イラク新作戦を理解できない反戦派たち

まだ始まって数日しかたっていないバグダッド掃蕩作戦がすでに失敗だ〜と騒いでる人たちがいる。このマシュー・イグレシアスなんてのがその典型だろう。
マシューはファルージャから多くのアルカエダ高官メンバーが戦わずして遁走してしまったことを指摘して、2004年のファルージャ闘争の時も全く同じことが起きたとし、テロリストどもは戦闘が終わればまた戻ってくることの繰り返しで、アメリカ軍は過去の間違いから何も学んでいないと語る。
これに対して、このような意見を述べるマシューこそイラクにおける新作戦を理解していないのだと指摘するのはブラックファイブのグリムである。

アルカエダのリーダーたちは戦いになると先ず逃げる。これは2004年にファルージャでも起きたことだ。しかしアルカエダの全体的な作戦である、アメリカに対抗して自分達が「勝ち馬」であるとするやり方に影響を与えるためには、彼等の本拠地を破壊することは非常に大切なことなのである。なぜなら彼等が逃げることによって本拠地が破壊されれば彼等はなんとしても失ってはいけない面子を失うからである。….

まずこの現象が起きたファルージャの例を考えてみよう。ファルージャでは敵は敵意まるだしの地元市民に勝利を勝ち取ると納得させた。その結果ファルージャはイスラミストに指導権を委ね、訓練をともにした。そして彼等がいう通り海兵隊はここで埋められると信じたのである。
しかしこれは幻想だった。アメリカの海兵隊と騎馬隊が現れると、テロリストの指導者たちは遁走してしまった。神話を信じたファルージャ市民は取り残されて自分らだけで戦うはめになったのである。ファルージャからの帰還兵の話によれば深い信念にもとづきファルージャ市民は激しく戦ったという。 しかし最後には彼等は生き残れなかった。ファルージャでおきた二つの戦闘の間にはイラクでは選挙があり、テロリストの攻撃は40%も減少した。敵の本拠地の真ん中であったこの土地で、選挙そのものも比較的問題なく行われた。

イラクのスンニ派反乱分子らがアルカエダに対する信用を失いはじめたのはこの頃からだとグリムは言う。確かに私の記憶でもイラクで最初の選挙があった頃から、スンニ派の寝返りが少ないながらも除々に起きはじめていた。いくらアルカエダが強気なことを言ってみてもいざという時に仲間を見捨ててすたこらさっさと逃げ出し地元民だけを犠牲にすることを繰り返していては、いずれはアルカエダの人気も落ちる。そしてアルカエダが逃げる度にアメリカ軍やイラク軍が勝利を遂げれば、いつかはスンニ市民にもどちらが「勝ち馬」かが分かるようになるわけだ。無論それは一夜では起きない。スンニ市民の大多数がアルカエダを見放しアメリカ・イラク連合軍を信用するようになるまでには時間がかかる。しかし今やその時が来たと私は思う。
ブラックファイブが受け取ったファルージャの司令官からのメールでも、このことが確認されている。

イラク警備軍は成功を遂げています。我々が戦っている敵のテロリスト達ですは風向きがかわりつつあることに気が付いています。い楽市民の支持が連合軍側に向けられているのです。それで敵側は殺人などの脅迫作戦をつかっていますが全く効果があがっていません。イラクの人々がテロリストに立ち向かって戦っているのを見るのはうれしいものです。

イラク新作戦はうまくいっていないどころか、かなりうまくいっているように思える。このまま辛抱強くアルカエダの神話を潰し、イラク市民の信用を勝ち取っていけば我々がイラクで勝てる日も近い。


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イラク米軍、元敵のスンニ反乱分子との協力は懸命か?

バクバでのアメリカ軍新作戦も一週間になるが、先日もお話したように米軍は地元住民からの通告によって貴重な諜報を得ている。このAPの記事によれば元アメリカの敵だったスンニ元反乱分子がいまや積極的に米軍の前衛偵察員として働いているという。

一万兵の強さを誇る米軍の五日目に入ったディヤラ地区の首都におけるアルカエダ戦士および爆弾製造者掃討作戦において、何百という元スンニ反乱軍の1920年革命旅団のメンバーは、米軍の前衛偵察員として諜報活動に当たっている。

もう2年以上も前からスンニ派種族がアルカエダに立ち向かう話は出てきていたが、最近になってこれまでアメリカを宿敵として戦ってきた元スンニ反乱分子までが次々にアルカエダから寝返って、アメリカ軍に協力を提供しはじめている。(下記は毎日新聞より

 11日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、イラク駐留米軍がイラク軍を通じ、同国内のイスラム教スンニ派勢力に武器類や資金を提供、国際テロ組織アルカイダ系組織と戦わせる新戦略を試行していると報じた。米軍司令官の話として伝えた。

 スンニ派勢力の中には過去、アルカイダと手を組み米軍を攻撃した疑いのある組織も含まれている。イラクの治安改善を目指した部隊増派の成果が十分に上がっていない中、米軍にとって苦渋の選択と言えそうだ。
 同紙によると、米軍はスンニ派が多数を占め、武装勢力の拠点とされるイラク中西部アンバル州で、スンニ派勢力への武器類供与を試験的に実施。中部など計4カ所でも同派勢力との提携に向けた協議を行った。

毎日新聞はもう二年以上も前からアメリカ軍がアルカエダに反旗を翻したスンニ派部族との交渉をつづけてきていることを知らないのか?スンニ部族を味方にする作戦はイラク安定化の一貫としてイラク軍養成と平行して行われてきた方針である。今頃『イラクの治安改善を目指した部隊増派の成果が十分に上がっていない中、米軍にとって苦渋の選択』などと何をとぼけたことを言っているのだ。ニューヨークタイムスの記事を焼き直して掲載して報道しているつもりだからこういうとんちんかんな感想がはいるのだ。まったく!
ま、それはそれとして、アメリカのブロガーのウエストホーク(Westhawk)という元海兵隊司令官はこの「敵の敵は味方作戦」にはかなり批判的だ。

アメリカ軍がやっとアルカエダの隠れ家を発見する方法を見つけだしたというのはいいことであるが、問題なのはイラクの80%以上を占めるシーア派とクルド派はアメリカ軍がやっていることを面白く思っていないことである…

ウエストホークはワシントンポストの記事から引用し、他のイラク人たちがアメリカ軍が「テロリストを信用している」と苦情をいっていることを指摘している。

イラク政府のある高官はスンニと協力関係を持つアメリカ軍事作戦について「ばかげている」と語った。

「三か月ごとに彼等の作戦は変わります。我々の方針の邪魔になるだけでなく全ての人々を不安にさせます。このような作戦は目前の便利さだけが先行して、十分な配慮がされていないと思います。」と匿名希望の高官は語った。
「事実上アメリカ軍はイラク政府並びにシーア派やクルド族にサダム派と仲直りしろと強制しているようなものです。」と高官は付け加えた。「これは1865年に(注:米南北戦争終結の年)南部に北部とすぐさま和解せよと強制しているようなものです。出来っこありません」

