フランス軍、イスラエル偵察機への発砲を許可

以前にレバノン、フランス軍が戦う相手はイスラエル???で書いたように、フランス軍はイスラエルがレバノンの上空を偵察するのは停戦条約を違反するものだと文句を言っていたが、ついにフランス政府は軍隊にイスラエル偵察機に発砲してもよいという許可を出したという。(Hat tip Yoni the Blogger)
フランスはイスラエルを敵にまわすことによって国内のイスラム教過激派に迎合できるとでもおもっているのだろうか。なぜフランスはフランスもイスラエルも同じ敵と戦っているのだということに気が付かないのだろう。敵に媚を売る手段は絶対にうまくいかないのだということが全然理解できないようだ。(フランスはナチスドイツとの戦いで十分に学んだはずなのだがね。)
それにしてもフランスは本気でイスラエルとドンパチやるつもりなのだろうか? イスラエルは黙って撃ち落とされるようなやわな軍隊ではないのだが、、、


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レバノン、フランス軍が戦う相手はイスラエル???

イスラエルが国連軍による平和維持軍がレバノンに出動することを快く思わなかった理由は、国連軍は結局ヒズボラには好き勝手なことをやらせ、イスラエルがそれを阻止しようと軍事行動にでることを拒むことになるのが目に見えていたからである。先のUNIFILもヒズボラがイスラエル兵を拉致するのを見てみぬ振りをしたばかりか、時として国連の車をイスラエル攻撃にかしたりしていたという過去があったので、イスラエルが国連軍を胡散臭く思う理由は理解できるというものだ。
やはり思っていた通りのことが起きつつある。イスラエルの新聞ハーレッツ紙(Peretz: French UNIFIL commanders say will shoot at IAF overflights) によると、「国連平和維持軍」のひとつであるフランス軍は、イスラエル軍の偵察機がレバノン上空を飛び続けるならばフランス軍それをは打ち落とす用意があるとイスラエル軍に警告したという。

イスラエル防衛省長官のペレズ氏は国連安全保障条例1701条が満たされるまではイスラエルはレバノン上空の偵察は続けるつもりであると語った。加えてペレズ長官はこのような作戦は国の安全を保障するために重要であると語った。特に拉致されたイスラエル兵がまだヒズボラに捕らわれの身となっており、ヒズボラへの武器調達はずっと続いていると語った。

ペレズ長官によるとここ数日のうちにイスラエル軍はシリアから武器弾薬がレバノンに運び込まれた確かな証拠を得たという。ということはヒズボラに武器調達をさせないという国連安保理条例1701は完全には満たされていないことになると語った。

予想したとおり、国連軍はヒズボラを武装解除するどころか、ヒズボラの武力強化を阻止しようともしない。それどころかヒズボラの明らかな条例違反行為を偵察するイスラエルの偵察機を撃ち落すとまで言っている。これだからイスラエルは国連を信用しないわけだ。
しかしフランス軍は本気だろうか。もしフランス軍がイスラエルの偵察機を撃ち落したりすればこれは戦闘行為とみなされる。フランス軍はイスラエル軍と一戦交える覚悟があるのだろうか? そしてもしフランス軍が国連軍の一部としてイスラエル軍と戦争を始めたら他の国連軍はどうするのだろう? フランス軍に味方してイスラエルと戦うのか?
そんなことはどちらも避けたいはず。
どうしてフランスは明らかにテロ軍団であるヒズボラの味方をしてイスラエルを嫌うのだろう? このようなことをしてもフランス国内で起きているイスラム教徒による暴走を沈めることはできない。フランスはイスラエルと協力してイスラム過激派と戦うべきである。 これでは話がさかさまではないのか?


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アメリカは北朝鮮に核を落とすべきか?

北朝鮮の核実験成功発表が本当だったとしたら、近隣諸国の日本、韓国、中国はかなり深刻な立場におかれることになる。日本がどうすべきかということについては多分今日明日中にも多くの日本のブロガーさんたちの意見を聞くことができるとおもうので、在米のカカシとしてはアメリカの立場からこの事件を考えてみたい。
もし、北朝鮮の発表が本当だったとしたら、我々は現在北朝鮮について下記の事実を確認したことになる。

1. 北朝鮮は核兵器技術を所持している。
2. 北朝鮮は長距離ミサイルを持っている。
3. 金正日の非公式な報道員であるキム·ミョング·チョイ(Kim Myong Chol)は北朝鮮が核兵器開発をするのはアメリカの都市を火柱で覆うのが目的だと語ったばかり。

