世代を超えた魅力、ナンシー・ドルー探偵記

私は小学生の頃から読書が非常に好きだったのだが、私の通っていた小学校の図書館にはそれほど価値ある児童書はおいてなかった。しかし中学生になって雨が降ると雨漏りするような木造校舎の二階にあった図書館には古い図書がいくつも置かれていた。そのなかで少女向け探偵小説ナンシー・ドルーは懐かしい。中学校の図書館においてあったナンシー・ドルーはその表紙からどうみても1950年代の再販版で、登場人物の物腰などもかなり古くさい感じのする小説だった。にもかかわらず私はナンシーの頭の良さとその推理力に魅かれて図書館においてあったシリーズは最初から最後まで何冊も続けて読んでしまった。

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ナンシー・ドルー


ナンシー・ドルーが最初に発行されたのは1930年代初期のことである。原作者はキャロリン・キーンということになっているが実はそういう人物は存在しない。この名前はストラトメイヤーシンディケート(The Stratemeyer Syndicate)という出版社が生み出した架空の作家名である。ストラトメイヤーはシリーズ物を生み出す専門家で、複数の作家を起用しながら一つの架空の作家名で出版することで有名である。このシンディケートの生み出した少年用推理小説ハーディボーイズもナンシー・ドルーシリーズと共に世界中の少年少女たちに愛読されている。

このシリーズは時の少年少女らにアピールする目的で書かれているため、時代と共に挿絵や表紙だけでなく、中身も年代にあわせて新しくされ元の筋は保ったまま時代にそった内容に書き換えられている。リンク先のサイトにも最新版の表紙が載っているが、邦訳版の表紙はまるでアニメさながらである。(私としては完全にイメージくずれるのだが)。

最近になって1930年代に書かれたオリジナル編が何冊も再発行され、挿絵も表現もオリジナルそのままのものを私はいくつか今度は英語で読んだ。金融大恐慌の時代に書かれた原作は21世紀の少年少女の世界とは全く違うが、それなりに別の世界をかいま見るようで興味深い。金髪美少女のナンシーは経済が低迷してアメリカの失業率25%という時代に、ロードスターという自家用車を乗り回しベスとジョージという二人の女友達と一緒に高級ホテルで昼食をとるような女の子。優しく頼りになる弁護士の父親と二人暮しで何不自由ない暮らしをしているナンシーの生活は当時本一冊買うこともできなかった少女らの幻想を反映している。

ナンシー・ドルーはこれまでにも何度も映画やテレビでドラマ化されているが、今回はアンドリュー・フレミング監督の最新映画ナンシー・ドリューをご紹介しよう。(公式サイトはこちら

新作のナンシー・ドルー(エマ・ロバーツ)は21世紀の小さな田舎町に弁護士の父親(テイト・ドノバン)とお手伝いさんとの三人暮し。父親がロサンゼルスの大企業の顧問弁護士となるべくナンシーを連れてカリフォルニアへ一時転勤。ロサンゼルスで親子が借りた屋敷は25年前に人気女優が殺され幽霊が出るという噂のある家。ナンシーは父親に危険だから探偵ごっこはしてはいけないと厳重にとめられているのだが、女優の謎の死はナンシーの好奇心をかき立てる。父親との約束をやぶって謎解きをはじめるナンシーの身辺で次々に不思議な事件がおこりはじめる。

ロサンゼルスに引っ越してくると、ナンシーが通いはじめる高校の生徒らは完全に今風のファッションだし、周りの景色も現在のロサンゼルス。ファッションも価値観も古いスタイルで、学力満点、陸上をやれば人一番早いし、大工仕事では男の子たちより手先が起用。何をやっても優等生のナンシーは場違いに浮いてしまうのだがこれは意図的。

私は最初に予告編を観た時、以前に1970年代のテレビ番組を元にしたブレイディバンチの家族のように、周りが21世紀なのにも関わらず自分らだけが1970年代のままというようなコメディタッチの映画になるのかなと思っていた。しかしそうではなく、単にナンシーは古いものが好きなだけで、ちゃんと携帯電話も使うし謎解きにはデータベースのお世話にもなる現代っ子である。

そして、どんな場合でもパニックに陥らずに用意周到機転の効くナンシーは原作のナンシーの精神をそのまま保っている。明かにフレミング監督はナンシー・ドルーのファンだ。ナンシーの魅力は行動力もあり運動神経も抜群だが、決して女の子らしさを失わないことだろう。ナンシーのはにかみやのボーイフレンド、ネッド(Max Thieriot)との淡い関係はまだまだあどけなさが残っている。

それで肝心な謎解きのほうはどうかというと、ちょっと筋が単純すぎる感がなくもない。もっとも原作もアガサ・クリスティーのような込み入った内容ではなかったからこれはこれでいいのかもしれない。

ただ、時代考証がちょっとおかしいなと思われる場面が多い。冒頭で市役所に泥棒に入った間抜けな二人組にナンシーが人質になるシーンでは、ナンシーだけでなく泥棒や保安官及び周りの市民の服装などから一見1950年代を思わせる。私は映画そのものが1950年代を舞台にしているのか、それとも回想シーンなのかなと思っていたら、父親のカーソンが古いロードスターにのりながら、おもむろに懐から携帯電話を持ち出したので、あれ〜?と首を傾げてしまった。

それからロサンゼルスの屋敷で殺人事件が起きたのが25年前という設定になっているから1982年の出来事のはずだが、ナンシーが見つける昔の写真は1970年代頃を思わせる。殺された女優の身の回りの出来事を考えても、舞台を1950年代にして事件が起きたのが1930年代だったことにした方が話のつじつまがあうような気がする。もっともこれは私にとって25年前の1982年なんてそれほど昔という気がしないので、昔の事件の謎を解くとかいわれても神秘的な気にならないというおばさんの偏見なのかもしれない。(笑)

