米国いよいよイラン攻撃に備える?

この間からブッシュ大統領はイランの核兵器開発を批判する演説を続けているが、先日アメリカはいよいよイランを攻める準備にはいったのではないかというニュースがはいった。(10月25日23時3分配信 毎日新聞より。)

<米国>イランに経済制裁 革命防衛隊との商取引禁止など

 【ワシントン笠原敏彦】米政府は25日、イラン革命防衛隊を大量破壊兵器の拡散に関わる組織に指定し、米企業・個人との取引を禁止する経済制裁を発動する、と発表した。また、防衛隊傘下の精鋭部隊、クッズ部隊を主権国家の軍として初めてテロ支援組織に指定。一連の制裁は1979年の米大使館人質占拠事件以来、最も強硬な措置とされ、イランとの緊張が一層高まるのは必至だ。
 ライス国務長官とポールソン財務長官が発表した制裁内容は、主に金融面での締め付けに焦点が当てられている。軍組織の他にイランの国営主要3銀行(メリ、メラト、サデラト)が国際金融システムを悪用してミサイル拡散やテロ支援に関わっているとし、同じく制裁対象に指定した。
 経済活動でも重要な位置を占める革命防衛隊は、ミサイル拡散のほか核開発への関与が指摘されている組織で、関連の20以上の企業・個人が制裁対象となる。また、クッズ部隊は、米国がイラクやアフガンなどで武器を供与していると見る組織。制裁対象となった組織・銀行は、米国内の資産凍結や米企業・個人との取引禁止が科される。の反対でメドが立たない中、米国は今回の措置が国際的な波及効果を生むことを期待している。

さて、このような措置に対してイラン側はどういう反応をみせているのかといえば、経済制裁などなんの効力もないと見ているようである。(翻訳:喜多龍之介さん)

アメリカがテロや核拡散への国家的関与を狙った新たな制裁を科した一日後、イラン当局は反抗姿勢を表明した。

強硬派のイラン革命防衛隊司令官モハマド・アリ・ジャファリ将軍は、イランはアメリカによるいかなる猛攻撃にも耐えられると宣言した。「イスラム共和国は人々の侵攻の強さと力を持っている」。
「この力には防衛における経験、知識、技術が加わる。我々は更に決定的な攻撃で、如何なる攻撃にも応じるだろう」。
より厳しい制裁もイランに核開発を諦めさせることはない、と同国の新しい核交渉責任者であるサイード・ジャリリは言った。「その前のものと同じく、新しい制裁はイランの方針に一切の影響を与えないだろう」。
コンドリーザ・ライス国務長官は、イラン政府内に亀裂を作ることでマハムード・アハマディネジャド大統領を孤立させることを目的とした措置だ、と言った。「イランと指導部にはアハマディネジャド大統領よりも沢山人がいる」。

ライス国務長官が表向きにはイランと交戦の意志はないといくら主張してみても、ブッシュ大統領の本音はイランへの経済制裁は極一部的な効果しか得られないことは承知の上だろう。私がアメリカがイラン攻撃の準備を進めているのではないかと懸念する理由はフォックスニュースで報道された下記のようなニュースが原因だ。

バグダッド南東にあるアメリカ軍基地に打ち込まれたロケット弾はイランで製造されたものであると米軍当局は土曜日発表した。これはイランがイラクの反乱分子に継続的に援助をしている証拠である。

10月23日に戦闘武器庫で行われた攻撃ではけが人はひとりも出なかったが、米軍の乗り物が一台破損されたと米当局は語っている。
米軍当局によれば、107mm のロケットは今年の三月ごろイランで製造されたもである。ロケット発射位置を捜査中の隊は標的を定めは発射するための六つの発射台を未発のロケットとタイミング機がついたままの状態で発見した。
押収されたロケットは過去4ヶ月に渡って兵士らが押収したイラン製造ロケットの40台目のロケットであると軍は発表した。

イラン製造のロケット弾がアメリカ兵宛てに打ち込まれているという事実はなにも今に始まったことではない。イラクで戦闘に携わっていた人なら誰でも反乱分子が使っている武器の多くがイランから供給されていることは二年前くらいから知っていた。しかし軍当局もブッシュ政権もイランのイラク関与については公式な認識はしてこなかった。その理由は色々取りざたされるが、一番単純な理由はブッシュ政権がイランとの時期尚早の戦闘は避けたいと考えていたからだろう。それが軍当局がイランからの武器がイラクで発見され押収されたという事件を大々的に発表したり、ブッシュ大統領がイランへの経済制裁をいまの時期に強行するということは、ブッシュ政権はいよいよイランを攻める準備態勢にはいったのだと考えるのが自然だ。
さて、ここでイランを攻めるとしたどういう方法があるのか、今年の初めにカカシが今こそイランを攻めるチャンス!で紹介した歴史家のアーサー・ハーマン氏のイラン攻撃作戦を振り返ってみよう。

ホルムズ海峡は確かにイランからの石油輸送にとって非常に大事な場所である。だが、それをいうならイランにとってもこの海峡は非常に重要な航路だ。イランはホルムズ海峡を手に取って世界をコントロールしようとしているが、アメリカはこれを逆手にとってイランをコントロールできるとハーマン氏は語る。それをどういうふうにするのか、下記がハーマン氏の提案だ。

