嘘つき二等兵、取り調べで嘘を全面的に認める!

この間からイラク駐留の米兵の悪行についてザ・ニューリパブリック(TNR)誌のイラク日記というコラムでショック・トゥループという記事を書いたスコット・トーマス・ビーチャム陸軍二等兵の話をしてきたが、本日、陸軍の捜査でビーチャム二等兵はTNRに書いたことはすべて嘘であることを認めたという記事が8月6日付けのウィークリースタンダードに掲載された。これは先日マット・サンチェズが報告しConfederate Yankeeのオーウェンが確認を取った陸軍による捜査の結果をさらに詳しく報道したものだ。
事件の背景は下記をご参照いただきたい。
「冬の兵士」再び、米二等兵の軍隊バッシング
暴かれたイラク版冬の兵士の嘘
ウィークリースタンダードは軍隊の捜査の関係者から、スコット・トーマス・ビーチャムはTNRに掲載された三つの連載記事に書かれた内容は誇大表現を使った嘘であり「一握りの真実」しか含まれていないねつ造であることを認める、という自供書に署名をしたという情報を得たという。
また別に、多国籍軍バグダッド支部の副報道官であるスティーブン・F・ラム少佐(Major Steven F. Lamb, the deputy Public Affairs Officer for Multi National Division-Baghdad)によれば、ビーチャム二等兵の捜査は完結し、二等兵の書いたことはすべて嘘であることが判明したとのことだ。取り調べを受けた隊の誰一人としてビーチャムの話を裏付ける者はなかったという。これもサンチェズとオーウェンが先日確認した情報と一致する。
ところでビーチャムの自供は捜査の初めの頃にされたものだという。ということはTNRが記事は正しいと大見見栄を切って声明文を発表していた時、すでにビーチャムはすべて嘘だと白状していたことになる。
これについて元陸軍特別部隊隊員のミルブロガー、ブラックファイブのジンボーおやじの感想は、当たり前だが、かなり辛らつだ。

俺はスコティーをちんぴらと呼び自分がねつ造した糞話で奴が言ったようなことを何一つやってない隊員仲間に糞を投げつけるこようなことをした以上、背中には気をつけるべきだと言ったことで、左翼連中から批難の集中砲火を浴びた。左翼の奴らは奴がショックトゥループで書いたことは明かに真実なのだから何を怒る必要があるのだろうかとおもったのかもしれない。そりゃそうだ、俺たちは皆、頭がい骨を掘っては帽子がわりにかぶってるんだからな。

ジンボーの親爺っさんも、サンチェズやオーウェンといった他のミルブロガー達も、最初からビーチャムの話はおかしいと疑っていた。ジンボーにいたっては「スコット・トーマスは糞やろうだ」と最初から全く信用していなかった。だからこそ彼等はTNRを問いつめたのであり、個別の捜査を行い、陸軍が正式な捜査を行うに至ったのである。
さて、ではこの新しい情報の進展で、TNRは反省して謝罪をするかと思いきや、ウィークリースタンダードが関係者から得たという情報は確認できないという声明文をだしただけ。TNRはわざわざ軍当局に問い合わせなどしなくても、ちんぴらビーチャムに直接問いただせばいいではないか、それとも奴さん、TNRに勤める自分の女房にも自供書のことをはなしてないのかな?


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ネットが幅を効かせるアメリカ左翼、デイリー・コス年次大会の影響力

先の参議院選挙で主にインターネットでの選挙運動に頼った右翼の新人候補が惨敗したことで、ネットの力を過信しすぎたのではないかという議論があちこちで見られた。今はまだ日本ではインターネットから出た候補者が勝利をおさめるには時期早尚かもしれない。だが将来そういうことが起きないとは断言できない。ネット歴史の浅い日本ではネットの影響力をどう政治に利用していくかその方法がまだはっきりと設立していないだけだ。
現にアメリカではデイリー・コスという左翼ブログが主にネットで活躍する過左翼市民団体のムーブオン・オーグと共に左翼・リベラル系の民主党支持者に多大なる影響を与えている。ここ数年デイリー・コス主催で行われているコス年次大会では、今年も民主党の大統領候補者ヒラリー・クリントンやブラコ・オバマなど大物政治家が何人も参加しており、この参加者の面々を見ればこのブログがどれほど強力な存在であるかが分かる。
ウィキペディアによれば、デイリーコスはマーコス・モーリトサス(Markos Moulitsas Zúniga)によって2002年に創設され週のヒット数は60万をこえるという。ただコスの場合ひとつのブログだけでなく提携ブログが多数あり、無数の掲示板も付属していることから、もうこれはただのブログとはいいがたい。こうしたコスのメンバーのことをコサックス(Kossacks)と呼び、その運動のことを草の根運動・グラスルーツをもじってネットルーツ運動と呼んでいるが、その過激的な思想から右翼系からはナットルーツ(気違い根っこ)ともじって呼ばれている。
さてこのコス年次大会はこの週末に行われたが、そのなかでも面白いエピソードがいくつかあるので紹介しておこう。

ヒラリー氏、ブロガーの集会でブーイング浴びる

2007年08月05日23時56分
 08年の米大統領選で初の女性大統領を狙う民主党のヒラリー・クリントン上院議員が4日、インターネットのブロガーの集会でブーイングを浴びた。…
 この日、リベラル系で人気の政治ブログ「デイリー・コス」がイリノイ州シカゴで開いた集会には、約1500人のブロガーらが参加。候補指名争いでクリントン氏を追うオバマ上院議員らも駆けつけた。インターネットのブログに書き込む草の根の情報発信は、米国政治では無視できない存在となりつつある。
 ブーイングが起きたのは、政治家との癒着が問題となりがちなロビイストの献金について、クリントン氏が「受け取る」と言明したため。「多くのロビイストは現実の米国人を代表している」とまで言い切った。
 民主党支持のブロガーは大半が左派リベラル系で、反ブッシュ色を鮮明にする。古い政治を破壊したい気持ちが強く、ロビイストへの拒否反応は強い。…
 だが、候補指名を得た後、共和党候補と対決する本選挙になると中間層の支持が欠かせない。リベラルなイメージの強かったクリントン氏はここ数年、イラク戦争の開戦に賛成するなど中間層をターゲットに据えてきた。ブロガーの世界では懐疑的に見られているが、嫌われない程度の距離感をとっており、この日もブロガーとの間には一線を引いた。

