ヒラリー・クリントン国務長官の最初の訪問国が日本になったことで、今後アメリカは日本並びに東洋を重視する政策なのではないか、と外務省は喜んでいるようだが、実は真相はそんな単純なことではないと、産經新聞の古森義久さんは警告する。先ずは読売新聞の記事から。(強調はカカシ)

日本が最初の訪問国…クリントン国務長官、16日来日

 クリントン米国務長官が16日に来日する。クリントン氏の外国訪問は就任後初めてで、新任の国務長官が最初の訪問国に日本を選ぶ初のケースともなる。
 17日に行われる麻生首相、中曽根外相、浜田防衛相との会談では、日米同盟の重要性を再確認するとともに、北朝鮮問題などアジア情勢を中心に、国際社会の懸案について幅広く協議する見通しだ。(中略)
 日本政府は最初の訪問国が日本となったことを「日米同盟重視を示す象徴的意味がある」(外務省幹部)と歓迎している。
  …クリントン氏は滞在中、小沢民主党代表、北朝鮮による拉致被害者の家族とも会談する。(2009年2月15日00時53分 読売新聞)

外務省の歓迎ぶりとは裏腹に、古森さんによると、オバマ大統領は中東や南米にはすでに別の代表を送り込んでいるため、クリントン国務長官の行ける場所は北東アジアのみとなったのだと説明する。

オバマ大統領は外交の出発点でジョージ・ミッチェル元上院議員を中東担当特使に、リチャード・ホルブルック元国連大使をアフガニスタンやパキスタンのイスラム過激派がらみの西南アジア担当特使に任命した。いずれも国務長官の管轄下におかれるとはいえ、大統領と直接、協議する権限も与えられた。

中東、イスラム、対テロと、米国政府にとってみな切迫した主要課題を国務長官とは別個の特使が扱うのだ。だからクリントン国務長官とすれば、中東には直接に関与できず、アフガニスタンやパキスタン、インドにもすぐに手を出すこともできなくなった。
しかも欧州は6日からのミュンヘン安全保障会議に米国代表としてはバイデン副大統領が参加し、短期にせよ、欧州やロシアの担当の形になっていた。
そうなると、クリントン長官に残された地域は中南米と北東アジアだけとなった。だが中南米は国によっては激しい反米感情があり、国務長官の来訪でどう爆発するかわからない。
となると、残された訪問地域は北東アジアしかないことになってくる。…「クリントン長官がアジアを最初の訪問の対象に選んだのは『消去法』の結果だといえる。

もともとカカシはオバマ政権にとって外交政策が真っ向から対立しているヒラリー・クリントンを国務長官としたことには問題があると考えていた。これは別にヒラリーに国務長官としての技量がないという意味ではなく、ヒラリーとオバマとでは考え方が違いすぎるからで、国務長官は大統領の意志を代弁する立場である以上、あまりにも意見の対立する人間を起用するのは賢いやり方とは言えないという意味だ。
しかし、オバマはこの問題を解決するために、ヒラリーを無難な国々に送り込んで、『大切な国々』は自分の信用出来る配下を送り込むことにしたらしい。
正直な話、オバマの各部署への人選はお粗末としかいいようがない。ホルブルックはまだしもミッチェルなど中東の専門家ではないし、これ以前にもオバマはイラク大使選考の際に一端は大使の座をイラク問題では信用の厚いアンソニー・C・ズニーニ将軍(Gen. Anthony C. Zinni)に依頼しておきながら、後で軍人ばかりで大使の座を埋めるのはよくないと考えを変え、本人に何の断りもなく数日後ベテラン外交官のクリストファー・R・ヒル(Christopher R. Hill)をイラク大使に任命してしまった。ズニーニ将軍は任命に変更のあいさつも受け取らなかったと、そのあまりの失礼さに怒って公に抗議するという一幕があったばかりだ。オバマの人選は候補者のスキャンダル続きで候補を辞任する人が多いなか、ズニーニ将軍には脱税や他のスキャンダルが全くなかったので、オバマ政権には適さなかったのだろう。
ヨーロッパにバイデン副大統領を送り込むのもどうかと思う。バイデンは口を開けば馬鹿なことばかり言って、ほんの数週間で何回オバマに恥をかかせたかわからない。そういうノータリンにロシアの行動が気になるこの時期にヨーロッパを任せていいのかねえ、、
というわけなので、東洋諸国としてはヒラリーに来てもらってありがたいかもしれないが、そう手放しで喜んでもいられないということらしい。


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