では我々アメリカはどうすればいいのか? アメリカ軍が北朝鮮の核カードを使ったゆすりを受け入れて東洋から撤退するなどあり得ない。かといってなにもせずただじっと座っているわけにもいかない。東洋には何千何万というアメリカ兵が駐在しているのだ。弾道ミサイル防衛システム(BMD)がいくら効果的だといっても守りにばかり頼っている作戦は懸命とはいえない。
北朝鮮から核兵器による威嚇を直接受けている以上、我々の現実的な作戦は今すぐ北朝鮮に攻撃を仕掛けることである。イランと違って北朝鮮国民は決して親米とはいえない。北朝鮮を攻撃することで北朝鮮国民の気分を多少害したとしても我々が気にとめる必要は全くない。
今の段階では攻撃をせずBMDに頼って北朝鮮の出方を待っていたとしても、北朝鮮が実際に核兵器でアメリカ軍を攻撃してくれば、核兵器使用のタブーはそこで終わる。
自国が核兵器によって攻撃された場合、核兵器によって反撃できるということをアメリカは国際社会に見せなければならない。それをしなければ、アメリカは核兵器は持っているが使うだけの根性がないと他の敵から見下される可能性があり、非常に危険である。たとえ核兵器使用がどれほど「残念、無念、遺憾」な行為であろうとも、アメリカはアメリカ国防に最適の対策をとらねばならない。
だが、もし、この実験が核兵器実験でなかったとしたら、、、
アメリカは不思議な立場に立たされることになる。国際社会が北朝鮮を信じたとして、アメリカだけがあれは核兵器ではなかったと主張したならば、世界はアメリカをなんと判断するだろう?
たとえ、国際社会が今回の実験は偽物だったと納得したとして、世界中から糾弾され、諸外国から攻撃の危機にさらされるとわかっていながら、偽の核兵器実験をするような気違い国を世界は放っておくわけにはいかない。やはりこのような気違い国には攻撃をしかけるしかない。
北朝鮮が偽の核兵器実験をするほどの気違いで、しかも核兵器を所持する技術を持ち合わせていないのだとしたら、今こそ北朝鮮を攻める絶好のチャンスではないか。確かチャーチルだったと思うが、もし敵が弱いうにち攻撃する意志がなければ、敵が強くなってから攻めることなどできない。 
北朝鮮が核兵器をもっていようといまいと、アメリカは北朝鮮を今すぐ攻めるべし! ぐずぐずしている暇はない。
アップデート:

北朝鮮の核実験、国際社会への挑発的行為=ホワイトハウス
 [ワシントン 9日 ロイター] 米ホワイトハウスは9日、北朝鮮の核実験は挑発的行為であり、国連安全保障理事会が早急な行動をとることが予想される、との見解を示した。
 スノー報道官は「米国と韓国の情報機関は9日、北朝鮮の核実験場所とみられる地点で地震性の動きを観測した」との声明を発表。「北朝鮮は地下核実験の実施を発表した。北朝鮮の核実験は、国際社会の意志と、北東アジアの緊張を増大させる行為の自制の呼びかけを無視した挑発的行為である」とし、「国連安保理は、この行為に対して速やかな行動をとるだろう」と述べた。
 北朝鮮はこの日、地下核実験が成功したと発表した。
 さらに同報道官は「米国は状況を注視しており、周辺地域の同盟国の防衛に対するコミットメントを再確認する」と述べた。(ロイター) – 10月9日15時43分更新


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ついにやった? 北朝鮮核実験成功を発表!

私はこの間、北朝鮮よりイランのほうが心配だとかいたばかりだったのだが、北朝鮮は本当にイランの先をこしたのだろうか? 私は口で何をいっても、まさか本当にやれるとは思っていなかった。いまでも実際にやったのあどうか私はかなり半信半疑である。もうすでに読者のみなさまは色々なところで読んでおられると思うが一応朝鮮日報の記事より:

北「核実験成功」発表

2006/10/09 12:17
北朝鮮は9日、朝鮮中央通信社の報道を通じ、核実験が成功したと発表した。
中央通信は「わが国の科学研究部門では2006年10月9日に地下核実験を安全に成功させた。科学的計画と綿密な計算により行われた今回の核実験は、放射能流出などの危険は全くなかったことが確認された」と報じた。
これにともない、韓国政府は盧武鉉大統領主宰の緊急安保長官会議を開き、対策を協議しているという。この日の会議には、潘基文(バン・ギムン)外交、イ・ジョンソク統一、尹光雄(ユン・グァンウン)国防長官、ソン・ミンスン大統領府安保政策室長などが出席したと伝えられた。
国家情報院はこれと関連、「咸鏡北道奥地で3.58規模の地震波が探知された」とした。政府の高位当局者は「北朝鮮が9日午前、核実験をしたという情報があり、現在探知している」と述べた。
韓国大統領府「咸鏡北道ファデで地震波感知」
北朝鮮が核実験をしたという情報と関連し、(韓国)大統領府は「韓国地質資源研究院が9日午前10時35分、北朝鮮の咸鏡北道ファデで震度3.57から3.7の地震波を感知した」と確認した。
ユン・テヨン報道官は「この内容はすぐに盧武鉱大統領に報告され、現在緊急関係長官会議が開かれている」と説明した。
ユン報道官はさらに「今回の内容が核実験であると確認された場合、会議は国家安全保障会議に変わることになり、現在関連局と緊急に情報交換している」と付け加えた。