これは日本のネット会でもありがちなことなのだが、人気のあるブログに集まる意見が必ずしも市民の声を代表しているとは限らない。いや、かえって過激なことを書いた方が人気があがることから、ネットの意見というのは左翼にしろ右翼にしろ極端になることが多い。例えば前述のムーブオンなどはネットの力を利用して2004年の大統領選挙の時、バリバリの反戦派ハワード・ディーン候補を強く後押しした。予選前までは圧倒的に支持率が高く民主党候補も夢ではないと思われたディーン氏だったが、最初の予選でそのあまりに過激な思想から完全崩壊してしまったのは記憶に新しい。また2006年の中間選挙の時もムーブオンは、2000年の大統領選挙では民主党の副大統領候補にまでなった民主党の大御所ジョー・リーバーマン氏を、氏がイラク戦争支持であることを理由に攻撃した。氏の選挙区に民主党から無名の新人を出馬させ、再当選確実だったリーバーマン氏から民主党候補の座を奪ってしまったのである。だが、無所属として上院議員に立候補したリーバーマン氏は民主・共和双方の候補者をやぶって圧勝した。ナットルーツは左翼系はコントロール出来ても中間層からの支持は得られなかった典型例である。
ヒラリー・クリントンがデイリー・コスのメンバーたちの機嫌をとりながらも、一戦の距離をおいているのは、民主党候補となった後の一般選挙のことを考えてのことなのだ。過激派左翼の人気を得ようとあまりに過激な発言をすれば、後で中間層から見放されるのは目に見えている。しかし、基盤となる左翼系の支持なくしては候補に選ばれない。ここらへんの綱渡りが難かしいところだ。
さて、この大会においては色々な話題が取り上げられたが、「軍隊と革新派、お互いそんなに違うのか?」という主題のパネルにおいて質疑応答の際、増派支持について語ろうとした軍人の質問が突然打ち切られるという出来事があった。
質問したのはデイビッド・D・アキナ曹長。アキナ曹長はパネルの専門家たちが言ったことに対して増派は成功していると主張するつもりで、分厚い資料を片手に質問に挑んだが、質問の答えを得る前に司会者のジョン・ソルツ氏から軍人が制服姿で政治討論に参加するのは軍規約に違反する行為だとして警告され、パネルのメンバーたちは曹長の質問には答えず早々に立ち去った。翌日右翼系ブログのパジャマメディアからインタビューを受けたアキナ氏は「厳密的には(ソルツ氏)は正しい」と認めた。「彼は陸軍の将校ですから私はその規則に従います。彼の権威を尊重するからこそ今日は私服できました。」
軍関係の人たちの間でも軍人が軍隊の作戦がうまくいっているかいっていないかについて質問することが政治活動と考えられるのかどうかかなり意見が別れるところなのだが、それにしてもそれを決めるのは軍隊であってコスの司会者ではない。ソルツ氏は元陸軍大尉だったとはいえ現在は民間人でありアキナ陸軍曹長に命令する権限は持たない。だいたい常に軍隊を蔑んでいる民間組織のコスが突然の軍規約を尊重するというのはどうしたものなのだ?
コスの方針が制服姿の軍人の政治活動を許可しないというものであるなら、なぜソルツ氏はアキナ曹長の質問を許したのだろう?最初から制服姿の軍人からの質問は一切受け付けないといって拒絶するべきだったはずである。ソルツ氏がアキナ曹長をさした理由は彼が制服を着ていたからで、現役軍人から戦争反対の意見を聞きたかったからなのだ。それが期待に反して戦争賛成の意見が出てきたので突然軍規約などを持ち出し自分の元将校という権威をふりかざして反対意見を弾圧したにすぎない。反対意見は黙らせるというのが左翼の常套手段だから特に驚くことはない。
パジャマメディアのインタビュアーが「本気で誰かの気持ちを変えさせることが出来ると思ったんですか?』と聞くと、大会に参加していた人々は結構アキナ氏の話を聞いてくれたという。アキナ氏にとってはここも戦場なのだと氏は言う。そこで氏はイラクに駐留していた時自分の隊の食料が不足しておなかをすかせていた時、イラク兵が自分達の間でも足りないほど少ない食料を削って曹長に分けてくれた話をした。アキナ氏はイラク市民と個人的な絆を感じるのだという。
アキナ氏の姿勢は立派だが、このエピソードでも分かるように極左翼のコサックスはイラク戦争がうまくいっている可能性さえ議論する気はないのである。そのような組織から戦争支持の候補者が支持を得ることはあり得ない。いや、イラク戦争には反対でも即撤退は望ましくないというような意見さえ観客を得るのは難かしい。
これに加え9月にイラク戦線司令官のペトラエウス将軍がイラク状況の向上を報告したりしたら、アメリカの中間層と過激派左翼の間で大きな溝が生じることは明白だ。そうなった時、民主党の候補者たちは基盤を守りながら中間層の支持を得るためさらに難かしい立場に立たされるだろう。


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ヒラリーが賢く見える? バラク・オバマの連続失言

アップデートあり:後部参照のこと。
ここ数日民主党から大統領に立候補しているバラク・オバマによるあまりにも政治家として無思慮な発言の連続がヒラリーを嫌いなカカシですら、ヒラリー候補の方がまだましかも、と思うようになっている。(苦笑)
オバマ議員は先日行われた民主党の討論会で自分が大統領になったらまず最初にアメリカに対して敵意を示している諸国のリーダーたちと会見すると断言した。同討論会でヒラリー・クリントン議員はそのような会見は敵国のプロパガンダに利用されるだけなので何かしらこちらが得るものがない限り安易な会見はするつもりはないと発言。さらにクリントンはオバマの発言は無責任だと言及した。(下記はロイターの記事より

クリントン選挙事務所を代表して元アイオワ知事のトム・ビルサック氏は記者への電話で、オバマ候補はイラン、北朝鮮、シリア、キューバ、そしてベネズエラといった諸国リーダーたちと無条件で会見するつもりだとし、このような国々との会見では何かしらの条件をつけてからするものだと語った。

オバマも軽はずみなことを言ってしまったと気が付いたらしく、後に「私は条件付きでという前提で話をしていた。」などと苦し紛れの言い訳をし始めたが、これもまた政治的に賢いヒラリー側はオバマ候補はインタビューされるたびに言うことがころころかわっていると逆に利用されてしまった。
このことで大統領としては腰が低すぎると批判されたオバマは自分には勇気があるということを示そうとでも思ったのか、今度はパキスタンにテロリストが隠れているという確たる証拠がを得たらムシャラフ大統領に有無もいわせずパキスタンを攻撃するなどと勇ましいことをいってのけた。(読売新聞より)

オバマ議員は、アフガニスタンとの国境に近いパキスタン北西部の部族支配地域を「(世界の)安全保障を最も脅かす地点」と表現し、情報機関が信頼に足るテロリストの潜伏情報を上げてきた場合、直接攻撃に踏み切る方針を明示した。また、パキスタンに対して実施している軍事援助について、「テロ組織の訓練キャンプ閉鎖で成果を上げた場合」などと条件をつける考えを示した。

