ボロが出たヒラリー・クリントンの戦場体験談

先日ヒラリー・クリントンのボスニア訪問体験談のなかに、ちょっと誇張した表現があったらしい。毎日新聞の記事から引用しよう。

アメリカの選択:大統領選予備選 クリントン氏「ボスニアで銃火浴びた」…ウソと判明

 【ワシントン及川正也】米大統領選民主党候補指名を争うヒラリー・クリントン上院議員が96年3月、ボスニア・ヘルツェゴビナを訪れた際の体験として「銃火をかいくぐった」と発言、これがウソだったことが判明し釈明に追われている。「安全保障のプロ」を売り物にするクリントン氏の手痛い失点になった。
 クリントン氏は先週の演説で、ボスニアのツズラ空軍基地に降り立った時の話を紹介し「着陸時に狙撃手の銃火を浴びた。予定された歓迎式典は中止され、頭を低くし(送迎の)車まで走った」と発言した。
 ところが、当時の映像を米メディアが公開。クリントン氏が悠然と米軍機から降り、混乱なく出迎えを受けていた。クリントン陣営は「言い間違いだった」とウソを認めた。思わぬボロに「外交経験は誇張」との批判を裏付ける結果になった。2008年3月27日

『ウソと判明』とはちょっとメディアとしては厳しい言い方だな。ヒラリーべったりのアメリカメディアを見なれているカカシとしてはこの毎日新聞の口調はかなり手厳しいと思う。
この話を聞いていて私は自分が初めて軍用ヘリコプターに乗った時のことを思い出した。これは同時に私が初めて米軍の護衛艦に乗った時のことなのだが、すでに沖に出ている船へ私はヘリコプターに乗って行ったのだ。ヘリがフライトデックに着陸してドアが開いた時、私は普通の地面に足をおろすように脚を延ばしたら、ちょうど波の関係で足下の甲板が下がってしまい私は足をすくわれた。私はよろよろと前のめりになってひっくりかえるところだったのだが、そこへ力強い海兵隊員の太い腕が伸びてきて私は抱きとめられた。立ち上がろうとした私の頭をもう一つの腕が押さえつけた。腕の主は「かがんでいろ」と怒鳴った。私はヘリから船の中までほとんどこの太い腕に担がれるようにして走っていったのを覚えている。言っておくが私がいたのは戦場ではない。サンディエゴの沖合の平和なアメリカ領域の海である。
ヒラリーがボスニアでの体験談をした時、私はこんな感じで銃火をかいくぐったのかなと想像したのである。ところがCBSのビデオをみていたら、ヒラリーはお供と一緒に普通に飛行機からおりてくるようにヘリコプターから降りて、出迎えのみなさんに笑顔で手を降りながら歩いていた。ちいさな女の子から花束をもらったりしておよそ危ないところにいるという感じはない。

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出迎えの少女から花束をもらうヒラリー


もっともこの程度の誇張でヒラリーがウソをついたと大騒ぎすることもないという気はしないでもない。自分のちょっとした体験をおもしろおかしく誇張してあたかも自分が英雄であったかのような体験談は誰でも多かれ少なかれしていることだし、ヒラリーが戦場を訪問したことは事実なのだから多少の誇張くらいどうってことはないだろう。ただし、それはこれが単に元ファーストレディが昔話をしていたというだけのことならばの話である。それが次期大統領を目指す候補者としての外交体験の例として出された場合はその事実を吟味されるのは当然のことなのかもしれない。
第一特に嘘をつく必要もないところで、しかもすぐばれる嘘をつく悪い癖があると思われるのは大統領候補としては望ましくない。
ただ私としてはヒラリーのこのような誇張よりも、オバマの周りにいる反イスラエル精神まるだしのアドバイザーのほうが心配なのだが。ま、その話はまた改めてすることにしよう。
ところで、ヒラリーとオバマとの間がかなり険悪になってきていることから、漁父の利というかなんというか面白い世論調査があったので紹介しておこう。

指名敗北でマケイン氏応援の比率拡大、民主党2候補の支持層

ワシントン(CNN) 米大統領選の民主党候補指名争いで、歴史的な接戦を演じているオバマ、ヒラリー・クリントン両上院議員の支持者が、それぞれの候補が指名を得られなかった場合、共和党候補の指名を確定させたマケイン上院議員に一票を投じるとの割合が拡大していることが最新世論調査で26日分かった。
CNNとオピニオン・リサーチ社が3月14日─16日に共同実施した。この割合はオバマ陣営で、今年1月の26%から3月には41%に拡大。クリントン陣営では35%から51%に伸びた。
民主党全国委員会のディーン委員長はこの調査結果に触れ、「マケイン議員が大統領になれるのは民主党内が割れた時のみ」であることを改めて示したと警戒している。
ギャラップ社も3月に同様の世論調査を実施、オバマ氏支持者の19%が、クリントン氏が指名を勝ち取った場合、マケイン氏支援に転じると回答。逆の事態の場合の比率は28%だった。
支援する民主党候補が指名を得られず、対抗馬の共和党候補者に相当数の票が流れた例は1980年、84年の大統領選で起きた。レーガン元大統領がそれぞれ26%、25%の民主党票を奪っていた。
また、オバマ、クリントン両候補の支持票が指名獲得の勝敗後、マケイン氏に大きく流れかねない背景には、マケイン氏の評価で民主党が割れている事情もあるとみられる。CNNとオピニオン・リサーチ社が今年2月1日─3日に実施した民主党員、支持者対象の世論調査では、マケイン氏を「好感」していたのが44%、逆は42%ときっ抗していた。

もっとも今はそんなことを言っていても、実際の一般選挙になったらオバマファンもヒラリーファンも鼻をつまんで民主党に入れるかもしれない。だから今の時点での世論調査はあまり当てにはならない。ただし、マケイン議員はバリバリの保守派ではないので、民主党の候補者が気に入らない民主党有権者がそれほど抵抗なく支持できる候補であることは確かだ。これがミット・ロムニーとかだったら無理だっただろう。


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弁明演説で正体がばれたバラク・オバマ

先日から、恩師の過激発言について厳しい批判を受けていたバラク・オバマ議員民主党大統領候補は18日、ライト牧師の見解について30分にわたる弁明演説を行った

これを受けてオバマ氏は当地の国立憲法センターで演説し、こうした発言を受け入れない姿勢を明言。自身がケニア出身で黒人の父と、カンザス州出身で白人の母を持ち、米国人として育った点を強調した。星条旗を背景に1人で演台に立った同氏は、「この国が寄せ集め以上であり、多くの人々が真に団結しているとの考えは、わたしの生い立ちにさかのぼる」と語った。

