今日は国防庁が主催しているブロガーラウンドテーブルという電話会議について紹介しよう。
言うまでもないがアメリカの国防庁には広報部がある。最近この広報部は軍関係の記事を書いているブロガーたちに注目しはじめている。なにせ主流メディアはイラクやアフガニスタンで自爆テロが何人市民を殺したとか、アメリカ兵が路肩爆弾で何人死んだとかいう話は報道しても、アメリカ軍がイラクで学校や病院を建設したとか、テロリスト相手にどのような戦いをしてどのような成功をおさめているかという功績はほとんど報道しないので、より多くの人々に米軍関係のニュースを読んでもらうには、軍に興味のある人が読んでいるメディアムを探す必要があるからだ。
実は私が国防庁の広報部の新しい方針を知ったのは、何を隠そう広報部の人から直接私のところにメールがきたからである!これはもう一年以上も前のことになるが、私がミスター苺と経営している英語のブログ、Big Lizards.netにアメリカ軍によるイラク軍の訓練の話を書いたのを広報部の人が読んだらしく、アメリカ軍の活動に興味があるのならニュースレターを送ります、と連絡があったのである。今でも広報部の名簿に私のメールアドレスは載っているので、時々ニュースレターが送られてくる。
しかしそれに加えて最近国防庁は人気のあるブロガーを集めて最近の軍の活躍について電話会議をするようになった。うちのような零細ブログは招待されていないが、政治ブログやミルブログの経営者たちが多く参加しているようだ。その会議の結果は国防庁のウェッブサイトのブロガーズラウンドテーブル(ブロガー座談会)というページで読むことができる。
このラウンドテーブルをブッシュ政権のプロパガンダ作戦だと批判しているのはハーパースマガジンに書いてるケン・シルバースタイン(Ken Silverstein)というジャーナリストである。
シルバースタインは、ラウンドテーブルの目的は主流メディアを飛び越してブッシュ政権のプロパガンダをおうむ返しに報道してくれそうな選り抜きの軍事分析者や保守派評論家や退役軍人などのブロガーを集めて政権が報道してほしい情報の要点を示すことにあると主張する。ラウンドテーブルに参加した人々がその後そこで得た情報を元にした記事を書いていることが何よりもその証拠だというのである。

ブロガーたちは自分達は何も悪いことはしていないという前に、彼等に一つ聞きたいことがある。もしも政権が選り抜いたリベラルのブロガーばかりがクリントン時代に同じことをしたら彼等はどう思っただろうか。彼等は強く抗議したに違いない。そして私もそれに同意しただろう。どちらの側にいようと片方だけで政権のゴスペルを広めるべきではない。少なくともジャーナリストの振りをするなら、そのくらいの基準は保つものだ。

しかしラウンドテーブルによく参加しているミルブロガーの大御所、ブラックファイブのグリムによれば、ラウンドテーブルの参加者は保守派だけではないという。例えばこのブロガーはラウンドテーブルの会議の後、ペンタゴンがどんな嘘をついているかという内容の記事を書いているくらいだ。
国防庁は毎朝主流メディアを集めてその日のニュースを発表している。ブロガーたちへのラウンドテーブルはその繰り返しにすぎない。第一ラウンドテーブルで話されたことは国防庁のサイトで公開されているのだから、右翼だろうと左翼だろうと興味のある人なら誰でも読むことは可能なのである。それをあたかもブッシュ政権が選んだ秘密結社の会合かなにかのように批判するシルバースタインの態度には呆れる。
グリムはシルバースタインはこの会合が保守派のみを対象にしていることに抗議をしているのではなく、国防庁のお偉方が主流メディア以外の人々と話をしているということが気に入らないのだという。ニュースのソースはエリートメディアだけであるべきだとでも考えているのだろう。
またグリムはラウンドテーブルで情報提供をしている人々はブッシュ政権の人間ではなく職業軍人だと強調する。軍人は政治家ではない。シルバースタインのようなジャーナリストは軍人を政治家と混同していることに誤りがあるのだという。

「お前たちは本当のジャーナリストではない」というのは彼の言葉で「私のようなプロのみが高官とはなす権利があるのだ、お前らのような資格のない連中とではない。」という意味なのだ。これは「記者」という特別な立場を守りたい、たかがブロガーや一般市民などが重要な人々に面会する資格はない、というアイデアを守っているのだ。 こういう仕事は共和制の門番であるジャーナリストに任せるべきだというのだろう。

