イスラム教徒はデンマークから出ていけ!

BBCオンラインニュースによれば、デンマーク警察はコペンハーゲンで爆弾テロを企てていた、アルカエダ系テロリスト二人を逮捕したとある。逮捕された二人のほかにも6人の移民が事情聴取のため一時拘束されたが後に釈放された。
BBCはデンマークがテロリストに狙われたのはデンマークがアメリカが率いるイラク戦争にも参加しており、それがイスラム教過激派の攻撃対象となっている可能性もあるとし、また、去年はデンマークの新聞がモハメッドをおちょくった漫画を掲載して世界的にもイスラム教徒の怒りを買ったことも理由にあげている。
警察によれば11の住所が一晩の偵察の末家宅捜査されたということだが、容疑者の行動は大分前から偵察されていたようだ。
デンマークでは今年の2月にもパレスチナ系移民が一人テロ陰謀の罪で有罪になっているが、後の三人は無罪、もう一人は再裁判を待っているという。
これとは別にデンマークのコペンハーゲンでは数カ月前に麻薬使用者の巣窟となっていた居住区が閉鎖されて依頼、暴動が何回か起きている。これは今年三月の事件

木曜日対テロ機動隊が「若者の家」と呼ばれるNoerrebro地域に無断居住していた住人を立ち退かせたことがきっかけで、暴動が起き、何十人もの外国人を含む500人以上が逮捕された。

この建物は麻薬中毒者などの浮浪者が違法に住み込み治安も乱れ衛生的にもかなりひどい状態になっていたため、取り壊されたのだが、その六か月後の日曜日、記念日だというので若者たちが集まって車を燃やしたりして大暴れした。その結果63人の若者が逮捕され、警官が怪我を負うなど大変だったらしい。
コペンハーゲンといえば、アンデルセンで有名なヨーロッパでも平和な象徴みたいな都市だったが、いまでは人魚姫の彫像がしょっちゅう赤いペンキが塗られるなどいたずらがたえないというし、ひと昔前では考えられないような治安の乱れ方をしている。
この暴動がイスラム教移民らによるものかどうかは分からない。何しろ欧米の新聞は犯罪者がイスラム教徒の場合は信じられないほど神経質になるので、ここにある「外国人」が単に近隣諸国からの欧州人なのかアラブ系の外国人なのかはちょっと不明。
ところで、最初のテロリスト逮捕にからんで面白い話がある。いつもヨーロッパからの話題を提供してくれているGates of Viennaで、デンマーク在住のKepiblancさんが書いたものだ。
デンマークにもかなり多くのイスラム教移民が在住しているが、そのなかでも例の漫画に声高に抗議をして世界中にイスラム教徒を煽った教祖が最近病死した。その後がまのカッサム・アクメッド(Kassem Ahmad)は先代に負けてはならぬと何か話題になることはないかと考えたらしい。そこでアクメッドはイスラエルからユダヤ人を追放しようという内容の記事を書いた。「彼等はみな出身地の本国へ帰るべきだ。もともとの原住民であるパレスチナ人に国をとらせ、イスラエルとして知られていた土地に新しい名前をつけよう」
アクメッドの計画どおり、この記事はデンマーク最大の新聞、 Jyllands-Posten, に掲載された。そこまではよかったのだが、次の日になって、、、

無論アクメッド氏は無信教者から彼の提案に対する反応として、そのような読者からの編集者への投稿のひとつや二つは予想していた。主流メディアへのそのような「編集者への投稿」は普通均衡をたもつため同等の数の反対意見とともに掲載されるのが常だ、「公平で均衡」というやつだ。しかし、なんと、次の日の投稿欄では全く同じ内容の手紙で紙面いっぱい埋め尽くされていた。その内容とは「アクメッド氏の提案を真剣に受け止めデンマークから一人残らずモスリムを出身地へ送り返そうではないか。そうした上で話合いといこう。」 第二提案も、反対意見もひとつもなかった。すべての手紙が「モスリムはデンマークから出ていけ」という要求だったのだ。

その翌日の4日、テロ陰謀を企てていたイスラム教徒8人が逮捕されたというニュースがデンマークに流れた。
やぶ蛇だったね、アクメッド君!


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ブルッセルは回教朝なのか? 反イスラム化のデモ行進許可おりず市民が抗議

先日オランダのカトリック司教が、今度からオランダでは神様のことは「アラー」と呼ぶことにしようとなどと、とんでもないことを提案した。神様は寛容なのでどういう名前で呼んでも構わないというのである。どっちでもいいなら、どうして神様じゃだめなのだ?オランダに住むイスラム教徒が自分らの神さんをどう呼ぼうと彼等の勝手だが、イスラム教よりも古いキリスト教徒らがオランダにおいて神の呼び名をイスラム教に合わせる必要がどこにあるのだ?言葉は思想の象徴である。言葉で妥協すれば、いずれは本質も妥協することになる。司教たるもの、一番にカトリックの教えを守らなければならない人がこんなことを言っててどうする?
さて、ヨーロッパのイスラム化を懸念する動きはヨーロッパ内部でも起きてはいるが、ヨーロッパ諸国の政府は、どうも事イスラム教対策となると及び腰でいけない。
オーストリアのブログGates of Viennaによると、本日デンマークはコペンハーゲンにあるベルギー大使館の前で数人の抗議者が集まった。それというのもベルギーのブルッセル市長が911に計画されていた「止めよう、ヨーロッパのイスラム化」(略してSIOE)のデモ行進の許可を拒絶したからである。
抗議に参加したSIOEの主催者であるAnders Gravers氏はドイツのパックス・ヨーロッパのDr. Udo Ulfkotte代表から電話で、ブルッセル当局は「911の行進はユダヤ人によって主催されたと」と公表したことを知らされたという。ベルギーにおける反ユダヤ人差別はかなりひどいらしい。
反イスラム化のデモ行進は禁止するベルギーだが、これが反米なら全く問題ない。ブルッセルジャーナルによると、