オバマ氏はさらに、トリニティー統合キリスト教会でライト牧師の問題発言を聞いたことを認めたうえで、自身が同牧師の政治観の多くに強く反対していると明言。発言が「誤りであるばかりではなく、団結が必要とされている時に分断を助長する」ものだと述べた。オバマ氏はまた、同牧師の発言と、12日にクリントン氏陣営の財政委員会を辞任したジェラルディン・フェラーロ元下院議員による人種差別発言との類似点を指摘し、「人種間の統合の一部はまだ完璧ではない」との見解を表明。差別制度を経験した同牧師の世代の黒人が本気で強い怒りを持っているものの、怒りが常に生産的とは限らず、「真の問題解決から注意を逸らしていることが多い」と指摘した。
オバマ氏はそのうえで、ユーチューブに投稿された動画がライト牧師の人格の全てを示すものではないと述べ、「牧師は完璧な人間ではないかも知れないが、私にとっては知り合いだ」と語り、理解を求めた。

演説の全体を聞いていたミスター苺の感想は、最初にライト牧師の言葉をさんざん批判したうえで、次の30分間ライト牧師の弁護にあたるという非常に不誠実な内容だったということだ。しかも白人の母方の祖母のことを「典型的な白人」といって引き合いにだし、いかに典型的な白人が人種差別者であるかという話を延々としたという。千差万別の個人に向かって「典型的な白人」などと人種だけでひとからげに人種差別者だと批判するとは失礼きわまりない。この発言によってオバマ議員の白人への偏見が丸出しとなった。これまでオバマ議員は人種間の隔たりを狭める偏見を超越した候補者を装ってきたが、それが今回の演説によっていかに偽りであったのか暴露する形となった。
これについてパワーラインのポールが鋭い指摘をしているので、今日はそちらから紹介しよう。
保守派で黒人の哲学者、シェルビー・スティールがバラク・オバマについて書いたものに「A Bound Man」という著書がある。スティール氏は政治活動によって権力を求める黒人にはバーゲンナー(譲渡人)とチャレンジャー(挑戦者)という、ふたつのタイプがいると説明する。譲渡人は常に「私はあなた方が人種差別者ではないことは解っている。その見解が正しいことを証明するために私を支持してください。」といって白人から支持を求め、おうおうにしてその支持を受けることができる。
それに比べて挑戦者は、白人は皆人種差別者だと決めつけ、自分らの人種偏見是正方針を受け入れて、黒人になんらかの優遇政策をとるまでは白人はすべて差別者であるとみなす、といういい方をする。黒人政治活動家のジェシー・ジャクソンやアル・シャープトンなどはこの部類だ。スティールによると黒人の政治家は挑戦者のやり方を好む。それというのも、黒人の間では白人に迎合する黒人は信用されないと恐れるからだ。
このモデルからいくと、無論オバマは譲渡者を装っており、今後もその路線で進みたいはずだが、それは難かしいだろうとスティールは言う。それというのも譲渡者は常に仮面を被っていなければならないが、大統領候補ともなればその仮面が至る所で吟味されることになるからだ。一度我々が譲渡者は人種を無視しているふりをしているだけで、実際には人種に固執している人間だということを学んでしまうと、彼の譲渡者の仮面ははがれる。魔法は解けてしまうのである。彼が「あなた方が人種差別者でないことは分かっている」と言っていたのは嘘で本当は我々を差別者だと忌み嫌っていたことを知った人々は彼を無条件では支持しなくなる。
この間の演説はまさにオバマの仮面を剥がしてしまったのである。あのさわやかな笑顔で自分は人種問題など超越していると語っていたオバマは実は反米で白人嫌悪の演説を繰り返す牧師のいる協会へ20年間も熱心に通っていてなんとも思っていなかった。それどころかその白人嫌いの牧師と個人的にも親しかったことがはっきりしてしまったのだ。
ライト牧師の白人嫌悪に満ちた演説ビデオが公開された今となっては、オバマはこれまで通りの好青年イメージを売り付けることはできない。すくなくともオバマは自分が誰なのか、人種について自分はどう考えているのかをアメリカ市民にはっきりと伝える必要があった。今週のオバマの演説はそのためのもののはずだった。
ポールの感想はミスター苺とは違って、オバマは誠実に人種に関する自分の意見を正直に述べたと語っている。例えばオバマはライト牧師の人種差別的な意見には賛成できないとしながらも、彼がそう思うのにはそれなりの理由があること、アメリカの人種問題は非常に複雑であり、一人の政治家候補や一つの選挙で解決できるようなものではないことを語った。しかしオバマはアメリカ社会の人種差別を変えていくのは白人の責任だと語っている。

白人が人種問題を一種の騒動としてのみ捉えることによって生じる分裂や衝突を防ぐためには、単にオバマに投票する以上のことをしなければなりません。白人たちはアフリカ系アメリカ社会に存在する苦しみは、彼等の頭の中だけに存在するのではなく、人種差別の後遺症、過去よりあからさまではないとはいえ現在もある差別が事実であることを認め取り組んでいく必要があるのです。単に口でいうだけでなく学校や社会に投資することや、人権擁護の法律を行使するなど…の行動で示すことによって先の世代には不可能だった機会へのはしごを提供しなければなりません。

つまりアメリカの人種問題は白人のせいだから白人は自分に投票することによってアメリカ社会をかえていく必要があると説いているわけだ。これは明かに挑戦者の口調である。しかし、あくまでも穏健派を装いたいオバマとしては、白人たちが黒人救済のための政策に反感を持つことに理解を示した後で、自分がその溝を埋める橋渡しの役割として白人に手助けをすると提案している。人種問題は今の世の中無視することは出来ない問題だと強調しながら「一緒に努力しましょう」そして「古い人種の傷を乗り越えましょう」と繰り返す。
常に罪悪感にかられている左翼やリベラルは別として、そうでない中道派のオバマ支持者たちはオバマからこのような演説を聞きたくはなかったはずだとポールは言う。はっきり言って、アメリカ社会の問題がお前らの責任だ、俺が手助けしてやるから罪の償いをしろ、などと言われて気分のいい人はいないだろう。ましてや自分達は人種差別者ではないと考えているひとたちにとってはなおさらである。第一これでは今までの黒人リベラル政治家と何のかわりもないではないか。オバマのモットーは「変化」にあったはず。単にアメリカ社会の問題はすべて白人による黒人差別にあるのだと主張するなら、ジェシー・ジャクソンでやアル・シャープトンと同じではないか。以前にビル・クリントンがバラク・オバマをジェシー・ジャクソンと比べてオバマを単なる黒人だけを代表する候補者だと表現した時、オバマは黒人だけの候補者ではないとクリントンを責めたオバマ支持者たちはオバマの本性をみて今いったいどんな気持ちだろうか?
ライト牧師スキャンダルはオバマが民主党の候補指名になるのには特にそれほど影響はないだろうというのが一般的な見方だが、一般選挙となると話は全く別である。この演説は黒人や極左翼からの支持を得るという意味では効果があったかもしれないが、一般選挙に必要な中道派を遠ざけることになったのは否めない。
オバマはメディアからも有権者からもこれまでのような救世主並の扱いを受けることはなくなるだろう。


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同性結婚は文明社会を破壊する

先日、私は同性結婚には反対するというエントリーを書いたが、それについて読者の方からいくつかご意見をいただいたので、そのなかから重要な点を言及してみたい。

異人種弾圧のための結婚規制

一時期禁止されていた異人種同士の結婚も見直されたのだから、同性同士の結婚も見直されてもいいのではないですか?異人種結婚を認めるにあたっても、反対派からはそんなことをしたら他の形の結婚も認めざる終えなくなるという意見が聞かれましたが、そのようなことにはならなかったじゃないですか?

