マケインの挑戦や過激な協会そして諦めないヒラリーと、頭痛の種がつきないオバマ

ジョン・マケインのイラク訪問挑戦
先週はオバマにとっては全く頭の痛い一週間だった。先ずは共和党大統領候補のジョン・マケインがオバマがイラク戦争は失敗したと言い続ける理由は現場の状況を全く把握していないからだとオバマの勉強不足を批判。過去2年間に8回もイラク訪問をしているマケインに比べて、オバマがイラク訪問をしたのはたったの2回。しかも最後は2年近く前だったと指摘。マケインは自分と一緒にイラク訪問をして現地の様子を視察しようと挑戦した
マケインは最近オバマの経験不足や不勉強を指摘する作戦を取っているが、今回の挑戦は非常に賢いやり方だ。オバマは今回の選挙運動で、当初戦争を支持していたヒラリー・クリントンと自分の立場を対照的に見せるため自分がいかに最初からイラク戦争には反対だったかを強調してきた。そして現在のイラク情勢についても、イラクは完全に失敗したので即刻撤退すべきであると提唱してきた。だが自分がそれだけ興味がある問題であるにも関わらず最後のイラク訪問が2006年というのでは格好がつかない。
しかし、ここでマケインの挑戦を受けて、のこのことイラクへ出かけて行ってはマケインの言いなりになったと思われる。それにやたらに訪問して実際にイラク情勢が良くなっていることを目の当たりにしたら、そのことを認めないわけにはいかない。そうなったらイラク即刻撤退を主張することが困難になる。
かといって訪問しなければ、総司令官になろうという人間が自国の戦場を何年も訪問せずに正確な軍事政策が立てられるのかと、いつまでもマケインから叩かれる。オバマは非常に困った立場に置かれている。
過激な黒人協会との関係
ジェラマイアー・ライト牧師の人種差別的な過激なスピーチが注目を浴びて、長年の付き合いを切断しライト牧師を公に批判しなければならなくなったオバマだが、その危機がやっと去りかけたと思ったとたん、またまたオバマの所属するトリニティーユナイテッド協会で来賓のカトリック神父がヒラリーに対する侮辱的な発言をし、多くの白人有権者がオバマの優勢を嘆いて泣いているなどと非常に過激な説教を行い右翼のトークラジオなどで取りざたされた。
こうした問題が次から次へと出てくるため、オバマはついに20年来所属していた協会から脱会する旨を昨日発表した。今さら遅すぎる感もあるが、なぜオバマはこんな問題の多い協会にいままでしつこく在籍してきたのだろうか?20年間も在籍し、結婚式まで挙げてもらい、恩師として仰いできた神父のいる協会の方針を全く知らなかったとは言い訳にならない。大統領に立候補すると決めた時点で、この協会に所属していることが、いずれは問題になるとオバマが気がつかなかったというのも信じがたい。ではなぜもっと早く協会を脱会しなかったのか?
実はオバマには協会をやめられない理由があった。オバマはシカゴの政治家だ。オバマが代表する地区は2/3が黒人である。黒人として地元の有権者の支持を得るためには、自分が地元民の気持ちを理解できる地元の代表だと主張する必要がある。それには地元有力者の集まっている協会の支持を得ることは必要不可欠な条件なのだ。現にオバマは2000年に下院議員として立候補したとき、黒人の人権運動を長年してきた過激派のライバルに対抗して、黒人協会の支持を積極的に仰がず二対一で大敗した苦い経験がある。当時のライバルのボビィー・ラッシュは自分も牧師で過激な市民団体ブラックパンサーのメンバーだった。ラッシュの選挙運動はオバマのエリートぶりを強調し、「オバマは俺たちの仲間じゃない」というスローガンで押し通した。
こういう過去があるので、あまり早期から地元の過激派協会から距離を置けば、再び黒人票から見放され、民主党予選選挙で負ける可能性が多いにあった。だから今までオバマは協会を脱会できなかったのである。
しかし民主党候補指名がだいたい確保できた今となっては、一般選挙に向けて過激派とのつながりは絶たなければならない。それで今回の脱会宣言となったわけだ。かなり日和見主義だと思うが主流メディアがそれを指摘しないので、一般有権者がこのような態度をどう受け止めるか注目の価値ありだ。
諦めないヒラリー
民主党委員会は昨日ヒラリーがずっと主張していたフロリダとミシガンの代議員民主党大会参加を認める決断を下した。しかし、予備選挙の日にちを早めた罰として、正規の半数しか数えないことで結論が出た。
この結果、ヒラリーは代議員数を24票増加させたことになるが、それでもオバマより176票も劣り代議員数だけでは候補指名を得ることは出来ない。この際だから民主党のためにも早くヒラリーは敗北宣言をして撤退すべきだと考えるのが常識だ。
ではなぜヒラリーはいつまでも諦めないのか?
それはヒラリーは民主党のことより自分の政治生命のことしか考えていないからだ。
ヒラリーが民主党候補に指名される可能性は非常に少ないが全くないこともない。オバマの知名度が高くなるにつれて、今まで焦点の当てられなかったオバマの弱点がいくつも浮かび上がってきた。無論これがヒラリーの選挙マシーンの仕業であることは言うまでもない。8月の党大会までにオバマに関するスキャンダルがいくつも公になれば、代議員が足りなくても大会においてヒラリーはオバマでは一般選挙に勝てないから自分に入れてくれと主張することが出来る。それがうまくいくかどうかはわからないが、可能性がアル以上ヒラリーが諦めるわけはない。
しかし、実際にオバマが候補指名を受けた場合に備えて、ヒラリーはどうしてもオバマがマケインに負けるように仕掛けなければならない。何故ならオバマが勝った場合にはヒラリーが次に立候補できるのは8年後になってしまうからだ。オバマが負けてくれれば、「私を選んでいればマケインに勝てたのに、、」と言って4年後に立候補することが出来る。
だからヒラリーがここで諦める理由は全くないというわけだ。
頭の痛いオバマ
まったく一般選挙も始まってないというのに、こんなところでここまで苦戦するとはオバマも計算していなかっただろう。ま、手強いヒラリーが相手では仕方ない。
カカシとしては民主党の党大会、かなり楽しみだけどね。


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ホワイトハウス元報道官の裏切り暴露本にみる主流メディアの二重基準

先日私は元国防次官のダグラス・ファイス氏著のイラク戦争前夜において、ブッシュ政権は戦争をするにあたり緻密な事前計画を立てていたという回顧録が主流メディアからそっぽを向かれているという話をした。メディアが氏の著書を取り上げない口実は特にニュース性がないからだ、ということになっているが、その際に、もしもこれがブッシュが無計画に戦争に突き進んだというような批判の回顧録なら主流メディアは競争で話題に取り上げるだろうとも書いたが、まさにその通りだった。
昨日ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏がブッシュ批判の暴露本を出版したが、もうすでにそのことが日本のメディアも含め、あちこちで取り上げている。

