アジアカップ:イラク決勝進出!

明日はいよいよサッカーアジア杯の決勝戦。決勝戦は強豪サウジアラビア対イラク。三回優勝しているサウジが決勝に出るのは驚かないが、イラクチームが決勝戦進出というのはすごいものだ。パワーラインの記事によると、イラクチームのメンバーはシーア、スンニ、クルドの混合チーム。チームとしてここまで勝ち抜いてきたということはそれぞれの宗派間の違いを乗り越えた本当の意味でのチームワークを持っているということになる。

イラクサッカーチーム

決勝進出が決まって喜ぶイラクチーム


イラクチームのキャプテン、ユーニス・マフムード曰く:

選手は皆いろいろな苦労がありました。でも私たちはイラクの人々に幸せを届けられると思います。サッカーを通じてイラク市民に幸せをもたらす多大なる責任を共有しています。だから私たちは試合に集中しているのです。私たちはサッカーが大好きです。そして私たちは愛する国をいつでも守る心構えができています。

1980年のオリンピックでアメリカのアイスホッケーチームがソビエトチームをやぶった時、それまでうつ状態にあったアメリカ人の気持ちが希望へとかわったように、イラクがサウジに勝つことはイラクチームだけでなくイラクの国としての未来に希望をもたらすことになる。無論サウジは強敵だからどうなるかは分からないが、それでも少なくともイラクチームが第二位の座に輝くことは間違いない。
がんばれイラク!


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「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング

数日前、アメリカのニューリパブリック(TNR)という三流新聞にスコット・トーマスという仮名を使ったイラク駐留米兵によるものとされる「日記」が掲載された。三部に分けて掲載されたその日記に描かれた兵士らの行動は、路肩爆弾で顔に傷を負った女性を大声でからかった話や、大量埋葬地で見つかった子供の骸骨を頭に乗せて遊んでいる兵士、ブラッドリー戦車を乱暴に乗り回して野良犬を殺す悪趣味な兵士の話など、戦争犯罪に値するひどいものであった。(最後に日記の詳細を掲載するのでご参照のこと。)
このため現役や退役及び家族など軍関係の人々が書いているミルブログとよばれるブロガーたちの間で怒りが爆発。この話はねつ造だ、著者が本当はきっと偽兵士に違いない、TNRは真義を確かめもせず掲載したのか、本当にそんな事実があったのなら著者は仮名など使わず実名で正々堂々と名乗りを上げるべきだと、非難轟々の声があがった。そのなかでもあるブロガーは仲間のブロガーたちに、この著者の正体や日記の審議を確かめようとイラクに駐留したことのある軍人らに呼びかけた。
その結果、このスコット・トーマスSir Real Scott Thomasというブログを書いていたイラク駐留陸軍スコット・ビーチャム二等兵であることが判明した。間抜けなことにスコットは自分の本名のファーストネームのスコットとミドルネームのトーマスを仮名としてTNRの「日記」に使っていたのだからおかしい。しかも本人のブログに自分の連絡先まで明記されている。これについて陸軍の名簿を調べたある兵士によると、、

自分は現役の陸軍兵でイラク帰還兵であります。今スコット・トーマス・ビーチャムで陸軍名簿のウェッブサイトを検索してみました。それによると彼の階級は二等兵となっています。…

2006年9月のブログエントリーでは彼は自分の階級を一等兵と記述しています。ということはこの人間は軍隊規則の(Uniform Code of Military Jsutice)の15条に触れる罪を犯して少なくとも一階級格下げされたものと思われ、軍隊に恨みを持っていると考えられます。

格下げされたのか最初から嘘をついて階級を一つ上と偽っていたのかは解らないが、二等兵と言えば陸軍でも一番下っ端である。この男どうやらまったくうだつの上がらない陸軍兵のようだ。最初にビーチャムの日記が掲載された時、元陸軍特別部隊出身のミルブロガー,Black Fiveのジンボー親爺がこんなことを書いていた。

スコット・トーマスは嘘つきの糞野郎だ。どの部隊にもスコット・トーマスみてえな奴はいる。自分のすばらしい才能を誰も認めてくれない、自分は悪くないのにいつも上官から叱られていると文句ばかり言ってる奴だ。だから周りからは、ぐだぐだ文句ばっかいってないで黙って仕事しろと怒鳴られてばかりいるんだ。

ジンボー親爺は、こういう人間が軍隊をこき下ろすのは理解できるし、そういう話をメディアが鵜呑みしたとしても不思議でもなんでもないと語る。スコット・トーマスの正体が割れて、彼が2006年の9月に書いたこのエントリーを読んでみると、ジンボー親爺の分析がどれだけ正しかったかがわかる。(カカシ注:訳そうと思ったが句読点のない、ながったらしい文章なので、このまま訳したら訳が分からなくなる。仕方ないので意訳することにした。これで作家志望だというのだから驚くな。)

毎朝俺は起きる度に自分に言う。俺、スコット・ビーチャム、陸軍兵、ドイツ在住。これが俺の人生だ。俺は今日も糞みてえな扱いをされ、庭仕事や掃除だのをして、人殺しの訓練をする。この経験に耐えられなければ、俺がかつてもっていたもの、そして俺が外へ出てから持つだろう人生のありがたさが十分に理解できなかっただろう。俺が本当にしたいことは歴史を教えたり、寝転んだり、世界中飛び回って世界を修理することなんだ。…でもそれをするにはこの陸軍での経験を積んどかなきゃ出来ないんだ。俺が何をするにしても陸軍体験でハクをつけた後じゃなきゃだめなんだ。

