アメリカはイラク戦争に勝った、、従軍記者マイケル・ヨンの報告

フリーランスの突撃従軍記者のマイケル・ヨンが「戦争は終わった、我々は勝った」と報告している。
Instapunditよると、バグダッドに駐留中のマイケル・ヨンが電話で、イラクの状況は彼が期待していたよりずっと良くなっていると語ったという。

「まったくなにも起きてない。私(マイケル)は第十山岳師団と一緒にいるが、彼らの約半数が今回の勤務で、ここへ来てから8ヶ月間に一度も武器を撃っていない。しかも我々のいるのは、かつてイラクでも最悪といわれていた南バグダッドなんだ。それが今はなにも起きてない。 私は足が棒になるまで歩き回っているが、全くなにも目撃していない。イラク人に「また暴力がはじまると思うか」と聞いて回っているが、いつも悲観的なイラクのジャーナリストたちですら楽観的な見解を示している。」

もちろんまだ多少のいざこざはあちこちで起きている。だが、全体の治安を脅かすほどではない。しかもイラク軍のみならず、以前はかなり評判の悪かったイラク警察ですら国民から信用を得るようになったという。アメリカ軍によって受けた訓練がやっと見返りをみたらしい。

「アフガニスタンの状況は悪いが、イラクにおいてはこんなに良くなるとは信じられないよ。」

とマイケルは語っている。皮肉なことではあるが、次期大統領のオバマは希望通りアメリカ軍をイラクから撤退させることが出来るだろう。実際にイラク戦争に勝ったのはペトラエウス将軍のCOIN(対抵抗軍作戦)を起用したブッシュ大統領なのだが、オバマ支持者たちはオバマこそがイラク戦争を終わらせたと歴史を書き換えるに違いない。
だが、カカシ個人としては、オバマが大統領になる前にブッシュ大統領が始めたイラク戦争にブッシュ大統領がケリをつけてくれたことに感謝している。もしもイラク戦争が途中のままオバマが大統領になっていれば、イラクがどんな悲劇的なことになってしまったか、そのためにアメリカがどれだけの危険にさらされたか、考えただけでも恐ろしいからだ。
イラク戦争は終わった。アメリカはイラク戦争に勝ったのだ。
カカシがイラク戦争が始まった当時から言い続けて来たことがある。それは、

『テロリストは殺せ! 正義は勝つ!』

少なくともイラクでは正義が勝った。
アップデート:マイク・ロスのブログで増派前と増派後のバグダッド60番街の映像を観ることができる。増派前はひとっこひとり歩いておらず、米軍の戦車だけが走っていた60番街。増派後は乗用車が何台も走り、レストランやウエディングドレスの店やビリヤード店などがあいてにぎわっている。


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オバマ次期大統領が試される時

コメンターの方々も話しておられるように、ブッシュ大統領のおかげでアメリカは世界から嫌われるようになった、オバマが大統領になることでアメリカは再び諸外国から好かれるようになるのではないか、という意見を最近よく聞く。だが、アメリカが国際社会から好かれるということは実際アメリカにとって良いことなのだろうか?
確かにアメリカを嫌う国が減ればアメリカを襲う国が減るという理屈はわからないでもない。だが、アメリカが一番テロの標的になっていたのは国際的にも人気の高かったクリントン大統領の時代であって、世界中から忌み嫌われたとされるブッシュ大統領の時代ではない。確かに911同時多発テロは2001年に起きはしたが、その計画はパパブッシュの時代にさかのぼるし、クリントン大統領が国際的な問題を避けるため、特にとりたてて対テロ政策を立ててこなかったことが大きな原因となっている。
ちなみに、アメリカが世界中から嫌われていたと言われるブッシュ政権の間中、911以後アメリカ国内でテロ事件は一度も起きていないし、諸外国でもアメリカ市民やアメリカ所有物に対するテロ行為は起きなかった。ブッシュ大統領の支持率に無頓着な強硬手段にテロリスト達は恐れをなしたのか、少なくとも警戒を高めたことは確かだろう。つまり、アメリカが嫌われていようとどうしようと、アメリカは恐れられているほうがアメリカの国防にとっては良いことなのだと言えるのではないだろうか?
オバマ次期大統領は一度も試されたことがない。テロリストや諸外国の敵に向かってどう対処するのか全く未知数な人間だ。私がロシアのプーチンや、イランのアフマディネジャドや、北朝鮮の金正日であれば、今こそアメリカに無理難題を吹っかけてオバマ大統領の強さ/弱さを試すであろう。ブッシュ大統領は就任数ヶ月後に911という試練に立ち向かい見事にその強さを見せた。
オバマ次期大統領にはそれが出来るのであろうか?
弱いアメリカを好きな国は案外多いのではないかとカカシは思うのだが、、、


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どれが当たった? 各種世論調査の成績を見る

今回の選挙前に色々な世論調査が発表されたが、各調査によって結果はまちまちで、いったい誰を信用していいのやらさっぱりわからなかった。そこで、今回はどの調査会社が一番正確に世論を反映したか、その結果を分析してみよう。
CNNによると、最終的に人気投票ではオバマ53%、マケイン46%で、これが正しいとすれば、オバマが7点リードで勝利を勝ち取ったことになる。ではこれをもとにして各種の調査結果を 見てみよう。.