仮にもパキスタンはアメリカの同盟国である。アフガニスタンに潜むアルカエダやタリバンとの戦いでムシャラフ大統領の協力は必要不可欠なものだ。そういう国に対してこれから大統領になろうという男が宣戦布告してどうするのだ!あほ!第一テロリスト退治にパキスタン侵攻も止む終えない事態があったとしても事前にそれを宣言してしまうなど愚の骨頂である。パキスタンには核兵器があるのだぞ。もしムシャラフがアメリカから攻めてこられると本気で心配したら、ムシャラフは自国内にいるアルカエダなどのテロリストと協力してアメリカを相手に核兵器を使うかもしれないのだ。いや、それだけでなく、パキスタンはイランに核兵器を売るかもしれない。そうなったら中東はあっという間に核武装してしまう。そうなったらイラク戦争どころの騒ぎではない!
誰かが言っていたのだが、オバマの魅力は反戦派であるということだったのに、アメリカ軍のイラク撤退どころか、新しくパキスタンとも戦争をはじめるなどと息巻くオバマを、これまで通り反戦左翼が支持するのだろうか?
バラク・オバマの話を聞いているとヒラリー・クリントンが賢者に見えてくる。おそろしや〜!
アップデート(4:20PDT):もうひとつオバマの失言を忘れていた。(下記毎日新聞より。)

【ワシントン及川正也】来年の米大統領選で民主党指名の獲得を目指すバラク・オバマ上院議員(45)は2日、対テロ戦争で核兵器を使用しない意向を明らかにした。AP通信に語った。ブッシュ政権は先制核攻撃を含め戦域・戦術核兵器の使用を排除しない核戦略を取っており、対抗する狙いがあるとみられる。

 オバマ氏は、アフガニスタンやパキスタンでの国際テロ組織アルカイダ撲滅を目的とした核兵器使用について「いかなる状況であれ、核兵器を使用することは深刻な誤りだ」と述べ、核兵器使用は「選択肢にはない」と明言した。戦術核の使用についても同様だ、と答えた。
 オバマ氏は1日、場合によってはパキスタン政府の承認なしにアルカイダを攻撃する考えを表明していた。 オバマ氏の「核不使用」発言について、ライバルのヒラリー・クリントン上院議員(59)は「大統領は核兵器の使用や不使用についての議論には慎重であるべきだし、発言も慎重であるべきだ」とけん制した。


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イラク戦争の成功は問題、と米民主党幹事うっかり本音

なんとか勝てる戦争に負けようと必死で拘束力のないイラク撤退議案を次から次へと提案しているアメリカ民主党議会だが、先日その党幹事がニュースのインタビューで民主党が勢力を得るためにはイラク戦争での成功は好ましくないと、思わず本音をもらしてしまった
サウスカロライナ代表民主党下院幹事のジェームス・クライバーン議員は(House Majority Whip James Clyburn)月曜日デイビッド・ペトラエウス陸軍将軍によるイラクからのいいニュースは民主党を分裂させイラク撤退の時間制限を進めていくのは難かしくなるだろうと語った。
ワシントンポストのおこなったポストトークというオンラインビデオでのインタビューにおいて、クライバーン議員はイラクにおけるアメリカの戦略に関する議案は9月に行われるペトラエウス将軍の報告を待ってからにすべきだと発言。ペトラエウス将軍はブルードッグといわれる保守派の民主党議員たちの間で非常に高く評価されているため、将軍の報告次第でこれらの議員たちの意見はかなり左右されるはずだとし、これらの議員たちの協力なくしてイラク撤退議案は通らないと語った。
私はこのインタビューの模様をラジオで聴いていたのだが、司会者がもしペトラエウス将軍の報告がイラクでの新作戦はうまくいっているという内容だったら民主党はどうするのかという質問に対して、クライボーン議員は「そうなったら我々には大きな問題だ。」と本音を漏らすのを聴いてしまった。

「(ブルードッグ民主党)のグループには現在のイラク方針を保つことを支持する人が充分に出て、もしこれまで通り共和党が団結し続ければ我々(民主党)にとっては問題です。」

自分の国が戦争で勝つことより、自分の政党の勢力を強めることのほうが重大だという民主党。これでは民主党は非国民と責められても文句はいえないだろう。


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暴かれたイラク版冬の兵士の嘘

アップデートあり!
この間からスコット・トーマス・ビーチャムというイラク駐留のぺーぺー二等兵著のイラク駐留のアメリカ兵士の悪行を綴ったイラク日記三部作の真偽について色々と取りざたがされていることを私はここで書いた。
スコットは自分と友達がイラクの基地食堂で路肩爆弾で大けがをし顔に傷のある女性をからかって友達と大笑いした話や、大量埋葬地で見つかった子供の頭がい骨を頭にのせて歩き回った二等兵を周りにいたどの兵士たちもとがめるどころかげらげらと笑って見ていた話、そして同胞の兵士が戦車を日常的に乱暴に乗り回して地元の出店などを破壊していただけでなく、野良犬をみるたびにわざとひき殺していたという話をあげて、いかにイラク戦争がごく普通の人間だった兵士の心を蝕み普通では考えられないほど無神経で悪趣味な行動をするようになるかを描いた。
しかし掲載直後から、現在イラク駐留中のほかの兵士や帰還兵などの間からこの話はかなりうさん臭いという批判があがり、批評家たちはスコットの日記を掲載したニューリパブリック(TNR)誌に対してこの話の真義を問いただし、著者の実名や記事の根拠を提示しろとTNR誌に詰め寄っていた。後に著者の正体があるミルブロガーによってスコット・トーマス・ビーチャムという陸軍二等兵であることが暴露された後もTNR誌はずっと自分達の捜査に問題はなかったとは言いはっていた。
ニューリパブリックは昨日になって調査の結果日記の内容はほぼ正確であることが確認できたと発表した。しかしこの説明には色々と問題点がある。先ずこの声明で著者のビーチャムの妻がTNRの社員というコネがあったことがはっきりした。しかも彼女の仕事はリポート調査員で、本来ならば記者の書いた記事の事実関係を調べるのが仕事だ。記者が夫だったら彼女はちゃんと事実関係の確認などしたのかどうかかなり疑わしい。いやそれだけでなく残酷な戦争によってシニカルになった現役兵士による日記という発想そのものが妻の入れ知恵だった可能性も高い。とにかく先ずTNRのいい分を読んでみよう。

ビーチャムのエッセイはすべて公開前に事実確認がされました。私たちは詳細の真実性ついてエキスパートや目撃した証人と確認し、そして著者本人にもさらに詳細について問いつめました。しかし戦地から一人称でのエッセイを掲載するにはある程度著者を信用しなければなりません。ビーチャムについて個人的にもプロとしても我々が知りうる限り彼のリポートは信用できると判断しました。彼のエッセイの真偽に関して疑問があがった後、TNRはさらにビーチャムの証言を再確認しました。

この調査のプロセスにおいて、TNRは数えきれないほどのエキスパートや関係者にインタビューし広範囲に渡り綿密な調査を行ったとしている。

…もっとも大事なのは私たちはビーチャムの隊にいるほかの5人のメンバーにインタビューし、彼等はみなビーチャムの話を確証しました。彼等は直接目撃したか事件当時に話を聞いたかしています。(インタビューに応じたすべての兵士が匿名を希望しました。)