ビーチャムは将来作家になりたいらしい。それでイラク帰還兵だということになれば、それなりにハクがつくからと陸軍に志願したらしいのだが、仕事が思った以上に辛くて毎日愚痴ばかり言ってるというわけだ。しかしビーチャムの所属隊も分かったことだし彼のこれまでの任務もすぐに明らかになることなので、彼のいうような体験を本当に彼がしているならば事実はそのうちハッキリするだろう。
ただ、ビーチャムの書いたようなことが本当に起きたのだとしたら、ビーチャムはその場にいた当事者であったにも関わらず同胞がこのような軍規約に触れる違法行為をしていたことを今まで黙っていたことになり、それ自体規約違反である。もし彼の話が本当ならこれらの事件に関わった人間はビーチャムも含めてすべて戦争犯罪者として罰せられるべきである。
だがもしこれがビーチャムによるただのでっちあげであったとしたら、現役兵隊が軍隊の活動を批判する政治意見を公の場で述べること自体が違法であるから、その罪で罰せられるべきである。とにかくこんな奴が大事なアメリカ軍のブラッドリーの修理に当たっているというのは非常に危険だ。早速最前線から取り除いて帰国させ、臭い飯でも食ってもらいたいものだ。
それにしても、自分の隊にこんな負け犬の非国民が混ざっていたことを知った所属隊の面々はいったいどんな気持ちだろうか?


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とんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末は

ペトラエウス将軍のCounter Insurgency (COIN)作戦と呼ばれるイラク反乱分子撲滅新作戦は6月に本格的な攻撃に入ったばかり。にも関わらずまだ7月も半ばというのに民主党の議会はまたまた意味のないイラクを120日以内に撤退せよとの議案を提案。議案が決議にもっていけるまで徹夜でがんばると布団や歯ブラシまで持ち出しての大芝居を打ったが、議論を打ち切って決議にかけるのに必要な60票に全く及ばない賛成52対反対47で、民主党全員が賛成、共和党からの裏切り者はいつもの4人。以前と全くかわらない票数のまま夜はあけてしまった。
徹夜議論の際に、共和党の戦争支持議員の間からはいくつも非常に印象に残る演説がされたが、そのなかでも印象に残ったのはアリゾナ州代表ジョン・マケイン上院議員の演説だ。マケイン議員は来期の大統領選挙にも共和党の候補となるべく選挙戦に出ているが、彼のキャンペーンはいまのところ資金不足で立ち往生している。私はマケイン議員は内政の面ではリベラル過ぎてすきではないのだが、ことイラク戦争に関しては非常にまともなことを言っていると思う。特にイラク戦争当初からマケイン議員はラムスフェルド前防衛長官のやり方を厳しく批判し、もっと兵数を増やしペトラエウス将軍を起用しCOIN作戦を取り入れるべきだと誰よりも先に提案していた先見の明のある人でもある。以下マケイン議員の演説から一部抜粋。

過去数日に渡る延々と長引いた討論の間に私は何人もの議員の方々から同じ議論を何度も聞きました。反対側にいる私の友人たちは議案に反対する私たちが相も変わらず「同じ方針を保っている」と攻めます。これは私たちがこの戦争の結末を怪しくさせる結果となった同じやり方をまだ続けようとしているという意味です。

しかし私たちは皆ペトラエウス将軍の登場で方針が変わったことを承知しています。私たちは今、我々の一部の人間が最初からすべきだと言っていた対反乱分子作戦を戦っているのであり、これは我々の強さを最も有効に使い敵の利点を生かせなくする作戦なのです。この新しい戦略はまだ結論は出ていないとはいえ、過去の作戦が失敗であったのに比べ、ずっと成功を遂げているのです。
わが友レビン上院議員とリード上院議員が提案した作戦は、小さな軍隊を前線からは遠隔の基地に閉じ込めるというもので、そこから時々探索や破壊任務やイラク軍訓練に出かけていくtpというものですが、これこそすでに試され大失敗に終わったと誰もが認めている作戦の延長です。議長殿、これこそがこれまでと同じ方針を保つことであり、必ずや我々の敗北につながりイラクにおいて大悲劇を招くでありましょう…
また私は私の同僚から前回の選挙においてアメリカ国民は意思表示をしたのだと繰り返し聞きました。国民のみなさんはイラクからの撤退を要求している、その要求に答えて一刻も早く撤退させることが我々の責任なのだと。しかしそれが我々の一番の責任でしょうか? …私も数々の間違いによって払った大きな犠牲を考えると嫌気がさします。しかし過去の間違いに反応して歴史上もっとひどい間違いをおかすような議案を支持することは出来ません。この間違いは私が大人になってからずっと代表として仕え続けてきた州の人々を非常な危険に陥れることになると信じて疑いません… 我々の忍耐はぎりぎりのところまで試されています。しかしながら負けない可能性がある戦争ならば、敗北を選んではなりません …
…この敗北はイラクのみならず我々にとって非常な悲劇をもたらすことは確実です。私はそのような作戦に加担するわけにはいきません。私はどんなことをしてでもそれを避ける努力をします。議長殿それが私が出来る精いっぱいの努力なのです。志願して肩にライフルをもち我々のために戦ってくれているアメリカ人の足下にも及びません。私の任務は危険でも困難でもありません、しかしわが同胞そしてすべてのアメリカ人が私に反対したとしても私は成功のチャンスがある限り努力しなければならないと思うのです。