調査会社対投票者

支持率の世論調査は差の低いところで3.5%のバトルグラウンド社から、高いところでゾグビーやギャッロップ社の11%とかなり大きな格差があった。そのなかで最終結果に一番近かったのは、CNNとフォックスニュースとイプソスがぴったり7%の差だった。ピューリサーチは最後に6%でかなり最終結果と近かったとはいえ、それまでかなりばらついており、ひどい時には15%なんて時もあった。これはオバマ偏向が行き過ぎていたのを選挙近くなって調整した感がかなりある。
下記の表はミスター苺がまとめてくれたものだが、実際のポイントの違いと間違った割合を表したもの。例えば調査会社が11ポイントと予測した場合、その差の4ポイントの間違った割合は57%といった具合だ。

 

最終世論調査と実際の結果
調査会社 最終オバマリード 調査と実際の結果の差 差の割合
バトルグラウンド 3.5% -3.5 ポイント -50% off
ホットライン 5% -2 ポイント -29% off
ラスマスン 6% -1 -14% off
ピュー 6% -1 -14% off
CNN 7% 直撃 大当たり
Fox News 7% 直撃 大当たり
イプソス 7% 直撃 大当たり
IBD 8% +1 ポイント 14% off
NBC/ウォールストリートジャーナル 8% +1 ポイント 14% off
ABC/ワシントンポスト 9% +2 ポイント 29% off
CBS 9% +2 ポイント 29% off
マリスト 9% +2 ポイント 29% off
ギャロップ 11% +4 ポイント 57% off
ゾグビー 11% +4 ポイント 57% off

 

別に驚くほどのこともないが、マケインは世論調査よりもずっと良い成績を取った。 同時にオバマは調査よりもずっと低い点数での勝利だった。オバマが優勢の結果を発表したうち、ぴったりあたったのは三社のみ。10社のうち7社までがオバマの優勢度を過大評価していた。明らかにこれらの会社は共和党の強さを過小評価していたのである。これでオバマ大優勢と発表した世論調査の多くがかなり現実離れしていたものだったことがはっきりした。
確かにオバマは勝った。だがメディアが言うほどオバマ優勢だったわけではない。マケインが勝つ可能性はメディアの報道以上に高かったのである。これは決してカカシがシニカルだから言うのではない。アメリカのメディアにはこうした世論調査の操作により共和党支持者の熱意を冷まし、投票の場に行かないようにしようという作為があったとカカシは確信する。
私が世論調査を信用しないのはこうした事実に基づくのである。


