イスラエル、ガザ攻撃を拡大

平和交渉?ご冗談でしょ、笑わせないでよ、てなもんである。はっきり言って何で勝ってる方が停戦交渉に応じる必要がある?
とはいうものの、これまでイスラエルはパレスチナの攻撃に応戦はしても、最後まで戦うということをせず、常に国際社会からの圧力に負けて不利な停戦条約を結んでは、パレスチナ側が体制を整え直す時間を与えてしまうという間違いを繰り返して来た。だから今回もハマスはイスラエルがこれほど激しく執拗に応戦してくるとは期待していなかったのだろう。
2006年のレバノン戦争の際も、便乗してイスラエルに攻撃をしかけたハマスだが、イスラエルはあの時も途中で手を引いてしまった。だが、今回はイスラエルは停戦どころか攻撃を拡大する意志を明らかにした。イスラエルも今度こそハマスの軍事組織を完全破壊するまでは戦いは止めないと腹を据えたようである。カカシも今度こそ最後までやってもらいたいと心から願う。

イスラエル軍、ガザ上空から「攻撃拡大」予告のビラ散布

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は11日、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ北部のガザ市南西部に侵攻し、人口40万が集中する同市中心部に迫った。
 16日目を迎えたガザ攻撃は白兵戦の様相を強めており、イスラエル軍幹部からは、政府による増援決定が遅れていることに対する不満が出始めている。
 現地報道によると、戦闘が激しかったガザ市南郊の人口密集地域では同日、少なくとも27人のハマス戦闘員が死亡した。一方、ハマス側のロケット弾攻撃も続き、10日も約20発がイスラエルに着弾。11日にはガザとの境界線から40キロ以上離れたベールシェバに2発が着弾した。
 イスラエル軍機は10日、ガザ上空からビラを散布して「攻撃拡大」を予告したが、政府は11日午後(日本時間同日夜)の時点で、1万人以上の予備役投入を伴う「第3段階」に突入したか否かについては明らかにしていない。
 ただ、有力紙「イディオト・アハロノト」は同日、ガラント南方軍司令官が、8日に基地を視察したオルメルト首相に、作戦拡大を強く直訴したと伝えた。
2009年1月12日01時49分 読売新聞

ところでハマスのロケット攻撃を指揮していたアミアー・マンスィ(Amir Mansi)がイスラエルの空爆によって殺された
この男はハマス武装勢力のなかでもかなりの幹部で、ハマス武装勢力のロケット部司令官だった。パワーラインによると自らモーター射撃をしようとしているところを反対に狙撃されたらしい。こんな上部の人間が自ら攻撃に着手しているとなると、ハマスもかなり人手不足になっているのかもしれない。
ところでリンク先のタイムスオンラインの最後のほうで、ロンドンでの反イスラエルデモはかなり激しかったことが記されている。

二万人を動員したロンドン中央部での抗議デモは警察との衝突で昨夜終わった。イスラエル大使館近くで野球バットやプラカードで武装した抗議者の「継続的な攻撃」により警察官三人が負傷した。

***訂正****
タイムスオンラインの前日の記事を読んでいたら、このデモは反イスラエルではなくて親イスラエルの平和運動デモだった。ヨーロッパ各地で反イスラエルのデモが行われているので、てっきりその話だと早合点してしまった。不注意をお詫びします。****
ヨーロッパ各地で反イスラエルのデモが行われているが、その主催者は国際アンサーなどの共産主義団体とイランが背景に居るヒズボラなどのイスラムテロリストたちであることは言うまでもない。これはヨーロッパの善良な市民が戦争の恐ろしさに絶えきれずに平和を訴えているなどという甘っちょろい物ではないのである。ま、ヨーロッパのユダヤ人嫌いは歴史が深いので今更驚きはしないが、無宗教の共産主義者とファシスト寄りのイスラム教徒らが手を組んでユダヤ人を迫害するというのもおかしなものである。