  1. まずホルムズ海峡を通る石油輸送を阻止する国はどこであろうと容赦しないと発表する。
  2. その脅しを証明するために対潜水艦船、戦闘機、じ来除去装置、イージスBMDシステムなどを含む空母艦バトルグループをペルシャ湾に派遣する。むろんこちらの潜水艦も含む。
  3. アメリカ一国によるイランの石油タンカー通行を封鎖。イランから出る石油、イランへ入るガソリンなどを完全阻止する。ほかの国の船は自由に通過させる。
  4. イランの空軍基地を徹底的に攻撃し、イランの空の防衛を完全に破壊する。
  5. イランの核兵器開発地及び関係基地、インフラなどを攻撃する。
  6. そしてこれが一番大切なことなのだが、イランのガソリン精製施設の徹底破壊である。
  7. アメリカの特別部隊がイラン国外にあるイランの油田を占拠する。

イランは今非常に厳しい状況にある。ハーマン氏は我々はそれを最大限に利用すべきだという。

イランは非常に大きな石油輸出国であるにもかかわらず、なんとガソリンの40%を湾岸諸国を含む外国からの輸入に頼っている国なのである。精製施設がなくなり保存施設も破壊されれば、イランの自動車、トラック、バス、飛行機、戦車および軍事機器がすべて乾いてしまう。これだけでイランはイラン軍による反撃など不可能となってしまうのである。(イランの海軍は年老いて破損が激しい。一番の財産であるロシア製キロ級潜水艦は港を出る前に破壊してしまうべきである。)

この攻撃と同時にアメリカはイラン国民に「イラン政府を倒しアメリカに協力してガソリンを取り戻すか、イラン政権のムラーたちと餓死の運命を共にするか、君たちが選びたまえ」と呼びかける。もともとイラン市民はイラン政府に満足しているというわけではない。イラン国民は意外と世俗主義で西洋的な文化を持っており、宗教家ムラーたちの政権では圧迫を受けている。若者の失業率は75%というひどい状態で、最近では若い男女がイスラム教徒としてふさわしくない格好をしているという口実で無差別に服装警察に拘束され拷問されるという事件があいついでいる。イラン市民は今こそ自分らの将来をどうするのか、選択の時である。
ところで、イラン関係の記事を探していたら、先月の9月にブッシュ大統領のイラン批判演説について、毎日新聞のイラン:米大統領演説に反発必至 イラク情勢さらに混迷か(2007年9月15日)という記事を見つけた。
この「イラク情勢さらに混迷か」という部分が私は非常に気になったので読んでみると、記事はこんな具合に始まる。

【テヘラン春日孝之】イラク情勢を巡り、ブッシュ米大統領が13日の演説で「イラン脅威論」を展開、米軍のイラク駐留継続の必要性を強調したことに対し、イランが反発を強めるのは必至だ。イランでは国際協調を志向する穏健派が巻き返しつつあるが、米国のイラン敵視の先鋭化はイランの強硬派を勢いづかせ、イラク安定化を一層困難にする可能性がある。

毎日新聞はこれまでにすでにイランがイラクにクォッズという特別部隊を送り込んで、イラクのスンニ、シーアにかかわらず戦闘訓練をしたり武器供給をしたり、時にはイラン兵事態がイラクでアメリカ兵を殺しているという事実を全くしらないかのようだ。アメリカをサタン(悪魔)と呼び、アメリカやイスラエルの撲滅を公言している国がこれ以上アメリカを嫌うなどということが可能なのか?しかも毎日新聞は今年の2月ごろから始まったアメリカ軍のCOINと呼ばれる対反乱分子作戦が非常な効果を上げている事実を完全に無視している。あたかも今が2005年か2006年の秋ごろのような言い方だ。日本でも指折りの新聞である毎日がここまでイラク情勢に無知というのは信じがたい。

イランでは昨年末の地方選挙や最高指導者の任免権を持つ専門家会議の選挙で強硬派が惨敗。米国との和解を検討しているとされるラフサンジャニ元大統領を中心とする穏健派が巻き返しを図っている。こうした流れの中で今年5月、イラク安定に向け80年のイラン・米国の断交以来初めての公式協議が始まった。

だが、最近は米国内でイラン空爆論が再燃し、イラン革命防衛隊を「テロ組織」に指定する動きが浮上するなどイラン敵視が激しくなっており、両国協議は7月に2回目を開催して以降、めどは立っていない。
米国の対イラン強硬論は「米国との対話は無駄」「米国とは徹底的に対決すべきだ」というイラン強硬派の主張に正当性を与え、穏健派の動きを封じ込めかねない。米国がイラクのイスラム教シーア派武装勢力を支援していると主張するイラン革命防衛隊は強硬派の牙城でもあり、対抗措置を本格化させれば、イラク情勢の一層の悪化は避けられない。

