マケインの挑戦や過激な協会そして諦めないヒラリーと、頭痛の種がつきないオバマ

ジョン・マケインのイラク訪問挑戦
先週はオバマにとっては全く頭の痛い一週間だった。先ずは共和党大統領候補のジョン・マケインがオバマがイラク戦争は失敗したと言い続ける理由は現場の状況を全く把握していないからだとオバマの勉強不足を批判。過去2年間に8回もイラク訪問をしているマケインに比べて、オバマがイラク訪問をしたのはたったの2回。しかも最後は2年近く前だったと指摘。マケインは自分と一緒にイラク訪問をして現地の様子を視察しようと挑戦した
マケインは最近オバマの経験不足や不勉強を指摘する作戦を取っているが、今回の挑戦は非常に賢いやり方だ。オバマは今回の選挙運動で、当初戦争を支持していたヒラリー・クリントンと自分の立場を対照的に見せるため自分がいかに最初からイラク戦争には反対だったかを強調してきた。そして現在のイラク情勢についても、イラクは完全に失敗したので即刻撤退すべきであると提唱してきた。だが自分がそれだけ興味がある問題であるにも関わらず最後のイラク訪問が2006年というのでは格好がつかない。
しかし、ここでマケインの挑戦を受けて、のこのことイラクへ出かけて行ってはマケインの言いなりになったと思われる。それにやたらに訪問して実際にイラク情勢が良くなっていることを目の当たりにしたら、そのことを認めないわけにはいかない。そうなったらイラク即刻撤退を主張することが困難になる。
かといって訪問しなければ、総司令官になろうという人間が自国の戦場を何年も訪問せずに正確な軍事政策が立てられるのかと、いつまでもマケインから叩かれる。オバマは非常に困った立場に置かれている。
過激な黒人協会との関係
ジェラマイアー・ライト牧師の人種差別的な過激なスピーチが注目を浴びて、長年の付き合いを切断しライト牧師を公に批判しなければならなくなったオバマだが、その危機がやっと去りかけたと思ったとたん、またまたオバマの所属するトリニティーユナイテッド協会で来賓のカトリック神父がヒラリーに対する侮辱的な発言をし、多くの白人有権者がオバマの優勢を嘆いて泣いているなどと非常に過激な説教を行い右翼のトークラジオなどで取りざたされた。
こうした問題が次から次へと出てくるため、オバマはついに20年来所属していた協会から脱会する旨を昨日発表した。今さら遅すぎる感もあるが、なぜオバマはこんな問題の多い協会にいままでしつこく在籍してきたのだろうか?20年間も在籍し、結婚式まで挙げてもらい、恩師として仰いできた神父のいる協会の方針を全く知らなかったとは言い訳にならない。大統領に立候補すると決めた時点で、この協会に所属していることが、いずれは問題になるとオバマが気がつかなかったというのも信じがたい。ではなぜもっと早く協会を脱会しなかったのか?
実はオバマには協会をやめられない理由があった。オバマはシカゴの政治家だ。オバマが代表する地区は2/3が黒人である。黒人として地元の有権者の支持を得るためには、自分が地元民の気持ちを理解できる地元の代表だと主張する必要がある。それには地元有力者の集まっている協会の支持を得ることは必要不可欠な条件なのだ。現にオバマは2000年に下院議員として立候補したとき、黒人の人権運動を長年してきた過激派のライバルに対抗して、黒人協会の支持を積極的に仰がず二対一で大敗した苦い経験がある。当時のライバルのボビィー・ラッシュは自分も牧師で過激な市民団体ブラックパンサーのメンバーだった。ラッシュの選挙運動はオバマのエリートぶりを強調し、「オバマは俺たちの仲間じゃない」というスローガンで押し通した。
こういう過去があるので、あまり早期から地元の過激派協会から距離を置けば、再び黒人票から見放され、民主党予選選挙で負ける可能性が多いにあった。だから今までオバマは協会を脱会できなかったのである。
しかし民主党候補指名がだいたい確保できた今となっては、一般選挙に向けて過激派とのつながりは絶たなければならない。それで今回の脱会宣言となったわけだ。かなり日和見主義だと思うが主流メディアがそれを指摘しないので、一般有権者がこのような態度をどう受け止めるか注目の価値ありだ。
諦めないヒラリー
民主党委員会は昨日ヒラリーがずっと主張していたフロリダとミシガンの代議員民主党大会参加を認める決断を下した。しかし、予備選挙の日にちを早めた罰として、正規の半数しか数えないことで結論が出た。
この結果、ヒラリーは代議員数を24票増加させたことになるが、それでもオバマより176票も劣り代議員数だけでは候補指名を得ることは出来ない。この際だから民主党のためにも早くヒラリーは敗北宣言をして撤退すべきだと考えるのが常識だ。
ではなぜヒラリーはいつまでも諦めないのか?
それはヒラリーは民主党のことより自分の政治生命のことしか考えていないからだ。
ヒラリーが民主党候補に指名される可能性は非常に少ないが全くないこともない。オバマの知名度が高くなるにつれて、今まで焦点の当てられなかったオバマの弱点がいくつも浮かび上がってきた。無論これがヒラリーの選挙マシーンの仕業であることは言うまでもない。8月の党大会までにオバマに関するスキャンダルがいくつも公になれば、代議員が足りなくても大会においてヒラリーはオバマでは一般選挙に勝てないから自分に入れてくれと主張することが出来る。それがうまくいくかどうかはわからないが、可能性がアル以上ヒラリーが諦めるわけはない。
しかし、実際にオバマが候補指名を受けた場合に備えて、ヒラリーはどうしてもオバマがマケインに負けるように仕掛けなければならない。何故ならオバマが勝った場合にはヒラリーが次に立候補できるのは8年後になってしまうからだ。オバマが負けてくれれば、「私を選んでいればマケインに勝てたのに、、」と言って4年後に立候補することが出来る。
だからヒラリーがここで諦める理由は全くないというわけだ。
頭の痛いオバマ
まったく一般選挙も始まってないというのに、こんなところでここまで苦戦するとはオバマも計算していなかっただろう。ま、手強いヒラリーが相手では仕方ない。
カカシとしては民主党の党大会、かなり楽しみだけどね。


