「イギリスはシャリア法を適用すべき」イギリス国教カンタベリー大主教の発言が呼ぶ波紋、その1

昨日イギリス国国教会の最高指導者、『カンタベリー大主教が7日、英BBCラジオの番組で、英国内で「シャリア法(イスラム法)」を部分的に適用することは「避けられないと思う」と述べ』た話についてちょっと紹介したが、きょうはお約束どおり、ミスター苺の詳しい分析を参考にしてこちらでも考えてみよう。
人は神を信じなくなると….

人は神を信じなくなると何も信じなくなるのではなく、なんでも信じるようになる。

–とはG.K. Chestertonが 言ったとか言わないとかという話だが言ったとすれば名言だ。
イギリス国教教会の最高指導者であるローワン・ウィリアムス大主教は、険悪化するイギリス在住のイスラム教徒との関係を緩和するためにイスラム回教の法律であるシャリアをイギリス国内で適用すべきであると語ったが、これはおよそ神を信じる者の言うことではない。もしウィリアムスが旧約聖書に描かれている自由(個人が自由に人生を選ぶ権利)を愛する神を信じているならば、それとは全く正反対の概念を唱える宗教をイギリスが取り入れるべきだなどと言えるはずがないからだ。
となると自然に、ローワン・ウィリアムス大主教は本当に神様を信じているのだろうか?という疑問が生まれる。

普遍の正義を拒絶する大主教

ウィリアムス主教の考え方は、マルクス主義ともいえるほど全体主義だ。彼にいわせると世の中には多々の団体が存在するが、その関係は常に競い合う団体同士の力関係にあるというもので、政治上での葛藤は人数が多数を占める「有力な団体」と少数派の「無力な団体」に別れるというものだ。
シャリアをイギリスの法律に取り入れるべきと議論するためには、イスラム教徒が他の改革者と同じように民主的な改革を求めている団体であるかのように扱う必要がある。しかし無論イスラム教団体は民主的な改革など求めていない。彼等は意見があわない人間にファトワを発令し、信者に呼びかけて地下鉄を爆破したりしているのだ。このような理不尽な行為をウィリアム大主教はどう弁護しようというのか?
これはアメリカの黒人活動家のアル・シャープトンやジェシー・ジャクソンなどがよく使う手なのだが、有力な団体(多数派)のみが人種(宗教的)差別を行うことが出来る、という理屈を適用すれば、少数派によるどんな理不尽な行為も正当化することができる。無力な団体である少数派が多数派を差別するのはあたりまえ。これは力のある多数派が少数派を差別するのとは全く別な行為だとするのである。だから少数派が多少荒っぽい行為をしたとしても、(例えば自爆テロとか、、)他に手段がないのだから許されるという理屈になる。
こういう理屈はイスラエルとパレスチナとの紛争でもよく用いられることで、イスラエルが標的を絞った空爆で数人のテロリストを殺すと世間からやいのやいの言われるが、パレスチナのテロリストが自爆テロをやって無関係なユダヤ人を何十人何百人と殺しても、強力な軍隊を持つイスラエルとまともに戦っても勝ち目がないし、歴史的にしいたげられてきた無力な団体だから、パレスチナ人にはテロ以外に方法がないといって弁護される、というように起用される。
であるからウィリアムスはイスラム教徒の多少の横暴は見て見ぬ振りをしてやるべきだというのだ。たとえそれが異教徒を迫害する過激な行為のように見えたとしてもだ。裏を返せばここにカカシにはウィリアム大主教の「所詮イスラム教徒などキリスト教徒と同じ基準で判断するような存在ではない』という差別意識が伺われるのだが、ま、それはそれだ。
下記は大主教のお説教の一部である。難解な文章で直訳は無理なのでまとめるとこういうことになる。

I have argued recently in a discussion of the moral background to legislation about incitement to religious hatred that any crime involving religious offence has to be thought about in terms of its tendency to create or reinforce a position in which a religious person or group could be gravely disadvantaged in regard to access to speaking in public in their own right: offence needs to be connected to issues of power and status, so that a powerful individual or group making derogatory or defamatory statements about a disadvantaged minority might be thought to be increasing that disadvantage. The point I am making here is similar. If the law of the land takes no account of what might be for certain agents a proper rationale for behaviour — for protest against certain unforeseen professional requirements, for instance, which would compromise religious discipline or belief — it fails in a significant way to communicate with someone involved in the legal process (or indeed to receive their communication), and so, on at least one kind of legal theory (expounded recently, for example, by R.A. Duff), fails in one of its purposes.

ーーーー宗教上の憎しみが生み出す犯罪については、犯罪を犯した人間が所属する団体がどのくらい無力な立場におかれており、公共で発言する機会がどれほどあるのかを考える必要がある。犯罪は犯罪者の力と立場を考慮に入れて判断されなければならない。法律はその個人の行動がその個人が所属する団体において正しい行為かどうかを見極めてから判断するべきである。それをしないと、その土地の法律が犯罪者個人の所属する団体の宗教や教えに反するものであった場合に、その個人との正しい意思疎通は不可能となる。ーーーー
ユダヤ・キリスト教の基盤となる「普遍の正義」とは画期的な概念だ。それはたとえ犯罪をおかした者が王様であろうと乞食であろうと犯罪は犯罪であり、それは神の法律によって同じように裁かれるという思想である。ウィリアム大主教は「人々は誰も同じように神の法によって裁かれる」という西洋文化の基本となった宗教を投げ捨てて、イスラム教徒だけを特別扱いすべきだと主張しているのである。同じ犯罪をおかしてもイスラム教徒だけは別の法律で特別に裁かれるべきだというのだ。なにしろウィリアムスは英国に在住する他の少数派であるアイルランド人のカトリック法とか、フランス人移民のナポレオン法を適用せよとは呼びかけていないのだから。
西洋文化の土台となる「普遍の正義」というひとつの柱を破壊したウィリアムス大主教は、西洋文化を強く支えてきたもうひとつの柱、「個人主義」もなぎ倒そうとする。
その話は次回に続く。