ドルー親子が借りた屋敷も殺人事件のいわれがある屋敷なのだから、もう少し神秘的な雰囲気を持った方がいいのではないだろうか。屋敷のなかで起きる不思議な現象の原因があまりにも早く暴露されすぎてちょっと気が抜ける。もうすこし観客を怖がらせてもいいような気がする。

ロサンゼルスで知り合いになり謎解きに協力する12歳の少年コーキー(Josh Flitter)との友達関係はちょっと不自然。フリッターの演技はいかにも12歳という感じで好感は持てるが無理矢理コメディリリーフをつけたようで演出が行き過ぎ。どちらかというと原作どおりベスとジョージ(Amy Bruckner、Kay Panabaker)と一緒に謎解きに取り組むか、でなければ1930年代の映画のようにボーイフレンドのネッドと一緒に行動するかした方が観客としては納得がいく。

しかし全体的に好感の持てる映画で十代の女の子でなくても十分に楽しめる映画になっている。デートでも家族ぐるみでも安心して見られる健康的な探偵映画である。

途中ブルース・ウィルスのカミオ出演がある。


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10年前にも起きていた中国製医薬品による事故死

最近起きた中国製の薬品を含む歯磨き粉に毒素が含まれていたという事件は実は今回が初めてではなく、中国製の薬品を使って死亡者が出るという事件が10年前にも起きていたとニューヨークタイムスは報道している。
ニューヨークタイムスの記事によると、1997年、ハイチで中国製のグリセリンを成分にした医薬品で何十人という子供が死亡した事件についてアメリカのFDA(食品医薬品局)はこの危険な成分を供給したのはどこの会社なのかという調査をはじめた。アメリカでは中国からグリセリンが大量に輸入されており、歯磨き粉などの日常品に多く使用されていたからである。
しかし、このような危険な製品をなぜ中国の衛生局は安全であるとして輸出したのか、危険な製品の製造元はどこなのかという調査に関して中国政府からはいっさい協力が得られず、独自の調査で突き止めた製造元をFDA捜査官が訪問した時点ではすでに証拠となる書類はすべて処分された後だったという。
問題は中国の製造元が高価なグリセリンの代わりに安価で毒素のあるダイエセリン・グライコール(車などのアンティフリーズに使われる成分)をグリセリンに混入させたことにある。FDAは今後このようなことが二度と起きないように真相を突き止めなければならないと言っていたのだが、真相を突き止めることができないまま10年後に同じ事件が今度はパナマで再発した。なんと中国製の偽グリセリンを使った製品で去年だけでパナマでは100人が死亡したという。そしてこの偽グリセリンは最近アメリカおよび7か国で歯磨き粉などに混入していたことが発覚し前代未聞の大型リコールが始まった。
ニューヨークタイムスが入手した1997年発行のFDA調査報告では中国衛生局のずさんな管理に問題があることが指摘されており、今回の事件は10年前の事件にも関わらず、中国の衛生管理は全く改良されていないことを物語っている。
以前にも中国野菜の危険性について書いた時に指摘したように、中国製の危険な製品を消費者が避けるというのは口でいうほど容易なことではない。例えばこの偽グリセリンにしてもそうだが、ハイチやパナマで起きた毒入り薬品事件は中国の製造元が原因だったが、この製薬会社は医薬品を製造する許可を中国政府から与えられていなかったという。にも関わらず国立の輸出会社はこの製品をヨーロッパの仲買人に輸出。仲買人は製造元を公開せずにそのまま諸外国へ輸出という経路をへているため、最終的な消費者は製品が中国製であることを知らずに偽グリセリンを使用してしまうというという結果を生んだ。この場合、悪の根源は中国国立輸出業者にあるとはいえ、仲買に入っているヨーロッパ業者らの衛生に関する無頓着さの責任も無視できない。
グローバル経済の中、製品はいくつもの手を経るが、その度ごとにもともとの衛生関係の分析書類などはどこかでなくなってしまう。仲買にはいる業者も金儲けだけが目的で最終消費者に与える危険度など全く気にとめていない。パナマの場合は五つ、ハイチの場合は六つの業者が仲買にはいったという。こうやって危険な偽医薬品が世界中に出回ってしまうのである。
毒物の入った食品や薬品の第一犠牲者はなんといっても中国市民だ。以前にも工業用の油が食用油に混じって使われていることが明らかになり、中国市民の間では安全と分かっている食用油を持参でレストランへいく人がいるなどという笑い話にもならない話を聞いたことがある。民主主義国家であれば、こうした危険な製品を製造する会社を市民が訴えるなどして状況を改善していく方法もあるが、共産主義独裁政権がファシズムにかわりつつある中国では政府と企業の癒着による腐敗という問題がある以上、状況が改善される見通しは暗い。
こんな言い方はひどいかもしれないが、中国政府の腐敗が中国だけで問題を起こしているのならまだしも、その腐敗が世界中に与える影響を考えると国際社会は中国の衛生管理を放置しておくことは非常に危険である。中国が衛生管理を改善しない限り、中国製食品及び医薬品の輸入は断固禁止し中国に多大なる経済制裁をして圧力をかけていく努力を世界中がしなければこの問題は解決しないだろう。


