いよいよスーパーチューズデー!

PST2330: アメリカ西海岸時間午後11時30分現在:
括弧内は代議員の数。WTA とは勝者が州の選挙代議員を全員獲得するという意味。Democrats = 民主党、Republicans 共和党。カリフォルニアとミズーリはまだ接戦で分からないようだ。リアルクリアポリティクスのまとめでは下記ようにになっている。
共和党
マケイン:アリゾナ、コネチカット、デルウェアー、イリノイ、ニュージャージー、ニューヨーク、オクラホマ
ロムニー:、マサチューセッツ、ノースダコタ、ユタ、モンタナ
ハッカビー:アラバマ、アーカンサス、ゴージア、テネシー、ウェストバージニア
民主党
クリントン:アーケンサス、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、オクラホマ、テネシー
オバマ: アラバマ、コネチカット、デルウェアー、コロラド、ジョージア、アイダホ、ケンタッキー、ミネソタ、ノースダコタ、ユタ。
代議員の詳細は下記:
ALABAMA (Democrats: 52; Republicans: 45)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mike Huckabee
ALASKA (Caucuses – D: 13; R: 26)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mitt Romney
ARIZONA (D: 56; R: 53)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: John McCain
ARKANSAS (Dems: 35; GOP: 31)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: Mike Huckabee
CALIFORNIA (D: 370; R: 170) 
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: John McCain
COLORADO (Caucuses – D: 55; R: 43)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mitt Romney
CONNECTICUT (Dems: 48; GOP: 27 WTA)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: John McCain
DELAWARE (Dems: 15; GOP: 18 WTA)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: John McCain
GEORGIA (Dems: 87; GOP: 72)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mike Huckabee
ILLINOIS (Dems: 153; GOP: 57)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: John McCain
KANSAS (Caucus – D: 32)
DEMOCRATS: Barack Obama
MASSACHUSETTS (Dems: 93; GOP: 40)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: Mitt Romney
MINNESOTA (Caucuses – D: 72; R: 38)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mitt Romney
MISSOURI (D: 72; R: 58)
REPUBLICANS: John McCain
MONTANA (Caucus – R: 25)
REPUBLICANS: Mitt Romney
NEW JERSEY (Dems: 107; GOP: 52 WTA)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: John McCain
NEW YORK (Dems: 232; GOP: 101 WTA)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: John McCain
NORTH DAKOTA (Caucuses – D: 13; R: 26)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mitt Romney
OKLAHOMA (Dems: 38; GOP:38)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: John McCain
TENNESSEE (Dems: 68; GOP:52)
DEMOCRATS: Hillary Rodham Clinton
REPUBLICANS: Mike Huckabee
UTAH (Dems: 23; GOP: 36)
DEMOCRATS: Barack Obama
REPUBLICANS: Mitt Romney
WEST VIRGINIA (GOP state convention: 18 WTA)
REPUBLICANS: Mike Huckabee (18)
PST2303: アメリカ西海岸時間午後11時03分現在:
オバマ氏13州、クリントン氏8州で勝利、米大統領選
下記はCNNjpの記事より。これでは民主党は歴史始まって以来かなり久しぶりに、全国党大会で候補が指名されるブローカーコンベンンションになってしまうかも。

米大統領選で民主、共和両党の指名候補争いの天王山となるスーパーチューズデーの投票は5日実施され、CNNの独自集計によると、民主党ではヒラリー・クリントン上院議員とライバルのオバマ上院議員が接戦を演じている。2人の一騎打ちは長期戦の様相ともなってきた。

クリントン氏は当初、全米の支持率でオバマ氏を大きく引き離していたが、オバマ氏がここに来て追い上げる勢いを見せ付けている。

PST1908: アメリカ西海岸時間午後7時13分現在:
下記はAPより、括弧内は代議員の数。Dems = 民主党、GOP=共和党。共和党でハッカビーが取った州では、マケインの支持者たちがロムニーに勝てないと知ってハッカビーに投票したことが原因。ま、こういうことコーカスではよくあることなので特に汚いやり方ではないが、絶対勝てないハッカビーがいつまでも居るためにロムニーとしては非常に迷惑。ハッカビーはマケインの副大統領になりたいのかも。
ALABAMA (Dems: 52; GOP: 45)
DEMOCRATS: Obama
REPUBLICANS: Huckabee
ARKANSAS (Dems: 35; GOP: 31)
DEMOCRATS: Clinton
REPUBLICANS: Huckabee
CONNECTICUT (Dems: 48; GOP: 27 WTA)
REPUBLICANS: McCain
DELAWARE (Dems: 15; GOP: 18 WTA)
REPUBLICANS: McCain
DEMOCRATS: Obama
GEORGIA (Dems: 87; GOP: 72)
DEMOCRATS: Obama
ILLINOIS (Dems: 153; GOP: 57)
DEMOCRATS: Obama
REPUBLICANS: McCain
MASSACHUSETTS (Dems: 93; GOP: 40)
REPUBLICANS: Romney
DEMOCRATS: Clinton
NEW JERSEY (Dems: 107; GOP: 52 WTA)
REPUBLICANS: McCain
DEMOCRATS: Clinton
NEW YORK (Dems: 232; GOP: 101 WTA)
DEMOCRATS: Clinton
REPUBLICANS: McCain
NORTH DAKOTA (D: 13; R: 26)
DEMOCRATS: Obama
OKLAHOMA (Dems: 38; GOP:38)
DEMOCRATS: Clinton
REPUBLICANS: McCain
TENNESSEE (Dems: 68; GOP:52)
DEMOCRATS: Clinton
UTAH (Dems: 23; GOP: 36)
DEMOCRATS: Obama
REPUBLICANS: Romney
WEST VIRGINIA (GOP state convention: 18 WTA)
REPUBLICANS: Huckabee (18)
PST0708: アメリカ西海岸時間午前7時8分現在:
昨日は仕事が忙しく、帰宅したのが午後7時過ぎ。ドアをあけた途端に電話のベル。受話器の向こうは録音の選挙運動。「有権者の皆さん、〜〜候補に清き一票を!」てな感じの音声が流れたのですぐに切った。自宅で仕事をしているミスター苺は「この調子で今日は一日何十回も電話が掛かってきて仕事にならなかったよ。」と言う。
日本の街頭スピーカーもうるさいが、アメリカの電話の選挙運動もかなりわずらわしい。テレビやラジオのコマーシャルは仕方ないとしても、電話でわざわざ呼び出しておいて録音宣伝というのは非常に腹が立つ。
いよいよ本日はスーパーチューズデーで、苺畑夫婦の住むカリフォルニアも選挙である。選挙結果は分かり次第更新するつもり。


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三沢基地、弾道ミサイル情報処理システム「JTAGS」運用はじまる

アンポンタンによると米陸軍は日本の三沢基地に配備した弾道ミサイル情報処理システム「JTAGS」の運用をはじめたという。海上のBMDと並行しても陸でも本格的なミサイル防衛体制にはいたようで非常に歓迎すべきことだろう。
下記はデイリー東北の記事より。

米陸軍が米軍三沢基地に配備した弾道ミサイル情報処理システム「JTAGS」の部隊編成式が二十二日、同基地将校クラブで開かれ、JTAGSの本格運用が始まった。また、システムの中核に当たる装備を搭載したシェルターの内部が式典招待者や報道陣に初めて公開され、隊員による機器操作の実演も披露された。