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ヒラリー対オバマ、代議員数をめぐって壮絶な戦い

この間もちょっとお話したように、アメリカの大統領選挙は国民の直接投票で決まるのではなく、国民が選んだ候補者の代議員によって最終的な投票がされる。これは予備選挙やコーカスでも全く同じで、投票者によって決められるのは、どの地区の代議員がどの候補者に投票するかということなのである。だから実際にヒラリーに投票した市民のほうが多くても、オバマの方が多くの地域を勝ち取った場合、現在起きているように、オバマのほうが代議員の数が多くなるという不思議な現象がおきるわけだ。
となると、ヒラリーは民主党候補の正式な指名が決まる党大会までに、何とか多くに代議員を獲得する必要がある。しかしヒラリーの選挙運動は急降下を続けており、このままでは大幅にオバマを引き離すなど無理である。しかしヒラリーがここであきらめるはずがない。どんな汚い手を使ってでも党大会までに代議員の数を増やそうとするに違いない。
ではいったいヒラリーはどうするのだろうか。これまでにヒラリーのやり方から考えて、訴訟という手を使う可能性が非常に高い。ウォールストリートジャーナルで、セオドア・B・オルソンが面白いことを書いている。

事実、すでにクリントン上院議員は民主党の規則に反して一月に予備選挙を行い代議員を失格にされたミシガン州とフロリダ州の代議員に党大会への出場権を与えるように要求しているという。候補者たちはこれらの州で選挙運動はしないと同意していた。にも拘らずクリントン議員だけはミシガンの予備選挙投票書から名前を取り下げず予備選挙の勝利の日にフロリダ州訪問という演出をはかった。そしてどちらの州でも挑戦者なく大勝利を遂げたのである。彼女の選挙事務所は党の規則に反して彼女が勝ったこれらの州での代議員の出席を認めよというのである。彼女自身がこれらの州で選挙運動をしないという前約束をやぶっておきながらである。もちろん「すべての票を数えろ」というわけだ。

ゲームの途中でルールを変えて卑怯な真似をするのは民主党の専売特許だが、それが一番得意なのは何と言ってもクリントン夫婦。こうなったらヒラリーの次の手段はフロリダで民主党委員会相手に訴訟を起こし、フロリダの代議員が失格になったのは憲法違反だとか人権迫害だとかなんとかいちゃもんをつけることになるだろう。フロリダといえば、2000年にあの悪名高い大統領選挙の訴訟が起きた州である。この訴訟でヒラリーのいい分が多少なりとも聞き入れられれば、ヒラリーとオバマの代議員数のバランスが崩れる可能性は高い。
そうなった場合想像できるのは、何百という民主党の弁護士が集まってきて票をもう一度数え直せと主張するだろう。フロリダの予備選をやり直せなどという声もあがるだろう。2000年の大統領選の結果ではフロリダ最高裁判所を大批判した同じ人々が、今度は裁判所の判決を重んじるべきだと大騒ぎをし、反対側は突然連邦政府の大事さを唱えはじめるに違いない。そしてこの訴訟は連邦最高裁判所にまで持ち込まれるかもしれないのだ。
そんな風にして、もしもヒラリー・クリントンが勝ったとしたら、オバマの支持者たちが黙っているはずがない。マケイン候補の元に共和党がまとまらないなどという生易しいものとは比べようがないほど民主党はまっぷたつに割れてしまうだろう。
民主党のことを考えたら、ヒラリーはそんなことをせず、正々堂々と戦ってオバマに負けたら負けたで潔くあきらめるべきだ。しかしヒラリー・クリントンは自分のことより他人のことを考えるなんてことは今までしたことがない人だ。これから先もするはずはない。


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イギリス、カンタベリー大主教のイスラム教一部適用提案に懸念の声

ちょうどミスター苺がこの話をしていたので、ここでも取り上げようと思っていたら、イギリス在住の小林恭子さんのブログでも詳しい説明が載っているので、こちらでも紹介しておこう。
ことの起こりは、この間イギリス国教の大教祖ともいうべきカンタベリー大主教がイギリスでも一部イスラム回教法であるシャリアを取り入れるべきだと語ったことだ。カンタベリー大主教ともあろう人がイギリスの平和を乱しているイスラム教にここまで寛容というのは、寛容を通り越して愚かとしか言い様がない。まずは産經新聞の記事より。

英国国教会大主教「イスラム法部分適用」 「1国2制度になる」論争に 2月9日16時10分配信 産経新聞

英国国教会の最高指導者、カンタベリー大主教が7日、英BBCラジオの番組で、英国内で「シャリア法(イスラム法)」を部分的に適用することは「避けられないと思う」と述べ、大論争を巻き起こしている。
 大主教は、英国内の移民が持つ抑圧感を和らげるためには、すべての移民社会が公的手続きに参加できるようにすることが重要との認識を示し、「シャリア法の一部を適用することを考える余地がある」として離婚手続きを一つの例に挙げた。
 英国には約160万人のイスラム系移民が地域社会を形成しており、離婚や結婚では英国の司法体系とは異なるイスラム独特の手続きを取っている。英国と母国で一人ずつ妻を迎える例もある。
 シャリア法には、公開処刑やムチ打ちの刑、女性差別など人権問題に発展する内容も含まれているため、大主教は、過剰な刑罰や女性差別は認められないと強調した。
 しかし、1国2制度を認めると法の支配を根幹から揺るがしかねない。英首相官邸の報道官は「英国の法律に違反する行為をシャリア法で正当化することは認められない。シャリア法を民事裁判に適用すべきではない」と即座に大主教の考えを退けた。大主教周辺からも「発言は英国を驚かせた」などと批判的な意見が相次いだ。(ロンドン 木村正人記者)

これに関して小林さんは反対意見を述べておられるが、その一番大きな点は法の前ですべての人が平等ではなくなるということだろう。

私はいろいろな理由から、シャリア法を入れる、その考え方を反映させることに反対である。一つには、「法の前で英国民が平等」という原則が崩れる。何世紀もかけて、宗教と法を切り離してきた、世俗主義の流れに逆行する。何故イスラム教だけを特別とするのか?

例えばイギリスでは重婚は違反だがシャリアでは合法だ。人工中絶はイギリスでは合法だが社リアでは違法だ。となると同じイギリスにすんでいるイギリス人でも、イスラム教徒とそうでないひとたちは全く別の法律の元に生きるということになってしまう。これではイギリスに移住してきたイスラム教徒がイギリス社会に溶け込むなど無理である。

英国に居住する、ある女性は、「イスラム教徒の女性」という存在なのか、それとも「英国民の女性」という存在なのか?自分は「英国市民」という意識であっても、「イスラム教徒だから」と、別の決まり・法体系で扱われたら、どう感じるだろう?