まず基地の食堂で顔にやけどの痕のある女性を侮辱した件に関して、TNRは三人の兵士をインタビューしたが、皆そういう女性を見たことは覚えていると証言。そのうちのひとりはスコットと一緒に女性をからかった当人である。ただ問題なのはこの三人ともこの話がおきたのはイラクではなく彼等がイラクへ出動する前に2週間ほど待機していたクエートの訓練基地の食堂でのことだったと証言していることである。ということはビーチャムが6か月に渡るイラク駐留ですっかり心が荒んでいたのが原因で女性をからかったと書いていたのは真っ赤な嘘だったということになる。イラク戦争が兵士の心を蝕んだという例としての話がイラク戦争に出動する前に起きていたとしたら、これは単にビーチャムが戦闘体験をする前から下衆だったということの証明になるだけで、戦争とは何の関係もない。つまり全く無意味な話だったということになる。
しかし軍関係の人の話によると。このクエートのCamp Buehringという基地は非常なへき地にあり、何十万というアメリカ兵がイラク出動前後にほんの2〜3週間滞在するだけの基地だそうで、どのような事件があったにしても目撃者を探すのは非常に難かしいという話だ。自分もイラク帰還兵で元海兵隊員で現在は予備軍にいるミルブロガー、マット・サンチェズはCamp Buehring訓練基地に連絡を取って2006年9月当時にこのような女性が存在していたのかどうかを問いあわせたところ、基地の報道官からはそのような女性がいたという事実は確認できないという答えが返ってきたという。
さて二番目の二等兵が大量埋葬地で見つけた子供の頭がい骨を頭につけて歩き回っていたという話だが、TNRによるとこれにも目撃者がいるという。陸軍は公式にビーチャムの隊が大量埋葬地を発見した事実は確認できないと声明文を出しているが、ニューリパブリックはイラクで人骨が発見される例はよくあることで、それがいちいち上層部に報告されるとは限らないという別の将校の証言を紹介している。ビーチャムが駐留していた基地の近所には児童墓地があったことは確認されているため、ビーチャムの同胞が子供の頭がい骨を発見してもおかしくないとしている。
しかしTNRはわざと大量埋葬地と墓地とを混合している。イラクでは多くの大量埋葬地が発見されているが、これは家族や親族が亡くなった人間を弔って埋めた場所ではなく、イラク軍によって大量に虐殺された市民の遺体が無造作に埋められた場所をさす。そのような埋葬地は普通の墓地とは違って犯罪現場として扱われ発見した兵士は即座に軍の捜査部に報告する義務がある。そのような場所での作業には必ず曹長もしくは将校が立ち会うはずであり、これらの情感が二等兵による墓荒らし行為を黙ってみていたとは考えられない。
TNRはこの出来事に証人がいるとはしているものの、TNRのあげた証人のうちひとりは、イラクで人骨が見つかることはよくあることだと証言しているにすぎず、頭がい骨を頭にかぶった二等兵を目撃した証人はひとりだけなのである。もしビーチャムのいう通り一日中頭に頭がい骨をかぶって遊んでいた隊員を他の隊員たちが皆笑いながら見ていたというのが本当だとしたら、どうして目撃者がひとりしかいないのだ? もしかして、この目撃者は食堂でビーチャムと一緒になって女性をからかった友達と同一人物ではないのか?そして頭に頭がい骨をのせて遊んでいたのは誰あろうビーチャム本人なのではないか?
墓地移動の作業中にビーチャムとこの友達が子供の骨を見つけて、ビーチャムがその頭がい骨を頭にのせて二人で笑っていたということならあり得る話だ。路肩爆弾で怪我した女性をからかえるぐらい無神経な下衆どもがそういう馬鹿な真似をしたとしてもおかしくはない。だがそうだとすればこれも単にビーチャムとその悪友の無神経ぶりを示す例であって、隊員たちの誰もこのような行為で気分を害さなかったという戦闘に疲れた軍人の一般的な精神状態を示す例としては全くふさわしくないことになる。
さて、三番目の犬を轢き殺す趣味のある戦車運転手の話だが、これにも目撃者が一人いる。

これについてビーチャムが説明した事件を目撃した一人の兵士は電子メールでこう書いています。「自分はこれを何度も目撃しましたが、標的の犬に近付く時ブラッドリーを犬がいるのと反対側の道路に突然ヨークを切ります。すると戦車の後部が犬のいる方へと振れるため、脅えた犬が道の真ん中に走り込むわけです。運転手がそこで舵を切って戦車を道路にもどせば道路に走り込んだ犬はチョークの輪郭で書けるかたちなる(殺される)というわけです。」

TNRはブラッドリーの製造元や運転の訓練官などに連絡してブラッドリーをこのように操縦することが可能かどうか確認したという。しかしここでも問題なのは証人が一人しかいないということだ。実際ビーチャムの話を確認している証人はそれぞれの事件でひとりづつしかいない。だがこの兵士は三人の別々な人間なのか同一人物なのか匿名であるため全くはっきりしない。
先に紹介したマット・サンチェズによれば、本日陸軍は一連の事件の調査を終了し、ビーチャムのエッセイは根も葉もない出鱈目であると発表したとのことだ。(公式発表のリンクは取得次第掲載する)

一週間近くに渡る綿密な捜査の結果、第1歩兵師団第4歩兵旅団戦闘チーム(4th Infantry Brigade Combat Team, 1st Infantry Division)はスコット・ビーチャムが「バグダッド日記」に記載した容疑は隊のメンバーすからが否定しており偽りであることが証明された。

もし隊員の全員が否定しているとしたら、この三つの事件を目撃した証人とはどこの誰なのだろうか? TNRはこの証人の信用度についても説明する必要がある。TNRがガセネタを報道したことは過去に二回ある。もし今回のこの記事もガセだったことがはっきりしたらもうこの雑誌廃刊にすべきだろう。
訂正:本文中に引用したマット・サンチェズ元海兵隊隊員はイラク帰還兵と書いたがこれは私の勘違いだったので訂正した。サンチェズは現在リポーターとしてイラクに在住中である。またサンチェズが海兵隊に入隊する前にゲイポルノのモデルをしていたことがあると読者から指摘を受けた。今回の事件とサンチェズの過去は無関係なので特に記載しなかったが、別に隠していたわけではない。私はそのことが明らかになった3月にそれに関して、
金髪美女政治評論家の失言に見る右翼のヒステリー、左翼の偽善
で書いている。サンチェズは海兵隊に入隊することによってデカダンスな生き方から価値ある人生を見いだした典型的な例である。しかし今回私がそれについて記載しなかったことでサンチェズの過去を私が隠していたという印象を読者に与えたことは私の誤りであったので認めよう。今後気をつける。
アップデート(08/05/07, 14:34 PDT)Confederate Yankee が直接陸軍の捜査結果についてメールで確認。
このメールはイラクデイビッド・ペトラエウス司令部の公共関係部スティーブン・ボイラン大佐がCYに送ってきたもので、私が本文中に現在イラク滞在中のマット・サンチェズなどが書いていた米陸軍によるスコット・トーマス・ビーチャム二等兵に関する捜査が完結したという事実を確認するものである。以下そのメール内容。