 式典には米軍三沢基地関係者のほか、日本側から基地周辺の九市町村で構成する三沢基地周辺連絡協議会の市町村長と議員や外務省幹部、航空自衛隊三沢基地司令らが招かれた。
 米陸軍宇宙およびミサイル防衛コマンド作戦担当副司令官で、JTAGS運用の総責任者のジョン・スワード陸軍准将が、JTAGS開発の目的や任務を説明。「部隊の活動開始とともに、日本とのパートナーシップを強固にしたい。この部隊は米軍がこの地域に平和をもたらす意思を示すものでもある」と述べた。
 また、スワード准将は報道陣との質疑応答で、JTAGSを日本に配備した理由を、太平洋全体を監視できるためと強調。その中で三沢基地を選んだことについては「地理的にいい位置にある。既に基地があり、生活に必要なインフラが整っている。地元住民との友好な関係があるから」と述べた。部隊は既に二十四時間体制で運用できる状態にあることも明らかにした。

JTAGの詳しい情報はこちら(英語)で読むことが出来るが、簡単に言うと、『JTAGSは早期警戒衛星から弾道ミサイルの発射データを受信・処理・配信する情報処理システムで、処理装置を搭載した車両と3基のアンテナで構成される。』ものである。このシステムはペイトリアットPAC3とは別物で、ミサイルのための探知、進路追跡(tracking)、通知(notification)システムである。

JTAGS

弾道ミサイル情報処理システム「JTAGS」


JTAGSは戦域の司令官が状況を把握するために必要不可欠な情報リンクである。任務上の利点として次のことが含まれる。

  • ミサイル迎撃のため地域防衛ミサイルシステム始動の合図をする。
  • 敵の発射機能を探知し破壊する攻撃作戦開始の合図をする
  • 同盟軍や市民の防衛のため早期警報を発令する。

JTAGSは三つDSP(Defense Support Program)と呼ばれる人工衛星を使ったミサイル探知システムと宇宙基盤の探知機から直接情報をダウンリンクすることができる。機能として下記が含まれる。

  • 戦域弾道ミサイル(TBM)の赤外線データ。
  • 複数のセンサーからのダウンリンクによる立体(3-D)ステレオ 情報処理。
  • リアルタイム通報。
  • 臨機応変な複数ネットワーク能力
  • 戦域内の音声データ。

JTAGSの高度の解像度画面には次のものが含まれる。

  • 予測発射地点と時間。
  • 予測衝撃地点と時間。
  • 軌道範囲。
  • 複数軌道追跡能力

JTAGSは移動可能な車両で、装備したシェルターを牽引するしくみになっている。これは陸軍と海軍の合同システムなので、作業員は陸軍海軍双方から15人での操業で、三つの組に別れてシフトを交換し365日24時間運営となる。


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パレスチナの暴走にイスラエルバッシングしか興味のないヨーロッパメディア

私が愛読しているイギリスのコラムニストのメラニ−・フィリップ女史が、いつもはかなり反イスラエルのロンドン・タイムスが、どういうわけか今回はまともなコラムを載せたとしてロビン・シェパード(Robin Shepherd)の書いたこの記事を紹介している。

謝罪派の最たる考えはイデオロジーではなくイスラエルによる占領がテロの「根源だ」だというものだった。であるから占領が終わればテロも終わるとされていた。この主張は今や完全に打倒された。イスラエルの撤退以来、パレスチナ民兵軍はガザからイスラエル市民を標的に4000以上のロケット弾を撃ち込んでいる。このような連続攻撃を無視できる国などひとつもないだろう。では解決策はなんだ?再占領かそれともロケットが発射されている地域への絨毯空襲か?多くに国々がすでにそうした策をとったろう。だがイスラエルはそのどちらもしていない。

ガザ居住者の状況は深刻だ。しかし最終的な責任はハマスや他の民兵軍や暴力文化を維持しているパレスチナ人が背負っている。それさえなければ防御壁も武力行使も貿易規制も経済制裁も必要なくなるのだ。しかるに全く逆さまのイギリスやヨーロッパのコメントときたら道理などそっちのけである。感情的な言葉の猛撃はひいき目にみてもユダヤ政権に対して怠慢な考えかたであり、悪くいえば憎悪に満喫している恥知らずな行為といえる。

まったくその通りだ。同じことが別の国でおきていたらパレスチナ人などとっくの昔にガザやウエストバンクから追い出されていたに違いない。長い目でみたらイスラエルは世界からどれだけ責め立てられようとそれを実現させるべきだったのかもしれないが。
下記は2006年の7月、イスラエル、ガザ、レバノンの戦争真っ最中の頃に書いたものだ。

ここで私はあえてイスラエルがあの土地にイスラエル国を建国するにあたった経過が正当であったとか不当であったとかいう話を避ける。…私は最初に領土を手に入れた過程が侵略であったにしろ、買収であったにしろ、単に空き地で陣取りした結果だったにしろ、最終的に住民を統治し、外敵から国を守ることができる政府こそ主権国家といえるのだと考える。

イスラエルは1948年の建国当日からその主権を試されてきた。そしてその後の外敵による度重なる攻撃にたいしてことごとく勝利をおさめ、イスラエル国を死守してきた。外敵から国をまもることこそが主権国家たるものの第一条件である以上、世界中においてイスラエルほど何度もその主権国家の権利を証明した国はない。…
さてここでイスラエルの行為が行き過ぎであるとお考えの皆様にイスラエルを日本、パレスチナを北朝鮮と置き換えて考えてみていただきたい。北朝鮮が日本の学校、レストラン、遊園地などといった民間施設を標的に毎日数発のノドンを打ってきたとしよう。ミサイルが当たって被害があることもあれば、空き地に落ちて無害なこともある。それが一年以上も続いたとする。そして何週間に一度の割で北朝鮮の工作員による自動車爆弾や自爆テロ未遂が東京だの大阪だのの都市でおき、時々警備員や民間人が巻き添えになって一回に数十人の死傷者がでたとしよう。また、浜辺をあるいている女学生が拉致されるなどの事件が続出したとしよう。(あ、これはもう起きてたんだっけ?)
それに対して日本が北朝鮮に抗議をすれば、北朝鮮は日本は過去に朝鮮民族にたいしてひどいことをしたのだから、この程度のことは当たり前だ。拉致被害者を返して欲しかったらもっと経済援助しろと開き直り、なまじ応戦などしたらもっとノドンを打ち込み、日本人を拉致するぞとおどかしたとしよう。
この段階で日本が北朝鮮のミサイル発射装置を爆破し、軍事基地にミサイル攻撃し、軍首脳部が固まっていると思われる場所に戦車で侵攻して日本の圧倒的軍事力で北朝鮮のインフラを半壊したとして、日本のやり方は行き過ぎだなどと批判するひとはいるだろうか? 北朝鮮の攻撃による日本人の被害など日本の人口のほんの一部なのだから、北朝鮮への応戦はほどほどに自制すべきだなどと諸外国から口を出されて納得する日本人がどれほどいるだろうか? いったいどこの世界に戦闘行為を仕掛けてきた敵が軟弱であったら、こちらもそれにあわせた軟弱な応戦しかしてはいけないなどという取り決めがあるのだ? 

