アメリカ、イラン空爆までの二つの条件

20日付けのニュースだがBBC放送がアメリカはいよいよイランを空爆するらしいと報道した。

米、イラン空爆計画を策定か=核・軍施設が攻撃対象に−BBC

2月20日15時0分配信 時事通信
 英BBC放送(電子版)は20日、米国がイランを空爆する非常事態計画を策定しており、空爆に踏み切った場合、標的は核関連施設にとどまらず、大半の軍事施設も攻撃対象になると報じた。軍事施設には、空軍と海軍の基地をはじめ、ミサイル関連施設や各種司令部も含まれる。
 外交筋によると、米フロリダ州にある中央軍司令部では既に、イラン国内の攻撃目標の選定を終えている。核施設には中部ナタンツのウラン濃縮施設や、同じく中部のイスファハン、アラク、南部ブシェールの関連施設も含まれる。
 一方、実際に攻撃開始となるには2つの状況が考えられ、1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合。もう1つは、イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合とされる

このブログを愛読されている方々にはこの報道はニュースでもなんでもない。それどころか何を今さら、といったところだろう。しかしここで米国がイランを攻撃する状況として上げられている二つの条件には笑ってしまう。こんな条件はいつでも満たされるではないか。
先ず一つ目『1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合』だが、IAEAの報告によればこの条件は早くも満たされているといえる。22日に提出された国際原子力機関(IAEA)の報告でははイランが国連安保理の決議を無視して濃縮活動を拡大させているとしている。以下読売新聞より。

報告によると、イランは昨年12月23日の安保理決議採択から60日間の「猶予期間」中も、中部ナタンツの地上施設で遠心分離器164個を連結した濃縮装置「カスケード」を運転し、低濃縮ウラン生産を続行。これまでに注入した濃縮ウラン原料の量は66キロ・グラムに達した。

報告によると、イランが産業規模を目指すナタンツの地下施設では、新たに遠心分離器164個で構成するカスケード2系列の設置を完了し、回転試験に着手。さらに2系列のカスケードも近く完成する。

となれば二つ目の条件「イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合」にかかってくるわけだが、アメリカ軍はすでにこの話をこの間から何度も繰り返している。先日もイラクでアメリカ軍によるイラン関与の証拠を陳列した報告会がひらかれたばかりだ。
アメリカがこんなすぐ満たされる、もしくはすでに満たされている、状況を戦争開始の条件とする理由はいったい何か? 英BBCの報道はアメリカの公式発表ではないが、これはアメリカがわざと流した情報なのではないかという説もある。このような報道をする一つの理由は無論イランへの牽制もあるわけだが、イランはアメリカの脅しなどあまり怖がっている様子はない。となればこれはイランへというより国連への警告だと言える。
ご存知のように現在国連安保理が行っている経済制裁は全く効き目のないものだ。だからもし国連がアメリカによるイラン攻撃を防ぎたいのであればもっと厳しい効果のある経済制裁を行えとアメリカは国連に促しているわけだ。
しかしイラクの時でもそうだったように、国連安保理の決議などあんまり当てにはならない。そうやってアメリカがイラン空爆を実際にはじめたら、国際社会は「イランが核開発をしていたという証拠は全くなかった、アメリカのつくりあげたでっちあげだ。」とまた騒ぐのであろうか?


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イラン国内テロにアメリカ関与のねつ造写真を暴く

イラン国内では反政府分子らによる連続テロが起きている。14日にイラン革命防衛隊のバスが車爆弾でふっ飛ばされ11人が死亡30人以上が負傷するという事件があったばかりだが、昨日16日にも女子学校が車爆弾のテロにあうという事件があった。その記事を読んでいて最後のほうに面白い文章が目に付いた。

2007.02.17
Web posted at: 13:57 JST
– CNN
テヘラン(CNN) パキスタン、アフガニスタンとの国境に近いイラン南東部のザヘダンにある女子学校で16日夜、爆弾が爆発したが、負傷者などは出なかった。国営イラン放送などが軍報道官の話として報じた。
同地では14日、同国の精鋭部隊、イラン革命防衛隊が所有するバス近くで車爆弾が爆発し、少なくとも11人が死亡、30人以上が負傷する事件もあった。
軍報道官によると、ザヘダンでは16日、複数の戦闘員が人心をかく乱させる狙いで音響爆弾をさく裂させ、発電所にも発砲。その後、逃走して、家屋に潜伏、治安部隊とにらみあっているとしている。路上で銃撃音も聞かれたという。
同地では停電も発生した。14日のバス攻撃では、イラクに本拠を置くイランの過激派組織「ジュンダラ」が犯行を認めている。同組織はこれまでイランの国境検問所などに攻撃を仕掛けている。
イランのメディアによると、14日の攻撃に使われた爆発物は「米国製」としているが、信ぴょう性は不明。

アメリカがイランがイラクに関与していると発表したことを受けて、イランもどうやら国内の反政府分子をアメリカが武装していると言いたいらしい。Little Green Footballによると、イラン政府はアメリカ関与の「証拠写真」まで発表してこのプロパガンダを押し進めているというのだが、LGFはその写真はねつ造写真だと語る
LGFが読者からもらった情報によると、イランのファーズ・ニュース・エージェンシーは明らかなフォトショップねつ造写真を使ってアメリカ製の武器がイランで発見されたとし、イラン国内のテロリストがアメリカ供給の武器を使っている、と報道している。

