昨日のサウスカロライナでもその前のネバダでもヒラリー・クリントンの選挙運動は元大統領の夫、ビル・クリントンの活動が目立った。時としてリポーターと怒鳴りあいになったり、ライバル候補者のオバマへの罵倒が行き過ぎたりと、ビル・クリントンの元大統領としてあるまじき態度が話題になった。
しかしヒラリーの選挙運動でビルの活躍があまりにも目立つことが、ヒラリーにとって良いことなのだろうか?ビルは確かに選挙運動の天才ではあるから使い方次第では非常に協力な武器となるが、その一方で彼は両刃の刃でもある。選挙運動員としてのビル・クリントンについて、歴史家のビクター・デイビス・ハンソン教授でこんなことを書いている。
現大統領のジョージ・W・ブッシュが大統領として選挙運動をしていた時、41代目大統領で父親のジョージ・H・W・ブッシュは、ほとんど選挙運動に出てこなかったし、Wの大統領としての実力についてはほとんど述べず、自分にとって大事な息子であるという程度のことしか言っていなかった。前大統領のビル・クリントンがWの悪口をどれだけ言っても、パパブッシュはほとんど反論しなかった。
それにひきかえビル・クリントンときたら単なる応援どころか、ヒラリー・クリントンの選挙運動の総指揮官でもあるかのように振舞っており、時としてヒラリーより観客を惹き付けてしまっている。下記はハンソン教授。

(ヒラリーのではなくビルの)ネバダにおける勝利演説は全くすごいものだった。ビルはヒラリーが隣で黙って見守るなか、延々と続けた。ビルはヒラリーのカムバックを自慢し他の候補者の悪口をいい、もちろん自分のことを話、マイクを握って離そうとしなかった。

ヒラリーの表情ときたらいつもどおりの「私にこのドーベルマンに口かせを付けろなんて言わないでよね。」と言いたげに赤の他人のように凍り付いたまま立っていた。

ミスター苺はヒラリーの選挙運動は日に日にビルに乗っ取られつつあり、そのうち今の選挙運動会長であるパティ・ソリス・ドイル(Patti Solis Doyle)などは会長とは名ばかりで窓際に追い払われ、ビルの昔のキャンペーン運動員たちが参加していつの間にかいったい誰が候補なのかわからなくなるだろうという。そうなれば選挙運動プロのビルに押されてヒラリーは見る影もなくなるかもしれない。
しかしそうなった場合、我々共和党にとってはどういう影響があるだろうか。

一方で、ビル・クリントンはここ数十年間でもっとも才能ある選挙運動家である。なにしろ近年の大統領のなかでもまれに見る落ち度だらけ男を二度も大統領に選ばせたくらだからね。ビルの得意技と言えばなんといっても泥試合。クリントンの度を超えた侮辱に侮辱を重ねた個人攻撃で相手を挑発し相手に無理矢理応戦させる。一旦選挙運動が泥試合に陥ればもうこっちのもの。ビルは必ず勝つ。

しかしもう一方で、いったいアメリカ国民はどれだけビル・クリントンの汚いやり方にたえられるだろうか?
日本のみなさんはクリントン大統領が現役当時結構人気があったとお思いかもしれないが、最初の二年が終わった中間選挙で共和党に議会の多数議席を大規模にとられてしまうほど人気がなかった。戦争もなく平和で経済もITバブル景気真っ最中でアメリカにとって非常に良い時代だったのに、ビルの支持率は常に42%程度という低いものだった。第二期目の選挙の時に全く魅力のないボブ・ドール共和党候補を相手に国民表の過半数も取ることができなかったくらいだからその人気度は分かろうというものだ。
しかも二期目にはセックススキャンダルと弾劾裁判で、ビルとヒラリーの汚い洗濯物を国民はさんざん見せつけられたのである。民主党のなかには自分の党の大統領だから共和党の攻撃に対して弁護せざる終えない立場に追い込まれことを未だに忌ま忌ましく思っている議員も少なくないだろう。そのビル・クリントンが再び全力投球で選挙運動をしようとしているのだ。これにつきあわされる民主党市民も気の毒といえば気の毒なはなし。
ヒラリーがオバマに勝って民主党の大統領指名を受けたとしたら、このキャンペーンは今年の11月まで続くのである。しかもビルの選挙運動を見ていると、今度の選挙に立候補しているのはヒラリーではなくてビルなのではないかという疑いが人々の間に生まれるだろう。ヒラリーはアメリカ始まって以来のフェミニスト大統領どころか、夫に利用された大統領とは名前だけのただの操り人形だというイメージがだんだん強くなってくる。
先日コメンターの方もおっしゃっていたが、ヒラリーは実績実績と繰り返してはいるが、いったい政治家としてどんな実績があるのだろうか?ヒラリーは若い頃から自分の力でキャリアを作り上げたことなど一度もない。ヒラリーの最初の弁護士としての仕事は夫がアーカンサス知事だったコネで法律事務所に就職させてもらっただけだし、その後は大統領の妻。そして元大統領の影響力を利用してビルからニューヨーク代表上院議員の職をあてがってもらった。独立した女性どころか、ヒラリーはすべて何でも夫のビルにお膳立てしてもらって来た夫に頼り切りの情けない女性だ。
今度の大統領選挙にしたって、ヒラリーが元ファーストレディでなかったら彼女をまじめに取り扱ったひとなどいるだろうか?たかが上院議員を二期つとめただけで、議会でこれといった活躍をしたわけでもなく、オバマのように人格的な魅力があるわけでもないヒラリーなど誰が相手にしただろう。
ところで陳さんは共和党にとってヒラリーが候補になるよりオバマのほうが手強いのではないかとおっしゃっていた。候補者としては確かにオバマは魅力的な人間だ。しかしオバマが相手なら共和党候補はまともな選挙運動が出来る。ヒラリーが相手では泥試合を避けることはできない。泥試合になったらクリントンにかなうものはない。
それに心の健康のためにも、アメリカ市民はまともな人間同士の選挙運動を望んでいるのではないだろうか?


1 response to ビルとヒラリー、本当の候補者はどちら?

dust_speculator12 years ago

>ビルの得意技と言えばなんといっても泥試合。クリントンの度を超えた侮辱に侮辱を重ねた個人攻撃で相手を挑発し相手に無理矢理応戦させる。一旦選挙運動が泥試合に陥ればもうこっちのもの。ビルは必ず勝つ。
ビル・クリントンのこういった一面があったとは知りませんでした。日本では、全くといいほど伝えられていませんね。私がもっている、彼に対する生理的な嫌悪感が、何だか理解出来たような気がします、
まぁ、でも、ビルは、一度、講演のために母校に来たことがあるんですよねぇ。

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