北朝鮮と日本の関係はパレスチナとイスラエルとは状況が違い過ぎるから比較にならないなどという逃げ口上は受け付けない。世界ひろしといえど、どんな独立国が隣接する政権からこのような連続攻撃を受けて黙っていられるだろうか?それがイスラエルでも日本でも同じことのはずだ。メキシコのティワナからサンディエゴに毎日のようにロケット弾が飛んできたらアメリカ人が黙っているはずはない。
ならばどうしてイスラエルだけはいいってことになるのだ?どうしてイスラエルだけはいつまでもパレスチナの無責任な行為の責任をとらなければならないのだ?
それから対テロ武力行使がかえってテロを生むといういい加減なことをいう人にもう一度考えてもらいたいことがある。パレスチナによる自爆テロの猛攻撃が始まったのはイスラエルがレバノンから撤退した直後だった。第二インティーファーダといわれるこのテロ攻撃を誘発したのはイスラエルの弱腰政策が原因だったと今では誰も認めている。また、イスラエルはガザから撤退したがテロ行為は止んでいない。これまでにもイスラエルが和平交渉に応じる度にテロ攻撃は減るどころか増えているのだ。どうしてこのようなことがおきるのか?
それはパレスチナ人は平和にも独立にも興味がないからである。彼等はイスラエルと平和共存するくらいならイスラエルと心中したほうがよっぽどもましだと考えている。彼等は妥協とか交渉とかいう語彙は持ち合わせない。彼等に分かるのは敵が強いか弱いかだけだ。そしてイスラエルの柔軟な態度は「弱さ」なのである。イスラエルが妥協すればするほど、もう一押しでイスラエルを倒せると錯覚するのだ。パレスチナ対策は和平交渉だと考えている西側諸国はアメリカも含めて大馬鹿ものなのである。そして度重なるパレスチナの裏切りに未だに懲りずに甘い政策をくりかえしているオルメルト政権はそれに輪をかけて馬鹿者だ。
イスラエルはパレスチナにいつまでも甘い顔をしているからつけあがられるのだ。この際徹底的にパレスチナを攻撃すればいい。どうせ世界のメディアはイスラエルに批判的なのだからイスラエルにとって都合のいい行動をとればいいのだ。
もっともいまの腰抜けオルメルト政権ではそれは無理だろう。


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日本の右翼が反米になる理由

The English version of this post can be read here.
先日からコメンターの一宿一飯さんのコメントを読んでいて、なるほど〜と思うことがあった。それは日本の右翼や保守派の間でおきている所謂(いわゆる)『欧米アレルギー』のことである。
私はここ数年起きている日本人の反米意識が非常に不思議でしょうがなかった。リベラル派が自由資本主義のアメリカを嫌うのはしょうがないとしても、国土安全保証や防衛などという点で非常に強力な味方であるアメリカを未だに太平洋戦争で負けたのを恨んでいる一部の人は別として、普通の日本の右派が嫌うという理由が私には合点がいかなかったのである。
それがこの間の一連の会話の間で、私が計らずも言った、日本は「アメリカの悪い点ばかりを輸入している」ということがその原因なのではないかと気が付いた。
日本ではカカシが義務教育を受けた頃のような詰め込み風受験地獄から卒業してゆとり教育なるものが取り入れられたと聞く。以前にも話した通り、去年の9月から12月まで私は日本企業の方々と一緒に仕事をしていて、若い日本人が私より漢字が書けないことに驚かされた。そういえば世界の学力テストでは以前なら常に上位にいた日本が、最近は中国や韓国からかなり引き離されているという話を聞く。私が10代の頃は純血など教育されなくても普通だったのに、今では自由主義な性教育のおかげで10代の性交渉が普通になっているため、純血教育が必要になっているなどという話まで聞いて、いったい日本はどれだけアメリカの悪い面を輸入すれば気が済むのだと腹立たしい思いでいっぱいになる。
今日本で問題になっている人権擁護法だの男女共同参画だの名前からして英語のDV防止法など、元はといえばアメリカや欧州の法律の輸入であり、日本が独自の文化や歴史に見合ったものとして生み出したものではないのだ。しかもこれらの法律や方針には非常に多くの問題点があり、欧州やカナダではその悲惨な結果を今見直している最中だ。
もともと日本の鼻持ちならないエリート左翼連中に『欧米ではこんなに進んでるざ〜ます。日本もみならうべきさ〜ます』などと言われ、他国の法律をあたかも日本の文化よりも優れているかのように押し付けられているだけでも気分が悪いのに、これらがあからさまな人権迫害に結びつくとなっては、日本の愛国者のみなさんが欧米アレルギーを起こすのは当然である。
ヨーロッパのことは分からないが、アメリカだけについて言わせてもらうならば、日本政府や教育界が輸入しているアメリカの方針はアメリカで試され大失敗に終わっているアメリカ左翼が生んだ悪質な方針ばかりだ。しかも日本のメディアは怠慢で独自の取材をしないで、アメリカのニュースといえばアメリカ左翼メディアの報道をそのまま翻訳しただけの受け売り報道ときては、日本人がアメリカを誤解するのも理解出来る。
そしてまた慰安婦問題などでもアメリカは自分達の落ち度は棚に上げて日本ばかりを責めるという印象を与えてしまったが、それをやったのはアメリカ民主党の連中だ。ブッシュ大統領はその影響で日本との関係がぎくしゃくしないようにとずいぶん苦労させられた。
日本の皆様は、アメリカ左翼メディアの偏向を鵜呑みにして、女性初の大統領だとか黒人初の大統領などといって民主党の候補者を支持しているが、日本にとって民主党は決して良い味方ではないのである。特にクリントン夫婦は中国と非常に密接な関係にあるし、オバマはものすごいリベラルで北朝鮮の金正日やイランのアクマディネジャードなどと本気で交渉が可能だと思っているほどのお人好しなのである。
日本人に参政権があるわけではないからアメリカの大統領候補の誰を応援しようと特に影響があるわけではないが、日本の右翼や保守派のみなさんが、アメリカには日本の文化と同調できる保守派が存在していることを広くご存じないことが残念でたまらない。
そういえば、カカシが日本語ブログをはじめたのも、こうした誤解を解くことにあったのだと思い出した。弱小ながら少しでも読者の皆様にアメリカを分かってもらえることを願うものである。


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なんで左翼は自分を左翼と認めないのか?

これは読者の皆様もすでにお気付きのことだろうと思うが、保守派や右翼の人たちは自分達の政治思想を隠したりしない。それどころか「私は極右翼です!」などと誇り高く宣言するくらいで、こうした人たちを間違って「あなたは左翼でしょう」などといった日には何時間にも渡ってどういう理由で自分が右翼であり左翼ではないのか延々とお説教を受けること間違いなしである。
ところが、どういう訳か左翼の人たちは自分達がリベラル/左翼/共産主義であることを認めようとしない。それどころかそれを必死に隠して自分達のことを革新派、自由主義者、進歩主義者などと訳の分からない名前で呼んだりして一般市民を煙に巻くのが得意である。
こういう人たちに「あなたは左翼ですか」と聞くと、「私は左翼ではない!」と断言するのではなく、「左翼とか右翼というレッテルで他人を判断しようとすることに問題がある」とかなんとか言われて話をはぐらかされてしまうのがオチだ。
もちろん本当に右でも左でもなく中庸な人は存在する。しかし普通政治的に強い意見を持っているひとは、自分がどちらの傾向に傾いているかを知っている。自分が多種の問題に直面する度に右と左のどちらの方針を支持してきたかを考えれば必然的に自分の傾向があきらかになるのである。だから本当に左翼でも右翼でもない中庸なひとならば、「私は中庸です。」といった後で具体例を出して「私は人工中絶の合法性には賛成ですけど、麻薬の合法化には反対です。」とか、「強い軍隊は支持しますが個人の銃砲所持には反対です」といったように自分の立場をはっきり説明することが出来るはずなのである。
私の知り合いでファシストに近い右翼から立ち直って今は心を入れ替えて保守派孤立主義になった人がいるが、彼にいわせると表向きは個人主義や自由主義を唱えるファシストや共産主義の人間にはこれまでにいくらも会ってきたという。ソ連の憲法には個人の言論の自由などがいくらでも保証されていたというが、実際に国民がスターリンの悪口などいおうものなら強制労働キャンプ送りになった。北朝鮮や中国にしたところで、朝鮮民主主義人民共和国だの中華人民共和国だのと民主主義も共和制も全くないくせに名前だけは立派なものがついているのがいい例である。
実は先日から、例の左翼(多分共産主義)のレズビアンフェミニストの小山エミちゃんが(写真をみてから親しみが生まれてしまったカカシなのよね)自分の経済面における姿勢を示すことで、自分は左翼でもなければましてや共産主義者ではないといいたげなエントリーを書いている。もっとも例によって彼女は「私は左翼でも共産主義者でもありません!」とは断言していないので、判断は読者に任せるといったかなりいい加減な態度をとっている。

