黒人」「若者」といういい方をする時は、犯人がイスラム系の移民であると判断してまず間違いはないのだが、メディアは未だに少年がイスラム教徒であったかどうかは公開していない。
ここで問題なのはフランスのメディアもそして警察も二人の目撃者が殺人を目撃しているにも関わらず、三日以上もこの事件を殺人として扱わず事故として扱おうとしたことである。
まず最初に遊園地の係員が少年らに注意したことを「的屋と若者のけんか」と表現して係員にも罪があるかのようないいかたをしたり、カローン巡査は逃げようとした少年に突き飛ばされて落ちたのであって故意に落とされたのではないとか、少年らの罪をなんとか軽くさせようという努力がされた。
フランスメディアと警察のこの消極的な態度には原因がある。実は先月の終わりにも別の遊園地で無賃乗車を取り締まろうとした警察と若者たちの間で Gare du Nord紛争と呼ばれる暴動あったばかりだったからである。
この暴動では遊園地の乗り物に無賃乗車をしよとした若者数人を逮捕した警察官のやり方を巡って若者たちが暴れ出したのがきっかけだった。小競り合いはすぐに激化し機動隊が出動して催涙ガスがつかわれるなどの大騒動となり13人が逮捕された。その時サルコジ候補は警察のやり方は正しかったとし、「切符の代金を支払わない人間を逮捕することが問題になるのはわが国くらいである」と発言。「警察が最低限の秩序を守ることが許されないなら警察はなんのためにあるのだ?」と問いかけた。
以前から再三書いてきたように、フランスではイスラム系移民の暴挙はここ数年、目に余るものがある。一日に平均10人以上の警察官が移民によって暴行を受けることや、乗用車が一晩で百代以上も焼かれていることはもうここ2〜3年日常茶飯事になっている。しかしそれに対するフランスメディアやフランス政治家の対応は取り締まりではなく迎合一点張りである。以前にパりは燃えているで私はこのように書いた。

私はこの間…フランスで起きているインティーファーダ(過激派イスラム教徒による反政権運動)について、やたらにメディアが遠慮がちであることを書いた。 アメリカのメディアは重体者を出した数台のバス放火事件の犯人を単に「若者」とか「移民を祖先に持つ若者」もしくは「低所得者住宅地の若者」といった言葉で表現し、明らかにイスラム系移民であることを必死に隠そうとしていた。しかしこの傾向は当のおふらんすメディアでも同じことらしい。 …去年のイスラム教徒による暴動のきっかけとなった二人のちんぴらが感電死した記念日に、なんと市長さんが慰霊碑にお見舞いをするという珍動。 いくらイスラム系移民の多い地区とはいえ、ここまで迎合する必要があるのか、といいたくなる。しかし過激派に対して迎合すること以外にフランス政府には政策がないというのも事実なのだろう。 そしてその迎合の姿勢を必死で守っているのがフランスメディアである。

フランスの左翼議員が下層階級の票欲しさに犯罪者に甘い顔を見せる傾向はひどくなる一方だ。パジャマスメディアに掲載されたこの記事によると、仏民主連合(UDF)のフランソワ・バイル議長などを中心に左翼の候補者たちはこぞって貧民窟で貧乏人たちと一緒に写真をとってみたり、危険な地区の地下鉄に乗ってみたりして、いかに自分達が庶民の味方であるかという態度をアピールするのに余念がないらしい。メディアが心配しているのはそんななかでこの事件が凶悪な殺人事件として扱われれば大事な選挙中にフランスの治安の乱れに市民の注目が行き、貧乏人の味方をとなえる左翼候補らより、法と秩序をうたい文句にしているサルコジ候補が有利になってしまうということなのである。
フランスの治安の乱れに関する記事は下記参照:
フランスを蝕むイスラム系移民二世たち
フランス国内のイスラム問題解決はイラク戦争にある?!
犯罪者に甘い顔をして下層の票を集めようとしているのはバイル候補だけではない。

  • José Bové:反グローバリゼーション運動家、フランスの違法移民と仲良し。
  • Olivier Besancenot:共産党、労働者と反シオニスト活動家たちに迎合している。
  • ジャンマリ・ルペン:(Jean-Marie Le Pen:国民戦線(FN)の党首)レバノン新聞でサルコジ候補はイスラエルと仲良しだからフランスには危険な人物だと主張。
  • セゴレーヌ・ロワイヤル:(Ségolène Royal – 社会党)ルペンに負けじとこちらも別のレバノンの新聞にて自分が選ばれたらブッシュ大統領とは握手しないと宣言した。

ほかにも色々いるが皆福祉のやり過ぎで経済が破たんしているフランス社会で、低家賃の住宅を保証するとか、失業者すべてに失った仕事を返すとか非現実的な社会福祉ばかりを約束している。こうした候補者にとって警察官殺人事件への注目は非常に不都合な事態を及ぼす。

フランス左翼の候補は皆ロイヤルを筆頭にバイルも含め過激派中の過激派Schivardiにいたるまで収入を分割し社会を平穏化することを約束している。左翼はGare du Nord暴動の後、選挙運動に無関係な法と秩序問題を持ち出したとして右翼を攻撃。左翼にいわせると市民は賃金の値上げや家賃援助の住宅や就職の安定そして年金について聞きたいとのことだ。残酷な若い警察官の死は優しい政府を目指す候補者には都合が悪い。市民がどう判断するかは投票によって近日中にあきらかになる。第一回目の投票は4月22日の日曜日。どちらに輪が回るのか、賭けてください。Les jeux sont faits。


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