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カナダ:マーク・スタインの人権擁護裁判始まる

このブログではカナダやイギリスで起きている人権擁護法による人権迫害についてずっと追ってきているが、来週からカナダのジャーナリストで作家のマーク・スタインの「ヘイトスピーチ」裁判が始まる。
ヘイトスピーチとは要するに「悪意を持って相手を侮辱する発言」のことである。私は自由社会においては、偽りで相手を陥れ、相手の名誉を激しく毀損するような発言以外は許されるべきだと主張してきた。単に相手の気持ちを傷つけたという程度のことでいちいち訴えられていたのでは言論の自由など保つことは出来ない。
この裁判を直前にしてスタインがバンクーバーのフレージャーインスティトゥートで行った演説をベルモント・クラブが掲載している。スタインは冒頭の挨拶で、彼がカナダの人権擁護審議会に訴えられたことを知ったのは、アメリカのラリー・クレイグ議員がミネアポリス空港の男子トイレで隣の個室の男性に合図をしたとして話題になっている時だったと語り、その後クレイグ議員の弁護士が議員のジェスチャーはアメリカの言論の自由で保証されていると弁護したのを聞いて、「なんてすばらしい国なんだ」と思ったという。

カナダでは、カナダイスラミック議会は「言論の自由」私の著書や新聞のコラムには保証されないという。しかしアメリカではクレイグ議員の便所でのしぐさは憲法補足法第一条によって守られているという。今後は過激派イスラム教徒のことを書く代わりに、公衆トイレでイマームを誘惑するだけにしようと思う。

裁判の背景は詳しくこのエントリーで説明しているが、簡単に説明すると、このブログでも紹介した「アメリカアローン」という著書の中で、スタインはカナダや欧州において地元市民の少子化が進む中、イスラム教移民による人口増加は変わらないので、いずれ北アメリカや欧州はイスラム教徒に人口でも文化でも乗っ取られてしまうだろう。その波にただひとり立ち向かっているのがアメリカだと書いた。
この内容にスタインと出版社のマクリーン社に対し、「あからさまなイスラム恐怖症」だといちゃもんをつけたのがカナダのイスラム議会。ブリティッシュコロンビアの人権擁護審議会はこの苦情を取り上げて、スタイン及びマクリーン社を「侮辱罪」で訴えているというわけだ。
ベルモントクラブのレチャードも指摘しているが、過激派イスラム教徒がイスラム教徒以外の人間に対してなにかといちゃもんをつけるのは何も今にはじまったことではない。彼らが大騒ぎするたびに相手はへいこらして謝る状況続いている以上、彼らが苦情を申し立てるのは当たり前だろう。
コメンターのマニーさんも日本の映画会社や出版社がイスラム過激派の言いがかりに屈した例を紹介してくれている。

日本の人気アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の中に、悪役がイスラム教の聖典コーランを読みながら主人公らの殺害を命じる場面があり、アラビア語圏のウェブサイトで批判が高まっていることが21日分かった。原作コミックスの出版元でアニメ製作も主導した集英社(東京)は同日までに、問題のアニメのDVDや原作コミックスの一部を出荷停止とする方針を固めた。

中東では「コーランを読めば悪者になるという趣旨か。イスラムへの攻撃だ」などとの書き込みが300以上のサイトに広がっており、イスラム教スンニ派教学の最高権威機関アズハルの宗教勧告委員長アトラシュ師は「イスラム教に対する侮辱で受け入れられない」と非難した。

アレキサンダー・デュマの「三銃士」では、最大の悪役はフランスカトリック教会の最大権力者ラシュルー枢機卿だが、それでも出版当時にカトリック国のフランス人が小説に抗議して暴動を起こしたという歴史的事実はない。それどころか当時のフランスでこの小説はベストセラーになっていた。
東洋の映画や小説でも生臭坊主や悪役の仏教徒などいくらでも出てくるが、それに抗議して世界中で暴動になるなんてことは聞いたことも無い。なんでイスラム教徒だけは、こうユーモアのセンスがないのかねえ。
しかし問題なのは被害妄想のイスラム教徒の理不尽な苦情ではなく、それを取り上げたカナダの人権擁護審議会の方である。この裁判は人権擁護法が考慮されている日本としては決して他人事ではない。
カナダや欧州で起きているのはイラクやアフガニスタンで起きているような熱い戦争ではなく、言ってみれば冷たい戦争だとスタインは言う。この戦争では旅客機がミサイルとしてビルに突っ込むこともなければ、自爆テロや路肩改良爆弾も爆破しないかもしれない。だが明らかに我々の自由を脅かす恐ろしい敵との戦いだ。
我々の敵は多様文化主義だの人権擁護だの男女共同参画だの四角だの色々な名前で呼ばれているが、皆同じ穴の狢だ。この敵はリベラルファシズムという独裁主義である。彼らは手を変え品を変え日がな夜がな、我々の自由を奪おうと戦いを挑んでくる。ここで負けたら自由社会はおしまいだ。
我々は断じてこの敵と戦わねばならない。
人権擁護法絶対反対!