出来っこない例としては南北戦争は不適切だな。(笑)南部再建という名目で北部政府の共和党による南部への暴虐が数年に渡っておき、南部アメリカ人の中にはその恨みから未だに共和党には絶対に投票しないとがんばっている人たちがいることは確かだ。しかしその反面、アメリカは南北戦争の結果南部と北部の宗派間争いは終わり二つの国となったりはせず、最終的には一つの国家として南北が平和共存することができた。
スンニ派、特に元サダム・フセイン派の市民と他の市民らがすぐさま仲良くなるということは不可能でも、いずれはそれぞれの部族が部族主義を乗り越えてイラク人として共存していかなければならない。アルカエダという同じ敵と戦うことがきっかけでその協力関係をが今はじめられるなら歓迎されるべきことであり批判されるべきことではない。
第一自分達はシーア民兵の悪行を取り締まれずに内部争いばかりしているイラク政府の高官が、アメリカ軍の作戦を「ばかげている」などといえた義理か、それこそばかばかしい!
もちろん元敵のスンニ反乱分子を無闇矢鱈に信用し武器供給などすることについてはかなりの注意が必要だろう。こういっちゃなんだがアラブ人の傾向として強い方に味方する日和見主義があることも忘れてはならないからだ。
しかし私はウエストホークがいうシーア派とクルド族がスンニ派を絶対に許さないという考えには賛成できない。フセイン時代でもスンニ派とシーア派、およびクルド族は結構平和に共存してきた。フセインが自分の勢力を守るために宗派間の敵対心をあおっていたことは確かだが、部族同士はそれほど殺しあいをしたいほど憎みあっていたわけではない。今起きている宗派間争いにしたところで、スンニとシーアの一部の人間が混乱を利用して勢力を得ようとしているだけのことであり、一般のイラク市民たちは宗派間争いなど望んでいないのだ。
イラク人たちがイラクという国の国民として自意識を持つことができず、宗派だけを強調するというウエストホークの考え方は間違っていると私は思う。スンニ元反乱分子もイラク人である。今後彼等が生き延びたいのであれば、今こそ彼等にとっても正念場だろう。アメリカ軍がそれをうまく利用して良い方向へもっていくことができれば儲け物である。


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米軍イラク新作戦、いよいよ本格的に開始

ことイラク作戦に関しては右も左も「増派、増派」というだけでいったい実際にどんな作戦がとられているのかメディアは詳細を報道しない。それでイラク戦争に関してきちんと注意を払っていないと、アメリカ軍はやたらに兵士の数だけ増やして訳の分からないことをやっては殺されているという印象を受けかねない。
しかしありがたいことに、主流メディアがきちんと報道しない現地での状況をアメリカのミルブロガーと呼ばれる人々が詳しく説明してくれているので、そのうちの一人、ビル・ロジオのブログThe Fourth Railを参考にイラクにおけるアメリカ軍の新作戦を考えてみよう。
現在イラクで行われている作戦はバグダッド治安安定を目的としたファンタムサンダー作戦である。五日目にはいったこの戦闘はアメリカ軍とイラク軍の複数の隊によるもので、細かく分けてダイヤラーの首都バクバー市で行われているアローヘッドリッパー作戦、南バグダッド地域で行われているマーントーチ作戦とコマンドイーグル作戦、そして名前は分からないがアンバー地区の東部で行われている作戦との四つの戦線を持つ広範囲の戦闘作戦である。
アローヘッドリッパー作戦(Operation Arrowhead Ripper)
メディアから一番注目を浴びているのがバクバーの戦闘だろう。下記は朝日新聞の記事より

イラク駐留米軍は同日、中部ディヤラ州バクバ周辺で1万人を動員した大規模なアルカイダ掃討作戦を始めた、と発表した。「フセイン政権崩壊後で最大規模の作戦の一つ」だという。

西部アンバル州やバグダッド周辺では米軍などの掃討作戦が続く。地元系のスンニ派部族や武装勢力もアルカイダ系に反旗を翻したため、アルカイダ系はディヤラ州に流入。バクバ周辺の治安は悪化していた。19日に外出禁止令が発令され、激しい銃撃戦が続いている模様だ。米軍は同日午前中までに戦闘員22人を殺害したと発表した。

バクバはディヤラ地方の首都にあたり、アルカエダがイラクイスラム国家の本拠地と宣言した場所であり、1000人以上のアルカエダ戦闘員が待機しているものと思われる。このあたりは路肩爆弾や地雷、狙撃兵などで武装されている。従軍記者のマイケル・ゴードンによればアメリカ軍は西バクバにて医療体制の整ったアルカエダ戦場病院を発見したという。この病院ではなんと酸素マスクだの手術用の機械を作動する発電機などが備え付けられていたという。まったくアルカエダはいったいどっからこんな立派な病院を設置する資金や器具を取得したのだろう?
この作戦により、少なくとも41人のテロリストが殺され、5つの武器庫のなかから25の路肩爆弾、爆弾装備の家屋などが発見され破壊された。
マイケル・ゴードンも体当たりフリーランス記者のマイケル・ヨンもバクバの陸軍に従軍しているが、地元庶民からアルカエダに関する情報がかなり入ってきているらしい。マイケル・ヨンによると地元市民はアメリカ軍によってアルカエダが殺されていることをうれしくおもっているらしく、アメリカ軍への協力に積極的だという。「市民は路肩爆弾の場所や敵の陣地の場所などを指摘してくれるため、アルカエダにとってはうまくいっていません」とヨン記者。
マーントーチ作戦とコマンドイーグル作戦(Operations Marne Torch and Commando Eagle)
南バグダッド地帯に新しくできた多国籍軍の二つの司令部がそれぞれ行っている作戦。マーントーチはバグダッド南東部、コマンドイーグルはバグダッドの西南部の担当である。
すでにマーントーチとイラク軍はチグリス川において武器輸送をしていた17隻のボートを破壊し、多国籍軍当局の発表によればアメリカ軍は5人のテロリストを殺害し、12の改良爆弾を破壊、13人の指名手配テロリストを拘束したとある。
コマンドイーグルのほうでは21日、ヘリコプターとハンビーを駆使した攻撃により29人のテロリストを退治、多数の武器庫を発見破壊、75枚のCDにおさめられたプロパガンダおよび拉致や拷問の仕方やヘリコプターの撃ち落とし方などの教科書を発見した。
東アンバール地域、名無し作戦
東アンバールで行われている戦闘の作戦名はまだ公開されていない。米軍報道官のジョン・アレン准将によると、現在ファルージャ、カーマ(Karma)、ターター(Thar Thar)のみっつの地域に焦点が当てられているという。ファルージャでは11地区において市民による隣組み風の組織がつくられ警察と協力関係にあるという。ファルージャ地域の治安維持作戦はアルージャ(Alljah)と呼ばれているそうだ。これはラマディで成功した作戦を取り入れているのだという。
ファルージャは8月頃にはほぼ安定するものと思われる。カーマとターターは7月以内にはなんとかなりそうだ。しかしカーマにおける改良路肩爆弾の攻撃は毎晩あちこちで起きており、まだまだ油断のできない地域である。しかし米軍によればファルージャは日に日に状況が向上しているということだ。
マフディ軍との戦い
アルカエダに対する戦いが激化する一方、アメリカ軍はモクタダ・アルサドルの率いるマフディ軍への圧力も引き続き強めている。
6月20日、アメリカ軍特別部隊はサドル市への手入れにおいて誘拐や攻撃を企んでいた民兵の司令官とその仲間二人を逮捕した。逮捕された三人はこれまでにもイラク市民の誘拐や殺害に必要な警察の制服、身分証明書などを供給していたという。イランが援助しているマフディの秘密グループは、先月におきたイギリス民間人5人を誘拐したと考えられている。また今年の一月に5人のアメリカ兵を殺したのもこのグループであるとされている。
ペトラエウス将軍によれば、イギリスの民間人が拉致される数日前にアメリカ軍は秘密グループの指導者を逮捕していたのだが、作戦はすでに部下によって進行されていた。 この秘密グループはジャイシアルマフディ( Jaish al-Mahdi [al-Mahdi Army])軍と呼ばれるマフディ軍の一部だが、直接サドルの支配下にあるとは限らず、アメリカ軍が必死に崩壊しようと努力しているイラン系カーザリネットワークの仲間らしい。
ほかにも色々な戦闘があちこちで起きているが、その成果はまずまずといったところだ。イラク戦争の新作戦は決して単なる意味のない増派ではない。増加された軍隊は能率的に対テロリスト作戦に起用されているのである。今年の8月下旬頃までにはかなりの成果が期待されるであろう。