トーマスが言っていたことに事実はあったのかという質問だが:

答え: 隊が行った捜査によりトーマスの陳述が偽りであることが判明した。トーマスの隊の隊員すべてにインタビューを行ったが誰一人として彼の主張を裏付けるものはいなかった。

彼は今後どうなるのかという質問について:

答え:犯罪をおかしたという証拠はないので、彼の上官から事務的な処罰が加えられるものと思われる。種々の規則によって事務的な処置に軍隊がどうするしないについては一般に公開することは出来ない。

アップデート2:(08/05/07 21:13 PDT) 同じくConfederate Yankeeがクエートの基地報道官( Major Renee D. Russo, Third Army/USARCENT PAO at Camp Arifjan, Kuwait)と交わしたメールのなかで、TNRの記者にもビーチャムの記事に載っているような女性の存在は確認できない、ビーチャムの話は「都市神話」だろうと話したと書かれていたという。ということはTNRは自分達の捜査の結果裏はとれたと納得したと発表した時、すでにクエートの基地報道官からこの話は真実ではないらしいという話を聞いていたことになる。どうしてそのことを報道しなかったのだろうか?


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ブッシュ政権のプロパガンダ? 国防庁のブロガー座談会

今日は国防庁が主催しているブロガーラウンドテーブルという電話会議について紹介しよう。
言うまでもないがアメリカの国防庁には広報部がある。最近この広報部は軍関係の記事を書いているブロガーたちに注目しはじめている。なにせ主流メディアはイラクやアフガニスタンで自爆テロが何人市民を殺したとか、アメリカ兵が路肩爆弾で何人死んだとかいう話は報道しても、アメリカ軍がイラクで学校や病院を建設したとか、テロリスト相手にどのような戦いをしてどのような成功をおさめているかという功績はほとんど報道しないので、より多くの人々に米軍関係のニュースを読んでもらうには、軍に興味のある人が読んでいるメディアムを探す必要があるからだ。
実は私が国防庁の広報部の新しい方針を知ったのは、何を隠そう広報部の人から直接私のところにメールがきたからである!これはもう一年以上も前のことになるが、私がミスター苺と経営している英語のブログ、Big Lizards.netにアメリカ軍によるイラク軍の訓練の話を書いたのを広報部の人が読んだらしく、アメリカ軍の活動に興味があるのならニュースレターを送ります、と連絡があったのである。今でも広報部の名簿に私のメールアドレスは載っているので、時々ニュースレターが送られてくる。
しかしそれに加えて最近国防庁は人気のあるブロガーを集めて最近の軍の活躍について電話会議をするようになった。うちのような零細ブログは招待されていないが、政治ブログやミルブログの経営者たちが多く参加しているようだ。その会議の結果は国防庁のウェッブサイトのブロガーズラウンドテーブル(ブロガー座談会)というページで読むことができる。
このラウンドテーブルをブッシュ政権のプロパガンダ作戦だと批判しているのはハーパースマガジンに書いてるケン・シルバースタイン(Ken Silverstein)というジャーナリストである。
シルバースタインは、ラウンドテーブルの目的は主流メディアを飛び越してブッシュ政権のプロパガンダをおうむ返しに報道してくれそうな選り抜きの軍事分析者や保守派評論家や退役軍人などのブロガーを集めて政権が報道してほしい情報の要点を示すことにあると主張する。ラウンドテーブルに参加した人々がその後そこで得た情報を元にした記事を書いていることが何よりもその証拠だというのである。

ブロガーたちは自分達は何も悪いことはしていないという前に、彼等に一つ聞きたいことがある。もしも政権が選り抜いたリベラルのブロガーばかりがクリントン時代に同じことをしたら彼等はどう思っただろうか。彼等は強く抗議したに違いない。そして私もそれに同意しただろう。どちらの側にいようと片方だけで政権のゴスペルを広めるべきではない。少なくともジャーナリストの振りをするなら、そのくらいの基準は保つものだ。

しかしラウンドテーブルによく参加しているミルブロガーの大御所、ブラックファイブのグリムによれば、ラウンドテーブルの参加者は保守派だけではないという。例えばこのブロガーはラウンドテーブルの会議の後、ペンタゴンがどんな嘘をついているかという内容の記事を書いているくらいだ。
国防庁は毎朝主流メディアを集めてその日のニュースを発表している。ブロガーたちへのラウンドテーブルはその繰り返しにすぎない。第一ラウンドテーブルで話されたことは国防庁のサイトで公開されているのだから、右翼だろうと左翼だろうと興味のある人なら誰でも読むことは可能なのである。それをあたかもブッシュ政権が選んだ秘密結社の会合かなにかのように批判するシルバースタインの態度には呆れる。
グリムはシルバースタインはこの会合が保守派のみを対象にしていることに抗議をしているのではなく、国防庁のお偉方が主流メディア以外の人々と話をしているということが気に入らないのだという。ニュースのソースはエリートメディアだけであるべきだとでも考えているのだろう。
またグリムはラウンドテーブルで情報提供をしている人々はブッシュ政権の人間ではなく職業軍人だと強調する。軍人は政治家ではない。シルバースタインのようなジャーナリストは軍人を政治家と混同していることに誤りがあるのだという。

「お前たちは本当のジャーナリストではない」というのは彼の言葉で「私のようなプロのみが高官とはなす権利があるのだ、お前らのような資格のない連中とではない。」という意味なのだ。これは「記者」という特別な立場を守りたい、たかがブロガーや一般市民などが重要な人々に面会する資格はない、というアイデアを守っているのだ。 こういう仕事は共和制の門番であるジャーナリストに任せるべきだというのだろう。

ある意味でこれは非常に面白い。私が「ジャーナリストの振り」したがっていると言う考えには笑わされる。ジャーナリストの基準などという私が目指すべく崇高なものが存在するかのようだ。どういう意味か説明させてもらおう。 もし私が軍隊の作戦上の秘密を手に入れたとしよう。私は普通のジャーナリストが経験するという、その話を報道するか国家秘密を守るかというジレンマに悩まされることはない。ジャーナリストによるこの「緊張」は必ず秘密を報道するほうに傾くことに気付く。しかし私にはそのような緊張は存在しない。そのような秘密情報をどうするかといえば、善良な市民なら当然すべきであることをするのみだ。それには敵に役に立つように報道することは含まれていない。
私は現地で戦う我々の人々に忠誠心を感じる。彼等は私たちを守ってくれているのだ。この忠誠心は二方通行である。つまり、私はジャーナリストではない。私はアメリカ市民であり、健康な国内議論に参加しているのだ。そのために資格など要らない。その資格を得る代償がアメリカと敵との間で中立であることだというなら、そんなものは欲しくない。

