May 12, 2007

日米で暗躍する中国人スパイ

数週間前に日本で中国人妻を持つ海上自衛隊の海曹が秘密データを持ち出していた事件が取りざたされた。

海自秘密持ち出し 2曹聴取、妻は中国人

(2007年3月30日掲載)

 海上自衛隊第一護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」乗組員の男性二等海曹が、防衛省が秘密に指定している護衛艦のレーダーのデータなどを記録したフロッピーディスク(FD)を自宅に持ち出していたことが29日、分かった。

 二曹の妻は中国人で、神奈川県警が今年1月に入管難民法違反の疑いで妻を逮捕し、二曹の自宅を家宅捜索した際、FDなどを発見、押収したという。

 捜査当局は情報が外部に漏えいした可能性もあるとみて、自衛隊法違反(秘密漏えい)などを視野に入手経路や目的などを慎重に調べている。海自も二曹らから事情を聴いている。二曹は、海自の内部調査に対し、外部への情報提供などは否定しているという。

 関係者によると、二曹はしらねの乗組員で機関を担当。FDに記録されていたのは、護衛艦のレーダーのデータや、通信関係の周波数などで、二曹は職務上接する立場にはないという。

ジャパンタイムスの記事では去年8月にも別の海上自衛隊員が外国の潜水艦に関するデータをコピーして自宅へ持ち帰っていたと報道している。この水兵はカラオケバーで働いていた中国人ホステスにあうため上海にしょっちゅう訪れていたという。どうも日本人は中国版マタハリに狙われているようだ。

日本はアメリカから軍事技術を多く購入しているため、これらの自衛隊員が持ち出した情報は結局はアメリカの軍事技術情報ということになる。いくらアメリカが日本へは旧型のものを売っているとはいえ、最新鋭の武器とそれほど変わりがあるわけではない。中国がその情報を元に新兵器の情報を得ることくらいさほど難かしいことではないはずだ。

しかもアメリカには中国系のエンジニアがわんさかおり、彼等の多くがアメリカの防衛関係の産業につとめている。

つい先日もアメリカはカリフォルニアでそんな中国系アメリカ人がスパイ容疑で有罪になった。いや正確には輸出法に触れるという罪だが、やったことはスパイ行為である。以下CNNの記事より

中国系エンジニアに有罪評決 軍事技術情報を持ち出し

米カリフォルニア州サンタアナ(2007.05.11AP) 勤務先の軍事関連企業から米海軍の潜水艦技術などに関するデータを持ち出し、中国に提供しようとしたとして、当地の連邦地裁に起訴されていた中国系米国人、チー・マック被告(66)に10日、有罪の評決が下された。

マック被告は中国生まれで、米国に帰化している。エンジニアとしてパワーパラゴン社に勤務しながら、数年間にわたって同社の機密書類数千ページのコピーを取り、弟を通して中国当局に流していたとして、スパイ罪などに問われていた。05年、データの入ったCDや書類を持って香港行きの飛行機に乗ろうとした弟らが連邦捜査局(FBI)で逮捕され、被告自身もロサンゼルス市内で逮捕された。

捜査当局によると、マック被告は逮捕直後の取調べに対してスパイであることを認め、中国当局側の窓口となっている人物を明かしたとされるが、同被告は「自白していない」と主張してきた。被告はさらに、「弟に渡したのはすでに国際会議で発表されていた論文。コピーを取ったり国外へ持ち出したりすることが違法だとは思わなかった」と述べた。

どうも家族ぐるみのスパイ行為らしい。弟に続いて兄のマックも裁判にかけられる予定である。兄のマックは1960年代に中国からイギリス圏の香港へ渡り後にアメリカに移住していた潜入スパイだったとアメリカ当局は語っている。

アメリカでは以前にもロスアラモスにある核兵器研究所に勤める中国系エンジニアによる秘密漏えいが問題になったことがある。容疑者のウェン・ホー・リーは秘密情報をよそからアクセスできる秘密指定のないコンピューターにコピーしたことは認めたが、スパイ容疑については否認。捜査の失態で確たる証拠を得ることが出来ずに無罪になっていた。

戦後60年以上もたって平和ぼけした日本では、自衛隊組織そのものの警備への姿勢がいい加減なのかもしれないが、911以後のアメリカでそのようなスパイ行為が簡単にされてしまう言い訳とは何なのだと聞きたい。

問題のひとつにアメリカはオープンソサエティーであるということがある。この間コメンターの方が「アメリカは差別意識の強い国という印象がある」とおっしゃっていたが、現実はその反対。差別をしな過ぎだと私は思う。

実はアメリカの大学で工学などの理数系を専攻する多くが外国生まれの学生であるいう現実がある。これらの学生には留学生も多いが移民も多い。言葉がよく分からない外国人は英語が堪能でなくても取得できる技術部門を専攻することが多いという理由もあるが、こうした学生のなかにはベトナム系、中国系の生徒が圧倒的多数を占める。留学生のなかにかなり多くのアラブ系学生がいることも無視できない。私の大学でも同級生のほとんどが外国生まれでアメリカ生まれのアメリカ市民は人クラス40人中でも一人か二人しかいなかった。

防衛関係の産業につとめる技術者はアメリカ市民でなければならないという法律はあるにはあるが、移民の国アメリカでは外国人が市民権を取ることはよくあることで、特に高度な技術を持ったエンジニアや科学者などは優遇される。国家秘密レベルの情報を扱う人間はシークレットクリアランスといって国防庁による身元調査を受けて認可を得なければならない。だがこの身元調査がどこまでちゃんとされているのか私はかなり疑わしいという気がする。

明らかに、調査対象が共産圏の中国系であるとか北ベトナム系だとかいう理由ではクリアランスを拒絶することはできない。そんなことをしたら人種差別だのなんだのと市民団体がうるさく騒ぐのは目に見えているし、第一それは違法だろう。かといってこれらの人々の母国とのつながりも無視できない。外国生まれの従業員がクリアランスを求める時、いったい国はどういう基準で彼等に認可を与えているのだろうか?

どうもアメリカにしろ日本にしろ警備に対する姿勢が甘すぎる。私は専門家ではないが私のようなものでもこれでいいのかな? と思うことがしばしばある。毎日扱っている情報や製品なのでそれが企業秘密であるとか国家秘密であるという意識が薄れてしまうのは分かるのだが、やはり今の世の中誰が狙っているか分からない以上、警戒に警戒を重ねて欲しいと思う。

May 12, 2007, 現時間 4:26 PM

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