ペトラエウス将軍のCounter Insurgency (COIN)作戦と呼ばれるイラク反乱分子撲滅新作戦は6月に本格的な攻撃に入ったばかり。にも関わらずまだ7月も半ばというのに民主党の議会はまたまた意味のないイラクを120日以内に撤退せよとの議案を提案。議案が決議にもっていけるまで徹夜でがんばると布団や歯ブラシまで持ち出しての大芝居を打ったが、議論を打ち切って決議にかけるのに必要な60票に全く及ばない賛成52対反対47で、民主党全員が賛成、共和党からの裏切り者はいつもの4人。以前と全くかわらない票数のまま夜はあけてしまった。
徹夜議論の際に、共和党の戦争支持議員の間からはいくつも非常に印象に残る演説がされたが、そのなかでも印象に残ったのはアリゾナ州代表ジョン・マケイン上院議員の演説だ。マケイン議員は来期の大統領選挙にも共和党の候補となるべく選挙戦に出ているが、彼のキャンペーンはいまのところ資金不足で立ち往生している。私はマケイン議員は内政の面ではリベラル過ぎてすきではないのだが、ことイラク戦争に関しては非常にまともなことを言っていると思う。特にイラク戦争当初からマケイン議員はラムスフェルド前防衛長官のやり方を厳しく批判し、もっと兵数を増やしペトラエウス将軍を起用しCOIN作戦を取り入れるべきだと誰よりも先に提案していた先見の明のある人でもある。以下マケイン議員の演説から一部抜粋。

過去数日に渡る延々と長引いた討論の間に私は何人もの議員の方々から同じ議論を何度も聞きました。反対側にいる私の友人たちは議案に反対する私たちが相も変わらず「同じ方針を保っている」と攻めます。これは私たちがこの戦争の結末を怪しくさせる結果となった同じやり方をまだ続けようとしているという意味です。

しかし私たちは皆ペトラエウス将軍の登場で方針が変わったことを承知しています。私たちは今、我々の一部の人間が最初からすべきだと言っていた対反乱分子作戦を戦っているのであり、これは我々の強さを最も有効に使い敵の利点を生かせなくする作戦なのです。この新しい戦略はまだ結論は出ていないとはいえ、過去の作戦が失敗であったのに比べ、ずっと成功を遂げているのです。
わが友レビン上院議員とリード上院議員が提案した作戦は、小さな軍隊を前線からは遠隔の基地に閉じ込めるというもので、そこから時々探索や破壊任務やイラク軍訓練に出かけていくtpというものですが、これこそすでに試され大失敗に終わったと誰もが認めている作戦の延長です。議長殿、これこそがこれまでと同じ方針を保つことであり、必ずや我々の敗北につながりイラクにおいて大悲劇を招くでありましょう…
また私は私の同僚から前回の選挙においてアメリカ国民は意思表示をしたのだと繰り返し聞きました。国民のみなさんはイラクからの撤退を要求している、その要求に答えて一刻も早く撤退させることが我々の責任なのだと。しかしそれが我々の一番の責任でしょうか? …私も数々の間違いによって払った大きな犠牲を考えると嫌気がさします。しかし過去の間違いに反応して歴史上もっとひどい間違いをおかすような議案を支持することは出来ません。この間違いは私が大人になってからずっと代表として仕え続けてきた州の人々を非常な危険に陥れることになると信じて疑いません… 我々の忍耐はぎりぎりのところまで試されています。しかしながら負けない可能性がある戦争ならば、敗北を選んではなりません …
…この敗北はイラクのみならず我々にとって非常な悲劇をもたらすことは確実です。私はそのような作戦に加担するわけにはいきません。私はどんなことをしてでもそれを避ける努力をします。議長殿それが私が出来る精いっぱいの努力なのです。志願して肩にライフルをもち我々のために戦ってくれているアメリカ人の足下にも及びません。私の任務は危険でも困難でもありません、しかしわが同胞そしてすべてのアメリカ人が私に反対したとしても私は成功のチャンスがある限り努力しなければならないと思うのです。

マケイン上院議員はベトナム戦争中にパイロットとして撃ち落とされ、北ベトナムの捕虜に7年もなっていたひとなので、決して戦士たちの苦労を知らない人ではない。
現地で実際に戦っているアメリカ兵たちは圧倒的にペトラエウス将軍の作戦に期待をかけており、最後まで戦わせてほしいと願っている。そう主張するのはイラク帰還兵のピート・ヘグセス中尉(First Lt. Pete Hegseth)27歳。ヘグセス中尉はイラク・アフガニスタンの帰還兵で組織したVets for Freedomという草の根運動市民団体のリーダーで、今回民主党がゴリ押ししたイラク撤退議決案が通らないよう旅費や宿泊費など自腹をきって30人の帰還兵を集めてワシントンDCに議員たちとの直談判に乗り込んだ。
ヘグセス中尉たちの記者会見は主流メディアにはほぼ無視されたが、右翼系ラジオ番組では各局が取り上げた。私もビル・ベネットやローラ・イングラムのラジオ番組で中尉の話をきくことができた。彼等のウェッブサイトに載っている記事によれば、共和党の議員たちは皆会見に応じてくれたそうだが、民主党のペロシ下院議員やリード上院議員はたった5分間の会見に応じてくれなかったという。イラクからアメリカ軍を撤退せよと呼びかけている議員たちが、実際に前線で戦ってきた帰還兵との会見を断るとはどういうことだ? 常にアメリカ軍のことを考えているなどといいながら当事者の話を聞きたがらない理由はなんだ?
まったくとんだ茶番劇であった!


1 response to とんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末は

In the Strawberry Field17 years ago

軍人の戦争支持はプロパガンダなのか? 勝利を訴える帰還兵団体VFFを考える

先日私はとんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末はで、イラク・アフガニスタン帰還兵からなる戦争支持派のVets for Freedom(VFF)という組織のメンバーが民主党の反戦決議案に反対して議員たちと直談判するためワシントンへ乗り込んだという話をした。その時、民主党の議員たちは彼等にそっぽを向いたという話もした。 主流メディアもほとんど取り上げず完全無視を決め込もうとしたが、ブッシュ大統領が一時間も帰還兵たちと会談をしたため、完全無視はちょっと無理だった。(Hat tip Power Li…

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