【ワシントン28日AFP=時事】当地の報道によると、ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏が、同大統領をコースを大きくそれて必要のないイラク戦争に突進していったなどと厳しく批判する書物を著した。

 27日発売の政治誌「ポリティカ」に掲載された新著の抜粋によると、かつてブッシュ大統領の側近だった同氏は、2005年のハリケーン、カトリーナの襲来の際のホワイトハウスの無様な対応も非難し、最初の1週間のほとんどを「ステート・オブ・ディナイアル」(都合の悪いことに目をつむる)状態で過ごしたと述べている。
 マクレラン氏はまた、「我が国の歴史上で最悪の災厄の一つが、ブッシュ政権の最大の災厄の一つとなった」と書き、ブッシュ大統領はイラクに対して率直で偏見のない気持ちを持たず、計画や事後の準備が不十分なままに戦争に向かって突き進んだと批判している。(強調はカカシ)

こんな話は当時からアメリカメディアが嫌というほど報道したもので、今更騒ぐほどの『ニュース性』があるとは思えない。それをアメリカの左巻き主流メディアがこぞって取り上げるのは、この著書の内容が自分たちの偏見を確認する内容であるからに他ならない。ニュース性や事実などとは完全に無関係なのだ。主流メディアの恥知らずなダブルスタンダード(二重基準)が丸見えである。
マクレラン氏の著書には特に新しい証拠があるわけではなく、イラク戦争にしても、ハリケーンカトリーナにしても、そしてCIA職員の身元漏洩とカール・ローブの件にしても、すべて左巻きメディアやブロガー達が書き綴った嘘八百を何の根拠もなく繰り返しているに過ぎないのだ。
マクレランは非常に無能な報道官であったため、短期ですぐに首になった。そのことを未だに逆恨みしているのか、でなければオバマが大統領になった暁にはオバマの報道官として雇ってもらおうと自己ピーアールをしているのか、なんにしても氏の動機はうさんくさい。


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同性結婚は文明社会を破壊する、その2

以前に私は同性結婚は文明社会を破壊するというエントリーで、同性結婚を合法にしたスカンジナビア諸国で、結婚制度そのものが崩壊状態にあるという事実を紹介したことがあるが、今回はさらにもっと詳しい調査をミスター苺がしてくれたので、それを紹介しよう。

ヨーロッパ諸国ではすでに結婚する人々の数が激減している。同性結婚が合法であるベルギーやオランダだけでなく、結婚の宗教的価値を往々に見放してきているヨーロッパ全体にこの傾向が強い。結婚の価値が見下されれば結婚そのものの数が減るというわけである。結婚する人の数が減るにつれ、すでに深刻な少子化問題を抱えていたヨーロッパでは出産率の低下は進む一方である。

CBSの調査では、オランダの場合1995年から2000年にかけて結婚率はゆっくりではあるが上がりつつあった。しかし同性結婚の合法化運動が置き始めた2000年から実際に合法化された2001年の中頃から上がりつつあった結婚率は急激なUターンをし、その数は急降下してしまった。2005年になると結婚率が最低だった第二次世界大戦当時同率まで落ちてしまったのである。

もうひとつのCBSの表を見てみると、1995年から2000年までは一年間で結婚した人の数は1000人のうち平均5.5人だった。しかし2001年からその数は減り始め、2006年には4.4人というなんと20%の減少となった。

その間の出産率(一人の女性が一生のうちに生んだ子供数)は多少増加し1.53人から1.73人となった。しかしこの増加はすべてモロッコやトルコ生まれのイスラム教徒の移民の女性のおかげである。オランダ生まれのオランダ女性の出産率は2000年から2005年まで、1.7人と全く変化がなく、人口維持に必要な2.1人を大幅に下回る。

無論ヨーロッパに置ける結婚率や出産率の低下をすべて同性結婚のせいにするわけにはいかない。同性結婚をみとめていないフランスでもこの傾向はあるからだ。
しかしヨーロッパ全体で結婚率が減っている理由として次のことが上げられる。

  • どちらの落ち度も問われない、簡単な離婚法
  • 神前結婚を拒絶し世俗式結婚をするカップルが増えていること
  • 同棲や婚外出産への大幅な許容
  • より左翼的社会主義的政府による伝統的な宗教や道徳観の迫害
  • ヨーロッパ全土でおきている一般的な宗教拒絶の姿勢

つまりヨーロッパ人は伝統的な道徳観の大事さを忘れつつあるので結婚が特別な制度であるという考えも失いつつあるのである。だから結婚の定義に同性を含むことに何の抵抗もなくなってしまったというわけだ。

喜ばしいことに、いまのところアメリカではまだ結婚率も出産率も減少の傾向はない。ロサンゼルス・タイムスの世論調査によると、この間州最高裁で同性結婚を一夫一婦制のみに認めるという法律を違憲という判定が出たカリフォルニアは、州民の過半数が同性結婚合法化を阻止するための憲法改正案を支持していると発表している。カリフォルニアはアメリカ国内でも非常にリベラルな州で、州民のほとんどが同性愛そのものには特に問題がないと考えている。そのカリフォルニア州民ですら同性結婚を拒絶しているくらいだから、近い将来アメリカ全土でそのような法律が通るなどということは先ず考えられない。

同性結婚を認める法律が存在しているのは、アメリカではマサチューセッツだけだが、これも決してマサチューセッツ州民が選挙で決めたことではなく、マサチューセッツの法廷が勝手に決めたことなのだ。マサチューセッツの民主党議会はこの問題を市民に問いかけることを徹底的に拒絶している。それは州民投票を行えば州民が同性結婚を拒絶すると知っているからに違いない。

しかしヨーロッパでは、イスラム教移民による横暴のバックラッシからなのか、最近カトリック教が再び人気を挽回しつつある。トーマス・野田神父のサイトでフランスへの巡礼の模様が報告されている。ヨーロッパ中から集まった若いひとたちの姿が多いのは喜ばしいことだ。ヨーロッパ崩壊を防ぐためにも、ぜひともヨーロッパの人々に結婚の大事さをもう一度見直してもらいたいものだ。