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イスラエル占領下のほうがまし、ガザ市民の悲痛な訴え

二月から五か月続いていた長期出張がやっとおわってカカシは昨日帰宅した。最初の数週間のホテル住まいも疲れたがそれでもネットアクセスがあるだけまだましだった。中期から始まった船のなかでの生活は多少のネットアクセスはあるとは言え他の乗組員との共同使用なので自分だけ長々とネットサーフやブログエントリーなど書いてる暇はない。それで長期のアンダーウェイ(航海)が続くと皆、外の社会の出来事に疎くなってしまう。時々ヘリコプターによるメールコールで誰かが新聞をもってきてくれたりすると乗組員の間で取り合いになる。かくいう私も普通なら絶対読まないロサンゼルスタイムスを、ゴミ箱に無造作に捨ててあるのを引っ張り出してむさぼり読んでしまったくらいだ。乞食には選択の余地はない。(笑)
さて、第一面でひときわ目立っている事件といえば、なんといっても中東のいざこざだろう。特にガザの状況は深刻だ。ガザではファタ勢力が惨敗し事実上ハマスの独裁統治が実現したようである。ただ西岸はファタ派の勢力が圧倒的に強いため、パレスチナはガザのハマススタンと西岸のファタススタン領に別れるのではないかという見方が強まっている。アメリカ政府もこの路線で政策をたてているようだ。(以下2007年6月16日付け読売新聞より)

米、ハマスのガザ統治容認…「西岸優先」策推進へ

 【ワシントン=貞広貴志】米ブッシュ政権は、ハマスによるガザ統治を事実上容認し、アッバス議長が押さえる“ハマス抜き”のヨルダン川西岸を集中的に支援する「西岸優先」策を推進する構えを見せている。
 15日付の米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、ライス米国務長官は14日、アッバス議長による非常事態宣言に先立つ電話会談で、議長の行動を支持すると表明。米政府はその後も、議長を「パレスチナの正統な権威」と繰り返している。
 対照的にハマスに対しては、「ガザ住民を養うことは、今やハマスの責任」(マコーマック国務省報道官)と圧力をかけ始めた。
 ハマスを「テロ団体」と見なす米政府にとって、「挙国一致内閣」は関与しにくい存在だったが、今回の紛争で「西岸=ファタハ」「ガザ=ハマス」の住み分けができれば、再び議長支援の道が開ける。ハマス支配のガザ地区が国際支援を失ってさらなる窮状に陥れば、ハマスの勢力低下につながるとの読みもある。(注:強調はカカシ)

しかし迷惑なのはガザのパレスチナ市民たちだろう。ハマスは単なる愚連隊の集まったテロ集団であって政(まつりごと)の出来るような政権ではない。ガザの日常生活に必要なインフラが崩壊するなか打倒イスラエルを唱えてはガザ内部で抗争するしか脳がない奴らである。これならイスラエルの支配下にあったほうがよっぽどもよかったと言う悲痛な声がパレスチナ市民のあいだからあがっている。イスラエルのブロガー、イヨーニ(Yoni The Blogger)がイスラエルニュースの記事を紹介している。

「大きな声では言えないんですが、下手すると処刑されるかもしれないので、でも私を含めて多くの人たちがイスラエルが戻ってきてくれた方がいいと考えてます。そのほうが今の状態よりはよっぽどもましです。」とガザ在住のイスラミック大学の女子大生、サマラさん(仮名)は言う。

最近ハマスによって占領された元ファタ本拠地近くに住むサマラさんによると、ガザ内部では恐怖が蔓延し武装勢力や軍人以外は誰も外出しないという。
「子供たちはいつも脅えています。」とサマラさん。「私の甥たちは『どうしてイスラエルは撃ってくるの?』と聞くので『撃ってくるのはパレスチナ人だよ』と答えると、『どうしてパレスチナ人が撃ってくるの?』と聞くのです。私には答えるすべがありません。」
「家には食べるものがありません。もう何日もスープと缶詰だけの生活です。 電力もなければ水の供給すらありません。医療品や衛生上の必需品などとんでもありません。」とサマラさんは説明する。

このブログでも何度か紹介したアドベンさん(adventureoftheultraworld)というイスラエル在住の日本人学生も同じことを書いている。

ハーレツのDanny Rubensteinが困惑気味に「ハーレツには『どうか再度占領し、私たちをハマスから救ってください』というガザ住民からのメールがいくつも届いている」と書いていた。

以前から何度も書いているように、私はイスラエルによるガザ入植者撤退には賛成だった。それはイスラエルがパレスチナ難民キャンプから撤退すればガザが平穏になるなどという幻想からではなく、現在起きているような状況が起きるに違いないと予測してのことである。
私は最初からパレスチナのテロ集団に領地の統治など出来るはずがないと踏んでいた。だが、イスラエルがガザを占領している間はパレスチナ人に起きる全ての不幸がイスラエルのせいだと言う口実をあたえてしまう。だから私は、イスラエルが完全撤退してパレスチナ人の生活が地に落ちれば、その時こそパレスチナ庶民は自らが選んだハマスという勢力がどれだけ身勝手でパレスチナ人の生活やパレスチナ領の独立などには無頓着かということを実感するだろう、イスラエル打倒だけを唱えていても自分らの幸せにはつながらないということが分かるようになるだろうと考えたのだ。パレスチナ人による独立政権を設立するためには、パレスチナ人たちが先ずテロリズムを完全拒否するところからはじめなければならないからだ。しかし今の状況を見ていると実際にパレスチナ難民キャンプが独立に向かう道はまだまだ遠い。
イスラエルがガザを再び侵攻する可能性についてアドベンさんは、「イスラエル軍がシリアへの警戒を強めている中、ガザへの大規模侵攻は考えにくい」としているがそれはどうなのだろうか?
イスラエルがシリアとガザという二つの戦線に巻き込まれる可能性については回を改めて書くつもりだ。