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イラク駐留米軍の「半減構想」で右往左往の保守派とリベラル

数日前、ニューヨークタイムスはブッシュ政権がイラク駐留米軍を来年あたり半減させることを考えているという情報を報道すると、アメリカでは右も左もブッシュがついに民主党の圧力に負けて妥協したと歓喜したり激怒したりと大騒ぎになっている。

構想をめぐる調整は今後数カ月間続くともし、具体的な内容は現在、固まっていないとも伝えた。

シナリオの一つは、来年の米大統領選を考慮し、兵力を約10万人規模に削減することを想定。現在の兵力は約14万5000人となっている。
また、ブッシュ大統領が今年1月に発表した首都バグダッドと武装勢力の活動が活発なアンバル州の治安回復に米軍を投入する方針を修正し、主要任務をイラク軍の訓練、国際テロ組織アルカイダ系勢力の掃討に集約させることも考えられていると伝えた。
米軍の戦闘旅団の数では、現在の20を約10に減らし、来年春から年末までの間に実現させたいとしている。
政権内で駐留米軍の削減論が浮上したのは、米大統領選を踏まえ、イラク政策に関する論議の焦点を撤退期限の明示問題から米軍の長期配備に移したいとの思惑があるという。野党・民主党は撤収期限の提示を予算案などに絡めて強硬に要求、ブッシュ政権と対立している。
また、駐留米軍の現在の規模が、イラク、中東や米国内の情勢を踏まえ、今後も維持することは不可能との認識が議論の背景にあるとている。
タイムズ紙によると、来年中の部隊削減を提案しているのはゲーツ国防長官とライス国務長官で、イラクの政治改革の進展を疑問視する一部将官も加わっている。イラク駐留米軍の司令官は議論に関与していないという。

なんでもかんでもイラク敗戦に結び付ける左翼連中が誤解するのはしょうがないとしても、左翼メディアを信じるなと常々いってる保守派連中までブッシュが妥協したなどと頓珍漢なことを言ってるのをきくと苛立ちを通りこして腹が立ってくる。
ブッシュ大統領は戦争が始まる前からフセイン政権を倒し民主主義国家を創立し、治安が落ち着いたら一部のアドバイザーだけを残してイラク人に自治を任せて撤退すると言っていた。イラクに半永久的に十数万の隊を駐留させるなどと言ったことは一度もない。
総司令官たるものあらゆる戦況に対してあらゆる対応策をあらかじめ考えておくのは当たり前だ。今の作戦がうまくいって治安が安定した場合を想定して、来年兵数を半分に減らす可能性を考えるのは軍隊の総司令官として当然の義務である。
どうして4年間もイラク戦争を見つめてきた人たちがこんな基礎的な戦略も理解できないのだ?最初から戦争に反対なリベラルや左翼連中がブッシュ政権の主張を都合良く忘れてわい曲して話をするのは仕方ないとしても、イラク戦争を支持してきたひとたちがブッシュ大統領の当初からの作戦を理解できていないというのはどういうことなのだ?いったい何を基盤にしてこの戦争を支持していたのだ?
アメリカの保守派を自負するカカシとしてはこういうことはいいたくないのだが、アメリカの保守派のなかには左翼メディアは信用できないと常々いっているくせに、左翼メディアがイラク戦争は負ける、来期の大統領選挙と一般選挙は民主党が圧勝すると報道すると、「もうだめだ〜」」とすぐ弱腰になる連中が多すぎる。どうして信用できない左翼メディアの報道を鵜呑みにするのだ!
イラクは対テロ戦争の一貫であるが、これが最初でも最後でもない。対テロ戦争は東共産圏との長年に渡る冷戦のように何十年も続く戦争になるだろう。だがイラク戦争で敵の力を弱体化しておけば、それだけ今後の戦争に我々は有利になる。だからイラク戦争はイラク人が自立できるまで見届ける必要がある。だがそれは我々が永久にイラクを面倒みるということではない。今後長丁場になる対テロ戦争を考えたら、いつまでもイラクにだけ手間どっているわけにはいかないのである。


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米議会:民主党が完全に折れたブッシュの戦費予算案

まったく半年近くもグチャグチャ言って時間稼ぎをしていた米民主党議会だが、結局ブッシュ大統領の提案どおりのイラク戦費予算案が通りブッシュ大統領の署名となった。先ずは5月26日付けのCNNのニュースから。

ブッシュ大統領が署名、今秋までのイラク戦費法案

ワシントン——ブッシュ米大統領は25日、上下両院が24日夜に可決していた今秋までのイラク戦費支出を含む補正予算案に署名した。大統領と議会の攻防の焦点となっていた米軍撤退期限は明示されず、イラク政府が復興に向けて達成すべき目標を設定するにとどまっている。
ただ、撤退期限の問題は今秋に蒸し返されることは確実。法案では、野党・民主党が期限の明示を主張していたが、最終的に折れる形となった。同党は2008会計年度(07年10月─08年9月)の予算案審議で改めて要求する方針。