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イスラエルのガザ攻撃に割れるパレスチナ世論

ことイスラエル対パレスチナ紛争となると、無条件でイスラエルが悪いと報道するのが西洋メディアの常であり、今回のイスラエルによるガザからの何千というロケット攻撃への防衛戦争も欧米ではイスラエルの一方的な理不尽な攻撃であるかのように報道されている。
しかしながら、当のパレスチナ庶民の間では、イスラエル攻撃を受けているガザの一般庶民への同情は高まっているとはいえ、同時にガザを統治するハマスの強行姿勢に対する不満も高まっており、パレスチナ庶民のイスラエル対策については考えが二分している。
マイク・ロスが紹介しているワシントンポストの記事から読んでみよう。
読者の皆様はご存知と思うが、パレスチナはハマスが牛耳るガザとファタ党が統治するウエストバンクとに別れる。ハマスはイスラエルとの共存は絶対に認めないどころか、イスラエルが存在すること自体許容できないとする強硬派だが、ファタの方はイスラエルとの共存を認めてパレスチナの独立を目指すという方針で、お互い全く相容れない考え方を持っている。
2〜3年前、イスラエルがウエストバンクから撤退してからも、ハマス対ファタの内乱は絶えず、パレスチナ人はイスラエルによる攻撃よりも内輪もめで殺された人の方が多いくらいだ。
ウエストバンクではパレスチナ自治政府がハマスの政治活動を厳しく規制しており、今回のイスラエル攻撃に関してラマラーで行われたデモ行進でもハマスの旗を挙げようとした若者が即座に撤去されるという一幕があった。
ハマスのFawzi Barhoum報道官は知事政府のアバス議長はイスラエルの共謀者であり、ガザにスパイを送り込んで暗殺を恐れて隠れているガザの指導者の居場所を突き止め、イスラエルに引き渡すつもりだと抗議声明を発表した。パレスチナ人にとってイスラエルの共謀者と言われるのが最大の侮辱である。ファタ党はこの攻撃は偽りであると完全否定しているが、アバス議長がイスラエルに近過ぎるのではないかという猜疑心はパレスチナ人の間でも深まりつつある。
ファタのメンバーだというある若者は、アバス議長はイスラエル攻撃を利用して自分がガザでの復権を企んでいるのではないかという。この青年は自分はファタのメンバーだが最近のハマスには感心しているとし「彼らは我々の土地と自由を守っている。」と語る。自分らへの不能から目を背けさせるためには共通の外敵に目を向けさせることが一番手っ取り早いとはいえ、ハマスはパレスチナの土地や自由を守るどころか、市民による選挙で統治権を得た2006年当時から他の勢力と内輪もめを続け、2007年にファタを追い出した後も、内政を放ったらかしにしてイスラエル攻撃だけに専念にしてガザの経済は破壊状態。150万からのガザ居住者は厳しい貧困に苦しんでいる。
それに引き換えハマスの政治活動を禁止しているウエストバンクではイスラエルからの通称禁止を補うため国際社会から支援金が流れ込み、ウエストバンクの250万人の生活は向上している。

ファタ政権が統治するウエストバンクのなかでも一番豊かな市であるラマラーではビジネスマンがヨーロッパ風のカフェでラテをすすり、新しいメルセデスベンツなどがカーディーラーのショーウインドーを飾っている。一方ハマスの本拠であるガザ市では燃料不足のため時々ロバの数が自動車の数を上回り、日々のパンの配給を巡っての人々の争いがつづく。
ガザとウエストバンクは30マイルに渡るイスラエル領土で分離されているが、イスラエルによる双方への移動規制はガザとウエストバンクの溝をさらに深くしている。

この溝をさらに広げることがイスラエルの狙いだと言う批評家もいる。ガザへの攻撃を激しくすることで、パレスチナ人がエジプトへ避難すれば、パレスチナはイスラエルの問題ではなくエジプトの問題になるという見方もある。そうすれば、イスラエルは友好的とは言えないが、すくなくともイスラエルに攻撃を仕掛けるより自分たちの独立を最優先にしているファタ党仕切るウエストバンクだけを相手にすれば良くなる訳だ。
私に解らないのは、いいかげんガザのパレスチナ人たちは、この際限なく続く戦争に嫌気がささないのだろうかということだ。イスラエルはかまいさえしなければ放っておいてくれる相手だ。イスラエルの存在を認めたくないというなら、認めずに無視すればいいだけの話だ。イスラエル撲滅のためにどれだけのパレスチナ人が殺されているのか、食べ物もろくになく、必要最低限の生活必需品すら手にはいらない。イスラエルを放っておきさえすれば諸外国からの支援金も入ってくるのに、何故いつまでも戦争をつづけなければならないのだろう。
はっきり言って、イスラエルがガザから完全にパレスチナ人を追い出してしまったほうが、パレスチナ人にとっても親切というものだ。ハマスが勢力を握っている限り、パレスチナ人の悲劇は終わらない。こんなやつらを指導者に選んだパレスチナ人の自業自得といえばそれまでだが、いいかげんイスラエルも仏の顔をみせるのは止めるべきだろう、、とユダヤ教徒にいうのも変かな?