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失言を今更引っ込められず苦悩するバラク・オバマ

この間のブッシュ大統領のあてつけ演説以来、バラク・オバマの譲歩政策が何かと取り沙汰されている。主流メディアはブッシュが名指しでオバマを批判した訳でもないのに、こぞってブッシュがイスラエル建国60周年の場を悪用して汚い政治活動をしたと批判的だ。
しかしこの間も書いたように、オバマにしても主流メディアにしても、ブッシュの演説がオバマへの当てつけだと大騒ぎしたことがかえって逆効果となっている。何故ならこれまでオバマの譲歩外交政策などほとんど知らなかった有権者までが突然オバマの外交政策に興味をもってしまったからだ。
オバマは今年2月の民主党討論会で司会者の「敵国のリーダー達と無条件で会合するか」という質問に「します!」と断言してしまった時、これが後になって自分の外交政策としてまつわりついてくるとは思いも寄らなかったのだろう。同時に敵国のリーダーとやたらに会合などして相手に不必要な正当性を与えるべきではないとしたヒラリー・クリントンやジョン・エドワーズの反論にもオバマは沈黙していた。
その事実をブッシュ大統領や共和党候補者のジョン・マケインに批判されて、バラク・オバマは今更あれは言葉の彩でとか、討論の熱気に押されてとか言い訳が効かなくなってしまった。それで単なる失言から始まったバラク・オバマの外交政策は今やオバマ政策として形を固めようとしている。
チャールズ・クラウトハンマーの鋭い分析から読んでみよう。

大統領は敵と会見すべきだろうか? そういう場合もあるだろう。だがそれはアメリカの目的の最小限を満たしてからという条件付きである。上海条約はリチャード・ニクソンが中国訪問するずっと以前にほとんどが書かれていた。だがオバマはニクソンが中国訪問したという事実が自分の一年生独裁政権訪問を正当化する理由になると考えているのだ。

世界で一番の有力者であるアメリカの大統領はやたらに敵国のリーダーと会見したりしない。その理由はそんなことをすれば何の利益もないどころか、かえって敵国のリーダーに指導者としてのステータスを与えてしまうからで、それを口実にこれまで敵国を避けていた諸外国が正式な貿易を始めたりする可能性があるからである。
それにジョン・F・ケネディのソ連書記長との会見が証明するように無条件で敵のリーダーと会ったりすれば相手にこちらの弱さを暴露してしまう危険性もある。
無論正式に会合しないからといって、アメリカが敵国と全くなんの交流も無いのかと言えばそんなことがあるはずはない。オバマがその事実を全く知らないはずはなく、それを無視してブッシュ政権がシリアやイランと正式な会合を開かない政策をカウボーイ外交などといって批判するのは不誠実このうえない。しかしクラウトハンマー氏はオバマの不誠実を批判する前にオバマの無知さ加減に呆れている。

オバマはフランク・ルーズベルトとハリー・トゥルーマんが敵と会ったと主張する。オバマは歴史を知らないのだろうか?ルーズベルトもトゥルーマンも日独伊枢軸の指導者と会ったことはない。オバマはルーズベルトとスターリンがヤルタ会議で合った写真やトゥルーマンとスターリンのポツダム宣言の話をしている様子を語っているのかもしれない。だがオバマはスターリン(のソ連が)が(第二次世界大戦)戦時中同盟国だったことをしらないのだろうか?

その後に起きた冷戦中、トゥルーマンは一度もスターリンや毛沢東や金日成とも会ったことはない。トゥルーマンは愚か者ではなかった。

オバマはさらにジョン・F・ケネディが当時のソ連共産党書記長のニキタ・クルシュチェフと会見したことを無条件で会見した成功例として上げているが、アメリカの歴史家の間では、このウィーン会見は経験不足の大統領の生んだ悲劇的な歴史的事実として考えられている悪名高い例なのである。大統領になって数ヶ月の経験不足の若いケネディ大統領が全く下調べも根回しもせずに無条件で経験豊富な古狸ソ連のクルシュチェフと会った会合で、九種チェフ古狸はケネディの弱さを見抜いた。これが数ヶ月後のキューバ危機を招いたことはいまや歴史上の事実として知らない歴史家はいない。(オバマは知らないようだが。)
外国との首脳会議では意味のある結果が期待される。会ってなんの効果も得られないような会議は害あって益なしである。だからこそ首脳会議には下準備や条件合意が必要なのであり、それ以外のやり方は愚弄とした言いようがない。
アクマディネジャドと無条件で会見してオバマはいったどんな結果を期待しているのだ?イランが核開発を止めることか?イランによるレバノン介入の停止か?イランのイスラエル攻撃をあきらめることか?アホちゃうか?
バラク・オバマは政治家一年生だけでなくその一年ですら落第生だ。何にもしらない愚か者だ。こんな無知蒙昧な馬鹿を大統領に選んだら、アメリカはおしまいだ。
カカシはヒラリーおばさんだけは勘弁して欲しいと何年も言い続けてきたが、バラク・オバマの愚か者に大統領を任せるぐらいなら、ヒラリーおばさんにやってもらった方がよっぽどもましである。少なくともヒラリーは無条件で敵国の指導者に媚を売るような玉じゃない。
オバマに比べたらヒラリーの方がよっぽど金玉じゃなかった肝っ玉のある女性だ!


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ブッシュ名演説への過激反応でみせたオバマの未経験ぶり

The English version of this entry can be read Biglizards.net/blog.
昨日ジョージ・W・ブッシュ大統領は、イスラエル議会の前ですばらしい演説を行った。

世の中には暗黒を把握できず言葉で説明しようする善良な人々がいます。これは自然です。でも致命的な間違いです。過去の悪の目撃者として我々は彼ら悪者の言葉を真剣に受け止める重大な責任を負っています。ユダヤ人もアメリカ人も憎悪を表現する指導者の言葉を無視したことの結果を見てきました。21世紀の世界はこの間違いを二度と繰り返してはなりません。

人によってはテロリストや過激派と交渉すべきだと信じる人がいます。あたかもなんらかの巧みな話術によって彼らが間違っていることを説得できるかのうように言います。このような愚かな幻想は以前にみたことがあります。ナチスの戦車がポーランドに侵略した1939年、アメリカのある上院議員は「ああ、ヒットラーと話をすることさえ出来れば、こんなことは避けられたのに」と語りました。 我々にはこのような発言は、そのものずばり、譲歩(appeasement)による偽の安心感であると断言する義務があります。 このような行為は歴史のなかで何度も失敗してきました。

これに対して即座にバラク・オバマは譲歩や妥協策と言う意味の「appeasement」政策への批判は自分への批判だと思い込み、過激反応した。:

伝統的に米大統領が異国の土地に居るときは、政党間争いは停止するのが慣習となっているが、ブッシュの発言に対してオバマは即座に反則だと批判した。イリノイ代表第一期目の上院議員はあたかもこれらの発言が合衆国がならず者とみなしている国の政権の指導者たちとも個人的に会う意志があるという姿勢を持っている自分への批判であるかのように反応した。