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ホワイトハウス元報道官の裏切り暴露本にみる主流メディアの二重基準

先日私は元国防次官のダグラス・ファイス氏著のイラク戦争前夜において、ブッシュ政権は戦争をするにあたり緻密な事前計画を立てていたという回顧録が主流メディアからそっぽを向かれているという話をした。メディアが氏の著書を取り上げない口実は特にニュース性がないからだ、ということになっているが、その際に、もしもこれがブッシュが無計画に戦争に突き進んだというような批判の回顧録なら主流メディアは競争で話題に取り上げるだろうとも書いたが、まさにその通りだった。
昨日ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏がブッシュ批判の暴露本を出版したが、もうすでにそのことが日本のメディアも含め、あちこちで取り上げている。

【ワシントン28日AFP=時事】当地の報道によると、ブッシュ米大統領の元報道官のスコット・マクレラン氏が、同大統領をコースを大きくそれて必要のないイラク戦争に突進していったなどと厳しく批判する書物を著した。

 27日発売の政治誌「ポリティカ」に掲載された新著の抜粋によると、かつてブッシュ大統領の側近だった同氏は、2005年のハリケーン、カトリーナの襲来の際のホワイトハウスの無様な対応も非難し、最初の1週間のほとんどを「ステート・オブ・ディナイアル」(都合の悪いことに目をつむる)状態で過ごしたと述べている。
 マクレラン氏はまた、「我が国の歴史上で最悪の災厄の一つが、ブッシュ政権の最大の災厄の一つとなった」と書き、ブッシュ大統領はイラクに対して率直で偏見のない気持ちを持たず、計画や事後の準備が不十分なままに戦争に向かって突き進んだと批判している。(強調はカカシ)

こんな話は当時からアメリカメディアが嫌というほど報道したもので、今更騒ぐほどの『ニュース性』があるとは思えない。それをアメリカの左巻き主流メディアがこぞって取り上げるのは、この著書の内容が自分たちの偏見を確認する内容であるからに他ならない。ニュース性や事実などとは完全に無関係なのだ。主流メディアの恥知らずなダブルスタンダード(二重基準)が丸見えである。
マクレラン氏の著書には特に新しい証拠があるわけではなく、イラク戦争にしても、ハリケーンカトリーナにしても、そしてCIA職員の身元漏洩とカール・ローブの件にしても、すべて左巻きメディアやブロガー達が書き綴った嘘八百を何の根拠もなく繰り返しているに過ぎないのだ。
マクレランは非常に無能な報道官であったため、短期ですぐに首になった。そのことを未だに逆恨みしているのか、でなければオバマが大統領になった暁にはオバマの報道官として雇ってもらおうと自己ピーアールをしているのか、なんにしても氏の動機はうさんくさい。


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共産主義と戦うインディアナ・ジョーンズ最新作

日本では6月21日にロードショー開始のインディ・ジョーンズ、クリスタル・スカルの王国を一足先に観てきたので、本日はそのお話から。
なぜ日本では主人公のヘンリー(ハリソン・フォード)をインディアナと言わずにインディと呼ぶのかわからないが、まあもう1981年に公開されたレイダース/失われたアーク(聖櫃)の時からそう呼んでいるのだから今更変えるのも不自然だろう。
今回の最新作はオリジナルの1930年代のナチス台頭の時代から20年後の冷戦中の1957年が舞台となっている。それで必然的に悪役もナチスドイツから共産主義者へと変わった。ハリウッド映画がソ連共産党と戦うのは久しぶりではないかな。
スターリン主義の悪役イリーナはロード・オブ・ザ・リングスで年齢不詳のガラドリエルを演じたケイト・ブランシェット。彼女自身も年齢不詳の冷たい美しさを見せているが、黒いボブカットの髪型や不自然なアクセントは、冷戦時代から使われてきたソ連スパイのステレオタイプそのもので、ちょっと滑稽な感じがする。
もっともインディ・ジョーンズの特徴はまじめぶらないところにあるので、こういうステレオタイプも決して場違いではない。なにしろ映画の最初のシーンは、穴から顔を出したモグラが、走ってくるジープに驚いて穴に引っ込むというもので、これからして、この映画全体の音程が察知できるというもの。
このジープの列はテキサスの砂漠で行われている原爆実験現場を通っているのだがこの冒険についてあんまり書くとネタバレなので、共産党スパイによって売り渡されたインディ・ジョーンズは奇跡的に原爆実験現場から命からがら逃げおおすとだけ書いておこう。(はじまりでインディが死んじゃおしまいだから当たり前だが、、)
しかし、当時はアメリカ政府や大学にソ連スパイがはびこっていたため、かなり神経質になっていたCIAは、ヘンリーがトップシークレットの実験現場に何故居たのか、ヘンリーが教授を勤める大学にまで取り調べに来る。これを理由に大学側はジョーンズ教授を解雇。それに抗議した学長(ジム・ブロードベント)も辞任する。
大学から出て行くために荷造りを始めるヘンリーに学長は「最近わしはこの国が理解できんよ。誰も彼も共産党のスパイ扱いで、被害妄想にかられている。」という。しかしこの台詞ははっきりいってストーリー展開から矛盾している。
この映画の最大の悪者は共産主義者であり、しかも冒頭シーンでインディは共産党スパイにひどい目にあわされるのである。そのことを学長はよく知っているのだ。だから政府や大学が共産党スパイに神経質なのはあたりまえ。被害妄想でもなんでもない。
スピルバーグ監督は有名なリベラルではあるが、リベラル=共産主義ではない。だから共産主義者が悪者でも問題はないはず。この台詞は不自然で場違いなので、多分元のシナリオにはなく、後から左巻きの脚本家が挿入したのだろう。
もちろん共産主義者を相手にしているとはいっても、インディ・ジョーンズのことだからそれほど政治色が濃い訳ではない。映画の本題は政治的な紛争ではなく、インディが巻き込まれる不思議な冒険にある。
大学を首になったヘンリーは、若き日のマーロン・ブランドを思わせる革ジャンを着てハーリーデイビッドソンを乗り回すマット・ウィリアムス(シャイア・ラブーフ)に出会う。マットと彼の母親は、ヘンリーの親友で考古学者のオクスリー教授(ジョン・ハート)に世話になったものだという。マットは南米にいる自分の母親から手紙で、オクスリー教授が行方不明になったので、ヘンリーに助けを求めるように言われたのだという。
実はオクスリー教授が発見したのはクリスタル・スカルという頭蓋骨で、何世紀も前に墓から盗まれたものだった。この頭蓋骨を元の墓に返したものには偉大なる力が与えられると伝えられている。問題は誰もこの墓が南米のどこかにあるという以外には確かな場所を知らないということである。
そこでインディ・ジョーンズはマット青年と一緒に先ずはオクスリー教授の行方を探し求め、ひいてはクリスタル・スカルを元の墓に戻すという冒険を始めるのであった。
無論ソ連のスパイ達に後を追われているので、南米のジャングルでは手に汗逃げる追跡格闘シーンはあり、小舟に乗って逃げるシーンではナイアガラの滝さながらの滝に落ちたりもする。遺跡ではレイダースの冒頭のようなからくりのある建物を走るまくるシーンもあって、インディならではの冒険が楽しめる。
ハリソン・フォードは60歳を超すと思われるが、どうしてどうして、まだまだ格好いい。二作目で父親を演じたショーン・コネリーも格好よかったが、フォードの渋みのきいた、それでいてコメディータイミングを失わないおちゃめな点も魅力的である。
若い観客のために二枚目青年俳優ラルーフを起用したのは解るが、カカシが中年だからなのかもしれないが、やはりラルーフではフォードの魅力にはかなわない。もっともラルーフのマットも最初はヘンリーが年寄りだと思って馬鹿にしているが、悪者との格闘でヘンリーが非常にタフであることを知って感心する。ここでスピルバーグが特に胸焼けするような青年と中年男の友情など表現しないでくれるので観客としては非常に助かる。
第一作目でヘンリーの恋人マリオン・レイヴンウッド(カレン・アレン)がマットの母親として登場するが、一作目ほどの存在感はない。ま、カカシの他人のことは言えないが女性は27年も経ってしまうと腰回りが気になるな。
ところで、ミスター苺が「インディ・ジョーンズは共和党支持だったんだな」と言うので、「え、なんで?」と聴いたら、イリーナに銃を向けられ「最後に言いたことはあるか?」と聞かれたときに、「俺はアイクが好きだ」と答えたからだという。アイクとは時の共和党の大統領候補指名のドワイト・アイゼンハワーのことだ。若いひとのどのくらいがこの台詞の意味を理解できたのか興味深い。