マケイン上院議員はベトナム戦争中にパイロットとして撃ち落とされ、北ベトナムの捕虜に7年もなっていたひとなので、決して戦士たちの苦労を知らない人ではない。
現地で実際に戦っているアメリカ兵たちは圧倒的にペトラエウス将軍の作戦に期待をかけており、最後まで戦わせてほしいと願っている。そう主張するのはイラク帰還兵のピート・ヘグセス中尉(First Lt. Pete Hegseth)27歳。ヘグセス中尉はイラク・アフガニスタンの帰還兵で組織したVets for Freedomという草の根運動市民団体のリーダーで、今回民主党がゴリ押ししたイラク撤退議決案が通らないよう旅費や宿泊費など自腹をきって30人の帰還兵を集めてワシントンDCに議員たちとの直談判に乗り込んだ。
ヘグセス中尉たちの記者会見は主流メディアにはほぼ無視されたが、右翼系ラジオ番組では各局が取り上げた。私もビル・ベネットやローラ・イングラムのラジオ番組で中尉の話をきくことができた。彼等のウェッブサイトに載っている記事によれば、共和党の議員たちは皆会見に応じてくれたそうだが、民主党のペロシ下院議員やリード上院議員はたった5分間の会見に応じてくれなかったという。イラクからアメリカ軍を撤退せよと呼びかけている議員たちが、実際に前線で戦ってきた帰還兵との会見を断るとはどういうことだ? 常にアメリカ軍のことを考えているなどといいながら当事者の話を聞きたがらない理由はなんだ?
まったくとんだ茶番劇であった!


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米無人戦闘機「リーパー(死神)」登場!

アメリカはついに無人戦闘機の開発に成功。その名もザ・リーパー(死神)。
MQ -9リーパー戦闘機は現在イラク戦争、アフガン戦争で使われているRQ-1プレデター無人偵察機をベースにして作られた中高高度=長距離無人偵察機兼戦闘機である。外見はプレデターとほぼ同じだが、全長は11m、翼幅は20mとプレデターよりも一回り以上大きく、積載重量もプレデターの1.02トンに対して 4.5トンと4倍以上もあり、1.4トンミサイルや爆弾を積むことができる。機動力はターボエンジンを使い、最高速度時速482.8km、最高は標高15,240mまで飛べる。どちらもプレデターの二倍の性能で、レーザーと標的レーダーも装備している。
しかしプレデターとの最大の違いは複数の武器を大量に詰め込めることである。プレデターはヘルファイヤーミサイルを二個つめるだけだが、リーパーは14の空から地面への武器、もしくはヘルファイヤー4個と227kgの爆弾を二個積める。偵察機ではなく戦闘機ならではの破壊力を持つ。

MQ-9

死神、無人戦闘機リーパー


リーパーの最初の任務はアフガニスタンの予定で、この秋か遅くても来春までにはイラクでの起用も予定されており、米空軍はイラクのバラードにある空軍基地において現在プレデターの離着陸に使われている滑走路をリーパー用に40万平方フィート拡大工事をしている最中だ。
現在少なくとも9機のMQー9が製造されているが、空軍はいずれは60機のリーパーと160機のプレデターを起用する予定だが、イラクとアフガニスタンにそれぞれ何機起用されるかは明かにされていない。
無人戦闘機の利点はいうまでもなくパイロットが必要ないことである。今後イラク駐留のアメリカ軍の規模は縮小の一途をたどるわかだから、パイロットを送り込まなくてすむのはたすかる。だが、それだけでなく、戦闘機のデザインの限界は生身の人間が生き延びられるかどうかという限界に左右されることがないので、もっと自由自在な動きをすることができるし、長時間の飛行も可能だ。
参照文献:Oval Office, APニュース


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眉唾な『イラク帰還兵が語るイラク米兵の悪行』

昨日もアメリカ軍によるイラク市民虐殺というハディーサ事件がかなり怪しくなってきたという話をしたばかりだが、反戦派は事の真相もたしかめず執拗にアメリカ軍の悪行を羅列するのに余念がない。普段は現場の軍人たちが「状況は向上している」と証言しても絶対に信じない反戦派だが、もし軍人が「イラクでアメリカ兵はひどいことをしている」などといいさえすれば、ことの真相も確かめず担ぎ出してはアメリカ軍全体に汚名を着せる反戦派のやり方はベトナム時代からかわらない。
ベトナム戦争当時戦場から帰還したばかりのジョン・ケリーなる若者がベトナム帰還兵を数十人集めて反戦グループを組織し、アメリカ兵が一般市民を拷問したり虐殺したりしているとし、アメリカ軍は「ジンギスカンの軍隊さながらである」とアメリカ議会で証言し脚光を浴びた。(冬の兵士という題でドキュメンタリーにもなった。)この反戦運動で華々しく政治社会にデビューしたケリー青年こそ後に民主党の大統領候補としてブッシュと一騎討ちをして負けたジョン・F・ケリー上院議員である。
ところが後になって冬の兵士に参加していたメンバーのほとんどが、ベトナム帰還兵どころか軍隊にもいたことがない人たちがほとんどで、彼等の体験談はすべてでっちあげであったことが本当の帰還兵たちの証言で明らかになった。ジョン・ケリーの大統領選挙運動中に当時ケリーと一緒の隊にいた軍人たちがケリーはベトナム戦争時代の手柄話で嘘をついていると訴えて、ケリーの選挙運動に多大なる打撃を与えたことは記憶にあたらしい。
さてイラク版冬の兵士たちがベトナム戦争時代の台本のほこりをはらって、またまたでっちあげ「アメリカ軍の悪行」シリーズ続編を展開させている。アメリカでも社会主義傾向の左翼雑誌ザ・ネイション(The Nation)は50人の「イラク帰還兵」にインタビューし、イラク内で行われているアメリカ軍の悪行を特集している。