しかし震度で核爆発が本当に起きたのかどうかを分析するのはそう簡単にはいかないようだ。毎日新聞のほうがもう少し詳しい情報を報道している。

<北朝鮮>核実験を実施 中央通信報道 地震波も探知 [ 10月09日 12時52分 ]
北朝鮮外務省は今月3日、「科学研究部門が今後、安全性が徹底的に保証された核実験を実施することになる」と宣言していた。80年代から浮上した北朝鮮の核開発疑惑は核実験によって現実のものとなった。核保有国としては、米英仏中露、インド、パキスタンに続いて8カ国目になる。国際社会は北朝鮮への制裁に踏み切るとみられ、北朝鮮の核問題は緊迫した局面を迎えた…
北朝鮮が実験で使用した核爆弾は、平安北道寧辺(ピョンアンプクドニョンビョン)の実験用黒鉛減速炉(5メガワット)で生成したプルトニウムを原料にしたものと見られる。
北朝鮮は86年1月に黒鉛炉の運転を開始、核兵器開発に着手した。89年春以後に燃料棒を再処理し、核兵器1〜2発分に当たる6〜12キロのプルトニウムを抽出したとみられている。94年10月の米朝枠組み合意を受け、北朝鮮は同炉の運転を停止したが、03年1月に核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言したのを機に再稼働させ、同年10月、05年5月の2回、8000本の燃料棒を抜き出して再処理、プルトニウム抽出作業を実施している。
米民間研究機関の分析によると、北朝鮮は核兵器4〜13個分に当たる「20〜53キロ」のプルトニウムを保有していると見られ、今回の実験では、これらのプルトニウムが使用された可能性が高い。
北朝鮮は核兵器の開発、改良に不可欠な核実験に踏み切ることで「核保有国」になり、米国など超大国と交渉する際の「核カード」を持ったことになる。

ミスター苺は、こうなった以上アメリカによる北朝鮮への核兵器攻撃も考慮に入れる必要があるといっている。まさか本当にそんな時期がきたのだろうか?
関連記事:北朝鮮核兵器実験と日本の核開発


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仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その2

この話が途中になっていたので、裁判の続きを話たいと思う。前回までのお話は下記参照:
仏テレビやらせ映像を指摘され訴訟起こす
仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その1
ところでパレスチナによるやらせ映像について顕著にとらえたビデオを最近見つけたので、最初に紹介しておきたい。リンクがうまくつながらないので下記のアドレスをコピーして見ていただきたい。特に悲惨な映像はないのでご心配なく。ただ音がでるので職場で御覧になる方々はご注意のほどを。
イスラエル軍の拠点近くにおいて撃ち合いを演出するパレスチナ庶民。6分目くらいに葬式に運ばれる担架にのせられたホトケさんが担架から落ちて歩き出すという珍妙な映像もある。約20分。
http://video.google.com/videoplay?docid=-2152006111729790314
アルドゥーラ親子のやらせ映像はこちら。約14分。
http://video.google.com/videoplay?docid=-8500578539219029740
さて、では証人たちの証言を聞いてみよう。
フィリップ·カーセンティ、被告人のひとり、メディアレイティングの創設者。
カーセンティが最初にアルドゥーラ親子事件がやらせではないかと考えはじめたのは引導学の検査の結果、イスラエル軍の位置から直接に球が飛んでくることは不可能であると学んだ時からである。そのことが明らかになると、その反論としてパレスチナ側のみならずフランセ2からも跳弾によるものだと言い訳が出てきた。しかし父親のジャマールは9回も撃たれ、息子のモハメッド坊やは3回撃たれたという。12発の跳弾? 不可能だ。
フランセ2は数人の専門家をとジャーナリストを招いてNGビデオを披露したが、カーセンティは招待されなかった。裁判官と次のようなやりとりをした。