自らを「真実のための団結」(“United for Truth,” UfT)と称するする極左翼の反米陰謀論説グループはブルッセルにおいて9月9日にデモ行進を呼びかけている。グループはブルッセル北駅から南駅まで2001年にニューヨークとペンタゴンで起きた911事件における「ジョージ・ブッシュ」の関わりに抗議して抗議デモを行う。

私がたまたま見つけたドイツ人の書いているこのサイトでも、2005年の謝肉祭のパレードで、親米のメルケル首相を侮辱する信じられないほど下品なフロート(山車)が二台も展示されたにも関わらず、イスラム教を批判するテーマの車は厳禁されたと書かれている。(注:かなり下品な写真あり。)
この抗議に参加していたコペンハーゲンのブロガーSteenは、これに関連して、イギリスでもイギリスのあちこちの都市で、大量のイスラム教移民に地域を占領され、止む終えず国外へ逃亡するイギリス市民が増えているというデイリーメイルの記事を紹介している。
イギリス政府はイスラム系移民を怒らすのを恐れて、イスラム系移民が持ち込んだ犯罪や貧困について真剣な話し合いを避け続けている。そのため生活状況の悪化は深刻化するばかり。イギリスでは2004年に35万人の市民が国外へ移住したという。
イギリス人が逃げ出したい気持ちは分かるが、ヨーロッパをイスラム教徒にのっとられたくなかったら、逃げ出すのではなく、イスラム系移民による犯罪や社会問題の増加について真剣な取り組みが行われなければならない。第一イギリス人はイギリスを逃げ出してどこへいくというのだ?イスラム系移民の問題ならデンマークやドイツ、オランダ、ベルギー、フランスなどもイギリスと大差ない。カナダでも大学の生徒会が次から次へとイスラム教生徒らによって乗っ取られているし、アメリカでもミネソタの大学ではイスラム教徒専門の洗面所ならぬ洗足所が設置されるなど、イスラム教徒への迎合が進んでいる。
以前にも書いた通り、イスラム教は惜しみなく奪う。イスラム教徒に迎合すれば彼等はそれを感謝するどころか、それが自分らが異教徒よりも優れた人種であると異教徒が認めて屈服したと再確認するだけで、ことは悪化の一途をたどる。イスラム教に欧米を乗っ取られたくなかったら、地元市民が立ち上がって小さなことからすべて戦い続けなければならないのだ。


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人手不足のアルカエダ、イギリスの連続テロ失敗事件に思うこと

ロンドンとグラスゴーで起きた自動車を使った爆弾テロ未遂事件だが、寸前のところでテロが未然に防げたことでほっと胸をなで下ろすと同時にテロ計画そのものにも何か信じられないほどずさんな部分があると感じる。
以前に私は爆発物は点火が一番難かしいと聞いたことがある。最初にナイトクラブの前に駐まっていたメルセデスからは煙が立っていたとあるが、これは携帯電話を使ったリモコンの点火が失敗したことを意味する。
二台目においては自動車を駐車違反していて牽引された後に爆弾が発見されている。もしこのメルセデスが点火に成功して爆発したとしても、牽引された先の人間のいない駐車場で駐車違反の車を数台ふっとばしてみても意味がない。交通安全のお巡りさんの目にとまるような場所に車を駐めるなどプロのテロリストとしては考えられない失敗だ。
グラスゴー空港で起きた事件にしても、きちんと下調べをしておけば空港のドアの前には車の出入りを阻止する柱がいくつも立っていることに気が付くはずだし、送り迎えの車線は建物とは平行に走っているわけだから直角の角度でドアに全速力で突っ込むことが不可能なことくらい子供でもわかる。
このようにどの件をみてもプロのテロリストが計画したにしてはあまりにも素人的間違いが多すぎる。まるで三馬鹿トリオがテロをやってるみたいだ。いったいプロのテロリストは何をやっていたのだろう?
昨日紹介したニューヨークタイムスの記事でも、イギリスの対テロ当局が監視していたテロリスト達が最近一斉に姿を消したとあった。その多くが国外へ逃走したと思われるともあった。アルカエダのリーダーたちは下っ端に実行は任せて警備体制がかわらないうちにとんずらしたらしい。つまりイギリス内に残ったテロリスト達は下っ端の素人だけで自分らが何をやってるかちゃんとわかってないチンピラだけだったのかもしれない、などと考えを巡らせていたらストラテジーページのこんな記事に出くわした。

アルカエダの活躍はメンバーが減りリーダーたちが殺されたり捕まったりする数が増えるにつれ、その威力は衰えつつある。アルカエダのプロパガンダ活動もそうだ。ほんの昨年の秋までは93パーセントのインターネット活動はビデオだった。それが今では音声だけになり、その声すらも日に日に弱気になっている。彼等が自信を失うのには理由がある。過去二年に渡るアフガニスタン国境沿いのアメリカやパキスタン軍の主にミサイルやスマート爆弾による攻撃によって殺される外国人戦闘員の数は増える一方だ。…しかしアルカエダが心配しているのはそのことよりも、対テロ勢力による諜報の正確性がどんどん高まっていることにある。あまり取り沙汰されていないが、アルカエダはアメリカの諜報技術が信じられないほど高まったのか、もしくはアメ公の金に目がくらんだアルカエダのメンバーたちが情報提供をしているのかのどちらかだろうと主張している。

アルカエダは中東の事情をよく知らない欧米のメディアや西洋に住むイスラム教徒らをだますことには成功しているが、それでも欧米の警察は内部通告を受けメンバーの逮捕を続けているためアルカエダのメンバー勧誘は殺されたり逮捕されたメンバーを補うのに追い付くかない状況にある。必死のアルカエダに必要のなのはここで衝撃的な911並の自爆テロを派手にドカーンとやって成功させることだろう。そのためにこの間のニューヨークのケネディ空港爆破未遂事件だのイギリスの連続テロ行為などが計画されたわけだ。
しかしその失態を見れば西洋におけるこうしたテロ計画の多くがアマチュアによってされていることは明らかである。欧米諸国でテロ計画をたてている連中はテロリストといっても雑魚ばかりで、中東の本部にいるプロのアルカエダテロリストの指導を受けているとは思えない。エキスパートたちはすでに世界各国の対テロ政策により殺されたり逮捕されたりしていて手下の指導に当たれる人員が大幅に不足しているからなのだろう。
ところで敗北を感じているのはアルカエダだけでなく、アルカエダを受け入れたアフガニスタンのタリバンたちも同じである。ストラテジーページに載ったタリバンが敗北を認めたというこの記事は興味深い。