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高まるイギリスの反ユダヤ思想 その2

さて、昨日に引き続きイギリスで起きているイスラエルボイコット運動についてお話しよう。今回はジャーナリストたちによるイスラエルボイコットである。これについて政治的にはかなりリベラルで左よりだが、ことイスラエルに関しては正当な意見を述べているユダヤ系アメリカ人弁護士のアラン・M・ダーシュウィッツ氏(Alan M. Dershowitz)のコメンタリーから読んでみよう。

最近投票されたイギリスの全国ジャーナリスト協会(NUJ)の偽善はベネズエラの独裁者ヒューゴ・チャベズの反左翼政府メディアを弾圧する方針に全く沈黙しながらイスラエルだけをボイコットするという提案によって完全に明かになった。 パキスタンのムシャラフも多大なるメディア弾圧をおこなっている。左翼が好むキューバ、中国、イラン、北朝鮮、そしてズィンバブエといった国々では日常的にメディアが弾圧されジャーナリストが拘束されるなど普通である。しかしこうした民主主義や自由主義を弾圧し独裁政権をもつ国々に関しては、崇拝するかのように、イギリスのジャーナリスト協会からは一言の苦情もでない。世界でも数少ない報道の自由を保証しているイスラエルだけが、処罰の標的になるのだ。アラブ人やイスラム教徒のジャーナリストでさえイスラエル国内では他のアラブ諸国よりもよっぽども自由である。パレスチナテロリストがジャーナリストを殺害したり誘拐したりして脅迫しているというのに、イギリスのジャーナリスト協会は言論の自由を弾圧するハマスに牛耳られているパレスチナ政権を(批判の対象から)除外する。その理由は明らかだ。イギリスのジャーナリスト協会はジャーナリストの報道の自由を保証することなどより、ユダヤ民族国家を盲目的に糾弾することしか興味がないのだ。

全く同じことがイスラエルの学識者をボイコットする投票をしたイギリスの大学短大協会(UCU)にも言える。(中略)イスラエルはアラブやイスラムのどの国よりも世界のほとんどの国よりもイスラム教徒やユダヤ教徒に同じように学問の自由が認められている国だ。 イスラエルの科学者が人口比率からいえばどこの国よりも多くの救命医学を開発している。にもかかわらずイギリスの学会はイスラエルだけをボイコットするというのだ。これも学問の自由や科学的研究を守るなどという建前とは全く関係がない。これはすべて反イスラエルという差別意識によるものだ。

これじゃあまるでナチスドイツが「ユダヤ科学」と言ってドイツからアインシュタインを初め多くのユダヤ人科学者を追い出したのと全く変わりがないではないか。
しかし、イギリスのこのあからさまなイスラエル差別は世界中の科学者から反感を買っている。何千というアメリカの科学者たちは自分達は名誉イスラエル人であるとして署名を集めイスラエルの学者がボイコットされる集会には参加しないと宣言した。
現にノーベル賞受賞者のテキサス大学のスティーブン・ウエインバーグ教授(名前からいって多分ユダヤ系)は7月に予定されていた帝国ロンドン大学への訪問をキャンセルした。その理由について教授は次のように語っている。

人によってはこうしたボイコットはユダヤ民族に向けられたものではなく、単にイスラエルに向けられたものだとおっしゃるでしょう。しかし歴史的にイスラエルに向けられてきた攻撃や、弾圧的な中東諸国のことを考えた場合、イスラエルをボイコットすることは道徳上の盲目を意味しアンティセメティズム以外のどんな理由も考えられません。(但一つ考えられる他の理由はイギリス国内のイスラム教徒に対する迎合くらいです。)私はこのような傾向はガーディアン紙や、インディペンデント紙やBBCの報道に反映しているのをこれまでにも度々見てきました。ですからNUJがこのような行動をとることには別に驚きません。

しかしイギリスによるこのようなボイコットはかえって世界からイギリスのジャーナリズムや学会がボイコットされる結果になるのではないだろうか? 少なくともユダヤ系科学者の多いアメリカの学会を怒らせることはイギリスの学会にとってはかなりの痛手となるはずだ。
そうなったら自業自得だ。


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高まるイギリスの反ユダヤ思想

私の好きなイギリスのネオコンコメンテーター、メラニー・フィリップス女史が数回にわけてイギリスで高まっている反ユダヤ人思想について語っている。題して対ユダヤ人戦争(The war against the Jews)。
フィリップス女史によると、Bournemouth で先日行われたUniversity and College Unionというイギリスの大学と短大の学識者が設立した集会で、代表者たちは158対99でイスラエルの教育部門を国際社会の学問の世界からボイコットしようということで意見が一致した。彼等のいい分はイスラエルが昔の南アフリカのようなアパルタイト国家であるというものだ。
この集会を行ったUCUというグループはイギリスでもかなり左翼よりの学識者の団体のようだが、彼等の反イスラエル見解はアラブ社会が周到に広めている歴史の書き換えやパレスチナが一方的な犠牲者であるというプロパガンダを鵜呑みにしたものであり、調べればすぐに分かるような明らかな嘘をそのまま繰り返しているという。

アパルタイトとの比較など無論根拠のない醜悪な嘘である。そして実際にアパルタイトを体験したアフリカ人への侮辱でもある。このような比較はアパルタイト否定論とさえ取れる。しかし真実は反イスラエル派にとって意味のないものだ。彼等にとってはパレスチナの悲惨な運命はイスラエルのせいであり、イスラエルこそが攻撃者であり、パレスチナが犠牲者なのだ。真実はパレスチナこそが攻撃者でありイスラエルこそがテロ攻撃や自爆テロそして1400ものロケット弾を打ち込まれている被害者であるにも関わらずだ。イスラエルはパレスチナ独立を阻止しているかのように責められているが、実際には1937年、1948年、1967年、そして2000年と数度に渡ってパレスチナ独立に合意してきた、それをその度に拒絶して、イスラエル崩壊を唱えているのはパレスチナの方なのである。