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同性結婚は文明社会を破壊する、その2

以前に私は同性結婚は文明社会を破壊するというエントリーで、同性結婚を合法にしたスカンジナビア諸国で、結婚制度そのものが崩壊状態にあるという事実を紹介したことがあるが、今回はさらにもっと詳しい調査をミスター苺がしてくれたので、それを紹介しよう。

ヨーロッパ諸国ではすでに結婚する人々の数が激減している。同性結婚が合法であるベルギーやオランダだけでなく、結婚の宗教的価値を往々に見放してきているヨーロッパ全体にこの傾向が強い。結婚の価値が見下されれば結婚そのものの数が減るというわけである。結婚する人の数が減るにつれ、すでに深刻な少子化問題を抱えていたヨーロッパでは出産率の低下は進む一方である。

CBSの調査では、オランダの場合1995年から2000年にかけて結婚率はゆっくりではあるが上がりつつあった。しかし同性結婚の合法化運動が置き始めた2000年から実際に合法化された2001年の中頃から上がりつつあった結婚率は急激なUターンをし、その数は急降下してしまった。2005年になると結婚率が最低だった第二次世界大戦当時同率まで落ちてしまったのである。

もうひとつのCBSの表を見てみると、1995年から2000年までは一年間で結婚した人の数は1000人のうち平均5.5人だった。しかし2001年からその数は減り始め、2006年には4.4人というなんと20%の減少となった。

その間の出産率(一人の女性が一生のうちに生んだ子供数)は多少増加し1.53人から1.73人となった。しかしこの増加はすべてモロッコやトルコ生まれのイスラム教徒の移民の女性のおかげである。オランダ生まれのオランダ女性の出産率は2000年から2005年まで、1.7人と全く変化がなく、人口維持に必要な2.1人を大幅に下回る。

無論ヨーロッパに置ける結婚率や出産率の低下をすべて同性結婚のせいにするわけにはいかない。同性結婚をみとめていないフランスでもこの傾向はあるからだ。
しかしヨーロッパ全体で結婚率が減っている理由として次のことが上げられる。

  • どちらの落ち度も問われない、簡単な離婚法
  • 神前結婚を拒絶し世俗式結婚をするカップルが増えていること
  • 同棲や婚外出産への大幅な許容
  • より左翼的社会主義的政府による伝統的な宗教や道徳観の迫害
  • ヨーロッパ全土でおきている一般的な宗教拒絶の姿勢

つまりヨーロッパ人は伝統的な道徳観の大事さを忘れつつあるので結婚が特別な制度であるという考えも失いつつあるのである。だから結婚の定義に同性を含むことに何の抵抗もなくなってしまったというわけだ。

喜ばしいことに、いまのところアメリカではまだ結婚率も出産率も減少の傾向はない。ロサンゼルス・タイムスの世論調査によると、この間州最高裁で同性結婚を一夫一婦制のみに認めるという法律を違憲という判定が出たカリフォルニアは、州民の過半数が同性結婚合法化を阻止するための憲法改正案を支持していると発表している。カリフォルニアはアメリカ国内でも非常にリベラルな州で、州民のほとんどが同性愛そのものには特に問題がないと考えている。そのカリフォルニア州民ですら同性結婚を拒絶しているくらいだから、近い将来アメリカ全土でそのような法律が通るなどということは先ず考えられない。