2007年6月25日、タリバンは彼等特有のやり方で自分達の負けを認めた。最近行われたメディアのインタビューで、タリバンの報道官は(タリバンの攻撃が)自爆テロ作戦に重点をおくようになったことをを発表した。タリバンはまたアメリカ人がタリバンの上昇部に潜入したと認めタリバンの上層部が何人も殺されるか逮捕されるかしており、下層部のメンバーもまた逮捕されていると語った。また最近はかなりのタリバン実力者による寝返りが続いているがタリバンの報道官はこれについては語りたがらなかった。

タリバンはもともとテロリスト組織ではない。彼等は最初はパキスタンの難民キャンプで組織された武装勢力だったのだが、パキスタンの諜報部員にそそのかされアフガニスタンに戻って帰ってアフガニスタンで起きていた内乱を利用して政権を乗っ取った。しかしテロリストではないとはいえただの暴力団だったタリバンに統治などできるはずもない。
そこでタリバンは当時スダーンから避難してきたアルカエダを受け入れ1990年代にはアフガニスタンの他の部族を弾圧するための用心棒としてアルカエダ戦闘員を使うようになっていたのだが、アルカエダのようなテロリストと手を結んだのが運の付き。2001年の911事件に反応したアメリカ軍のほんの一握りの特別部隊にあっという間に政権を倒され、パキスタンへ逃げ帰る始末となった。以後6年間タリバンは必死に勢力の復興をめざしてきたが、資金集めもうまくいかず、時々行ったNATO軍への攻撃ではさんざんな惨敗が相次ぎ、去年だけで3000人の戦闘員が戦死するという大打撃を受けた。
タリバンは今や自爆テロ以外に何の戦略のないただのテロリストにまで落ちぶれてしまったのである。タリバンがテロ行為作戦を宣言したということは自分達の敗北を認めたようなものだ。しかし、自爆テロはタリバンにとって二重の自殺行為だ。戦闘員が自爆するだけでなく、自爆の犠牲者が地元民であることから地元民からも見放され組織としても自爆してしまうからだ。
こうしてみてみると私は我々の対テロ戦争は勝ちつつあるという希望が湧いてくる。時間はかかるかもしれないが辛抱強く戦い続ければテロリストなど滅ぼせる。そのためには無論イラクで勝たなければならないが、イラクでの勝ち負けに将来の存続がかかっているのはむしろアルカエダのほうなのである。


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スコットランドでもテロ攻撃!

昨日のロンドン同時多発テロ未遂事件に続き今度はスコットランドのグラスゴーでも自動車爆弾を使った自爆テロが起き、これは未遂ではなく実際に爆発がおきたが、幸いにしてけがをしたのは犯人の二人だけという失敗で終わった。
APの記事によると、スコットランドはグラスゴー空港で、乗客が搭乗手続きを行うカウンター近くのガラスドアにジープチェロキーが全速力で突っ込でガラスドアを破壊、カウンター前でまっている乗客のほんの数メートルのところで止まるという事件が今日、土曜日におきた。この攻撃は先日発見された二つの爆弾テロ未遂事件と直接関係があるとみられている。
これによってイギリスで警戒態勢を最高レベルに引き上げた。またアメリカのブッシュ大統領もアメリカの空港など公共交通機関の警備体制をより厳しくすると発表。
犯人の一人は大やけどを負って重傷。もう一人は警察に拘束されている。スコットランド警察所長ははっきりとは断言していないが、負傷した犯人は爆弾ベルトを締めていたらしく、ベルトは除去され別の場所で破壊された模様。警察署長はハッキリとは発表していないが、この攻撃は明らかに自爆テロが目的だったようだ。
攻撃に非常に似ている点があることから、本日の攻撃と先日の事件とは確実なつながりがあると思われる。
緑のジープはグラスゴー空港のメインターミナルに向かって午後三時頃に突撃したが、正面玄関前に設置されているいくつかの警備用のコンクリート柱によってスピードを落とされ車の鼻先がドアにあたってガラスドアを破壊した。もしジープが建物の中に通過していれば何百人という人が殺されたであろう。
目撃者によると車の運転手はガード柱に突っかかったジープをなんとか前にすすめようと必死にもがいていた様子で車輪が空回りしていたという。車が前に進まないと分かったのかジープのなかから一人の男がガソリン容器を持っておりてくると、液体をジープのしたにまいて火をつけたという。
警察は運転手と乗客の二人を取り押さえたが、目撃者の話では二人は「南アジア系」の人種だったという。南アジアとはインド、パキスタン、アフガニスタンといった地域を指す。犯人の一人は火をつけたとたん燃え上がって凄まじい光景だったと語っている。
犯人以外のけが人はひとり足をけがして病院に運ばれた。
まだ詳細は分からないが、このジープには爆弾は仕掛けられていなかったのだろうか?もしこれが自動車爆弾だったのならたとえ車がビルの中にはいれなかったとしても、正面玄関で爆破すれば近くで列をつくっていた乗客の多くを殺すことができたはずだ。それに自動車爆弾を運転している人間がわざわざ爆弾ベルトをつけているというのも変な話だ。
もしかすると自動車爆弾の引火がうまくいかない時のことを予測して最後の手段として爆弾ベルトを爆破させる予定だったのかもしれない。ま、詳細は数日中に明かになるだろう。
ブラウン首相は明かにアルカエダによって試されている。ここでイギリスが怯むかそれともついに一大奮起して対テロ戦争に真剣に取り組むか、ブラウン首相正念場である。