アメリカで異人種間の結婚が禁止されていた理由は、異人種への偏見というよりも、少数民族のアメリカにおける社会的な地位の維持が目的だった。多くの人が黒人は白人に劣ると考えていたことは事実だが、黒人と白人の夫婦が白人同士の夫婦とそれほど変わりがあると思われていたわけではない。

異人種同士の結婚を禁止するという制度はヨーロッパでもアメリカでも決して伝統的なものではない。それどころか、アメリカでは奴隷制度をまだ布いていた南部で白人男性による黒人女性との結婚が相次ぎ、混血児が一般の白人社会に入り込むことが日常茶飯事に起きていた。社会的地位が低い少数民族との結婚による混血の存在は、その少数民族の地位があいまいになってしまい、奴隷制度の崩壊にもつながる。異人種の低い地位を維持するためには混血児の存在は非常に問題だ。困った白人社会が悩んだ末の苦肉の策が白人と黒人の結婚禁止だったわけだ。そのほかにも地元インディアンとの結婚や中国人移民との結婚を禁止する法律などが多くの州で通されたが、これもすでにそういう結婚をする人が後を絶たなかったため、法律を通すことでそうした行為を阻止する必要があったのである。

南北戦争が終わり奴隷制度が廃止されると共に、異人種間結婚禁止法はすぐに見直された。1967年のラビング対バージニア(Loving v. Virginia)訴訟で違反するとされた憲法は南北戦争直後の1868年に通った憲法修正第14条なのである。

奴隷制度が廃止された19世紀の終わりごろから異人種間結婚禁止法を全国的に廃止しようという議案は議会で何度も提案されていた。しかしアメリカは連邦制度をとっているため、それぞれの州によって結婚の法律もまちまちであり異人種への姿勢も異なることから、全国的に均一な廃止は出来ないでいた。

南部での禁止法廃止が1960年代までかかったのは、南北戦争後も根強い人種差別意識が残っていたせいだが、1960年代の人権運動と共に、そうした人種差別法が次々と廃止されるにしたがって、異人種間結婚禁止も見直されたのである。つまり、異人種間結婚禁止令というのはもともと少数民族を弾圧するための政治的な法律であり、結婚制度への挑戦ではなかったのである。

男女の違いは明白

異人種間結婚の禁止が人種差別を強制しておきたい権力者によって作られたせいぜい2~3百年程度の歴史しかない新しい制度であったのに対し、一夫一婦制はアメリカ市民、いや文明社会では少なくとも2000年以上の太古の昔から圧倒的多数の市民によって受け入れられ支持されてきた制度である。

いにしえの昔から、どこの社会でも異人種への差別や偏見を批判する意見は聞くことができた。これはどこの世界でも人種が違うからといって人間としてそれほど差があるわけではないという考えがあったからだ。しかし世界ひろしといえども、男と女に差がないという意見を述べるひとなどいない。
生物学的に見て、男は黒人であろうと白人であろうと黄色人種であろうと男であることに変わりはない。多少肌の色や顔つきが違うという以外は人種が違うからという理由で女に子供を生ませて一緒に家庭を築くという意味ではなんの弊害もない。

だが、男と女では生物学的に全く違う。顔立ちや肌の色などという表面的な違いではなく、肉体の構造もその機能もまるで別物だ。はっきり言って男に子供を生むことはできないし、女はほかの女に子供を生ませることはできないのだ。つまり、子供を生んで育てるという種の存続を考えた場合、男女の結婚は異人種であろうと同人種であろうと全く違いはないが、同性同士の結婚では不可能なことである。

結婚は公の行為である。

同性結婚を認めたからといって異性結婚にどういう影響があるというのですか?結婚がどういう形であるか、どのような意味のものとするかはそれぞれの個人もしくは家族に任されるべきではないのか?常に個人の判断が政府の判断よりも重要視されるべきだと主張しているカカシさんが、いったいいつから規制が好きな大きな政府主義になったんですか?

ここでひとつ私ははっきりさせておきたいことがある。私は別に同性愛行為そのものが不道徳であるとは考えていないし、違法であるべきだなどとも考えていない。お互い納得した大人同士が相手を永久的に傷つけるような行為さえしていなければ、閉ざされた扉の向こうでなにをしようと私には一向にかまわない。であるから同性愛者同士が一緒に住むことも全く問題ないと考える。

同性愛者同士の同棲はかまわないのに、どうして結婚はいけないのか。それは同性愛行為も同棲も個人がプライベートにすることであり、社会制度の変更を必要としないからである。

それに比べて結婚とは公(おおやけ)の場で社会の承認と祝福を求める非常に公な行為である。必然的にその社会が結婚はこうあるべきだという規則に従わないものを結婚と呼ぶことは出来なくなる。それを無理やり社会に押し付ければ、社会は結婚そのものを拒絶するようになる。

結婚は特権である。

とはいえ、読者の皆さんは、「どうしてベティとマリーが結婚したら、苺畑夫婦の結婚が意味のないものになるんですか?」という疑問を抱かれるかもしれない。確かにベティとマリーの結婚はカカシとミスター苺の関係を変えるわけではない。個人的に我々の結婚に特定の悪影響を与えるというわけでもないだろう。では何が問題なのか?それは、結婚を誰にでも同じように与えられた権利ではなく、特別な条件を満たした人のみに社会が与える特権だと考えれば解りやすい。

昔私の職場の近くに高給なスポーツクラブがあった。ここは会員費が高いだけでなく、会員になれる資格が非常に厳しく、年収がいくら以上でなければならないとか、他の会員からの紹介がなければならないとか色々うるさかった。よってここの会員であるということが一種のステータスシンボルとなった。ところが会費の安いスポーツクラブがあちこちに出来、このクラブは経営不振に陥った。そこで困ったクラブは会員の資格をうるさく言わなくなった。そうなるとこのクラブの会員であることの意味が全く変わってしまった。別にクラブの施設やサービスが変わったわけではない。個人的にそれまでのメンバーにこれといった悪影響が出たというわけでもない。だが、このクラブの会員であるという特別なステータスシンボルとしての意味合いは完全に消えてしまったのである。そんなクラブに高い会費を出してまで入っている意味はないので、メンバーは続々と辞めてしまい、結局そのクラブはつぶれてしまった。

結婚とはこの特別なクラブの会員になるようなもので、特別な条件を満たしたものだけに与えられる特権なのである。自分は特別だと思って入会したのに、条件をきちんと満たしていない人たちまで無差別に入会させるというなら自分らが入会している意味がない。自然とこのクラブの存在価値そのものが消失してしまうわけだ。となれば、こんなクラブに新しい会員を募るのは難しくなるだろう。