 私はこれまで、欧州の中のイスラム社会・文化とホスト社会の文化との融合に関して考えをめぐらせてきた。ホスト社会がもっと変わるべきとも主張してきた。しかし、どこかで互いに結びつくための共通の価値観を共有することは非常に重要だし、これは譲れないものと思う。価値観の「同化」ではなく、互いに了解の上の、「共有」が肝心だ。
 現在の英国において、シャリア法の一部反映は社会をばらばらにするだけのように思える。

問題なのはウィリアムス大主教は個人を個人として考えず、その個人が所属している団体を単位にものを考えていることだ。ミスター苺にいわせると、大主教はもう神を信じていないに違いないという。彼が代表する宗教では神が決めた普遍の正義というものが存在する。だがイスラム教徒であれば娘が親が決めた相手以外の男性とつきあっているかもしれないという疑惑だけで娘を殺すことはシャリアで許されているが、無実の者を殺すことはアングリカン教では禁じている。これは殺人者がイスラム教徒であろうとキリスト教徒であろうと殺人の罪は罪なのであり、同じように罰を受けるべきという原則があるのだ。もし大主教がイスラム教徒は特別にこの規則から免除されるというのなら、ウィリアムス大主教は自分の神の決めた「普遍の正義」を信じていないということになる。つまり、ウィリアム大主教は神を信じていないのだ。

『人は神を信じなくなると何も信じなくなるのではなく何でも信じるようになる』

長くなるのでミスター苺の分析は明日から何編かに分けて掲載する。今日は一応簡単な紹介まで。


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米大統領選: 分裂する民主党を利用できないバカな共和党

ブローカーコンベンションを描いたゴア・ビダル原作の”The Best Man”(放題「最後の勝利者」1964)という映画があるが、民主党はこのままだと8月の党大会までに大統領候補指名が決まらず、党大会において代議員による投票で候補者を選ぶという本来の党大会の役割を久しぶりに見せてくれるかもしれない。
共和党の例でも分かるように、普通全国党大会での大統領指名発表は形だけのもので、すでに党大会に挑むまでの間に候補者は決まっているのがしきたりだ。しかし、土曜日に行われた三州での予備選の結果でもわかるように、民主党はヒラリーとオバマが接戦でどちらが候補になるのかさっぱり分からない状態にある。もし今年の8月にコロラド州はデンバーで行われる全国民主党大会までにヒラリーかオバマのどちらかに最低限の代議員の数が集まらない場合には、党大会において代議員が何度も投票してどちらかが過半数を超えるまで投票を繰り返さなければならない。ということは民主党は8月までヒラリー対オバマの壮絶な戦いが繰り広げられるわけだが、その間に肝心のマケイン候補への攻撃ができないことになる。
共和党の場合は、マケインが事実上の候補者であるから、8月までヒラリーとオバマが双方を攻撃しあうのを利用して双方があげ連ねる二人の欠点を繰り返して共和党の大統領候補として選挙運動をすることができる。これは共和党にとっては願ったりかなったりの状況である。
ただマケインにとっての目の上のたんこぶは福音書右翼のハッカビーである。勝てる可能性など全くないくせに自分の政治生命だけを考えてしつこく居座っているハッカビーをなんとか共和党大会までに撤退させないと、党大会までマケインは正式な候補としての活動ができなくなるからだ。マケインは、ここはロムニーと交渉してロムニーが獲得した代議員はすべてマケインに投票してもらうようにすることだろう。そうすればハッカビーは絶対に勝ち目がないので、今後の予備選でハッカビーに投票する愚か者を減らすことができるかもしれない。
苛立つのはマケイン大嫌いな極右翼がハッカビーのファンでもないのに、マケインに恥をかかせようと必死にハッカビー応援に回っていることである。ヒラリーが大統領になるかもしれないという時に保守派がそういうせこいことをやってる場合か、とカカシは問いたい!民主党がヒラリーとオバマに割れているのを利用して共和党は結託して民主党と戦うべき時に、くだらないプライドに負けて勝ち目のないハッカビーなど応援して何になるというのだ!これだから共和党は馬鹿党といわれるのだ!