同性結婚を認める法律が存在しているのは、アメリカではマサチューセッツだけだが、これも決してマサチューセッツ州民が選挙で決めたことではなく、マサチューセッツの法廷が勝手に決めたことなのだ。マサチューセッツの民主党議会はこの問題を市民に問いかけることを徹底的に拒絶している。それは州民投票を行えば州民が同性結婚を拒絶すると知っているからに違いない。

しかしヨーロッパでは、イスラム教移民による横暴のバックラッシからなのか、最近カトリック教が再び人気を挽回しつつある。トーマス・野田神父のサイトでフランスへの巡礼の模様が報告されている。ヨーロッパ中から集まった若いひとたちの姿が多いのは喜ばしいことだ。ヨーロッパ崩壊を防ぐためにも、ぜひともヨーロッパの人々に結婚の大事さをもう一度見直してもらいたいものだ。


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存在していたイラク戦後処理作戦

2001年から2005年にかけて、ブッシュ政権の副防衛長官を勤めていたダグラス・フェイス氏が最近イラク戦争についての回顧録War and Decision(戦争と決断)を発表し、意外な事実を紹介している。
それは2003年の5月にブッシュ大統領が「主な戦闘は終わった。」と宣言した後のイラクの戦後処理作戦は詳細に渡って準備されていたというものだ。我々は戦後のテロリストの台頭やスンニ派による抵抗運動でアメリカ軍が長年苦戦したことから、ブッシュ大統領は戦後処理を全く考えずに何の計画もないまま浅はかに戦争に突入したような印象を持たされてきたが、実はそうではなかったというのである。
事実この回顧録についてインタビューをした記者たちも、皆フェイス氏の話に驚いたと語ったという。例えば、ブッシュ大統領は何が何でも戦争をやると最初から決めていて反戦の意見を聞こうとしなかったなどということは全くなかったという。事実はその反対で戦争をすることによる悪影響を深く追求した分析報告をしたのは誰あろうラムスフェルド防衛長官だったというのである。一般に穏健派で用心深いと言われていたコーリン・パウエル国務長官ではなかったというのだ。
私はまだ読んでいないのだが、著者自らがパワーラインで著書を紹介しているので本日はそれを紹介したいと思う。
ところで、余談だが、この本はイラク戦争に開戦までブッシュ政権がどのような決断をしたのかという過程が詳細によって綴られているというのに、アメリカの主流メディアはこぞって評論記事を載せることを拒絶している。彼らの言い訳は特に評論に値するようなニュース性がないからだ、というものだが、もしもこの著書の内容がブッシュ大統領があらゆる専門家アドバイスを無視して考えもなしにカウボーイ精神で安易に戦争を始めていた、などという内容だったら、どのメディアも競争で取り上げたに違いない。
イラクからの悪いニュースは毎日毎日第一面で報道しておきながら、イラク情勢が良くなってくると、イラクからのニュースはハタっと止まってしまった。サドルシティでのイラク軍の大成功すら過小評価して嫌々報道している。
11月の総選挙でも戦争が大事な要素になると大騒ぎをしていたメディアだが、今や戦争が起きてることすら信じられないほど、新聞の紙面はガソリンの値上がりや不動産のサブプライムローンの話ばかりで埋め尽くされている。戦争がうまくいっていないことがニュースだったなら、うまくいってきたらそれもニュースではないのか?
それはともかく、著者による著書紹介に話を戻そう。
防衛庁の民間職員たちがサダム政権崩壊後のイラク復興計画を全く建てていなかったという批判は正しくないと著者は語る。著者は国務庁の計画を防衛庁が拒否して破棄したという説がいかにまちがっているか、ラムスフェルドやアドバイザーたちが亡命中のアクメッド・チャラビに惑わされてチャラビをイラクの指導者として任命したなどという考えも完全に間違いだったことを著書のなかで説明している。
著書ではこれまで秘密にされていた、ラムスフェルド、パウエル、ライス、テネット、マイヤー将軍、チェイニー副大統領、そして大統領らが交換した書類から広域にわたって引用が掲載されている。著書のなかで数々の会議の様子が再現されているが、これは事後のインタビューなどで、当事者が都合良く覚えていた話をしてもらったものではなく、情勢進行中に会議に出席していた著者自らが記録にとっていたものをもとにしている。
著書において取り上げられている主なトピックとして著者は、911直後に対テロ戦争作戦がどのように立てられたかその経過を述べている。これは単に911の犯人を罰するのもならず、今後このようなテロを未然に防ぐためにどうすべきかが考慮された。
政権がサダム政権崩壊後に犯した多くの間違いや計算違いにも関わらず、911事件以後6年半のうちあのようなテロ攻撃が一度も起きていないということは、上記の作戦に多いに関係があるものと考える。
また、なぜイラク戦争をしたのかについて、著者は大統領を始め幹部の役人達がどのように理由付けをしたのか、なぜイラクが問題だったのか、我々はフセインが911に直接責任があったとは考えていなかったことなどを述べる。
またフェイス氏は著書のなかで、戦前の諜報についての問題点について、防衛庁とCIAとの対立は、実際にイラクとアルカエダが関係があったかどうかとか、CIAの情報が正確かどうかということではなく、防衛庁によるCIAの行き過ぎた政治活動への批判だったことなどを説明する。
そしてもちろん、この著書の一番重要な部分は、実際にサダム亡き後のイラク復興政策がどのようなものであったか、実際にきちんとした計画が立てられていた事実について詳細に渡って説明しているという点だ。
フェイス氏はイラク復興の計画は防衛庁がきちんと建てていたのに、それを遅らせたり変更させたりしたのは、国務庁のパウエル長官やアーミテージ副長官のほうだったのだと主張する。アメリカによる統治機関を短縮するためイラク政権になるべく早期に主権を移譲することなど、きちんと立てられていた計画を台無しにしたのは国務長のポール・ブレマーだったと言う。考えてみればイラク軍を解散してしまったのもブレマー氏の考えだった。
カカシはフェイス氏のラジオインタビューを聴いたが、非常に聞き苦しいのは、イラク戦争というアメリカにとっての大事な局面を迎えながら、アメリカ政権の内部では、防衛庁、国務省、中央諜報機関(CIA)による勢力争いが繰り広げられていたという点だ。お互いが自分らのメンツを最優先させて、どういう方法がイラク戦争と戦後の復興に一番良い方法であるのかという大事な点が二の次にされてしまったことは非常に残念だ。
無論フェイス氏は防衛庁の人間であるから、防衛庁はきちんとやろうとしていたのに、国務庁やCIAから邪魔されたと言いたいのは当たり前だろう。だからフェイス氏の言っていることを100%鵜呑みには出来ない。だが、大量破壊兵器発見の事実にしてもCIAはどれだけWMDであると確認できるものが発見されても、それをWMDであると認めたがらなかった事実や、戦争前はあれだけイラクとアルカエダの関係を主張しておきながら、いざブッシュ政権が戦争に踏み込むと、突然関係は無かったと言い出したり、国家機密を漏洩したりしてブッシュ政権に何かと逆らった事実を考慮に入れると、フェイス氏の言っていることはまんざら嘘ではないと思えるのである。
パウエル国務長官とラムスフェルド防衛長官が意見が合わなかったのはよく知られていることではあるが、ラムスフェルドの方がパウエルよりも用心深かったという事実は読者の皆様には意外なのではないだろうか。私は当時からの様子をかなり詳しく追ってきているので、ラムスフェルドの用心深さについては多少の知識があったからつもりだが、この事実は非常に興味深い。
ブッシュ大統領の一番の欠点は主流メディアが意図的に流した間違った情報を但ちに正そうとしなかったこと。CIAや国務省がなにかとブッシュ政権の政策を阻止しようとしたことにういて徹底的に抗議し制裁しなかったことだ。イラクでいくらも発見されたWMDについて、CIAの判断は間違っていると主張せずに、ブッシュ大統領は正しいと信じていたイラク戦争支持者を落胆さえたことだ。いくらブッシュ政権の政策が正しいと信じていた支持者でもブッシュ自身が弁護できない立場をいつまでも我々だけで弁護していくのは難しい。どこかでブッシュが後押しをしてくれなければ我々はどうすればいいのだ?
フェイス氏の著書が主流メディアのどこでも評論として取り上げないことでもわかるように、アメリカ左巻きメディアは徹底的に共和党政権を敵にまわしている。マケインはブッシュのこの間違いから学んで、徹底的に主流メディアの情報操作と立ち向かってほしいものだ。