同性結婚は結婚制度を破壊する

同性結婚を認めることは種の存続をも脅かすこととなる。これは決して同性結婚を容認したら、異性愛者が突然同性結婚に走るという意味ではない。以前にも書いたように結婚というものが特権でなくなれば、とりたてて結婚をしなければならない意味が失せるため結婚をする人が減り、必然的に子供を生み育てるひとが減るという意味である。
これは単なる机上の空論ではない。すでに結婚とはいかないまでも、同性愛者のカップルを法的に認める法律の存在するヨーロッパ各地で、最近結婚する人の数がとみに減っているというのは事実なのだ。

ウィークリースタンダードに掲載されたスタンリー・カーツのエッセイによれば、同性愛カップルを法的に認めたスカンジナビア諸国では結婚せずに子供を生むひとが増えているという。もう10年以上も前に同性結婚を認めたスエーデンやノルウェーでは生まれてくる子供の60%の親が未婚だという。

同性結婚によって、結婚と子育てという習慣が壊されてしまったことと、どのような形の家庭も受け入れられるという考えができ、子供を生むのに結婚している必要はないという理屈になったのだろう。同性結婚という異質な結婚による家庭が許容されるなら、未婚の両親という家庭も別に悪くはないという当然の成り行きである。

同性結婚推進者であるジャーナリストのアンドリュー・サリバンとエール大学教授のウィリアム・エスクリッジJr.がダレン・スピーデール(Darren Spedale)という独立研究者が1990年代におこなったデンマークでの調査をもとに、同性結婚は結婚制度を弱めるどころか強める結果となったと発表した。それというのも、デンマークでは同性結婚が容認されて以来離婚するカップルが減り、結婚するカップルが増えたというのである。

しかしながら、この現象にはからくりがある。1990年代のデンマークでは結婚する人の数が大幅に減った。結婚している人の絶対数が減ったのだから離婚する絶対数が減るのは当たり前である。また、多くの人が結婚せずに同棲しているため、結婚せずに子供を生んだカップルがまだ子供が幼少のうちに離別しても、その率は公式な記録に残らないのである。

結婚するカップルの数が増えたというのも、傾向ではなく一時的なもので、1997年の結婚率がデンマーク史上最低であったため、その後多少盛り返したというだけのものだ。しかも結婚したのはすでに結婚せずに一人目の子供を生んだカップルが二人目の子供が生まれた時点で正式に結婚するといった例がほとんどであった。それにしたところで、最近はその傾向も薄らいでいる。

ノルウェーでは、1990年から2000年にかけて未婚のカップルによる出生がなんと39%から50%に増えた。スエーデンでは47%から55%に増えている。デンマークでは変化はないが、1990年にすでに46%だったというのだからこれもひどい。

スカンジナビアで未婚のまま子供を生む傾向が高まったのはこれらの国で過激派フェミニズムが台頭した1970年代の頃からだが、過半数を超える傾向として拍車をかけたのは同性結婚の容認である。子供を生む国民の半数以上が子供を生み育てるために結婚する必要がないと考えているとしたらこれは恐ろしいことだ。今かろうじて結婚制度が保たれているのは、わずかに残った宗教的な考えから最初の子供を未婚で生んだカップルが二人目のときは正式に結婚しようとしているからで、もしこの傾向すらもなくなったら、スカンジナビアにおいて結婚制度は崩壊の一途をたどるだろう。すでに極端な少子化が深刻な問題となっているヨーロッパでは結婚の減少によってますます少子化が進むであろう。

このままでは、少子化による人手不足で取り入れたイスラム系移民たちによる暴虐に苦しめられているデンマークで、全く産児制限などしないイスラム教徒らに国を乗っ取られるのは時間の問題である。
離婚率と未婚の母の率が高いアメリカとしてはスカンジナビアで起きている問題は他人事ではない。もしここでアメリカも同性結婚を認めれば、アメリカもまたスカンジナビア諸国の二の舞になることは間違いない。そうなって一番不幸になるのは両親なしで育つ子供たちである。

一夫一婦制の結婚は文明社会の基盤である。結婚した両親のもとで育つ子供が文明社会を担うのである。その基盤を破壊すれば、文明社会そのものが破壊される。
そのようなことを阻止するためにも、結婚は一人の男と一人の女との間だけという基本的な制度を断固守って行く必要があるのである。


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スキャンダル続きの民主党に共和党マケインが優勢に!

日本のメディアは次期大統領選挙は民主党のオバマとヒラリーの間だけで選ばれるかのような報道をしているようだが、実は先週たて続けに起きた民主党のスキャンダルで、共和党候補のマケインの支持率があがっている。
バラク・オバマ関係のスキャンダルといえば、先日お話したジェラマイア・ライト牧師の過激発言だけでなく、現在贈賄容疑などで裁判にかけられているアントワン・トニー・レズコ(Antoin “Tony” Rezko)というビジネスマンとオバマの関係が以前にオバマが認めていたよりももっと深い関係であることが明らかになってきた。
レズコは長年に渡ってオバマのいくつかの選挙運動で資金調達をしてきた人物だが、レズコの怪しげな商売方法が明るみに出るにつれ、オバマはレズコとの関わりを過小評価してきた。しかしレズコの裁判によって、レズコからのオバマへの献金が注目を浴びてきたため、先週の金曜日、オバマはレズコとはこれまで認めてきたよりもずっと深い関係にあったこを認めざる終えなくなったのだ。今わかっているだけでレズコはオバマのために25万ドルの献金を集めたということだが、その詳細はオバマ側からは明らかにされていない。
さて、ヒラリー側のスキャンダルだが、ヒラリーの選挙事務所で役員をつとめていた、1984年には民主党の副大統領候補として立候補したこともあるジェラルディーン・フェラーロ女史が、「バラク・オバマが白人だったら、いまのような立場にはないだろう」といったことから、オバマ側から人種差別的な発言をしたと責められ、ヒラリーの選挙事務所から辞任するという騒ぎがおきた。はっきりいってフェラーロ女史の発言は真実だと思うが、それはそれ。人種差別はいけないと常に他人をお説教しているリベラル政治家としては失言だったというわけだ。
これに続いてヒラリーにとって都合の悪いことに、ヒラリーを支持していたニューヨークのエリオット・スピッツァー知事が高級娼婦を長年に渡って雇っていたスキャンダルが明るみに出て、知事を辞任するにまでにいたった事件が起きた。スピッツアー氏は知事になる前に州の検事をしていたが、その時売春リングを摘発した手柄で名を揚げたひとであるだけに、その頃から自分は一晩2千ドルとかいう高級娼婦を雇っていたというのだから呆れる。
さて、どうしてスピッツアー知事のスキャンダルがヒラリーに関係あるのかという話は産經新聞の古森さんが詳細にわたって説明してくれているのでちょっと引用しよう。

さてこの事件には多くの重要な側面がありますが、まずいまものすごい勢いで進行中の大統領選挙キャンペーンへの影響が考えられます。その面で最も頻繁に指摘されるのが、ヒラリー・クリントン候補の人気への悪影響です。いくつかの要因があげられます。