ある意味でこれは非常に面白い。私が「ジャーナリストの振り」したがっていると言う考えには笑わされる。ジャーナリストの基準などという私が目指すべく崇高なものが存在するかのようだ。どういう意味か説明させてもらおう。 もし私が軍隊の作戦上の秘密を手に入れたとしよう。私は普通のジャーナリストが経験するという、その話を報道するか国家秘密を守るかというジレンマに悩まされることはない。ジャーナリストによるこの「緊張」は必ず秘密を報道するほうに傾くことに気付く。しかし私にはそのような緊張は存在しない。そのような秘密情報をどうするかといえば、善良な市民なら当然すべきであることをするのみだ。それには敵に役に立つように報道することは含まれていない。
私は現地で戦う我々の人々に忠誠心を感じる。彼等は私たちを守ってくれているのだ。この忠誠心は二方通行である。つまり、私はジャーナリストではない。私はアメリカ市民であり、健康な国内議論に参加しているのだ。そのために資格など要らない。その資格を得る代償がアメリカと敵との間で中立であることだというなら、そんなものは欲しくない。

自分達は左翼のプロパガンダばかりを流しているくせに、ジャーナリスト以外の人間が情報提供をしたらそれは政権のプロパガンダだとがなり立てるエリートメディア。お前たちがちゃんと真実を報道していればブロガーもトークラジオも必要ないのだ。主流メディアが本当のことをきちんと報道しないから我々は他のメディアムに頼ることになるのである。情報はジャーナリストだけのものではない。それをエリートメディアはいい加減気が付くべきだ。


2 responses to ブッシュ政権のプロパガンダ? 国防庁のブロガー座談会

goda15 years ago

 ジャーナリズムに基準など無いでしょうね。
 一つだけ護るべき事は「検閲を不可とする。もし検閲を可とすると、検閲者によって許された書物は良書と思われてしまう。これほどの危険は無いからである。報道された事実以外に事実は有りえないとの錯覚を招きやすい。」というT.S.Eliot の検閲反対論ぐらいでしょうか。
 現実に中立的・客観的メディアは存在し得ない以上、出来る事は「言いたい事は言う。」しか無いが、企業活動には自ずと制約・限度が有る。
 例えば、日本の主要メディアを見れば、慰安婦問題の掘り下げた情報の多くは産経新聞の古森義久氏に因る所が大きいが、この程度の情報は、例えばサピオ等で遠うの昔から明らかにされており、無論、氏を始めとしてまともな「ジャーナリスト」は皆承知の事。今まで「書けなかった」だけの事です。そして産経以外の多くのメディアは未だに腰抜けのへっぴり腰の侭です。
 「伝えられ共有された情報こそ『事実』と成る」
 この意味に於いて日本の腰抜けメディアは「事実を伝えぬ=嘘を付いて来た」という重大な「背信行為」を続けてきた。否、未だ『自主的な検閲』を続けているのです。国家の最終的な力は民意に有り、その民意の前提となるのが「共有された情報」です。よって、この背信行為が、中韓の対日戦略への日本の戦略的敗北(未だ鳥羽口です。長い苦難の時代の始まりに過ぎません)の一因で有ることは間違い無い。
 私は職業的ジャーナリストに全幅の信頼を置く事は無い。古森氏のようにベトナム報道以来、注目し、数少ない『ジャーナリスト』として認めている方でさえも。所詮は「組織」の中で動く人なのですから。
 その意味で、インターネットの力は大きいですね。そして、ブログの隆盛によって、メジャーなマスコミのジャーナリズムの世界における地位低下は不可避でしょう。
 偽善者マイク・本田=魂卑しき『醜い豚野郎』(英語ではどう言うのだろう。慣用的では無く、魂の底まで卑しめ罵倒する表現は?)を感傷的な子供騙しのレトリックで賞賛するニューヨーク・タイムズに、世界中の知性有る大人の、一体誰が信頼を置きましょうか。多くの人々は只、これより「力」を嗅ぎ取り、阿るだけなのです。
 メディアは権力に対してやや批判的で有る方が安全です。が、左翼には、狭い世界に『自閉』する小賢しき馬鹿が多い。これは困ったものです。

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scarecrowstrawberryfield15 years ago

godaさん、
最近プリントメディアといってニューヨークタイムスやロサンゼルスタイムス、ワシントンポストなどアメリカでも指折りの新聞の講読者が激減しているんだそうです。多くの読者が主流メディアへの信用を失っている証拠です。それとともにネットワークの夜のニュースの視聴率もがた落ちだそうです。最近はケーブルでも一日中ニュースが見られますから、わざわざ食事時にテレビをつけてニュースを観るまでもないということでしょうか。
カカシ

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