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失言を今更引っ込められず苦悩するバラク・オバマ

この間のブッシュ大統領のあてつけ演説以来、バラク・オバマの譲歩政策が何かと取り沙汰されている。主流メディアはブッシュが名指しでオバマを批判した訳でもないのに、こぞってブッシュがイスラエル建国60周年の場を悪用して汚い政治活動をしたと批判的だ。
しかしこの間も書いたように、オバマにしても主流メディアにしても、ブッシュの演説がオバマへの当てつけだと大騒ぎしたことがかえって逆効果となっている。何故ならこれまでオバマの譲歩外交政策などほとんど知らなかった有権者までが突然オバマの外交政策に興味をもってしまったからだ。
オバマは今年2月の民主党討論会で司会者の「敵国のリーダー達と無条件で会合するか」という質問に「します!」と断言してしまった時、これが後になって自分の外交政策としてまつわりついてくるとは思いも寄らなかったのだろう。同時に敵国のリーダーとやたらに会合などして相手に不必要な正当性を与えるべきではないとしたヒラリー・クリントンやジョン・エドワーズの反論にもオバマは沈黙していた。
その事実をブッシュ大統領や共和党候補者のジョン・マケインに批判されて、バラク・オバマは今更あれは言葉の彩でとか、討論の熱気に押されてとか言い訳が効かなくなってしまった。それで単なる失言から始まったバラク・オバマの外交政策は今やオバマ政策として形を固めようとしている。
チャールズ・クラウトハンマーの鋭い分析から読んでみよう。

大統領は敵と会見すべきだろうか? そういう場合もあるだろう。だがそれはアメリカの目的の最小限を満たしてからという条件付きである。上海条約はリチャード・ニクソンが中国訪問するずっと以前にほとんどが書かれていた。だがオバマはニクソンが中国訪問したという事実が自分の一年生独裁政権訪問を正当化する理由になると考えているのだ。

世界で一番の有力者であるアメリカの大統領はやたらに敵国のリーダーと会見したりしない。その理由はそんなことをすれば何の利益もないどころか、かえって敵国のリーダーに指導者としてのステータスを与えてしまうからで、それを口実にこれまで敵国を避けていた諸外国が正式な貿易を始めたりする可能性があるからである。
それにジョン・F・ケネディのソ連書記長との会見が証明するように無条件で敵のリーダーと会ったりすれば相手にこちらの弱さを暴露してしまう危険性もある。
無論正式に会合しないからといって、アメリカが敵国と全くなんの交流も無いのかと言えばそんなことがあるはずはない。オバマがその事実を全く知らないはずはなく、それを無視してブッシュ政権がシリアやイランと正式な会合を開かない政策をカウボーイ外交などといって批判するのは不誠実このうえない。しかしクラウトハンマー氏はオバマの不誠実を批判する前にオバマの無知さ加減に呆れている。

オバマはフランク・ルーズベルトとハリー・トゥルーマんが敵と会ったと主張する。オバマは歴史を知らないのだろうか?ルーズベルトもトゥルーマンも日独伊枢軸の指導者と会ったことはない。オバマはルーズベルトとスターリンがヤルタ会議で合った写真やトゥルーマンとスターリンのポツダム宣言の話をしている様子を語っているのかもしれない。だがオバマはスターリン(のソ連が)が(第二次世界大戦)戦時中同盟国だったことをしらないのだろうか?