「ブッシュ大統領の演説はイスラエル独立60年の場を借りた、誤った政治攻撃だ」とオバマ関係者が配った声明文でオバマは語った。「ジョージ・ブッシュは私がテロリストとの交渉を一度も支持したことがないことを知っています。大統領による外交の過激な政治化や恐怖の政治はアメリカや同盟イスラエルの安全保障に何の役にもたっていません。」(ミスター苺注:オバマをホワイトハウスに入れさえしなければアメリカや同盟イスラエルの安全保障に非常に役立つとおもうけどね。)

カカシ注:上記のオバマの発言については読売新聞の記事にあった翻訳を一部引用させてもらった。
さて、このやりとりについてもうすこし詳しく吟味してみよう。

1: 疾しい者は追われずとも逃げる

ブッシュは譲歩策を批判した。そしてオバマは即座に自分のことを言われていると気がつき、怒って自己弁護するべく反応した。つまりオバマ自身、無条件でマフムードや金正日やラウールやウーゴと会う行為は限りなく譲歩に近いということを認識しているということだ。
しかしオバマはイランや北朝鮮やキューバやベネズエラよりもアメリカこそが、世界の問題の根源だと考えているわけだから、我々が改めるべきなのだと信じているのだ。我々こそ我々の「カウボーイ外交」で「テロリスト」の汚名を着せられ長年「犠牲者となった」人々(ハマス、ヒズボラ、アルカエダなんかがこれに入る)に会うべきだというのである。我々は謙虚になってこした犠牲者たちと会見し許しを請い、我々への攻撃をやめてくれるよう嘆願するべきだというのだ。なにしろこれはそもそも共和党による誤った政策が原因だったのだから。
(オバマは20年間聞かされてきたジェラマイアー・ライト牧師のお説教に感化されたのだろう。)
しかしオバマはそんなことを表立って発言できないことは知っている。そんなことを言ったら絶対に当選しない。オバマは多分これはアメリカ人が真実に直面するのを恐れているからだと考えているのだろう。何にしろオバマはこの自分の本心を必死で隠そうとしている。
オバマには疾(やま)しい心があるからジョージ・W・ブッシュの口から自分の本心が放たれた時、オバマは自分のことを個人的に攻撃されたものと決めつけた。感情的になったあまりオバマはブッシュがオバマを名指しで批判していなかったことにも気がつかなかったのだろう。

2: 誰のことを言ってるのか私にはわかる!

無論ブッシュはオバマのことを言っていたのだということは明白だろう。そしてブッシュは演説を聞いた誰もが、特にオバマ自身が、オバマのことを考えるという事実も知っていたのだ。つまりこれはブッシュ大統領がオバマに仕掛けた罠だったのであり、政治的に未経験なオバマはそれにまんまと嵌ってしまったのである。

これに対してホワイトハウスのデーナ・ペリノ報道官はイスラエル議会での発言はオバマに向けたものではないとし、あのような表現はブッシュ大統領の演説では頻繁に使われているとした。また国土安全保障のゴードン・ジョンドロー大統領報道官も長期にわたって「広域に渡ってハマスやヒズボラや彼らの援助国家と交渉すべきだと示唆する人々がいた」と語った。

最近ではカーター元大統領がその一人で、ハマスと会見してブッシュ関係者及びオバマやマケインからも批判を浴びている。
ホワイトハウスがブッシュは民主党に向かって批判したわけではないと説明しながらも、ペリノ氏はちょっとした諌(いさめ)の言葉を忘れなかった。
ペリノ大統領報道官は、ブッシュ発言はオバマ氏を念頭に置いたものではないとした上で、「選挙を戦っていると、世界が自分中心に回っているように思えるものだ。しかし常にそうだとは限らない。今回はまったく真実ではない。」 と語った。

バラク・オバマは全く馬鹿を見た。「appeaser」という譲歩をする者というのが、誰も自分の名前など言ってないのに自分のことだと思い込み、大騒ぎして自分中心の性格を世間に暴露してしまったのだ。なんたるナルシスト!
これはホワイトハウスによるおごり高ぶって有頂天になっている尻の青い新人を諌める功名な作戦であった。

3: 罠に嵌ったオバマ

どんな分野でも新人が最初に職場につくと、経験豊かな先輩が新人をからかって不可能な仕事をいくつも言いつけることがある、この作戦は新人の無知と未経験を利用するのがミソだ。 今回のオバマの過激反応はまさにオバマの無知と未経験をさらけだす恥さらしな結果を招いた。
これがビル・クリントン元大統領のように、経験豊で賢い政治家ならこんな手には乗らずに、こんなふうに応えていただろう。

、、演説を聞きましたが、全く同感です。ブッシュ大統領のおっしゃることはもっともです。テロリストや過激派と交渉など絶対にすべきではありません。大統領がそれを理解していると知ってうれしいですよ。ただ政権の指導者のなかにはどうしても会って話さなければならない人がいるということもわかってほしいですね。つまり、私が大統領だったころは常に、、、 [とビルの自慢話へと続く.]

つまり、ブッシュ大統領の批判作戦が成功するためには批判された本人がそれが自分に向けられたものだと気がついてこそ効果がある。もし当人が気がつかないか、または気がつかない振りをすれば、批判した側は批判の対象人物の名前を上げるわけにはいかないから、作戦は失敗する。
だが尻の青いオバマはこの罠に全然気がつかずにまんまと嵌ってしまい、両手をふってもがいているわけだ。今回のことでオバマがどれほど愚かに見えたか有権者が気がつけばオバマの支持率にも影響がでるだろう。

4:無知と未経験をさらけ出したオバマ

今回の騒ぎで明らかになったことが二つある。ひとつは、バラク・オバマがテロリストやイランのようなならず者国家の指導者と交渉できるというナイーブな、まさにブッシュ大統領のいうところの譲歩政策を持っていることと。二つ目には大統領の巧みな批判に乗ってしまうほど判断力が貧弱であり感情的になってすぐ怒り騒ぎまくるという点だ。
どちらも大統領としておよそふさわしくない性質である。
このことがすぐにオバマの支持率に悪影響を与えるという保証はない。なにしろ主流メディアはなんとしてでもオバマの失態を隠そうとするだろうから。しかし11月に向かって選挙運動中のオバマによる度重なる失言や失態の蓄積はいずれその影響を及ぼすはずである。 時がたつにつれて、まだ誰に入れるか決めていない有権者の間では、オバマのような新人に大統領の仕事を任せていいのかどうかかなりの猜疑心が生まれてくることは間違いない。


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またまたオバマの失言、アフガニスタンでアラビア語の通訳が足りないって?