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間一髪!ロンドンにて大型自動車爆弾テロを寸手のところで阻止

なんと本日ロンドンの真ん中で爆弾いっぱいに詰まったメルセデスベンツが二台、偶然近所で無関係の救急活動を行っていた観察力ある救助隊員によって発見され、間一髪のところで大型テロが阻止されるという事件があった。(以下6月30日付け読売新聞の記事より)

ロンドンのテロ未遂、“爆発物”積んだ2台目の車見つかる

 【ロンドン=本間圭一】ロンドン中心部で29日発覚したテロ未遂事件で、ロンドン警視庁は同日夜、テロ未遂事件に使用されたと思われる2台目の車両が見つかったことを明らかにした。
 同警視庁のピーター・クラーク対テロ部長らによると、ロンドン中心部のコックスパ通りから撤去された青色のメルセデス・ベンツから強烈なガソリンのにおいが漂ったため、同警視庁が調べたところ、車中から、燃料、ガスの容器、くぎが見つかり、不発の処理が行われた。
 車中で発見された爆発物と見られる積載物は、繁華街ピカデリー・サーカス近くで見つかった灰色のメルセデス・ベンツから発見された積載物と同様で、犯行が自動車爆弾を使った同時テロだった可能性が浮上した。複数のメディアは、事件の背後に国際テロ組織・アル・カーイダが存在するとの見方を示している。

この二台の車が発見されたのは両方とも偶然だった。以下ニューヨークタイムスの記事より。

最初の件では救急車の救助職員がハイマーケットにあるタイガータイガーというナイトクラブの外に駐車してあった緑系銀色のメルセデスから煙が出ているのを発見して警察を呼んだのがきっかけだった。 警察は爆発物を処理したがこの早朝の出来事を数時間後まで公表しなかった。

二つ目の爆弾が発見されたとの報道で緊張の一日がたってから金曜日の夜、警察はやっと高級住宅街のパークレーン通りで違法駐車していた青いメルセデスに爆弾がつまっていることが、罰金書が発行された上牽引されてから発見されたと確認した。交通係の職員は車からガソリンの臭いがしたと語っている。
この車が牽引されたのは午前3時30分のことで、最初の車が発見されてから約2時間後のことだったと警察は言っている。

さらにABCニュースによれば、警備カメラにメルセデスから飛び下りる男の映像がはっきり写っているという話だ。ロンドン警察当局によるとここ数カ月テロリストとして当局が見張っていた容疑者が何人か行方不明になっており、ほとんどは外国へ逃げたらしいと思われていたが、今回の事件の犯人はすでに当局によって知られている行方不明になっていたテロ容疑者の一人ではないかという疑いがある模様。
アルカエダの連中はあきらかに以前の2004年の7.7事件を記念して同時多発テロを狙っていたのだろうが、イギリスは新首相にかわったばかりでもあり、ブラウン新総理大臣の実力を試そうという動機もあったのかもしれない。
爆発物が見つかったタイガータイガーというナイトクラブには同時間少なくとも500人の客でにぎわっていたという。成功していれば何百人という死傷者がでたことは確実だ。
今回の事件が未然に防がれた理由は二つある。偶然にも注意力のある救急隊員や交通係の警察官が不振な車に気が付いたということが第一だが、もうひとつは爆弾そのものの不備だ。爆弾は携帯電話を使ってのリモコン操作になっていたようだが、車から煙が出ていたのに引火しなかったことや変なにおいがしていたという報告から考えて引火装置に問題があったと思われる。
ここ最近イギリスの対テロ政策により容疑者の動きが厳しく規制されていたことから、イギリスにいた上層部のテロリストが国外へ逃亡したとなれば、イギリス国内に残ったのは下っ端だけだったため自動車爆弾をきちんと設置できなかったのだと考えることもできる。だが発見が偶然だったというニュースはイギリス市民にはかなりの不安をもたらすことだろう。
ところでインタビューを受けたロンドンっ子たちのなかには、イギリスがイラク戦争で示した姿勢を考えればアルカエダの標的になるのは自然だと答えているひとがいたが、もしそれが原因だとしたら、アメリカこそがアルカエダテロの標的になるべきだ。しかしアメリカ国内で仕掛けられた爆弾が発見されたというニュースはきかない。それというのもアメリカ国内でのテロ組織の発見はテロリストたちの計画がそこまでいかないずっと早期のうちに皆発見されてしまうからだ。
例えば以前にも携帯電話を大量に購入しようとしたイスラム系移民が店員に怪しまれたことがきっかけで逮捕された事件や、国内の陸軍基地を攻撃しようと企んでいたテロリストたちがテロビデオをDVDに移そうとしてビデオ屋の店員に通報された事件、ニューヨークのケネディ空港を爆破しようと企んでいたテロリストが勧誘を受けた市民の通報で爆発物購入のずっと以前に逮捕された事件など、アメリカ国内でのテロ行為はどれも計画の早期で発見されている。
民主党やリベラルメディアがなにかとアメリカの対テロ政策を邪魔しているにも関わらず、911以後アメリカ国内でテロ攻撃が一度もおきていないことから考えて、我々には詳しいことは知らされていないが、アメリカの国土安全省は裏でかなり綿密な監視を行っているものと思われる。イギリスもアメリカに見習って対テロ政策にもっと力を入れるべきだろう。
それにしてもアメリカ国内のテロが未然に防がれたいくつかの事件や、今回のロンドンでの事件でも、偶然に居合わせた一般市民の注意力が幸いしている。ということは対テロ政策は政府だけに任せていてはいけないということだ。自動車爆弾や自爆テロの犠牲になりたくなければ、我々一般市民が常に注意深く自分らの環境を見守る必要があることをつくづく感じる。