フェミニズムに限らず活動家業界というのは、…基本的に「左翼」の方が多いわけだけど、…わたしは…どうしてもその文化に馴染めない部分があった。それを一言で言うなら、「正しい動機」を元に「正しい目的」のために異論を排除したり必要なプロセスを省き、ある不公正を是正するための行動が別の不公正を生み出している可能性に無頓着な活動家たちの傲慢さだ。….
わたしがそうした違和感を感じたのは、…たまたまわたしが、白人社会におけるアジア人というマイノリティ(少数派)であり、クィア(同性愛者)であり、活動家業界のどこにも「自分と同じ人たち」ばかりが集まる居場所を見つけられなかったことに関係していると思う…..
わたしのことを「左翼フェミニスト」と決めつけて批判した人は、左翼やフェミニストは口先で正義を語りながら実際にはこんなに腹黒い奴らだみたいなことを言っていたのだけれど、わたしが思うに問題はその逆だ。腹黒いだけの連中なら、利害によってはどちらにでも転ぶわけだから、まだ行動を予想・コントロールしやすい。問題なのは、活動家業界では「正しい動機」「正しい目的」が現実的なコスト計算やトレードオフの分析を押し退けて、ある行為の正当性の根拠とされてしまいがちなことだ
なにしろ経済学によれば、…社会問題を解決するために政府が何らかの政策を実施することは、基本的に経済の生産性を犠牲にすることになる。そこにどんな「正しい動機」「正しい目的」があろうと関係ない。…それを承知のうえで、それでも看過できない不公正をただすために政府が介入するのであれば、それがどういうトレードオフをもたらすのか冷静に分析・論議したうえで、民主的な決定に委ねるべきだと思う
….わたしは(Thomas Sowell『A Conflict of Visions: Ideological Origins of Political Struggles』を)読みながら「進歩主義のことを悪く言いやがって」と反発するのではなく、かれの言う「束縛的価値観」(保守主義)の方に強く共感した。そしてかれだけでなく、世界のさまざまな不正義や不公正の是正を心から願いつつも、左右双方の活動家業界が主張する短絡的な解決策から距離を取り、より現実的なトレードオフを政策として提示する経済学者たちに共感する。
わたしのことを左翼だとか共産主義者だとか決めつける人がいて、…どういう部分がどのように左翼なのかきちんと説明してもらえた覚えがない。…「左翼」はともかく、「共産主義者」というのはいくらなんでも違いすぎるだろう。

上記の彼女の文章を読んでいると、彼女は自分達の崇高な動機と目的のためにその方針が市場に及ぼす悪影響など全く無視している活動家を批判しているように見えるし、また自由市場や自由競争を尊重しているかのように感じる。しかしながら、彼女は一度もこの自分の信念が現実社会においてどのようにあてはまるのかという説明をしていない。
エミちゃんは、自分を左翼だの共産主義だの決めつける人間がその理由をちゃんと説明していないと言い張るので、この際だから説明しよう。
以前に私は人種差別にしろ男女差別にしろ政府が差別する(女性は何々の仕事についてはいけないとか、黒人はどこそこの公立学校に入学できないといったような)法律さえ取り除きさえすれば、あとは市場が解決してくれると書いた。これは女性や黒人の賃金が白人男性よりも安ければ人種や性別にこだわりのない雇用主が人件費節約のために優秀な黒人や女性を雇うようになるからで、他の企業が人件費が高すぎて経費がかさんで最初の企業と競争できないとなれば、こちらの企業も黒人や女性を雇うようになる。多くの企業が同じことをはじめれば黒人や女性の需要は高まり自然と給料も上がり、そのうち才能のある黒人や女性は白人男性と同等の給料をもらえるようになるというわけだ。
ところがこの自由市場による差別緩和を阻止する悪法がある。これが先に説明したアファーマティブアクションで(AA)ある。AAは才能のあるなしに関わらず、ある企業はある一定数の少数民族や女性を雇わなければならない、それだけでなく、昇進の時でも人種や性別を考慮にいれなければならない。仕事のできない少数民族や女性でもやたらに解雇できないといった非常に厳しい規制がある。こうなってくると企業は少数民族や女性を雇う利点を見いだすことができない。かえって少数民族や女性には迷惑な政府介入なのである。
もしエミちゃんが本当の意味で自由市場を尊重しているのであれば、このような悪法には真っ先に反対するはずだが、私のアファーマティブアクションを支持するかしないかという質問に彼女は「アファーマティブアクションにもいいところもあれば悪いところもある」とか「必ずしも女性優遇なシステムとは言えない」とか言って私の質問から逃げてしまった。
私は最近のフェミニストたちの本当の目的は女性救済ではなく左翼主義の促進であると書いたが、これをエミちゃんは『左翼やフェミニストは口先で正義を語りながら実際にはこんなに腹黒い奴らだみたいなことを言っていたのだけれど、わたしが思うに問題はその逆だ。腹黒いだけの連中なら、利害によってはどちらにでも転ぶわけだから』と言って、利益の追求=腹黒いと解釈している。本当の資本主義者なら利益を追求するのは当たり前。それが腹黒いとはどういう意味だ?しかもこうした活動家たちの動機や目的は現実的トレードオフを考慮にしていないが「正しい」と書いていることも注目されたし。(もっとも鍵括弧をしているから自分では正しいとは信じていないというのであればまた話は別だが。)ここでいうフェミニストたちの「正しい動機や目的」こそが左翼主義の促進なのだ。左翼が左翼主義の促進を望むのは左翼にとっては「正しい」動機であり目的であるから全く矛盾はない。彼女たちが市場でおきる矛盾になど興味がないのは当然である。
そしてそういう左翼主義のフェミニストグループのNOWのことを「自分は嫌いだ」といいながらも、カカシが左翼思想促進の役に立つ時はイスラム教の女性迫害をさんざん批判していたのにイスラム教が保守派から攻撃されるようになった途端に批判をやめてしまったことを例にあげてその偽善を指摘した時、エミちゃんはNOWがイスラム教を批判する理由はないといってこの女性団体を弁護した。つまり、NOWによる左翼主義促進という「正しい動機と目的」のために保守派の不公正を是正するためにイスラム教の悪行を無視するという不公正を生んだ女性グループのごう慢さを批判するどころか弁護までしているのである。
しかもエミちゃんはアフガニスタン戦争後も前と同じく一貫したイスラム批判を貫き通しているフィリス・チェスラーをイスラモフォビアのラディカルフェミニストと言って批判してみたり、エクイティーフェミニズムを唱えるクリスティナ・ホフ・ソーマーズの概念をデタラメな解釈だとして「排除」している。(ソマーズ女史にたいしてはジェンダーフェミニズムを批判したというだけでリベラルな女史に「極右翼といっていいほどの保守派論者」などとレッテルを張って過小評価している。)そして別の件でも旧日本軍(右翼)による慰安婦問題の責任を追求しているのに、当時の共産主義といっていいほど左翼よりだったルーズベルト大統領が総指揮官だったアメリカ軍やその配下にあった韓国軍への責任追及には興味がない。
『「共産主義者」というのはいくらなんでも違いすぎるだろう。』ということにしても、彼女はマルクス主義フェミニズムとはマルクス主義を徹底的に批判したものだと述べて、マルクス主義フェミニズムが共産主義を元にしたものだという事実を読者から隠そうとした。自分がマルクス主義でも共産主義でもないなら、マルクス主義フェミニズムを弁護する理由などないはずだ。
もう一度強調するが、私は別に小山のエミちゃんに恨みもつらみもないし、彼女個人を攻撃するつもりは全くないのだ。ただ彼女は非常に典型的な左翼(多分共産主義者)レズビアンフェミニストであるため、その例をつかって左翼がどのように一般市民を騙しながら右翼と戦うかというその戦法を披露してみただけだ。エミちゃんと議論をしていた空さんが、エミちゃんはこういう議論になれていないのではないかとコメントをしていたが、私は彼女は確信犯なのだと断言できる。
ではどうして左翼は自分を左翼と認めないのだろうか?自分の思想に誇りはないのか?他人に自分の本心を知られると何か都合の悪いことでもあるのか?実を言うと、アメリカのフェミニズムが一般にジェンダーとエクイティーの二つに別れると書いたカカシの最初の文章が、「偽装だ」といったエミちゃんの言葉のなかにこの答えはあるのだ。
つまり、フェミニズムがジェンダーフェミニストによって乗っ取られて以来、エクイティーフェミニストと解される普通のフェミニストたちは自分達をフェミニストと呼ぶのをやめてしまった。この中にカカシが含まれていることはいうまでもない。「あんな左翼と一緒にされたくないわ」というのが大多数のフェミニストの考えだったからだ。ジェンダーフェミニストたちはそのことを十分承知しているから、自分達がジェンダーフェミニストだなどとは絶対に認めないのである。
大きな意味で左翼にしろ共産主義者にしろ動機は同じだ。これらの思想を一般市民が認めないことを彼等は知っている。彼等が左翼だとか共産主義者だということが暴露されれば普通の人はまじめに意見を聞いてくれないことを彼等は十分承知しているのだ。だからその事実はなんとか隠さなければならない。しかし彼等が自分達のことを「自分は左翼ではありません!」と断言しないのは、そのように断言して自分達の仲間から「裏切り者」と思われると困るからである。例えばエミちゃんにしても、左翼である以上アファーマティブアクションを支持しません!とは断言できない。かといって支持します、といってしまえば自分の正体がばれてしまう。だからそういう質問は間違っているとか、そんな単純な答えのでるものでもないとか、いい面もあれば悪い面もあるとかいって保守派や右翼の直接的な質問には絶対に答えないのである。
私がエミちゃんは議論に慣れていないどころか確信犯だといったのはこれが理由だ。
というわけなので、自分の政治的見解をはっきり表明しない人間はリベラル/左翼/共産主義者のどれかだと考えて先ず間違いはない。彼等は自分の思想に誇りのもてないあわれな輩なのだ。