ハディーサの大虐殺や14歳のマフムディヤの強姦殺人事件など裁判になった事件や、ワシントンポスト、タイム、ロンドンインディペンデントその他で取り上げられたイラク人の証言によるニュースによってどれだけ一般市民への攻撃が大規模なものであったのか分かるようになってきました。ヒューマンライツウォッチやハーツアンドマインズといった人権保護組織が発表した詳細でつまっているこれらの報告によって、占領軍によってイラク人が殺されることは軍当局が認めているのとは裏腹にごく普通に行われていることを意味します。

ネイションのこの捜査は、これまでで初めてアメリカ軍内部から多くの証人が名前を公開したうえでこうした事件を裏付けた証言を集めたものです。

白状すると私はこのネイションの特集を最初から最後までちゃんと読んだわけではない。それというのも特集の一番最初に出てくる「証人」ジェフ・エンゲルハート(Jeff Englehart)という名前を呼んだ時どっかで聞いたことのある名前だなとピンときたからである。

スペシャリスト、ジェフ・エンゲルハート、26歳、コロラド州グランドジャンクション出身。エンゲルハート兵は第一歩兵隊第三旅団のメンバーで2004年二月バグダッドの北東35マイルほどのあるバクバで任務していた。

私はちょっとグーグル検索をしてみたら、なんと2年前に私がミスター苺と一緒に経営している英語のブログでこの男について書いた記事が出てきた。
実はこのエンゲルハートなる男、2005年にイタリアのテレビインタビューで、アメリカ軍はファルージャで白リン弾という化学兵器を市民に使ってイラク市民を大量に虐殺したと証言していた。このインタビューでエンゲルハートはアメリカ軍が化学兵器を使ったことは間違いない。自分はラジオでウィスキーピート(WP、白リン弾のあだ名だとエンゲルハートは説明)を落とせという命令をはっきりと聞いたし、WPによって殺されたイラク人を目の当たりで目撃し、焼けただれた死体をいくつも目撃したと断言した。
私はこの男がブラッドリーを「戦車」と呼んだり、ハンビーを「トラック」と呼んだりしているのをきいて、普通陸軍兵ならこういういい方はしないのではないかと不思議に思った。また、白リン弾は英語でWhite Phosphorusといい、その略名のWPはウィスキーピートではなく、ウィリーピートのはずである。しかもWPは国際規約では化学兵器という指定はなく、ごく通常の兵器であり違法でもなんでもない武器なのだ。元陸軍兵がこんな基礎的な知識も持っていないというのはどうも変ではないか? しかしもっと決定的にこの男の嘘を証明する事実を私は発見した。それは彼自身が書いていたブログのなかにあったのである。
エンゲルハートは2004年の2月から2005年の2月までFight to Surviveという反戦ブログを仲間の兵士たちと共同で”hEkle”というハンドルネームを使って書いていた。ブッシュ大統領に対する敵意やイラク戦争反対の激しい感情はこのブログでもそのときからあらわにされているが、それよりも気になる点があった。
2004年の11月にエンゲルハートはファルージャの戦いについて書いているのだが、その時のブログエントリーでは上官をファルージャ近郊まで車で運転していったとは書かれているが戦闘に参加したとは書かれていない。また、WPを落とせという命令をラジオで聴いたという話も出てこない。

そしていつものように砲弾の音や、爆発音、そして照明弾の音が聞こえる。そのいくつかは白リン弾だと言われている。…突然ラジオの通信で「バンカーバスター」の攻撃承認を求める声が聞こえてきた。

2004年当時には「白リン弾だといわれている」と伝え聞きしていたものが、どうして一年後には「白リン弾に間違いない」ということになるのだ?しかもラジオ通信でバンカーバスター使用の要求は聞いているのに、WP使用承認を聞いたと書かれていないのはなぜだ?
エンゲルハートは車を運転して上官をファルージャの外側まで連れていったが、彼自身はファルージャ戦闘に参加していたわけではなく、遠隔から戦闘状態を見ていただけである。実際に当時書かれたブログエントリーではビルが破壊された話は書かれているが直接市民が目の前で殺されたという描写は全くされていない。戦闘が終わってから翌日ファルージャへ入って死体の山を目撃したのであればそういう話をするはずだが、数日後のエントリーにもファルージャの話は全く出てこない。次にエンゲルハートがファルージャの話をするのは一年後のことである。
2005年に行われたテレビインタビューでこうも赤裸々に死体の状態を表現できる人間が、戦闘当時にその体験を全くブログに書いていないというのはどうかんがえてもおかしい。彼が当時書いていた反米かつ反アメリカ軍の内容から考えて、エンゲルハートが本当にアメリカ軍による虐殺を目撃したのであればその当時にブログに詳細に渡って書いていたはずである。
というようにエンゲルハートの証言は何から何までつじつまのあわないことだらけなのである。このような人間が帰還兵の代表者のように一番最初の証言者として載っているような記事は最後まで読む価値があるとは到底思えない。私が彼の証言だけを読んでやめてしまった理由はここにある。
またこの特集に載っている「帰還兵」のうちどれだけの人が本当にイラク帰還兵なのか疑わしいし、実際にイラク帰還兵だったとしても必ずしも本当のことを言っているとも限らない。下記のような例もあるのでね。
Fake Soldier exposed
陸軍の基礎訓練キャンプも落ちこぼれたマクベス君が自分が陸軍特別部隊にいたとか陸軍レンジャーだったとか言ってアメリカ軍の悪行を目撃したとでっち上げていた話。基礎訓練キャンプから追い出された書類が出てきて嘘が発覚。(英語)
ケリーの弟子? 反戦イラク帰還兵のおかしな戦話
イラクで戦闘に巻き込まれたこともなければ負傷したこともないのに、陸軍病院で戦闘で負傷した傷の治療に二か月も待たされたと嘘をついていたジョシュア・ランスデールの話。陸軍病院での診断者を提出できず嘘がばれた。
訂正:本文で2月と書いたエンゲルハートが書いているファルージャの戦いは11月でした。訂正します。