裁判官:デニスジャンバーとダニエルレコンテの両氏が27分のNG映像をみた。フランセ2の記者会見においてジャンバー氏は、ビデオのなかで父親が撃たれた証拠として傷跡を見せたと語っている。
カーセンティ:私はフィルムをみていません。記者会見への参加を許可されなかったからです。レコンテ氏はあとになって私にこの事件に興味があったので捜査したいと考えていたが、アルテ(フランス/ドイツ/スペイン共同の芸術テレビチャンネル)から捜査をやめなければ、今後彼のプロダクションとは一緒には仕事をしないといわれたとはなしてくれました。(略)たくさんの人たちが個人的に場面はやらせだと思うとはなしてくれましたが、公には語っていません。

カーセンティのいうことを信じるならば、国営テレビ局から独自の捜査に対するかなりの脅迫があったということになる。
フランシス·バレ (Francis Balle):メディア学の教授。元フランス公共放送委員会CSAのメンバー。
カーセンティのフランセ2暴露ビデオは説得力があること、元のアルドゥーラビデオは怪しげで、その効果は劇的だったと語った。
カーセンティの弁護士、Maître Dauzierは、フランセ2がNG映像を見せなかったのは情報源を守るためではないかと聞くと、バレ氏は「いえ、映像は公開されるべきです。真実は語られるべきです。」と答えた。
これは日本やアメリカでは考えらないことなのだが、フランスの名誉毀損裁判では、被告側が原告に対して言ったことが事実でも、いい方が過激だったということでも責められるというのである。そこで、カーセンティの弁護士はバレ氏にカーセンティの批判は「過激だった」のではないかと質問した。バレ氏はそうは思わないとし、このような状況の場合、強い言葉使いをする必要があったと語った。
ルーク·ロセンズウェイグ (Luc Rosenzweig) 元(Libération, Le Monde)のジャーナリスト/テレビ批評家。
彼はアルドゥーラ事件についてl’Express誌に載せるため独自の捜査を行おうとした。 l’Express誌の編集長は当時 デニス·ジャンバー氏(Denis Jeambar)だった。ジャンバー氏は Jacques Attali 氏から圧力を受けたため捜査を打ち切った。このAttali という人間がどういう立場の人なのか、カカシには分からない。
Rosenzweig氏は実際に何が起きたのかという推論を持ってはいないが、フランセ2の映像は怪しげだと語った。当初はRosenzweig氏はNG映像を見せてもらえなかった。ビデオは金庫にほかの書類と一緒にしまってあるという訳の分からない言い訳をされたという。 やっとNG映像を見せてもらった時はフランセ2がいっていたような27分ではなく、24分だったという。 この3分の差だが、フランセ2のエンダーリンが嘘をついていたのか、記憶違いだったのかちょっと気になるところである。
Rosenwzeig氏は本格的な取材をしようと、イスラエル側から色々な情報を集めた。しかしパレスチナ側を取材しようとするとカメラマンは病気でパリで治療を受けていると言われた。伝言を残しておいたが返事はなかった。つてを使って父親のジャマールへの会見を求めたが断られた。仕方なく親子が運ばれた病院の医師を取材に行った。病院の医者は事件が起きたのは午後3時だったのに、アルドゥーラ親子は午後一時に運び込まれたと証言していたからだ。しかしガザへの入るのは拒絶された。それでRosenweig氏はパレスチナ側での取材は不可能だとあきらめた。
映像がやらせだという確認することはできなかったが、エンダーリン氏がいうよりもこの映像がやらせである可能性はずっと高いと判断すると氏は語った。後にRosenzweig は la Ména’s のウェッブサイトに「チャールズエンダーリンはどの言葉でも嘘つきだ」というコラムを書いた。
ところで、先に紹介した最初のビデオのなかで、病院での取材の場面が出てくる。病院へ「取材」に行くパレスチナのジャーナリストたちは、病院へつくと患者と話をする前に医者と相談をして、患者にはカメラの前でどういう証言をすべきかを打ち合わせしている場面がある。病院で無難に出産した若い母親とその夫に医師は、道が危険で病院へたどり着けず、夫がひとりで妻に車のなかで子供を生ませたと証言するよう指導していた。
私は昔からイラク戦争などでも、「病院の医師の話によると、、」とか「地元救援隊員の証言では、、、」という話はあまり信用できないと思っていたのだが、このビデオを見てはっきり確信した。敵側の一般市民の証言は全くあてにならないのである。
この裁判ではまだまだ似たような証言が続くが、結局、フランセ2の放映したアルドゥーラ親子の襲撃事件は完全なやらせだということがこの裁判において明らかになった。フランセ2はその事実を言い逃れることはできない。
名誉毀損がなりたつとすれば、それはフランスが国営テレビ局の放映は今後一切内容の真偽を問わず批判してはいけないというメッセージを国民に送ることになる。言論の自由などどこへ行くである。フランスのメディアはそれでいいのだろうか、いやもっと大事なのは、フランス国民はそんな偽物の大本営ニュースを毎日文句もいわずに受け入れるのだろうか。自由精神の最たるものといわれたフランス文明は今危機にさらされている。
フランスは今試されているだ。


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エジプトがハマスにイスラエル兵返還を要請!