まず第一は、このニューヨーク州知事はクリントン候補の最有力支持者の一人だったという点です。クリントン候補は周知のように、ニューヨーク州選出の上院議員、同じ民主党のエリオット・スピッツァー知事の熱心な支援を受けてきました。同知事は大統領選挙の予備選の段階でも、クリントン候補を強く推し、やがてはニューヨーク州での同候補の予備選大勝利に寄与していきます。
つまり民主党の上院議員と州知事という形での二人三脚で、クリントン候補をスピッツァー氏が助けてきたのです。スピッツァー氏はオバマ候補には背を向けました。そしてクリントン候補を選び、支援を明確にしたのです。その支援は全米レベルでも大きな話題となりました。しかしその「同志」の片方がスキャンダルで失脚すれば、他方によい影響が及ぶことはないでしょう。

第二の要因として、古森さんはスピッツアー知事の政策であまりの悪評版で撤回せざるおえなくなった違法移民への自動車免許書発行について、当初は支持していたヒラリーが後に反対したことを追求されてしどろもどろの答弁をしたことなどが、今回の知事のスキャンダルで蒸し返されたことを指摘している。
また第三の要因はこれがセックススキャンダルであるということから、ヒラリーの夫のビル・クリントンのセックススキャンダルを人々に思い出させるという悪影響がある。これについて、アメリカのコメディアンたちはさっそく趣味の悪い冗談で花を咲かせているという。

意地の悪いコメディアンたちはすでに、今回の事件とクリントン前大統領とを結びつけるジョークや寸劇をテレビで演じ始めました。「スピッツァー氏の最大の弁解を聞きましょう。『こういう行動はすでにクリントン大統領が法律で許すようにしたと思っていた』」(デービッド・レターマン)「ヒラリーはいまニューヨーク州内で二番目に最も怒っている女性だろう」(ジェイ・レノ)

さてこのようなスキャンダル続きはオバマにもヒラリーにも良い結果をもたらしていない。ワシントンタイムスによれば、どちらの支持率も共和党候補のマケイン議員に比べて落ちているという。
四日間に渡って行われたラスマスン世論調査では、マケインがクリントンとオバマの双方相手に6%支持率が上がった。また先週の日曜日のギャロップ調査ではマケインは双方に誤差の範囲程度の遅れをとっていたが、金曜日になるとその差さえ消えてしまったという。ゾグビー調査では、マケインは45:39でヒラリーより6%優勢となった。
オバマとヒラリーがお互いに攻撃しあうだけでもマケインには有利なのに、二人の周りの人間がこれでは候補者たちも苦労するというものだ。もっとも類は友を呼ぶともいうので、自分達に全く責任がないともいえないわけだが。
マケインはヨーロッパや中東を訪問するなどして、すでに次期大統領としての貫禄をみせはじめている。そろそろ日本のメディアも共和党候補のマケイン議員に注目する時がきているのではないだろうか?


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米共和党大統領候補、ジョン・マケインのバグダッド訪問

共和党の大統領候補ジョン・マケイン上院議員は現在バグダッドを訪問中。マケイン議員は早期からイラクでの戦法はCOINといわれる対テロ戦略を起用しなければならないと、いわゆる現在進行中の増派を押してきた数少ない一人である。マケイン議員はベトナム時代に海軍の戦闘パイロットとして活躍しベトナムで捕虜になっていた経験もある英雄であり、イラク戦争批評家がブッシュ大統領などをチキンホーク(自分は戦闘体験がないのに戦争を推進する臆病者という意味)などといっていた批判もマケイン議員には通じない。詳細を日本語のニュースで探したのだが、下記ような短い記事しか見つからない。どうも日本メディアは共和党候補のマケイン議員にはあまり興味がないようだ。

【バグダッド16日AFP=時事】在イラク米大使館当局者によると、米大統領選の共和党候補指名を確実にしているマケイン上院議員が16日、イラクを訪問した。マケイン氏は欧州・中東を歴訪している。

同当局者は「マケイン議員はバグダッドにいる」と語った。マケイン氏は滞在中、クロッカー駐イラク米大使と会談するという。〔AFP=時事〕

16日付けのAPニュースによると、マケイン議員は日曜日、バグダッドにおいてアメリカの外交官、米軍上層部、およびイラク高官らと会見の予定だという。マケインがイラク訪問をするという話は数日前から報じられていたが、警備上の理由で詳細はあきらかにされていなかった。マケインはイラクに24時間ほど滞在するという話だ。マケインのイラク訪問は今回で8回目だ。

5年に渡るイラク戦争の成功に自分の政治生命を賭けてきたマケインの訪問はイラク北部で起きた化学兵器攻撃のちょうど20周年記念にあたる。
アメリカ大使館の発表では、マケインはイラク副首相のBarham Saleh氏と会見しイラクのアメリカ軍総司令官デイビッド・ペトラエウス将軍とも会見の予定である。 …
出発前にマケインは今回の中東とヨーロッパ訪問は事情聴取が目的であり選挙運動の写真をとるためのフォトアップではないと語っていた。しかし、マケインはイラクのテロリストが11月のアメリカ選挙に影響を与える可能性については懸念していると語った。
「はい、心配しています。」ペンシルベニアの選挙運動中にされた質問にマケインはそう答えた。「彼等が注目していることは知っています。彼等同士の連絡を盗聴しているからです。」
上院議会軍委員会のメンバーとして、マケイン議員の訪問には同僚のジョー・リーバーマン議員(独立)とリンズィ・グラハム議員(共和)が同伴した。二人ともマケインの大統領候補の強力な支持者である。
マケインの今回の諸外国訪問は一週間の予定だが、目的地にはイスラエル、英国、フランスが含まれ、イギリスのゴードン・ブラウン首相やフランスのニコラス・サルコージ首相との会見が予定されている。

まだ大統領に選ばれたわけでもないのに、すでに大統領並の視察旅行に出かけ、各国の首相らと会見をするとはかなりの余裕だ。
マケインが去年の4月にバグダッドを訪問した時は、イラク情勢が良くなっていないという記者団の質問にかなりいらだちを覚えた様子で答えていたマケインだが、今年はバグダッド情勢は非常な良化をみせており、マケインの押した増派が非常な成功をおさめている。イラクでの攻撃は去年に比べてすでに6割型減少しているのである。
二人あわせても政治的な実績からいってマケインの足下にもおよばない民主党のヒラリーとオバマの内部争いが続く中、マケインはすでに国の代表よろしく外国訪問。
やっぱり大統領にはマケイン議員になってもらわなきゃいかんなこれは。