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ハディーサ事件次々に崩れる検察側の主張

2005年11月、イラクのハディーサ地区で路肩爆弾の攻撃にあった海兵隊員が怒りくるって付近の民家を襲い二十数人の民間人を虐殺したとして、当時警備にあたっていたキロ隊の隊員数名が殺人などの嫌疑をかけられている事件において、審査官は12日、裁判にかけるだけの証拠が存在しないとして被告のひとりであるジャスティン・シャーラット兵長(Lance Cpl. Justin Sharratt)の起訴取り下げを推薦した。これで被告三人のうち二人までが起訴取り下げの推薦を受けたことになる。(もうひとりは裁判にかけられるべきとの推薦がされている。)
先月にも、事件後に適切な捜査を行わなかったとして罪を問われていた四人の将校のうちのひとり、ランディ・ストーン大尉の件も裁判前の審問の結果、審査官から起訴取り下げの推薦がされたばかりで、この事件はどんどんと縫い目からほころびはじめている。これらの被告を軍法会議にかけるかかけないかの最終決断はキャンプペンダルトンの第一海兵隊遠征軍の司令官ジェームス・マティス(Lt. Gen. James Mattis)中将の肩にかかっている。
実はこの事件、最初からかなりおかしなことばかりだった。詳細は去年の6月に私は下記で色々紹介しているの参照されたし。
ハディーサ事件:それぞれの思惑
疑わしきは罰するメディア その2
ハディーサ疑惑: 怪しげな証言続く
その後捜査が進むについて検察側の提出した海兵隊員に対する証拠がかなりいい加減であることがどんどん明らかにされてきたが、今回審査に当たったポール・ウェア中佐の報告書を読んでみると被告らの容疑がどれだけいい加減なものかがはっきりしてくる。

ウェア中佐は報告書のなかで、シャーラット兵長にかけられた容疑は「根拠がなく」何度も(起訴されたことが)「信じられない」と語っている。

中佐はさらに死んだイラク人の幾人かは被告が言うように抵抗戦士だったと示唆している。
先月シャーラット被告の審査の指揮をとったウェア中佐はイラク人目撃者の話は存在する物的証拠と矛盾して一致しないと語る。
物的証拠によれば「(殺された人は)誰もみな遠方から正面を向いて9ミリ口径のピストルで撃たれている。これは近距離から処刑された反応とは一致しない。」とウェアは書いた。
中佐は死んだイラク人の親戚は米軍に解剖のために遺体を掘り起こすことを許可しなかったとし、イラク人はアメリカ軍に殺された市民の家族に時々支払われる2500ドルの慰謝料欲しさに嘘をつく強い動機があったことも付け加えた。
このようなイラク人目撃者を信用することは「私の意見では米海兵隊の任務に対する市民の協力を減らすために、米軍にたいして無実の罪を着せるという危険な前例をつくることになると思う」とし、「もっと危険なのは海兵隊が敵に面した重要な時にためらう可能性があることである。」と書いている。

審査官がここまで言うのでは先ず軍法会議にかけられることはないだろう。また会議にかけるべきと推薦されたもうひとりの被告も、裁判になったとしても無罪になる可能性が強くなってきた。
この話についてパワーラインの掲示板でスノーマン(Snowman)というHNで書いている人は、このキロ隊はファルージャの戦いで大手柄をたてた有名な隊であり、罪のない民間人の避難にも当たったことがある。彼等は民家から攻撃された場合にどのように対応すればいいか十分に心得ているベテラン隊員たちだったと述べている。

私の息子も同じ時期にハディーサに居ました。(息子の)リマ隊は川の向こう側で行動していました。2005年11月のことです。この事件の状況はごく普通の状態でした。抵抗軍は事件を起こしては民間人を盾にしていたのです。子供たちは使用済みの弾を集めてお金をもらっていました。市民は抵抗軍のいう通りのシナリオで演技をしないと威嚇されたり脅迫されたりしていたのです。彼等は民家に隠れ海兵隊員からの攻撃が止むまで家人を盾にしていました。息子は事件のあった車を後で見ましたが新しい銃弾のあとでぼこぼこになっていたといっていました。