キャンプテンエドによると、イスラエルとハマスの間にはいって、人質返還の交渉に当たっていたエジプトはハマスの煮え切らない態度に腹をたて、かなり強い口調でハマスに対して早くイスラエルに人質を返すように要請したようだ。
エジプト政府はハマスのリーダー、Khaled Mashaal にガザの危機を救うために拉致したイスラエル兵、ギラドシャリット兵を即座に返還するよう「強い口調」の手紙を送ったとある。そしてモハメッドアバスとともに統一政府を成立させよとも書かれているようだ。
エジプトが中東を平穏にしたい理由の最たるものは、パレスチナからエジプトへ流れ込む難民問題である。
よくパレスチナとイスラエルの紛争について、パレスチナの貧困をイスラエルのせいにする人がいる。イスラエルが建てている壁をポーランドでユダヤ教を閉じ込めた、ゲットーと同じだという人がいる。だが、そういうひとたちが無視している醜い事実はアラブ諸国によるパレスチナ民族への人種差別である。
パレスチナは境界線をイスラエルだけでなく、エジプトやヨルダンにも接している。パレスチナ市民が生活に困ってもイスラエルへ逃れることはできないとなると、難民の行く先はエジプトとなるわけだ。だがアラブ諸国においてパレスチナ人は下層階級のアラブ人として毛嫌いされている。イスラエルによるパレスチナ弾圧などヨルダンやエジプトによるパレスチナへの弾圧の比ではない。
エジプト人もヨルダン人もパレスチナの過激な思想を忌み嫌っている。パレスチナ人がこれらの国に避難してくることによってこれらの国々でテロ問題が起きるのを彼等は非常に恐れているのだ。
最近エジプト、ヨルダン、そしてクエートなどによって、イスラエルを国として認めようという、いわゆるシオニズム思想がわき上がっている。これは決してこれらの国々がイスラエルに対して親しみを感じてきたという意味ではない。だが長年に渡って幾度となく繰り返された戦争で、さんざんイスラエルにひどい目にあってきたアラブ諸国はもうイスラエルとの戦争はごめんだと考えているのだ。だからこの時期にイランの手下であるヒズボラや、アラブの嫌われ者パレスチナにイスラエルを刺激されるのは迷惑この上ない話なのである。
また中東が不穏になれば、シリアやイランがヒズボラを使って中東全体の侵略へと野心を燃やすことも考慮に入れなければならない。アラブ諸国はペルシャ民族のイランがシリアやレバノンを拠点にアラブ諸国を脅かすことを恐れているのである。
今回のエジプト政府のパレスチナへの強行な姿勢は、その不満と恐れの現れというべきであろう。


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仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その1

先日仏テレビがやらせ報道を指摘したメディア評論家を訴えているという話をしたが、先日行われた法廷での経過を、Politics Centralが詳しく報告しているので、それについて話してみたい。
さて証人に継ぐ証人が皆次々に同じようなことを証言しているので、それをまとめてみると、、

  • それぞれの証人が独立した調査をした結果。この事件はやらせであると結論がでた。
  • フランセ2のエンダーリン氏はそれを知っていた。
  • フランセ2は調査を妨害しようとした。

それについてフランセ2の言い訳はといえば、

  • 証人というが、このジャーナリストだの専門家だのってのはなにものか、、こいつらになにがわかるのか、
  • 権威ある国営テレビ局フランセ2をよくも批判したな。
  • 第一、映像がやらせでもメッセージは真実だからいいのだ。