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戦の時期を敵任せにしていいのか? イスラエルは、

オルメルト、イスラエル国家心中願望首相がイランの手先であるシリアのヒズボラと人質交換の交渉などという馬鹿げたこをやっている間に、イランはイスラエルを充分射程距離に含む長距離ミサイル試射実験に成功した。イラン側はイスラエルとアメリカの脅威を威嚇するためだと言っているが、アメリカはともかく、今の腰抜けイスラエルにイランを攻撃する意思などない。

革命防衛隊はこの日ペルシャ湾で、軍事演習「偉大な預言者 III」を実施し、長距離ミサイル「シャハブ3」改良型などを試射した。米国務省高官は、現在米国が直面している「深刻な問題」とコメントした。

米軍関係者によると、試射されたのはシャハブ3のほか、短距離弾道ミサイル6発。この種類の試射は以前にも行われたため予想外ではなかったが、米情報機関によって探知されていた。
イランは時折ミサイルを試射しているが、今回はイランを想定したイスラエルの軍事演習が先月行われ、イラン核問題をめぐる国際社会との摩擦が強まる状況下で実施された。国営イラン通信(IRNA)は国内外の専門家の見解としたうえで、イスラエルがイラン国内の核施設を攻撃した場合、射程2000キロのシャハブ3に報復能力があることを示唆した。

イスラエルがその気になれば、イランなどひとたまりも無い。ミサイルをひとつふたつぶっ放した程度ではあんまり効果はない。もちろんイランが核兵器を所持しているというのであればこれはまた別の話だが、今のうちならその心配は無いだろう。だからイスラエルがイランを叩くなら、今のうちにやるべきである。なぜ、絶対に起きると解っている戦争を相手が強くなるまで先延ばしにする必要があるのだ?相手が弱い時に戦う勇気がなければ、相手が強くなってからどうやって戦うのだ?
だがそんなことを言ってみても、腰抜けオルメルト首相にイランと戦うような根性はない。戦争を先へ先へと延ばせば問題を次の世代におしつけることができるとでもおもっているのだろうか。イスラエルでいま内閣が解散し選挙がおこなわれればオルメルとの所属するカディマ党は崩壊し、ベンジャミン・ネッテンヤフー率いる強硬派のリクード党が多数派を握る可能性は非常に高い。私利私欲した興味のないカディマ党の連中としては、なんとしても内閣解散を避け続けなければならないわけだ。それがたとえ、イスラエル国にとっての自殺行為であったとしてもだ。
さてその間、パレスチナのハマスは停戦状態を悪用して次の戦闘用意に余念がない
ハマスは2006年のヒズボラの作戦に見習って、新しく入手した武器の取り扱いに戦闘員の訓練の焦点をあてている。ハマスの新兵器とは、

  • ワイヤー先導対戦車ミサイル、AT-3 Sagger, AT-4 Spigot, AT-5 Spandrel、といったものから、肩にしょうロケット砲AT-14 Sprigganなど、すべて装甲車に効果のある、これまでよりも射程距離が数キロメートルながくなった最新兵器である。
  • 対戦車用ロケット砲、ハマスは大量の携帯対戦車ロケット砲RPG-29 Vampir を購入したという。この砲弾の射程距離は500メートル。これまでのRPG7システムよりずっと性能が優れているという。
  • 高性能な路肩改良爆弾の開発、イランが開発した地元制作のthe Shawaz と呼ばれるこの改良爆弾は鉄を20センチ突き抜けることが出来るという。

ハマスはガザを武装するだけでなく、新しい戦闘員の勧誘にも努力している。このやり方もヒズボラがお手本になっている。またイランの特別部隊のように半分正規軍、半分ゲリラ軍で構成されている。
こうしてみてみると、ハマスはたんなる避難民のゲリラなどではなく、イランに後押しされた立派な軍隊となりつつあるようだ。イスラエルはたった二人の兵士の遺体を取り戻すために、目の前にある敵の存在に目をつむっている。あたかも無視すればなにもかもが良くなると思い込んでいるかのように。
イスラエルにはイランもシリアもハマスも必要ない。敵側にやられる前に馬鹿なカディマ党の政治家がイスラエルを滅ぼしてくれるだろうから。


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イスラエルの自殺願望、兵士の遺体と凶悪テロリストの交換に合意する愚かさ