結局今のアメリカの議会は戦争を止める度胸など全くないということだ。口先だけで批判はしてもアメリカの敗北を招くことになる責任をとるだけの政治力はない。ヒラリー・クリントンとバラク・オバマがわずかに抗議の反対票を投じたが最初から可決されると分かっている議案に対しての反対票など、反戦派の極左翼に迎合するための形式上の抗議に過ぎない。
反対票を投じたバラク・オバマは下記のような公式発表をした。括弧内はカカシの注釈。(パワーラインより

わが国は軍隊を支持することで一気団結しています。しかし我々は他国の内線を警備するという重荷から彼等を解放してやる計画をたてる義務があるのです。ロムニー知事もマケイン上院議員も(二人とも共和党から大統領候補として出ている)明らかにイラクでの方針がうまくいっていると信じています。しかし私はそうは思いません。数週間前にマケイン議員が(防弾用の)フラックジャケット(flack jacket)を着て装甲ハンビーに乗り、アパッチヘリコプター2機とライフルを持った100人の兵士らに守られながらバグダッドの市場を歩かなければならなかったことがそれを証明しています。

これに対してマケイン議員はすかさず反撃した。

確かに上院議員(わずか)二年目のオバマ議員は我が軍への予算割り当てに反対票を入れる権利はあります。私の(長年に渡る議員として、ベトナム戦争に参戦して7年間にわたって捕虜になった豊かな)経験と現場の司令官たちとの会話とを合わせて考えた結果、私は新しい作戦が成功する機会を与えなければならないと信じます。なぜなら失敗はわが国の防衛に悲劇的な結果を招くからです。

ところでオバマ議員、フラックジャケットはflak jacketと綴ります。flackではありません。

マケイン議員は一本気で融通が効かないところがあり、すぐカッとなる質でブッシュ大統領ともいろいろぶつかりあってきた人だが、他人からの突っ込みにはもっと鋭い突っ込みを返せる頭の回転のいい人だ。たかだか上院議員二年生のオバマごときが相手にして勝てる相手ではない。
共和党の他の大統領候補たちもマケイン議員を見習って、今後一年半選挙に向けてどれだけヒラリーやオバマが自国の軍隊の活動を阻止しようとしたか、軍隊の総司令官になろうという人間がどれだけ軍隊をおざなりにしたか、投票者に何度も思い出させる必要がある。
アメリカの左翼連中はなんとかイラクを第二のベトナムに仕立て上げて勝てる戦争に負けようと必死だが、今の状況はベトナム時代とは違うのだということが今回の予算案可決ではっきりした。それにしてもアメリカって国は大統領の権限が強い。これはクリントン政権時代にも感じたことだが、議会全体を敵に回しても大統領には独裁的といっていいほどの権限がある。特に戦争に関しては大統領が断固戦うと言い切れば議会はそう簡単に阻止することはできないのだ。はっきりいってアメリカがそういう国で本当に良かったと思う。なぜなら対テロ戦争に負けることは絶対に許されないからだ。
イラクに巣食うテロリストやシーア民兵らにも分かっただろう。アメリカ議会はなんだかんだいっても実際に力を握っているのはブッシュ大統領なのだということが。だから抵抗は無駄なのだ、そろそろあきらめようというふうになってくれればいいのだが、ま、それは無理か。


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アメリカ軍の防弾チョッキは兵士を守っているのか?

現在アメリカ陸軍が使っている防弾チョッキは技術の最先端をいくものではなく、もっと性能のいい防弾チョッキがあるにもかかわらず、陸軍は他メーカーの製品の使用を全面的に禁止して、兵士の身をむざむざ危険にさらしているという話が最近で回っている。このNBCの番組などその典型だ。このニュースは司会者リサ・マイヤーズによる下記のようなナレーションで始まる。

陸軍の防弾チョッキの監督をしているマーク・ブラウン准将はNBCに「現在兵士らに至急されている防弾チョッキは世界最高のものです。実弾テストでも実戦でもそれは証明されています。」と語った。

だが本当に最高なのだろうか?
NBCが独自に行った弾道テストも含む調査によると、もっと性能のいいドラゴンスキンというものが存在する可能性が出てきた。軍人の家族や兵士らはドラゴンスキンのほうが防衛力があると信じて購入しようとした。しかし陸軍は去年正式なテストをする前にその使用を全面禁止した。

現在陸軍が使っている防弾チョッキはインターセプターというが、このデザインに関与した技術師のジム・マギー氏も、現在一番性能のいい防弾チョッキはインターセプターよりもドラゴンスキンと呼ばれるものだと語っている。防御面積も阻止能力も一段も二段も上だとマギー氏は語る。

ドラゴンスキンとは利害関係が全くないマギー氏は「もし今日、ジム、明日からイラクへいってもらうからどっちを着る?と聞かれたら私はドラゴンスキンを買って着ますよ。」と語った。

現にCIAは去年からドラゴンスキンの使用をはじめている。しかし、陸軍のマーク・ブラウン准将はドラゴンスキンは陸軍のテストに完全に失格したと語っている。

准将: 48発のうち13発うった玉がドラゴンスキンを突き抜けたのです。
リサ: じゃあ、悲劇的な失敗ですね。
准将:そうです。
リサ: ドラゴンスキンは失格したのですね。
准将: ドラゴンスキンはみじめに失敗しました。

番組ではここで司会者のマイヤーズが鬼の首でもとったかのように鼻にかけたナレーションが入る。

ナレーション:ここで問題が一つある。陸軍はドラゴンスキンを3月に使用禁止にした。それは5月のテストの二か月も前のことだった。

リサ: 准将、陸軍がドラゴンスキンを使用禁止にしたのはテストの前ですよ。
准将: リサ、私は、私はそのことは知りません、私はテストがその時行われていなかったことはしりません。私はその場にいなかったので、、

准将はインタビュー番組は慣れていないとみえて、適切な反論をしなかった。それで、ばれた嘘を言い訳しているような印象を与えてしまった。准将が返すべきだった反論は『リサ、当然ですよ。試験もしていない防弾チョッキを兵士らに使わせる訳にはいきませんからね!』である。テストもしてない装具を兵士らが勝手に着はじめたらそれこそ危険ではないか。先ずその安全性が分かるまでひとまず使用禁止にするのは当たり前だと言えば良かったのである。
実のところ私はドラゴンスキンがインターセプターよりも性能がいいのかどうかということは知らない。以前に「フューチャーウエポン」(未来の武器)というテレビ番組でドラゴンスキンの特集をしているのをみたことがあるが、この番組では既存のチョッキよりも性能はいいという結論をつけていた。またNBCの番組で上記の専門家以外のエンジニアーたちがが口々にドラゴンスキンの性能の良さを語り、独立して行った比較試験ではドラゴンスキンのほうが性能が高いという結論付けもしている。
もし本当にドラゴンスキンが既存のインターセプターより性能がいいのであれば、どうして陸軍はこれを使いたがらないのだろうか?NBCはドラゴンスキンが陸軍の企画でないことが原因していると示唆する。