つまり、フランセ2のいい分はアルドゥーラ事件は「やらせだが真実」というへりくつなわけだ。
この事件で一番気になるのは、この映像がやらせだったということではない。専門家はほとんど皆やらせだと同意している。タラアブラマー(Talal Abu Rahma)は明らかに、ストリンガーと呼ばれるフランセ2の現地記者で、やらせの機会はいくらもあった。中東ではこの手のやらせは日常茶飯事であることは、今回のレバノン戦争の時に多くのやらせ写真が暴露されて明らかになった。いくつもの壊れた建物の前で泣く女、緑ヘルメットの男、カルベンクライン下着CMモデルさながらの「死体」など、さんざん見せつけられた。
問題なのは、フランセ2が明かにやらせだと分かっているものをそのまま放映したことにある。それはなぜか、いったい何の目的でイスラエルを陥れようとしたのか? 私が思うにこれは明らかにフランセ2によるイスラエルのユダヤ人に対する偏見が原因だ。プロデューサーのエンダーリン氏自身がユダヤ系イスラエル人であるからといってこれは変わらない。ユダヤ系イスラエル人がパレスチナに同情してイスラエルを裏切るなんてことはいくらでもあることだ。
フランセ2は真実を報道することより、自分らの信じるメッセージを報道することに興味があった。イスラエル軍が本当にモハメッド坊やを殺したかどうかなど問題ではない。彼等はイスラエルが無抵抗の親子を殺すような悪どい勢力であると訴えたかったのだ。
フランセ2は国営放送局であるということをわすれてはならない。フランセ2が自分らの好き勝手な報道はするが、それを批判するものは罰するというのであれば、フランセ2はまさにフランスの大本営放送局ということになってしまう。
もしこの裁判でフランセ2が勝てば、フランスには言論の自由など存在しないということになる。真実はフランス戦府の発表だけなのであり、国民にはいちいち口出しする権利はないということになるのだ。
次回に続く。


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うっそ〜! アムネスティがヒズボラを告発!!!

妹之山商店街さんが紹介してくれている、アムネスティがヒズボラを戦争犯罪で告発という記事を読んで驚いた。(訳:妹之山商店街さん)

イスラエル市民に対するヒズボラの意図的な攻撃

アムネスティー・インターナショナルによって公表された要旨説明によれば、ヒズボラは最近の紛争の間にイスラエル市民を意図的に標的とするという戦争犯罪となる国際人道法への深刻な違反を犯しました。
一か月間の紛争の間に、ヒズボラは、北イスラエルに四千発近くのロケット弾を発射し、43人の市民を殺害し、33人に重傷を負わせ何十万人もの市民にシェルターに入るか、避難することを強いました。全ロケット弾の約四分の一には、都市部の中に、直接発射されました。何千という金属ボールベアリングがパックされたロケット弾を含めて。

これまでアメリカやイスラエルの所行は批判してもテロリストへの批判が遠慮勝ちだったアムネスティインターナショナルにしてはこれはかなり画期的な告発だ。しかも、主流メディアがほとんど報道していなかったヒズボラのイスラエル攻撃の詳細をきちんと掲載していることは注目される。
これに対してヒズボラの反論は、イスラエルが先に手を出したから仕返しをしたまでだ、と決まり文句。下記はヒズボラ代表のBilal Naim氏の発言。(訳:妹之山商店街さん)

『まずイスラエルが法律に反して我々の民間人を攻撃したんです。ヒズボラは無実の民間人を攻撃することはありません。ヒズボラには宗教法があります。それに則って行動しています。その宗教法には、非合法の爆弾を女性、子供などの民間人に対しては使わないという規則があるのです。ただ、女性、子供などの民間人が攻撃されたら、それに対して対抗するという規則がある訳です。つまりイスラエルの侵略行為、攻撃行為に対抗する権利がある訳です。ヒズボラはイスラエルが非合法の侵略行為をしたから、それに対して報復しただけです。イスラエルでの犠牲者の八割以上は軍人ですが、レバノンの犠牲者の八割以上は民間人です』…
ナスララ師はイスラエルが全面戦争を求めたので応じたまでだと発言しています。『ヒズボラの側が民間人への攻撃を始めたのではありません』

自分らで100人の戦闘員を国境を超えて侵入させ、8人のイスラエル兵を殺して2人を拉致、その直後レバノンからイスラエルにロケット弾を打ち込んでイスラエルに宣戦布告をした事実は都合よく忘れているようだ。それにレバノン犠牲者の八割形が民間人だったというのも眉唾である。ここでもいくつも紹介したやらせやねつ造記事でもわかるように、民間人の犠牲の数にはかなりの水増しがあると思われる。それにヒズボラは民兵であり、制服などきていない。普段は普通の「民間人」として生活しているのだから彼等は厳密には民間人だ。だから実際民間人の犠牲者がどのくらいでたのか正確な判断は不可能と思われる。
もっともこのヒズボラの言い訳をアムネスティは受け入れていない。

イスラエルが同じく重大な違反を犯したという事実は、ヒズボラによる違反を決して正当化しません。市民は、双方の不法な行為の代償を支払わされてはなりません

最近アムネスティインターナショナルは少なくともアメリカにおいてはそのダブルスタンダードについてかなり批判んを浴びている。アメリカ軍の所行については証拠もはっきりしないうちから真っ先に批判するアムネスティが、このあいだもインドで起きたテロ事件についてアムネスティのサイトでは数日たっても何も書かれていなかったことに腹をたてたアメリカの保守派たちがアムネスティに電話や投書で激しい抗議をした。
アムネスティは英米やイスラエルへの批判は手厳しいが、テロリストには甘すぎるという批判が高まっているため、彼等はこの圧力を感じはじめているのかもしれない。だが私はアムネスティの本音はこの部分にあるのではないかと思う。