テロリストが逃げ込んだ民家の家人はしょっちゅう巻き添えを食って殺された。そういうことがあまりにも多く起きたため、地元市民はついに我慢できなくなり海兵隊の味方をするようになったとスノーマンは言う。そしてテロリストの隠れ家や武器庫の場所を海兵隊につたえテロリスト逮捕に協力するようになった。地元市民の裏切りを悟ったテロリストたちは命からがらハディーサから退散したため、いまやハディーサは2005年に比べてずっと平穏な場所になっており、海兵隊の後を子供たちがくっついて走り回るほどになっているそうだ。
もしこの事件で容疑をかけられたすべての被告が起訴取り消しや無罪になったとしたら、当時海兵隊員の有罪は間違いない、海兵隊上層部は隠蔽行為をしたという確かな証拠がある、とがんばっていた自分も元は海兵隊だった(信じられない!)民主党のジョン・マーサ下院議員はどういう言い訳をするつもりなのだろうか?全く海兵隊の風上にもおけないおっさんである。
私の希望としては全ての被告の起訴が取り消され、最初から犯罪は起きていなかったということがはっきりすることである。そしてそうなった時マーサ下院議員をはじめ事情がわからないうちから米軍兵を殺人犯扱いした全ての人々に土下座をついて謝ってもらいたいものだ!


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サドル、イランへ逃げ帰る

今年の一月にアメリカ軍の増派を含む新作戦が行われるという発表と共に同胞や部下を見捨ててひとりだけイランに逃げ帰っていたサドルだが、イランに5か月も隠れている間にイラク内ではサドルの人気は落ちるばかり。このままでは留守中に自分のシーア民兵代表としての権威が危ないと慌ててかえってきたサドルだが、時既に遅し。全く人気を挽回できず尻尾を巻いて再びイランへ逃げ帰るはめになった。どっかの歌のもんくじゃないけれど、「あんた、泣いてんのね、だからいったじゃないの〜!」(古すぎてカカシの母でも首を傾げる懐メロ)
アメリカの新作戦ではスンニ抵抗分子やアルカエダのみならず、バグダッド南部のサドルシティなどで市民の平和を脅かしているシーア民兵らも厳しく取り締まることが明らかにされた。しかしこの時サドルはサドル派が多いに後押ししたマリキ首相はアメリカの圧力から形だけシーア派民兵の取り締まりには協力しても実際に本格的な取り締まりなどしないものと踏んでいた。だから当初サドルは手下たちに武器を捨ててほとぼりが冷めるまで大人しくしていろ、たとえ逮捕されても抵抗するなと呼びかけ、自分はさっさととんずらしてしまった。その計算違いはサドルの大誤算、ナジャフデモ行進の意味するものでも指摘したが、もう一度おさらしてみよう。

ここで私が一月の時点でサドルの計算違いでサドルの計画は産經新聞がいうような具合には運ばないだろうと予測していたことを思い出していただきたい。

* 意図的にしろ無理矢理にしろ一旦敵に占拠された領土を取り戻すとなると、もともとの領土を守るようなわけにはいかない。
* 民兵たちは正規軍ではない、ただのギャングである。何か月もサドルのいうことをきいて大人しくしているとは思えない。自分勝手に暴れた民兵たちが大量にアメリカ軍やイラク軍に殺されるのは目に見えている。
* アルカエダの勢力は昔に比べたら大幅に衰えているため、シーア派民兵が抵抗しなければバグダッドの治安は安定しサドルの思惑はどうあれ傍目にはブッシュの新作戦が大成功をしたように見える。そうなればアメリカ軍の新作戦は長続きしないどころかずっと継続する可能性がある。

その後、マリキ首相はサドルの期待に反して嫌々ながらも米軍とイラク軍のシーア派征伐に協力した。その結果バグダッド市内における宗派間争いによる大量殺人は40%以上も減り、マフディ軍はイランの援助を受けているにも関わらず、どんどん勢力を失いつつある。
あせったサドルは作戦を変えて米軍に対抗しろとイランから命令をだしたり、デモ行進を催したり、サドル派の政治家を政府から撤退させイラク政府に大打撃を与えようとしてたが、すべてが裏目にでた。
こうなったら自分から出ていってなんとか急激に衰える自分の人気を取り戻さねばとサドルはこの5月久しぶりにイラクに帰国した。帰国してからサドルは穏健派の国粋主義の指導者としての立場を確保しようとしたがこれもうまくいかず、切羽詰まったサドルはアンバー地区のスンニ派政党とまで手を結ぼうとしたがこれもだめ。マリキ政権からはすでに撤退してしまったことでもあり、サドルのイラクにおける勢力はほぼゼロとなった。
三度目の正直で7月5日にシーアの聖地アスカリア聖廟までデモ行進を行おうと支持者に呼びかけたが、参加者不足で立ち上がりすらできない。サドルはマリキ政府が十分な警備を保証してくれないという口実を使って行進を中止した。
とまあ2004年にナジャフで挙兵した時の飛ぶ鳥を落とす勢いはどこへやら、サドルは華々しく戦闘で散るデモなし、仲間に裏切られて暗殺されるでもなし、すごすごとイランへ負け犬のごとく逃げ帰るはめになろうとは、このままサドルはイランで年老いて一人寂しく余生を過ごすのだろうか?


