先日のバラク・オバマの失言といい、昨日のヒラリーとの討論会での狼狽えぶりといい、オバマは最近その未経験ぶりがもろに表に出て難しい立場に追い込まれている。
先週の土曜日、オバマ議員はサンフランシスコ後援会の前で何故自分はいわゆるレーガン民主党といわれる白人の労働者階級からの支持を得られないのかとについて説明した時、こんなことを言った。

ペンシルベニアの片田舎の町にいくとですね、西部の多くの小さな町がそうであるように、25年前になくなった職に未だに取って替わるものがないんですね。だからそういう卑屈になった人たちが銃とか宗教とかに固執したり、自分とは違うひとを嫌ったり、移民に嫌悪をみせたりして鬱憤をはらしてるのも理解できます。

これを聞いたペンシルベニアの人々は、自分たちが銃所持の権利を主張するのも信心深いのも卑屈になったせいではない!労働者をばかにするにもほどがある!と激怒。この機会を見逃してなるものかと、早速ヒラリー・クリントンはペンシルベニアの市民のインタビューを集めてオバマは一般市民の生活を理解できないエリート主義者だとテレビ広告を作ってオバマを攻撃。それに怒ったオバマがヒラリーに「恥を知れ」と怒鳴る場面も見られた。

 大統領選の民主党候補指名を争うオバマ上院議員が13日、ライバルのヒラリー・クリントン上院議員に対し「恥を知れ」と珍しく怒りを爆発させた。オバマ氏の失言を執拗(しつよう)に追及するクリントン氏の戦術が腹に据えかねたようで、民主党内の亀裂を懸念する声がさらに強まってきた。…….
 東部ペンシルベニア州で13日開かれた集会で、オバマ氏は「マケイン氏の批判は予想していた。しかし同僚のクリントン氏まで同じ論点で批判していることには失望した」と語り、「恥を知れ」と繰り返した。(共同)

これに加えて水曜日に行われたオバマとヒラリーの討論会でも、オバマはいつになく手厳しいABCテレビ局の司会者の質問にたじたじとなり、その経験のなさがあからさまになった。まず司会者のひとり、チャールズ・ギブソンがオバマの先の発言について次のような質問をした。

ギブソン(司会者): あれは失言だとおっしゃいましたね。いいたいこととは違う言葉使いをしてしまったと。しかし多くの有権者から話を伺いましたが、この洲(ペンシルベニア)の人たちが馬鹿にされてると感じ、あなたはの言ったことは本心だったと考えていることはご存知ですか。

オバマ: はい。皆さんのご怒りはごもっともです。私が間違った言い方をしたのはこれが最初ではありませんし、これが最後でもないでしょう。
しかし、私がいわんとしたことをはっきり申し上げておきます。…..
私の言いたかった点はワシントンが人々に耳を傾けていないと感じるとき、景気はよくなると毎年毎年約束され、それが何十年も続いているのに一向によくなる気配がない。そういう時に人々は宗教のような一貫しているものに目を向けるようになる。
人々は「ここに何らかの憩いの場を見いだすことができる。これだけは頼りになる」と思うようになるわけです。人々は銃法のような世代から世代へ受け継がれてきたことへの票をより心配するようになる。これらは非常に大切なことだからです。……
ギブソン: クリントン議員?
クリントン: 私の祖父はスクラントン出身の工場の労働者でした。11歳の時にスクラントンレース工場に働きに出て、一生そこで働きました。ほとんど週6日労働でした。
祖父はコートストリートメソジスト協会の熱心な信者で、三人の息子を育て三人とも大学にいかせたことを誇りに思っていました。
私は私の祖父にしても私の父も、そして私が長年にわたって光栄にもお会いできた多くのペンシルベニアの人々もワシントンが耳を傾けてくれないからといって宗教に固執したりしているとは思いません。宗教とはよいときも悪いときも信じるものだという基本へのある意味で誤解だと思います。
同じように、人々が狩りや銃といった伝統に固執するは政府に不満をもっているからだとは考えません。人々がそんなふうに生きているとは信じられません。
もちろんそれは人々が政府に不満を抱いていないという意味ではありません。政府に不満を持つ理由はいくらでもあります、特に現政権に対しては。
……
ここ数週間ペンシルベニアをあちこち行ったり来たりして….お合いした多くのすばらしい人々からきいたことは、我が政府に関してどんな不満があるにしろ人々はしぶとく積極的で、人々からより優れたものを引き出してくれ、機会を与えてくれるリーダーを迎える用意ができていることです。

これはクリントンに一本ありという答えだな。オバマはペンシルベニアの人々は経済の低迷に卑屈になって宗教や銃に固執しているとバカにしたのに対して、ヒラリーは人々はしぶとく積極的で強い指導者を期待しているのだと有権者を尊敬した言い方をしている。人々は弱いから自分が救ってやるというオバマの見下したエリート意識丸出しの態度とは対照的で非常に効果のある答え方だ。
さて続けてギブソンは以前から問題になっているオバマの恩師ジェラマイアー・ライト牧師の人種差別的な発言についてオバマに質問した。

ギブソン:オバマ議員、….後に行った演説のなかであなたはジェラマイアー・ライト牧師が人々を怒らせるようなお説教を祭壇からしたのは聞いたことがないと言いました。
しかし一年前あなたが立候補を発表した際、ライト牧師への招待を取り消しました。….牧師によるとこれは彼の言葉ですが、あなたは牧師に「あなたはお説教でたまに乱暴なことをいうから、公の場所には現れないほうがいいと思って決めた」と言ったそうですね。牧師のどんな言葉を知っていて招待を引き下げたのですか?
オバマ:それは、、
ギブソン: それに牧師がお説教で乱暴になることを知っていたなら、なぜ彼のそんな言動からあなたが正式に距離を置くのに一年以上もかかったのですか?
オバマ: それは、私はユートゥーブで公開され何度も映されるはめになった言葉については見たことがなかったことをわかってください。….
しかしチャーリー、すでに私はこれについては詳細にわたって説明しています。ライト牧師は問題のあることを言う人ですが、それは多くのアメリカ市民を怒らせたような言葉とは違うのです。ですから私はこれらの発言については問題があると言いましたし私が同意できることではないとも言いました。そしてきちんと距離を置きました。….