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マケインが候補でも政権を民主党に渡してはならない! 共和党よ癇癪をおこしている場合ではない!

The English version of this post can be read here.
著者:ミスター苺
バリバリ保守派女性政治評論家のアン・コルターはマケインが共和党候補に指名されたら自分はヒラリーの選挙運動を応援するとまで語った。これについて苺畑夫婦とはお友達ブログの Patterico(パテリコ)は拍手を送っている。以下パテリコ曰く。

僕はヒラリーの選挙運動までするとはいわないけど、裁判官のことだけじゃなく、何で気にする必要あるわけ?

なぜって、これがその理由だ。
負けるが勝ちではない。
もしジョン・マケインが指名されて一般選挙で負けたら、2012年に出馬する次の共和党候補はマケインよりも保守派どころかもっとリベラルだろう。1980年の時みたいに「偉大なる保守派の希望の星」が袖口から登場して民主党から政権を奪い取るなんて全く期待できない。
その間の8年間、オバマ大統領にしろヒラリー大統領にしろ俺たちがアメリカだと思ってることのほとんど政治的だけじゃなく文字どおり破壊されちまって、これがアメリカかよと思うような全然違う国になっちまってることだろう。もし俺たちがマケインと民主党のボンクラどもとの間に何の違いも見い出せないっていうなら、一時の感情に負けて馬鹿を見るのは俺たちのほうだ。
すべての保守派の希望にかなうような100%保守派理想の候補なんていやしないんだ。だいたいアメリカのほとんどの人が同意する意見とか、それをいうなら共和党保守派内部ですら全員一致の意見なんて存在しないんだから。一部の保守派が希望する政策を取り入れるとなったら残りの30%を力づくで制覇するしかない。
俺たちが住んでる国は小文字のdではじまる民主主義国家だ。これには憲法共和制が含まれる。だから自分とは違う他人の意見も国の方針に取り入れられなくちゃならないことになってる。レーガンの時代を振り返ってみても、せいぜい60%から65%の保守派政策が通った程度だった。確かに悪の帝国を倒すことや大幅な減税といった重要な65%ではあったけど。
俺たち苺畑夫婦がとりたててジョン・マケインのファンじゃないってことは読者のみなさんもご存じの通り。カリフォルニアの予選でもおれたち夫婦はマケインに投票する気はさらさらない。しかし、、、

  • マケイン支持者は対テロ戦争において我々の政策を保つために非常に大切なひとたちである。
  • マケインは政府の浪費を大幅に削減し贈賄などの腐敗をなくす努力をすると約束している。
  • マケインはプロライフ(人工妊娠中絶反対派)だ。
  • マケインは2001年の現在では反対票を投じたが(多分共和党予選でジョージ・Wに負けたことを恨んでのことだろうけど)今は低い税金を支持している。
  • マケインは同性同士の結婚には反対だ。
  • マケインは健康保険の民間会社の市場競争を支持し国民保険には反対している。
  • マケインは下らない訴訟の乱用で出る弊害を緩和するため訴訟法の改正を支持している。
  • マケインは国内での原油発掘を支持している。
  • マケインは市民の憲法で保証されている個人の権利である市民の銃砲所持を支持している。
  • 宇宙について、マケインは人間を送り出す月探検を再開し、火星探検にも意欲をもっている。