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地元司令官はしゃべり過ぎを反省イラク戦況に口をつぐむ

体当たり従軍記者ビル・ロジオ(Bill Roggio)マイケル・ヨン (Michael Yon)は二人とも現在イラクにおり、ファンタムサンダー作戦を従軍して取材している。双方のリポートをまとめようと思っていたら、ベルモントクラブ(The Belmont Club)のレチャードがそれをやってくれてるので読んでみよう。
ロジオもヨンも地元アメリカ軍司令官たちは地元に隠れているアルカエダを捕まえるための大作戦について、これまでよりもちょっと無口になったという。それというのも今まであまり詳しく話すぎて肝心のアルカエダ上層部は戦闘を前に遁走してしまったと批判されたのが原因らしい。 以下バクバに居るマイケル・ヨン。

アローヘッド・リッパー作戦の当面の目標はこの地域にひそむアルカエダを捕まえて殺すことにあるが、現場の将校らによると軍の上層部の高官らの戦闘前の公言がアルカエダ連中の大量流出を生み出してしまったのではないかと語る。この苛立たしい大きな後退にも関わらず、アローヘッド・リッパーはバクバーをイラク政府の管理下に移譲するという最終目的に向かって着々と進んでいるようにみえる。すくなくともアルカエダ指導者を地元の似非統治の座から追い出すという意味では。

先日も述べた通り、バクバでの作戦はもっと大きなファンタム・サンダー作戦の一部である。アルカエダが逃げ出すのはいつものことで、バクバから逃げ出すのも時間の問題だっただろう。問題なのは彼等をどうやって追い出すかということにある。以下ビル・ロジオ。

アメリカ・イラク軍はディヤラ地域の北と西であるサラハディン、カークック、ニネワ地区の戦場を形付け続けている。これらの地域でアルカエダが勢力を再構成すると思われる。

ディヤラ地域の戦闘と同時にモスール、ティクリート、ファルージャ、そしてバグダッド南部のモクタダ・サドルの本拠地でも掃蕩は行われている。
「アルカエダは縫い目から攻撃してくる」とビル・ロジオ。

イラクと連合軍がファンタムサンダー作戦でバグダッド帯を押し進めるにあたり、アルカエダは最初の反撃を試みた。バグダッドとバビルで五つの自爆テロ攻撃があり、45人の死者を出した。一番効果があった標的はバグダッドで会合中のアンバール・サルベーション・カウンシル(the Anbar Salvation Council)のメンバーたちだ。

このような反撃の目的は二つある。ひとつは連合軍を防衛体制に余儀なくすることで自分らの動きやすい隙間をつくること、二つ目は彼等にはまだまだ攻撃する余裕があるという意思表示をすることだ。アルカエダは追いつめられるにつれ、時々はこうした攻撃をすることで追跡者の気を散らす必要があるのである。
ところでアメリカ・イラク連合軍の攻撃が激しくなる中、イラン軍が国境を越えてイラクで軍を整えているという話がある。

火曜日のイギリスの週刊誌サンによると、イギリス軍はイラン革命軍(Iranian Revolutionary Guard)が国境をこえてイラク内部に入り込んだのを目撃したと伝えている。

イギリス国防省はこの報告を否定もしなければ肯定もしないとし、報道官は「諜報に関わることなので」とコメントを拒否した。
匿名の諜報関係者が同誌に語ったところによると「たいへんなことにつながる非常に警戒すべき状況がおきています。これは事実上我々とイランは本格的な戦争をすることを意味するからである。だれも公式な宣言をしていないのにです。」

英米イラクが好むと好まざるとこに関わらず、イランとの戦争はよもや避けられない状態になっているのかもしれない。それにしても敵側がすたこらさっさと逃げ出す状態が我々の失敗だという考えはいったいどこからきたのだろうか?
イラク戦争とは本当に摩訶不思議である。


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米軍隊志願兵が減っているという嘘

先日アメリカ軍に志願する黒人の若者の数が減っているという記事を読んだ。(下記は24日付けのAPより)

WASHINGTON (AP) – 黒人のなかで軍隊に志願する人の数が最近極端にへり、アフガニスタン・イラク戦争が始まって以来三割以上の減少となった。他の仕事への可能性が急増しまた親戚などから志願を止められることが多いのが原因だ。
APが取得した統計によると志願者は四つすべての正規軍で減っており、州兵、予備軍になるとその数は劇的な落下をみせている。
この調査結果は(二つの)戦争への不人気が増えていることを反映しており、特に家族やほかの大人たちが軍隊志願を考えている高校生や大学生に(軍隊よりも)教養を高めるかキャリアを目指すべきという意見が影響を与えていると思われる。

ペンタゴンの統計によると2001年には51,500人が正規軍に志願したとある。しかしその数は2006年には32,000人と38%の減少となった。

この記事を読んでいて先ず最初にわき起こる疑問は「黒人の志願兵が減っているというが、白人やその他の人種の志願兵も減っているのだろうか?」というものだろう。で、この記事には書かれていないが、いやこの記事には書かれていないからこそ、他の人種の志願数は減っていないとほぼ確信できる。反戦偏向丸出しのAPが米軍の志願兵の数が全体的に減っていたらその事実を記載しないはずがないからである。
イラク戦争が始まって以来、アメリカの主流メディアが何度も何度も繰り返してきた嘘に、アメリカ軍人の間で戦争は不人気であり士気が落ちているというものがある。だが実際に現役軍人たちに直接「イラク戦争について士気は高いか?」などというアンケートをとれば「高い」という答えが圧倒的にかえってくることが分かり切っているため、志願兵が減っているという二次的な現象を報道することで軍人の間で戦争は不人気という世論操作に余念がないのである。
さてそうなってくると実際にアメリカ軍の志願兵はどうなっているのかという話をせねば片手落ちだろう。 The Countervailing Force6月12日付けワシントンポストに載ったこの記事を紹介している。

