人の名誉を汚すことを主な目的に書かれた記事をヒットピースというが、今日のニューヨークタイムスのマケインに関する記事はその典型だ。
私は先月ニューヨークタイムスがマケインを共和党の候補者として支持した時に、ニューヨークタイムスのマケイン贔屓は長続きしないはずだと書いた。

ニューヨークタイムスは絶対にマケインを批判したりはしない。だがそれもマケインが共和党の大統領候補指名を受けるまでの話だ。一旦指名を受けて民主党候補のライバルとなった日には手のひらを返したように「マケインは狂犬だ」とかなんとかものすごいマケインバッシングをはじめるのは十分に予想できる。

案の定、マケインが共和党候補確実となった途端にNYTは8年も前の浮気疑惑を持ち出してきてあたかもマケインが金髪美女の魅力に惑わされて議会に圧力をかけたような記事を掲載した。以下はCNNの記事より。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は20日、米大統領選で共和党候補指名を手中にしているマケイン上院議員(71)が2000年の大統領選に出馬した際、同氏が当時、委員長を務めていた上院商業科学運輸委員会に関係ある電気通信関連企業のロビイストを務めていた女性と親密な関係があり、選挙への悪影響を案じた選対幹部が2人を引き離していたと報じた。

マケイン氏の現在の選対幹部はこの記事の正確さを否定し、中傷と批判。「マケイン氏は国民の信頼を裏切ったことはなく、特殊権益やロビイストにいかなる便宜を図ったことはない」とも強調した。ただ、マケイン氏は清潔なイメージを前面に出しているだけに、今回の記事が今後の選挙戦に響く可能性もある。
タイムズ紙は、2000年当時の陣営幹部を話を引用し、マケイン氏と女性との関係は恋愛関係に発展すると確信し、2人に付き合いが不適当であることを説得したという。女性とマケイン氏は共に、恋愛関係となっていたことを否定した。
女性はまた、マケイン氏からロビー活動などで特別な便宜を図ってもらったことを打ち消したという。
現在のマケイン陣営幹部によると、タイムズ紙がこの問題を取材していることは昨年10月から知っており、関連情報を提供してもいた。ただ、女性ロビイストを雇う企業に利益を与えるためマケイン氏が影響力を行使したことは否定していたという。

CNNの記事ではあたかもマケインと、この女性に恋愛関係があったかのような書き方になっているが、もともとのNYTの記事を読んでみると、マケインとこの女性が実際に恋愛関係にあったとは書かれていない。マケインが2000年の大統領選挙に出馬する際にビッキー・アイズマンという金髪美人のロビーイストがマケインの周りをうろちょろしていたので、外聞が悪いと心配した幹部がこの女性とマケインに付き合いはやめるように忠告したというだけの話だ。
この記事に書かれていることが100%真実だとしてもこの程度の話なのである。ところが、当時マケインの幹部をしていたジョン・ウィーバー氏はマケインにそんな話をした覚えは全くないという。

「ニューヨークタイムスから公式なインタビューを申し込まれましたが、私は断りました。そのかわり書面での質問を要請しました。タイムスは私とアイズマンさんとの会見について他の人から聞いて知っていました。私には誰からきいたとは明かしませんでしたが、それについて質問してきたのです。私はアイズマンさんとの会談についてはマケイン上院議員に報告しませんでした。

商工委員会とそのスタッフと深いつながりがあるという彼女の発言が我々の耳に入ったため、それが誤りであり(選挙運動に)損害を及ぼすことを彼女に知らせ、今後そのような発言は控え、選挙運動には関わらないでくれとお願いしたのです。それ以上のこともそれ以下のことも全くありません。

ロビーイストというのは自分の顧客に都合の良い政策をたててもらうために政治家に陳述する仕事であるから、自分が実際よりも政治家や議会の委員会にコネがあると吹聴したがる人間がいたとしても不思議でもなんでもない。その度が行き過ぎたと考えた選挙運動事務所の幹部がロビーイストを禁めたというのもまた自然な話だ。これのどこがスキャンダルなのだ?
NYTは匿名の元マケインスタッフがアイズマンとの関係をやめるように助言したとしているが、ジョン・ウィーバーのような幹部が知らないところでそんな話がされたはずがない。
しかしこの話を焼き直ししているAPにおいては、マケインのシンディー夫人が「夫は浮気などしていない」といって夫をかばっている姿を、ヒラリーもビルの浮気のスキャンダルの時は夫を弁護していたなどと本当のスキャンダルを持ち出して、あたかもマケインへの中傷が事実であるかのような書き方をしている。
それにしても、NYTはこの話を去年の10月頃から知っていたというから、今年の1月24日にマケインへの支持表明をした時はこの話は別に問題ないと思っていたことになる。共和党候補として民主党には勝てそうもないと利用できる時には無視しておいて、いざ手強いライバルになったとなると、これまで無視していたどうでもいい記事を持ち出してきてマケインバッシングというわけだ。
ま、こうなることは保守派市民はすべてお見通しだったので、マケインを支持した時から、かえってNYTの支持なんて有り難迷惑だなと感じていたのである。マケイン議員も今後このような主流メディアによる攻撃は十分覚悟していただきたいものだ。


1 response to ついに始まった主流メディアのマケインバッシング

アラメイン伯16 years ago

まあ。そんなことだろうとは思ってましたが。
これではジャーナリズムっていえないですね。

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