自分達は左翼のプロパガンダばかりを流しているくせに、ジャーナリスト以外の人間が情報提供をしたらそれは政権のプロパガンダだとがなり立てるエリートメディア。お前たちがちゃんと真実を報道していればブロガーもトークラジオも必要ないのだ。主流メディアが本当のことをきちんと報道しないから我々は他のメディアムに頼ることになるのである。情報はジャーナリストだけのものではない。それをエリートメディアはいい加減気が付くべきだ。


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隠しきれないイラクからのいいニュース

昨晩遅くキャプテンズコータースを読んでいたら、これまでイラクからの悪いニュースしか興味がなかった左向きのニューヨークタイムスにイラクからのいいニュースが載っているとあってちょっと驚いた。
この記事を書いているのは左系のシンクタンク、ブルッキングスインスティトゥーション( Brookings Institution)のマイケル・オーハンロンとケニス・ポーラック(Michael O’Hanlon and Kenneth Pollack)のふたり。二人は最近イラクの視察旅行から帰国したばかりだ。

これがアメリカ人が理解しなければならない一番大事なことなのだが、我々はついにイラクで良い方へ向かいつつある。少なくとも軍隊用語でいえばそうだ。ブッシュ政権のぶざまなイラク政策を厳しく批判してきた二人の分析者として、我々はその目覚ましい向上ぶりに驚いた。必ずしも「勝利」とは言えないまでも、イラク人も我々も容認できるような状況維持の可能性が見られたからである。

バグダッドに着いて天火のような暑さを感じた後、最初に気が付くのは我が軍の士気の高さである。以前の訪問ではよくアメリカ兵たちの怒りや欲求不満を目にしたものだ。多くの兵士たちが作戦は間違っている、間違った戦略によって成功する可能性のない目的のために命が危険にさらされていると感じていた。
しかし今日(こんにち)士気は高い。兵士や海兵隊員たちやは、今回、有能なデイビッド・ペトラエウス将軍を司令官として迎えたことで将軍の戦略で確固たる結果を得ることができると自信をもっていること、やっと必要な兵数が整い状況を好転させることができることなどを我々に語った。

イラク各地でアメリカの陸軍や海兵隊は地元のイラク警備隊と協力し、電気、燃料、清潔な水、衛生といった基本的な生活環境を人々に供給できるよう、地元の必要度にあわせて政治面や経済面での援助に取組んでいるという。その結果市民の死亡率は増派が始まってからなんと1/3に減っているという。このリポートがブッシュ政権のイラク政策に非常に批判的であった人たちからの報告であることもさることながら、それをニューヨークタイムスが掲載したということは大いに意味のあることである。
折も折り、イラク視察から帰国したキース・エリソン議員もイラクの情勢は目覚ましく良くなっていると報告したとミスター苺が書いている。キース・エリソン議員といえば、ミネソタ代表でアメリカ発のイスラム教議員として話題になった民主党の下院議員であり、ブッシュ政権のイラク政策には非常に批判的な議員のひとりだ。
エリソン議員はアンバー地区のラマディを訪問し、地元のシークたちと会見した。このシークたちはアンバー・サルベーション・カウンシル(the Anbar Salvation Council)と言うスンニ派の反アルカエダ勢力のメンバーらしいのだが、彼等はエリソン議員にアメリカに帰って自分達がどれだけアメリカ軍に協力してアルカエダと戦っているかを伝えてほしいと嘆願したという。特にアルカエダはスンニの代表ではないと強調したそうだ。

「彼等はアルカエダが間違ったイスラム教像を広めていることに非常に腹をたてています。」エリソン議員は月曜日帰国途中のドイツから電話で語った。「彼等はもっと洗練された正しいイスラム教のイメージを広めるために私に何ができるかを語りました。」

私はここ数年APやロイターのヘッドラインを読んでいるが、イラク戦争が始まって以来およそ良いニュースを示すヘッドラインを読んだことがなかった。「ラマディ戦闘、アメリカ兵二人戦死!」「バグダッド市街戦で市民10人死亡」といったヘッドラインばかりがもう4年も続いているのだから、多くのアメリカ人がイラク戦争はもう駄目なのではないかと気が滅入るのは当たり前である。
しかし実際にはイラクでは良いことも起きていた。一見悪いニュースに見える記事でも、よくよく読むといいニュースが埋もれていることがままああった。例えば、アメリカ兵が殺されたという記事も、よく読んでみると100人のテロリストに囲まれた十数人のアメリカ兵が勇敢に戦った末、テロリストはほぼ全滅、こちらの犠牲者は二人だったというようなことが結構あったのである。本来ならばこの記事のヘッドラインは「ラマディで激戦、米軍、テロリスト100人を殺傷!」とすべきニュースなのだが、ヘッドラインが与える印象だけでイラクはひどい状態だと考えて中身を読まなかった読者がどれだけ居ただろうか?私が2年前にミスター苺とBig Lizardsをはじめたのも、こうしたイラクからの隠れたいいニュースをなるべく取り上げたいと思ったからだ。
しかし最近ニュースのヘッドラインに変化が起きてきた。イラクやアフガニスタンでの戦闘でアメリカ兵の犠牲者の前にテロリストの死亡数が記載されることが多くなってきたのである。以前にミスター苺はこんなことを言ったことがある。いくら主流メディアでも本当にイラクの情勢が良くなっているなら、いつまでもその真実を隠し通すことはできない。なぜなら昔と違ってネットやケーブルといった情報源は他にもあるし、イラク戦地で実際の状況をみてきた従軍記者や帰還兵からの直接の情報も入ってくる。アフガニスタン戦争中にいくらソ連政府が情報規制をしてアフガニスタン戦況はうまくいってるというプロパガンダを流しても、戦地から帰還した兵士らの話などからソ連軍がアフガニスタンで惨敗している情勢がソ連市民に伝わったように、いずれはイラクからのいいニュースがアメリカ市民の間でも広まるだろうと。
2月から始まったアメリカの新作戦は非常な成功を遂げている。ブッシュ政権のイラク戦争のやり方はまずいと考えていた批評家たちでさえその事実を無視できなくなってきた。だからこそ主流メディアすらもイラクからのいいニュースを報道せざる終えなくなってきたのである。
戦争反対イラク即撤退と騒いでいる民主党が多数議席を占めるアメリカ議会は夏休みが終わって帰ってきたら、ペトラエウス将軍のイラク情勢にかんする報告を受けることになっている。もしそれまでにイラク情勢が左翼メディアですらも無視できないほど好転し、人々がイラクからのいいニュースを毎日読むようになっていたらどうなるのだろう?