私は何度もヒラリーが賢く見えるオバマの失言の話はここここなどで書いてきたが、今回もまたまたバラク・オバマがおかしなことを言った
ミズーリ州で選挙運動中のオバマはアフガニスタンの戦況がうまくいっていないことの理由として、アフガニスタンに充分なアラビア語通訳がいないことがあると語ったのである。下記はレッドステートから引用。

「特定の数の(通訳)しかいないのに、それが全員イラクにいってるので、アフガニスタンの我が軍は困っています。」とオバマは語った。もちろん事実はアフガニスタンではアラビア語ははなされておらず、通訳はほぼ100%地元市民が使われている…ことを考えると間違いを通りこしてお笑い草である。

オバマは続けて、「我々にはアフガニスタンに農業の専門家が必要です」と語った。「ヘロイン用の芥子ではなく、他の作物を生産できるように援助する人員が必要なのです。なぜならアフガニスタンの麻薬取引がテロリストネットワークの資金源となっているからです。ですから農業専門家が必要なのです。」
「でも専門家をすべてバグダッドへ送っていてはアフガニスタンに行く人がいません。」

イラクとアフガニスタンでは自然環境が違いすぎる。イラクの専門家をアフガニスタンに連れて行っても意味ないだろう。レッドステートはオバマの文化や産業の無知に加えて、アメリカ軍がひとつところに出動したら別の場所へは出動できないと思い込んでいる軍事的な無知さ加減にも呆れている。現状はアフガニスタン出動軍の規模はイラク戦争以前も以後も全く変化がないのである。次期大統領を目指そうという人がこんなことも知らないなんて信じられない。しかもアフガニスタンの状況は決して悪化していない。
以前から私はタリバンがアフガニスタンで春の総攻撃を予告しておきながら、冬の間にNATO軍にこてんぱんにやられて来た話はしているが、オバマはそうした事実すら知らないらしい。
でもカカシさん、アフガニスタンの状況はあまり話題にならないし、オバマが知らなくてもそれほどおかしくないんじゃありませんか、ブッシュ大統領だって以前にパキスタンのムシャラフ大統領の名前を思い出せなかったこともあることだし、、とおっしゃる読者もいるかもしれない。
だが、ブッシュがムシャラフの名前を知らなかったのは、パキスタンではクーデターが起きた直後で、しかもアメリカにとってパキスタンが大事な国になるという前触れが一切なかった時のことである。しかもそれまで当時のブッシュ大統領候補はパキスタンのパの字も語ったことが無かったのである。
それに引き換えオバマ上院議員は何度となくイラク撤退の理由としてアフガニスタンの状況をやたらに引き合いに出してきている。しかもオバマは上院議会でNATO監督の管轄権があるヨーロッパ委員会の会長なのである。これについては同じ民主党候補ライバルのヒラリー・クリントンが2月の討論会でこんな指摘をしているのである。
オハイオ州のクリーブランド市での討論会でヒラリー・クリントンは民主党候補ライバルのオバマに対して「NATOはアフガニスタンの任務に対して不可欠である」しかるにオバマ氏はアフガニスタンにおけるNATOの存在をどう強化するかについて一度も審議会を開いたことがないと批判した。
これに関してオバマは自分が委員会の会長に任命されたのは大統領選挙運動がはじまった2007年の初めだったと言い訳をした。つまりオバマは図らずも自分は選挙運動に忙しくて肝心の上院議員としての仕事を怠っていたと白状してしまったのである。
オバマのこの無知蒙昧な発言を聞いていると、NATO管理の立場に居ながら、オバマはアフガニスタンの治安維持はアメリカではなくNATO軍の管轄なのだということすら知らないのではないだろうかと疑いたくなる。
ところで現在イスラエル訪問中のブッシュ大統領の演説でおもしろいものがあった。それに対するオバマの反応が傑作なので是非それを次回紹介しよう。


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カリフォルニア最高裁、同性結婚禁止法は違憲と判決

今年の3月8日のエントリーで、カリフォルニア最高裁で同性結婚を禁止する州法が合憲かどうか審議されているという話を紹介したが、本日この法律は違憲であるという判決が下った
この判決は2000年に通った州法22条を覆すものだが、この州法とは、すでに1978年に取り決められた結婚は一夫一婦制という言葉をさらに強調するべく「カリフォルニアにおいては一夫一婦の間でのみ結婚が正式に認められる」というもので、61%の圧倒的な州民の支持で通過していた。
民主党が独占するカリフォルニア州議会において、この法律を覆す議案が二回通っているが、知事のシュワちゃんは二回とも拒否権を使って拒絶してきた。その理由は「州民に意志を尊重する」というものだった。ところが、これを最高裁が違憲としたということは、法廷が州民の意志をふみにじったことになる。
この判決には二つの問題がある。ひとつは言わずと知れた同性結婚の合法化による弊害だが、もうひとつは法廷による独裁だ。
同性結婚の弊害については前に同性結婚は文明社会を破壊するで書いているが、一つの州で結婚が認められれば、別の州でも認めざる負えなくなるのでこれはカリフォルニア州の問題だけでは済まされない。
また法廷が気に入らない法律をきちんとした理由もなく違憲としてしまう弊害はこのことだけでは収まらない。アメリカは三権分立を基本としており、法廷に立法権はないはずだ。それが州民の意志を無視して法廷が強引に特定の法律をおしつける行為は非常に問題だ。
では、カリフォルニア州民はこのまま意に反した同性結婚をみとめざるおえないのかというとそうではない。州民には州憲法改正という最後の手段がある。
すでに保守派や宗教グループが協力して憲法改正案を11月の選挙時の項目に入れる運動が起きている。州務長官は6月の終わりまでに選挙項目に入れるだけの署名が集まったかどうか判断を下すことになっている。すでにこのような州憲法改正法は26の州で通過している。これによって憲法が改正されれば、今回の法廷判決は無効となる。
この判決は実は英語で言うところの「偽装した祝福」というものだという見方もある。つまり、11月の一般選挙を前にして保守派が政治に関心を持つ大事な問題が持ち上がったとなると、リベラルが多いカリフォルニアでは普段はあまり元気のない保守派層が何が何でも憲法改正案を通させようと投票に現れるからである。せっかく投票にいったのだから、地元の共和議員にも票を入れておこうということになり、保守派議員には有利な結果が生まれる可能性がある。
また、大統領の大事な役割に裁判官の任命があるが、もし次の大統領が民主党から出れば、連邦政府の裁判官は必ずはリベラルが任命される。特に最高裁ではすでに高齢の二人がおり、次大統領が新しい最高裁判官を二人任命しなければならないことは確実だ。裁判官がリベラルであれば、今回のカリフォルニアの同性結婚のように法廷からリベラルな方針が国民に強制される可能性大である。
全国の保守派がカリフォルニアを見て、次期大統領は絶対に民主党に渡してはならないと考えて、マケインはバリバリの保守派ではないと支持に消極的だった有権者もオバマよりはよっぽどましと気がついてくれるかもしれない。
リベラルの性質はおごりの行き過ぎ。今回はカリフォルニア法廷はリベラルに権限を渡せばどういうことになるかを顕著に表す例であった。そしてこれは保守派の取るべき道をはっきりさせたものと言えるだろう。