イスラエルはアパルタイト国家だの民族浄化だの大量殺害だのと責められている。しかしイスラエルではアラブ人の学生がイスラエルの大学で学び、国会に議席をもち裁判所にも出席できる。そしてイスラエルの病院が一日たりともガザ内部紛争で負傷したパレスチナの子供たちを治療しない日はない。イスラエル市民の大量殺害を唱えているのはイランであり、独立したパレスチナ領ではユダヤ人の居住は許されないという民族浄化を唱えているのはパレスチナの方なのだ。(ボイコットを薦めている学会では新しく設立されるべきパレスチナ領にユダヤ人の居住区は全く認めていない。)

しかしUCUのメンバーたちはこのダブルスタンダードがアンティセメティズムと呼ばれるユダヤ民族差別ではないと主張している。「私は反シオニズムであり反ユダヤではない」とか、「イスラエルを批判しているのであってユダヤ人を差別しているのではない」といういい方はもう何十年も前から人種差別主義者の間で使われてきた建前上のごまかしに過ぎない。彼等のいってることをちょっと掘り下げればそこには根深い反ユダヤ民族への差別意識が必ず見つかる。もし民族浄化や大量殺害が悪行だから批判されなければならないというのであれば、なぜイスラム教徒がアフリカのダルフールで行っている民族浄化および大量虐殺が話題にされないのだ? なぜ派閥が違うというだけで殺しあいをしているパレスチナの武装勢力は罰せられないのだ? 毎日のようにイスラエルに打ち込まれるロケット弾はなぜ批判されないのだ? イスラエルのやっていることと比べたらこっちのほうが数百倍も悪いではないか。イスラエルをボイコットする暇があったら世界中で起きている悪行からまず取り組むべきだ。それをせずにイスラエルのあら探しをしてはイスラエルだけを罰するのはアンティセメティズム以外の何ものでもない。
イギリスでは数日中に「もうたくさん!」というスローガンで反イスラエル集会が行われる。しかしこの集会でハマスとファタ同士の殺しあいを「もうたくさん!」と批判する計画は提案されていない。


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トム・クランシーが予測できなかったイラク・イラン情勢

私は軍事オタクなのでトム・クランシーの著書が好きである。今年のはじめから日米開戦とその続編の合衆国崩壊を読んでいる。今読んでいる合衆国崩壊は1996年に書かれたものだが、冒頭の旅客機突撃テロから始まってイラク紛争へと展開する内容が911テロ事件から始まったイラクとの戦争という現在の状況と非常に重なる部分があって興味深い。その内容は本の帯に書かれた説明によると、、

日本ジャンボ機によるカミカゼ攻撃で崩壊した国会議事堂とともに、合衆国政府首脳は全滅した。呆然としながらも、二度目の建国という途方もない重責を果たす決心をしたライアン新大統領。一方イラン最高指導者ダリアイは、大統領が暗殺されて無政府状態となったイラクに侵攻し、イスラム連合共和国を作り上げた。最大の危機に見舞われた祖国を救うために、ライアンは孤軍奮闘する。