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カカシさん、日本語が変よ

きょうは日曜日で特にお話することが思い浮かばないので、ちょっととりとめのない話をしよう。
私のブログの読者の方々からよく聞くのは「カカシさんの日本語は変だ」というご意見である。どういうふうに変なのかという具体的なことを指摘して下さる方が少ないので、どうすればいいのかちょっと困惑する。(コメンターのエマニュエルさんのように政府機関の名称や軍階級の訳が間違っているとか具体的なご指摘は非常に助かる、、でもマニーさん、お手柔らかに!)これは言い訳でもなんでもないが、はっきり言って言葉使いがおかしいのはカカシのみならず、最近はアメリカでも日本でも不思議な言葉使いをする人が増えていると思う。
最近の若いもんは手紙一つ書けん!
実は先日もらった30歳くらいの日本人男性からの手紙の終わりに、「前略、敬具とか難しい言葉つかえなくてすみません。」と書かれていたのをみて驚いてしまった。これは、私が面倒くさい挨拶を飛ばして「前略」ではじめて「敬具」で終わらせた手紙への返事だった。(注:コメンターの方から「前略」ではじめて「敬具」で終わるのはおかしいとご指摘を受けた後、自分の書いた手紙を読み直してみたら「かしこ」で締めくくってあった。相手の返事に「敬具」とあったのでてっきり自分で書いたものと勘違いしていた。)
「前略」という書き出しは、堅苦しい挨拶抜きで書く時の決まり文句だが、それを「難かしい言葉」と言われたのには驚いた。最近の若者は(30歳といえば十分に大人の社会人だが)いったいどういう教育を受けているのだろうと首を傾げてしまったのである。
しかしこういう傾向があるのは何も日本だけではない。この間も私は職場でメールの冒頭に”Dear Sirs,”と書いていたら、私より若い上司に「”Sir”というのは将校クラスの人につける敬称だから下士官に使ってはいけない」と注意された。私の手紙の相手が曹長の位だったので、彼は私が間違えたのだと思ったらしい。しかし間違っているのは上司のほうなのだ。普通アメリカで公式な手紙を書く場合、相手のことをよく知らない時は”sir”を使う規則になっているのだ。軍隊の位とは何の関係もない。私の若い上司はそういう常識を知らないのである。
そういえば最近もらうメールで、”Dear Kakashi,”ではじまって”Sincerely yours,”で終わるものをみたことがない。これは日本語でいえば「拝啓」と「拝具」の部類だが、メールだからなのか普通の手紙だったらそうではないのかよくわからないが、若い頃に秘書としての教育を受けたカカシとしてはこういうふうに何でも非公式になっていく傾向は全く好ましく思えない。
手紙を書くのが苦手な人には不思議な概念かもしれないが、昔ながらの手紙の書き方というのは手紙をかけないひとのためにあるのである。何故ならば、冒頭の季節の挨拶だの手紙の終わりに書く決まり文句などを覚えていれば、内容が希薄でも一応手紙として成り立つからだ。それを知らないと何もかも最初から考えなければならず、手紙を書くことが結構難かしい課題となってしまうのである。
法律家だった父が昔、新しく雇った若いアシスタントについて「最近の若いもんは手紙ひとつまともに書けん」と嘆いていたが、その時の「若いもん」とはカカシの年代のことを指していた。私が書いた手紙についても「カカシの手紙は字が汚い上に誤字脱字が多くて読めたもんじゃない」と言われたものだ。まさかこの年になって私も父と同じように「最近の若いもんは、、」というとは思っていなかった。(笑)
左翼に乗っ取られた教育制度
ミスター苺は職業が物書きなので文章はきちんと書く人だが、彼がいうに最近の若いもんが手紙ひとつ満足にかけないとしたら、それはひとえに左翼に乗っ取られた教育制度のせいだという。
私が高校生の頃はまだまだ詰め込み教育の真っ最中で、ゆとり教育なんて言葉は聞いたこともなかった。
今は冒頭しか覚えていないが「月日は百代の過客にして、行き交かふ年も又旅人なり。」とか「つれづれなるまゝに、日暮らし、硯に向ひて、心に移り行くよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ。」なんてのは無理矢理暗記させられた覚えがある。勉強大嫌いで日本での大学受験は完全に失敗したカカシでも一応このくらいは覚えているくらいだから当時の詰め込み方針もまんざら悪くなかったのかもしれない。
数学専攻だったミスター苺は昔、大学生に数学を教えていたことがあるが、その時理数系の学生ですら「証明」の意味が分かってない学生が多く驚いたといっている。「でもダーリン、幾何をやっていれば証明なんて当然でしょう?」とカカシが聞くと「ユークリッド幾何学ならね、でもそんなもの、今時教える中学校なんてないよ。」ミスター苺にいわせると、最近のアメリカの公立学校では数学をきちんと教えられる教師など存在しないという。なにせ他の学部で落ちこぼれた学生が教育学部に集まるので数学が苦手どころか数学恐怖症の人が多いのだそうだ。そんな人間に数学を教わる学生はいい迷惑である。数年前に教育学部の学生で分数の足し算ができない人に算数を教えてあげたことがあった。大学生にもなってなんでこんな算数ができないのだろうと不思議に思ったものだ。(なんでそんなやつが大学に受かったのだ?)
まさか日本の学校もこんなふうになってるんじゃないだろうなあ。
でもやっぱりカカシさんの日本語は変よ!
私が義務教育を受けたのはいまから?十年前なので、変な日本語を書く言い訳は全くないのだが、あるとしたら文章の書き方をきちんと習ったのはアメリカの大学へ行ってからだったということかもしれない。だから私は常に英語を念頭に置いて文章を書くため日本語の表現が不思議なものになってしまうのだ。
いつだったか、私は誰かに「それは真っ黒な嘘」といったことがある。「ちょっと待ってよ、それは真っ赤な嘘でしょう?」と言われて、あ、そうだっけ、と思い出した。英語では悪いことは黒と表現するからてっきり真っ黒だと思い込んでしまったのだ。もっともこういうことはよくあることで、私は日本語のことわざと英語のことわざが混合してしまうことが少なくない。ある時私は「ない袖は振れない」といいたくて、”I can’t shake a sleeve I don’t have.”と言ってアメリカ人に「なんじゃそれ?」という顔をされたことがある。(笑)
そういういい加減な日本語を書いているカカシが「最近の若いもんは、、」なんていう資格は全くないのかもしれない。言葉なんてものは時代と共に変化するもので、いつまでも抵抗していても意味はない。特にネットでのチャットや携帯電話のテキストメッセージなどによる略語が普通の文章にもはいってくるようになれば、さらに我々の話し言葉も書き言葉も変化していくことだろう。
確かにカカシの日本語は変だが、それより分けの分からない日本語がさらに横行するようになるのは時間の問題なのだろう。


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政府政策に頼らず中国製品をボイコットしよう!