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バラク・オバマ危機、恩師と仰ぐ牧師の反米過激発言に困惑

アメリカは宗教心の強い国だという話は以前からしているが、政治家となるとふだんはさほど信心深くない人でも、選挙が近付くとやたらと協会へ足を運んでみたり、演説のなかに「神」だの「信仰」だのいう言葉が不自然に出てくるようになるのはよくあることだ。しかし民主党の有力候補者バラク・オバマが信心深いキリスト教徒であるという話は自他共に認めるところ。ライバルのヒラリー・クリントン陣営やジョン・マケインの支持者からオバマの父親がイスラム教徒だったことや、オバマのミドルネームが「フセイン」であることから、オバマはイスラム教徒なのではないかなどと取りざたされたが、その度にオバマは、自分は敬虔なクリスチャンであり、同じキリスト教協会に20年も通っていると誇らしげに語っていたものである。
ところが最近になって、オバマが二十年来通い続け、オバマが信仰上の恩師として仰いでいる協会の牧師による過激な発言が問題となっている。
この牧師はトリニティユナイテッドチャーチのジェラマイヤ・ライト牧師(Rev. Jeremiah Wright)といい、牧師が自分の協会の教徒たちのために収録したDVDの内容が非常に反米でしかも白人やユダヤ人への人種差別むき出しのとんでもない陰謀説まで含まれていることが最近明るみに出てきた。
オバマはこれまでライト牧師について、誰にでも一風変わった伯父さんがいるように、ライト牧師はかれにとって風変わりな伯父さんみたいなものだとか、牧師を30年もやっていれば何万と行ったお説教のなかには、たまにおかしなものもあるだろう。そんなたまの失言だけを選りすぐって批判するのは不公平だ、などと語っていた。しかし風変わりなおじさんとか、たまの失言では言い逃れできないような内容が注目されはじめたのである。ロナルド・ケスラーはニュースマックスで牧師の演説の一部を下記のように紹介している。

ライト牧師はお説教やインタビューにおいて、シオニズムと人種差別を同等に扱い、イスラエルと南アフリカの旧アパルタイト制度は同じだとしている。また911同時多発テロの次の日曜日、ライト牧師は(911テロは)アメリカの暴力的政策がもたらした結果だと語った。4年後、ライト牧師は(911は)アメリカの人種差別への罰だとさえ示唆した。
「21世紀に、白人アメリカは2001年9月11日というモーニングコールで目を覚まさせられた。」とライト牧師は協会関係の雑誌に書いている。「白人アメリカと西洋社会は有色人種が木工場のなかへ去っていないことを、偉大なる白い西洋世界が自分の道を行き黒人のことなど無視してきた中で消えてしまってはいなかったことに気が付いたのだ。」
ライト牧師はある説教で、「人種差別によってこの国は創立され今でも運営されているのだ!わが国は白人至上黒人劣等主義を神よりも信じている。」

ライト牧師はイスラエルについては、「イスラエルは違法にパレスチナ領土を40年以上も占領している。」とかたり、アメリカ社会や世界のビジネス界にイスラエルへの投資をやめさせ、シオニズムの統治下で行われている人種差別による不正からアメリカを目覚めさせるべきだと呼びかけている。これらのスピーチはこちらで観ることができる。カカシがテレビでみたビデオの一部では、ライト牧師は世界で広まったエイズは白人が黒人を殺すために作り出した陰謀だなどと、とんでもないことまで語っている。
ライト牧師のこうした暴言は、牧師の若かりし日の過ちですまされるようなものではなく、昔から今日にいたるまで何度も繰り返されてきた発言なのである。それをオバマはたまにおきるごく一部の失言であるかのように語っていたが、アメリカのあちこちのテレビ局がライト牧師のお説教を流しはじめたので、オバマの言い訳がかなり白々しいものとなってしまった。
恥かしい親戚の伯父さんを持ってることは自分の責任ではないが、こんな暴言を吐く牧師のいる協会へ20年も通い、子供も日曜教室に通わせているとなるとオバマ議員自身もライト牧師の考えに同意しているのではないかという疑問が生まれるのは当然のことだ。オバマはアメリカをひとつにまとめたいと強調しているのに、このような差別主義を持つ牧師を恩師とあおぐとなるとオバマ氏自身の考えが問題になってくる。
ライト牧師の暴言はもう去年からぼちぼちと話題にのぼっていたのだが、どういうわけか先週になって突然あちこちのテレビ局が特集をし始めた。それでいままでいい加減な弁明しかしてこなかったオバマもついに、昨日ハッフィントンポストにおいて公式な説明声明を出すこととなった。

まず最初にいわせていただきますが、問題となっている提言にはわたくしは完全に反対意見であり、強く非難いたします。わたくしはわが偉大なる国を侮辱するような、また我々を同盟国から隔離するような発言は断固非難いたします。またわたくしは個人を侮蔑するような言葉は公の会話において、それが選挙運動の演説であろうと説教壇であろうと、決して使われるべきではないと信じます。つまり、わたくしは問題のライト牧師の発言を完全に拒絶します。

問題なのは、ライト牧師のこの発言はいまに始まったことではなく、オバマがせっせと通っていた20年間一貫して行われてきたのである。オバマは自分の恩師のこうした思想を全くしらなかったはずはない。だとしたら、どうしてこのような人間が説教をしている協会へずっと通ってきたのだ?いまさらこの発言を断固拒絶するという声明文を出すくらいなら、なぜもっと前にこの協会をやめてもっと穏健なキリスト教協会へ籍を移さなかったのだ?牧師の発言が明るみに出てそれを糾弾されて、はじめてその内容を非難するというのもなにか変ではないか?
この声明文はどうもしっくりいかないと感じるのは私だけだろうか?


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ヒラリーとオバマのドリームコンビはあり得るのか?

最近、ヒラリーとオバマの戦いが熾烈になってきているので、二人を大統領と副大統領というコンビにして共和党のマケインに立ち向かわせてはどうかという話が出ている。だが、それは無理だろうとカカシは思う。
ヒラリーが大統領でオバマが副大統領の場合:
年齢から言っても経験から言っても、ヒラリーの方が先輩なので、こういう状況は考えられないこともない。しかし副大統領は普通ナンバー2の立場だが、ヒラリーが大統領になった場合、夫のビルが政権で重要な役割を果たすことは暗黙の了解がある。ということはオバマはナンバー2どころかナンバー3の立場になってしまう。
しかもヒラリー大統領の政権が大失敗だった場合、オバマがこの次の候補として出馬するときには、ヒラリーという重荷をしょっての出馬になってしまう。そんなことをするくらいなら、上院議員として目立つ議案でも提案して活躍し、「ほら、僕を選んでおけばこんなことにならなかったのに、この次は是非とも僕を選んでね。」と言えるようになる。どう考えてもオバマがヒラリーおばさんの使い走りを短くて4年、長くて8年もやらされるのを我慢できるとは思えない。
オバマが大統領でヒラリーが副大統領というシナリオ:
ありえない!ヒラリーがオバマ政権の人間になったら、ヒラリーはオバマのすることなすこと裏で邪魔すること必至である。ヒラリーはいかにオバマが大統領として資格がないかを国民にみせしめ、あわよくば4年後にオバマ再選の時にライバルとして立候補しようとするに違いない。そんな人間を副大統領にしておいては危なっかしくてしょうがない。オバマがそんなことを許すわけがない。
結論:
ヒラリーとオバマのドリームコンビはまず有り得ない。
となると本当に民主党全国大会でアメリカ歴史の中でも珍しいブローカーコンベンションが行われるかもしれない。これは非常に楽しみである。


