May 22, 2007

滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威 その1

この先数日間ネットアクセス不能になるため、カナダの政治評論家マーク・スタイン著のアメリカアローンを参考にヨーロッパにおける、少子化問題、イスラム教台頭、そして今後のヨーロッパの宗教と文化が世界に与える影響などについて考えて生きたいと思う。

まず、最初に断っておくが、私は著者のスタインの意見に全面的に賛成しているわけではない。スタインは以前に紹介したロバート・スペンサー氏と同じで非常に悲観的な世界観をもっている。スペンサーのイスラム論にも参考になる部分は多々あったがイスラム教に未来はないというその結論には同意できなかったのように、スタインの警告には耳を傾ける価値は多いにあると思うが、ヨーロッパは決してスタインが言うほど絶望的な状態にはないとカカシは考える。

スタインは地球最後の日を唱える最後論者と自分は違うと主張している。たしかに一昔前までは氷河期が来て人口増加のため資源を使い果たして地球は滅びると言う最後論者が多かったのに、最近は地球温暖化と少子化問題で地球は滅びるという人々にとってかわった。しかしどういうわけか、地球最後の日を唱える人々は地球が冷めようと熱しようと人口が増えようと減ろうとその解決策はいつも同じで、個々の国々が目指す資本主義の産業発展を諦め、世界がひとつに団結して自然を守ろうと主張する。無論そのためには世界政府なる大きな政府に巨大な権限を与え、人々は個々の幸せを犠牲にして世界のために貢献することが要求される。なにしろ悪の根源は文明発展と人類にあるのだから。京都規定などがその典型といえる。

その点政府の権限をなるべく最小限にして資本主義を拡大すべきだと主張するスタインは最後論者としては異質だと言える。だが、その絶望的な世界観はやはり最後論者を思わせる。

単純に人口分布を考える

少子化はヨーロッパだけでなくすべての文明国の間で深刻な問題だ。日本やアメリカも全く他人事ではない。しかしヨーロッパの少子化問題はその膨大な福祉制度を考えると日本のそれよりもずっと深刻である。

ではここで先ず、欧米並びに日本の出生率を見てみよう。社会が人口増加も減少もせずに同じ率を維持していくためには、一夫婦あたり2.1人の子供を生む必要がある。先進国でこの数をぎりぎり満たしているのは僅かにアメリカの2.11人があるだけで、後はニュージーランドとアイルランドの1.9人、アルベニア、1.8人、オーストラリアの1.7人と続く。 しかしカナダになってくると1.5人と極端に減り、ドイツとオーストリアは共に1.3人。ロシアとイタリアは1.2人、スペインが最低でなんと1.1人。 ヨーロッパの平均出生率はなんと1.3人! (出生率が最低だった2005年現在の日本は1.25人だから、かなり低いことがわかる。)

もしこのままの状態が続けば、スペインなど次の世代で人口が半減してしまうことになるのだ。ロシア、イタリアそして日本もほぼ同じような状態にある。

しかし私など都市部に住み毎日渋滞した高速を走って通勤してることもあるし、故郷も東京のベッドタウンといわれる郊外なので、あの満員電車を見ていると人口が減ることがそれほど悪いことには思えない。だが都市部に労働者が集中してしまうということ事態、それだけ地方では産業が成り立たないことを意味する。日本にしろアメリカにしろちょっと地方へ足を運べばその過疎化は明白だ。

では何故人口減少は社会にとってよくないことなのか。自然の世界で考えれば種族の存続こそがその種族の一番大切な目的であり、繁殖率の高い種族こそが成功種族といえるのであり、世代ごとに半減してしまう種族は成功しているとは言いがたい。文明社会は古代大木だのパンダだの珍種の海老などの絶滅を心配している場合ではない。絶滅の一番の危機にあるのは文明人なのだ、とスタインは言う。

少子化が進む欧米をよそ目に健康な出生率を保ちその種族繁栄を充分に謳歌している国々は、無論存在する。それらの国々はどこかと言うと、ナイジャー,7.46人、マリ, 7.42人、ソマリア, 6.76人、アフガニスタン, 6.69人、そしてイエメンの6.58人。これらの国々に共通するものが何か読者諸君にはもうお分かりだろう。その通り、イで始まってスラムで終わる、あの宗教イスラムである!

ここで思い出してもらいたいのがアルベニアの出生率の1.8人。イスラム諸国に比べて比較的低い数値ではあるが、ヨーロッパのなかでは一番高い。その理由はなんだかお分かりになるだろうか?その通り、アルベニアはヨーロッパ唯一のイスラム教が多数を占める国なのである。実際イスラム教移民の多いフランスなどは、イスラム移民の出生率を除けばもっと数値が低くなるという。

単純に出生率だけをみても、欧米諸国はイスラム教諸国に押されていることがわかる。しかもこれらのイスラム教徒らは自分らの祖国だけでなくヨーロッパ全土にどんどん移住しているという事実がある。

これまでヨーロッパでは「ゆりかごから墓場」までと言われた社会福祉を進めてきた。これらの国々ではすべての市民が短い労働時間で長期休暇を取ることができ、医療費も学費も無料及びただ同然。年金は保証されてるし失業保険もばっちり。一見こんなすばらしいシステムはない。だが、「ただほど怖いものはない」と言うように、これらのサービスは決してただではないのだ。誰かが払っているのである。

そしてその誰かとはまさに消え行く若い世代であり、彼らが払う高い税金によってこれらは賄われているのだ。しかし、このシステムの最大の欠点は次の世代の人口が増え続けて行くことを前提としている点だ。前世代の引退者への年金は今世代の労働者の税金が補っているのである。ということは次世代の人口が半減した場合、労働者一人当たりにかかる負担は二倍になってしまうわけだ。こんなことを永久に続けられないことは子供でもわかる。

そこでヨーロッパは第三諸国から大量の安い労働力を輸入して問題を解決しようとした。それが現在ヨーロッパを内側から揺るがす原因となっていることは言うまでもない。たかが数パーセントの少数派イスラム教にこれだけ脅かされているヨーロッパが、出生率の高いイスラム教徒に多数派の座をうばわれたならどういうことになるのか、想像するだけでも恐ろしい。

「我々こそがあなた方を変えるのだ。」ノルウェーのイマーム、ムラー・クレカーは2006年、オスロの新聞Dagbladetに書いた。「ヨーロッパでの発展をみてごらんなさい。そこではイスラム教徒が蚊のように増えています。西洋の女たちは平均1.4人しか生んでいないのに対して、同じ国々に住むイスラムの女達は3.5人も生んでいるのです。」そうして彼は次の言葉で締めくくった。「我々の思想があなた方のものより強力であるということが証明されるでしょう。」

果たしてヨーロッパは外側からも内側からもイスラム教に侵略されてしまうのだろうか? そしてヨーロッパのイスラム化が起きた後の世界はいったいどうなってしまうのだろうか?

次回はヨーロッパの宗教排斥、世俗化がもたらした悲劇について語りたい。

May 22, 2007, 現時間 10:00 AM

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