イスラエルの軍事的優位は変化しませんでした。イスラエルに挑戦することができるアラブの力はありません。イスラエルは米英から前例がない支援を受けています。それはそうでも、ヒズボラを破る能力のなさは軍の抑止力を減らしました。このことによって、再度レバノンでの戦い、イスラエルがこれ以上のどんなミスも避けることを望む戦争に誘い込むかもしれません。(強調カカシ)

イスラエルに勝てるアラブ勢力は存在しないのに、やたらにイスラエルにちょっかいをだしてアラブ諸国に迷惑をかけたことに関してアムネスティは腹を立てているだけなのではないだろうか。ヒズボラの行為が非人道的であるというより、アラブ諸国が非アラブのヒズボラ(ヒズボラはペルシャ民族でアラブ民族ではないイランの手先であるから)の行動をうるさく思っているというだけなのかもしれない。


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レバノンに陸自派遣検討

今日このニュースを読んでちょっと驚いた。

政府は13日までに、レバノン南部でイスラエル軍とイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘停止を監視する国連平和維持活動(PKO)を展開している「国連レバノン暫定軍」(UNIFIL)に参加して後方支援を行うため、陸上自衛隊を派遣する検討に入った。ただ同地域は、戦闘状態の再燃が懸念されることなどから政府内に慎重論も根強く、今月末に発足する新政権が可否を最終判断する方向だ。

イスラエル、ヒズボラの戦闘については、国連安全保障理事会が8月11日に全面停止を求める決議を採択し、双方が基本的に受け入れを表明。このため政府は「停戦合意の成立」などPKO参加5原則が満たされ、PKO協力法に基づく自衛隊派遣が可能な状況になったとしている。

自衛隊はイラクからかえってきたばかりなのに大変である。イラクもそうだが、レバノン情勢は非常に危ない。どう考えてもヒズボラが停戦条約を守るとは思えないし、イスラエルもヒズボラがちょっとでも挑発してくれば強行手段に出るのは明らかだからだ。
レバノンでは国連の平和維持軍として駐留していたアメリカ軍とフランス軍の兵舎が自爆テロによって襲われ、大量に殺されるという事件が1984年に起きている。日本はいくら後方援助といえども「西側」の軍と見られて攻撃の標的とされないという保証は全くない。
そんなことを考えているうちにこの記事が目についた。

アザデガン油田開発、日・イラン交渉継続へ

 日本が権益の75%を保有するイランのアザデガン油田の開発問題で、日本とイラン両国が15日の交渉期限を過ぎても、交渉を継続する見通しとなった。
 二階経済産業相とイランのカゼム・バジリハマネ石油相が13日、読売新聞の取材に対し、交渉を続ける考えを示した。ただ、核開発問題などを巡るイランへの国際世論の批判は強く、早期の交渉合意は難しい状況だ。
 アザデガン油田は推定埋蔵量260億バレルとみられる中東有数の大油田。2004年に日本の石油開発会社、国際石油開発(INPEX)が権益の75%取得で合意し、日本のエネルギー安定供給の切り札と位置付けられている。
 INPEXはイラン国営石油と開発に着手するための条件面の交渉を続けているが、イランの核開発問題を受けて米国が日本に開発中止を求めたことが影響し、交渉は長期化している。イラン側は契約上の合意期限である15日までに合意できない場合は、交渉先を中国やロシアの企業などに切り替えると警告していた。
(読売新聞)

日本がイランと石油田を共同開発しているという話はずいぶん前から聞いてはいたが、イランの核開発がいま問題になっている時に日本がイランとこのような密接な関係にあることは好ましいことなのだろうか? そしてイランの手先であるヒズボラをレバノンで日本が監視する役目のUNIFILに加わるということはどうも微妙な関係が生まれてくると感じるのは私だけだろうか?
もっともそれをいうなら中国やロシアも同じような立場にあることは事実だが。となってくるとこのUNIFIL軍、ますます期待をかけるのは難かしくなってくるような気がする。


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日本がイスラエルを支持すべき「二つの理由」

外交官で作家の佐藤優氏が書いた興味深いエッセーをみつけた。(妹之山商店街さん紹介)
佐藤氏は、今回のヒズボラによるイスラエル兵拉致は、イランによる揺動作戦だと語る。だが、その理由は最近ヨーロッパ諸国から圧力のかかっているイラン自身の核開発から話題をそらすためというより、イランに長距離ミサイル技術を提供している北朝鮮がミサイル発射によって受け取っている圧力から目をそらすための揺動作戦だったというのである。

