なんと本日ロンドンの真ん中で爆弾いっぱいに詰まったメルセデスベンツが二台、偶然近所で無関係の救急活動を行っていた観察力ある救助隊員によって発見され、間一髪のところで大型テロが阻止されるという事件があった。(以下6月30日付け読売新聞の記事より)

ロンドンのテロ未遂、“爆発物”積んだ2台目の車見つかる

 【ロンドン=本間圭一】ロンドン中心部で29日発覚したテロ未遂事件で、ロンドン警視庁は同日夜、テロ未遂事件に使用されたと思われる2台目の車両が見つかったことを明らかにした。
 同警視庁のピーター・クラーク対テロ部長らによると、ロンドン中心部のコックスパ通りから撤去された青色のメルセデス・ベンツから強烈なガソリンのにおいが漂ったため、同警視庁が調べたところ、車中から、燃料、ガスの容器、くぎが見つかり、不発の処理が行われた。
 車中で発見された爆発物と見られる積載物は、繁華街ピカデリー・サーカス近くで見つかった灰色のメルセデス・ベンツから発見された積載物と同様で、犯行が自動車爆弾を使った同時テロだった可能性が浮上した。複数のメディアは、事件の背後に国際テロ組織・アル・カーイダが存在するとの見方を示している。

この二台の車が発見されたのは両方とも偶然だった。以下ニューヨークタイムスの記事より。

最初の件では救急車の救助職員がハイマーケットにあるタイガータイガーというナイトクラブの外に駐車してあった緑系銀色のメルセデスから煙が出ているのを発見して警察を呼んだのがきっかけだった。 警察は爆発物を処理したがこの早朝の出来事を数時間後まで公表しなかった。

二つ目の爆弾が発見されたとの報道で緊張の一日がたってから金曜日の夜、警察はやっと高級住宅街のパークレーン通りで違法駐車していた青いメルセデスに爆弾がつまっていることが、罰金書が発行された上牽引されてから発見されたと確認した。交通係の職員は車からガソリンの臭いがしたと語っている。
この車が牽引されたのは午前3時30分のことで、最初の車が発見されてから約2時間後のことだったと警察は言っている。

さらにABCニュースによれば、警備カメラにメルセデスから飛び下りる男の映像がはっきり写っているという話だ。ロンドン警察当局によるとここ数カ月テロリストとして当局が見張っていた容疑者が何人か行方不明になっており、ほとんどは外国へ逃げたらしいと思われていたが、今回の事件の犯人はすでに当局によって知られている行方不明になっていたテロ容疑者の一人ではないかという疑いがある模様。
アルカエダの連中はあきらかに以前の2004年の7.7事件を記念して同時多発テロを狙っていたのだろうが、イギリスは新首相にかわったばかりでもあり、ブラウン新総理大臣の実力を試そうという動機もあったのかもしれない。
爆発物が見つかったタイガータイガーというナイトクラブには同時間少なくとも500人の客でにぎわっていたという。成功していれば何百人という死傷者がでたことは確実だ。
今回の事件が未然に防がれた理由は二つある。偶然にも注意力のある救急隊員や交通係の警察官が不振な車に気が付いたということが第一だが、もうひとつは爆弾そのものの不備だ。爆弾は携帯電話を使ってのリモコン操作になっていたようだが、車から煙が出ていたのに引火しなかったことや変なにおいがしていたという報告から考えて引火装置に問題があったと思われる。
ここ最近イギリスの対テロ政策により容疑者の動きが厳しく規制されていたことから、イギリスにいた上層部のテロリストが国外へ逃亡したとなれば、イギリス国内に残ったのは下っ端だけだったため自動車爆弾をきちんと設置できなかったのだと考えることもできる。だが発見が偶然だったというニュースはイギリス市民にはかなりの不安をもたらすことだろう。
ところでインタビューを受けたロンドンっ子たちのなかには、イギリスがイラク戦争で示した姿勢を考えればアルカエダの標的になるのは自然だと答えているひとがいたが、もしそれが原因だとしたら、アメリカこそがアルカエダテロの標的になるべきだ。しかしアメリカ国内で仕掛けられた爆弾が発見されたというニュースはきかない。それというのもアメリカ国内でのテロ組織の発見はテロリストたちの計画がそこまでいかないずっと早期のうちに皆発見されてしまうからだ。
例えば以前にも携帯電話を大量に購入しようとしたイスラム系移民が店員に怪しまれたことがきっかけで逮捕された事件や、国内の陸軍基地を攻撃しようと企んでいたテロリストたちがテロビデオをDVDに移そうとしてビデオ屋の店員に通報された事件、ニューヨークのケネディ空港を爆破しようと企んでいたテロリストが勧誘を受けた市民の通報で爆発物購入のずっと以前に逮捕された事件など、アメリカ国内でのテロ行為はどれも計画の早期で発見されている。
民主党やリベラルメディアがなにかとアメリカの対テロ政策を邪魔しているにも関わらず、911以後アメリカ国内でテロ攻撃が一度もおきていないことから考えて、我々には詳しいことは知らされていないが、アメリカの国土安全省は裏でかなり綿密な監視を行っているものと思われる。イギリスもアメリカに見習って対テロ政策にもっと力を入れるべきだろう。
それにしてもアメリカ国内のテロが未然に防がれたいくつかの事件や、今回のロンドンでの事件でも、偶然に居合わせた一般市民の注意力が幸いしている。ということは対テロ政策は政府だけに任せていてはいけないということだ。自動車爆弾や自爆テロの犠牲になりたくなければ、我々一般市民が常に注意深く自分らの環境を見守る必要があることをつくづく感じる。


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