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土砂崩れ勝利ではなかったオバマの当選

だーんだだだーだだだだだだだあ〜。(葬奏行進曲を歌ってるつもり、、、)
かなり落ち込んでいるカカシの朝である。夕べオハイオがオバマ当選確実になったところですでに結果は見えていたが、本当に残念だ。うちにいてテレビニュースを観ているのも嫌だったので、コーヒーでも飲むかと外へでたら、あきらかなオバマファンたちがすでに町に繰り出してお祭り騒ぎ。スターバックスでは「投票した?投票した人はトールのコーヒーただですよ。」と興奮した顔の若い女が言った。「選挙の話はしたくないわ、でもただコーヒーはもらってく。」とスタバを出たカカシ。
ここ数週間、週末らしい休みを全然もらっていなかったのを口実に本日は休みを取って自宅休養をすることにした。
コメンターのziibra22さんがおっしゃるように、今回の選挙におけるメディアのオバマへの肩入れはリベラル寄りのメディアとはいえ、これまでになくすさまじいものがあった。オバマ一辺倒のプロパガンダ(情報操作)は、政治とは関係ないはずの主婦やファッションや芸能界情報の雑誌やテレビ番組に至るまで、オバマ、オバマで満載されていた。スーパーのレジの横に置いてある雑誌はなにからなにまでオバマやミッシェルの顔だらけ。サタデーナイトライブを始め深夜のコメディ番組やトークショーでおちょくられるのはマケインとペイリンのみ。オバマへの批判は一切なし。それに加えてオバマはアメリカ選挙の歴史始まって以来最高の広告料を使っての選挙運動。メディアが一つの情報しか報道しないことの恐ろしさを改めて感じさせられた。
私と同僚がワイキキのスポーツバーで体験したことや、ziibra22さんがご近所の井戸端会議で体験したようなことは、今後はもっとひどくなるだろう。リベラル連中は単に自分らが共和党バッシングをするだけでは飽き足らず、周りの人間も積極的に共和党バッシングをすることを強制する。それに乗ってこない人たちは村八分。学校、スポーツバー、近所の井戸端会議、職場の休憩室など、政治とは無関係の場所でも言論の自由を迫害しようとするのが最近のアメリカリベラル。反対意見は一切うけいれないのだ。
しかしだ、考えてみれば、これだけ激しい選挙運動をした割にはオバマの勝利はいわゆるランドスライド(土砂崩れ)と言われるような圧倒的な勝利というほどの大勝利ではなかった。ま、小差で勝とうが大差で勝とうが勝ったことに変わりはないのだから、なにを今更負け惜しみを、とお思いになるかもしれないが、大統領選も上下院議員のほうも、圧倒的に民主党が勝ったわけではないということには今後のアメリカ政策には多いに影響があるのである。Power Lineのジョンがその点について指摘している。
オバマは人気投票で52%を獲得し、マケインより5〜6%の差で勝った。しかし土砂崩れ勝利と呼ぶにはほど遠い数字だ。例えばレーガンは1980年に10点、1984年には18点の差で勝っている。ニクソンの1972年の勝利はなんと23点の差だ。パパブッシュの1988年の時でさえ8点の差で勝っている。
マケインに比べてオバマがどれほど有利な立場にあったか考えただけでも気が遠くなる。公共選挙費用のみを使うという公約を破って献金を募ったオバマは大統領選の歴史始まって以来最高の献金を集めた。結果マケインの選挙費用の約二倍の金額をついやしたのである。先ほども述べたようにオバマは芸能界から圧倒的な支持を受け若い世代を魅了し、黒人票のほとんどを集めた。オバマは主流メディアからほぼ100%の支持を受けていた。そしてタイミングよく金融危機が訪れそれをすべて共和党のせいにすることに成功した。
このような信じられない方度の有利な立場に立ちながら、オバマの勝利はたったの5%差という結果だったのだ。
議会選挙にしてもそうである。民主党は共和党よりずっと多くの献金をつぎこんで選挙運動に挑んだ。オバマ人気のお裾分けを得て民主党議員候補らは共和党よりずっと優勢な立場にたっていた。にもかかわらず議会のほうも民主党の土砂崩れ勝利とまではいかなかった。
民主党は上院で5席、下院で20の増員。ま、かなり下院のほうは頑張ったが、これでも絶対多数の2/3には満たないので、民主党だけでなにもかも決めてしまうということは出来ない。
パワーラインのジョンはかなり楽観的な見方をしているが、私は下院の民主党議席20増員はちょっと問題だと思う。民主党はここ数年、選挙の度に議席を増やして来ており、その傾向は全く変わっていない。共和党は次の選挙の二年後までになんとか自分らの方が国をよくすることが出来るということを国民にアピールする必要がある。そうでないと民主党大統領と民主党の議会となってしまうとアメリカは完全にリベラル独裁国になってしまうからだ。
しかしオバマは選挙運動中圧倒的有利な立場に置かれていながら、国民の圧倒的支持を受けたとはいえない。ということはこの次に何か危機が起きた時、オバマに投票しなかった43%を超える国民はオバマの対応を冷静な目で見つめることだろう。今度はリベラルメディアもなにもかも共和党のせいには出来ないのだから。


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いよいよ米大統領選挙、投票始まる! 途中経過発表

出張が予定より長引き、今日の選挙に帰って来れるかどうか心配だったのだが、なんとか日曜日までに仕事を済まして昨日の午後の便でカリフォルニアに帰宅した。先ほど近所のユダヤ教寺院で投票を済ませて来たところ。後は結果をまつばかり。
先日ワイキキのスポーツバーで同僚のDと大学アメフトを見ていた時、Dはフロリダ州から来たという中年夫婦とアメフトの話題で花を咲かせていた。ところがDが何気なく自分の泊まっているホテルではフォックスニュースが入らないと文句をいった途端、中年夫婦の旦那の方が「おお!君は共和党なのか?」と責めるようにDに問いかけた。Dは「ええ、そうですけど、、」と純粋に答えると、中年夫婦はこれまでの親しみ深い態度から一変し、その後の話題もそこそこにフロリダ大学の試合が終わったのを言い訳にさっさとスポーツバーを去ってしまった。「あなた、あの人たちを脅かしちゃったみたいね。」と私が言うと「そうかね」ととぼけた顔のD。
もちろんDはすっとぼけていたが、実際何が起きたのかは明白。最近のリベラルは保守派が我慢ならない。ミスター苺も長年つきあってきた友人と政治の件で意見が別れて絶交された人が何人もいると言っていた。保守派はリベラルの人間をリベラルだというだけで突き放したりはしないが、リベラルの人間は保守派とはつきあいたがらないのが現実。
西海岸18時現在:
出口調査によるとかなりオバマが優勢な模様。でも出口調査というのは不正確なので悪名高い。それにまだ多くの西側の州で投票は続いているので結果が出るのはもっと先の話。ではすでに投票上が閉まった州での途中開票結果をRCPの発表をもとに追ってみよう。選挙は大統領選以外にも上下院や州ごとの法案決議などもある。民主党が多くの議席を獲得し、共和党の否決権を破るだけの多数議席を取った場合、民主党の独裁となる。だから議席数も大統領選と同様、いやそれ以上に重要だと言える。
大統領選に関してはミスター苺の分析によると、マケインはバージニア、オハイオ、フロリダ、コロラド州のすべてで勝たなければ全国勝利の可能性はないという。アメリカは時間帯が東、マウンテン、西、そしてハワイ、アラスカと数時間の差があるので同時に開票結果が出るわけではない。
ジョージア州は開票14%、今のところマケイン63%、オバマ36%。ニューハンプシャー州は今のところオバマ57%、マケイン42%。もともとリベラルな州なのでオバマが勝っても不思議はない。フロリダ州はまだ勝者宣言なし。しかしオバマが53%、マケイン47%でオバマ優勢。フロリダがオバマに傾いたらマケインはかなり危ない。オクラホマ州はマケイン65%、オバマ35%でマケイン勝利確実。マリーランド州は出口調査の結果は発表されてないが多分オバマが取るだろう。ペンシルペニアはオバマ勝利確実。