最近中国製冷凍食品の餃子から殺虫剤が発見されたとして日本では大騒ぎになっているが、中国からの危険な製品は世界中で分かっているだけでも何百人という死者を出している。原因不明で病気になっている人たちを数えたらどのくらいの被害が出ているのか想像を絶するものがある。
アメリカ政府も日本政府も中国製品に厳しい基準を課し、輸入規制をおこなってはいるというものの、我々の口に入るものが必ずしも安全であるという保証がないことは、今回の事件で明らかだろう。
では消費者としてはいったいどうすればいいのだろうか?
私は一消費者として、政府の政策など待っている余裕はないと考える。中国は共産主義独裁政権ではあるが、中国という国が世界の自由市場を無視できるほど偉大な存在ではない。彼等は国内の国民に毒製品を無理矢理食べさせる力を持つかもしれないが、諸外国の消費者に無理矢理に危険な商品の購入を強制することなどできないのだ。
2003年にフランスがイラク戦争に反対して、あからさまにアメリカを敵にまわした時、アメリカ市民は自発的にフランス製品をボイコットしはじめた。これはブッシュ政権の政策とは無関係であり誰かが市民に呼びかけたというものでもない。ただフランスの裏切りに腹をたてた一般のアメリカ市民が個人的に行った抗議に過ぎなかった。当時フレンチフライと呼ばれていたフライドポテトが一時的に「フリーダムフライ」と呼ばれるようになったのもその影響だ。
苺畑夫婦に限っていわせてもらえば、イラク戦争に反対した国の製品は極力買わないことにした。先ずフランスワインやチーズの購入をいっさい止めた。ロシアのウォッカからフィンランドのものにかえるなどをして小さな抵抗をはじめた。この消費者によるボイコットはかなり効果があった。
国内で商売をしていたフランス系企業はすぐにこの影響を感じた。フランス名のついていたホテルでの宿泊数が激減したため、あるホテルは自分のところはフランス経営ではなくカナダ経営だと宣伝広告を出さなければならなかったほどだ。このサイトではどの企業がフランス経営かというリストが掲げられている。
しかし一番ボイコットの悪影響を感じたのは何と言ってもフランスワインだろう。ボイコットの影響を調査したスタンフォード大学ビジネス科卒業生のラリー・チェバスとフィリップ・レスリー(Larry Chavis and Phillip Leslie, Stanford Graduate School of Business)によると、2003年から始まったフランスワインのボイコットによってピーク時にはワインの売れ行きが26%も落ちたとし、ボイコット中の6か月で平均13%減が記録されたという。この間におけるフランスワイン企業のアメリカ国内での損失は合計1.12億ドル($112 million)となった。
ボイコットではないが、昔クラーク・ゲーブルが「或る夜の出来事(1934)」でワイシャツを脱いだ時、ランニングシャツを着ていないたくましくセクシーな胸があまりにも印象的で、いっぺんにランニングシャツの売れ行きが落ちたなんて話もあるぐらいで、(18年後に「欲望という名の電車(1952)」でマーロン・ブランドのランニングシャツ姿が人気を呼んで売れ行きが盛りかえしたというオチもある。)消費者の力は馬鹿にできない。
日本政府が重たい腰をあげるのを消費者は黙って見ている必要はない。我々にできることからはじめればいいのだ。確かに中国製品は色々なところに混ざり込んでいるので全てを避けるのは難かしい。しかし先ずは直接口に入る食料製品や子供が使う玩具などから避けていくことはそれほど難かしくないはずだ。アメリカのフランスワインボイコットと違って中国製品ボイコットは文字どおり命がかかっているのである。直接体に害をもたらす製品へのボイコットは単なる政治的な動機よりも深刻なはず。
中国への制裁は政治的な圧力だけでは不十分である。一番彼等が痛いところをつくのが効果的なやり方なのだ。それは何と言っても中国の経済を突くことである。独裁共産政権を罰したければ世界の自由市場の力で制裁してやればいいのだ。それが幼稚な中国を成長させる最適な方策である。


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ロムニーの撤退。共和党はマケイン支持に一致団結せよ!

今、ワシントンDCにおいてCPACと呼ばれる保守派の会が行われている。本日ロムニーの演説が予定されていたので、もしかして撤退表明はその時にするのではないだろうかと思っていたら案の定だっった。

(CNN) 米大統領選の共和党指名争いで、マケイン上院議員に次ぐ2番手となっていたロムニー前マサチューセッツ州知事(60)が7日、選挙戦からの撤退を表明した。これにより、同党の候補指名はマケイン氏が獲得することがほぼ確実となった。
ロムニー氏はワシントンで開催された保守派の会合で、「自分のことだけを考えるなら、続けていただろう。だが私は、アメリカを愛しているからこそ名乗りを上げたのだ。われわれの党と国家のために、身を引くべきだと考える」と語った。
ロムニー氏はまた、対抗してきたマケイン氏について、「いくつかの問題では私と意見が異なるが、イラクでの成功と、国際テロ組織アルカイダ指導者オサマ・ビンラディン容疑者の捜索のために全力を尽くすこと、アルカイダとテロを撲滅することでは一致している」と述べた。

ミスター苺は、これはロムニーのした演説のなかでも一番良いものだったのではないかという。「こういう演説を常にしていれば、この演説をしないですんだかもしれないのに。」
保守派大会に集まったロムニーの支持者たちはロムニーが、票差はまだ挽回できる最後までがんばろう、という演説を期待していたため、演説の途中までロムニーが撤退宣言をするとは思っておらずびっくりしてブーイングをする人たちもいた。しかしロムニーがこの時期に潔く「党のため、ひいてはアメリカのために」身を引くと宣言したことは本当に共和党にとっても国にとってもそしてロムニー個人の政治家としての将来のためにも懸命な決断だったと思う。
先ず共和党にとっての利点といえば、早期に候補者が決まった方が党のまとまりがつくし、有権者がひとりの候補者に慣れるという点があげられる。このままロムニー対マケインの辛辣な戦いが9月頃まで続いて党大会まで指名が持ち越されたら、結果的にどちらに落ち着いても一般の有権者には共和党はまとまりがないという印象を与える。また、予選中に暴露された候補者の弱点への記憶が有権者の記憶にまだ残っていることもあり、ライバル政党の候補者に悪用される可能性は十分に考えられる。仲間同士の争いを早めに終わらせてマケインが共和党の候補者として党が一体となって何か月も選挙運動をするのは非常に好ましい状況だ。時とともに共和党の保守派もいったい何が一番たいせつなのかを考え直すことができる。
ロムニーが熱弁を振るったイラク戦争の大切さだが、何と言ってもこれが今のアメリカにとって一番大切なことだ。ブッシュ大統領ははからずも戦争時代の大統領となった。戦争は始めた以上は勝たねばならない。たとえそれが誰の政権で始まった戦争であるにしろ、アメリカがはじめた戦争は後継のアメリカ大統領が責任を持たねばならないのである。民主党が政権を握れば、それがオバマにしろヒラリーにしろ、この戦争は敗戦となる。どんな口実を使ってアメリカ軍を撤退させようと任務が終わっていないうちの撤退は退散としか受け取られない。今のアメリカはテロリストに負け犬と見られる余裕はないのだ。そんなことをすれば必ず数年のうちにアメリカ国内で大規模なテロが起きるだろう。民主党がブッシュ大統領による対テロ国内政策をことごとく反対してきたことからも、アメリカの軍隊だけでなく諜報機関にも手かせ足かせがはめられ、国土安全保障など投げキッスをしてさよならである。
ロムニー個人についていうならば、党の将来やアメリカの安全を自分の政治生命よりも優先させたという奥ゆかしい人格が買われ、次回の大統領選挙ではロムニーのモルモン教など問題にならず候補者として好意的に受け取られるだろう。今回のことで十分に名前は売ったし、マケインと違ってロムニーはまだ若い。民主党が勝ったら4年後に、マケインが勝ったら8年後にまた候補に出馬することが出来る。
ロムニーの感動的な演説の後にマケインが同じ会場で同じ観客を前に演説をした。この会場に集まっている人々はマケイン大嫌いの保守派が主である。去年の集会ではマケインは出席していない。今回の大会でマケインが演説することはずっと前から決まっていたが、保守派の参加者の間ではマケインの演説中にヤジを飛ばしてやると公言していた人たちまでいた。であるからマケインが舞台に立った時の観客の雰囲気は決して好意的なものではなかった。
先ずマケインは去年の大会に欠席したことについて、決して敵意からくるものではなく大統領候補として立候補する準備に追われて忙しかっただけだと弁明した。しかし今回は違うとし、自分が共和党候補として指名されるならば、クリントン議員やオバマ議員に勝つために保守派の支持は必要不可欠であると語った。