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エリート意識まるだし、ミッシェル・オバマの悲観的なアメリカ像

ジェラマイアー・ライトもさることながら、民主党大統領候補のバラク・オバマのミッシェル夫人の毒舌はかなりなもんである。
先日からロサンゼルスのラジオDJ、ヒュー・ヒューイットの番組でミッシェル夫人が先週から行っている選挙演説の抜粋を放送しているが、聴いていて信じられないような内容である。
先ずミッシェル夫人はオバマの民主党大統領候補指名が決定していない理由は常に周りの人間によって、目標の高飛びの棒が不当に上げられているからだと文句を言ったのにこじつけて、アメリカ庶民の生活も常に目標の棒が不当に上げられて人々は、どれだけ苦労しても目標に届くことが出来ないのだと語った。オバマ夫婦には庶民の苦労がよくわかる。何故なら自分たちも苦労している庶民だからだと言う訳だ。
ミッシェル夫人は自分たち夫婦が苦労人であることを強調したいらしい。
この間からバラク・オバマがペンシルベニアの有権者を卑屈になっているといって馬鹿にして以来、ライバルのヒラリー・クリントンがオバマをエリート意識に凝り固まり庶民の気持ちが理解できない人間だと言い続けているので、なんとかしてオバマ夫婦はこのイメージ打開をしようと必死なのである。エリート意識まるだしのヒラリーにエリート扱いされるんじゃオバマもおしまいだ。
バラク・オバマはケニアで白人のアメリカ女性とケニア男性の間に生まれた。両親はすぐ離婚し6歳まではハワイで育つ。その後母親の再婚相手のジャカルタの実家で4年間暮らす。その後はハワイへ戻って一流大学のコロンビア大学卒業後、これもまた一流のハーバード法律学校へ進み、弁護士となった。コミュニティーオーガナイザーとかいう訳の分からない仕事を数年した後、地方議員になり上院議員になりと、とんとん拍子で出世してきた人間である。
これがミッシェル夫人になると、もうエリートコースまっしぐらである。
ミッシェル・オバマ、1964年1月17日、イリノイ州シカゴ生まれ。 プリンストン大学を卒業後、ハーバード法律学校へ進み、シドニーオースティン法律事務所に勤務。年収楽に40〜50万ドルは稼いでいるエリート弁護士だ。
オバマ夫婦は二人の年収を会わせたら、楽に百万ドルは行くだろう。こんな金持ち夫婦の苦労とはいったいどんなものなのか、ミッシェル夫人の話を聴いていると思わず笑ってしまう。
ミッシェルは大学卒業後学生時代に借りたローンの返済額が月々の住宅ローン支払いよりも高かったと愚痴る。大学卒業した人間が借金だらけになる世の中は良くないと言いたいらしい。だが、一般家庭の人間はそんな借金してまで学費の高い名門校へなど行ったりはしない。何故ならそんなことをして卒業しても返せる当てがないからだ。ミッシェルがそこまでするからには返せる当てがあったということだ。それに普通の若い夫婦は大学卒業してすぐに百万ドルの住宅を購入するような余裕もない。
ミスター苺は学力ではプリンストンに受かったが、学費が高すぎてとうてい行かれなかったので、州立の大学へ行った。ミッシェルが借金したくなかったなら、無理して私立の名門校へなど行かず学費の安い州立のシカゴ大学へ行けばよかっただけの話。プリンストン大学へ行った人間が学生ローン返済に苦労したなんて、一般人にはばかばかしくて聴いてられない愚痴だ。エリート意識に凝り固まっているからこそ言える戯れ言である。
またミッシェルはバラク・オバマの母親の苦労話をする際に、彼女がカンザスの田舎町に生まれたにも関わらず大きな夢を持っていた、と語った。おいおい、カンザスの田舎町で生まれたら夢をもっちゃいけないのかよ、それってカンザスを馬鹿にしてないかえ?
ミッシェルは都会生まれなので常に地方の人間を馬鹿にする傾向があるが、こういうところにミッシェルのエリート意識が顔をのぞかせるのだ。この間のオバマのペンシルベニア州民への侮辱といい、今回のカンザス州民を田舎者扱いする態度といい、エリート意識まるだしだ。
しかもミッシェルはバラク・オバマが子供のころケニアやジャカルタといった第三世界に住んでいたことや、大学卒業後シカゴの貧民窟で住民救済活動をしていたことなどをあげて、バラクは「なにもかも見てきた」と自慢した。
ちょっとちょっと、ミッシェルさん、海軍の戦闘パイロットに志願して行かなくてもいい危険な任務に出かけていって北ベトナムの捕虜になり4年も捕虜生活をして拷問を受けたのに仲間を売り渡さずに帰ってきた人よりも、バラク・オバマは苦労人で何もかも見てきたって言うんですかえ?
ところでミッシェルはこの演説のなかで面白いことを言った
労働階級の庶民はどれだけがんばっても中々成功しない、自分も本来なら成功できない立場にあった。という文脈でミッシェルは自分は学校の成績は良くなく、全国の学力テストでも低い点数を取ったという。だから本来ならばプリンストンへも行かれないはずだったというのだ。ハーバードへも進めないはずだったと。
おかしいなあ。どうして点数が足りない人間が名門校に入れたのだろうか?もしかしてミッシェル・オバマは黒人優遇制度のアファーマティブアクションに救われたのでは?
そういえば、ミッシェルは学生時代にどうも自分が教授や同級生たちからよそ者扱いされてるように感じたと書いていた。自分はここに属しないという実感があったと。私はこれは彼女の被害妄想だと考えていたが、もし彼女が学力が足りないのにAA制度のおかげで身分不相応な大学へ進んだとすれば、周りから白い目で見られたとしても不思議はない。彼女が自分はこの大学に属しないと感じたのは実際彼女が属しなかったからなのではないだろうか。
ミッシェルが卑屈なのはアファーマティブアクションで不当に優遇されなければ成功できなかったという後ろめたさがあるからなのかもしれない。


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ヒラリー、ペンシルベニアの予選大勝利!

イエ〜イ!ヒラリーがペンシルベニア洲で行われた大統領予選選挙でオバマに10点の差で勝た!