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前代未聞、オバマの政治広告費は過去最高

昨日のニューヨークタイムスによるとバラク・オバマが使っている広告費は2004年のそれまでの最高記録ブッシュ大統領の広告費を上回り過去最高記録に達し、その広告の量はジョン・マケインの約4倍になるという。
これに加えて主流メディアはオバマべったり。しかもオバマには選挙違反連続で警察沙汰になっているACORNという市民団体がくっついている。このグループは選挙権があろうとなかろうと移民や犯罪者に金を払って選挙登録をさせ、その名前を使って投票権を自分らで埋めて郵送するという違反で何人もそのメンバーが逮捕されている。
オバマはこのグループは自分には関係がないと言い張っているが、オバマはかつてこのグループに所属していたことがあり、しかもこのグループはオバマ選挙運動に多額の献金をしているのである。よくも白々しく自分には関係がないなどと言えたものだ。
しかしこれは元テロリストで全く反省の色を見せない左翼運動家のビル・エアース同様、主流メディアはオバマとの怪しげな関係に全く注目しようとしない。
ところでこの間の討論会の時に、オバマはマケインの広告は100%オバマを攻撃する否定的な内容だと攻めたのに対し、マケインもオバマは歴史的にも最大の数の否定的広告をしていると応戦した。
しかしオバマはこれだけ金をつぎ込み大規模な広告を行っている割にはその支持率のリードはせいぜい4〜5%。メディアの応援もあり、日がな夜がなオバマの宣伝ばかりが波状を占めているというのに、何故オバマはもっと圧倒的に優勢にならないのだろうか。
さて、エントリーが途中だが、あと15分でまた出張に発たねばならないので本日はこの辺で。またネットアクセスが不能になるのでこの先の更新はいつになるかわからないが、出来る限りの頻度で更新したいと思う。


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マケイン圧勝! 鉛管工ジョーが主役になった米大統領候補討論会

この間行われた第三回目で最後の米大統領候補討論会では外交問題よりも現在の金融危機や健康保険、教育問題といった国内政策が主軸となって論じられた。そのなかでも共和党候補のジョン・マケインが持ち出した鉛管工のジョー(Joe Wurzelbacher)という人が意外な主役となったのが興味深かった。

マケイン: オバマ議員は鉛管工ジョーと会話で、我々は富を分配する必要があると締めくくりました。つまりジョーから金を取り上げてオバマ議員に渡し、オバマ議員にその富を分配させろというのです。