まず国会議事堂に突っ込んだカミカゼ攻撃はイスラム教徒によるテロではなく、前作の日米開戦で弟を失った旅客機パイロットの単独行動だったのだが、トム・クランシーがテロリストが旅客機を使ってアメリカを攻撃する可能性を911が起きる7年も前に考えていたということはおもしろい。テロリストはクランシーの小説を読んだのだろうか?
クランシーは中東を非常に理解している人間の一人ではあるが、彼でさえも1996年の段階でイラクやイランの関係を正確に把握できていなかったことがこの小説を読むと明らかである。無論当時中東の人間以外でイランやイラクといったイスラム教社会をきちんと理解できていた人間などどれだけいたのか疑問だが。
ネタばれ警報!!!!!
ここでちょっと最初の方の筋を明かすので、多少でもネタバレがあるのが嫌な人はここから先は読まないように。
話の本筋はイランの最高指導者ダリアイがイラクのサダムフセインを暗殺し、イラク政権のリーダーたちを買収してイラクから脱出させ、残った中堅の軍人や民間の政治家を大量処刑してイラクを乗っ取りに成功するというところからはじまる。クランシーはイラクもイランもシーア派であるからこの移譲は案外容易く行われるだろうと考えたのだろう。しかしフセイン政権を倒したアメリカが体験して分かったように、イラクという国はそんな単純な国ではない。
シーアといってもいろいろあり、アラビア人のイラク市民はペルシャ人のイランからは蔑まれており、イラク人はそのことでイラン人を快く思っていない。我々は忘れがちだがイスラム教社会では民族間の差別意識は我々が考えるほどずっと激しいし、ライバル意識も並大抵のものではない。
以前にアフガニスタンがソ連と戦っていた頃に後にタリバンに対抗して北同盟になったムジャハディーンのキャンプで取材をしていたアメリカ人記者がこんな話をしていた。アフガニスタンの部族はアラブ人ではないという意識が強いらしく、ソ連を戦うために諸外国から助っ人に集まった外国人戦士らを「アラブ人」と呼んで嫌っていた。この記者はこのアフガン人のこの部族と何か月も共同生活をしていたため部族の一員として認められるほどになっていた。そこへアラブ人の助っ人が現れ、キャンプにアメリカ人がいることに抗議した。すると部族の一人で記者と特に仲の良かったアフガン人が「おい、あのアラブ人殺してやろうか?お前がいやなら殺してやるよ。」と気軽に提案したという。記者は慌てて気にしてないからいいよと断ったそうだが、彼等の忠誠というのは非常に小さな部族単位のものであり、同じ宗教だとか同じ宗派だというだけで簡単に団結するなどというほど洗練された高度な文化ではないのである。
シーア派民兵の代表面をしているモクタダ・アルサドルでさえ、民兵全体をまとめる力などない。シーア派民兵はマフディとバーダーの二つに別れており、マフディ軍内部でも勢力争いがたえない。当初反米ということで一応協力関係にあったスンニ派の外国人テロリストのアルカエダとイラク人反乱分子も最近ではお互いに殺しあいをしている。
イランにはアメリカのような強い正規軍もなければ経済力もない。やたらにフセイン政権を倒してイラクを制覇しようなどとすれば、とたんにイラクのあちこちで起きる勢力争いに巻き込まれてイランそのものが破綻してしまっただろう。
ところでクランシーのイスラム教観察にはなるほどと思えることがいくつかある。その一つにイスラム教の法律であるシャリアの限界だ。例えばユダヤ・キリスト教の基本は十戒だが、十戒の教えは「汝〜をすべからず」という禁止の教えだ。ということは時代とともに変わっていく生活環境のなかでも十戒で「すべからず」と禁じられていない限りはやってもいいという柔軟性がある。またユダヤ教のタルムードというユダヤ教解釈を論じる文書では、昔はあてはまったことでも今現在の世の中にはあてはまらないこともあるという概念がきちんと記載されているため、ユダヤ教徒は「現代社会にはそぐわないから」といってタルムードの教えにひとつひとつ従わなくてもいいといういい加減さがある。(笑)聖書にしろタルムードにしろ何年にも渡って何人もの著者によって書かれているからあちこちで矛盾が生じているわけで、すべてに従うことなど不可能なのだから、この解釈は非常に重要だ。
ところが、私の理解した限りにおいて、コーランは「汝〜をするべし」という教えのようだ。そしてそこに書かれていないことはやってはいけないという解釈が強いらしい。しかし7世紀に書かれたコーランでは、現在の技術の発展は考慮に入れられていないわけだから、例えば女性は車を運転すべきなのか、といった問題には答えられない。
下っ端の役人は交通規則や服装基準にいたるまで、日常の細い判断をシャリア法に違反しないように判断するなどという責任を負うことはできない。なぜなら間違った判断したら最後、シャリアに逆らったとして厳重な罰を受けかねないからだ。ということは自由社会ならば地方レベルで解決できるお役所仕事が中央レベルでいちいち判断されなければならないという問題が生じる。非常に非能率的なシステムである。個人が個々の判断をすることを勧めない文化は発展しない。自由主義を用いないイスラム教諸国を見ていれば一目瞭然だ。
ここでもうひとつイスラム教の決定的な弱点をあげておこう。イスラム教は利子をつけた金の貸し借りを認めない。これでは資本主義の基礎である投資は不可能だ。
だから私はシャリア法が一部の過激派によって一時期人気を得たとしても、これが世界制覇をすることはあり得ないと考える。ソ連の共産主義がそうであったように金融機関が利益を得られない社会に経済発展の未来はない。しかもイスラム教諸国にはソ連のような組織力もない。といって私はこの社会の脅威を過小評価してもいいといっているわけではない。イスラム社会には我々にはまだまだ理解できないことがたくさんあるのだから。


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レバノンとガザ、暴力続くパレスチナ難民キャンプ

この間からずっと続いているレバノンとガザにおけるパレスチナ難民キャンプの状態は悪化する一方でまるで落ち着く様子が見えない。
まずはレバノンからYa Libnanより。

レバノン軍はアルカエダに感化された武装勢力が立て籠っているナハー・アルバレッドに引き続き攻撃を続けており、土曜日(6/9/07)の激戦では三人の兵士が戦死したと警備当局は語っている。

当局によるとマシンガンと砲弾を含めたキャンプの境界線で行われた早朝の戦いで21人の兵士が負傷した。…
「陸軍は民兵が軍隊を標的にしている位置の押さえようとしている」と軍関係の人間は語った。
「民兵らは時々攻撃を激化させ、また時々狙撃攻撃のためこれらの拠点を使っています」と関係者。
五月二十日に始まったこの戦闘で、すでに50人のレバノン兵と38人の民兵を含む少なくとも118人の死者が出ており、1975年から1990年まで続いた内乱以来、レバノン最悪の暴力沙汰となった。
人口比率の割合でいくとレバノンがたった三週間で失った人の数はイラク戦争4年間で失われた数よりも割合が高いという。

しかしアメリカの主流メディアがレバノン紛争は「泥沼化」しているとは報道しない。(笑)さて、パレスチナ難民キャンプの紛争といえば相も変わらずガザでは殺しあいが絶えないが、殺しあいをしているのはイスラエル軍対パレスチナテロリストどもではなく、パレスチナ内部のファタ対ハマスの勢力争い。(以下時事通信より

【エルサレム6日時事】パレスチナの人権団体PICCRは6日、ガザ地区を中心に続くアッバス自治政府議長の支持基盤ファタハと自治政府を主導するイスラム原理主義組織ハマスの抗争などパレスチナ内部の治安悪化により、昨年1月から今年5月までに600人以上が死亡したとする報告書を発表した。