今年の3月にイラクはモスールで爆弾を積んだトラックをイラク軍駐屯所に乗り込み爆破させ、13人のイラク兵を殺し十数人に怪我を負わせた事件の犯人は、実は今年の初めキューバにあるアメリカ軍の捕虜収容所から釈放されたクエート人のアルカエダテロリストであることが解った。この男を英雄として描いたアルカイダのプロパガンダビデオが先日公開された。
戦争中の捕虜は普通の犯罪者ではない。個人的に彼らがどのような罪を犯したかということは大して問題ではない。彼らが味方に危険を及ぼした、もしくは及ぼす可能性がある以上、こちらは戦争が続く限り半永久的に彼らの身柄を拘留しておく必要がある。それを怠ると、上記のような悲劇が起きるのだ。
本日、イスラエルのYoni the Bloggerが紹介している記事によると、イスラエルは二年前にヒズボラのテロリストに誘拐された二人の兵士の身柄とパレスチナテロリスト5人の身柄を交換することに同意したという。しかしこの二人の兵士は誘拐された時点ですでに殺されたと思われており、今回の交渉中にそのことが確認されている。となれば、イスラエルは二つの遺体を取り戻すために5人の危険なテロリストを釈放するということになる。
オルメルト首相を筆頭とするイスラエル政府は自殺願望でもあるのか?

5人のヒズボラ捕虜のうちサミヤー・クンター(Samir Kuntar)は、イスラエル市民、ハラン家のメンバー三人を殺し警察官の一人を死に追いやっただけでなく、イスラエル軍のパイロットであるロン・アラッド兵の消息の鍵を握る最後の希望でもある。アラッドは1986年にレバノン上空で彼の乗る飛行機が墜落して以来、数種のテロリストグループに拘束されてきた。彼は最後にはイランに連れて行かれたものと思われてるが、その行方はもう何年も不明である。

そのような危険でしかも重要な情報を握るテロリストをたった二体の遺体と交換するというのはいったいどういう神経なのだ?こう言っちゃなんだが、家族には気の毒だがイスラエルにとって死体が帰ってきたって何のとくにもならないではないか。
私は特にヒズボラやアルカイダの奴らの暴力ぶりを今更責める気などない。人間の皮をかぶった動物など批難してみても意味がないからだ。しかしイスラエル政府はいったいなにを考えているのだ?なぜいままで一度も条約を守ったことも無くイスラエルが滅亡するまで戦い続けると豪語する敵と交渉などするのだ?いったいいつになったら魂のない動物と交渉などできないということがわかるのだ?
イスラエルはテロリストによって滅ぼされる前に、オルメルトという愚かで臆病な首相によって内側から腐ってしまうだろう。イスラエルの政治体制では少数党が多数党の首相に辞任を求めることも内閣を解散させることも出来ない。オルメルトは9月には辞任すると言っているが、リクード党が政権を握っている以上、他の誰が首相になってみても同じことだ。内閣を解散して総選挙でもしない限り、イスラエルの愚かな政策は変わらない。
イスラエルの未来のために今は神に祈るしかないのか?


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オバマまたも失言、外交無知をさらけ出す

外交にはコードワードと言われる専門用語がある。これを間違って使うと外交上非常に大きな問題を起こしてしまうことがある。民主党大統領候補のバラク・オバマが自国の政治的な歴史に疎いことはカカシは前々から知っていたが、アメリカの大統領ならば特に気を使わなければいけない中東問題で、オバマはまたまた失言をしてしまった
親イスラエルのロビーグループを前にして、オバマは「エルサレムはイスラエルの首都として分離されずに保たれるべきです」と発言した。この分離されないという意味の「undivided」という言葉は実は中東では非常に注意を払って使われなければならないコードワードなのである。
何故ならば、エルサレムの一部は1967年にイスラエルが戦争で勝ち取った領地であり、パレスチナ側からしてみれば、イスラエルに無理矢理ぶんどられた自分たちの土地という意識があるからだ。だからアメリカは常にエルサレムについてはパレスチナ側を刺激しないように非常に気をつけた発言をすることを方針としてきた。それなのに敵国とも無条件で会見すべきだと常々柔軟な外交姿勢を見せているオバマが、不必要にパレスチナを刺激するような発言をするとはどういうことだろうか?
リベラルなオバマが意識的にパレスチナを侮辱するなどということは先ず考えられない。となるとオバマは単にundividedという言葉がコードワードであることを知らなかったと解釈できる。しかし次の大統領になろうという男がこんな初歩的なことも知らないなどとはパレスチナ側は思いも寄らない。よってパレスチナオーソリティーのマフムード・アバスなどは「彼(オバマ)は平和交渉のすべての扉を閉じてしまった。」などと落胆の意を隠せない。
オバマは後になって自分の間違いに気がつき、エルサレムに関する状況は今後の交渉次第であるなどと言ってみたり、報道官を使ってエルサレムを巡って争いが起きた過去を繰り返したくないという意味で言ったとか、見え透いた言い訳をしているが、すでにダメージはおきてしまった。
こんな外交上の基礎知識もない男が、大統領になりたいだって?
もしもこんな男を相手に経験豊なマケインが負けたら、それこそアメリカの保守派は相手方より自分たちを責めるしかない。