ペンシルベニア州予備選、クリントン氏勝利

(CNN)米大統領選は22日、ペンシルベニア州で民主党予備選を行い、ヒラリー・クリントン上院議員が勝利した。選挙戦で劣勢が伝えられていたクリントン氏だが、今回の勝利で踏みとどまった形だ。
クリントン氏は支持者らを前に、大統領就任の初日から働く用意があると自信を表明するとともに、ホワイトハウスへの道が「ペンシルベニアの心臓部を貫いている」と述べ、今後も支持するよう呼びかけた。
一方、今回は黒星を喫したオバマ氏は、選挙戦全体でリードを維持していく意向を表明。予備選・党員集会で勝利した州がクリントン氏の2倍にのぼり、世論調査の支持率や獲得代議員数でもクリントン氏をしのいでいることを強調した。
開票率93%の段階の得票率は、クリントン氏が55%、ライバルのバラク・オバマ上院議員が45%。クリントン氏がオバマ氏に巻き返すためには、オバマ氏に2けた台の差で勝利する必要性が指摘されていた。
出口調査の結果によると、オバマ氏は新しい有権者の間で圧倒的な支持を集め、クリントン氏は選挙戦終盤にどちらに投票するか決断した有権者の間で人気が高かった。また、有権者が重視している課題のトップは景気であることが明らかになった。
CNNの独自集計によると、オバマ氏の獲得代議員数は1685人で、クリントン氏は1544人。同州の代議員数は158人で、残りの予備選のうち最大の票田。

ちょっとカカシさん、ヒラリーおばさんだけは勘弁してくれって言ってたのはどこのどなた?
いやはや自分でもまさかヒラリーの勝利を祝うようになるとは思わなかった。しかしオバマという男は知れば知るほど嫌な奴だ。オバマが大統領になるくらいならヒラリーの方がよっぽどましである。
この間のヒラリーとの討論会でABCテレビのリポーターがオバマにちょっと厳しい質問をして以来、オバマときたら選挙運動の先々でジャーナリストが自分に不公平に厳しい質問をしているといって愚痴をこぼしている。これまでずっとオバマ贔屓の主流メディアに完全に甘やかされてしまったオバマはあの程度の質問ですでにビビっているのだからしょうがない。ブッシュ大統領がどれだけ主流メディアに責め立てられてると思ってるのだ?こんなんで本気で大統領をやろうっていうのだから信じられない。
ライバルのヒラリーも「台所の熱さに耐えられないなら、出て行け」とオバマの軟弱さを批判。「私は台所は居心地がいいわ」と釘をさした。
とは言うものの、カカシは決してヒラリーを応援しているわけではない。私が喜んでいるのは、ヒラリーがペンシルベニアの予選で勝つことによって、ヒラリー対オバマの泥試合はまだまだ続く。そうなれば共和党の候補者であるマケインは何もしないで民主党の候補者がお互いを破壊し合うのを高見の見物といけるからだ。
この調子で二人のやり合いが夏の民主党大会まで続いてくれれば、今回の大会はアメリカの歴史上でも稀なブローカーコンベンションとなる。ブローカーコンベンションとは以前にも説明した通り、党大会で実際に投票が行われて大統領指名が決められることである。普通は大会までには候補がほとんどひとりにしぼられてしまうため、党大会は単なる形だけの投票で終わるのだが、今回は本当に意味のある選挙になるかもしれない。
非常に楽しみ!


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ヒラリーがまともに見える、オバマの醜態

先日のバラク・オバマの失言といい、昨日のヒラリーとの討論会での狼狽えぶりといい、オバマは最近その未経験ぶりがもろに表に出て難しい立場に追い込まれている。
先週の土曜日、オバマ議員はサンフランシスコ後援会の前で何故自分はいわゆるレーガン民主党といわれる白人の労働者階級からの支持を得られないのかとについて説明した時、こんなことを言った。

ペンシルベニアの片田舎の町にいくとですね、西部の多くの小さな町がそうであるように、25年前になくなった職に未だに取って替わるものがないんですね。だからそういう卑屈になった人たちが銃とか宗教とかに固執したり、自分とは違うひとを嫌ったり、移民に嫌悪をみせたりして鬱憤をはらしてるのも理解できます。

これを聞いたペンシルベニアの人々は、自分たちが銃所持の権利を主張するのも信心深いのも卑屈になったせいではない!労働者をばかにするにもほどがある!と激怒。この機会を見逃してなるものかと、早速ヒラリー・クリントンはペンシルベニアの市民のインタビューを集めてオバマは一般市民の生活を理解できないエリート主義者だとテレビ広告を作ってオバマを攻撃。それに怒ったオバマがヒラリーに「恥を知れ」と怒鳴る場面も見られた。

 大統領選の民主党候補指名を争うオバマ上院議員が13日、ライバルのヒラリー・クリントン上院議員に対し「恥を知れ」と珍しく怒りを爆発させた。オバマ氏の失言を執拗(しつよう)に追及するクリントン氏の戦術が腹に据えかねたようで、民主党内の亀裂を懸念する声がさらに強まってきた。…….
 東部ペンシルベニア州で13日開かれた集会で、オバマ氏は「マケイン氏の批判は予想していた。しかし同僚のクリントン氏まで同じ論点で批判していることには失望した」と語り、「恥を知れ」と繰り返した。(共同)

これに加えて水曜日に行われたオバマとヒラリーの討論会でも、オバマはいつになく手厳しいABCテレビ局の司会者の質問にたじたじとなり、その経験のなさがあからさまになった。まず司会者のひとり、チャールズ・ギブソンがオバマの先の発言について次のような質問をした。

ギブソン(司会者): あれは失言だとおっしゃいましたね。いいたいこととは違う言葉使いをしてしまったと。しかし多くの有権者から話を伺いましたが、この洲(ペンシルベニア)の人たちが馬鹿にされてると感じ、あなたはの言ったことは本心だったと考えていることはご存知ですか。

オバマ: はい。皆さんのご怒りはごもっともです。私が間違った言い方をしたのはこれが最初ではありませんし、これが最後でもないでしょう。
しかし、私がいわんとしたことをはっきり申し上げておきます。…..
私の言いたかった点はワシントンが人々に耳を傾けていないと感じるとき、景気はよくなると毎年毎年約束され、それが何十年も続いているのに一向によくなる気配がない。そういう時に人々は宗教のような一貫しているものに目を向けるようになる。
人々は「ここに何らかの憩いの場を見いだすことができる。これだけは頼りになる」と思うようになるわけです。人々は銃法のような世代から世代へ受け継がれてきたことへの票をより心配するようになる。これらは非常に大切なことだからです。……
ギブソン: クリントン議員?
クリントン: 私の祖父はスクラントン出身の工場の労働者でした。11歳の時にスクラントンレース工場に働きに出て、一生そこで働きました。ほとんど週6日労働でした。
祖父はコートストリートメソジスト協会の熱心な信者で、三人の息子を育て三人とも大学にいかせたことを誇りに思っていました。
私は私の祖父にしても私の父も、そして私が長年にわたって光栄にもお会いできた多くのペンシルベニアの人々もワシントンが耳を傾けてくれないからといって宗教に固執したりしているとは思いません。宗教とはよいときも悪いときも信じるものだという基本へのある意味で誤解だと思います。
同じように、人々が狩りや銃といった伝統に固執するは政府に不満をもっているからだとは考えません。人々がそんなふうに生きているとは信じられません。
もちろんそれは人々が政府に不満を抱いていないという意味ではありません。政府に不満を持つ理由はいくらでもあります、特に現政権に対しては。
……
ここ数週間ペンシルベニアをあちこち行ったり来たりして….お合いした多くのすばらしい人々からきいたことは、我が政府に関してどんな不満があるにしろ人々はしぶとく積極的で、人々からより優れたものを引き出してくれ、機会を与えてくれるリーダーを迎える用意ができていることです。