皆様の多くが私がここ数年とってきた立場に強く反対しておいでです。それは十分に理解できます。私には皆様と同意出来ないこともありますが、私はその元となる皆様の信念には敬意を評します。そして時として私の行動が保守派の同胞の皆様の常識から外れたとお考えの方々にも、私が多くの意味で保守派としての実績を守ってきたことを認めていただきたいと切に願うものであります。

マケインは自分が保守派であることを誇りに思うと語った。自由とは創造者(神)によって与えられた権利であり政府によって与えられるものではないという基本的な価値観や信念はより保守派の人々と同じだと語り、宗教右翼の観客に自分の価値観が決して彼等と異質なものではないことを強調した。
特に保守派が尊敬してやまない故ロナルド・レーガンの信念を引き合いにだし、自分が若い頃からどれだけレーガンを尊敬していたか、レーガンが1975年に語った『政党はすべての人々の全てであることはできない。政党は基本となる信念を代表し、それは議席が増えることや政治的な便宜で妥協されてはならない。』という信念にどれほど従ってきたかを語った。
マケインはベトナム戦争時代、海軍将校で戦闘機のパイロットだったが、彼は行かなくてもいい戦闘に志願して途中で撃ち落とされ北ベトナムで8年間も捕虜となっていた体験のある人だ。マケインが最初にCPACに参加したのは彼が海外から帰国した直後で、ロナルド・レーガンに招待されてのことだ。彼はその時のレーガンの演説に感銘を受けたという。

私はレーガン革命の一歩兵として政治界に入ったことを誇りに、非常に誇りに思っています。そして私が取ったいくつかの立場がその政治的伝統を忘れたかのように思われたとしたら、私は決して忘れていないと保証します。私は当時そうであったように今も(保守派との)関わりを誇りに思っています。

マケインは自分の政治的実績は全体的に見れば保守派の信念に沿っているとし、小さい政府、国家経済の責任、低い税金、法を貫き通す裁判官など政治的な面と共に、保守派が非常に大切と考えている社会面でも、生きる権利(人工中絶反対の意味)命、権利、自由、幸せへの遂行というアメリカの基礎的価値観を信じて守ってきたことを強調した。
ここで彼は保守派の間から非常な反感を買った移民問題をとりあげた。マケインが移民と言ったとたんに観客席からはヤジやブーイングが飛んだが、マケインは笑顔でそれに対応。違法移民に関する自分の意見が選挙運動には不利であることは知っていたが自分は信念を守りとおしたとした上で、マケインは保守派の人々の反対意見も尊敬すると語った。
マケインは移民問題を解決するために自分の議案は正しいと考えていたが、議案が失敗したことを教訓として、先ず国境を守ることが先決であることに気が付いた。大統領になった暁には国境防御を優先させ、移民受け入れは国境が十分に守られたと国民が納得してから取り組むと公約した。
マケインがここまで言うと、最初にヤジを飛ばした同じ観客たちが一斉に拍手をして声援を送った。この演説の模様を朝日新聞

その保守派が主催するこの日の会議でマケイン氏はロムニー氏に続いて姿を見せ、「私のこれまでの歩みは保守本流」と強調したが、聴衆の中には拍手をしないどころか、演説を通じてそっぽを向き続ける人が少なからずいた。

などと書いているが、これは真っ赤な嘘である。
要するにマケインはひとつふたつの意見の違いではなく、長年に渡る自分の保守派としての実績から自分を判断して欲しいと強調しているわけだが、私にいわせたら彼の長年の実績こそが保守派とはかなりかけ離れたものがあると思う。しかしながら、今はそういうことを言っている時ではない。意見の違いよりも同意できる点に焦点をあてて、マケインがどれほど民主党議員よりマシかということを考えなければならない。
マケインは民主党が政権を握れば候補者が誰であろうとアメリカは後退すると強調した。そうなれば政府が個人の生活に干渉し、国家安全もおざなりにされ、アメリカは再び危険な立場に陥ると。共和党と民主党の違いはささいなものではなく、このように大きなものなのだと。
マケインが擧げた民主党候補と自分の違いは次の通りだ。

  • クリントンもオバマも税金を上げ、連邦政府の規模を拡大する。
  • 私は(税金を)下げるつもりです。先ずはブッシュ減税を永久なものとするところからはじめます。企業税金の率を35から25%にさげ、国内の企業と職を留まらせます。私は最低税金を終わらせます。そして民主党議会の税金引き上げによって経済を行き詰まらせるようなまねはさせません。

  • 民主党は健康保険の問題を政府の役割を拡大することで解決しようとする。
  • 私はこの問題は自由市場によって解決するつもりです。そして個人が大事な選択を自分で出来るような自由を尊重します。

  • 民主党は国民から選挙を通じて支持を得られない政策の変更を、自分達に都合のいい裁判官を選ぶことによって裁判を通じて得ようとする。
  • マケインは自分は法律を守ってきた実績のある裁判官を任命するとし、ブッシュ大統領が最高裁判官として候補にあげているロバーツ裁判官やアリート裁判官を名指しして、人々の権利や資産を守るような裁判官を任命すると語った。ここでマケインがアリート裁判官の名前を出したのはマケインが保守派が尊敬するアリート裁判官を侮辱したというデマがまことしやかに流れたことへの反応だ。マケインは過去に民主党と結託してブッシュ大統領が候補にあげた保守派裁判官の議会承認を拒否している。これに対して少なからず腹を立てているのはカカシだけではない。マケインが本気で保守派裁判官を任命するつもりなのだとしたら、これにはかなりの説得が必要となる。しかし一応ここで公約したからにはそれなりの意味があるというものだろう。