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アルカエダに狙われるフランス新政権

先日行われたフランスの議会選挙ではサルコージの与党が大勝利を遂げた

フランスで国民議会決選投票、サルコジ与党が圧勝へ

 【パリ=島崎雅夫】フランス国民議会(下院、定数577)の決選投票が17日、行われた。
 保守与党・民衆運動連合(UMP)の圧倒的優位は変わらず、サルコジ与党が歴史的大勝を収めるのは確実となっている。即日開票され、17日夜(日本時間18日早朝)には、大勢判明の見通し。
 第1回投票後、社会党候補は、与党の付加価値税(VAT)引き上げ案を批判する戦術を取ったが、サルコジ与党の勢いは衰えていない。直前の世論調査によると、UMP(現有議席359)は選挙協力候補を含めて380—420議席を獲得する見通し。
 社会党(同149)は153—195議席にとどまると見られている。
 サルコジ新政権は圧勝した場合、26日から特別国会を開き、週35時間労働制の弾力運用や、公共輸送ストの際の最低運行保証、犯罪者・不法移民の厳罰化などの法案を提出し、公約実現に向けた抜本改革を加速させる方針。

保守派で改革派というサルコージ政権が設立されるということは非常に好ましいことではあるが、それと同時にフランスには古くて新たらしい頭痛の種が生まれている。14日付けのロサンゼルスタイムスにはフランスがアルカエダから狙われているという記事があった。(Working in Algeria, the terror group has been laying the groundwork for attacks. By Bruce Riedel, BRUCE RIEDEL)
フランスにとってアルジェリアといえば昔ながらの敵である。フランスはアルジェリアを植民地として昔はかなり虐待していたから独立戦争が起きたのは仕方ないとしても、独立してアルジェリアを支配するようになったのはイスラム教の独裁政権。このアルジェリアでは最近オサマ・ビンラデン率いるアルカエダがその魔の手をのばしつつある。アルカエダはアルジェリアを拠点として北アフリカ及びヨーロッパで聖戦テロを行おうという魂胆だ。
ビンラデンとその副官のアイマン・ザワヒリはすでに過去二年間に渡ってアルジェリアのサラフィスト集団にアルカエダに参加するよう働きかけてきたが、去年ビン・ラデンは正式にグループの名前をイスラミックマグレブのアルカエダ(Al Qaeda in the Islamic Maghreb)と改名させ、その名の下に西側の警察などへの一連の攻撃を開始した。
今年の4月12日には、これまでアルジェリアではあまり知られていなかったこのグループがアルジェリア政府高官を狙って複数の自爆テロを行い40人近い市民を殺害している。

しかしザワヒリは本命の標的はフランスであることを明らかにした。2006年9月11日のマグレブ支部発足宣言にあたり、ザワヒリは「アルジェリア政府の背教者の無念や欲求不満そして悲しみの根源は裏切り者のフランスの息子たちにある。」と宣言し、「アメリカとフランスの十字軍たちの喉につまる骨になるように」と呼びかけた。 フランス諜報部では北アフリカにあるフランス関係施設が攻撃の標的になるだろうと予測しており、フランスそのものも遅かれ早かれ攻撃されるものと見ている。現にヨーロッパの聖戦主義者ウェッブサイトではサルコージが勝利を得て以来、フランスへの攻撃が予言されている。

旧サラフィスト集団によるフランスへの脅迫は何も今にはじまったことではない。2005年2月のメディアリポートによれば、フランス国内の諜報部はフランス国内に約5000人のシンパと500人近い過激派民兵が存在するものと推定している。フランスのアルジェリア系市民はすでに2005年貧民窟で起きた暴動の際のサルコージによる厳しい取り締まりに腹を立てている。またサルコージは先代よりもイスラエルに同情的だと考えられている。(注:シラクに比べれば誰でもそうなる)

フランスはイラク戦争に真っ向から反対した国であり、アルカエダはフランスに恨みなど持つ理由は特にないはずだ。しかしアルカエダの目的は復讐ではない。アルカエダにとってはヨーロッパが対テロ戦争に参加しているかどうかなどということはどうでもいいことなのだ。彼等の目的はただ一つ、自分らに狂った宗教で世界制覇をすることにある。そのためにフランスにもともと恨みのあるアルジェリアのサラフィストを利用しているに過ぎない。
ところで1994年に未然に防がれたアルジェリア系テロリストによるテロ陰謀は、エアフランセ旅客機を乗っ取ってエッフェル塔に突っ込むという計画だった。これが後にアメリカでおきた貿易センターテロの下敷きになったことは想像に難くない。


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高まるイギリスの反ユダヤ思想 その2

さて、昨日に引き続きイギリスで起きているイスラエルボイコット運動についてお話しよう。今回はジャーナリストたちによるイスラエルボイコットである。これについて政治的にはかなりリベラルで左よりだが、ことイスラエルに関しては正当な意見を述べているユダヤ系アメリカ人弁護士のアラン・M・ダーシュウィッツ氏(Alan M. Dershowitz)のコメンタリーから読んでみよう。

最近投票されたイギリスの全国ジャーナリスト協会(NUJ)の偽善はベネズエラの独裁者ヒューゴ・チャベズの反左翼政府メディアを弾圧する方針に全く沈黙しながらイスラエルだけをボイコットするという提案によって完全に明かになった。 パキスタンのムシャラフも多大なるメディア弾圧をおこなっている。左翼が好むキューバ、中国、イラン、北朝鮮、そしてズィンバブエといった国々では日常的にメディアが弾圧されジャーナリストが拘束されるなど普通である。しかしこうした民主主義や自由主義を弾圧し独裁政権をもつ国々に関しては、崇拝するかのように、イギリスのジャーナリスト協会からは一言の苦情もでない。世界でも数少ない報道の自由を保証しているイスラエルだけが、処罰の標的になるのだ。アラブ人やイスラム教徒のジャーナリストでさえイスラエル国内では他のアラブ諸国よりもよっぽども自由である。パレスチナテロリストがジャーナリストを殺害したり誘拐したりして脅迫しているというのに、イギリスのジャーナリスト協会は言論の自由を弾圧するハマスに牛耳られているパレスチナ政権を(批判の対象から)除外する。その理由は明らかだ。イギリスのジャーナリスト協会はジャーナリストの報道の自由を保証することなどより、ユダヤ民族国家を盲目的に糾弾することしか興味がないのだ。