また7日のBBCの記事によれば、ここ数日だけですでに50人が殺されているという。この数はイスラエル軍が時々標的をしぼって空爆する時に出るような犠牲者の数を大幅に上回る。
むろんその間にもイスラエルへのロケット攻撃はずっと続いている。
中東で問題を起こすのは常にイスラム過激派のジハーディストである。にもかかわらずBBCを初め国際メディアは常にイスラエルのあら探しばかりで、ジハーディストへの批判はしない。中東で罪のない市民を一番苦しめているのはいったい誰なのか?宗派が違うというだけで殺しあいをしているのは誰なのか?
今日こんにち、イスラエルという国がこの世から消え去ったとしても中東に平和など訪れないが、反対にパレスチナ民族がこの世から消え去ったなら、中東はどれだけ平穏になることだろう。私は人種差別で言っているのではない。パレスチナ難民やジハーディストたちが生まれつき心が腐っているとは思わない。私が嫌っているのは彼等の暴力を奨励し破壊を尊ぶ文化なのだ。
私はブッシュ大統領がイラクに民主主義を広めることで、中東の平和を築き上げようという計画には当初半信半疑だった。アメリカが他国に自分らの価値観を無理矢理暴力で押し付けることが懸命なやり方なのだろうかと自信がなかった。だが今私は確信する。アメリカはジハーディストの破壊的で暴力的な文化が世界制覇をする前にアメリカの自由な文化で世界制覇をすべきなのである。我々は正しい。我々の文化は彼等のそれに比べて優秀なのだ。そのことを謝罪する必要はない。
多様文化主義などくそくらえである。世の中には悪い文化と善い文化とが存在する。我々自由主義社会の文化は善い文化なのであり、断固これを広めるべきだ。
「でもカカシさん、あなたの正義とは世界がアメリカのような国になることなのですか?それってずいぶん手前勝手でごう慢じゃありませんか?」という批判もあるだろう。
だがそういう人たちに私は問いたい。世界がアメリカのようになるのと、パレスチナ難民キャンプやタリバン支配のアフガニスタンのようになるのと、あなたならどちらを選びますか?


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米統合参謀本部議長が更迭されたという歪曲報道

まったく何時ものこととは言え、この偏向ニュースのわい曲にはあきれる。まず6月9日付け読売新聞の記事から

米統合参謀本部議長、大統領が事実上の更迭

 【ワシントン=坂元隆】ブッシュ米大統領は8日、米軍制服組のトップで9月末に任期の切れるピーター・ペース統合参謀本部議長を再任せず、後任にマイケル・マレン海軍作戦部長を指名するとの声明を発表した。
 統合参謀本部議長が1期2年で退任するのはきわめて異例。ゲーツ国防長官は記者会見で、「ペース氏を再指名すると、上院の指名承認公聴会で過去のことで議論が百出し、国のためにならないと考えた」と述べ、泥沼化するイラク戦争の責任者の1人だった同氏を事実上更迭したことを明らかにした。ペース議長の退任にあわせ、副議長も交代し、ジェームズ・カートライト戦略軍司令官が後任に指名される。(強調はカカシ)
 ペース氏は2001年の米同時テロ直後から統合参謀本部の副議長を務め、アフガニスタンやイラクでの戦争遂行に深くかかわり、2005年9月に海兵隊出身としては初の議長に就任した。マレン氏は欧州駐留海軍司令官などを歴任した後、05年7月から作戦部長を務めている。

まったく左翼メディアは『泥沼化』という言葉が好きだ。何せイラク戦争が始まった二週目からすでに泥沼、泥沼、と騒ぎ立てているのだから今さら泥沼もなにもないだろうに。イラク戦争は100%成功しているとは言わないが、失敗しているわけではない。2月から始まった新作戦は遅いペースとはいえ進歩を見せている。そういう中で戦争の当初から関わってきたペース将軍を再任することは承認公聴会で民主党から袋だたきにあうだけだ。なにせブッシュ政権の任期は後2年足らず。戦争も過渡期を迎えており今が肝心な時。ここで大事な総合参謀本部議長の承認で手間どっている余裕はないとブッシュ政権は踏んだのだろう。ペース将軍が責任を取らされこう更送されたというわけではない。
民主党が多数議席を占めていることの悪影響がここで現れているわけだが、法務長官のアルベルト・ゴンザラスの場合はあまり効力のない長官として保守派の間からは批判も多いが、ここで民主党のいいなりになって辞任させれば後任には民主党が好む左翼よりの人間以外承認されない危険があるため、ブッシュ大統領はたとえゴンザラス長官をやめさせたいと思っていたとしてもそれができないという事態が生じている。
アメリカの大統領には非常な権限があるとはいえ、議会が反対党の場合には大統領の力にも限りがあるわけだ。やはり次回はなんとかして共和党の大統領に共和党の議会という具合に持っていかなければならない。そうでないととても効果的な政治は望めなくなる。