レバノン情勢が緊迫している。多くの日本人は遠い中東の出来事と捉えがちだが、実は北朝鮮情勢と深く連動している。

7月5日、北朝鮮のミサイル発射から数日後、中東の友人から「ノドンミサイルの発射場にイランのミサイル専門家が同席していました。イラン人の武器商人もいました。人数は現在までに確認されたところで最低11人です」という連絡があった。7月20日の米上院外交委員会で証言したヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は…『北朝鮮はミサイルに関して、中東諸国と通商関係を持っている』と述べ、北朝鮮からイランなどへのミサイル拡散に懸念を表明した」「同次官補は終了後、記者団に対し、『(情報は)北朝鮮がミサイルを商品化しようとしていることを示すものだ』と強調した」…。
イランのシャハブ3というミサイルが北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」のコピーであることはインテリジェンス専門家の世界では常識だ…

佐藤氏はイランの手先であるヒズボラが、イスラエルのどんな拉致も許さないという性質を見抜いてわざとイスラエルを挑発し、世界の注目をレバノンに集めたというのである。

事実、7月15〜17日のG8サミットでは当初北朝鮮に関する討議が集中して行なわれていたが、情勢緊迫化に伴いサミット後半ではレバノン情勢に関心がシフトしていった。それがなければ、G8は北朝鮮に対してより厳しい姿勢をとったと思われる。結果的に、北朝鮮、イラン、レバノンのシーア派のインテリジェンスが見事な連携を見せたといえる。

私はイランが自分らの核開発に関して国連安保理から経済制裁の条例を言い渡される時間切れが近付いていたことから話をそらそうと、ヒズボラにイスラエルにちょっかいをださせたのではないかとは考えたが、北朝鮮との関係は考えていなかった。
佐藤氏は、イスラエルのどのような拉致も許さないという姿勢を日本も見習って、ヒズボラに対するイスラエルの行動を支持すべきだとし、その理由を二つあげている。

レバノン情勢に関して、日本のマスコミでは、軍事力でレバノンを圧倒するイスラエルに批判的な記事が主流だが、筆者はあえて異論を唱える。本件に関し、所与の条件下で日本の国益を中心に据えて考えるならば、イスラエルを支持すべきである。主な理由は2点だ。

第1に、本件はヒズボラがイスラエル兵士を拉致したことにより生じた。ヒズボラはレバノン国会に議席を有する有力な政党でもある。そのような組織が、拉致に関与したことをレバノン国家が放置していることは許されない。北朝鮮による日本人拉致問題の解決は、日本政府にとっての最優先課題である。いかなる国家による拉致も許さないという毅然たる姿勢を日本政府はとるべきと考える。
第2は、国際社会の基本的な「ゲームのルール」から見てイスラエルの姿勢が正当だからである。イスラエルが、レバノン国家、イラン国家の存在を否定したことはない。これに対して、ヒズボラもイランもイスラエル国家の存在を否定し、その解体を政治目的に掲げている。対等の主権国家によって国際社会が構成されるという国連憲章で定められたゲームのルールに照らした場合、ヒズボラとその背後に控えるイランのイスラエルに対する姿勢は、到底容認できるものでない。

私は特に中東の石油に頼っている日本にとって、イスラエル対イランの戦いにおいて、中立、無関与などといっている余裕はないと語る。

2005年10月26日、アフマディネジャード・イラン大統領は「イスラエルは地図上から抹消されなければならない」と発言している。イラン大統領は公約を着実に履行しているのだ。今回の越境攻撃によって、ヒズボラのナスラッラ書記長はイスラーム世界の英雄になった。

イスラーム過激派が「イスラエル国家を抹消したい」という内在的論理をもつこと自体は、彼らの自由である。しかし、日本がそのような論理に付き合う必要はない…日本では外交官や国際政治専門家の中でも、純正中立が成立すると勘違いしている人がいるが、それは幻想だ…中東の石油資源、(アメリカを通じての)国際政治に与えるイスラエルの影響力を考えるならば、日本はイスラエルか、ヒズボラ+イランのどちらかを選ばなくてはならない。

私はもっと人道的な立場から、テロリストとの戦いに中立はありえないといってほしかったのだが、それでも佐藤氏の見解は一読の価値ありである。是非全文をお読みになることをおすすめする。
イスラエルのヒズボラ攻撃を日本が断固支持すべき 「2つの理由」=佐藤優


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