もし毎日新聞がラフサンジャニが「穏健派」でアメリカと交渉の意志があるなどと考えているならナイーブとしか言いようがない。イランでいう「比較的穏健派」などという言葉はほとんど意味がないのだ。ラフサンジャニはアクマディネジャドほどあからさまにアメリカへの敵意を表していないというだけであって、彼らが核兵器を使って中東をコントロールしたいという野心に変わりはない。ラフサンジャニは確かにアメリカと交渉するかのようなそぶりはするかもしれないが、交渉しながら影で武器開発を進める分、正直にアメリカへの敵意を表明するアクマディネジャドより始末が悪い。
イラク情勢がこのまま良化の一途をたどり、比較的自由な国として復興することができれば、イラン国民も自分らの独裁政権を倒してアメリカという勝ち馬についたほうが懸命だと思うかもしれない。アメリカがイランを攻めるとしたら、なるべく非戦闘員を巻き込まないように充分気をつけてやってもらいたい。なにしろ将来イラン市民とは本当の意味での友人関係を結びたいのだから。


Comment

イラン対アメリカ事実上戦闘状態

The Fourth Railのビル・ロジオによるとイラク内部においてイラン軍の特別部隊クッズ(Qods)とアメリカ・イラク連合軍は事実上すでに戦闘状態にあるようだ。
我々はもう一年以上も前からイラン政府がスンニとシーアの両方に資金及び武器援助をしてきていることは知っていたが、最近ではイラン軍の部隊そのものがイラクに潜入し直接アメリカ軍と交戦することが多くなっている。
今年の一月にカルバラで連合軍の基地がアメリカ軍に化けたテロリストらによって襲われ五人のアメリカ兵が拉致された上に殺された事件を読者のみなさんは覚えておられるだろうか?当時その洗練された攻撃からいってアルカエダのテロリストではなくイランの特別部隊によるものではないかと疑われていたが、衛星写真によってイラン国内にカルバラ基地の模型が存在することがはっきりした。どうやらイラン軍はこの建物を使って基地攻撃の訓練を行っていたようだ。
多国籍連合軍は4月の終わりからイラク国内にあるイランの秘密基地を攻撃し、すでに25人のメンバーを殺害、68人を拘束した。これらのメンバーはイランでクッズ特別部隊から直接訓練を受けきたシーア派テロリストたちで、イランの飼い豚サドルとも深い関係があるが、マフディ軍のなかでも過激な人間が集まったテログループらしい。彼等は協力な破壊力を持つEFPを使うことで悪名が高い。
ペトラエウス将軍の話ではすでに連合軍はSheibaniとQazaliというテロネットワークにたいしての攻撃について17回以上公式発表をしている。
しかし、アメリカ軍が直接イラン軍の特別部隊から攻撃を受け、しかも戦死者まで出しているということがはっきりしているなら、どうしてアメリカはイランに対して何らかの強行手段をとらないのであろうか? いくらイラク内部でテロネットワークに手入れをしてみても、イランからいくらでも資金、訓練、武器援助があるのではいつまでたってもいたちごっこである。
ベトナム戦争当時もカンボジアから攻めてくるベトコンをアメリカ軍がカンボジアまで追いかけていくことが出来ずにニクソン大統領がカンボジアまで戦闘を拡大するまでアメリカ軍はみすみす国境を越えていくベトコンを見逃さねばならない状態が続いた。イラクのイラン情勢にしろ、アフガニスタンのパキスタン情勢にしろ、この国境を超えたテロ攻撃が連合軍の行動を不必要に規制している。
アメリカにはイランを攻める覚悟があるのだろうか?


Comment

レバノン憂鬱な夏再び

去年もレバノンで戦争があったのは夏だった。確か7月だったように思うが。私は一年以内にレバノンでは再び戦火が始まるものと考えていたが、しかし今回はイスラエルによる攻撃ではなくアルカエダ系のテロリストとパレスチナ民兵による蜂起。3週間目に入ったテロリスト対レバノン軍の交戦は100人近い死者を出しながら、にらみ合いが続きまだまだ終わる気配を見せない。
6月3日付けのYaLibnanによると、An-Nahar新聞がアルカエダはレバノンにおいて911並のテロ行為をする計画だったことが明らかになったと報道したという。

「この情報は逮捕されたファタ・アル・イスラムのメンバーから入手したものです」と匿名の関係者は語ったとアン・ナハーは書いている。

同新聞によると、レバノンで二番目に大きな都市で、レバノン軍が攻撃しているナハーアル・バレド難民キャンプの南にあるトリポリで発見された爆弾はシリアから来たのもであると報道している。
「ファタ・アル・イスラムは首都の大ホテルを自爆トラックテロを使って昔西ベイルートの大使館を襲ったように攻撃するつもりだった」と同紙は書いている。

シリアは二年前にレバノンの前大統領を暗殺したことでレバノン人の反感を買い、占領軍を撤退せざる終えなくなった。今回は国連でその責任を問われて苦しくなったシリアは、アルカエダのテロリストを使ってレバノンを再び奪い取ろうという魂胆らしい。しかしレバノン軍は必死でテロリストと戦っており、そう簡単に国を明け渡すものかという姿勢を崩さない。
レバノンの長年の苦しみは一重にシリアにある。イスラエルがレバノンに攻め入ったのも、レバノン在住のシリアの手先がイスラエルを攻撃してレバノンに逃げ込んだことにある。レバノンの長年にわたる内乱もすべてシリアの仕掛けてことだ。レバノンはシリアが隣国にいる限り平和に暮らすことは難しい。
しかしシリアの背後にはイランがある。イランと言えばイラクでシーア派民兵に武器調達や人員援護をしているのもイランだ。イスラエルを核兵器で襲ってやると脅かしているのもイラン。パレスチナのテロリストどもにシリアを通じて資金援助をしているのもイラン。
ここはひとつ、イラン対策を急速に進めて行く必要があるだろう。(私はさっさと攻めるべきだと思うけどね。)


