December 10, 2006

フランスを蝕むイスラム系移民二世たち

今朝、陳さんとことで、こんな記事を読んだ。

仏スーパー:18歳未満入店禁止 暴行・万引き絶えず(毎日新聞)

【パリ福井聡】移民系若者たちの暴力事件が絶えないパリ北東部郊外にある大手スーパー「カルフール」の2店が、「18歳未満の未成年者は大人同伴でなければ入店お断り」の独自規制に踏み切った。未成年者による客や店員への暴行や万引きが絶えないためという。周辺の店にも同調する動きがある。
ただカルフール本社(パリ)は「支店レベルで実施に踏み切ったことであり、撤回を望む」と説明。人権団体の反発などに配慮しているとみられる。
パリ周辺などフランス都市部の郊外では昨秋、移民系若者が日常の不満などを爆発させる形で大規模暴動を起こした。今年は大規模には発展していないが、日常的な衝突や暴力は頻発している。
毎日新聞 2006年12月9日 12時40分

ここでいう「移民系若者」というのは暗号で「イスラム教徒」という意味なのはこのブログの読者のみなさんにならもうお分かりだろう。フランスではイスラム系の移住の歴史は長くなるので、移民系といってもすでに2世3世の代になっている。一世の時代にはフランスではイスラム系移民による問題というのはあまり取りざたされていなかったが、最近はこの2世代3世代目の過激化が目立つ。

私のすきなフランスのブログ、les chroniques de l'eXtreme-centreによれば、そんなフランスの2世代目連中がジハーディストとなって中東でテロ行為をする事件が相次いでいるという。しかも逮捕されたイスラム系フランス人は家庭も豊かで教養もあり、とてもテロリストになるような人たちには見えないというのだ。

先週もイラクへいってアメリカ兵を殺すつもりだった三人のフランス人ジハーディストがシリアで逮捕され、フランスに送り返されたという話をきいたばかり。この三人の若者は19、20、31歳のTours出身でSalafiという静かな郊外の町にある同じ聖廟に通っていた。 フランス政府が一番心配しているのはこれらの若者は過激派とはみられておらず、どの名簿にも載っていなかったということだ。一番困惑Mustafa El Sanharawi で、彼は(フランスに)非常に溶け込んだ家族があり、父親は外科医、母親は大学教授、三人の兄弟はそれぞれ医学を勉強しているという。また Mustafa は優秀な生徒でありパリ最高の工学大学への入学が決まったばかりだった。この例は貧困と社会からの隔離が若者をテロに追い込む理由だとする多くのコメンテーターや専門家の説が成り立たないことを意味する。

フランス人ジハーディストといえば12月4日にもエジプトにて九人の北アフリカ系二世のフランス人を含むテログループが摘発されている。犯人グループにはこのほかに、ベルギー人二人、アメリカ人一人、などが含まれていたが、グループはイラクで「殉教者」となるべく勧誘されたという。このグループは先にサウジアラビアで逮捕された137人のテロリストに含まれていたベルギー人による証言がもとで発見された。

エジプトは最近ジハーディストたちがヨーロッパや諸外国からイラクへ渡る中継地としてよく利用されているらしい。一年半まえにもフランス国籍を持つ15人の若者がイラクへ渡る際にエジプトを通過しようとして追放されている。しかしエジプト政府はフランス政府による対テロ政策には全く協力していないようだ。

フランス人はイラクにおいて、アメリカ軍との戦いで9人が戦死、2人が自爆テロ、30人が投獄、12人が取調中だ。

どうしてフランスで自由に暮らしているイスラム系2世たちがわざわざイラクなんぞへ出かけていって死にたいのだろうか? これはイギリスやアメリカのエリートたちがスペインの内乱に志願したのと似たような心境なのかもしれない。自分らが恵まれた環境にいるのに「同胞」が帝国の横暴に苦しめられている、なんとか力になりたい、などという若者特有の理想主義からくるものなのかもしれない。

何にしても外国で訓練を受けたイスラム系二世のテロリストたちが、フランスに帰国してフランス国内でテロをおこなう可能性はひじょうに大きい。フランス政府はイスラエル・パレスチナ間での戦いや、イランへの外交、およびイラク戦争などに関しても、イスラム教に迎合することで自国内での攻撃を防げると考えているのだとしたら大間違いである。フランス人テロリストの台頭についてもっと今すぐ真剣に取り組まなければフランスこそがテロ組織の温床となってしまうだろう。


December 10, 2006, 現時間 3:03 PM

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下記投稿者名: MikeRossTky

フランス国内のアンチ移民の考えは結構根強いものです。エリートフランス人が移民に対する考えは1950年代アメリカ南部の白人を考えればよいぐらいです。

MikeRossTky

上記投稿者名: MikeRossTky Author Profile Page 日付 December 11, 2006 7:31 PM

下記投稿者名: Sachi

マイクさん、

アンチ移民の意識が強い割には移民への迎合がひどく両極端ですよね。迫害するでもなく迎合するでもない公平な移民の受け入れ方をしてないから問題が続出してるんでしょう。

フランスの移民たちにイスラム教徒というより、フランス人だという意識を持ってもらえるような政治体制が必要ですが、もうそんなことをいってる場合ではないのかもしれません。

カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 December 12, 2006 5:23 PM

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