全く同じことがイスラエルの学識者をボイコットする投票をしたイギリスの大学短大協会(UCU)にも言える。(中略)イスラエルはアラブやイスラムのどの国よりも世界のほとんどの国よりもイスラム教徒やユダヤ教徒に同じように学問の自由が認められている国だ。 イスラエルの科学者が人口比率からいえばどこの国よりも多くの救命医学を開発している。にもかかわらずイギリスの学会はイスラエルだけをボイコットするというのだ。これも学問の自由や科学的研究を守るなどという建前とは全く関係がない。これはすべて反イスラエルという差別意識によるものだ。

これじゃあまるでナチスドイツが「ユダヤ科学」と言ってドイツからアインシュタインを初め多くのユダヤ人科学者を追い出したのと全く変わりがないではないか。
しかし、イギリスのこのあからさまなイスラエル差別は世界中の科学者から反感を買っている。何千というアメリカの科学者たちは自分達は名誉イスラエル人であるとして署名を集めイスラエルの学者がボイコットされる集会には参加しないと宣言した。
現にノーベル賞受賞者のテキサス大学のスティーブン・ウエインバーグ教授(名前からいって多分ユダヤ系)は7月に予定されていた帝国ロンドン大学への訪問をキャンセルした。その理由について教授は次のように語っている。

人によってはこうしたボイコットはユダヤ民族に向けられたものではなく、単にイスラエルに向けられたものだとおっしゃるでしょう。しかし歴史的にイスラエルに向けられてきた攻撃や、弾圧的な中東諸国のことを考えた場合、イスラエルをボイコットすることは道徳上の盲目を意味しアンティセメティズム以外のどんな理由も考えられません。(但一つ考えられる他の理由はイギリス国内のイスラム教徒に対する迎合くらいです。)私はこのような傾向はガーディアン紙や、インディペンデント紙やBBCの報道に反映しているのをこれまでにも度々見てきました。ですからNUJがこのような行動をとることには別に驚きません。

しかしイギリスによるこのようなボイコットはかえって世界からイギリスのジャーナリズムや学会がボイコットされる結果になるのではないだろうか? 少なくともユダヤ系科学者の多いアメリカの学会を怒らせることはイギリスの学会にとってはかなりの痛手となるはずだ。
そうなったら自業自得だ。


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高まるイギリスの反ユダヤ思想

私の好きなイギリスのネオコンコメンテーター、メラニー・フィリップス女史が数回にわけてイギリスで高まっている反ユダヤ人思想について語っている。題して対ユダヤ人戦争(The war against the Jews)。
フィリップス女史によると、Bournemouth で先日行われたUniversity and College Unionというイギリスの大学と短大の学識者が設立した集会で、代表者たちは158対99でイスラエルの教育部門を国際社会の学問の世界からボイコットしようということで意見が一致した。彼等のいい分はイスラエルが昔の南アフリカのようなアパルタイト国家であるというものだ。
この集会を行ったUCUというグループはイギリスでもかなり左翼よりの学識者の団体のようだが、彼等の反イスラエル見解はアラブ社会が周到に広めている歴史の書き換えやパレスチナが一方的な犠牲者であるというプロパガンダを鵜呑みにしたものであり、調べればすぐに分かるような明らかな嘘をそのまま繰り返しているという。

アパルタイトとの比較など無論根拠のない醜悪な嘘である。そして実際にアパルタイトを体験したアフリカ人への侮辱でもある。このような比較はアパルタイト否定論とさえ取れる。しかし真実は反イスラエル派にとって意味のないものだ。彼等にとってはパレスチナの悲惨な運命はイスラエルのせいであり、イスラエルこそが攻撃者であり、パレスチナが犠牲者なのだ。真実はパレスチナこそが攻撃者でありイスラエルこそがテロ攻撃や自爆テロそして1400ものロケット弾を打ち込まれている被害者であるにも関わらずだ。イスラエルはパレスチナ独立を阻止しているかのように責められているが、実際には1937年、1948年、1967年、そして2000年と数度に渡ってパレスチナ独立に合意してきた、それをその度に拒絶して、イスラエル崩壊を唱えているのはパレスチナの方なのである。

イスラエルはアパルタイト国家だの民族浄化だの大量殺害だのと責められている。しかしイスラエルではアラブ人の学生がイスラエルの大学で学び、国会に議席をもち裁判所にも出席できる。そしてイスラエルの病院が一日たりともガザ内部紛争で負傷したパレスチナの子供たちを治療しない日はない。イスラエル市民の大量殺害を唱えているのはイランであり、独立したパレスチナ領ではユダヤ人の居住は許されないという民族浄化を唱えているのはパレスチナの方なのだ。(ボイコットを薦めている学会では新しく設立されるべきパレスチナ領にユダヤ人の居住区は全く認めていない。)

しかしUCUのメンバーたちはこのダブルスタンダードがアンティセメティズムと呼ばれるユダヤ民族差別ではないと主張している。「私は反シオニズムであり反ユダヤではない」とか、「イスラエルを批判しているのであってユダヤ人を差別しているのではない」といういい方はもう何十年も前から人種差別主義者の間で使われてきた建前上のごまかしに過ぎない。彼等のいってることをちょっと掘り下げればそこには根深い反ユダヤ民族への差別意識が必ず見つかる。もし民族浄化や大量殺害が悪行だから批判されなければならないというのであれば、なぜイスラム教徒がアフリカのダルフールで行っている民族浄化および大量虐殺が話題にされないのだ? なぜ派閥が違うというだけで殺しあいをしているパレスチナの武装勢力は罰せられないのだ? 毎日のようにイスラエルに打ち込まれるロケット弾はなぜ批判されないのだ? イスラエルのやっていることと比べたらこっちのほうが数百倍も悪いではないか。イスラエルをボイコットする暇があったら世界中で起きている悪行からまず取り組むべきだ。それをせずにイスラエルのあら探しをしてはイスラエルだけを罰するのはアンティセメティズム以外の何ものでもない。
イギリスでは数日中に「もうたくさん!」というスローガンで反イスラエル集会が行われる。しかしこの集会でハマスとファタ同士の殺しあいを「もうたくさん!」と批判する計画は提案されていない。