マケインがこの男性の名前を持ち出したのは、オバマの増税政策への批判が理由だ。オバマは年収25万ドル以上の『金持ち』の所得税を増税することによって、95%のアメリカ市民の税金を減らすと公約している。これに対してマケインはこの経済低迷の時期に誰の税金も引き上げるべきではないと主張している。マケインにいわせれば年収25万ドルを稼いでいるのは決してオバマの言うような『金持ち』ではない、その例としてオハイオ州でオバマの選挙運動中にオバマに向かって「俺の税金を上げる気か?」と抗議した鉛管工ジョーのように一日12時間以上も働いてやっとの思いで規模拡大が出来るようになった中小企業の人々を罰する政策なのだと指摘したのである。
ここで明らかにしておくが、アメリカ市民の低所得者である40%が所得税を支払っていない。アメリカの所得税の60%以上が上位5%の高所得者によって支払われているのである。95%のアメリカ市民の税金を減税するということは、すでに高額の所得税を払っている高所得者の税金を引き上げて、その金で現在税金を払っていない40%の市民に福祉手当を与えるということになるのだ。
マケインが鉛管工ジョーの名前を持ち出したのも、オバマが増税して罰しようとしているのは決して上位5%という『金持ち』ではなく、ジョーのようなごく普通のビジネスマンなのであり、罪といえば単に一生懸命働いて年収25万ドルをやっと稼げるようになったというだけの中小企業経営者のことを指しているのだということを強調したかったからだ。
オバマをはじめ民主党の連中は何かと中流階級の減税を唱える。だが、年収25万ドルの中流家庭を『金持ち』と指定することによって結果的に中流階級は増税されることになる。年収5万ドルくらいしかもらっていない一般労働者からしてみれば、年収25万ドルといえば非常に多いように感じるが、夫婦共稼ぎで双方重役だったり中小企業の経営者だったりすれば年収25万ドルなどさほどたいした金額ではない。そしてこの中小企業こそがアメリカ経済の基盤を担っているのである。何故成功者を罰するのだ?とマケインは問いかけている。
朝のトークラジオを聴いていたら、ある歯医者さんから電話がかかって来て、自分のオフィスでは9人の従業員がいるが、年収は25万ドルを超えているので、もしオバマの増税政策が実施されれば自分は従業員の昇級を見送らなければならない、健康保険も削らなければならなくなると語っていた。それでなくても経済が低迷している今日、これ以上の増税は企業縮小にもつながる。つまり、リストラである。
自分の年収は5万ドルだから25万ももらっている金持ちが多少苦労したって知ったことかと思うのはあさはかだ。増税は金持ちだけに影響があるのではない。『金持ち』の首が回らなくなれば一番最初に影響を受けるのは『金持ち』に雇われている年収5万程度の一般労働者なのである。
オバマのやりかたは富の再配分という典型的な社会主義だが、この主義は健康保険政策にも現れている。アメリカには日本のような国民保険は存在しない。雇用主による社会保険か個人保険があるのみ。国が経営している保険といったら高齢者を対象としたメディケア、メディケイドといったものくらいだ。アメリカの医療費は世界中でも一番高額で保険を購入できない市民も多い。その対策としてオバマの計画はどのようなものかというと、、、

オバマ:私の政策はこうです。あなたがすでに健康保険を持っているなら何もする必要はありません。 雇用主を通じて健康保険をもっているならその保険を維持し、好きな医師を選び、好きなプランを維持することができます。

私たちがしようとしているのは経費を下げようということです。それによって皆さんの負担を下げることです。一般家庭の保険料を年間平均2500ドルほど下げることが出来ると推定しています。
もしすでに保険を盛っていなければ、マケイン議員や私が公務員として持っているような連邦政府による選択を供給します。これで低い医療費で高質の治療を受け、医師を選ぶことができます。

オバマはすでに保険を持っている人にはオバマの政策は影響を与えないと強調しているがそれは正しくない。オバマの政策では雇用主に対してあらゆる規制を課す。例えば今まで保険の対象になっていなかった美容整形だの性転換手術だのといったものまで含まれる可能性があるのである。そうなれば必然的に雇用主が払う保険料が増え負担が増す。それでもし雇用主が政府の課す無理難題を受け入れることが出来なければ、雇用主は政府から罰金を課せられる。しかしもし罰金の金額が従業員にかかる保険料よりも低かった場合、必然的に企業は従業員の保険を一切止めて罰金(税金)を払うことで済まそうとするだろう。
ということはだ、今会社を通じて社会保険を持っている多くの労働者がオバマ政策のおかげで保険を失い、連邦政府経営の国民保険に無理矢理参加させられるという状況が生じるのである。
これとは対照的にマケインの保険政策は連邦政府から個人に5000ドルの保険料用の税金控除をし、現在のように居住州のなかでしか保険が購入できないという規制をなくして、この5000ドルを使って国中どの州でも自分の好きな保険に入れるようにするというものだ。ここでもまたマケインは鉛管工ジョーの名前を持ち出した。

そこで私の古い友達のジョーですが、ジョー、オバマ議員の政策では、中小企業の経営者で(中略) 我が友よ、君がオバマ議員が強制する保険計画を導入しなければ、オバマ氏は君に罰金を課すのです。

….
へい、ジョー君は金持ちだ、おめでとう。新しくビジネスを購入するために一日10時間から12時間も週七日間働いていた。(オバマ氏に向かって)でもあなたは富を分配したいという。つまりジョーの金を取り上げてあなたがどう使うかを決めようというのです。
でもジョー、君は金持ちだ。おめでとう。いまや君はオバマ議員が強制する保険制度を供給しなければ罰金を課せられる階級に入った。君が自分の家族や子供達や従業員に良いと思う制度を選ぶんじゃなくて、オバマが議員が強制するんだよ。