Comment

イラン英兵15人を解放、強行派アフマディネジャド折れる

まずはまあいいニュースから。

2007.04.04
Web posted at: 22:41 JST
– CNN

テヘラン(CNN) イランのアフマディネジャド大統領は4日、記者会見を開き、拘束中の英海軍兵士15人に恩赦を与えて釈放すると言明した。 先週始まったイランの新年を記念し、親善の意を表した恩赦という。大統領は記者会見後、英兵の一部と面会した。
イランの国営テレビは、大統領がスーツ姿の英兵らと握手を交わし、談笑している映像を放送。音声では、英兵の1人が英語で大統領に謝意を示す発言や、大統領が英兵らに「どんな旅を強制されていたのか」などと冗談交じりに話しかける発言が聞こえる。

はっきりいってどれほど待遇がよかったにせよ、なんで英国の水兵や海兵隊員がスーツ姿でにこにこしてるのか。解放されてうれしいのは分かるがカカシには胸くそ悪い。これがアメリカ兵でなくて本当に良かった。もっともアメリカ兵ならこんなに積極的にイランのプロパガンダには参加したとは思えないが。
とはいえ人質が無事にかえってきたのは良かった。タイミングから昨日のイラン高官解放と関係があるのだろうかという疑問はあるが、実は強行派のアフマディネジャド派が現実派のラフサンジャニに押されての妥協なのではないかという説がある。
一見イギリスはイランの無謀行為に対して強気の姿勢も見せず国連だのNATOなどに訴えるなど武力行使ではなくあくまで外交尊重の態度をとっていたことで、イランはイギリス軍などいくら湾岸に武装勢力を集中させても無力だと国際社会に証明したかのように見える。イギリス兵がイランのテレビで海域を侵しましたなどと「自白」した姿も印象的だ。
しかし一方で、イランはイギリス政府から公式にイラン海域を侵したと認めさせることはできなかったし、イギリスは謝罪などもってのほかという態度を崩さなかった。脅しは実行に移さなければ脅したほうが弱く見える。イギリスが罪を認め謝罪しなければイギリス兵をスパイの疑いで裁判にかけると息巻いていた強行派のアフマディネジャドがイギリス兵を無傷で返還したとなるとアフマディネジャドはどこかからの圧力に屈服したのか、イギリスから何か報酬を獲得したのかどちらかだろう。
もしアフマディネジャドが国内の政権から、特にラフサンジャニに示唆されたカタミ師から圧力をかけられたとしたら、アフマディネジャドのイラン国内での勢力はかなり弱まっていると考えることができる。この間の選挙でもアフマディネジャド派はずいぶん地方で議席を失っているし、イランの予算案などでもなにかとラフサンジャニに押されている。
また、イギリスがイランと裏で色々交渉をしたのではないかと考えると、イギリスが明かにイランへの報酬だと分かるものを与えなければ諸外国はイランがイギリスに脅迫されたと解釈せざる終えない。となればイギリスは無力どころか案外イランの痛いところをついたのではないか、つまりイランはイギリスに盾をつけるような立場にはないのではないか、という印象を外に与える。
となってくると、アフマディネジャドによるイギリス兵拉致作戦はイランの外交としては大失策だったのかもしれない。実際にイギリスとイラン、どちらが駆け引きに勝ったのか今後のイギリスの出方が注目される。


Comment

タイミングが怪しいイラン2等書記官の解放

今朝、読売新聞のイラクで拉致されたイラン2等書記官、解放され帰国へこの見出しを見てちょっと首をひねった。

【テヘラン=工藤武人】イラン国営テレビは3日、今年2月にイラクのバグダッドで拉致されたイラン大使館の2等書記官が解放され、同日中にイランに帰国すると伝えた。

 解放の詳細な経緯は不明だが、イラン学生通信はイランの在バグダッド大使館筋の話として、同書記官は2日に解放されたとしている。
 この書記官は2月上旬、イラク軍特殊部隊の制服姿の男たちに拉致された。同部隊はイラク駐留米軍との関係が密接なため、イラン側は、米国が関与していると激しく非難していた。
(2007年4月3日20時47分 読売新聞)

なにしろイランでは例の15人のイギリス兵が人質になっている。イギリスもアメリカもそしてイランも人質交換は公には話題にしていないが、もしこれでイギリス兵がイギリスに帰ってくるということになったなら、これは完全に人質交換の交渉が裏で行われていたということになる。非常にまずい状態だ。
一方イギリスのインディペンデント紙では、イギリス兵が拉致されたのはアメリカのイラク政策失敗が原因だという筋違いの記事が掲載されている。