これはクリントンに一本ありという答えだな。オバマはペンシルベニアの人々は経済の低迷に卑屈になって宗教や銃に固執しているとバカにしたのに対して、ヒラリーは人々はしぶとく積極的で強い指導者を期待しているのだと有権者を尊敬した言い方をしている。人々は弱いから自分が救ってやるというオバマの見下したエリート意識丸出しの態度とは対照的で非常に効果のある答え方だ。
さて続けてギブソンは以前から問題になっているオバマの恩師ジェラマイアー・ライト牧師の人種差別的な発言についてオバマに質問した。

ギブソン:オバマ議員、….後に行った演説のなかであなたはジェラマイアー・ライト牧師が人々を怒らせるようなお説教を祭壇からしたのは聞いたことがないと言いました。
しかし一年前あなたが立候補を発表した際、ライト牧師への招待を取り消しました。….牧師によるとこれは彼の言葉ですが、あなたは牧師に「あなたはお説教でたまに乱暴なことをいうから、公の場所には現れないほうがいいと思って決めた」と言ったそうですね。牧師のどんな言葉を知っていて招待を引き下げたのですか?
オバマ:それは、、
ギブソン: それに牧師がお説教で乱暴になることを知っていたなら、なぜ彼のそんな言動からあなたが正式に距離を置くのに一年以上もかかったのですか?
オバマ: それは、私はユートゥーブで公開され何度も映されるはめになった言葉については見たことがなかったことをわかってください。….
しかしチャーリー、すでに私はこれについては詳細にわたって説明しています。ライト牧師は問題のあることを言う人ですが、それは多くのアメリカ市民を怒らせたような言葉とは違うのです。ですから私はこれらの発言については問題があると言いましたし私が同意できることではないとも言いました。そしてきちんと距離を置きました。….

ジェラマイアー・ライト牧師の暴言についてはギブソンもいうように一年以上も前から話題に上っていた。主流メディアで取り上げられてからも、すでに数週間もたっているのだから、オバマも、もう少しましな答えが出来てもよさそうなものだ。
オバマが「距離を置いた」としているのはYouTubeで放映されて問題になった発言だけであり、ライト牧師自身から距離をおこうとはしていない。協会そのものを脱会する気もないことは、問題の発言は特別で普段はそんなことは言わない人なのだと言っていることや、ライト牧師の協会はエイズ患者の救済に積極的だなどと説明していることからも伺える。
さてこれについて、以前にヒラリーがライト牧師が自分の協会の牧師だったら、自分はそんな協会からは脱会していると発言したことに関してギブソンは8000人からいる協会のメンバーがすべて協会から立ち去るべきだったというのかという質問をした。

クリントン: 私は個人的な質問をされたのです。チャーリー、ですから個人的な答えを返したのです。明らかに協会や牧師の選択は自分の信仰が協会に何を求めているかとか、協会で得る仲間意識などにも基づいているものです。しかし、911事件後の最初の説教でライト牧師は、アメリカを責めました。私の町であるニューヨークへの攻撃についてそのようなことは我慢できません。ですから私ならそういう協会には残らなかっただろうと、多分それはどれだけ協会で良いことが行われていたとしても、…..牧師は選ぶことが出来ます。家族は選べませんが牧師は選べます。直接質問をされたので、私ならそんな協会には留まらなかっただろうと答えたまでです。

これもいい答えだ。オバマを攻撃するのと同時に自分の愛国心も主張している。ヒラリーもなかなかやるな。愛国心といえば、オバマが胸に星条旗のピンをつけていないことなども討論会では話題に上ったが、もうひとりの司会者のステファノポリス(彼は元ビル・クリントンの側近だった。)がまたまた厳しい質問をした。

ステファノポリス:…愛国心というテーマに関してですが、ウィリアム・エアース(William Ayers)という1970年代にウェザーアンダーグランウンドのメンバーだった男性がいます。彼はペンタゴン、首都そしてその他の建物に爆弾を仕掛けました。 それについて彼は一度も謝ったことがないばかりか、911の後で「爆弾をしかけたことは後悔していない、充分やれなかったと感じている。」とニューヨークタイムスに語っています。
あなたの上院議員選挙運動の初期での会合が彼の家で開かれ、あなたの選挙事務所も友好的な関係にあると語っています。この友好関係について有権者に説明していただけますか。民主党の人々に何故これが問題ではないのか説明してください。
オバマ:この人はうちの近所にすんでるひとで、シカゴの大学の英文学の教授です。私は彼とは知り合いですが公式な支持をもらっているわけではありません。彼と常時考えを交換するような間柄でもありません。
それに40年前に、私が8歳だった時に、憎むべき行為をした人間を知っているということが、私や私の価値観になんらかの悪影響を与えるというのは理屈にあいません。ジョージ。

そうかなあ。単に近所に住んでいる顔見知りだというだけならどうということはないが、私は40年前だろうと100年前だろうと何百人という人が死ぬかもしれなかったテロ行為をしておいてそれを反省するどころか、もっとやれば良かったなんて未だに公言しているような人間の家にはお茶に招ばれても絶対に行かないだろう。ましてや大事な選挙運動の会合をそんな人間の家で開くとなれば、自分がその人間の考えに同意しているか、少なくとも特別問題視していないことの現れだ。これが国の大統領になろうとしている人間の近所付き合いだとしたら非常に問題だと私は思うね。
もしも共和党の候補者が40年前に黒人協会に放火した犯罪者の家で会合を開いたなどということがあったら、「近所に住むただの知り合いで、特に考えを交換したりしていない」とか自分は8歳のときの出来事だから興味ないとかいって言い訳になるだろうか?その関係がわかった時にその候補者の選挙運動は終わってしまうだろう。
ところが、こういうオバマの怪しげな人間関係はアメリカの主流メディアでは問題にならないどころか、それを指摘したギブソンやステファノポリスのほうに批判を向けている。
しかしオバマに同情的なニューヨークタイムスでも今回の討論会でのオバマのパフォーマンスはかなり弱かったと評価している。


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