ジェラマイアー・ライト牧師の暴言についてはギブソンもいうように一年以上も前から話題に上っていた。主流メディアで取り上げられてからも、すでに数週間もたっているのだから、オバマも、もう少しましな答えが出来てもよさそうなものだ。
オバマが「距離を置いた」としているのはYouTubeで放映されて問題になった発言だけであり、ライト牧師自身から距離をおこうとはしていない。協会そのものを脱会する気もないことは、問題の発言は特別で普段はそんなことは言わない人なのだと言っていることや、ライト牧師の協会はエイズ患者の救済に積極的だなどと説明していることからも伺える。
さてこれについて、以前にヒラリーがライト牧師が自分の協会の牧師だったら、自分はそんな協会からは脱会していると発言したことに関してギブソンは8000人からいる協会のメンバーがすべて協会から立ち去るべきだったというのかという質問をした。

クリントン: 私は個人的な質問をされたのです。チャーリー、ですから個人的な答えを返したのです。明らかに協会や牧師の選択は自分の信仰が協会に何を求めているかとか、協会で得る仲間意識などにも基づいているものです。しかし、911事件後の最初の説教でライト牧師は、アメリカを責めました。私の町であるニューヨークへの攻撃についてそのようなことは我慢できません。ですから私ならそういう協会には残らなかっただろうと、多分それはどれだけ協会で良いことが行われていたとしても、…..牧師は選ぶことが出来ます。家族は選べませんが牧師は選べます。直接質問をされたので、私ならそんな協会には留まらなかっただろうと答えたまでです。

これもいい答えだ。オバマを攻撃するのと同時に自分の愛国心も主張している。ヒラリーもなかなかやるな。愛国心といえば、オバマが胸に星条旗のピンをつけていないことなども討論会では話題に上ったが、もうひとりの司会者のステファノポリス(彼は元ビル・クリントンの側近だった。)がまたまた厳しい質問をした。

ステファノポリス:…愛国心というテーマに関してですが、ウィリアム・エアース(William Ayers)という1970年代にウェザーアンダーグランウンドのメンバーだった男性がいます。彼はペンタゴン、首都そしてその他の建物に爆弾を仕掛けました。 それについて彼は一度も謝ったことがないばかりか、911の後で「爆弾をしかけたことは後悔していない、充分やれなかったと感じている。」とニューヨークタイムスに語っています。
あなたの上院議員選挙運動の初期での会合が彼の家で開かれ、あなたの選挙事務所も友好的な関係にあると語っています。この友好関係について有権者に説明していただけますか。民主党の人々に何故これが問題ではないのか説明してください。
オバマ:この人はうちの近所にすんでるひとで、シカゴの大学の英文学の教授です。私は彼とは知り合いですが公式な支持をもらっているわけではありません。彼と常時考えを交換するような間柄でもありません。
それに40年前に、私が8歳だった時に、憎むべき行為をした人間を知っているということが、私や私の価値観になんらかの悪影響を与えるというのは理屈にあいません。ジョージ。

そうかなあ。単に近所に住んでいる顔見知りだというだけならどうということはないが、私は40年前だろうと100年前だろうと何百人という人が死ぬかもしれなかったテロ行為をしておいてそれを反省するどころか、もっとやれば良かったなんて未だに公言しているような人間の家にはお茶に招ばれても絶対に行かないだろう。ましてや大事な選挙運動の会合をそんな人間の家で開くとなれば、自分がその人間の考えに同意しているか、少なくとも特別問題視していないことの現れだ。これが国の大統領になろうとしている人間の近所付き合いだとしたら非常に問題だと私は思うね。
もしも共和党の候補者が40年前に黒人協会に放火した犯罪者の家で会合を開いたなどということがあったら、「近所に住むただの知り合いで、特に考えを交換したりしていない」とか自分は8歳のときの出来事だから興味ないとかいって言い訳になるだろうか?その関係がわかった時にその候補者の選挙運動は終わってしまうだろう。
ところが、こういうオバマの怪しげな人間関係はアメリカの主流メディアでは問題にならないどころか、それを指摘したギブソンやステファノポリスのほうに批判を向けている。
しかしオバマに同情的なニューヨークタイムスでも今回の討論会でのオバマのパフォーマンスはかなり弱かったと評価している。


1 response to ヒラリーがまともに見える、オバマの醜態

In the Strawberry Field12 years ago

エリート意識まるだし、ミッシェル・オバマの悲観的なアメリカ像

ジェラマイアー・ライトもさることながら、民主党大統領候補のバラク・オバマのミッシェル夫人の毒舌はかなりなもんである。 先日からロサンゼルスのラジオDJ、ヒュー・ヒューイットの番組でミッシェル夫人が先週から行っている選挙演説の抜粋を放送しているが、聴いていて信じられないような内容である。 先ずミッシェル夫人はオバマの民主党大統領候補指名が決定していない理由は常に周りの人間によって、目標の高飛びの棒が不当に上げられているからだと文句を言ったのにこじつけて、アメリカ庶民の生活も常に目標の棒が不当に上げられ…

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