  • クリントンもオバマも戦況を無視して政治的な理由でイラクからアメリカ軍を撤退させる。これは無思慮に人々の命を危険にさらし我々の国土安全を脅威にさらすことになる。
  • 『私はこの戦争に勝つつもりです。』マケインは現場の司令官たちの勇気と自己犠牲と誇りを尊敬するとし、これまでに失った尊い命に心をいためるとし、他のどの候補者よりも自分は戦争の苦しみを理解できるとした上で、イラクで負けたならばもっとひどい損失を味わうことになる、これまでの犠牲を無駄にすることになる、自分は絶対にそのようなことはさせないと約束した。

  • 民主党はイランの核武装がもたらすイスラエルや地域への脅威に真剣な対応をしない。
  • マケインはイランのイスラエルとアメリカを破壊しようという悪徳な野心を絶対に許さないと、はっきりイランに明確に示すつもりだとした。

  • クリントンもオバマもアメリカが過激派テロリストに狙われるのはアメリカに原因があるという外国の批評家の意見に屈する。
  • マケインは適切な政府機関を起用して常に攻撃的に我々が大切であると考える全てのことを憎むテロリストと戦う意志をはっきりさせた。これは「令状のない盗聴反対」などと言って、ことあるごとにアメリカのテロ対策から骨抜きにさせようとする民主党への真っ向からの挑戦だ。
    マケインは自分と保守派層との間で多くの意見の違いがあったことは事実だとしながらも、民主党との違いに比べたら同意できる点の方が多いはずだ、そのことに注目してほしいと訴えかけた。今後も意見が衝突しても同胞の保守派に常に相談し同意を求めるつもりであり、自分が間違っていると感じた場合には素直にその過ちを認めるつもりだ。自分が正しいと信じた場合にはその信念を貫きとおすつもりだ。しかしその場合にも自分が一番優先するのはアメリカとその自由を保証することであると強調した。
    この演説を生で聴いていたミスター苺はすばらしい演説だったと言っている。最後の方では保守派の観客たちが立ち上がって声援を送ったという。パワーラインでビデオを見ることできるので、最後の2〜3分だけでも見ていただければ観客の好意的な反応が伺える。
    マケインがこのような演説を今年の11月まで繰り返せば、これまでマケインは鼻をつまんでも投票できないとか、マケインが共和党候補なら政党登録を民主党にしなおしてヒラリーに入れるなどとだだをこねていた保守派の意見も緩和できるだろう。ここは共和党は一致団結して民主党打倒のために戦わねばならないのだ。


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    小浜市が同名にあやかってオバマ候補を応援

    本当にどうでもいいニュースなのだが、オバマ氏のファンサイトでみつけた記事を添付。

     米大統領選の候補者指名争いの盛り上がりに伴い、民主党有力候補のオバマ氏と発音が同じ福井県小浜市で同氏への注目が高まっている。4日には観光協会員らが「オバマ候補を勝手に応援する会」を発足させた。ホテルに応援ポスターを掲示したほか似顔絵まんじゅうなどの発売も検討中という。

     オバマ氏は5日のスーパーチューズデーを経てもクリントン候補との大接戦が続いている。同会の藤原清治事務局長(55)は「ぜひ大統領になって、小浜に来てほしい」とエールを送る。
     こうした動きは一昨年末に市民から市役所に届いた1通のメールがきっかけだ。「来日したオバマ氏が『小浜市から来た』とジョークを言ったとの話をテレビで見た。(市の宣伝の)お礼をしては」との内容で、発言の真偽は確認できなかったが市は昨年、市長名の手紙と名産品の若狭塗りばしを贈ったという。

    まったくオバマ市の政策も全然しらないくせに発音が同じだというだけでここまで大騒ぎできるというのもおめでたい。


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    灰の水曜日ならぬ灰色の水曜日

    ふとっちょの火曜日と言われるマーディグラ(Mardi Gras)の翌日は灰の水曜日なのだが、今日は共和党保守派にとっては灰色の水曜日となった。がっくり、、、、昨日のスーパーチューズデーの結果は共和党はジョン・マケインの大勝利だった。
    ということは共和党の保守派はいつまでごねていないで、ここはマケイン支持に心をひとつにして民主党と立ちむかわねばならない。
    私はマケインは好きではない。しかしイラク戦争はアメリカにとって非常に大切な戦争であり、この戦争を途中で放り出して世界中のテロリストたちにアメリカはやっぱり腰抜けだとあなどられたりしたらそれこそ大悲劇である。それを防ぐという理由だけでもマケインに大統領になってもらう価値は充分にある。
    苺畑夫婦はロムニー支持で我々はそのように投票したが、カリフォルニアは圧倒的にマケインに傾いた。我々夫婦は予備選が始まるずっと前からミット・ロムニーを支持していたのだが、保守派の間ではフレッド・トンプソン、マイク・ハッカビー、ミット・ロムニーそしてルディ・ジュリアーニの間で票が割れてしまい一人の保守派候補に早期の支持がまとまらなかったことが一時は終わりといわれていたマケインが盛りかえした原因である。
    ここで面白いのは、共和党の保守派の票が割れてしまったというのは分かるとしても、共和党でこれだけリベラルのマケインを支持する人がいたということは、共和党は我々が考えているほど保守的ではなという意味ではないだろうか?
    では火曜日終了後のスコアはというと、上院議員のジョン・マケインが合計707人で指名に必要な1191人の60%を獲得。元マサチューセッツ州知事のミット・ロムニーが294人、元アーカンサス州知事のマイクハッカビーが195人となった。これでマケインの候補指名は間違いないだろう。
    民主党のほうは昨日も書いた通り、ヒラリーとオバマの差はたったの26人。まだ残りの139人の配分が決まっていないからどっちに転ぶか全くわからない。ヒラリーはいまのところ必要な2025人のうち1045人を獲得。二位のオバマは960人と接戦である。
    ヒラリーとオバマの指名が党大会まで決まらないと、ヒラリーはスーパー代議員を動員することが出来る。スーパー代議員は現職の議員たちで彼等は圧倒的にヒラリー支持。こういうやりかたでヒラリーが勝つとオバマ支持の黒人票がヒラリーに激怒して一般選挙で投票をボイコットなんてことになりかねない。
    なにはあともあれ、共和党も民主党もまだまだ大変である。


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    いよいよスーパーチューズデー!