テヘラン(ファーズ・ニュース)土曜日の報告でアメリカ製の武器が最近イラン南部のシスタンとバルシュスタンで起きたテロ行為で使われたことの証拠として警備当局はFNAに武器の写真を提供した。
これらの武器は木曜日南部地区首都のザヘダンにおいて、ジュンダラとして知られるテロリスト団の隠れ家を手入れした際に没収されたものである。

写真はLGFのサイトへ行って注意して見ていただきたい。手りゅう弾や銃弾の箱など同じイメージがひとつの写真のなかで何度も複写されているのに気が付くはずだ。LGF ではフラッシュアニメーションでどこに複製があるか示しているので分かりやすい。
しかし考えてみればこのようなプロパガンダはかえってイラン国内の混乱を招くのではないだろうか? イラクにイランが関与しているといってもイラクは所詮アメリカにとっては外地である。イランとイラクは隣り合わせであるしついこの間の数日間の国境封鎖まで国境はがら空きだった。しかしイラン国内のテロにアメリカが関与しているとなったらこれはイランの国内警備の弱さを示すようなものでイラン政府は何をやっているのかという疑問が生まれる。
イラン国民にしてみたら、アメリカとの戦争などごめん被りたいはずで、なにかにつけて核兵器を持っているアメリカやイスラエルを挑発するようなアクマネナジャドの発言を苦々しく思っていることだろう。そんなに言ってアメリカが本気にして攻めてきたらどうする気だ、と思ってるイラン人も少なくないのではないだろうか。
そんな中で、アメリカがイラン国内のテロを援助しているとなったら、それこそイランとアメリカとの戦争はまじかであるという不安をイラン国民に与えることになるのでは? そして今でさえイラン政府に反感をもっている反政府分子が本気でやる気になってしまうという逆効果もあるのではないだろうか?
イランはかなり危ない綱渡りをしているように思える。


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効果をあげるブッシュのイラク新作戦

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先日もカカシはブッシュの新作戦が早くも効果をあげているという話をしたばかりだが、ミスター苺がここ数日の米・イラク軍の活躍について書いているのでこちらでも紹介しておこう。以下、Big Lizards より。
APの記事によるとここ数日のアメリカ・イラク連合軍によるシーア民兵の本拠地であるサドル市を塞ぎ各家を一軒一軒回って武器や民兵を探索する手入れはかなり効果をあげているようだ。またアメリカ軍はバグダッドのスンニテロリスト本拠地でもさらに厳しい取り締まりを行っているらしい。

米・イラク軍は木曜日バグダッドのスンニの本拠地に深く潜入した。両軍は爆弾の仕掛けられた乗用車数台によって迎えられた。一方イギリス軍先導の隊はイラク南部において輸送用のコンテナを使ってイランからの武器流入の道を塞いだ。またイラク内政省は前日のバグダッド北部においてイラク軍との衝突の際、イラクのアルカエダのリーダーであるアブ・アユーブ・アル・マスリが負傷し側近が殺されたと発表した。

本日になってアユーブ・マスリが負傷したという情報は確認できないと内政省はいっているので、実際何があったのか今のところちょっとはっきりしていない。しかしイラク軍とアルカエダ勢力の戦闘において重要人物が殺され負傷したことは確かなようだ。
米・イラク連合軍はテロリストによる数回に渡る待ち伏せにあったが、味方側の負傷や戦死はなかった。ただアンバー地区で海兵隊員が名誉の戦死をした。
ミルブロガーのビル・ロジオ(Bill Roggio)によると連合軍はモクタダ・サドルのマフディ軍への攻撃も激しく続けているようだ。

連合軍はサドルへの圧力を維持しており、サドルがイランに避難している足下からマフディ軍解体のため積極的に働きかけている。バグダッドではマフディ軍、(別名ジャイシ・アル・マフディ)のメンバー二人が24時間前から拘束されている。バグダッドではイラク特別部隊が「武器供給や資金援助をしていたジャイシ・アル・マフディ組のならず者」を他の「参考人」と共に捕らえた。また別のマフディ軍のメンバーで「イラク市民や警察官を誘拐、拷問、殺人などをしてきたとされる」人物もイラク特別部隊員によって捕らえられた。

イラク連合軍によるとイラク軍が捉えた二人はマフディ軍のなかでもかなりの重要人物のようである。
まだイラクにはアメリカ軍の増派は起きていないにも関わらず、新作戦を取り入れたことによって早くも多大なる効果が生まれていることはうれしい限りである。実際私はちょっとおどろいているほどだ。これに米・イラク兵合わせて9万の兵が増加される(アメリカ兵21,500兵に加え残りはイラク兵)ことで、この作戦は成功すると私はかなり期待している。
2008年の選挙の際にはイラク状況は2006年の時よりもずっと向上しているものと思われる。イラク状況は選挙に多大な影響を与えるであろう。もし私の予測が正しければ多くの民主党議員と民主党と一緒になってブッシュ政策に抗議する拘束力のない議案に投票したような少数の裏切り者共和党議員などは大きな代償を支払わされることとなるだろう。
イラク状況が今よりもずっと良好な方向に進んでいれば、共和党の有力大統領候補の三人は誰もこれを利用して選挙運動に挑むことができる。イラク戦争は泥沼だ絶望的だと言ってアメリカ軍の作戦を妨害するような行動ばかりとっていた民主党はイラク戦争を持ち出せなくなる。
とにかく全てがブッシュ新作戦の成功にかかっているわけだが、この調子で進んでくれることを願う。