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レバノン紛争、ヒズボラ勝利の意味

これは全くうれしくないニュースだが、この間からレバノン政府のヒズボラ対策に武力抵抗をしていたヒズボラに対して、本日レバノン政府は完全に折れてヒズボラの要求を100%受け入れることで、ヒズボラに矛を収めてもらうという無様な結果になってしまった。
ヒズボラは言わずとしれたシリアの先鋭部隊。レバノン政府がヒズボラを鎮圧できなかったということは、今後レバノンは再びシリアの属国と成り下がってしまうということだ。シリアの後ろにはイスラエルを臭い屍と呼んではばからないイランがいる。レバノンを拠点に再びイスラエルへの侵略戦争が起きるのは時間の問題だ。
アメリカの主流メディアはレバノン政府があたかもアメリカに後押しされているかのように報道していたが、もしそれが事実であればヒズボラがレバノンで勝利を遂げるなどということはあり得なかった。
よくアメリカはやたらに外国の政策に口や手を出すという人がある。テロの原因はそういう傲慢で押し付けがましいアメリカにあるのだという人が後を絶たない。だが現実はその逆なのである。
ラムスフェルド前国防長官が戦争好きだのなんだのと批判されたが、実はラムスフェルドほどアメリカの外国への軍事介入を嫌ったひとも居ない。イラクへの侵攻が驚くほど少ない数の軍隊で行われたのも、主な戦闘後のイラク駐留軍の数が増派されなかったのも、ラムスフェルド長官の「小さな足跡」政策の賜物だ。だが今となってはラムスフェルド長官の消極的なやり方はテロリスト相手には逆効果であることが明らかになった。
アメリカが口を出さなければテロリストたちはいくらでも自分らの勝手気ままな行動を取り、地元政府は手足も出ない。アフガニスタンをタリバンが追われたのも、イラクからアルカイダが追放されたのも、そこにはアメリカがいたからだ。その奴らがパキスタンに落ち着いたのは、アメリカがパキスタンのムシャラフ政権に遠慮してパキスタン国内にはびこるテロリストに手をださなかったからだ。
レバノンのヒズボラにしてもそうである。レバノン政権は民主主義の選挙によって選ばれた政権である。アメリカがどうのこうのと言えた義理は全くないし責任もない。だがアメリカが黙っているとこの有様だ。国連など最初から当てにならないし、結局テロリスト退治にはミスターアメリカという英雄が登場しなければお話にならないのだ。
実は数日前レバノン紛争が始まった時、ブッシュ政権はこの情勢に介入すべきかどうか緊急会議を開いた。その時アメリカや国連が即座に介入しなかった場合レバノンはどういう状態になるのかたが討論されたのだが、はっきりした方針を決定することができなかった。これはブッシュ政権はこれまでもそうであったように国務庁と政権との間で合意を得ることが出来なかったからだ。
カカシはアメリカはもっと自分勝手になるべきだとう思う。自国の利益を最優先にし、アメリカの安全を脅かす諸外国には徹底的に圧力をかけ、アメリカに有利な同盟国には徹底的な軍事援助をすべきなのだ。アメリカは国際社会で好かれる必要などない。恐れられるか尊敬されるかそのどちらかしかないのだ。
アメリカが嫌われるのがアメリカが強いせいだというのならそれで良い。それで世界平和が保てるならそれに超したことは無い。


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仏テレビやらせ報道訴訟:被告側逆転勝利!