とまあこんな調子で討論中マケインの攻撃にオバマの防衛という形が続いた。これまでの討論のなかでもマケインは最高の出来だったと思う。
無論主流メディア、特にCNNなどは討論後二時間にしてフォーカスグループとかいう視聴者からアンケートをとって、討論はオバマの圧勝だったなんて意味のない調査結果を発表して世論操作に必死だ。
また今朝になって、オバマ支持者の奴らが鉛管工ジョーの地元へ出かけていてジョーに嫌がらせを始めたという話を聴いた。ミッシェル・モルキンによると、主流メディアはジョーの私生活を洗い始めあら探しをしているという。
問題なのはジョーの私生活ではなくて、ジョーの質問に対してオバマが「富を配分したい」と答えたことにあるのではないか?こういう社会主義まるだしの本音を語ったオバマの言葉にこそ注目すべきである。
マケインがそのことを討論会で何度も指摘したことは非常に効果があったと思う。これがマケインの支持率向上に反映するかどうか、ここ数日の世論調査に注目しよう。


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え? オバマはアメリカ生まれのアメリカ市民じゃない? よって大統領の資格なし!?

アメリカ憲法が規定しているアメリカ大統領になる資格として、年齢が35歳以上、アメリカ市民として生まれ、アメリカに14年以上在住、という三つの条件がある。
アメリカ市民として生まれるというのは、アメリカ生まれでなくてはならないという意味ではない。片方の親がアメリカ市民で出生時にすでにアメリカ市民と認められていれば、生まれた場所がアメリカ国外であっても大統領になる資格はある。
ところが今になって、実はバラク・オバマはアメリカ市民として生まれていない、だから大統領になる資格はないと主張する人物が現れた。フィリップ・バーグというペンシルベニアの弁護士がその人で、ずっと民主党支持で民主党員として地元選挙に立候補したこともあり、民主党関係の委員会で会長を勤めていたこともあるバリバリの民主党員。
このバーグ氏が8月、オバマはアメリカ大統領としての資格をもたないと訴訟を起こした。モロトブ・ミッチェル(Molotov Mitchell)という男性がバーグ氏とのインタビューを10分間のビデオにしてユートゥーブで紹介している。(American Thinker より
バーグ氏によるとケニア人であるオバマの父方の祖母が、オバマが生まれた1961年にケニアで生まれた時に立ち会っていたと誇らしげに触れ回っているという。ところがオバマの異母姉はオバマはハワイのある病院で生まれたと証言しているが、オバマ自身は別の病院で生まれたと語っているという。

「私は時々犯罪者を弁護しますが、真実を述べていれば話はすべて同じですが、嘘をつくと話がばらばらになってしまいます。これらの証言からオバマはアメリカ生まれではないと考えられます。」

しかしオバマが実際にケニアで生まれていようとアメリカで生まれていようと問題ではないとバーグ氏は語る。何故ならばケニア人の夫と離婚したオバマのアメリカ人の母親がインドネシア人と再婚してインドネシアに移住した時点で、オバマはアメリカ市民権を放棄しているからだとバーグ氏は言うのである。
その証拠として、オバマがインドネシアに住んでいた4年間、オバマは学校に通っていたと自叙伝に書いているが、当時のインドネシアではインドネシア市民以外は教育を受けることが出来なかったという。ということはオバマのまま父はオバマを養子として迎えるか実子として認知するかしなければならなかったはずだ。となればオバマはその時点でインドネシア市民となったことになる。当時のインドネシアでは二重国籍は認められなかったのでオバマがインドネシア市民となるためにはアメリカ市民権を放棄しなければならなかったはずなのである。
後にオバマがアメリカに帰って来た時に移民局を通して再び市民権を取ったとしても、それは外国人がアメリカに帰化したことになり、帰化人は大統領としての資格はもたない。たとえ生まれた時にはアメリカ市民でも市民権を放棄して後に帰化した場合はアメリカ生まれのアメリカ市民としては認められないはずだというのがバーグ氏の理屈だ。
オバマはこの件について書類手続き上の問題だとして取り合っていない。バーグは法律上オバマには書類を提供しないまま訴訟却下の申し入れをする権利があるのだという。
しかし訴訟上の手続きがどうあれ、こういうくだらない言いがかりを即座に解消してしまうには出生届と生まれた病院での記録をさっさと公開してしまえば話は済むことである。
現に数ヶ月前、ジョン・マケインは父親が軍人で海外勤務の時にパナマで生まれていることから、マケインは大統領になる資格がないのではないかという疑問が取りざたされた時、即座に出生届と病院の記録を公開し、必要とあればどのような書類も公開すると宣言した。(だいたい現役の軍人が国家のために海外で働いている時に生まれた子供がアメリカ人ではないなどという理不尽な理屈がまかり通ったら、それこそ革命がおきてしまうだろう。)
隠すことがなければこういう行動が当然のはずである。ではどうしてオバマはそれをやらないのだ? さっさと公開して「こういうくだらないことで私の時間を無駄にしないでもらいたいね。」とやればいいではないか?
私個人としては、生まれた時点でアメリカ市民でなくても、ずっとアメリカ市民として生きて来た人間なら大統領になってもかまわないと思う。だが、帰化した人間でも大統領の資格があるというのであれば、他にオバマより有能な元外国人がいくらでもいるはずだ。大統領となる法律上の資格を変えるのであれば、きちんと憲法改正をやってからでなくては認められない。
オバマが現在の憲法の元で大統領として立候補した以上、法律上合法にその資格があることをはっきり提示するべきである。それがオバマを支持している有権者への責任というものだろう。
当然ながら、マケインの市民権の問題では大げさに取りざたした主流メディアはオバマの件については全くの沈黙を守っている。