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イラク: 積もるイラン関与の証拠

昨日もイランによるイラクへの関与の話をしたが、アメリカ軍はどのような証拠をもってイランがイラクに関与しているというのか、その記事を紹介し、どうしてブッシュ政権がずっと過小評価してきたイランの関与について、最近突然大々的な発表をはじめるようになったのか考えてみたい。
まずはCNNのニュースから、

「爆弾攻撃にイラン関与」とイラク駐留米軍
2007.02.12
Web posted at: 12:43 JST
– CNN/AP/REUTERS
バグダッド──イラク駐留米軍は11日、少なくとも米兵170人が死亡したイラク国内の爆弾攻撃に、イランの最高指導者ハメネイ師から指示を受けている精鋭部隊が関与しているとの見解を示した。
米軍がイラン関与の証拠として挙げたのは爆発成形弾(EFP)で、製造法にイラン起源の特徴が見られるという。また、同じくイラク国内で攻撃に使用されている81ミリ迫撃砲弾は、イランからイラク国内に直接持ち込まれたとみられている。
米軍によると、こうした弾薬類はハメネイ師が直轄するイラン革命防衛隊のアルクッズ部隊によって、イラク国内のイスラム教シーア派グループに供給されている。ここ数週間内に北部アービル市内で拘束された数人のイラン当局者の中に、同部隊の関係者1人が含まれていた。
さらに、昨年12月にバグダッド市内で拘束された他のイラン当局者らは、イランがイラク国内の有力政治組織を武装していると供述した。当局者らは、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の指導者アブドゥル・アジズ・ハキム氏の施設の家宅捜索で拘束され、米軍はこの際に武器取引の証拠文書を押収した。
政治組織の関係者は、武器調達が自衛目的であると説明。ただ、米軍側は、迫撃砲や狙撃用ライフル銃といった調達武器が自衛には使用されないと反論している。

この狙撃銃について今日新しい情報がはいった。下記はPowerline紹介のDaily Taragraphの記事より。


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アメリカが国際社会でイランのイラク関与を批判する意味

な〜んか、イラク戦争前夜と似たような雰囲気になってきたなあ〜。
我々保守派の間ではイラクにおけるイランの関与をなんとかすべきではないのかという意見がもう2年以上も前から議論されていた。しかし以前にもここで話たように、アメリカはイランの関与についてあまり表立った批判をしてこなかった。その理由はイランの関与を表だって批判しないことで、アメリカは内々にイランの協力を得ようという思惑があったからなのかもしれない。だがイランの最近の行動は目にあまるものがあるため最近アメリカ政府は方針をかえ、大々的にイランを批判すうようになった

イラクで使用の爆発物にイラン関与の証拠と、米国防長官

スペイン・セビーリャ——ゲーツ米国防長官は9日、イラクで武装勢力が使った爆発物にイランが関与したことを示す製造番号や刻印が発見された、と述べた。セビーリャでの北大西洋条約機構(NATO)の国防相理事会後の会見で述べた。
イラクの武装勢力に兵器もしくは技術を供与していることの物的証拠としている。これらの爆発物の数は全体の中で大きな比率を占めないが、「殺傷能力は極めて高い」と指摘した。路上に仕掛けられる爆弾攻撃などで米兵は大きな犠牲を強いられている。
長官はまた、「イランがイラク情勢に関与していることは驚きではないが、米軍などの家宅捜索でイラン人が実際に見付かったことは驚きだった」とも述べた。米政府はイラン政府が影響力を拡大するためにイラクに干渉していると主張している。

アメリカ軍がわざわざNATOの理事会でこのようなことを発表したとなると、アメリカ政府はいよいよイランに本格的な圧力をかける覚悟ができたということだろう。ブッシュ大統領はイランへの「侵略」はあり得ないと言っているが、この言葉使いに気をつける必要がある。ブッシュはイランと戦争をするつもりはないとも、イランに軍事攻撃を仕掛けるつもりはないともいっていない。ブッシュがあり得ないといったのはイランへの「侵略攻撃」だけである。
よくブッシュ大統領をバカにしている左翼連中はブッシュが舌がよく回らないのをおちょくってあたかもブッシュが言葉使いには疎い人間であるかのような批判をするが、実はブッシュ大統領は言葉使いには非常な神経を使っている。だからブッシュがわざわざ「侵略は」あり得ないと言ったことには十分に注目すべきである。
以前にアセアンさんがアメリカがイランとの外交をうまくやって来なかったからアメリカはイランとの戦争に追い込まれているのではないかといっていた。だが私はそうは思わない。アメリカはイランと交渉をしようとしているのである。だが、イランはアメリカと交渉をして得をすることはないと考えているはずだ。つまり、アメリカにはイランと交渉をするための札を持っていないので、アメリカが今やっていることはイランに交渉を強制させるための切り札作りをしているといえるだろう。ま、平たくいえば脅迫である。(笑)
アメリカはイランには「戦争を仕掛ける可能性がある」という姿勢を見せて脅かしながら、諸外国には経済制裁のような政治的な圧力をかけていこうと呼びかけるわけだ。そうやってイランがイラク関与をやめてくれればいいし、それが駄目なら軍事行使となるのかもしれない。
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イラクに伸びるイランの魔の手


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イランを武装するロシア、何考えてんの?