本日2000年に起きたフランスの国営テレビ局フランセ2によるパレスチナ少年殺害やらせ映像を暴露したフィリップ・カーセンティ記者が、テレビ局から名誉毀損で訴えられていた訴訟で、第一判を覆して逆転勝利となった。
一応背景をもう一度ご説明しておこう。まず仏テレビやらせ映像を指摘され訴訟起こすに載せた一連の写真をみていただきたい。

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2000年、第二インティファーダが始まったばかりの頃、ジャマールとモハメッドのアルドゥーラ親子はイスラエル兵軍に抵抗すべく投石攻撃に参加した。しかし親子はすぐにパレスチナ戦闘員とイスラエル軍との撃ち合いの真ん中に挟まってしまった。

父親はとっさに物陰にかくれて息子を守ろうとイスラエル兵に向けて武器を持っていないことを示すように必死に手を振る。それが最初の写真だ。しかし攻撃が止まないので父親は自分の体で子供を守ろうとする。それが二枚目の写真。

三枚目ではなぜか父親はカメラを直視しているが、四枚目でピント外れがあったと思うと五枚目の写真では二人とも撃たれてぐったりしている姿がある。この攻撃で父親は重傷を負い、息子のジャマール君は即死した、、、
というのが最初にこの映像を放映したフランス国営テレビ局チャンネル2の話だった。この映像が報道されたとたん、イスラエル軍は武器をもたない親子を冷血に惨殺したという批判が世界中にひろまり、イスラエルへのテロ攻撃が激増した。いわゆる第2インティファーダ激化のきっかけとなった。ところが後になってこの映像がやらせだったことが判明した。

このやらせを暴露したフィリップ・カーセンティ氏はテレビ局のプロデューサーから名誉毀損で訴えられ、2006年9月の裁判では原告側が勝利していた。その訴訟の詳細は下記のエントリーで紹介した通りである。
仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その1
仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その2
問題だったのは、フランセ2はフランスの国営テレビであることから、国営テレビのやらせ報道を暴露した記者が名誉毀損で訴えられ有罪になったということは、フランスには言論の自由がないということになる。
今回はこの判定を控訴していたものだが、名誉毀損の事実はなかったとの判定がでたことは非常に喜ばしいことだ。
しかし上記のやらせ報道のおかげで、インティファーダが起き、何万人という人々が双方で殺されたことを考えると、フランセ2の責任は重い。

今日は時間がないので一応アップデートのみ。週末に詳しい分析をしたいと思う。


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いつからレバノン政府にアメリカの後押しが付いたわけ?

レバノンにおいて反政府側のシーア派と政府側のスンニ派との宗派間争いが続いている話は先日もした通りだが、それに関するアソシエートプレス(AP)の記事を読んでいて不思議な表現に気がついた。

イランに支持されたヒズボラとその仲間がベイルート政府のイスラム居住区を占拠し、その武力の強さを見せ、合衆国に支持された政府側と戦った。レバノンの1975-1990に起きた内乱以来最悪の事態となった。

ヒズボラはイランの工作員であり、イランから資金、人員、訓練を受けたイランの先鋭部隊である。しかしレバノン政府は民主的な選挙によって選ばれた正規の政府であり、アメリカとは無関係だ。レバノンの選挙にアメリカはなんら関与していない。
アメリカがレバノン政府を支持するとしたら、それは単にレバノン政府が正規な政府であると認めるということに過ぎず、それならフランスやイギリスも同じように現政府を独立国の正規政府として認めているのとなんら変わりはない。それなのに何故APは、あたかもレバノンがアメリカの統治下にあるかのような書き方をするのか。
その理由はレバノンのおける紛争はイラン対アメリカの代替え戦争だという印象を読者にもたせたいからだろう。イラクではイランの手先のモクタダ・アル・サドル率いるマフディ軍がイラク・アメリカ連合軍によってこてんぱんにされているので、無関係なレバノン紛争を持ち出してきて、イラクが収まってもレバノンではアメリカが押され気味だと言いたいのだろう。
そこまでしてアメリカの通信社がアメリカをこき下ろしたいというのも不思議でしょうがない。