    PST2330: アメリカ西海岸時間午後11時30分現在:
    括弧内は代議員の数。WTA とは勝者が州の選挙代議員を全員獲得するという意味。Democrats = 民主党、Republicans 共和党。カリフォルニアとミズーリはまだ接戦で分からないようだ。リアルクリアポリティクスのまとめでは下記ようにになっている。
    共和党
    マケイン:アリゾナ、コネチカット、デルウェアー、イリノイ、ニュージャージー、ニューヨーク、オクラホマ
    ロムニー:、マサチューセッツ、ノースダコタ、ユタ、モンタナ
    ハッカビー:アラバマ、アーカンサス、ゴージア、テネシー、ウェストバージニア
    民主党
    クリントン:アーケンサス、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、オクラホマ、テネシー
    オバマ: アラバマ、コネチカット、デルウェアー、コロラド、ジョージア、アイダホ、ケンタッキー、ミネソタ、ノースダコタ、ユタ。
    代議員の詳細は下記:
    ALABAMA (Democrats: 52; Republicans: 45)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mike Huckabee
    ALASKA (Caucuses – D: 13; R: 26)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    ARIZONA (D: 56; R: 53)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: John McCain
    ARKANSAS (Dems: 35; GOP: 31)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: Mike Huckabee
    CALIFORNIA (D: 370; R: 170) 
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: John McCain
    COLORADO (Caucuses – D: 55; R: 43)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    CONNECTICUT (Dems: 48; GOP: 27 WTA)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: John McCain
    DELAWARE (Dems: 15; GOP: 18 WTA)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: John McCain
    GEORGIA (Dems: 87; GOP: 72)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mike Huckabee
    ILLINOIS (Dems: 153; GOP: 57)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: John McCain
    KANSAS (Caucus – D: 32)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    MASSACHUSETTS (Dems: 93; GOP: 40)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    MINNESOTA (Caucuses – D: 72; R: 38)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    MISSOURI (D: 72; R: 58)
    REPUBLICANS: John McCain
    MONTANA (Caucus – R: 25)
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    NEW JERSEY (Dems: 107; GOP: 52 WTA)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: John McCain
    NEW YORK (Dems: 232; GOP: 101 WTA)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: John McCain
    NORTH DAKOTA (Caucuses – D: 13; R: 26)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    OKLAHOMA (Dems: 38; GOP:38)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: John McCain
    TENNESSEE (Dems: 68; GOP:52)
    DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
    REPUBLICANS: Mike Huckabee
    UTAH (Dems: 23; GOP: 36)
    DEMOCRATS: Barack Obama
    REPUBLICANS: Mitt Romney
    WEST VIRGINIA (GOP state convention: 18 WTA)
    REPUBLICANS: Mike Huckabee (18)
    PST2303: アメリカ西海岸時間午後11時03分現在:
    オバマ氏13州、クリントン氏8州で勝利、米大統領選
    下記はCNNjpの記事より。これでは民主党は歴史始まって以来かなり久しぶりに、全国党大会で候補が指名されるブローカーコンベンンションになってしまうかも。

    米大統領選で民主、共和両党の指名候補争いの天王山となるスーパーチューズデーの投票は5日実施され、CNNの独自集計によると、民主党ではヒラリー・クリントン上院議員とライバルのオバマ上院議員が接戦を演じている。2人の一騎打ちは長期戦の様相ともなってきた。

    クリントン氏は当初、全米の支持率でオバマ氏を大きく引き離していたが、オバマ氏がここに来て追い上げる勢いを見せ付けている。

    PST1908: アメリカ西海岸時間午後7時13分現在:
    下記はAPより、括弧内は代議員の数。Dems = 民主党、GOP=共和党。共和党でハッカビーが取った州では、マケインの支持者たちがロムニーに勝てないと知ってハッカビーに投票したことが原因。ま、こういうことコーカスではよくあることなので特に汚いやり方ではないが、絶対勝てないハッカビーがいつまでも居るためにロムニーとしては非常に迷惑。ハッカビーはマケインの副大統領になりたいのかも。
    ALABAMA (Dems: 52; GOP: 45)
    DEMOCRATS: Obama
    REPUBLICANS: Huckabee
    ARKANSAS (Dems: 35; GOP: 31)
    DEMOCRATS: Clinton
    REPUBLICANS: Huckabee
    CONNECTICUT (Dems: 48; GOP: 27 WTA)
    REPUBLICANS: McCain
    DELAWARE (Dems: 15; GOP: 18 WTA)
    REPUBLICANS: McCain
    DEMOCRATS: Obama
    GEORGIA (Dems: 87; GOP: 72)
    DEMOCRATS: Obama
    ILLINOIS (Dems: 153; GOP: 57)
    DEMOCRATS: Obama
    REPUBLICANS: McCain
    MASSACHUSETTS (Dems: 93; GOP: 40)
    REPUBLICANS: Romney
    DEMOCRATS: Clinton
    NEW JERSEY (Dems: 107; GOP: 52 WTA)
    REPUBLICANS: McCain
    DEMOCRATS: Clinton
    NEW YORK (Dems: 232; GOP: 101 WTA)
    DEMOCRATS: Clinton
    REPUBLICANS: McCain
    NORTH DAKOTA (D: 13; R: 26)
    DEMOCRATS: Obama
    OKLAHOMA (Dems: 38; GOP:38)
    DEMOCRATS: Clinton
    REPUBLICANS: McCain
    TENNESSEE (Dems: 68; GOP:52)
    DEMOCRATS: Clinton
    UTAH (Dems: 23; GOP: 36)
    DEMOCRATS: Obama
    REPUBLICANS: Romney
    WEST VIRGINIA (GOP state convention: 18 WTA)
    REPUBLICANS: Huckabee (18)
    PST0708: アメリカ西海岸時間午前7時8分現在:
    昨日は仕事が忙しく、帰宅したのが午後7時過ぎ。ドアをあけた途端に電話のベル。受話器の向こうは録音の選挙運動。「有権者の皆さん、〜〜候補に清き一票を!」てな感じの音声が流れたのですぐに切った。自宅で仕事をしているミスター苺は「この調子で今日は一日何十回も電話が掛かってきて仕事にならなかったよ。」と言う。
    日本の街頭スピーカーもうるさいが、アメリカの電話の選挙運動もかなりわずらわしい。テレビやラジオのコマーシャルは仕方ないとしても、電話でわざわざ呼び出しておいて録音宣伝というのは非常に腹が立つ。
    いよいよ本日はスーパーチューズデーで、苺畑夫婦の住むカリフォルニアも選挙である。選挙結果は分かり次第更新するつもり。


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