December 22, 2007

海自のBMD装備は税金の無駄使いなのか?

このあいだの海上自衛隊護衛艦「こんごう」による日本の防衛にとって岐路ともなりうるBMD迎撃実験の成功で、またぞろ海自のBMD装備が一発20億円で金がかかり過ぎるとか、北朝鮮には600発ものノドンミサイルがあるのに、たかが八発くらいしかミサイル装備できない護衛艦など装備しても無駄だとかいう議論がまたぞろ頭をあげてきた。

しかし私にいわせてみれば、ノドン一発が日本本土に撃ちこまれた場合の被害を考えたら、SM3ミサイル一発くらい安いもんだろうと思う。それに相手の武力がこちらより勝っているから無駄な抵抗はするなという考えには全く賛同できない。相手が強すぎたらそれに見合う防衛を装備すべきだと考えるのが常識ではないのか? 護衛艦が二隻で足りないのなら、もっと多く備えればいいではないか。相手が手強ければ守りをさらに固めるのが理屈だろう、それを相手が手強いから戦わずしてあきらめろとは大和魂は何処へ行ったのだとききたい!

ところでBMDは実社会では全く役に立たないという人がいるが、いったい彼等はなにを根拠にそんなことをいうのだろう。下記などはその典型的な意見だ。

これは、予めイージス艦「こんごう」が飛んで来る標的ミサイルに届く位置で待ち構え、標的ミサイルが何時頃どの辺に飛んで来るか知っていたから出来たことだ。

しかも、実験用の標的ミサイルは北朝鮮や支那の弾道ミサイルよりも大きくてスピードが遅い。

こういうことをいう人は科学的実験というものを全くしらないとしか考えられない。中距離ミサイルが撃ち落とせるかどうかを調べる実験で標的ミサイルに届かない位置で待ち構えて何の実験になるというのだ?実際に飛んできたミサイルを察知し最後までトラックして撃墜することができるかどうかという実験をしているのだから、ミサイルの届く位置で待機しているのは当たり前だ。

これがうまくいったのだから、北朝鮮のノドンが飛んできそうな場所に一隻、二隻などといってないで、もっと多くの護衛艦を配置すればいいではないか。護衛艦一隻では守りきれないから全く守らないというのは本末転倒だ。

それにテスト用の標的が実際のミサイルよりも遅いというのはいったい何を根拠にしているのだろう?標的は北朝鮮のノドンを模擬したミサイルのはずでスピードも本物と同じはずだ。そうでなければこんな実験は意味がない。

北朝鮮がもしも本気で日本を攻めた場合、北朝鮮の経済力と日本の生産力を考えれば長丁場の戦いでは敵に勝ち目はない。ということは、日本がアメリカの真珠湾攻撃で狙ったように、最初の攻撃で相手に圧倒的な打撃を加えて相手の戦意を落として早急に占領してしまう以外に手はない。それが日本のBMD迎撃によって当初のミサイル攻撃の出鼻をくじかれれば、北朝鮮はそれ以上の攻撃を日本に仕掛けてくることは不可能になる。

戦略的に考えても北朝鮮が自分らの持っているミサイルを最初の段階で全てほとんど同時に日本に撃ち込むなどということは不可能である。経済力のない北朝鮮にとってミサイル一発撃つのも慎重なはず。それがやたらに撃っても撃ち落とされるとなっては、そう簡単に日本を攻めようなどという気もなくなるだろう。

もともと軍隊というものは保険のようなもので、使わないですむならそれに越したことはない。だが、以前にも書いたように戦争というものは敵側が勝てると思うから攻めてくることが多いのだ。北朝鮮が日本相手の戦争に勝つためには当初の攻撃で圧倒的な勝利をおさめる必要がある。それができなければ日本からだけでなく、アメリカからも報復攻撃が即座に行われるからだ。しかし当初の攻撃がBMDによって迎撃されるかもしれないとなれば、北が日本を攻める可能性は極端に減るのである。

BMDは税金の無駄使いだという輩はそうしたことを先ず考えるべきだろう。

アップデートミサイル防衛、本格稼働へ 対処要領改正を閣議決定(12/24 10:57)

 政府は24日の閣議で、イージス艦に搭載する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が先の実験成功で配備可能になったのを受け、他国が弾道ミサイルを発射した場合の対応を定めたミサイル防衛(MD)計画の緊急対処要領改正を決定した。

 主な改正は(1)弾道ミサイルの破壊方法にSM3を追加(2)MD関係部隊の行動範囲を首都圏に限定しない(3)原子力発電所の被害に備え、弾道ミサイル発射時などに連絡を取る省庁に経済産業省を追加−の3点。これで陸上配備の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)に加え、SM3も法的に迅速な運用が可能となり、MD計画は本格稼働する。

 これまでの緊急対処要領は、首都圏をカバーする航空自衛隊の第1高射群・入間基地(埼玉県)などのPAC3に対応していた。

 政府は2005年の自衛隊法改正でMDの法的枠組みを整備。首相の承認を得る余裕がない緊急時は、緊急対処要領に従い防衛相があらかじめ迎撃を命じ、発射されれば現場指揮官の判断で迎撃できるようにした。

December 22, 2007, 現時間 2:27 AM

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» 米イージス艦迎撃ミサイル制御不能の人工衛星に直撃! from In the Strawberry Field
一週間くらい前にブッシュ大統領が制御不能となった人工衛星が落下する恐れがあるとして,弾道ミサイル迎撃システムを使ってこの人工衛星を撃ち落とす計画だと発表して以来、もしもこれが失敗したらBMDプログラムの将来が心配だとかなんと平和主義の批評家たちがやいのやいの言っていたが、昨晩見事に撃墜に成功。 スパイ衛星をミサイルで撃墜、有毒燃料タンクを破壊か ワシントン(CNN) 米国防総省は20日、制御不可能となり、地球に落下、衝突する恐れがあった米軍事用スパイ衛星を同日の東部時間午後10時半(日本時間21日午... [Read More]

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コメント

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下記投稿者名: アレン

北朝鮮なんかのようなとこが日本に勝てる可能性が1%たりともあると思う日本人はいるのですか。思っても見ませんでした。憐れな限りだと思います。

過激リベラル病が日本にまで移ったようで、残念です。

上記投稿者名: アレン Author Profile Page 日付 December 22, 2007 4:21 AM

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