ソビエト連邦共和国プーチン書記長、、じゃなかった、ロシアのプーチン大統領はアメリカや国連の意向に反して 29の最新鋭TOR-M1 型の対空ミサイルシステムの配達を完了した。イランはテストも完了し、このミサイル防衛システムを航空防衛作戦のひとつとして取り入れることとなった。下記はU.S.Frontlineの日本語ニュースより。

ロシア製ミサイルを試射 イラン

 イラン学生通信によると、同国革命防衛隊は7日、ペルシャ湾などでミサイル演習を2日間の日程で開始し、ロシアから到着したばかりの対空ミサイルシステム「TORM1」を使ってミサイルを試射した。
 演習には革命防衛隊の航空部隊と海上部隊が参加。米軍が同湾に2隻目の空母を派遣したことに対抗する狙いもあるとみられる。
 初の国連制裁が昨年末に発動されるなどイランへの国際的な圧力が強まる中、ロシアは米国などの反対を押し切って今年1月、TORM1をイランに供与した。(共同)

いずれはイランの核兵器開発を破壊することが、イランの宗教指導者政権を倒す唯一つの方法だと分かっているのに、どうしてロシアはこのように積極的にイランを武装するのであろうか? どう考えてもロシアはアメリカやイスラエルがイランを攻めた場合に備えてイランの防衛力を強めるのが目的としか思えない。
つまり、プーチン大統領はテロリストの味方である過激派イスラム教の核武装を望んでいるということになるのだ。
過激派イスラム教徒についてはロシアのほうがアメリカよりもずっと深刻な問題を抱えている事実を考えると、ロシアのこのような行動はどうも解せない。もう10年以上に渡る内紛でチェチニアの凶暴なジハーディスト(聖戦主義者)たちによってロシア人は何千と殺されているではないか。モスクワの映画館やベスランの幼稚園での惨殺はまだ記憶に新しい。
2000年にロシアはグロズニーに傀儡政権を立て独立主義者たちを征圧しているとは言うものの、反乱がいつ何時再燃するか分からない状態である。特にイランがレバノンのヒズボラ、パレスチナのハマス、イラクのサドルらにしているようにチェチニアのテロリストに種々の援助などをすれば、ジハーディスト達はたちまちのうちに勢力を持ちかえすだろう。
ロシアやイランに対空ミサイルシステムを売ることで過激派テロリストの攻撃から自分達だけは免れると考えているのかもしれないが、もしそうだとすればプーチンは気が触れたとしか言い様がない。
アメリカもクリントン政権の時、イスラム教の味方をしてキリスト教徒と2度も戦った。一度はボスニア、そして二度目はコソボ。それでイスラム教社会から少しでも感謝されただろうか? と〜んでもない。イスラム教徒を民族浄化の危機から救ってやったお礼は2年後の911で支払われたのである。アルカエダの親玉オサマ・ビン・ラデンはアメリカがクエートをイラクから助けるためにサウジに乗り込んだことは何度も持ち出してるが、コソボやボスニアの話は一度たりともしたことがない。
ここで注目されるのはロシアがイランのシステムの作動にロシア人操縦者を供給するのかということだろう。契約にはアフターケアも含まれているらしいから部品や修理は請け負うのだろうが、操縦にはロシア軍人を使うのであろうか? もしそうだとしたら、ロシアは本当にアメリカと対決することになってしまう。これはヨーロッパも承知していることなのだろうか? もっともヨーロッパ連合は暗にロシアに対してイランの防衛システム発達に力を貸すことを承認しているのかもしれない。ヨーロッパの本音はアメリカにイランを攻撃させるのを防ぐことなのではないだろうか? ヨーロッパは此の期におよんでまだジハーディストたちに迎合しようというのである。ヨーロッパの常套手段ではあるが。
そうだとすれば非常に悲しいことだが、そしてそれ以前に愚かな考えである。ロシアだけでなくヨーロッパ大陸はアメリカよりもイスラム過激派からの脅威にさらされており、その脅威は急激に増幅しているのである。イランの核武装によって先ず最初に被害を受けるのはアメリカよりもロシアを含めたヨーロッパ諸国なのである。フランスのシラク大統領はブッシュ憎悪に目が曇ってそんなこともわからなくなっているのだろうか?
もっとも新しい防衛システムなどアメリカの空爆にかかったらひとたまりもないだろう。 我々は多分Bー2爆撃機でもつかってシステムそのものを先ず破壊してしまうだろうから。しかし今回のことはロシアをはじめヨーロッパは対イスラム過激派テロ戦争においてあんまり当てにはならない存在だということがはっきりした。
ブッシュ大統領はもう一度プーチンの目を見て、奥にある本性を見直す必要があるだろう。


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米軍ヘリ4機を撃ち落としたミサイルはイラン製

ここ2週間で米軍の攻撃ヘリ4機が連続してイラクで墜落するという事件が発生している。

バグダッド(CNNー2007.02.03) イラク駐留米軍は2日朝、バグダッド北方のタジ近郊で米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」が墜落、乗員2人が死亡した、と発表した。米軍ヘリの墜落は過去2週間で4機目。