ナレーション:機械工学士で弾道学の専門家であるネビン・ルーパート氏は7年間にわたり陸軍のドラゴンスキン専門家だった。今は内部告発者となった氏は陸軍のタイミングは偶然ではないと語る。

ルーパート: 私は陸軍の低位の人たちが故意に阻止しようとしてるんだと思います。
リサ:陸軍の人たちがどんな動機があって命を救う技術を邪魔する必要があるのですか?
ルーパート:彼等の組織に対する忠誠心と予算維持です。
ナレーション:氏によるとドラゴンスキンは陸軍によって開発されたものではないため、陸軍のなかにはインターセプターやその他の企画の予算が削られるのを恐れている人たちがいるという。(略)ルーパート氏はドラゴンスキンのテストには立ち会わないように命令されたという。
リサ:7年もドラゴンスキンの分析に当たっていたのに、陸軍がテストする時に出席するなといわれたんですか?
ルーパート: そうです。

もっともこのルーパートというひと、今年の2月に33年勤めた陸軍を首になっていて、明らかに陸軍には個人的な恨みがある。どういう理由で解雇されたのか明らかではないが、陸軍は法律上コメントできない。そのをいいことにNBCはそうと知っていながら陸軍がコメントを避けているかのように語っている。
また軍上層部の将軍らがドラゴンスキンを購入した事実を指摘し、一介の兵士らの身の安全は考えないくせに上層部だけが性能のいいものをきているとでもいいたげだ。しかし上層分の将軍らは多分陸軍の防弾チョッキの規則を知らなかったのだろうし、お偉方は鉄砲担いで戦闘に赴くわけではないから、多少重たいチョッキをきて歩いたからといってどうってことはない。こういう報道の仕方を「あら探し」というのだ。
しかしここでNBCが語らないのは、ドラゴンスキンの使いやすさである。性能のいい防弾チョキが必ずしも一番使いやすいとは限らない。例えばマイヤーズの「陸軍の人たちがどんな動機があって命を救う技術を邪魔する必要があるのですか?」という質問だが、忠誠心や予算維持以外に、軍隊にはもっと基本的な理由がある。それは、
軍隊は兵士の命を守るのが仕事ではない。軍隊は敵を殺し物を壊すのが仕事である。であるからその仕事に邪魔になるものは使わない。
軍隊が兵士の命を守ることを最優先にしたならば、戦争など最初からやれないではないか。戦争をやれば必ず戦死者や負傷者が出ることは最初から分かっているのだから。
つまり、ドラゴンスキンがどれほど既存のチョッキよりも性能がよかったとしても、(陸軍は異存を唱えているが)それが兵士の戦う行動の邪魔になるようであれば使用しないという決断が下されても不思議ではない。現に私は現場の兵士らがある種のチョッキは重たすぎて着てられないと文句をいっているのをミルブログなどで読んだことがある。
事実、インターセプターの12.7kgに比べてドラゴンスキンは21.5kgと二倍近い重量なのである。重たい荷物をしょってハイキングをしたことのある人なら分かるが一人の人間が担いで機能できる重量には限りがある。それ以上になった場合はたとえどれだけ便利なものでも置いていくしか仕方がないのだ。一般の兵士が担げる重量はスパルタの時代からほぼかわらず36.2kgがせいぜい。防弾チョッキだけでその三分の二をとられてしまっては、その分持てる補充用の銃弾の数などが減るし兵士の動きにも弊害がでる。いくら弾に当たった場合は生き残る可能性が高くても動きが鈍って弾に当たる可能性が高まっては元も子もないだろう。
また、陸軍のテストによるとドラゴンスキンは耐えられる温度にも限りがあり、下はカ氏マイナス20度まで、上は120度までで、それ以上になると鱗をとめている糊が弱まって鱗がはがれてしまうという。
強まる批判に答えるため、陸軍はこのほかにもドラゴンスキンのテストの調査結果を公表した。
この問題はこのままではおさまらず、きっと民主党の議員らが公聴会でも開いてまたまた税金の無駄使いをするに違いない。だいたい戦費を削って軍隊の行動を大幅に邪魔し、兵士をより危険な目にあわせようとしている奴らが、この時とばかりまるで兵士らの身を慮っているかのうように騒ぎ立てる偽善には反吐がでる。軍隊の動き同様、軍隊が使用する武器なども専門家でもない議院などに決めてもらいたくない。これは現地で実際に武器を使用する軍人や専門家の工学博士などが決めることであり、素人が口出しすべきことではないのである。


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イラクブロガー、テロとの戦いは続けなければならない!

ミスター苺紹介イラク・ザ・モデルのこの記事はすばらしい。
ここでも何度か紹介しているが、イラク・ザ・モデルはバグダッド在住のモハメッド、オマー、アリのファディ三兄弟で始めたブログ。途中アリが抜けて今は二人で経営しているが、彼らのエントリーを呼んでいるとその勇気に常に感心させられる。
安全なアメリカで安楽イスに腰掛けながら「イラクは泥沼だ、即撤退だ!」と騒ぎ立てる敗北主義者とは対照的に、暴力の真っ只中にいながら希望を捨てず、イラクの将来のために努力したいと常に未来をみつめるモハメッドとオマーに声援を送りたい。
さて、このエントリーでも「砂の中に頭を埋めないでくれ」とモハメッドは対テロ戦争はあきらめてはいけない、アメリカ軍は撤退してはいけないと、この戦争の大切さを訴えている。モハメッドはイラク国内でもアメリカにもアメリカは負けているというメッセージを送り込むのは間違っていると語る。
ハリー・リードの「アメリカは負けた」宣言に続いて、アルカエダのザワヒリは「我々は勝った」宣言をしているが、実際の戦況をみていると、どちらが勝ったなどといえたような状態ではなく、かえってアルカエダの方が苦戦状態にあるとモハメッドは言う。
イラク戦争はドンパチ戦争であると同時に情報戦争でもあるわけで、アメリカやイラクから間違ったメッセージを送り込むことは、すでに複雑な状況をさらに複雑にし、イランやシリア、サウジアラビアなどに漬け込まれるのが落ちだとモハメッドは言う。

アメリカ軍はイラクに駐留し続けるべきだ。そして必要とあれば状況に応じて援軍を送るべきだ。それだけでなく、中東に脅威を及ぼし、醜い限りの欲望で核兵器を使って世界中を脅迫し、熱狂的な願望と妄想によって世界のみならず自分達をも破壊しようという悪の巣は徹底的に叩く必要があるのだ。 …