その後に起きた冷戦中、トゥルーマンは一度もスターリンや毛沢東や金日成とも会ったことはない。トゥルーマンは愚か者ではなかった。

オバマはさらにジョン・F・ケネディが当時のソ連共産党書記長のニキタ・クルシュチェフと会見したことを無条件で会見した成功例として上げているが、アメリカの歴史家の間では、このウィーン会見は経験不足の大統領の生んだ悲劇的な歴史的事実として考えられている悪名高い例なのである。大統領になって数ヶ月の経験不足の若いケネディ大統領が全く下調べも根回しもせずに無条件で経験豊富な古狸ソ連のクルシュチェフと会った会合で、九種チェフ古狸はケネディの弱さを見抜いた。これが数ヶ月後のキューバ危機を招いたことはいまや歴史上の事実として知らない歴史家はいない。(オバマは知らないようだが。)
外国との首脳会議では意味のある結果が期待される。会ってなんの効果も得られないような会議は害あって益なしである。だからこそ首脳会議には下準備や条件合意が必要なのであり、それ以外のやり方は愚弄とした言いようがない。
アクマディネジャドと無条件で会見してオバマはいったどんな結果を期待しているのだ?イランが核開発を止めることか?イランによるレバノン介入の停止か?イランのイスラエル攻撃をあきらめることか?アホちゃうか?
バラク・オバマは政治家一年生だけでなくその一年ですら落第生だ。何にもしらない愚か者だ。こんな無知蒙昧な馬鹿を大統領に選んだら、アメリカはおしまいだ。
カカシはヒラリーおばさんだけは勘弁して欲しいと何年も言い続けてきたが、バラク・オバマの愚か者に大統領を任せるぐらいなら、ヒラリーおばさんにやってもらった方がよっぽどもましである。少なくともヒラリーは無条件で敵国の指導者に媚を売るような玉じゃない。
オバマに比べたらヒラリーの方がよっぽど金玉じゃなかった肝っ玉のある女性だ!


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レバノン紛争、ヒズボラ勝利の意味

これは全くうれしくないニュースだが、この間からレバノン政府のヒズボラ対策に武力抵抗をしていたヒズボラに対して、本日レバノン政府は完全に折れてヒズボラの要求を100%受け入れることで、ヒズボラに矛を収めてもらうという無様な結果になってしまった。
ヒズボラは言わずとしれたシリアの先鋭部隊。レバノン政府がヒズボラを鎮圧できなかったということは、今後レバノンは再びシリアの属国と成り下がってしまうということだ。シリアの後ろにはイスラエルを臭い屍と呼んではばからないイランがいる。レバノンを拠点に再びイスラエルへの侵略戦争が起きるのは時間の問題だ。
アメリカの主流メディアはレバノン政府があたかもアメリカに後押しされているかのように報道していたが、もしそれが事実であればヒズボラがレバノンで勝利を遂げるなどということはあり得なかった。
よくアメリカはやたらに外国の政策に口や手を出すという人がある。テロの原因はそういう傲慢で押し付けがましいアメリカにあるのだという人が後を絶たない。だが現実はその逆なのである。
ラムスフェルド前国防長官が戦争好きだのなんだのと批判されたが、実はラムスフェルドほどアメリカの外国への軍事介入を嫌ったひとも居ない。イラクへの侵攻が驚くほど少ない数の軍隊で行われたのも、主な戦闘後のイラク駐留軍の数が増派されなかったのも、ラムスフェルド長官の「小さな足跡」政策の賜物だ。だが今となってはラムスフェルド長官の消極的なやり方はテロリスト相手には逆効果であることが明らかになった。
アメリカが口を出さなければテロリストたちはいくらでも自分らの勝手気ままな行動を取り、地元政府は手足も出ない。アフガニスタンをタリバンが追われたのも、イラクからアルカイダが追放されたのも、そこにはアメリカがいたからだ。その奴らがパキスタンに落ち着いたのは、アメリカがパキスタンのムシャラフ政権に遠慮してパキスタン国内にはびこるテロリストに手をださなかったからだ。
レバノンのヒズボラにしてもそうである。レバノン政権は民主主義の選挙によって選ばれた政権である。アメリカがどうのこうのと言えた義理は全くないし責任もない。だがアメリカが黙っているとこの有様だ。国連など最初から当てにならないし、結局テロリスト退治にはミスターアメリカという英雄が登場しなければお話にならないのだ。
実は数日前レバノン紛争が始まった時、ブッシュ政権はこの情勢に介入すべきかどうか緊急会議を開いた。その時アメリカや国連が即座に介入しなかった場合レバノンはどういう状態になるのかたが討論されたのだが、はっきりした方針を決定することができなかった。これはブッシュ政権はこれまでもそうであったように国務庁と政権との間で合意を得ることが出来なかったからだ。
カカシはアメリカはもっと自分勝手になるべきだとう思う。自国の利益を最優先にし、アメリカの安全を脅かす諸外国には徹底的に圧力をかけ、アメリカに有利な同盟国には徹底的な軍事援助をすべきなのだ。アメリカは国際社会で好かれる必要などない。恐れられるか尊敬されるかそのどちらかしかないのだ。
アメリカが嫌われるのがアメリカが強いせいだというのならそれで良い。それで世界平和が保てるならそれに超したことは無い。


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仏テレビやらせ報道訴訟:被告側逆転勝利!