墜落原因は不明。砲火を浴びる中で落ちた、との目撃証言がある。米軍は、乗員の遺体を収容した。
国際テロ組織アルカイダ系を名乗る組織が犯行声明をイスラム系ウェブサイトに載せたが、真偽は不明。米軍機を撃墜する新たな方法を得たとも主張している。米統合参謀本部のペース議長はワシントンで、武装勢力による米軍ヘリへの地上砲火は過去数週間、命中精度が向上したと認めた。
中部のイスラム教シーア派の聖地ナジャフでは1月29日、武装組織との交戦で同じアパッチ型ヘリコプターが墜落し、2人が死亡。23日には米民間警備会社のヘリが墜落。

アルカエダの連中はこれまでにも肩がけ対航空機ミサイル(Sholder Fired Anti Aicraft Missile)を使って戦闘機を狙っていたがその命中度は悪かった。それなのに最近になってその精度があがったというのは何故だろうか?必然的に誰かが性能の高い武器をアルカエダに供給しているからだと考えられる。
アメリカ軍当局はこれはイラン政府だと考えているようだ。アルカエダの連中はこれまでにもSA-7ミサイルを使っていたが、最近の一連の攻撃はもっと性能の高いSA-18と考えられる。イラクのアルカエダは最近になって「神が新しい道をお導きになった」と宣言していることから、「新しい道」とはイランから供給された新型対航空機ミサイルのことではないかという話もある。
これがもし本当にイラン製のミサイルで、イラン政府がイラクのテロリストに武器や戦闘訓練を供給しているとしたら、これはイラン政府によるアメリカ軍への攻撃ととれる。にも関わらずアメリカ軍はイラン政府に対して何もしない態度をとるのであれば、今後イランからの攻撃はイラクのテロリストを通じてまずます激化することだろう。
もともとアメリカがイラクのフセイン政権を倒したというのも、イラクがテロリストの温床となって、フセインがテロリストを手先にしてアメリカやアメリカ関係の対象を攻撃するのを防ぐためであった。それがフセインは倒したものの、イラクがイランによってテロリストの温床となってアメリカを攻撃するのであれば、せっかくフセインを倒した意味がなくなってしまうではないだろうか。


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イラクに伸びるイランの魔の手

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私がしょっちゅうサドルがイランの飼い豚だという話をしているので、ブログ仲間のアセアンさんからそんな証拠はあるのか、あるとしたら、サドルのマフディ軍はレバノンのヒズボラのような存在だとカカシが考えているのかどうか、というご質問を頂いた。私はサドルがヒズボラのような立場を望んでいるとは考えていない。奴はイランを利用できるだけ利用してイラクの混乱に乗じて自分の勢力を広げようという魂胆だろう。イランはイランで利用できる人間はシーアのサドルであろうと、スンニのアルカエダであろうと利用してやろうという魂胆だと思う。
イラクへの増派が始まるまでもなく、イラクではイラク・アメリカ連合軍による戦闘が勢いを増している。最近起きている激しい戦闘にはスンニ派にもシーア派にもイランの指紋がべったりとついているのだ。
イラクで起きる数々の暴力沙汰にイランの魔の手が関与していることは、もうかなり前から疑われていた。しかし、去年の秋頃までは無駄にイランを刺激しないことで、イランからの協力を得られるかもしれないというかすかな希望にでもすがっていたのか、アメリカ軍はイランの影響力を公の場では過小評価してきた。しかしこの方法は全くイランの強行な姿勢を変えていないどころか、イランの核開発はどんどん進んでいる。そこでどうやらやっとアメリカはイランの関与について暴露する方針に変えたようだ。
さて28日にナジャフで起きた戦闘についてちょっと考えてみよう。

ナジャフで戦闘、武装勢力の死者300人と イラク
イラク・ナジャフ(2007.01.29- CNN/AP/REUTERS)─イラク中部のイスラム教シーア派聖地ナジャフで28日、イラク治安部隊と同国駐留米軍が600人近い武装勢力と交戦し、武装勢力側の推定250─300人が死亡した。内務省関係者が明らかにした。地元警察幹部によると、戦闘は29日朝まで続いたが、その後ほぼ沈静化した。…
地元警察幹部が国営テレビ局アルイラキアに語ったところによると、イラク治安部隊は、ナジャフの北方約10キロのザルカ付近に武装勢力が集結しているとの情報を得て出動した。その後、兵士や地元警官ら6人の死者が出たためいったん撤退し、米軍の援護を求めたという。
ザルカでは戦闘中に米軍のヘリコプターが墜落し、米兵2人が死亡した。米軍は墜落原因を調査中としているが、イラク当局者は武装勢力のミサイルに撃墜されたとの見解を示した。
武装勢力は、イスラム暦新年に行われるシーア派の宗教行事「アシュラ」に合わせ、ナジャフへ向かう巡礼者らに紛れて南進したとみられる。

この記事には書かれていないが、英語版のAPの記事によれば、さらにスダン人を含む外国人戦闘員など100人が拘束されたとある。
また、28日の段階では反乱軍がスンニなのかシーアなのかはっきりしていなかった。それもそのなず、「天国の兵士」と名乗るこの軍団はこれまで全く知られていなかったカルト集団で、アルカエダが主体とはいえ、シーアの民兵もかなり含まれいたらしい。しかも彼等の武器整備はすごいもので、少なくとも二機の対航空機スティンガー形ミサイルを使用し、重量型マシンガンも使われたという。
本日の ニューヨークタイムス にもっと詳しい情報が載っている。NTTimesによれば、敵側の戦死者は470人は下らないという。しかも味方イラク軍の戦死者はたったの25人。これは圧倒的なイラク・アメリカ連合軍の勝利である。
しかし、そこは反米NYTimesの記事。味方の大勝利を素直には喜べない。なんとか悲観的な見方をしようと必死だ。そこでNYTimesはイラク軍の戦いかたに「困惑する疑問」が湧くとしている。