これら、保守派にとって重要なすべての政策において、マケインはオバマやヒラリーとは正反対の姿勢をとっているのだ。
選挙運動予算改正法や移民法、拘束したテロリストをどう扱うかとか、地球温暖化といったような保守派とは意見が異なる政策についてでも、民主党の二人が取ってる極左翼の姿勢とはくらべものにならないほど大人しいものだ。それに比べて民主党の奴らは国境を完全に開けっ放しして、本当かどうかも証明もされてない地球温暖化に国費を浪費してアメリカ経済を破たんさせ、テロリストを拘束することにも反対で、テロを刑事犯罪のように扱い対テロ戦争などやる気は全くない。そして過去のアメリカがそうであったように国内の諜報機関同士がそれぞれ情報交換することが違法だった古き悪しき時代に逆戻りしようというのだ。
ビルの意志を差し置いてヒラリーが選んだ国家副検察官のジェイミー・ゴアリック(Jamie Gorelick)が作ったゴアリックの壁を覚えているか?(カカシ注:アメリカの諜報部、CIA,
FBI, 防衛庁などが諜報に関する情報交換を禁止する法律をつくった本人)ヒラリー政権で彼女がどんな大臣に選ばれるのか想像しただけでも身の毛がよだつ。
最後に、マケインの癇癪持ちが大統領として適切かどうかという問題だが、それをいうならヒラリーの方がよっぽどひどい。ヒラリーのヒステリーはマケインのたまの暴発など足下にも及ばない。オバマときたら経験不足で気まぐれだ。敵に同情して正しい判断ができない可能性は大きい。
であるからして、アン・コルターのような保守派がマケインが共和党指名を受けたらヒラリーやオバマの選挙運動に協力するなんていうのは、現実を無視した気違い沙汰だとしかいいようがない。保守派ラジオDJのメッドビッドはこの症状を”MDS,” McCain Derangement Syndrom、マケイン嫌悪症候群と読んでいるくらいだ。今回は珍しく奴と意見が合った。マケインが指名されたら民主党を支持するとか選挙には行かないなどとだだをこねてる奴らは完全にこの症候群に冒されている。
ロナルド・レーガンならそんなことはしなかったはずだ。レーガンが1976年にジェラルド・フォードに負けた時、レーガンはフォードのために選挙運動に出かけた。レーガンはフォードに負けた腹いせにジミー・カーターを応援するなんて言わなかったじゃないか。
保守派の連中にはもっと大人になれといいたい。マケインが共和党の候補に指名されたら、頼むからマケインを応援して投票日にはマケインに投票してくれよ。なぜってマケインは民主党の連中に比べたら一千倍もましなんだからさ。ヒラリーとオバマはハリー・トルーマンやヒューベルト・ハンフリーじゃないんだぜ。マケインが共和党を分裂されるって言い張ってるひとたちに限って、自分の思いどおりにならなきゃ共和党を辞めるなんていって、それこそ党の分裂を促進してるってことに気が付くべきだ。
俺は以前に移民法で自分らの要求の8割方が通ったにも関わらず10割通らなきゃ納得しないといってた保守派連中に警告した。オールオアナッシングなんて二者択一を迫ったら何にも得られなくなるぞってね。そしてその次に民主党が書く法案はもっと気に入らないものになってるだろうってさ。
今保守派が共和党候補に背を向けたら、次の選挙ではもっと強力になった現役の民主党を相手にしなきゃなくなる。そして次回も絶対に俺たちは負けるよ。
そしてその間に1994年の選挙からリベラル主義にゆっくりと抵抗するようになっていた国民のおかげで優位にたってきた保守派の功績もすべて失って元の木阿弥となる。ニュート・ギングリッチのいない今の共和党が政権と議会を取り戻せる希望は全くなるのだ。


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米共和党大統領候補:ロムニーかマケインか葛藤の保守派

フレッド・トンプソンに続いてルディー・ジュリアーニも脱落したので、まだマイク・ハッカビーが居残っているとはいえ、実質上共和党の選択はミット・ロムニー対ジョン・マケインとなった。これはアメリカの保守派にとってはちょっとつらいところだ。
ミット・ロムニーはモルモン教徒であることを除けば、アメリカ保守派には理想的な候補者といえる。その政策も道徳観もネオコンや宗教右翼をまとめるだけの魅力のある候補者だろう。
それに比べてジョン・マケインはイラク戦争以外では共和党とは名ばかりのリベラルな政治家だ。裁判官任命にしろ移民問題にしろ、およそ共和党員らしい行動をしてきていない。共和党の保守派の間ではマケインは人気がないなどという生易しいものではなく、マケインに入れるくらいならヒラリーに入れてやる、なんていう過激なひとまでいるほどだ。
しかし、ここで共和党有権者が考えなければならないことは、大統領選挙は共和党の候補を指名するだけで終わるのではなく、その後の一般選挙で民主党候補をやぶらなければならないということである。ミット・ロムニーは保守派の間での人気はまずまずだが、それだけでは無所属や民主党の保守派を引き付けることは無理だ。
そこへいくとジョン・マケインはリベラルなだけに中間層の無所属有権者を惹き付ける力がある。特にヒラリーが候補者指名された場合、民主党のなかにもマケインなら共和党でも我慢できるとしてヒラリーを見捨ててマケインに投票する人が出てくるかもしれない。
確かに保守派の基盤は大切だ。しかし基盤だけでは勝てない。ここはひとつ勝てる候補者を選ぶ必要がある。となるとアメリカの保守派は鼻をつまんでもマケインを選ぶべきなのかもしれない。
来週の火曜日はいよいよスーパーチューズデー、決着がつくのはもうすぐだ。


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イスラム教批判はイスラモフォビアなのか?

私が二年近く書いてきた過激派イスラム教批判について、ある場所で批判をなさっている方がらしたので、こちらへ来て話されてはどうかとお誘いしたのだが、カカシのブログは読んでいるということなので、彼の私及びアメリカのネオコンに対する批判をちょっと載せてみよう。
まずは一宿一飯さんのあるブログへのコメント。

所詮憶測ながら苺畑カカシさんのイスラモフォビアに関して感じることは、「恐らくこの人は実際にモスリムに合って対話した経験も無ければする気も無く、単に自分の世界観を維持するための仮想的を必要としているに過ぎない」と言うものです。実際に接触してみれば、例えば敬虔なクリスチャン・モスリム・ジューイッシュは「共通する価値観を持っている」訳で、現実にハマス創設者ヤシン師にはユダヤ宗教界における高位の和平支持派ラビとの親交があったと言うような話など実例は幾らでもある訳なのですが。
別に、「真に共存の可能性を持っているのは西欧化した世俗主義者のみ」では無いのですけれどね。苺畑さんの決め付けは多分に「自分の壊れやすく、多分に現実と齟齬を来たしてしまいがちな価値観を守るために、少しでもそれに沿わないものは攻撃せずにはおられない」と言うような衝動的な物に見えてしまう。

一宿一飯さんは私の書いたことを読む前に某ブロガーによる「カカシはイスラム教恐怖症だ」という偏向な意見を読んでしまったため、私の書いていることもそういう色眼鏡をかけてよんだのだろうと思う。もう少し気をつけて読んでくれれば、私が攻撃しているのはイスラム教徒全般ではなく、過激派イスラム教徒およびイスラム教テロリストなのだということがわかるはずである。
常連の読者のかたがたならご存じだが、私はこのブログにおいて我々文明社会はイスラム教全体を敵に回してはならないと何度も強調してきた。イスラムの危機:テロリズムはイスラムの教えに反するにおいて歴史家のバーナード・ルイス博士の言葉を借りてこのように書いた。

現代のテロはイスラム教とほぼ同義語になってしまっているので、テロリズムがイスラムの教えに反するなどといっても、そんなことは頭の弱いリベラル連中のプロパガンダとしか受け止められない読者も多いだろう。私がここで何度も紹介してきたロバート・スペンサーなどもその口で、テロリズムこそがイスラムの真髄だなどと平気で言う。だがここでルイス教授はあえて、イスラムは平和な宗教だと主張する。…

…イスラム教徒はイスラム教を守るために戦うことは義務付けられているが、非戦闘員を殺したり虐待することは禁じられている。死を覚悟で戦うことは期待されるが、自ら命を絶つことは許されない。だとしたら、テロリストのやっていることは完全にこのイスラムの教えに反することになるではないか?何故このようなことをしている人間がイスラム教原理主義者だなどと大きな顔をしていられるのだろう?
…イスラム教過激派はイスラム教の名のものとに西洋に宣戦布告をした。彼らの解釈はコーランの正しい解釈のひとつである。だが、テロリストを正当なイスラム教徒として扱ってはならない。テロリストを原理主義者などと呼んではいけない。コーランの解釈はひとつではない。長くつづられたコーランのなかには戦争を唱える箇所もあれば平和を唱える箇所もある。他宗教に寛容となり、弱いものを守り無実の人間を傷つけてはならないという教えもイスラム教の原理なのである。イスラム教徒の中には、西洋文化の落ち度も理解しながら、また自分らの社会の弱点を捉えながら近代化を進めようとしている人々がいる。前者とは戦い以外に道はない。だが、後者とは歩み寄れる。我々現代人はこの二つのグループを十分に見極める目を養ない、穏健派を出来る限り応援しなければならない。