我々はこれらの犯罪者や独裁者と戦い続けねければならない。奴らがこの地で自由を愛する人々が一人ではないことを知るまで。自由と威厳に満ちた生活は人類すべての希望だ。それが我々を団結させるのだ。死や自爆ではない。他の国の自由を愛する人々が我々に手を差し伸べる時、アクマネナジャド、ナスララ、アサード、カダフィのようなすべての独裁者と殺人鬼らは我々は彼らの息子らに引き継がれる所有物ではないことを知るだろう。我々は文明に属するのだ。…奴らは我々の威厳を醜い犯罪によって奪い取ることは出来ない、我々を撤退させることもできない。世界は自由の戦士らに出て行けという前に、奴らに出て行けというべきだ。

モハメッドはまた、ヨーロッパを開放するのにどれだけの犠牲を有したか、そしてその後も冷戦中に長年にわたり、アメリカ軍が駐留してヨーロッパの平和を維持してきたことなどをあげ、ヨーロッパを守ることは正しかったのに、何故、人々は世界中の文明社会の平和を脅かすテロリストが巣食うイラクを見捨てろというのかと問いかける。

友よ、私は悪い奴らが呼びかけているように、あなた方に強く呼びかけたい。私は奴らより強いことを見せなければならない。なぜなら奴らは文明の理屈や道理など理解できないからだ。奴らにわかるのは力だけだ。そして力を通じて奴らは国々を支配し国民を人質としているのだ。奴らの功績のすべてが殺人、拷問、弾圧、威嚇によって国民をコントロールすることで得てきたものなのだ。…

どうして勝利のために必要なすべての道具を所持している国が、毎日のように斬首や拷問、法と秩序と価値観をあからさまに犯す敵を前にして戦うことを拒むのか、私には理解できない。
アメリカを攻める人間はいつでも存在する。世界でおきるすべての悪いことがアメリカのせいだという奴はいつでもいる。だからといってアメリカがそんな奴らの言うことを聞く必要はない。アメリカが聴くべきなのはアメリカ精神とその精神が代表するものだ。
収穫は今日ではない。だが我慢強い戦いの後その果実は実るのだ。

モハメッドが疑問に思うとおり、アメリカは1970年代から武力がありながら徹底的な戦いを拒むという姿勢を続けてきた。ベトナム戦争での中途半端な撤退、イランのアメリカ大使館占拠事件での無対応、レバノンからの引き上げ、湾岸戦争でもフセインを殺さず撤退、ソマリア、コーバー塔、コール船、などなどなど、アルカエダや諸外国の悪いものからしてみれば、アメリカには戦う意志がない、アメリカは腰抜けだというイメージが強く焼きついているに違いない。ここでアメリカがイラク勝利をなくして撤退すれば、かれらのアメリカは腰抜けというイメージが完全に確認されることになる。
そうなったなら、アメリカは今以上に危険な状態にさらされうる。いや、アメリカだけではない。イラク戦争で痛い目にあったアメリカが士気を失っているとにらめば、アルカエダの狙いはクエート、サウジ、エジプト、トルコ、レバノン、といった中東はもとより、ヨーロッパ諸国へも広がるだろう。なにせ弱腰のアメリカが邪魔に入る危険はもうないのだから。
モハメッドはイラク及び中東を守るのはアメリカの使命だという。アメリカがイラクから退くと言うことはアメリカが対テロ戦争から退くと言うことだ。テロリストに勝利を与えるということだ。そうなれば、危険に陥るのは中東だけではない。世界中の文明社会が危険にさらされるのだ。
アメリカは絶対に撤退してはならない。自由を愛するイラクの人々と、そして世界の人々と共にアルカエダとその仲間の闇の力と戦おう!
撤退は許されない!


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対路肩改良爆弾、アメリカ軍の新兵器!

イラク戦争においてアメリカ兵を一番殺しているのはなんといっても路肩改良爆弾(IED)だろう。2003年フセイン政権が崩壊した直後、まだスンニとアルカエダの反乱分子がテロ行為を始める前まではアメリカ兵は交通手段としてハンビー(HUMVEE)と呼ばれる21世紀版ジープに乗っていた。もともと移動用の乗り物で戦闘用ではないので攻撃からは全く無防備だった。この弱点を最大限利用したのが敵の肩撃ちロケット弾(RPG)とIEDだ。
そこでアメリカ軍はバンドエイド型改良を行いハンビーに装甲を加えたがこれはあくまで臨時対策。そこでもっと効果のある対策としてストライカーと呼ばれる装甲車が2003年の終わり頃からじょじょに取り入れられた。これはハンビーよりも大型で戦車の乗組員は完全に囲まれている。ハンビーより重いし頑丈なのでちょっとやそっとのIEDでは吹っ飛ばせないし、RPGも突き抜けない。ストライカーのおかげで米軍兵の犠牲者はかなり減った。
しかし、敵もさるもの、こちらが強くなれば向こうも対抗して別の方法を考えてくる。ストライカーもデザイン的には下からの攻撃には弱い。ハンビーより重いとはいえ、その分爆薬を増やし地面の奥深くに埋めておけばストライカーでもふっとばすことは可能だ。ほぼ無敵と思えたストライカーも2006年の終わりごろからイランから入ってきた爆発成形弾(EFP)などによって致命的な被害を蒙ることが多くなってkた。

陸軍の兵輸送車として一時はより軽く小回りが効くとして歓声を浴びたストライカーも強力な路肩爆弾による一連の致命的な被害から、その弱点が新たに見直されている。

バグダッドの北方にある治安の悪いディヤラ地方にストライカーが出動した二ヶ月前から、ストライカーの損失が確実に増えていると軍当局は語っている。
損失に詳しい兵士の話によるとディヤラにいるひとつの歩兵中隊だけで今月に入って一週間未満で5台のストライカーが失われたという。 兵は情報を公開する資格がないため匿名でインタビューに答えた。ストライカー損失の合計数は非公開である。

明らかに敵はストライカーの弱点を見出しその弱点を多いに利用しているわけだ。ストライカーの真平らな床は下からの強力な爆弾攻撃には対抗の仕様がない。

明らかに敵は装置を隠す技術を向上させたようで、殺された1人の記者と6人の兵士とを殺害したIEDは下水パイプのなかに隠されていたと思われる。殺害機能を高めるため反乱分子は装置をセメントで固め爆発力がタンクのある上向きに行くように仕掛けてあったと捜査に携わった兵士は語った。

すとらいかー擁護者はこれらの攻撃は単に爆弾の致命的な強さを証明するものであり、ストライカーそのものに問題があるのではないと主張する。最近の爆弾はあまりにも強力であるためエイブラハム戦車でも立ち向かえないと言う。