イラク軍は整地ナジャフ付近でこの週末に起きたよく知られていない与太者民兵軍と激しい戦いに驚かされもう少しで圧倒されそうになった。イラク軍は当初発表されたような単なる後方援護よりももっと大規模な援護を必要としたと米軍とイラク軍の要員は月曜日語った。

関係者の話によるとイラク軍は自らを「天国の戦士」と名乗る何百人もの戦闘員の強さを危険なほど過小評価しすぎ、アメリカ軍は空からだけでなく、地上隊も出動してイラク軍を援助するに至った。…
イラク軍とアメリカ軍は最後には戦闘になんとか勝った。しかしイラク軍の反乱軍の強さとその意図に関する誤算にはイラク軍の脅威を把握し処置する能力に関して 困惑する疑問が湧いた。

まったくこれだけの圧倒的な勝ち戦でここまでこき下ろされるんじゃ、負け戦だったら何と言われることだろう。現実にはイラク軍は反乱軍の規模の大きさに気が付かなかった。それというのも、反乱軍はアシュラの参詣者に紛れ込んでナジャフに数日前から潜入していたからだ。だが、ここで注目されるべきは圧倒的多数の敵に面してイラク軍は怯まず、2004年の最初のファルージャ戦闘の時のように制服を脱ぎ捨て退散するようなことはしなかった。それどころか、周りを敵に取り囲まれながら堤防を築き、空と陸からの援軍が来るまで味方を大量に失わずに勇敢に戦ったのである。本来ならばそのことが讃えられるべきなのだ。
ま、それはともかく、この綿密に計画を立てられた用意周到な戦闘は、最近カバーラで起きたもうひとつの事件 を思い出させる。
去る1月20日(2007)地元のイラク人と会議中のアメリカ兵が攻撃に合い、1名がその場で死亡、4名が手錠をかけられ拉致された上、数十キロ先で銃殺されるという事件があった。警備にあたっていたイラク軍の話では12人の何者かがアメリカ兵の制服を着用し、アメリカ軍が常用する乗り物に乗り、アメリカ軍の持つ兵器を所持して関門を通り抜けたという。しかも「兵士」の一人は英語を話し、一人は金髪だったという証言さえある。
この非常に巧妙な手段はアルカエダの乱暴な自動車テロなどとは全く異質のものであるし、シーア派の民兵などによる能のない撃ち合いなどよりずっと高度な作戦がとられていた。これはただのテロリストやギャングの仕業ではなく相当な訓練を受けたイランでも特に凶暴な特別部隊、クウォード隊(Qods)の仕業ではないかという見方が強まっている。
事実イランはイラク国内でずっと以前から秘密工作をおこなっていた。イランはなんとスンニとシーアの双方に武器調達、戦闘訓練などを提供してきていたのだ。最近アメリカ軍によるイラン勢力アジトへの攻撃の際、アメリカ軍は ある書類を発見した。 それはなんとイラン軍によるイラク紛争促進の青写真だったのである。

アメリカ諜報部員によると、新しく発見されたこの書類の信憑性は諜報専門家の間で調査済みだという。 これによって「イランはシーア民兵軍とスンニ聖戦軍の両方と密接に活動している」ことがはっきりした。…

同じ書類を調査した別のアメリカ要員は、この書類は「煙の出ている銃」だとし、「攻撃計画、スンニ関係者の電話番号などあらゆること記されており、今まで何をやっているのか、空白だった部分が相当埋められました。」と語った。

どうやらイランにも独自の「イラク調査委員会」があったようで、彼等の「推薦」はイラクに内戦をおこさせることだったようだ。皮肉なことに月曜日, イランはイラク「援助」の計画を発表した。 :

ハサン・カゼミ・クミ( Hassan Kazemi Qumi)大使は「治安維持の戦い」のため イランはイラク政府軍を訓練し、武器援助やアドバイザーを送る用意がある。と発表した。また経済面でもイランは4年前にフセインを倒してい後アメリカが失敗している部分において、イラク復興のため主な責務を果たす用意があると語った。

「我々は戦後の復興には経験があります。」とクミ大使。1980年代におきたイラン・イラク戦争をさして語った。「この経験を生かしてイラクの復興に役立てたいと思います。」
またクミ大使は、先月アメリカ軍が一時的に拘束し解放したイラン人が、アメリカが主張していたように軍事要員であったことを初めて認めた。しかし彼等はイラクでイラク政府と話あうために正当な活動をしていたのであり、拘束されるべきではなかったと語った。

イランは親切にもアメリカが足りないところを補ってイラクの復興に手を貸してくれるというのである。なんとありがたいことではないか? 無論、奴らの企みはかなり明白である。最近アメリカが公にイランのイラクへの関与を暴露し批判しはじめたため、イランも圧力を感じているのだ。イランはアメリカが一旦責めはじめたら、ヨーロッパやイスラエルのようには簡単に引かないことを承知している。だからアメリカからの攻撃から一時的に話をそらすために白々しい言い訳をしているのである。
しかしこのイランの態度を見る限り、イラクがアメリカと誠実な交渉などする気がないことは明白だ。ベーカー・ハミルトンが代表したイラク調査委員会の推薦がどれほど馬鹿げたものだったのかこれではっきりした。