私は穏健派イスラム教徒となら歩み寄れるという言い方はしたが、歩み寄れるイスラム教徒は「西欧化した世俗主義者のみ」などといった覚えは一度もない。いや、それどころか私はヨーロッパの世俗主義をずっと批判してきている。私の「滅び行く欧州、栄えるイスラムの脅威シリーズ」を読んでいただければ分かるが、私はここでヨーロッパの行き過ぎた世俗主義こそがヨーロッパの崩壊につながると書いている。そのまとめとして目覚めるヨーロッパでこのように書いた。

(マーク)スタインはヨーロッパの世俗主義が現在の欧州の堕落を招いたのだと書いている。私はこれには全く同意見。イスラム教という宗教に対抗できるのはヨーロッパの基盤となっているジュデオ・クリスチャンの価値観しかない。

またカカシはイスラム教こそ悪の根源といいはるロバート・スペンサーの映画を紹介した時もこのように述べた。

私はこのブログでも何度か文明社会がイスラム教徒全体を敵に回すことの危険性を主張してきた。 だから私は悪の根源はイスラムの教えにあるというこのドキュメンタリーの製作者たちの意見には全面的に賛成できないでいる。 特にシューバット氏はイギリスのブレア首相がイスラム教を「平和を愛する宗教」だと何度も繰り返すことに関して、愚かなのか嘘つきなのかどちらかだろう、と言い切ることには全く同意できない。
ブレア首相ほど対テロ戦争に関して自分の政治生命を犠牲にしてまでブッシュ大統領と一緒になって努力してきた政治家はいない。 ブレア首相ほどイスラムテロリストの脅威を正しく理解して戦い続けなければならないと主張した人はいない。 私は911事件以後のこの世の中にブレア首相という立派な政治家がイギリスにいてくれたことを何度神に感謝したか知れない。
「イスラムについて、、」の製作者たちがわかっていないのは、政治家達がイスラムを「平和な宗教」だと主張し、テロリストは過激派であり、本来のイスラム教の教えを歪曲しているのだと語るには理由があるということだ。 イスラム教の人口は12億といわれている。 この中で過激派は約一割というではないか。 彼らはその一割の過激派と戦うために我々文明諸国に対して12億の人々全体を敵に回せというのか? 
無論、数や欧米の戦争技術をすれば、12億の敵をもってしても西洋社会がいずれは勝つだろう。 だが、もしそのような戦争がおきれば、第2次世界大戦どころの騒ぎではなくなるということがこのドキュメンタリーの製作者たちにはわかっているのだろうか?

一宿一飯さんの誤解は過激派イスラム教及びイスラム教テロリストへの批判を、イスラム教全体への批判イスラム教徒への人種差別およびイスラム教恐怖症、と混同してしまっていることにある。イスラム教過激派による犯罪やテロ行為を指摘して批判することは決して個々のイスラム教徒への人種差別でもなければ人権迫害でもない。それを混同してしまうと今ヨーロッパやカナダで起きているような人権擁護法の乱用のようなことが起きてしまうのである。
さて、一宿一飯さんは、私がイギリスのブロガーがイスラム批評をして逮捕状が出たという話を紹介した時、ラディカルフェミニストのフィリス・チェスラー女史のブログからインタビューを引用したことに関して、ラディカル・フェミニストたちのイスラム教蔑視はごう慢であり、イスラム教を批判しているというだけで、カカシが嫌いなはずのラディカルフェミニストを好意的に扱うのは私のアメリカ的なごう慢の現れであるという意見を述べられている。
まず第一に、私はチェスラーなる人がラディカルフェミニストであるという事実は知らなかった。しかし彼女がもしラディカルフェミニストだとしたら、彼女のイスラム教批判は全く理にかなっている。なぜならば、本当に女性優先の思想を持つ人であるならば、男尊女卑の最たるものであるイスラム教を批判するのはごく自然だからである。ラディカルフェミニストと自称する人ならばイスラム教の厳しい掟を恐れるのは当たり前だ。なにしろ強姦された被害者がむち打ちの刑にあうようなイスラム圏国が存在するのである。このような宗教を恐れることはフォビア(恐怖症)などではなく当然な自己防衛的な警戒心である。
私は自分はフェミニストだとか女性救済を目的としているといいながら、敵の敵は味方というせこい考えで非常な女性迫害をしている過激派イスラム教を全く批判しないリベラルフェミニストのほうがよっぽども偽善的だと思う。カカシは自分とは全く意見の合わない人でも信念をもって自分の考えを貫き通すひとのことは尊敬する。それがラディカルフェミニストであれ、共産主義者であれ同じである。反対に言うこととやることが正反対の偽善者は軽蔑する。
一宿一飯さんは、私のパレスチナ人への批判的な考えを『「遅れた、未開な非西欧」に対する敵意』だと考えているようだが、私がパレスチナ人に批判的なのはイスラエルがガザを撤退して自治をする絶好の機会を与えられた時に、ハマスというテロ軍団を政権に選び、自治にはまったく無関心で、ただただユダヤ人殺しだけを念頭において、平和交渉に何度も応じているイスラエルに執拗にミサイルをうち続けているからである。パレスチナ人はアラブ諸国でも民度が低いという悪評の高い民族だ。これはカカシの人種的偏見でもなんでもない。パレスチナ人の子供たちが飢えで死ぬようなことがあったら、これは一重に戦争に明け暮れて自分らの子供たちの将来にむとんちゃくなパレスチナのテロリストどもの責任である。
さて、ここで一宿一飯さんの白人コンプレックスについて反論したい。

..経営者さんは苺畑さんを「アメリカ保守の真似をしている」と評されましたが、私は「大変日本人的な反応」だと感じているのです。

「遅れた、未開な非西欧」に対する敵意と「自分の愛するアメリカ・西欧・白人社会」に固執するが故の「国粋主義」、そしてそれは「自身が日本人であるから」ではないかと。苺畑さんにとって依然憧れの「他者」であるアメリカと言う国の言説は、相互に如何に食い違い、相反していてもそれが「西欧・白人社会・アメリカ」を肯定し補強する範囲においては「矛盾せず」、逆にそれらの価値を批判し、見直そうとする言説には無条件に「敵」のレッテルが貼られるのではないかと。
差別は廃さなければいけないが、それは別に「白人・男性・プロテスタント」の価値観を否定するものでは無い筈なのにこの扱いは何だ、と言うのと同じ感覚を日本人も、そして世界各地のモスリムも持っていると言う事です。
少なくとも私の眼にはネオコンサバティズムとラディカルフェミニズムの「傲慢さ」「愚かしさ」は同じものに映ります。それは一部にドメスティックバイオレンス常習者や過激主義者が居るからと言って「すべての白人男性」「すべてのイスラム教徒」そして「全ての日本人の男」は野蛮で旧弊で遅れていると決め付ける類の愚かさです。
私にとって新保守主義は「保守」でもなんでもない。西洋かぶれの妄言に過ぎません。自分達の文化を否定し、西欧に媚び諂い、彼等にほめて貰う為に他のアジア人を殊更に野蛮と蔑む態度の恥知らずさに「お前達はそれでも日本人か」と怒りたくなることは枚挙に暇がありません。