イラク北部を公式訪問中のイラン警備将校のアメリカ軍による拉致失敗が10週間後にイギリスの水兵海兵隊員15人が拉致される引き金を引いた。
今年1月11日の早朝ヘリコプターで潜入したアメリカ兵らはクルド族地区のアービルに長期に渡って存在していたイランレーゾン事務所を襲撃。5人の比較的下位の職員5人をスパイ容疑で逮捕、今も拘束中。
しかし現実にはアメリカはもっと野心的な目的があったことをインディペンデント紙は学んだ。この手入れの目的はクルド地方政権に知らせずにイラン警備組織の重要人物二人を捕まえることにあった。

その後のイランの怒り狂った反応からいって、イランが報復行動に出ることくらいはイギリス政府は予期すべきだったと記事の著者パトリック・コクボーン記者。そしてコクボーン記者はイラクに公式訪問しているイランの諜報部員を拉致するということは、外国を公式訪問しているCIAやMI6の高官が外国で拉致するようなものだとし、イランが怒るのも当たり前だといわんばかりである。
ほお〜、正式な外交関係のあった国の大使館を襲撃し大使および職員53名を拉致して444日も監禁した行為はどうなるんでしょうかね? そういうことへの報復が許されるっていうならアメリカはまだイランに48人のイラン高官を拉致するだけの借りが残っている。
イランが人質をとっては自分らの理不尽な要求を突き付けているのはなにも今にはじまったことではない。1979年のアメリカ大使館襲撃はいい例ではあるが、それですら始まりではない。16世紀から19世紀にかけてバーバリーコーストといわれるモロッコ、アルジェリア、タニーシアそしてリビア海岸の海洋を荒らして欧州の船を拿捕し乗組員を誘拐しては身代金を要求していた海賊らは当時のイスラム教諸国を背後にもつ海賊たちだった。それをいうなら2004年にもイギリス兵二人がイランに拉致された事件があったではないか、あれもアメリカのせいだというのか? コックボーン記者は誘拐はイスラムの常套手段だという歴史的事実さえ知らないらしい。(先に紹介したような学校教育を受けた結果かもしれない。)
インディペンデント紙は、アメリカの作戦を批判する暇があったら、抵抗もせずにみすみす捕われの身になったイギリス兵15人の態度について見直したらどうなのだ? そして拉致された後恥も外聞もなくイランのテレビに出演して地図の前で「確かにイランの海域に侵入しました」などと白状し、汚らわしいバーカなどまとってすましている恥さらしを批判したらどうなのだ! それともイギリス兵は捕らえられたら抵抗せずに何でも敵の言われるままに行動しろという命令でも受けているのか、だとしたらそんな非常識な命令をくだしたイギリス軍高部に対する批判でもしたらどうなのだ!
このイギリス兵の無様なていたらくがどれほどイランのプロパガンダに貢献したか知れない。どれだけかつての偉大なる英国も地に落ちたかを暴露する結果となったことか。どれだけ我々の敵を元気づけることになったことか。これがアメリカ兵だったなら絶対にこのような態度はとらないとニューヨークポスト紙でラルフ・ピータース陸軍中佐(退役)。

アメリカ海兵隊員を洞穴に押し込み歯をなぐり折ったところで、彼から本国と海兵隊への誇りをなぐり折ることはできない。「センパーファイ(Semper fi)」には意味があるのだ。

オージー(オーストラリア兵)も同じようにタフだ。
いったい何が英国海兵隊に起きたのだ? エリート隊のメンバーとして通ってきた隊なのに。労働党政府の政策はイギリス軍をずたずたにした。戦闘機を飛行不能にし、軍艦を引退させ、陸軍隊を解体し、制服を着る兵士らの胸から勇気までももぎとってしまったのか?
女性水兵が泣き崩れて政府に降伏を訴える姿も無様だったが、海兵隊員までがお茶や同情を懇願しだしたとなると、もう見てられない。嘘だと言ってくれ!
…ウィンストン・チャーチルは天国でスコッチを吐き出しているだろうよ。

ピータース氏も指摘しているように、イギリス軍は当初比較的平穏だったバスラの警備を完全に怠り、バスラ警察や地元政府がシーアの民兵に乗っ取られていくのを指をくわえて見ていた。もし当時イギリス軍がアメリカ軍のように厳しい取り締まりやパトロールを行っていればイラク南部でおきたシーア派民兵による暴走を防げたかもしれない。そういう失態を棚にあげて、自分らのぶざまで臆病な態度を顧みず、アメリカだけを責めるイギリスの政治家やメディアたち。アメリカの民主党より質が悪い。
ピータースもミスター苺と同意見でこの任務に当たっていた海軍の司令官らは敵を前にして臆病な行動をとった罪で軍法会議にかけられるべきであると語る。そしてこの「ワンカーども」が所属している王立海兵隊はさっさと任務からほどかれ解散しちまうべきだ!と手厳しい。カカシも全く同意見だ。


View comments (6)

イギリス海兵隊は何故抵抗しなかったのか?