ストライカーだけでなくエイブラハムもブラッドリーも最近は非常に高い率で損失を得ている。これははっきり言って由々しき状況といえる。我々が気がつかなければならないのは、イラク戦争は湾岸戦争とは違うのだということだ。我々はこれまでのように軍隊対軍隊が戦うような戦争をやっているわけではない。真正面から撃ってくる敵の弾をよければ済んでいた時代は終わったのだ。ゲリラに対する軍事作戦が正規軍との戦いとは全く異なるように、闇に潜む敵と対抗する武器もまたそれに適応して変わっていかなければならないのだ。
ストライカーにしろハンビー、エイブラハム、ブラッドリーにしろ、単に現在のEFPが突き抜けられない装甲装備をするだけでは常により強力な破壊力を持つ武器改良を厭わない敵相手に不十分である。
しかし忘れてならないのは、武器改良の点ではこちらの方が敵よりも一枚も二枚も上手(うわて)だということだ。第一ラウンドは取られたかもしれないが、第二ラウンドは見ていろよ、おれっちの番でえ。
アメリカ軍が誇る新兵器 MRAP級装甲車: をごらんあれ! これはthe Mine Resistant Ambush Protected級 と言い、日本語にすると「爾来抵抗待ち伏せ防御」とでもいうのかなあ?いやもっとチャントした日本語訳があるはず。 とにかく海兵隊と陸軍がそれぞれ独自にデザインしたもので、クーガーHシリーズのMRAP型(the Couger H-series of MRAP)とバッファローHシリーズのMPCV型(the Buffalo H-series of Mine Protected Route Clearance (MPCV) vehicles)がある。どちらもフォースプロテクションインク( Force Protection Inc)製造。バッファローの方がクーガーより大型で爆弾を掘り起こす装置がついている。ちなみにバッファローのあだ名はクロー(大爪)。

Couger H-series MRAP    Buffalo H-series MPCV

クーガーHシリーズ:Couger H-series MRAP () とバッファローHシリーズ: Buffalo H-series MPCV ()


画期的な改良デザインは輸送車の底の部分。下からの攻撃に弱かった平らな底をV型にすることで爆発の威力を拡散させるデザインがほどこされている。下記の写真を見ていただくとその意味がお分かりいただけると思う。

MRAP taking blast

IED攻撃を受けるMRAP: 爆弾の威力が車の両側に拡散されている


陸軍と海兵隊は現在クーガーを7,774 台注文しており ロバート・ゲイツ国防長官も大いに期待をかけている。

私の目に留まったのはある新聞の300以上のIED攻撃を受けたMRAPでは海兵隊員が一人も殺されなかったという記事です。.

アーミータイムスによるとイラク多国籍軍の中将(Lt. Gen. Raymond Odierno)は, 二年以内にイラクにあるハンビーをすべて MRAPと切り替えるように 命令したという。

ピート・ゲレン陸軍代理長官は本日陸軍は現在イラクにある17,700台のハンビーを二年以内にMine Resistant Ambush Protected装甲車に切り替えるため、購入の数を大幅に増やす計画を確認した。

海兵隊はすでに100台以上の MRAPイラク現地に備えている。陸軍も現在ある700台に加え、8月の初旬には2500台のMRAPを備える予定であるとゲレン代理長官は語った。
MRAP プログラムは速やかに進んでおり、陸軍と海兵隊による合同購入の努力がされている。

しかしここにひとつ難関がある。これは一般的に考えられる軍隊の変化に対する抵抗であるとか融通が利かないとかいうことではなく、もっと現実的な 製造過程での問題なのだ。このような新兵器を2年以内という時間制限で製造するのに充分な数の製造工場がないのである。

2006年7月現在200台のバッファローとクーガーがイラクとアフガニスタンに起用され、1000以上の地雷やIED攻撃を受けたにも拘わらず、ひとりの戦死者も出していない。しかしアメリカ、イラク、そしてイギリスの顧客からの注文が殺到するなか2004年にたった12人の従業員で始めた製造工場では注文に応じるのは至難の業である。

フォースプロテクションインクは2006年7月に500人目の従業員を雇い、製造率を3倍に増加させると発表した。クーガー製造のため四千百万ドルの資金を得、第二第三の製造ラインが設置された。またバッファーロー製造も二倍になる予定だ。

敵がこちらの弱点をついてくるなら、こちらも相手の攻撃に対抗してさらに武器を改良する。無装備のハンビーが狙われるならストライカーで対抗。ストライカーがIEDに弱いならクーガーやバッファローで対抗である。敵のこちらの攻撃への順応性とこのちらの対抗力のどちらが勝つか、戦争は常に競争だ。しかし武器改良の競争ならアメリカはテロリストたちよりよっぽど資金もあれば技術才能もある。たかがタオル頭のイラン人やマフディの猿どもには負けはしない。
しかしこういっちゃなんだが、技術の発展のためにもやはり戦争というのは時々やらないと駄目だな。


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なんでも反対とにかく反対日和見主義の米民主党

さっき、リーバーマン議員の演説の一部を訳し終わってミスター苺のブログを読んでいたら、私は後半の肝心な部分を読みすごしていたことに気がついた。大事な点なのでリーバーマン議員の演説続編としてご紹介しておこう。

月曜日の演説のなかで多数党リーダー(ハリー・リード)はイラクにおける新しい作戦を説明しました。その第一歩として彼は「アメリカ軍を内乱を警備する任務から解き,イラク軍を武装し訓練しアメリカ軍を守ることに移行し、標的を絞った対テロ作戦にいそすむべし」と語りました。…

(中略)
ここにもうひとつの皮肉があります。過去四年間に渡ってラムスフェルド国防長官の下、アメリカはイラクの基礎的な警備を確立しようとしませんでした。イラクの人々を守るのに必要な軍隊を出動させず軍事の焦点をイラク軍の武装と訓練にあて、我が軍を守り、標的を絞った攻撃をしてきました。言い換えれば我が軍はまさに今、我々の前に提示されたこの議案の提案そのものの作戦を取ってきたのです。
この作戦は失敗しました。そして我々は何故失敗したかを知っています。我々が警備に必要な充分な軍隊を派遣せず、アルカエダやその味方たちがすり抜ける穴を作ってしまったからです。敵は警備の手薄な場所に踏み入り恐ろしい暴力を振るい、経済や政治の発達が不可能な恐怖と不安に満ちた状況を作り上げてしまったのです。
もう何年も議会の多くの皆さんがこれに気がついていました。我々はこれについて議論してきました。我々はもっと多くの軍隊を送れと呼びかけてきました。そしてやっと…ブッシュ大統領も政権の間違いに気づき、考えを変えてイラクの基礎的な警備を守る必要性に気づき、新しく国防長官を選び、イラクに新しい司令官を備えてくれたその今になって、これまで大統領のやり方を批評してきた議員たちは突然考えをかえてこの失敗した作戦はそんなに悪くなかったというのです。
いったいどうなっているのでしょうか?2006年に我々が批評し拒絶した作戦が、どうして2007年の今日突然良い作戦だということなるのですか?