私はネオコンではない。宗教右翼とか孤立主義の旧保守派とも違うが、どちらかといえば旧保守派に近いと思う。私としてはネオコンはリベラルすぎると思うので。ま、それはいいのだが、この白人に対する羨望という意識は、はっきり言って一宿一飯さん自信の反影だという気がする。アメリカは移民の国であり、その市民の種族も多種多様である。確かに過去には有色人種が差別されるという風潮がなかったわけではないが、カリフォルニアのように出会う人の半分以上が外国出身といういうような社会に住んでいると、白人だから何か特別に偉いなどと感じることはまずなくなる。少なくとも私は白人がうらやましいとか白人になりたいとか思ったことは一度もない。
アメリカにはいい面もあれば悪い面もある。特に日本はアメリカのよくない面を輸入し過ぎると思う。日本の教育界やフェミニストなどが「欧米では〜がとても進んでいる。日本も見習うべき」などといって取り入れる概念が日本社会の役に立ったことなどほとんどないと断言できる。
アメリカに長年住んで、アメリカの保守派思想を取り入れたカカシがアメリカ人なら、アメリカでフェミニスト活動を長年つづけて左翼フェミニストとなった例の小山のエミちゃんも立派なアメリカ人だろう。一宿一飯さんが、欧米を一緒くたにして白人社会と呼んでいるのも、彼が白人はすべて同じだという人種差別意識を持っている証拠だ。
私が生きているのはアメリカであり欧州ではない。欧州とアメリカではその文化に雲泥の差がある。私が価値あるものとしているのは人種や性別や年齢にこだわらずに個人の才能で判断してくれるアメリカの自由主義だ。これは白人であるとかプロテスタントであるとかなどということとは完全に無関係だ。もっとも一宿一飯さんが自由平等は白人プロテスタント男性の専売特許だと言い張るなら、また話は別だが。


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ビルとヒラリー、本当の候補者はどちら?

昨日のサウスカロライナでもその前のネバダでもヒラリー・クリントンの選挙運動は元大統領の夫、ビル・クリントンの活動が目立った。時としてリポーターと怒鳴りあいになったり、ライバル候補者のオバマへの罵倒が行き過ぎたりと、ビル・クリントンの元大統領としてあるまじき態度が話題になった。
しかしヒラリーの選挙運動でビルの活躍があまりにも目立つことが、ヒラリーにとって良いことなのだろうか?ビルは確かに選挙運動の天才ではあるから使い方次第では非常に協力な武器となるが、その一方で彼は両刃の刃でもある。選挙運動員としてのビル・クリントンについて、歴史家のビクター・デイビス・ハンソン教授でこんなことを書いている。
現大統領のジョージ・W・ブッシュが大統領として選挙運動をしていた時、41代目大統領で父親のジョージ・H・W・ブッシュは、ほとんど選挙運動に出てこなかったし、Wの大統領としての実力についてはほとんど述べず、自分にとって大事な息子であるという程度のことしか言っていなかった。前大統領のビル・クリントンがWの悪口をどれだけ言っても、パパブッシュはほとんど反論しなかった。
それにひきかえビル・クリントンときたら単なる応援どころか、ヒラリー・クリントンの選挙運動の総指揮官でもあるかのように振舞っており、時としてヒラリーより観客を惹き付けてしまっている。下記はハンソン教授。

(ヒラリーのではなくビルの)ネバダにおける勝利演説は全くすごいものだった。ビルはヒラリーが隣で黙って見守るなか、延々と続けた。ビルはヒラリーのカムバックを自慢し他の候補者の悪口をいい、もちろん自分のことを話、マイクを握って離そうとしなかった。

ヒラリーの表情ときたらいつもどおりの「私にこのドーベルマンに口かせを付けろなんて言わないでよね。」と言いたげに赤の他人のように凍り付いたまま立っていた。

ミスター苺はヒラリーの選挙運動は日に日にビルに乗っ取られつつあり、そのうち今の選挙運動会長であるパティ・ソリス・ドイル(Patti Solis Doyle)などは会長とは名ばかりで窓際に追い払われ、ビルの昔のキャンペーン運動員たちが参加していつの間にかいったい誰が候補なのかわからなくなるだろうという。そうなれば選挙運動プロのビルに押されてヒラリーは見る影もなくなるかもしれない。
しかしそうなった場合、我々共和党にとってはどういう影響があるだろうか。

一方で、ビル・クリントンはここ数十年間でもっとも才能ある選挙運動家である。なにしろ近年の大統領のなかでもまれに見る落ち度だらけ男を二度も大統領に選ばせたくらだからね。ビルの得意技と言えばなんといっても泥試合。クリントンの度を超えた侮辱に侮辱を重ねた個人攻撃で相手を挑発し相手に無理矢理応戦させる。一旦選挙運動が泥試合に陥ればもうこっちのもの。ビルは必ず勝つ。

しかしもう一方で、いったいアメリカ国民はどれだけビル・クリントンの汚いやり方にたえられるだろうか?
日本のみなさんはクリントン大統領が現役当時結構人気があったとお思いかもしれないが、最初の二年が終わった中間選挙で共和党に議会の多数議席を大規模にとられてしまうほど人気がなかった。戦争もなく平和で経済もITバブル景気真っ最中でアメリカにとって非常に良い時代だったのに、ビルの支持率は常に42%程度という低いものだった。第二期目の選挙の時に全く魅力のないボブ・ドール共和党候補を相手に国民表の過半数も取ることができなかったくらいだからその人気度は分かろうというものだ。
しかも二期目にはセックススキャンダルと弾劾裁判で、ビルとヒラリーの汚い洗濯物を国民はさんざん見せつけられたのである。民主党のなかには自分の党の大統領だから共和党の攻撃に対して弁護せざる終えない立場に追い込まれことを未だに忌ま忌ましく思っている議員も少なくないだろう。そのビル・クリントンが再び全力投球で選挙運動をしようとしているのだ。これにつきあわされる民主党市民も気の毒といえば気の毒なはなし。
ヒラリーがオバマに勝って民主党の大統領指名を受けたとしたら、このキャンペーンは今年の11月まで続くのである。しかもビルの選挙運動を見ていると、今度の選挙に立候補しているのはヒラリーではなくてビルなのではないかという疑いが人々の間に生まれるだろう。ヒラリーはアメリカ始まって以来のフェミニスト大統領どころか、夫に利用された大統領とは名前だけのただの操り人形だというイメージがだんだん強くなってくる。
先日コメンターの方もおっしゃっていたが、ヒラリーは実績実績と繰り返してはいるが、いったい政治家としてどんな実績があるのだろうか?ヒラリーは若い頃から自分の力でキャリアを作り上げたことなど一度もない。ヒラリーの最初の弁護士としての仕事は夫がアーカンサス知事だったコネで法律事務所に就職させてもらっただけだし、その後は大統領の妻。そして元大統領の影響力を利用してビルからニューヨーク代表上院議員の職をあてがってもらった。独立した女性どころか、ヒラリーはすべて何でも夫のビルにお膳立てしてもらって来た夫に頼り切りの情けない女性だ。
今度の大統領選挙にしたって、ヒラリーが元ファーストレディでなかったら彼女をまじめに取り扱ったひとなどいるだろうか?たかが上院議員を二期つとめただけで、議会でこれといった活躍をしたわけでもなく、オバマのように人格的な魅力があるわけでもないヒラリーなど誰が相手にしただろう。
ところで陳さんは共和党にとってヒラリーが候補になるよりオバマのほうが手強いのではないかとおっしゃっていた。候補者としては確かにオバマは魅力的な人間だ。しかしオバマが相手なら共和党候補はまともな選挙運動が出来る。ヒラリーが相手では泥試合を避けることはできない。泥試合になったらクリントンにかなうものはない。
それに心の健康のためにも、アメリカ市民はまともな人間同士の選挙運動を望んでいるのではないだろうか?


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