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目覚めるヨーロッパ

さて、今日はマーク・スタイン著のアメリカ・アローン感想文の最終回として、なぜ私がヨーロッパがイスラム教の侵略によって滅びるなどということはないと希望を持っているのかその話をしたいと思う。これまでのお話は下記参照。
滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その1
滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その2
滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その3
復活するキリスト教
マーク・スタインのほぼ絶望的ヨーロッパ論の最大の間違いはヨーロッパが今のまま全く変化なくイスラム教による侵略に滅ぼされてしまうと結論付けていることだ。なぜヨーロッパが変わらないと断言できるのだろうか?事実ヨーロッパは少しづつではあるが変わりつつある。
スタインはヨーロッパの世俗主義が現在の欧州の堕落を招いたのだと書いている。私はこれには全く同意見。イスラム教という宗教に対抗できるのはヨーロッパの基盤となっているジュデオ・クリスチャンの価値観しかない。それを考えるとまだまだ規模は小さいが歓迎すべき現象がヨーロッパ各地で起きている。
まずフランス。2000年現在の資料を集めたこのサイトによると、1994年の世論調査では自分がカトリック教徒だと答えた人の数は67%で、58%が子供に洗礼を受けさせ50%が協会で結婚式を挙げたと答えている。これはその15年前の数にくらべて40%近い減り方をしていた。しかしその後フランスではじょじょにカトリックが巻き返しを見せており、毎年恒例の聖地Chartresへの巡礼では年とともに数が増し、二万から三万の参詣者が集まるようになっているという、その他の聖地や協会での会合でも年々若い人たちの参加者が増えている。またカトリックでは一番聖なる協会といわれるLourdes or Lisieuxなどでは100万人の参詣者があるという。
また大人になって洗礼を受けるひとの数も年々増えており、1993年では8000人だったのに比べ、1997年では12000人に増えている。1997年8月にジョン・ポール二世法王が来仏した際には一目法王を見ようと100万人がパリに集まったという。
CIAのファクトブックによると2007年現在のフランスではカトリック教徒は83〜88%だという。この数は自分がカトリックだと考えているひとの数ではないため、先の資料とは比較にならないが、次に多いイスラム教徒の5〜10%に比べて圧倒的な多数派を占めていることでもあり、フランス市民が再び宗教に目覚めればイスラムなど恐くない。ちなみに多少ながらユダヤ教徒も増えつつある。
ドイツでも、増えるイスラム教徒への脅威感に対抗すべく過去15年間にわたりキリスト教が再び人気を盛りかえしている。この2006年9月のウィークリースタンダードの記事によると、去年の9月にドイツを訪れたベネディクト法王のヨーロッパは経済発展と世俗主義の関係を考え直すべきだという演説が、ドイツ人の間で広く受け入れられたという。
減り続けていた協会への参詣者の数は、最近は減るどころか若いひとたちのあいだで増えている。今や8200万人いるドイツ市民の三分の二が常時協会へ行くという。カトリック教徒とプロテスタントの数はほぼ同じ。
カトリック教が圧倒的多数を示すイタリアどうかというと、1990年代には人口の90%を占めるカトリック教徒のうち常時協会に通う人の数はバチカンのあるイタリアでお粗末なほど少ないたったの30%だった。それがクリスチャンモニターのこの記事によるとイタリアでもカトリックを見直す傾向が出てきており、2006年現在では大人の人口の約半分が常時協会へ通うようになった。
第二次世界大戦後着々と世俗主義のデカダンスの道を歩んできたヨーロッパはじょじょにではあるが、再び宗教心をとりもどしているように見える。ヨーロッパの文明の基盤はキリスト教なのであり、これを忘れて文明を保つことはできない。そのことにヨーロッパが気が付きはじめているならこれは非常に喜ばしいことだ。
またカトリックへの信仰心が深くなれば産児制限を禁じる教えに従う夫婦も増えてくるだろう。そして宗教によって悲観的な将来像を描いていたヨーロッパ人が救いを見いだすことができればおのずとヨーロッパの出生率も増えてくるはずである。
宗教心が深くなると人々が保守的になってくるのも事実だ。ドイツやフランスで立て続けに保守派の政治家が政権を握ったのも偶然ではないと思う。
こうしてみるとヨーロッパもまだまだ捨てたもんではないと私は思う。希望を捨てるのは早すぎる。私はヨーロッパは目覚めつつあると信じる。


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滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その3