15人のイギリス海兵隊員と海軍兵がイラン軍に拉致された事件について、イギリスと共同作戦をとっているアメリカ海軍側では、どうしてイギリス兵は抵抗しなかったのかという疑問が出ている。

湾岸における高位の米司令官は、これが彼の部下であればイラン革命防衛軍の人質になる前に発砲していただろうと語った。

これはイラクで一緒に戦っていながら、イギリス軍とアメリカ軍が取り入れている姿勢の違いを劇的に表している。拘束された15人を含むイギリスの隊と隣り合わせで行動をしていたエリック・ホーマー米海軍少佐は、英国海兵隊員と水兵たちがもっと攻撃的でなかったことに「驚いている」と語っている。
インディペンデント紙の、これが少佐の部下達だったとしたらイラン兵に発砲していたか、という質問にたいして少佐は「同意。そうです。イギリス軍の作戦について今さら判断したくありませんが、我々の攻撃規則はもう少し臨機応変性があります。我が軍の乗船チームは自己防衛に対してもう少し積極的な訓練を受けています。」
イギリスのHMSコーンウェルと同じくイギリス指令下の任務編隊に所属する米フリゲート艦USSアンダーウッド号の副艦長で第二司令官は「アメリカ海軍特有の攻撃規制は自己防衛の権限が与えられているだけでなく、自己防衛は義務であるとされています」と語る。「私が思うに彼等(イギリス兵)は拉致される前に自己防衛をする十分に正当な権利がありました。我々としては『どうして自己防衛をしなかったのだ』という反応です。」

どうもイギリス海軍はどのような理由があってもイラン軍に発砲してはならないという命令を受けていたらしいのだが、ミスター苺によるとそのような命令は違法であり、海兵隊員も水兵らも従うべきではなかったと言う。

そのような命令は違法命令だ。

誰にも発令できない命令というものがある。例えば総司令官が兵士らに強姦を命令したとしよう。このような命令は明かに違法であり、従えば罪に問われる。(そしてそのような命令を下した大統領は即刻弾劾され取り除かれるべきである。)
イギリスでも同じことが言える。(女性を含む水平ら)軍人にテロリストと深い関係にあるイスラム過激派政権の人質になれなどという命令は明らかに違法命令だと俺は確信する。そのような命令を誰かが下したとは信じがたい。
…降参する気でもない限り軍人は敵の攻撃から身を守ることは正当であり、攻撃規制などくそくらえである。俺が思うにイギリスにはいまでも戦争に勝つために最前を尽くすべきという姿勢が存在しているはずだ。

ミスター苺は拉致されたボートが所属するイギリス艦HMSコーンウェルの艦長は敵を前にして臆病な行為をした罪で軍法会議にかけられるべきだと言って息巻いている。(笑)
しっかしかつての栄光が泣くよまったく。偉大なるイギリス帝国海軍がこれではご先祖様に顔向けできないよなあ。
しかし過ぎたことをなんだかんだ言っていてもしょうがない。イギリスは、ブレアは、いったいどうするつもりなのだろう?


View comment

露中もあきれるイランの無思慮な行動

今日のヘッドラインニュースはイランからの話題二つが目に付いた。
最初はロシアと中国がイランに国連安保理の条例に従えと促したという記事。ロシアにしても中国にしてもイランの無思慮な行動が英米によるイラン攻撃につながることを恐れているのだろう。なにしろ両国とも現イラン政権と特別な契約を結んでいるわけで、ロシアなど原子力発電所建設のために提供した原料だの労働だのの支払いをまだしてもらってない。ここで現政権に崩壊などされて借金がごわさんになってはたまったもんではない。
安保理の常任理事である両国からの促進は、イランが国連条例に含まれるIAEA査察を一部差しとめるという発表に答えるものだ。
これまで厳しい制裁を促していたイギリス、フランス、アメリカといった国の態度には乗り気でなかった中国やロシアまでがイランに国連に協力しろと言い出したとなると、国際社会のイラン外交はかなり大詰めを迎えているといえるのかもしれない。
そんな国際社会の空気を多少は察したのかイランは拉致したイギリス兵がイラン海域に入ったのが意図的なものか偶発的なものかを確かめるため、イギリス兵に拷問、、おっと「取り調べ」をおこなっているという。
しかし金曜日にはイギリス兵の14人の男性と1人の女性をスパイとして裁判にかけると強気なことをいっていたイランだが、月曜日になってかなりその姿勢を緩和させたということは言える。

イラン外務省次官のメフズィ・モスタファビ氏は緩和した態度で月曜日14人の男性と1人の女性は取り調べを受けている最中だと語った。

「水域侵入が意図的なものか偶発的なものかは(取り調べによって)明らかになるはずです。それがはっきりしてから必要な決断をしたいと思います。」とモスタファビ氏は語った。
イランは拘束されている米兵たちがどこで拘束されているのか、イギリス高官と話すことが許可されているのかどうか話すことを拒んだが、テヘランのイギリス大使、ジェフェリー・アダムス大使に彼等の健康状態は良好であると保証した。