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不規則な書き込みが続いてすいません!

カカシが出張が多いということは読者の皆さまはよくご存知のことですが、9月にパソコンが壊れて以来、出先での書き込みはネットカフェに頼るしかありません。でもアメリカなんで日本語に言語変換が出来るコンピューターのあるところが限られていることや、ネットカフェって意外と値段が張るということなどもあって思うように頻繁に書き込みが出来ません。読者の皆様にご迷惑をおかけしていることを深くお詫びもうしあげます。
今年はカカシはホノルルとロサンゼルスを行ったり来たりで終わりそうです。自宅に居る時はなるべく毎日書き込みたいと思っていますが、なにせたまに帰宅すると私生活のほうでもたまっていることがたくさんあって大変です。
どうぞ皆様ご辛抱のほどを!


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副大統領討論会、ペイりン強さ見せる!

ジョン・マケインの支持率が下がっているなか、ミスターイチゴはこの間、マケインが勝つ可能性を少しでも保とうというなら、ふたつのことが起きなければならないと語っていた。第一に木曜日の副大統領弁論会で共和党副大統領候補のサラ・ペイリンが圧倒的な勝利を得ること。これはただ間違いを犯さない無難な演技なんてものでは絶対にだめで、民主党のジョー・バイドンに対して誰の期待も大幅に上回るパフォーマンスでなければ駄目だ。そして二つ目は、下院で審議されている経済安定法案が民主共和の同意を得て通ること。
どうやらこの二つとも実現したようだ。討論会の翌日の金曜日、
安定法案は通過した。

【ワシントン=西崎香】米議会下院は3日、最大7千億ドル(約75兆円)の不良資産買い取り制度などを柱にした「緊急経済安定化法案」(金融救済法案)を賛成263―反対171で可決した。ブッシュ大統領は同日署名し、成立させた。米国発の金融恐慌を回避する枠組みはできたが、金融危機の収束にはなお時間がかかりそうだ。

….法案は、相次ぐ金融破綻(はたん)で混乱した市場を鎮める緊急対策として打ち出されたが、先月29日の下院で国民負担増を警戒する強い反対にあい、23票差で否決されていた。再審議の可決をめざし、ブッシュ政権と議会指導部は総額1100億ドル(約12兆円)の減税などを追加。景気対策の色彩を強めた結果、それぞれ民主党から32人、共和党から26人の計58人が賛成に回った。同じ法案はすでに上院が1日に可決させている。
……易な救済との印象を薄め、国民負担増を食い止めるために(1)救済する企業から株式を得る権利をもらい、株価が上がった時に売って利益を得る(2)救済する企業の経営陣の報酬を抑える(3)住宅ローンの焦げ付きを防ぐため、政府が保証する低金利ローンへの借り換えを加速させる、なども盛り込んだ。

木曜日の討論会はかなり見甲斐のあるものだった。英語のトランスクリプトはこちら。
ペイリンのテレビから受ける印象は非常に良かった。彼女は輝いていたし明るい感じで言葉には自信が伺え、やり手のイメージをかもし出した。ペイリンはカメラを直接見て話たため、アメリカ国民に直接話しかけている印象を与えた。バイドンの方が点数で買ったという評論家もいるが、討論の点数稼ぎで勝っても選挙に勝たなければ意味はない。点数だけで勝てるなら、ニクソンはケネディに勝っていたはずだが、テレビ写りのいいケネディにニクソンはかなわなかった。不公平かもしれないが、このテレビ時代これは仕方ない。ペイリンが美人なのも得をしている。
しかし私はバイドンが点数でも勝ったとは思わない。ペイリンはしっかり自分の立ち場をまもったように思う。では前置きはこのへんにして討論の内容について吟味してみよう。
経済:
最初の質問はいわずと知れた経済安定法案について。討論直前に法案がお流れになってしまったばかりだったので、これはアメリカの政治に悪い面か良い面を示すものかという質問だった。
ジョー・バイドンはまずブッシュ政権を批判することからはじめた。