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イラン対アメリカ事実上戦闘状態

The Fourth Railのビル・ロジオによるとイラク内部においてイラン軍の特別部隊クッズ(Qods)とアメリカ・イラク連合軍は事実上すでに戦闘状態にあるようだ。
我々はもう一年以上も前からイラン政府がスンニとシーアの両方に資金及び武器援助をしてきていることは知っていたが、最近ではイラン軍の部隊そのものがイラクに潜入し直接アメリカ軍と交戦することが多くなっている。
今年の一月にカルバラで連合軍の基地がアメリカ軍に化けたテロリストらによって襲われ五人のアメリカ兵が拉致された上に殺された事件を読者のみなさんは覚えておられるだろうか?当時その洗練された攻撃からいってアルカエダのテロリストではなくイランの特別部隊によるものではないかと疑われていたが、衛星写真によってイラン国内にカルバラ基地の模型が存在することがはっきりした。どうやらイラン軍はこの建物を使って基地攻撃の訓練を行っていたようだ。
多国籍連合軍は4月の終わりからイラク国内にあるイランの秘密基地を攻撃し、すでに25人のメンバーを殺害、68人を拘束した。これらのメンバーはイランでクッズ特別部隊から直接訓練を受けきたシーア派テロリストたちで、イランの飼い豚サドルとも深い関係があるが、マフディ軍のなかでも過激な人間が集まったテログループらしい。彼等は協力な破壊力を持つEFPを使うことで悪名が高い。
ペトラエウス将軍の話ではすでに連合軍はSheibaniとQazaliというテロネットワークにたいしての攻撃について17回以上公式発表をしている。
しかし、アメリカ軍が直接イラン軍の特別部隊から攻撃を受け、しかも戦死者まで出しているということがはっきりしているなら、どうしてアメリカはイランに対して何らかの強行手段をとらないのであろうか? いくらイラク内部でテロネットワークに手入れをしてみても、イランからいくらでも資金、訓練、武器援助があるのではいつまでたってもいたちごっこである。
ベトナム戦争当時もカンボジアから攻めてくるベトコンをアメリカ軍がカンボジアまで追いかけていくことが出来ずにニクソン大統領がカンボジアまで戦闘を拡大するまでアメリカ軍はみすみす国境を越えていくベトコンを見逃さねばならない状態が続いた。イラクのイラン情勢にしろ、アフガニスタンのパキスタン情勢にしろ、この国境を超えたテロ攻撃が連合軍の行動を不必要に規制している。
アメリカにはイランを攻める覚悟があるのだろうか?


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カリフォルニアの中国人家族スパイ活動を認める

以前に暗躍する中国人スパイで紹介した米国籍を持つ中国人スパイの話を覚えておられるだろうか。7日の大紀元時報によると、その家族もスパイ行為を認めて拘束されたとある。

 【大紀元日本6月7日】米国の報道によると、スパイ罪が成立した米国籍華人・麦大智被告の家族は、中国当局に米国の国家機密を漏洩したことに関与したと認めた。専門家は、今回の摘発は氷山の一角に過ぎず、中国当局による米国でのスパイ活動は盛んに行われていると警鐘を鳴らした。

 BBCの報道によると、米国連邦検察官は、犯罪事実を認めたのは麦大智・被告の3人の家族と明らかにした。被告人の弟の麦大泓(音読み、別称、Tai Mak)氏や、その妻の李福衡(音読み、別称、Fuk Li)、その息子の麦友(音読み、別称、Billy Mak)である。
 検察官によると、米国国籍を取得した麦大智・被告は、勤務先の米国国防業務を請け負う企業Power Paragon社から数千ページの資料を入手し、その写しを弟の麦大泓・容疑者に介して、中国当局に渡した。
 裁判所の証拠資料によれば、中国の正体不明の共謀者が麦大智・被告に必要とする米国国防情報のリストを渡し、その中に、原子力潜水艦の研究資料などが含まれている。同被告は、1983年から米国の新型駆逐艦やイージス・システムなどの科学技術情報を中国当局に提供し始めたのを認めたという。
 報道では、麦大智・被告が現役中、または開発中の軍艦に関する技術資料を収集し、その妻と一緒にこれらの資料をディスクに収録したと報じている。
 検察官からの資料によれば、これらのディスクは後に麦大泓と李福衡両容疑者の荷物から発見された。発見当時は、彼らはロサンゼルスから中国行きの飛行機に乗ろうとしているところだった。
 麦大泓と李福衡両容疑者はその場で逮捕された。また、麦大智被告とその妻もカリフォルニア州の自宅で身柄拘束された。

ところで中国人スパイといえば、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの在外中国人団体には中共のスパイがうようよしていて、現地国の政治家などの弱みを握って中国の政治活動に悪用しているという話を陳さんとこの紹介で読んだ。これも大紀元時報の記事だが、

【大紀元日本6月9日】2年前に豪州政府に政治亡命した駐シドニー中国領事館の元政治参事官・陳用林氏(39)は6月6日、オタワのカナダ議会での記者会見の席で、中国当局はカナダで広範囲にわたるスパイ組織を構築し、駐カナダの華人団体を影で支配し、反体制勢力を抑圧させていると暴露した。欧米国家の政界要人の中で、中国当局に弱みを握られているため、脅かされ協力させられている者もいると明らかにした。…
 陳用林氏は、カナダを含め、各国の華人団体、例えば華人団体聨合会(略称、華聨会)、あるいは華人団体総会、中国平和統一促進会など、ほとんどは中国当局が背後で操縦し、結成させたと指摘し、カナダでの実例を挙げて説明した。「カナダでは、全カナダ華人聨合会(National Congress of Chinese Canadian, NCCC)という華人団体が存在、その団体はカナダの中国スパイ組織の最上部である。そのほかにも、豪州や米国、カナダなどの大学に置かれている中国学生会について、大半は中国教育部が設立し、当局の海外機構が資金援助している」と明かした。…
中共に弱みを握られ、協力者になるのを強要される欧米の政界要人
 欧米の政界要人や政府関係者への中国当局による工作方法について、陳用林氏は実例を挙げ、以下のように説明した。
 「豪州のある議員は、中国を訪れる際に、16歳未満の少女と性的関係を持った。後に身柄が拘束され、取調べを受け、自供記録が作成され、すぐに秘密裏に釈放された。その後、この議員は頻繁にテレビや、その他の公の場で、中国共産党(中共)政権を擁護する発言をした。他国の重要人物が中国を訪問する際、必ず監視されている。必要があれば、中国当局は罠を仕掛け、ターゲットを陥れる」

慰安婦問題でアメリカの下院議会にくだらないジャパンバッシングの提案をしたマイク本田なんていう米議員もこの口じゃないのかね。


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