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レバノンでも、シーア対スンニの宗派間争い

シーア対スンニの宗派間争いといえば、イラクかと思うとそうではない。シリア系のシーア派ヒズボラがレバノンで地元スンニ派と熾烈な戦いを繰り広げている。
木曜日ベイルート市街地でシーアヒズボラはスンニ派レバノン政府軍によるシーア派武装解除に抵抗してロケット弾やマシンガンを使って応戦した。この戦いで4人が死亡、8人が負傷した。
スンニのリーダーであるサアード・ハリリはヒズボラの頭であるハサーン・ナスララに戦闘員を撤退させ「レバノンを地獄から救うよう」に呼びかけている。
今回の暴動のきっかけは、政府がヒズボラの取り締まりを強化すると発表し、その第一段階としてヒズボラ同士の交信ネットワークを違法と断定、ヒズボラとつながりがあるとされたベイルート空港の警備部長を交替させたことにある。
ナスララは全国放映のテレビ演説でヒズボラの交信ネットワークが2006年夏のイスラエルとの戦争の際に多いに役立ったとし、「対イスラエル・アメリカ抵抗運動への挑戦」だとして次のように宣言した。

「我々を逮捕しようとするものは我々が逮捕する。」「我々を撃つものは我々が撃つ、我々に上げられた腕は我々が切り落とす」

まったくいつもながらイスラム教過激派の言うことは勇ましい。やることはいつもお決まりの野蛮なテロ行為だが。
パレスチナでもイラクでもそうだが、中東で暴力沙汰が起きるたびに、常にイスラエルやアメリカが原因であるかのようにイスラム過激派は責任転嫁をするが、結局彼らのシーア対スンニという宗派争いに外部からの手助けなど必要ないのだ。彼らのぶつかるところ常に戦ありである。平和な宗教が聴いて呆れる。
とはいうものの、レバノンにおける宗派間争いにはシーア対スンニの勢力争いであることに違いはないが、その背後にはイランとサウジアラビアがいることも無視できない。
ヒズボラはシリア系のテロリストだが、その裏にイランがいることは周知の事実。イラクでサドルを使って宗派間争いを激化させようと色々工作をしているイランはレバノンでも同じようなことをやっているわけだ。
スンニ派のリーダーは近隣のスンニ派諸国に援助を訴えかけているが、サウジやエジプトは口は達者だが政府が直接介入することは先ずあり得ないだろう。ただしレバノンがシーア派国になるのはサウジやエジプトにとっても好ましいことではないので、対スンニテロ行為の資金援助くらいはしてくれるかもしれないが。
ヒズボラはいまのところベイルート空港を占拠しているが、レバノン政府軍は本格的な攻撃は始めていない。


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パレスチナの暴走にイスラエルバッシングしか興味のないヨーロッパメディア

私が愛読しているイギリスのコラムニストのメラニ−・フィリップ女史が、いつもはかなり反イスラエルのロンドン・タイムスが、どういうわけか今回はまともなコラムを載せたとしてロビン・シェパード(Robin Shepherd)の書いたこの記事を紹介している。

謝罪派の最たる考えはイデオロジーではなくイスラエルによる占領がテロの「根源だ」だというものだった。であるから占領が終わればテロも終わるとされていた。この主張は今や完全に打倒された。イスラエルの撤退以来、パレスチナ民兵軍はガザからイスラエル市民を標的に4000以上のロケット弾を撃ち込んでいる。このような連続攻撃を無視できる国などひとつもないだろう。では解決策はなんだ?再占領かそれともロケットが発射されている地域への絨毯空襲か?多くに国々がすでにそうした策をとったろう。だがイスラエルはそのどちらもしていない。

ガザ居住者の状況は深刻だ。しかし最終的な責任はハマスや他の民兵軍や暴力文化を維持しているパレスチナ人が背負っている。それさえなければ防御壁も武力行使も貿易規制も経済制裁も必要なくなるのだ。しかるに全く逆さまのイギリスやヨーロッパのコメントときたら道理などそっちのけである。感情的な言葉の猛撃はひいき目にみてもユダヤ政権に対して怠慢な考えかたであり、悪くいえば憎悪に満喫している恥知らずな行為といえる。

まったくその通りだ。同じことが別の国でおきていたらパレスチナ人などとっくの昔にガザやウエストバンクから追い出されていたに違いない。長い目でみたらイスラエルは世界からどれだけ責め立てられようとそれを実現させるべきだったのかもしれないが。
下記は2006年の7月、イスラエル、ガザ、レバノンの戦争真っ最中の頃に書いたものだ。

ここで私はあえてイスラエルがあの土地にイスラエル国を建国するにあたった経過が正当であったとか不当であったとかいう話を避ける。…私は最初に領土を手に入れた過程が侵略であったにしろ、買収であったにしろ、単に空き地で陣取りした結果だったにしろ、最終的に住民を統治し、外敵から国を守ることができる政府こそ主権国家といえるのだと考える。