ま、イラン人はイラクのテロリストなどと違って人質の目をくり抜いたり女性を冒涜するなどということはしないだろうが、それでも取り調べと言って殴るくらいのことはするだろう。イギリス側は外務省のマーガレット・べケット長官がトルコを訪れた月曜日、イギリス人員と器具が安全に返還されるまではイランに圧力をかけ続けると発表。一方ロンドンでもイラン大使が事件ご3回も呼び出され、人質の早急な返還を要求されている。
イギリスでは人質が西側とイランとの核兵器開発交渉の間に挟まってしまう可能性と、アメリカが拘束しているイラン軍人との交換に使われるのではないかという心配がされている。いまのところモスタファビは人質交換を求める気はないとしているが、イラン政権のなかではそういう話も出ているようだ。
イランは昔から西側との「交渉」に人質作戦や威嚇脅迫作戦をとってきた。1979年のアメリカ大使官占拠にはじまって、レバノンでのアメリカ兵とフランス兵の兵舎爆発事件、サウジのコーボル棟アメリカ兵舎爆破事件など、正々堂々と外交というものをやったことがない国だ。これに対して西側の対応が貧弱なものであったこともイランを強気にさせている原因だ。
となってくると、今後のイランの行動はここでイギリスがどう出るかにかかってくる。ブレア首相はそろそろ引退するとはいえ、イランには強気な態度で出て欲しいものだ。


Comment

英国兵15人を拘束したイランの意図は?

イランがイラクとイランの国境近いイラク側の水域で監視活動を行っていたイギリス海兵隊の隊員15人を拘束するという事件が起きた。

3月24日8時1分配信 産経新聞

 【ロンドン=蔭山実】BBCテレビなどによると、現場はイラクとイランの国境にあたるシャトルアラブ川のイラク側の水域で、兵士らはボート2隻で車の密輸船を検査していたという。AP通信はイラン革命防衛隊の海上部隊が英兵らを拘束したと伝えている。
 英国防省は「兵士らは何ら問題なく貨物船の検査を行っていたが、突然、イランの船に包囲され、イラン側の水域へと拉致された」と語った。兵士らは無事とみられ、兵士らをすみやかに解放するようイラン当局と交渉している。
 BBCがイラク南部のバスラに駐留している英軍の司令官の話として伝えたところでは、イランは武装勢力に強力な武器を与えているほか、イラク南部の住民に金を払って英兵への攻撃を仕掛けさせているという。

イラン側はイギリス兵たちがイランの水域を侵したとして水兵たちを拘束しているわけだが、無論、そんなことは単なる言いがかりだ。イランは多分、当初イギリス兵を人質にして国連のイラン経済制裁決議を阻止しようと企んだのだろう。だが、国連安保理は制裁決議を可決してしまったので、今度は英兵たちがスパイ行為をしていたと言い出したようだ。
多分イギリス兵らを拷問にかけて無理矢理「自白状」を書かせ、数人を処刑した後生き残った数人を使ってアメリカ軍が拘束しているイラン軍特別部隊クォッドの高官らと人質交換を言い出してくるつもりなのだろう。
交渉中の国の軍人を拉致してそれを使って人質交換、、、イランの手先がどっかで同じ手口を使ってひどい目にあった前例がつい最近あったような、、あれ〜? どこだったかなあ〜?
ハッキリ言ってイラン側の行為は戦闘行為ともみなせる。イギリスがその気になればイギリスによるイラン攻撃の口実は立派にできたことになる。イランのこの強行作戦はかえって裏目にでるのではないかな?


View comments (2)

イランの核開発危機! ロシアに支払い滞納で、、

ついに国連はイランの核開発に対して加制裁措置を盛り込んだ決議案をとおすことになったようだ。

3月15日11時45分配信 毎日新聞

 【ニューヨーク坂東賢治】イランの核開発問題で安保理常任理事国(米英仏中露)とドイツの国連大使は14日、武器輸出全面禁止などイランに対する追加制裁措置を盛り込んだ安保理決議案について大筋で合意した。15日にも安保理の非公式協議で非常任理事国10カ国に決議案を示す。順調に進めば、来週の安保理で採択される見通しだ。
 安保理筋によると、6カ国が合意した決議案では、イランから小型武器を含む、あらゆる武器の輸出を禁止することが盛り込まれたほか、戦車や戦闘機などの大型武器の輸入についても監視を進めることを明記。核やミサイルの開発に関連し、金融資産凍結の対象となる個人や企業のリストを大幅に拡大した。
 制裁リスト対象者の海外渡航は禁止していないが、対象者が渡航した場合に制裁委員会に通知するよう加盟国に求めた。また人道・開発目的のものを除き、イランに対する新たな信用保証・融資を自粛するよう呼びかけているが、欧米が求めた義務付けは見送った。さらに、60日の期限で国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長にイランの核活動に関する安保理への報告を求め、イランにそれまでの核活動停止を求めている。

これに対してイランのアハマディネジャド大統領は経済制裁など怖くないと息巻いている。

テヘラン 16日 ロイター] イランのアハマディネジャド大統領は16日、集会で演説し、同国は核燃料サイクルをあきらめさせようとする国際圧力には屈しないと述べた。国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた主要6カ国は15日、ウラン濃縮活動を続けるイランへの追加制裁決議案について正式に合意している。(ロイター)

しかしアハマディネジャドが何と言おうと、これはイランにとっては相当の痛手のはずである。なにしろイランは今の状態でもロシアから購入した核兵器開発技術への支払いが滞ってロシアからのサービスが一時停止されているという状態に陥っているのだから。
モスクワ発(AFP、3月13日)によると、なんとイランはBushehr原子力発電所建設で、ロシアへの支払いが遅れており、これ以上滞納が続くとロシアがわとしても「後戻りできない深刻な結果」になると警告されていることがわかった。