陸軍五月の志願兵目標数に満たず。二年ぶりに最初の大幅減少。

昨日公開された統計によると海軍、海兵隊、空軍は五月の志願兵ゴールを超えたが、陸軍と空軍の州兵隊はゴールに満たなかったことが明らかになった。
陸軍は5,101 の志願兵を得た。これは目標数の5,500に満たない数であるが、2006年10月1日に始まり2007年9月30日に終わる今年度中の目標である8万人は満たせそうだとある。
「五月は歴史的にいって志願には難かしい月なんです。」と陸軍報道官のアン・エッジコム少佐は説明する。高校の卒業式や他の春のイベントが多いため志願兵の注意を引くのが難かしいという。
陸軍州兵隊は目標の88%を、空軍州兵隊はその77%を達成した。
海兵隊は五月2,225の志願兵が入隊しており、目標の1,665人を大幅に上回った。また海軍は目標ぴったりの2,709人、空軍は目標の 2,451人を獲得した。

ワシントンポストの記事によれば、正規軍の目標は陸軍が400人ほど満たなかったことを除けば、後は目標を達したか超えたかしている。ということは黒人志願兵が減った分、他の人種がその穴を埋めたことになる。軍隊には一般人口に比べると多少黒人の割合が多い。その原因は色々あるだろうが、経済的な理由がよく取り上げられている。APの記事にもあるように、最近のアメリカは経済状態が良いため、若者がつける職業も選択の余地が高い。ということは軍隊への人気が下がっているのは経済面の影響が大きく、戦争が不人気であるためだと断言することはできない。
APほどではないが、ワシントンポストの記事でも印象操作が行われていることに気付かれた読者は多いだろう。この記事で一番注目されるべきなのは陸軍の志願者が減ったことではなく、海兵隊への志願者が大幅に目標を超えたことにある。陸軍報道官のアン・エッジコム少佐も指摘しているように、5月と6月に軍隊志願兵の数が減るのは普通の状態である。それというのもアメリカの学校は6月に卒業式があるので、学校を卒業した高校生や大学生は若者として最後の自由な夏を楽しむため夏休みが終わる9月になってから志願しようと考えるからである。
また、陸軍への志願兵は多少減ったとはいえ、他の正規軍のほうは目標に達しており、減っているのは州兵である。もし上記にあげた二つの記事がいうように、イラク戦争が不人気なため志願者の数が減っているというのが本当だったとしたら、戦場へかり出される可能性が一番高い隊が一番不人気になるはずであるが、実際はその逆である。
戦争において一番危ない戦場へ送り込まれるのは誰かといえば、それは圧倒的に海兵隊だろう。その次が陸軍でむろん空軍は常に危険な空を飛ぶことになる。海軍は比較的安全だが、それでも中東で戦争が起きていれば長期にわたる出動が期待される。また正規軍と比べて予備軍や州兵隊は後方の援護が主な任務であり最前線にいく可能性は低い。それを考えると現在軍隊に志願した若者の傾向は実際に戦場へいく可能性の高い部署ほど人気があるということになる。
結論からいうならば、不人気な戦争とか不人気な軍隊というのはアメリカメディアが作り出した幻想であり、実際にはアメリカの若者はメディアが考えるほど腰抜けではないということだ。
私は仕事柄、軍人さんたちと会う機会が多いが、このあいだ何気なく女性の下士官らとテレビ番組の話をしていた。その時1980年代後半に人気のあったアニメの話が出て、ひとりの子が「あ、それ私が生まれる前」というので「え〜?何年生まれ?」と聞いたら「1989年」といわれて愕然となった(笑)。現在18歳の彼女は911当時まだ12歳。明らかにイラク戦争が始まってから志願したわけだが、そう思って回りを見ていたら一緒にいた軍人さんたちはみんなほとんどが18〜9歳。
頼もしいなあ、と改めて感じてしまったのであった。


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アルカエダは禁煙主義、罰則は煙草を持つ指を切断!

マイケル・ヨンがリポートしたなかにアルカエダが乗っ取った地元民に強制した不思議なシャリア(イスラム法)が紹介されている。アルカエダの連中は特定の地域を制覇すると似非政府を設立し不思議なシャリアをもって地元民を苦しめるらしい。下記はパワーラインの記事から紹介。
アルカエダは禁煙法に違反した違反者の二本の「禁煙指」を切断する罰を設置した。ほとんどのイラク人はたばこを吸うのでこの法律は特に地元民の反感を買った。アメリカ軍が地域を掃蕩すると地元民は水や食料よりも煙草をせがんだという。解放されたバクバ地区では地元民がお祝いに煙草に火をつける行為があちこちで見られたという。
またアルカエダはひげを生やしていない男たちを殴ったり、性的な暗示をするような行為は死刑。で、その性的暗示とは何かといえば、トマトとキュウリを同じ袋にいれてること、、といったような「ふしだらな行為」だそうである。なんじゃこれ? いうまでもないがこのような厳しい規則は地元民のなかでかなり不人気だったそうである。
どうりで地元民が積極的にアメリカ軍にアルカエダの居場所を教えてくれるわけである。


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