マーク・スタインの悲観的なヨーロッパ論に一週間も付き合っていたらかなり気が滅入ってしまった。200ページもある本のなかでこれだけヨーロッパはイスラムに侵略される直前だ、ヨーロッパは滅びると最後論を振り回しておきながら、ではどうすればいいのかという解決策は最後のたった一章きり。すでに三分の二あたりで読む気はなくしていたのだが、最後まで読まずに感想文を書くのもなんだと思って出動前最後の日曜、お昼からずっとホテルの一室に閉じこもって読書をした。しかしその褒美がこれとはひどいな。
ま、とはいえ外へ出かけたくなるような天気ではない。5月も中旬を過ぎたというのに肌寒くどんよりと曇った空。海辺の町とは往々してこんなものだが、持ってきた水着もまだ着ていない。この肌寒いのにプールで泳いでいる観光客はけっこういるが私はお断りだな。出航前に風邪をひきたくない。なにしろ船はもっと北へ行く。寒流があるからきっとずっと寒いだろう。2月の出張前に母が送ってくれた厚手のセーターとマフラーが役に立つ。
さて、それでは紅茶を入れ直し、気分も取りなおしてシリーズ第三段といこう。
スタインはヨーロッパは近いうちにその自堕落な政策からイスラム社会に乗っ取られ地理的にはヨーロッパとして残ってもヨーロッパの文化は消失してしまうだろうと予言した。その理由として、ヨーロッパの少子化による人口減少、多様文化主義によるヨーロッパ文化の崩壊、世俗主義による自分勝手な日和見主義を上げている。
マーク・スタインの悲観主義は現実的だろうか。本当にヨーロッパ諸国は負け犬のように腹を見せてイスラムに服従するのだろうか?私はそうはおもわない。
イスラム聖戦主義は成功しない
先ずイスラム教はスタインが言うほど強力な勢力ではない。カカシはなにもアメリカ本土を攻撃し3000人の市民を虐殺し、イラクでもアメリカ軍を悩ませているジハーディストの力を過小評価しようというのではない。彼らは危険な敵だ。それは正しく把握する必要がある。敵を見下すのは自殺行為だ。
しかし、イスラムは魅力的な宗教でもなければ建設的な文化でも政治機構でもない。世界ひろしといえどいったいどのイスラム教国家が経済的に成功し高い教養を持った幸せな国民で溢れているというのだ? どのイスラム教国が強力な軍隊を保持して世界のスーパーパワーとして君臨しているというのだ?どこのイスラム教国からノーベル賞を受賞するような科学者や、ビル・ゲーツのような事業家が出ているというのだ?
イスラムはユダヤ・キリスト教に比べれば歴史は浅いかしょうがないのだと言う人もいるだろう。だが、建国してせいぜい100年からのアメリカは19世紀終わりにはすでにかなりの実力国家としてヨーロッパ諸国から無視できない国になっていた。イスラムには1400年という時間があったのに、いまだにほとんどのイスラム諸国が7世紀の生活をしているのは何故だろうか?
その理由は簡単だ。イスラム教は何も生産しない、イスラム教は新しいアイディアを奨励しない、イスラム教は生より死を選ぶからだ。
よくアラブの歴史をよく知らない人たちが、中世のイスラム諸国はヨーロッパよりも異教徒に寛容であり、異教徒を受け入れ優遇していたという。彼らが都合よく無視している点はこうした国々のイスラム教支配者たちは異教徒を下層階級の人間として差別し、その宗教によって位をもうけ、それに見合った税金を払わせていた。イスラム教徒からは税金を取らない主義なので、彼らは異教徒からの税金で国をまかなっていたのである。
異教徒の労働に頼り異教徒の富に寄生する以外に生活の方法を見出だせないのがイスラム原理教なのだ。今でさえ中東に石油が無ければイスラム教諸国など誰からも相手にされないだろうし、テロリストも資金源がなく活発な活動など望めたものではないのだ。もしジハーディストが世界侵略できるような勢力をもったなら、彼らは異教徒に無理やり改宗をせまり、そむけば虐殺するなり追放するなりするだろう。そうやって金をむしりとる相手がなくなったら自分らが持っている僅かながらの富を巡って仲間同士で殺し合いをするのがおちだ。
パレスチナのガザで起きていることを見れば、それがイスラム教支配の縮図だと言うことがわかる。パレスチナ庶民はイスラエルだけが悪の根源だとしてイスラエルを追い出すのに躍起になっていた。ところがいざイスラエルが出て行ったら、インフラは全く機能しなくなった。電力発電も、水道も、下水も、すべてイスラエルによって管理されていたからだ。パレスチナ領内に産業はない。イスラエルまで出稼ぎに行くしか生活の糧がないのに、イスラエルへの自爆テロやロケット弾の打ち込みをやめないからイスラエルからも締め出されてしまう。テロに嫌気の差したイスラエルが防御壁を建てればゲットーと同じだなどと騒ぎ出す。
こんな奴らにヨーロッパを侵略だって、ご冗談を!
だいたい聖戦主義者の唱えるイスラム教のシャリアにしたところで、イスラム教徒ですら両腕を広げて受け入れているわけではない。スタインはロンドンに住むイスラム教徒の多くがシャリアの元に生きたいと答えた世論調査を出しているが、私はこれらのイスラム教徒はシャリアが本当にどんなものかなど理解していないと思う。
今欧州でジハードに勧誘されている若者は、単に自分らが暴れたいという本能をジハードという宗教で正当化しているに過ぎない。人殺しをしようが放火をしようが徒党を組んで女性を強姦しようが、すべてがアッラーの思し召しだとして許されている。彼らは役に立つ愚か者としてジハーディストに利用されているに過ぎないのだ。彼らがそれに自爆テロで吹っ飛ぶ前にそれに気がつけば彼らとてシャリアなど受け入れはしない。
フランスでフェタチーズを肴にボルドーワインを飲みながら、キャバレーで半裸の美女が踊るのを楽しむイスラム教の若者に、「考えても御覧なさい、イスラム教徒が勝てばこれがすべてがなくなるのですよ。チーズとワインの代わりに殻が残ってるざらざらのコーヒーを飲み、半裸女性の変わりに山羊とデートができるようになるのです」と言ってもやる気は出ないはずだ。
もちろんイスラム過激派の脅威は本物だ。イスラム過激派とは断固戦わねばならない。問題はヨーロッパに戦う意志があるのかどうかということだ。スタインは無いと言う。
スタインは間違っている。ヨーロッパはスタインが思うほど軟弱で堕落しきった文化ではない。イスラムの歴史など比べ物にならないほどの虐殺を体験してきたヨーロッパである。イスラム教ごときに戦わずして滅ぼされるようなことはあり得ない。今のヨーロッパの問題はまだヨーロッパ諸国がイスラム教の脅威を正確に理解していないことにある。つまり半分居眠り状態なのだ。
しかしヨーロッパが目覚めかけているという兆しが私には見える。長くなるのでこの続きはまた今度。


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