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ヒラリーがんばれ! 共和党保守派が一斉にヒラリーを応援

アップデートあり、下記参照:
今日はテキサス、オハイオ、ロードアイランド、バーモントの四つの州で大統領選予備選が行われている。共和党のほうはジョン・マケインが当選確実なので特に問題はないが、民主党の方はどこも接戦。これでクリントンが大敗した場合、ヒラリーおばさんの大統領への道は完全に閉ざされる。オバマとほぼ同点だった場合でもヒラリーの方がこれから苦しい。ここはなんとしてもヒラリーは勝たねばならない。
ところで、このヒラリーおばさんに意外な味方が現れた。それはラッシュ・リンボーを代表とした共和党の極右翼ラジオトークショーの司会者達である。
私は毎朝1時間15分の通勤中、ローラ・イングラムという女性の保守派政治評論家のトークショーを聴いているが、彼女も共和党の有権者に今回だけ民主党に登録してヒラリーに投票しようと呼びかけていた。
どうしてヒラリーおばさんだけは勘弁してよねと言っていた極右翼の連中がこぞってヒラリーの応援をしているのかというと、ヒラリーとオバマが接戦を続けてくれればくれるほど民主党の泥試合が長引くからだ。ヒラリー・クリントンが民主党候補当選間違いなしと思われていた頃は、ヒラリーを個人的には好きになれなくても民主党だということでアメリカ主流メディアはヒラリーおばさんに都合の悪いニュースは全くといっていいほど流さなかった。私が何回か特集した中国からの献金スキャンダルもほんの一部で報道されただけで、気をつけて新聞を読んでいなかった人々はきっと気が付かなかっただろう。
ところが、民主党にはバラク・オバマという別の選択が可能となった。そうなってくると主流メディアはオバマ選挙事務所から流れてくるヒラリー批判のニュースもそれほどためらわずに報道するようになった。もちろんヒラリーも負けてはいない。最近オバマに関するスキャンダルがあちこちで聞かれるようになった。
オバマの長年の友人で有力資金調達者にアントワン・レズコ(Antoin Rezko)というビジネスマンがいるが、その男が今詐欺容疑で裁判にかけられており、今陪審員の選択中である。レズコ氏はオバマが政治家としてのキャリアをはじめた頃からの恩人で、今詐欺容疑がかけられているのも数年前にオバマのために土地を買った時のやり方に問題があったからなのである。このようなスキャンダルが地元のシカゴサンタイムスで報道されるのならともかく、ニューヨークタイムスまでが報道しているのだからすごい。
オバマのスキャンダルはこれだけではない。オバマ議員はずいぶん前から、大統領になった暁には北アメリカ貿易条約(North American Trade Agreement、NAFTA/ナフタ)から撤退すると有権者に公約してきた。これは国内の企業を守るためというのが名目だ。しかしカナダの政治家たちはオバマの側近から「ナフタから撤退するというのは選挙運動のためだけの空約束で、オバマにそんな意志はないので安心してほしい」と保証されたと口々に言い出したからこれが問題となった。
これまでオバマに関する否定的なニュースの報道などほとんど聞かれなかったのに、最近になって主流メディアもちょっとはオバマに厳しい質問をすべきだと目覚めたようだ。これもバラク・オバマにはヒラリー・クリントンというライバルの存在があるからに他ならない。主流メディアもあんまりオバマべったりにしていて、もしクリントンに大統領になられた日には大変である。今のうちに双方のご機嫌をとっておいた方がいい。となるとどちらも同じ様に批判する必要があるというわけだ。
そこで共和党の保守派たちは、ヒラリーが選挙戦から脱落しないで夏に行われる民主党の大会までヒラリー対オバマの熾烈な戦いが続いてくれたほうが共和党にとっては都合がいいと踏み、ヒラリーを応援しようとなったわけである。
しかしミスター苺は、ヒラリー支持者でもない共和党有権者がオバマを勝たせたくないという理由でヒラリーに投票するのは好ましくないと言っている。「そういう汚い手口は左翼の専売特許だろう。おれたちがやってどうするんだよ。感心しねえな。」と不服そうである。
私としては相手が汚い手を使っているのに、こちらが手をこまねいてみているだけでは勝てないではないかという気がする。もっともだからといって相手がサッカーの試合中に反則のとび蹴りをしたからといって、こっちも相手チームの脛を蹴ってもいいという理屈は通らないが。
なにはともあれ、今夜遅くには保守派の策略が功を成したかどうかわかるであろう。
アップデート:20時36分(PST)現在、ヒラリーがオハイオとロードアイランドで圧勝した。テキサスでもヒラリーが優勢だ。
3月5日6時34分(PST)現在、一夜あけて起きたら、テキサスでもヒラリーが圧勝したとNYTの記事が来ていた。これから出勤だが、ローラ・イングラムは何と言うかな?


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ついに始まった主流メディアのマケインバッシング

人の名誉を汚すことを主な目的に書かれた記事をヒットピースというが、今日のニューヨークタイムスのマケインに関する記事はその典型だ。
私は先月ニューヨークタイムスがマケインを共和党の候補者として支持した時に、ニューヨークタイムスのマケイン贔屓は長続きしないはずだと書いた。

ニューヨークタイムスは絶対にマケインを批判したりはしない。だがそれもマケインが共和党の大統領候補指名を受けるまでの話だ。一旦指名を受けて民主党候補のライバルとなった日には手のひらを返したように「マケインは狂犬だ」とかなんとかものすごいマケインバッシングをはじめるのは十分に予想できる。

案の定、マケインが共和党候補確実となった途端にNYTは8年も前の浮気疑惑を持ち出してきてあたかもマケインが金髪美女の魅力に惑わされて議会に圧力をかけたような記事を掲載した。以下はCNNの記事より。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は20日、米大統領選で共和党候補指名を手中にしているマケイン上院議員(71)が2000年の大統領選に出馬した際、同氏が当時、委員長を務めていた上院商業科学運輸委員会に関係ある電気通信関連企業のロビイストを務めていた女性と親密な関係があり、選挙への悪影響を案じた選対幹部が2人を引き離していたと報じた。

マケイン氏の現在の選対幹部はこの記事の正確さを否定し、中傷と批判。「マケイン氏は国民の信頼を裏切ったことはなく、特殊権益やロビイストにいかなる便宜を図ったことはない」とも強調した。ただ、マケイン氏は清潔なイメージを前面に出しているだけに、今回の記事が今後の選挙戦に響く可能性もある。
タイムズ紙は、2000年当時の陣営幹部を話を引用し、マケイン氏と女性との関係は恋愛関係に発展すると確信し、2人に付き合いが不適当であることを説得したという。女性とマケイン氏は共に、恋愛関係となっていたことを否定した。
女性はまた、マケイン氏からロビー活動などで特別な便宜を図ってもらったことを打ち消したという。
現在のマケイン陣営幹部によると、タイムズ紙がこの問題を取材していることは昨年10月から知っており、関連情報を提供してもいた。ただ、女性ロビイストを雇う企業に利益を与えるためマケイン氏が影響力を行使したことは否定していたという。