「イラン側からの決断をいつまでも待っているわけには行きません。」とロシアの契約しているAtomstroiexport社の重役ブラディミア・パブロフ(Vladimir Pavlov)氏は語る。「支払い再開がこれ以上遅れると、後戻りできない深刻な結果を生みます。」
パブロフ氏はしかし、テヘランとAtomstroiexport社との間で行われた交渉ではイラン高官らが「割合建設的」だったとロシア国営新聞RIA Novosti紙は報告している…
月曜日、Atomstroiexport社はほぼ完成しつつある施設に必要な核燃料の配達は二か月くらい遅れるだろうと発表した。

ロシアがサービスを提供しているのは無論原子力発電所建設などではなく、核兵器施設に間違いない。イランの経済事情がかなり深刻な状態であるということは以前にもお話した。イランは原油があるということで、他の産業を全く無視してきた。ところが核兵器開発に夢中になりすぎて肝心な原油生産の施設をおざなりにしてきたため、古くなった施設は効果的な産出ができず、イランの原油産出量は近年大幅に減っている。しかもイランは自国で算出した原油を精製する技術を持たないため、原油を輸出して石油を輸入するというばかばかしいことをずっとやってきた。おかげで原油産出国でありながら国内ではガソリンが不足するという不思議な現象が起きている。
そして皮肉なことに、核兵器開発でおざなりにした原油産出業での収入が減り、核兵器開発に必要なお金がたりなくなる、という結果を生んでいる。(苦笑)イランは無論ロシアの態度にカンカン。ロシアの核遅延に怒るイランというイギリス国営局BBCの記事ではイランはロシアに支払い停滞などしていない、ロシアの態度は「悲しむべき」だとし経済状態に問題があるのはロシアのほうだと反論。
しかしここで注目すべきなのは、ロシアがイランへの提供を遅らせた核燃料とは何かということだ。

(ロシアの)会社はさらに支払い問題のため、9月予定の原子炉の発動も二か月ほど遅れた11月頃になるだろうと発表した。
問題の燃料とは約100トンにわたる一部濃縮したウラニウムである。

イランがロシアから濃縮ウラニウムを購入することが出来なければ、イランは自分達で濃縮ウランを生産しなければならなくなる。イランにその技術があるのかどうか、いや、それにかかる資金があるのかどうか、甚だ疑わしい。
つまり、イランの核兵器開発はアハマディネジャドの好き嫌いに関わらず、現実的に達成できないのかもしれない。最近アハマディネジャドは国内でも勢力を失いつつあり、イランの予算案などでもラフサンジャニに押され気味という状態でもある。
イランは中東でも指折りの原油産出国でありながら、国民の50%が失業状態、経済は困窮においこまれ、核兵器開発などにあけくれて経済制裁をうける始末。気の毒なのはイラン国民だ。


Comment

元イラン革命軍将軍西側に亡命

実は昨日、元イラン革命軍の将軍がトルコを訪問中失踪し、イスラエル秘密警察に拉致されたとか、西側に亡命したとか取り沙汰されているという話を新聞で読んだばかりだったのだが、今日になって西側に亡命していたことがアメリカ当局の発表で明らかになった。(Hat tip to Jules Crittenden.)

アメリカ当局の発表によると、元イラン防衛庁副長官で革命衛兵隊の元司令官でもあった将軍は出国して現在西側諜報部に協力し、イランとヒズボラ組織とのつながりなどの情報を提供している。

アリ・レズ・アスガリ(Ali Rez Asgari)氏は先月トルコを訪問中に失踪した。イラン政府は昨日、氏がイスラエルもしくはアメリカに拉致されたのではないかと詮索していた。アメリカ当局はアスガリ氏は自主的に協力していると語っている。アメリカ高官はアスガリ氏の居場所や誰が尋問にあたっているかなどには触れなかった。しかしアスガリ氏が提供している情報はアメリカ諜報部にすべて入手可能であることを明確にした。

アスガリは退役して2~3年たっているとはいえ非常な重要人物である。

元モサド(イスラエル秘密諜報局)局長で現在はイスラエル議員のダニー・ヤトン氏はアスガリは西側に亡命したと考えるとし、「彼は非常な重要人物です。」と語った。「彼はレバノンで長年とてもとても重要な地位にいたひとで、事実上(レバノンの)革命衛兵隊司令官だったと言えます。」

元モサド局員のラム・イグラ氏はアスガリ氏は1980年代から1990年代にイランによるヒズボラへの、資金援助や訓練などの監督をしていたという。米国務省はレバノンのシーア武装勢力(であるヒズボラ)をテロ組織と認識している。
「彼はレバノンに住んでいました。結果的に彼が当時ヒズボラを組織して育て上げたといえます。」 とイグラ氏はイスラエル国営ラジオで語った。「もし彼が西側に提供するものがあるとしたら、レバノンのヒズボラなどのテロリストについてでしょう。」

まだ詳細ははっきりしていないが、今後の発展に乞ご期待といったところか。イランはかなりパニック状態かもね。


View comments (3)