何が起きたかと言えばブッシュ大統領が考えを変え作戦を変えたことだ。民主党は最初からイラクでどうやって勝つかなどという作戦は持ち合わせていなかった。なんでもかんでもブッシュ大統領のやっていることを批判していたにすぎず、それが本当にイラク勝利に結びつくかどうかなど全く関心がなかったのである。だから今ブッシュ大統領が批判に答えて民主党議員らが要求していた通り増派作戦を取り入れると、今度はその正反対の事を言い出しこれまでの作戦をつづけるべきだとがなりたてる。なんでも反対とにかく反対としかいえないから自分の立場が過去と現在とで矛盾していることにすら気がつかない。
ミスター苺いわく、民主党は日和見主義の風見鶏だ。


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非国民米民主党議会降伏議決を通す、リーバーマン議員の演説

本日民主党が多数議席を占める上院議院においてイラク撤退降伏案が51:45で通った。共和党の裏切り者はオレゴン州のゴードン・スミスとネブラスカ州のチャック・へーグル。無所属で元民主党のジョー・リーバーマン議員は反対票を投じた。
ジョー・リーバーマンはアル・ゴアのパートナーとして民主党の副大統領候補にまでなったほどの忠実な民主党議員だった。しかしことイラク戦争に関してはアメリカは絶対に勝たねばならないという姿勢をずっと崩していない。そのせいで極左翼大富豪のジョージ・ソロス氏が創設したムーブ・オンという市民団体に責め立てられコネチカット州の上院議員民主党候補の座を奪われた。しかしリーバーマン氏は無所属として立候補し見事上院議員に当選して今に至る。
そのリーバーマン氏が今回の議決案について非常にすばらしい演説を行ったのでその一部を紹介しよう。本文はPower Line参照のこと。
道徳上意味をなさない

月曜日の演説のなかで多数党リーダー(ハリー・リード)はイラクにおける新しい作戦を説明しました。その第一歩として彼は「アメリカの内乱を警備する任務から解きイラク軍を武装し訓練しアメリカ軍を守ることに移行し、標的を絞った対テロ作戦にいそすむべし」と語りました。

しかし皆さん、一歩下がってこの計画がどういうものなのか考えてみてください。アメリカ軍が「内乱を警備」せず、任務を狭く規制するとはどういうことなのでしょうか?
まず、これはイラク市民が反乱分子や民兵らに脅かされ殺されても我が軍は彼らを守ることが許されなくなるのです。ペトラエウス将軍が主張するどのようなゲリラと戦う場合でも基礎的な警備保障に焦点を集中させる代わりに、兵士らはこの提案された法律によって宗派間争いが周り中で起きていても、それがどれほどひどいものでも全く手出しをしてはならないということになるのです。
つまり、これは意図的に意識して民族浄化や女子供が宗教が違うというだけで無実の市民が大量虐殺されるのに背を向けよと言うのです。つまり1990年代にユーゴスラビアで我々が介入した自らの政策に、そしていまでも我々の多くの人々がダルフールに介入せよと呼びかけるその政策に、背をむけよというのです。
これは道徳上全く意味をなしません。

またリーバーマン氏はアルカエダの狙いはイラク内乱なのであり、そのためにゴールデンモスクを爆破しシーハ派民兵の暴力を誘発したとし、内乱を止めずにどうやってアルカエダと戦うのだと問いかける。
軍事的に意味をなさない

多数党リーダーは月曜日、この作戦でもアメリカ軍は「標的を絞った対テロ作戦」を行うことができると言いました。イラクの内乱を止めなくても悪者を退治できるというのです。しかしもう一度伺いたい、これは戦地での作戦にどのような意味を持つのでしょうか?正規軍のように基地に集結しないテロリストをどうやって探し出すのですか?

標的を絞った対テロ作戦は必然的に我が軍が何処で何時彼らが攻撃をしかけるのかを知る必要があります。そのためには正確で行動可能な現時間での情報が必要です。こういう情報は一般のイラク人からしか得ることは出来ません。ということはイラク人と日常個人的な密接な交渉を持つことが必要なのです。そうやたて彼らの信頼を得、我々に価値ある情報を提供することで自分達が我々に守ってもらえると納得してもらってこそ個々のイラク人が我々の側についてくれるのです。これがペトラエウス将軍と彼の軍隊が行使している新しい作戦の真髄なのです。

つまり、リーバーマン氏は常日頃から地元をパトロールして地元民との交流を深めずにどうやって市民の信用を獲得し、テロリストの情報を集めることができるのかと問いかけているわけだ。ハリー・リードはイラク内のパトロールとテロリスト退治が全く別物だといいたいようだが、リーバーマン氏は片方なくしてもう片方はあり得ないと言っているのだ。
イラクは負けていない

ここではっきり言わせていただきます。私の意見ではイラクはまだ負けていません。しかしこの議案を施行すれば必ずや負けます。ですから私は中東の安定と治安維持の希望はここ本国にあると信じます。

民主党議員だけがわが国の希望であったなら、イラク戦争はとうの昔に負けている。幸いなことに我々には(イラク人にとっても)ブッシュ大統領という強い味方があったのだ! この議案はブッシュ大統領によって否決される。その後民主党はどうするのか、このまま同じような議案を持ち出してもまた否決されるだけで時間の無駄だ。では否決されないような議案を通すとしたら結局ブッシュ大統領が要求した予算案をそのまま通すより他にない。
ではいったいこの猿芝居はなんなのだ? 単にアルカエダを活気付け我が軍の士気を失わせ国民を苛立たせただけ、そしてその間に犠牲になったイラク人やアメリカ兵の命はどうしてくれるのだ?
しかし、すべてが悪いことばかりでもない。イラクのアルカエダやシーア派民兵はこのいきさつをどううけとっているのだろうか? 民主党が多数議席を取ればブッシュ政権の勢力が収まってイラクからアメリカ軍は撤退すると期待していたのに、民主党が多数議席を握って4ヶ月になるというのにアメリカ軍は撤退どころか増派までしてその攻撃を激化したりしている。民主党が多数議席を握る議会が次から次へと戦争反対、イラク撤退と議案を通しているというのに、ブッシュ大統領は涼しい顔をしている。挙句の果てにこれまで通った議決案には拘束力はないときた。やっと意味ありそうな議決案が通ったと思いきやブッシュの鶴の一声でごわさんと来た。 ということはなんだかんだ言いながらアメリカの議会なんぞ結局ただの張子の虎でなんの施行能力もない連中なんだ、こんな奴らを当てにした俺達は馬鹿だった、、、なんて反省しているかな?
力落とすなよテロリストども、民主党に裏切られたのはお前らが最初じゃない。


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