July 8, 2007

アフガニスタン: どうなったのタリバン春の大攻撃?

昔読んだパール・バック著の「大地」という小説のなかに王虎という将軍が出てくる。彼は若い頃は大軍を引きつれ次々に領土を奪い勝ち戦に明け暮れたが、年とともに怠慢になり士気が衰える。そして毎年「春になったら兵を挙げる」というのが口癖になっていた。ところがある年ライバルの軍が「春を待つまでもない」と攻めて来て滅ぼされてしまう。

もう何年も冬になると「春の大攻撃」を宣言しているアフガニスタンのタリバンをみていると、どうもこの王虎を思い出してしまうのである。

今年のはじめ頃タリバンはまたぞろ「春の大攻撃」を宣言した。読者のみなさんはその攻撃がどうなったかご存じだろうか? タリバンの「春になったら、、、」という呑気な宣言に北大西洋条約機構(NATO)軍は「春を待つまでもない」と言って今年の初めアキレス作戦なる攻撃をはじめた。

今回の連合軍に参加しているのはアメリカ、イギリス、オランダ、カナダあわせて4000の兵、それに1000のアフガン兵が加わる。

今回の作戦は北側のヘルムランド地区に集中される。タリバンが占拠したと発表しているムサカラ(Musa Qala) とワシア(Washir)そしてナズワドの位置する地域である。

どうやらこの作戦大成功だったようで、おかげでタリバンは再編成の暇もなく、ただただ逃げまどうばかりで春の攻撃どころではなくなってしまった。APの記事によれば、NATO軍はすでに今年にはいって2000人以上のタリバン戦闘員を殺しており、これは去年一年間の3000人を大きく上回る率である。

アフガニスタンでの戦闘が激化しているとはいえ、味方の犠牲者せいぜい100人に比べタリバンの受けている打撃は大きい。しかも追いつめられるとすぐにパキスタンに逃げ込んでいたタリバンだが、先日パキスタンのムシャラフ大統領はNATO軍のパキスタン内追跡を許可したため、今後はパキスタンに逃げても安全ではなくなってしまった。これは非常に歓迎すべき発展である。

ムシャラフ大統領は国民からの人気はあまりない。この間も7回目からの暗殺未遂があったばかり。テロリストもタリバンもムシャラフには目の上のたんこぶであり放っておけば自らの滅亡におよぶ。ここはNATOに媚びを売っておく必要があると読んだのだろう。

それにしてもタリバンはいったい何時までこの不毛な戦いを続けるつもりなのだろうか?このままではいつか、彼等が春を見ない年が訪れるだろう。

関連エントリー:タリバン勢力がますパキスタン北西部何がタリバン春の大攻撃だ!

July 8, 2007, 現時間 4:00 PM

エントリーが気に入ったらクリックしてください。
にほんブログ村 政治ブログへ

トラックバック

この記事のトラックバックURL: http://biglizards.net/mt4.21/agakhantrack.cgi/2237

コメント

前のコメント

登録ありがとうございます。 さん コメントを残して下さい。 (サインアウト)

このサイトへ初めて投稿される場合には、サイト主による承認が済むまで投稿が画面に現れないことがあります。しばらくお待ちください。


登録者を記憶する(URL必要)


© 2006-2015 by 苺畑カカシ - All Rights Reserved