CNNの記事ではあたかもマケインと、この女性に恋愛関係があったかのような書き方になっているが、もともとのNYTの記事を読んでみると、マケインとこの女性が実際に恋愛関係にあったとは書かれていない。マケインが2000年の大統領選挙に出馬する際にビッキー・アイズマンという金髪美人のロビーイストがマケインの周りをうろちょろしていたので、外聞が悪いと心配した幹部がこの女性とマケインに付き合いはやめるように忠告したというだけの話だ。
この記事に書かれていることが100%真実だとしてもこの程度の話なのである。ところが、当時マケインの幹部をしていたジョン・ウィーバー氏はマケインにそんな話をした覚えは全くないという。

「ニューヨークタイムスから公式なインタビューを申し込まれましたが、私は断りました。そのかわり書面での質問を要請しました。タイムスは私とアイズマンさんとの会見について他の人から聞いて知っていました。私には誰からきいたとは明かしませんでしたが、それについて質問してきたのです。私はアイズマンさんとの会談についてはマケイン上院議員に報告しませんでした。

商工委員会とそのスタッフと深いつながりがあるという彼女の発言が我々の耳に入ったため、それが誤りであり(選挙運動に)損害を及ぼすことを彼女に知らせ、今後そのような発言は控え、選挙運動には関わらないでくれとお願いしたのです。それ以上のこともそれ以下のことも全くありません。

ロビーイストというのは自分の顧客に都合の良い政策をたててもらうために政治家に陳述する仕事であるから、自分が実際よりも政治家や議会の委員会にコネがあると吹聴したがる人間がいたとしても不思議でもなんでもない。その度が行き過ぎたと考えた選挙運動事務所の幹部がロビーイストを禁めたというのもまた自然な話だ。これのどこがスキャンダルなのだ?
NYTは匿名の元マケインスタッフがアイズマンとの関係をやめるように助言したとしているが、ジョン・ウィーバーのような幹部が知らないところでそんな話がされたはずがない。
しかしこの話を焼き直ししているAPにおいては、マケインのシンディー夫人が「夫は浮気などしていない」といって夫をかばっている姿を、ヒラリーもビルの浮気のスキャンダルの時は夫を弁護していたなどと本当のスキャンダルを持ち出して、あたかもマケインへの中傷が事実であるかのような書き方をしている。
それにしても、NYTはこの話を去年の10月頃から知っていたというから、今年の1月24日にマケインへの支持表明をした時はこの話は別に問題ないと思っていたことになる。共和党候補として民主党には勝てそうもないと利用できる時には無視しておいて、いざ手強いライバルになったとなると、これまで無視していたどうでもいい記事を持ち出してきてマケインバッシングというわけだ。
ま、こうなることは保守派市民はすべてお見通しだったので、マケインを支持した時から、かえってNYTの支持なんて有り難迷惑だなと感じていたのである。マケイン議員も今後このような主流メディアによる攻撃は十分覚悟していただきたいものだ。


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オバマかヒラリーか、どちらが手強い?

カカシはヒラリーおばさんだけは勘弁して欲しいと、もうずっと前から繰り返しているが、かと言ってバラク・オバマが民主党候補に指名された場合、ジョン・マケインで一般選挙に勝てるのだろうかという疑問は残る。とはいえヒラリー・クリントンにはビル・クリントンの選挙運動組織がついている。ビルは昔下院議員になり損なった他はすべての選挙に勝っているという実績があり、どんな汚い手を使ってでも勝つ主義だから敵に回したら油断できない相手だ。
ヒラリーとオバマが接戦でこのままどちらも撤退せずに党大会まで持ち込まれた場合、党大会で選ばれる候補者はそれぞれかなりの傷を負っての勝利ということになる。
ヒラリーが民主党候補になった場合:
今の段階ではヒラリーの代議員数はオバマに劣るため、党大会でヒラリーが勝つためには、今オバマに投票すると口約束している代議員たちの気持ちを翻す必要がある。民主党の規則では市民の投票によってオバマに投票することが決まっている代議員が土壇場でヒラリーに投票してもいいことになっているんだそうだ。すでにヒラリーの選挙事務所はオバマの代議員に取り入ろうと働きかけているという。
このような不公平な規則が今まで問題にならなかったのは、これまでの選挙では党大会にいきつくまでに弱小な候補者はすべて撤退してしまい、候補者が一人しか残っていないということが普通だったから、党大会は単なる儀式的な意味しかなかったからだ。しかし、ヒラリーもオバマも指名候補となるために必要最低限の代議員数を党大会までに集められなかった場合は党大会でどちらかの候補者が圧倒多数票を得られるまで投票に投票を繰り返す必要がある。
もしも、党大会に挑む時点でヒラリーが選挙で正々堂々と獲得されたオバマの代議員を汚い手を使って奪い取ってヒラリーが勝ったとしたら、オバマの支持者たちが黙っているだろうか?アメリカ最初の黒人大統領が生まれると信じていたオバマ支持の黒人たちは腹を立てるあまり、一般選挙では投票拒否をするかもしれない。黒人でなくても、クリントン夫婦の汚さに嫌気がさしていた民主党有権者たちは、ヒラリーに投票するくらいなら、共和党でも比較的リベラルなマケインに投票するかもしれない。
これを利用して共和党が心を一つにしてマケインに投票すれば、無所属からはマケインは人気があるし、それに多少でも民主党の票を集めることが出来ればマケインが勝てる可能性は結構高い。
オバマが指名を受けた場合:
オバマがこのまま勢いにのって民主党候補の指名を受けた場合は、民主党が二つに割れるなどということは無さそうだがそうでもない。ヒラリー・クリントンはラテン系に非常に人気がある。しかしラテン系と黒人系は仲が悪い。自分らが強く押していたヒラリーを破った相手が黒人であるということで、ラテン系はオバマには投票しないかもしれない。
オバマを見放したラテン系がどうするかを考えた場合、興味深いのはジョン・マケインのこれまでの実績である。ジョン・マケインの移民対策は保守派の間では人気がないが、まだまだ永住権を所持しない親戚を多く持っているラテン系移民の間では人気がある。少なくともマケインはメキシコと国境を接するアリゾナ州の上院議員としてラテン系には同情的であるという評判がある。となると、黒人のオバマなんかに入れるくらいなら、共和党でも移民に同情的なマケインに投票しようという民主党ラテン系有権者が結構出てくるかもしれない。現大統領のジョージ・W・ブッシュもラテン系からの票をかなり集めて当選している。マケインならラテン系をもっと多く引き付けられるかもしれない。この場合、黒人よりもラテン系の市民の方が圧倒的に多いということも考慮に入れておく必要がある。
オバマかヒラリーか?
こうして見てみると、ジョン・マケインはヒラリーにでもオバマにでも打ち勝つ力を持っていると思う。ただ、主流メディアは圧倒的に民主党支持なので、オバマにしてもヒラリーにしても民主党への厳しい質問など全くされないだろうが、マケインはやることなすこと全て突っ込まれること間違いなし。ジョン・マケインが勝つためには保守派のラジオトークショーやブロガーなどの支持を得て、民主党候補の落ち度をどんどん指摘してもらう必要がある。共和党が心を一つにしてマケインを応援すれば、マケインが大統領になるのも夢ではない。
結論からいってどちらが民主党の候補になろうと共和党有権者がやるべきことはただ一つ。
共和党諸君!心を一つにしてマケインを応援しよう!


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