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軍人の戦争支持はプロパガンダなのか? 勝利を訴える帰還兵団体VFFを考える

先日私はとんだ茶番劇! 米議会イラク撤退徹夜議論の結末はで、イラク・アフガニスタン帰還兵からなる戦争支持派のVets for Freedom(VFF)という組織のメンバーが民主党の反戦決議案に反対して議員たちと直談判するためワシントンへ乗り込んだという話をした。その時、民主党の議員たちは彼等にそっぽを向いたという話もした。
主流メディアもほとんど取り上げず完全無視を決め込もうとしたが、ブッシュ大統領が一時間も帰還兵たちと会談をしたため、完全無視はちょっと無理だった。(Hat tip Power Line)
しかしこのような戦争支持団体が現れると反戦派からの潰しがかかるのは、もういつものことである。実際は帰還兵による反戦草の根運動なんてののほうがよっぽどもうさん臭いのだが、ま、それはいいとして、反戦派はVFFはどちらの党にも所属しない無所属の団体であると表明していることにかなり腹をたてたようで、なんとかVFFは共和党直属の表看板団体なのだと証明しようと必死である。
センター・フォー・メディア・デモクラシー(CMD)という極左翼団体のこの批判など典型的な例である。

Vets for Freedomという政権のイラク戦争進路を守ろうとロビーしている団体の背後にいるものは何者なのであろうか? 我々の捜査ウェッブサイト、ソースウォッチでは、まさにその問題を取り上げている。無所属で愛国的という建前の目的はかなりうさん臭い。

実際このCMDなる団体はソースウォッチというウェッブサイトでわざわざVFFのカテゴリーを設けてVFFの信用度を落とそうとしている。しかしCMDはVFFが共和党直属の組織だと証明しようとして、図らずも民主党がどれだけ軍隊を支持していないかを証明してしまっている。
CMDの捜査部ソースウォッチではVFFが実は共和党直属の表看板なのだという 根拠としてVFFが共和党関係者から公共関係、メディア、法律などの助言を受けているということをあげている。だが単に共和党関係者から多くの助言や援助をもらっているというだけではVFFが共和党直属だという証拠にはならない。
元来「共和党の表看板団体」といはどういう団体を意味するのといえば、看板グループの目的が共和党の政治方針を押し進めることになければならない。単に団体への援助が主に共和党から来ているとか、この団体の支持する方針が共和党の方針の一部と一致しているというだけでは不十分である。
例えば全アメリカライフル協会(NRA)は大抵の場合共和党を支持しているが、それは単に共和党議員の方が民主党議員に比べて市民の銃砲保持権利に同情的だからである。だが、NRAはプロガンの民主党議員ならアンチガンの共和党議員を差し置いて支持することはざらである。なぜならNRAにとって大事なのは銃砲保持権利なのであって、共和党の政治力前進とは直接関係ないからである。
これと同じようにVFFの唯一の目的はイラクとアフガニスタンの戦争を最後までやり遂げることにある。だからこそ彼等は無所属のジョー・リーバーマン上院議員の選挙を応援した。コネチカット代表のリーバーマン氏は2000年には民主党の副大統領候補にまでなったほどリベラルな人でおよそ共和党シンパとはいえない。戦争支持の件で民主党を離脱して無所属になったとはいえ、ほかの面では75%の割で民主党の方針を支持している。
ではここでCMDがVFFが共和党の表看板団体だとする根拠を具体的に分析してみよう。

VFFのメンバーはネオコンのロビーイストであると言う嘘

CMDのソースウォッチはVFFのメンバーがネオコンだという根拠はかなり希薄だ。

  • VFFのメンバーであるアレックス・ガロの戦争支持の記事が2007年7月18日、ナショナルレビューオンライン(NRO)に掲載された。ガロはリーバーマン議員の選挙運動を応援した。
  • 2006年に元ホワイトハウス報道官の公共宣伝会社がVFFの創設者ウエイド・ザークルとデイビッド・ベラビアを主流メディアに従軍記者として推薦し、ニオコン週刊誌の記者として雇われた。同雑誌の編集者ビル・クルスタルは後にVFFの非公式アドバイザーとなり、共和党戦略者のダン・セノアーに紹介し資金集めに協力している。

戦争を支持しているクリスタルが戦争支持関係の記事を出版したからといって何がおかしい?テイラー・グロスやダン・セノアといった面々もコネはあるとはいえ政治家ではないただの一般人だ。VFFが同じ意見を持つ一般人の援助を受けたからといって何が悪い? 普通ロビーというからにはどこかの団体に雇われて代わりに政治家に説得にあたることをいうのであって、自分達の意見を議員に直接訴える行為は「議会への嘆願」というのである。

VFFは右翼団体であるという嘘

同じような理屈でCMDはVFFの活動を取り上げたのが右翼のブロガーや雑誌、ウォールストリートジャーナルという「保守派」の新聞だけだったことからVFFは右翼団体だと決めつけている。反戦のブロガーや編集者がVFFの活動に興味がないのは当たり前。ましてやラリーの宣伝などするわけがない。だがもし過激派左翼のデイリーコスやワン・コールや、左よりのニューヨークタイムスが取り上げてくれたらVFFは喜んで受け入れただろう。宣伝は大きければ大きいにこしたことはないからだ。
CMDはくだらない陰謀説など考える暇があったら、どうして主流メディアがVFFの活動を無視しているのかという疑問を抱くべきである。反戦派の帰還兵グループ、An Appeal for Redressが議員たちとイラク撤退について話にきた時は大々的に取り上げていたメディアがなぜ戦争支持の帰還兵グループの勝利への訴えを無視するのかそっちの方が大事な質問ではないのか?
ここでCMDが証明したのは民主党と名ばかりの共和党議員たちは、口では「軍隊を支持しよう」などと言っているが、実は軍隊もそしてその任務も全く支持していないということだけだ。

VFFのメンバーは共和党議員との会談しか興味がなかったという嘘

ソースウォッチはVFFのメンバーがリーバーマンを例外として、共和党の議員としか会見しなかったこと、記者会見の席には民主党議員がひとりも出席していなかったことを指摘して、彼等の目的はもともと共和党議員とあうことだったのだと書いている。しかしこの間も私が指摘しているように、VFFは民主党議員にたった5分間でいいからという会見のリクエストを拒絶されたのである。
ここでCMDが本当のジャーナリストなら、どうして民主党の議員は誰も記者会見に参加しなかったのかきちんと調べるべきである。VFFは共和党議員だけ招待したとでもいうのか? むろんこれは完全にナンセンスだ。ソースウォッチは民主党議員がVFFとの会見を拒否した事実を十分に心得ているのである。なぜならソースウォッチが引用した新聞記事にちゃんとそう書いてあるからだ。

「増派支持の帰還兵と会見したのは彼等と見解を共にする議員たちだけだった。彼等の本当の標的であった反戦派や戦争支持の揺らいでいる議員たちはシニアスタッフを送り込んで自分達は影に隠れていた。」とマッカーシー(記者)は書いている。

帰還兵たちが反戦派議員に興味がなかったのではなく、民主党や名ばかりの共和党の反戦派議員たちが帰還兵のいうことなど聞く耳もたないと拒絶したのである。これでは話が逆さまだ。