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ブッシュ大統領一般教書演説は好評

先日火曜日のブッシュ大統領一般教書演説は、民主党が期待していたような「イラクは負けてる撤退しよう」といった弱気な演説ではなく、ここで負けてたまるか、がんばろうという感じの演説だった。

ブッシュ米大統領が23日行った一般教書演説は、対テロ戦争やイラク問題での成果を声高に叫んだ昨年までと打って変わり、順調な経済運営や福祉政策の充実を冒頭で訴える内政重視の内容となった。政権への逆風が続くなか、残り2年の任期で多くの成果は期待しにくい事情を映した格好だ。対テロ戦については「武力衝突を超えたイデオロギー闘争」であり長期戦であるとして、イラク増派など、これまでの指針をあくまで貫く考えを表明した。…

対テロ戦に関しては、(1)米中枢同時テロなど米側の被害を繰り返し指摘(2)テロ抑止の実績を強調(3)対テロ戦にここで失敗すれば、より大きな被害を受けると警告(4)戦いの本質はイスラム教原理主義の独裁思想とのイデオロギー闘争であり、世代を超えた長期戦を予告−という構成。イラク政府がその責務を果たすためにも2万人以上の兵力増派を含むイラク新政策の実行が必要だと訴えた。論法は変わっても任期中はあくまで、この政策を貫く考えが読み取れる

産経の記事はかなり悲観的ではあるが、生で見ていた私には決して大統領が悲観的であるようには見えなかった。かえって元気がでる内容だったと思う。国民の感想も結構好評なようだ。演説直後に行われたCNNの世論調査によると、

演説を見た370人の大人のうち41%が「とても好意的」な反応を得たと答えた。 また37%が「どちらかといえば好意的」と答えた。2006年の時は「とても好意的」が48%、2005年では60%だった…
昨晩演説をみた67%の人々がブッシュの政策が国を正しい方向に進ませていると答えた、ブッシュ政権中で最低の数値となった。2006年では68%、2005年では77%だった。
また53%がこの演説によってブッシュと議会をコントロールする民主党とがもっと協力するようになると答えた。43%が演説によって双方がよけいに反対しあうだろうと答えた。
演説を見た51%がとても、もしくはどちらかといえばイラクにおいてアメリカが目的を達成できる自信があると答えた。ブッシュ大統領の2004年の演説の後ではこの数字は71%だった。

まったくCNNはこれまでの年と比べて、イラク戦争への支持が減っていると強調したいようだ。しかし、反戦メディアが日がな夜がな「泥沼、ベトナム、撤退、内乱」と騒いで、これだけイラクは失敗だとあらゆる場所で繰り返されているにも関わらず、まだ過半数のアメリカ人がイラクでは勝てると自信をもっているというのはこれだけでもすごい思う。
しかし比べるべきなのはこれまでの演説の結果ではなく、ブッシュの演説前と演説後の人々の気持ちの差である。演説前の世論調査ではブッシュの新作戦が成功すると考えていた人の数は25〜29%だった。ところが演説の後になるとその数は51%にあがったのである。ということはブッシュの演説は多くのアメリカ人にあらたな自信を与えたことになるのだ。演説とはこうあるべきだ。
普通のアメリカ人はテレビの前に一時間も座って大統領の演説など聞かないと思う。だから多くの人たちはまだ大統領の新作戦が具体的にどういうものなのかわかっていないだろう。ブッシュの演説が演説をきいた人たちの間でこれだけ良い影響があったのであれば、ブッシュ大統領を初め報道官のトニー・スノーや、副大統領、国務長官、防衛長官などがテレビのトークショーなどに出演してどんどん説明にあたれば、もっと多くのアメリカ人が新しい作戦を支持するようになるはずだ。
アメリカは今よりもっとひどい状態になったことが何度もある。古くは南北戦争、第二次世界大戦、朝鮮戦争などでも、イラクなど比べものにならないほど大量に兵士を失い勝てる見込みが薄い時があった。しかしアメリカはそれらを乗り越えて勝利を得てきた。ブッシュ大統領はアメリカ市民に辛抱を求めた。この新しい作戦がうまくいく時間を求めた。過去にもっとひどい苦境を乗り越えてきたアメリカ人にならそれができる、この演説は改めアメリカ人にそう思わせる演説だったと思う。
イラク戦争は何もかも思いどおりにいっているかといえば、無論そうではない。だが戦争というものは得てしてそういうものだ。どんなに綿密に作戦をたてても、100%計画どおりにいく戦争など存在しない。しかし計画が多少失敗しても、うまくいかないから撤退を考えるのではなく、どうやってうまくいってない箇所を調節できるのか、どうやったら失敗を糧にして勝利に結び付けるのか、それを考えるべきである。
私はこの戦争には勝てると信じている。より多くのアメリカ人がそれを信じ大統領を支持すればその可能性はもっと高くなる。この大事な時に新作戦には反対だなどと下らない決議案をとおしている場合ではない!