イスラエルは1948年の建国当日からその主権を試されてきた。そしてその後の外敵による度重なる攻撃にたいしてことごとく勝利をおさめ、イスラエル国を死守してきた。外敵から国をまもることこそが主権国家たるものの第一条件である以上、世界中においてイスラエルほど何度もその主権国家の権利を証明した国はない。…
さてここでイスラエルの行為が行き過ぎであるとお考えの皆様にイスラエルを日本、パレスチナを北朝鮮と置き換えて考えてみていただきたい。北朝鮮が日本の学校、レストラン、遊園地などといった民間施設を標的に毎日数発のノドンを打ってきたとしよう。ミサイルが当たって被害があることもあれば、空き地に落ちて無害なこともある。それが一年以上も続いたとする。そして何週間に一度の割で北朝鮮の工作員による自動車爆弾や自爆テロ未遂が東京だの大阪だのの都市でおき、時々警備員や民間人が巻き添えになって一回に数十人の死傷者がでたとしよう。また、浜辺をあるいている女学生が拉致されるなどの事件が続出したとしよう。(あ、これはもう起きてたんだっけ?)
それに対して日本が北朝鮮に抗議をすれば、北朝鮮は日本は過去に朝鮮民族にたいしてひどいことをしたのだから、この程度のことは当たり前だ。拉致被害者を返して欲しかったらもっと経済援助しろと開き直り、なまじ応戦などしたらもっとノドンを打ち込み、日本人を拉致するぞとおどかしたとしよう。
この段階で日本が北朝鮮のミサイル発射装置を爆破し、軍事基地にミサイル攻撃し、軍首脳部が固まっていると思われる場所に戦車で侵攻して日本の圧倒的軍事力で北朝鮮のインフラを半壊したとして、日本のやり方は行き過ぎだなどと批判するひとはいるだろうか? 北朝鮮の攻撃による日本人の被害など日本の人口のほんの一部なのだから、北朝鮮への応戦はほどほどに自制すべきだなどと諸外国から口を出されて納得する日本人がどれほどいるだろうか? いったいどこの世界に戦闘行為を仕掛けてきた敵が軟弱であったら、こちらもそれにあわせた軟弱な応戦しかしてはいけないなどという取り決めがあるのだ? 

北朝鮮と日本の関係はパレスチナとイスラエルとは状況が違い過ぎるから比較にならないなどという逃げ口上は受け付けない。世界ひろしといえど、どんな独立国が隣接する政権からこのような連続攻撃を受けて黙っていられるだろうか?それがイスラエルでも日本でも同じことのはずだ。メキシコのティワナからサンディエゴに毎日のようにロケット弾が飛んできたらアメリカ人が黙っているはずはない。
ならばどうしてイスラエルだけはいいってことになるのだ?どうしてイスラエルだけはいつまでもパレスチナの無責任な行為の責任をとらなければならないのだ?
それから対テロ武力行使がかえってテロを生むといういい加減なことをいう人にもう一度考えてもらいたいことがある。パレスチナによる自爆テロの猛攻撃が始まったのはイスラエルがレバノンから撤退した直後だった。第二インティーファーダといわれるこのテロ攻撃を誘発したのはイスラエルの弱腰政策が原因だったと今では誰も認めている。また、イスラエルはガザから撤退したがテロ行為は止んでいない。これまでにもイスラエルが和平交渉に応じる度にテロ攻撃は減るどころか増えているのだ。どうしてこのようなことがおきるのか?
それはパレスチナ人は平和にも独立にも興味がないからである。彼等はイスラエルと平和共存するくらいならイスラエルと心中したほうがよっぽどもましだと考えている。彼等は妥協とか交渉とかいう語彙は持ち合わせない。彼等に分かるのは敵が強いか弱いかだけだ。そしてイスラエルの柔軟な態度は「弱さ」なのである。イスラエルが妥協すればするほど、もう一押しでイスラエルを倒せると錯覚するのだ。パレスチナ対策は和平交渉だと考えている西側諸国はアメリカも含めて大馬鹿ものなのである。そして度重なるパレスチナの裏切りに未だに懲りずに甘い政策をくりかえしているオルメルト政権はそれに輪をかけて馬鹿者だ。
イスラエルはパレスチナにいつまでも甘い顔をしているからつけあがられるのだ。この際徹底的にパレスチナを攻撃すればいい。どうせ世界のメディアはイスラエルに批判的なのだからイスラエルにとって都合のいい行動をとればいいのだ。
もっともいまの腰抜けオルメルト政権ではそれは無理だろう。


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