VFFの資金源は怪しいという勘ぐり

VFFが創設した去年の初期から、CMDはVFFの資金源が怪しいといい続けてきた。しかし去年の6月の段階でCMDの調査が得たものは下記である。

  1. VFFのウェッブサイトはかっこ良すぎる。
  2. 今は消えているが、VFFは一時、ウェッブサイトに「時々情報を他の共和党候補や同意見の人々と共有することがある。」と記載していた。
  3. VFFは反戦派の民主党のジョン・マーサ下院議員に何かと反論している。
  4. 組織の資金源に関する情報がほとんど存在しない。

一年後の今日もソースウォッチの調査はほとんどはかどっていないらしく、CMDはVFFの資金源について新しい情報は全く提示していない。言い換えればVFFの資金源が共和党であるという証拠はゼロなのである。
というわけで、CMDはVFFが共和党直属の表看板グループであるという証明には完全に失敗している。VFFは共和党の団体でもなければ資金源におかしな面もない。
CMDは実際に戦場で戦った兵士たちが戦争を支持するはずがないという先入観から、帰還兵たちの動機を最初から疑ってかかった。だがその過程において彼等が証明したものは、我々右翼の戦争支持者たちがずっと主張してきたことだった。それは共和党は軍隊を本気で支持しているが、民主党は全く支持をしていない、という事実である。
軍人が戦争を支持したら共和党のプロパガンダに違いないという考えはやめてもらいたいものだ。


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アジア杯:祝 イラク初優勝!!!!

やった、やった、やった〜!!!イラクがサウジに勝って優勝した〜!

イラク、1—0でサウジに勝利 アジア杯に初優勝

 東南アジア4カ国で共催されたサッカー・アジアカップ決勝が29日に行われ、イラクがサウジアラビアを1—0で破り、初優勝を遂げた。サウジアラビアは大会最多となる4度目の優勝を逃した。最優秀選手には、後半にCKから決勝点を挙げたユーニスが輝いた。得点王は4点で並んだ日本の高原(フランクフルト)、ユーニス、Y・カハタニ(サウジアラビア)の3人が獲得した。また、日本はフェアプレー賞に輝いた。

イラク人はサッカーを非常に真剣に見ているので、この優勝には重要な意味を持つ。イラク政府は仕事は半日にして市民が早く帰宅してテレビを観られるようにしたそうだ。下記はイラク・ザ・モデルを参照

今日はバグダッドで選挙があった日と同じくらい興奮していると言っても言い過ぎじゃない。わが国のサッカーチームが初めてアジアカップを取るために戦うんだ。言ってみればアメリカのチームがコパアメリカでブラジルやアルゼンチンと対抗するようなものだ。もちろんイラク人はアメリカ人よりサッカーには真剣だけどね。おっと失礼!

政府はすでに市民が早く帰って試合が見られるように、議会も含めて今日は半ドンにすると発表した。

午後2時、オマー君はガソリンなど必需品の買い物に出かけた。午後4時から外出規制がかかっているので早めに買いだめをしておこうというわけである。ところがそう思ったイラク市民が多くいたようで、ガソリンの値段が一時的にあがったそうだ。買い物をすますと皆大急ぎで帰宅の途についた。

4時35分、試合開始!

前半の45分と3分の追加では、イラクは完全に優勢をみせている。同時に両チーム間の緊張度はかなり高い。かなりラフなプレイが続いてイラクとサウジの間で5つもイエローカードがでた。実はアラブチーム同士の試合ではほかのチームとするよりお互いより乱暴になるというのはよく知られている。いってみればアラブ人同士の「兄弟愛」ってやつかな!
前半はゴールなしの零対零。
5時25分、ハーフタイムを使ってちょっと書いてる。さてラップトップは脇においてビールの缶をもう一つあけよう。セカンドハーフを見るぞ。(カカシ注:ビール????)
多くのイラク人は今日は試合の勝ち負けに関わらずお祝いをすると言っている。何が起きようとうれしいことに違いはない。
6時30分、いや、この喜びは「何が起きようと」なんかじゃない、、、我がチームはたった今、我がサッカー史上始まって以来初めてアジアカップで優勝した。この勝ち点はフォーワードの英雄ユーニス・マフムードが試合71分目に見せたすばらしいゴールによってもたらされた。
我がチームはすべての基準において制覇していた。ディフェンス、ミドルフィールド、そしてアタック、すべて彼等が最高だった。彼等は今やアジアサッカーの王者となったのだ!
今日は絶対にここ数年でイラクにとって一番幸せな日だ。何百万というイラクじんの顔には喜びの涙と希望とが混ざりあっている。言葉がみつからない、この気持ちをどう表現していいのか分からない。だからもし訳の分からないことを書いたら勘弁してほしい。外から歓声と音楽の音が聞こえてくる祝いで撃たれた銃弾が屋根や地面に次々に落ちてくる。でも誰も心配していないようだ。この瞬間があまりにも偉大だから何百万のファンの心に恐怖が入り込む隙間がない。それが落ちてくる銃弾であろうと先週我々の喜びを抹殺しようとした気違いの自爆テロであろうとも。
我々の選手たち、今夜の英雄たちは、チームワークによってのみ勝つチャンスがあるのだと教えてくれた。わが政治家たちも選手たちと輝かしい団結と国民の誇りを持ったファンたちを見習って、テロリストたちに教えてやろう、不死身のチグリスとユーファラテスの息子たちの精神を何者も打ち砕くことはできないのだと!
恐怖は消え去った。外出規制は無視された。今夜、イラクは喜びだけを知る、、、

おめでとうオマー!おめでとうイラクチーム!おめでとうイラク!テロリストなんかに負けるな!正義は勝つ!


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アジアカップ:イラク決勝進出!

明日はいよいよサッカーアジア杯の決勝戦。決勝戦は強豪サウジアラビア対イラク。三回優勝しているサウジが決勝に出るのは驚かないが、イラクチームが決勝戦進出というのはすごいものだ。パワーラインの記事によると、イラクチームのメンバーはシーア、スンニ、クルドの混合チーム。チームとしてここまで勝ち抜いてきたということはそれぞれの宗派間の違いを乗り越えた本当の意味でのチームワークを持っているということになる。

イラクサッカーチーム

決勝進出が決まって喜ぶイラクチーム


イラクチームのキャプテン、ユーニス・マフムード曰く:

選手は皆いろいろな苦労がありました。でも私たちはイラクの人々に幸せを届けられると思います。サッカーを通じてイラク市民に幸せをもたらす多大なる責任を共有しています。だから私たちは試合に集中しているのです。私たちはサッカーが大好きです。そして私たちは愛する国をいつでも守る心構えができています。

1980年のオリンピックでアメリカのアイスホッケーチームがソビエトチームをやぶった時、それまでうつ状態にあったアメリカ人の気持ちが希望へとかわったように、イラクがサウジに勝つことはイラクチームだけでなくイラクの国としての未来に希望をもたらすことになる。無論サウジは強敵だからどうなるかは分からないが、それでも少なくともイラクチームが第二位の座に輝くことは間違いない。
がんばれイラク!


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