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英米ペルシャ湾武装強化に慌てるイラン

私はすでにアメリカ軍のジョン・C・ステニス(USS John C. Stennis) と ドワイト・D・アイゼンハワー(USS Dwight D. Eisenhower)の空母艦戦闘グループ(CVBG)二つがペルシャ湾と(もしかしてインド洋にも)出動しているという話をしたが、これが普通の戦闘グループであるならすでに次の装備がされたことになる。

  • ニミッツ級原始力駆動の空母艦、2隻
  • イージス装備のクルーザー、4隻;
  • 同じくイージス装備のデストロイヤー、4〜6隻;
  • 対潜水艦用フリゲット(ASW)、2隻;
  • ロスアンジェルス級速攻潜水艦、4艦;
  • 戦闘機や攻撃・輸送用ヘリコプターあわせて180機。
  • ペルシャ湾を航海するアメリカ及び同盟国の船をイランからの攻撃から守れる航空防衛可能なペイトリアット用のバッテリー

そして本日英国タイムス(UK Times Online) は英国が 爾来排除船 二隻をペルシャ湾に送ったと発表した。

英国が送ったのは二つの爾来排除船、HMS Blyth と HMS Ramseyである。二隻は湾岸に, イランが石油輸出用航路を塞ごうとする場合に備えて2年間にわたって航路の安全を守る任務を果たす。

ホワイトハウスはイランへの軍事行使の計画はないと主張している。しかしコンデリーザ・ライス国務長官はこの武装強化はイランの「不安定な振る舞い」に対して常に変化していく作戦の一部であると説明した。

さてここで私が先日今こそイランを攻めるチャンスで紹介した歴史家のアーサー・ハーマン氏の作戦を思い出していただきたい。

  1. まずホルムズ海峡を通る石油輸送を阻止する国はどこであろうと容赦しないと発表する。
  2. その脅しを証明するために対潜水艦船、戦闘機、じ来除去装置、イージスBMDシステムなどを含む空母艦バトルグループをペルシャ湾に派遣する。むろんこちらの潜水艦も含む。
  3. アメリカ一国によるイランの石油タンカー通行を封鎖。イランから出る石油、イランへ入るガソリンなどを完全阻止する。ほかの国の船は自由に通過させる。
  4. イランの空軍基地を徹底的に攻撃し、イランの空の防衛を完全に破壊する。
  5. イランの核兵器開発地及び関係基地、インフラなどを攻撃する。
  6. そしてこれが一番大切なことなのだが、イランのガソリン精製施設の徹底破壊である。
  7. アメリカの特別部隊がイラン国外にあるイランの油田を占拠する。

この作戦のすばらしい点はイランの一般市民への犠牲が非常に少なくて済むということである。ということは親米のイラン青年たちを敵にまわさずにイランの石油輸出とガソリン輸入をの行き来を我々の好き勝手に操れることになる。 — 今現在これを完全停止することも可能なのである。そして現在の政権が倒されて、もっとましな新政権が設立された暁には流れを再開することができるという仕組みだ。
タイムス が意見を聞いた「イラン問題専門家」のアリ・アンサリ博士( Dr Ali Ansari)は、このような積極的な武装強化は「誤って」西側とイランとの間に戦争をぼっ発させる危険があると述べた。

「現在の冷たい戦争が熱い戦争に変わる可能性が多いにあります。」と博士「これは偶発的な戦争を待っているようなものです。たとえ世界一誠実な意図を持ってしてもこのような危機はうまくあつかえないものです。あっという間に手に負えない状況となってしまうからです。」

英国タイムス はアメリカのニューヨークやロサンゼルスと同じように鈍いのだろうか? 我々は今まさに湾岸においてハーマン作戦に必要な すべての要素 を装備したことになるのである。英国タイムス は本当に我々がイランが我々に攻撃する可能性を考慮していないと思っているのだろうか?
明らかに英米軍はイランによる攻撃に対応すべくすべての準備をしているのである。このような備えにはいくら民主党でも文句はいえまい。
イラン政府がこの武装強化に気が付かないはずはない。彼等は突然我々に柔軟な姿勢を見せ始めた。 聞くところによると強気のアクマネナジャド大統領と最高統治者 Grand Ayatollah Ali al-Khamenei 氏と共にスンニ王国であるサウジアラビアに使者を出しシーア派のイランとユダヤ・キリスト教のアメリカとの間を取り繕ってくれと嘆願したというのである。

月曜日、イランの核兵器交渉リーダーの Ali Larijani はサウジアラビアのアブドゥーラ王にイランの指導者からの手紙を届けた…

この会議にはサウード・アルファイサル外相大臣並びに皇室外交官のバンダー・ビンサルタン王子が参加した。
サウジ当局の話では イランはサウジの代表にワシントンにイランの誠実な意図を伝えて欲しいとサウジの協力をもとめたという。 しかしそれ以上の詳細は語らなかった。アメリカのコンデリーザ・ライス国務長官は月曜日か火曜日に会談のためリヤードを訪問する予定である。

英国のBlyth号と Ramsey号が到着して湾岸警備をはじめさえすれば、すべての要素が整うことになる。後は先制にしろ反撃にしろ、攻撃をする用意ができたのである。
イランとの短く熱い戦争はおもったより早く来るかもしれない。もしかすると戦争がおこったというニュースを聞く頃はすでに戦争は終わっており、世界中が騒ぎ立てても時既に遅しとなっているかもしれない。
無論これは言うまでもないが、単にふたつの空母艦隊がペルシャ湾に居座っているというだけで、戦争をするまでもなくイランの方針が変わり我々に勝利をもたらす可能性があることもわすれるべきではない。


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