本日2000年に起きたフランスの国営テレビ局フランセ2によるパレスチナ少年殺害やらせ映像を暴露したフィリップ・カーセンティ記者が、テレビ局から名誉毀損で訴えられていた訴訟で、第一判を覆して逆転勝利となった。
一応背景をもう一度ご説明しておこう。まず仏テレビやらせ映像を指摘され訴訟起こすに載せた一連の写真をみていただきたい。

dura1

2000年、第二インティファーダが始まったばかりの頃、ジャマールとモハメッドのアルドゥーラ親子はイスラエル兵軍に抵抗すべく投石攻撃に参加した。しかし親子はすぐにパレスチナ戦闘員とイスラエル軍との撃ち合いの真ん中に挟まってしまった。

父親はとっさに物陰にかくれて息子を守ろうとイスラエル兵に向けて武器を持っていないことを示すように必死に手を振る。それが最初の写真だ。しかし攻撃が止まないので父親は自分の体で子供を守ろうとする。それが二枚目の写真。

三枚目ではなぜか父親はカメラを直視しているが、四枚目でピント外れがあったと思うと五枚目の写真では二人とも撃たれてぐったりしている姿がある。この攻撃で父親は重傷を負い、息子のジャマール君は即死した、、、
というのが最初にこの映像を放映したフランス国営テレビ局チャンネル2の話だった。この映像が報道されたとたん、イスラエル軍は武器をもたない親子を冷血に惨殺したという批判が世界中にひろまり、イスラエルへのテロ攻撃が激増した。いわゆる第2インティファーダ激化のきっかけとなった。ところが後になってこの映像がやらせだったことが判明した。

このやらせを暴露したフィリップ・カーセンティ氏はテレビ局のプロデューサーから名誉毀損で訴えられ、2006年9月の裁判では原告側が勝利していた。その訴訟の詳細は下記のエントリーで紹介した通りである。
仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その1
仏テレビやらせ報道訴訟:経過報告 その2
問題だったのは、フランセ2はフランスの国営テレビであることから、国営テレビのやらせ報道を暴露した記者が名誉毀損で訴えられ有罪になったということは、フランスには言論の自由がないということになる。
今回はこの判定を控訴していたものだが、名誉毀損の事実はなかったとの判定がでたことは非常に喜ばしいことだ。
しかし上記のやらせ報道のおかげで、インティファーダが起き、何万人という人々が双方で殺されたことを考えると、フランセ2の責任は重い。

今日は時間がないので一応アップデートのみ。週末に詳しい分析をしたいと思う。


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過激派イスラム教徒に蝕まれる英国警察

先日放送協会へ訴えられていた英国のチャンネル4制作部は、訴えが棄却され、訴えていた英国警察側が制作部に謝罪と慰謝料を要求されるという出来事があった。
訴えられていたのはチャンネル4で、英国内の聖廟における暴力的なお説教を暴露したドキュメンタリー「Undercover Mosque(聖廟覆面捜査)」の制作部のメンバー達で、訴えていたのは聖廟のある地元警察の、 ウエストミッドランド警察と検察庁(West Midlands Police and the Crown Prosecution Service)だ。
このドキュメンタリーでは、ある聖廟では聖教師たちが同性愛者やイギリス兵を殺す話や非イスラエル教徒への暴力などを訴えている姿がありありと隠しカメラで撮られていた。警察は暴力を促進している聖廟の関係者を摘発するどころか、反対にその事実を暴露したテレビ局を訴えたのである。原告側のいい分は偏向した編集によって地元の平和を乱そうとしたというもの。まったく話が逆さまではないか。ま、イスラム教暴力団の悪行を暴いたブロガーを逮捕するような国だから不思議でもなんでもないが。
英国ではOfcomと呼ばれる放送業界を監視する審議会のようなものがあるようで、今回Ofcomは原告側の訴えを根拠が全くないものであるとして棄却。さらに原告側に謝罪と慰謝料の支払いを求めた。
以前にも当ブログで、チャンネル4のドキュメンタリーについてや、イギリス警察がイスラム系暴力団への取り締まりに消極的であるという事実はイスラムの横暴に腰抜けなイギリス協会でも紹介している。

イギリスでイスラム教の暴力団が麻薬売買をし未成年の少女たちを売春に追い込んでいるという話は大分前から問題になっている。しかしこうした少女たちの親たちが地元警察に訴えでても警察当局は少数民族の異文化に十分な理解を示していない と責められるのではないかと懸念し、しかもやり過ぎれば人種暴動になりかねないと恐れてイスラムやくざを取り締まろうとしない。

問題なのは今回の事件だけではない。英国の中部や北部のイスラム教移民が多いところでは、地元警察はイスラム教の暴挙をみてみない振りをするのが普通になっているが、最近では警察官のなかにイスラム暴力団メンバーが潜入しているため、家庭内暴力の犠牲となったイスラム教の女性らは警察に被害届を出すのをためらうという。特に警察官がパキスタン系の男性だったら最初から話はしないと言う女性が増えている。パキスタン系の警察官は暴力をふるった男性を取り調べるどころか、かえって夫の暴力から逃げている女性の居所を家族に知らせるというようなことがあるからだという。
女性救済運動をしているあるグループによると、特にウエストミッドランド警察ではこのような傾向が非常に強かったという。
去年紹介されたデイリーメールの記事によると、イギリスの諜報機関MI5の調査で英国内で8人に及ぶ警察官と民間スタッフがアルカエダを含む過激派グループとつながりがあることが疑われている。中にはパキスタンかアフガニスタンのテロリスト訓練キャンプに参加していた者もいるという。にも関わらず、これらの人物はテロリストとして逮捕されるどころか警察を首にもなっていないというのだ。
イギリスでは警察官に少数民族を多く起用しようという方針がここ数年できたらしいが、イギリス在住のイスラム過激派やテロリストがこの方針を多いに利用してイギリス警察内に潜入しつつあるというわけだ。
これじゃ、バスラの警察がシーア派民兵に乗っ取られたのと何ら変わりはないではないか。そういえばバスラはイギリスの管轄で完全崩壊したいい例だった。その後始末を現在マリキのイラク軍及びアメリカ軍がやっているのである。
自国内でこのざまでは、イラクなどうまくいかないのも当たり前だ。しかし、イギリスはいいのか、このままで?


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