これは過去8年にわたる経済政策がいかに最悪のものであったかという証拠です。その結果が今回にみるウォールストリートの状態です。

バイドンはブッシュ政権のディレギュレーション、つまり規制の緩和と連邦政府による管理不行き届きが今回の株暴落の原因だとしているが、こういうところに彼がいかにリベラルな政治家であるかということが出てくる。元はといえば、政府が市場に関与しすぎたことが原因で今回の問題が起きたのである。政府が邪魔をせずに自由市場に任せておけばこんなことにはならなかったのだ。それもすべて民主党が始めたCRAに端を発し、問題を解決しようとしてきた共和党をことあるごとに邪魔してきたのも、金融企業から賄賂をもらって悪い住宅ローンが株式市場に流れるのを見てみぬふりをしてきたのも民主党だ。いまさら管理不行き届きをブッシュ政権のせいにしないでほしいね。
ま、それはともかく、バラク・オバマには計画がある。

まず最初にオバマは(政府による)管理が必要だと語っています。財務省長官のために誰かがチェックすることができなければ空小切手は書かないことです。

二つ目に、家を持つ人々や一般の市民に目を向けることです。
三つ目に彼はこの場合、納税者を投資者のように扱うべきだと言っています。
そして最後にこの法案によって(企業の)社長などが利益を得ないようにすることです。なぜなら長期的にみてこの法案で金儲けをする人がかならず出てくるからです。
われわれは中流階級に注目する必要があります。なぜなら中流が育っていれば経済がそだち、みんながよくなるからです。金持ちや大企業ばかりに目をやっていてはいけません。….

まったく民主党の典型的なやり方だ。中流階級対「金持ちや大企業」。こうやって無理矢理アメリカ国内で階級同士に敵対心をもたせようというわけだ。しかし大企業が多くの納税者を雇ってくれるのではないのか? 上位10%の金持ちや大企業が80%のアメリカ経済を支えているという話を以前にきいたことがある。リベラルは金持ちや大企業の税金を上げさえすれば国家収入が上がると勘違いしているが、そんなことをすれば企業はどんどん海外に出て行き、アメリカ国民の多くが職をうしない、税金は入ってくる税金も大幅に減るのだということがオバマやバイドンにはわからないのだろうか?
サラ・ペイリンの答えはまず自分が中流階級のサッカーママであるとして、中流階級の苦しみは自分には良く分かると語った。しかし驚いたことに視聴者の反応を調べていた分析者の話ではここが反応が一番低い部分だったという。どうやら納税者は自分たちに同情してくれる政治家ではなく、結果を出せる政治家を求めているようだ。
しかし後半のペイリンの答えはマケインはブッシュ政権とは違うということを強調した。

幸いなことにジョン・マケインは改革を代表する者です。覚えておられるでしょうか、二年前、ファニー・メイとフレディー・マックの改革の必要性を押していたのは誰あろうジョン・マケ印です。警鐘を鳴らしていたのは彼だったのです。

しかし、過去一週間のマケインの党を越境した両党協力の努力によって、議会ではやっと議員たちがマケインの言葉に耳をかたむけつつあるとペイリンは語った。妥協案が通ればそれはマケインの努力の賜物である。ここで注意すべき言葉は「変革」そして「両党協力」。過去にはマケインが何かと党を越境して民主党と協力しあうやりかたは、ばりばりの保守派たちを怒らせ、リベラルなメディアを喜ばせた。しかしペイリンはマケインのこの実績をとって、マケインには意見の違うものを集めて法案を通してきた実績があるが、バラク・オバマは民主党の路線から脱線したことは一度もないと語った。つまり、本当の変革者はマケインなのでありオバマではないと主張してるわけだ。
バイドンは両党のギャップを埋めるにはどうしたらいいかという質問は一辺倒の言葉で流し、マケインが数週間前に言ったアメリカ経済は根本的に(安定性が)強いというコメントを批判した。バラク・オバマの選挙陣営はこの発言によってマケインが国民の苦しみを理解していないという汚い選挙宣伝をやっているのを受けての発言である。しかしペイリンはこの間違いを正した。

ジョン・マケインが経済は根本的に強いといったのはアメリカの労働者のことを言っていたのです。アメリカの労働者は世界中でもっとも偉大であり、創造力があり、労働倫理には根強いものがあります。

ペイリン技あり!ペイリンはバイドンこそアメリカの労働者のことが理解できていないと指摘したわけだ。ペイリンはさらに自分の市長として、後に知事として改革した実績をリストアップ。一匹狼といわれてきたマケイン同様、自分も変革者であると強調した。
サブプライムローンについてのペイリンの答えは批評家の間でもかなり良く受け止められた。

われわれは投資を扱っている組織を連邦政府が厳しく監視することを確かめなければなりません。そしてわれわれは借金をしないようにしなければなりません。私たちの両親が私たちがまだ最初のクレジットカードを持つ前に言ってくれたように、不相応な生活をしないことが大事です。私たち個人がそれぞれ責任をもたなければなりません。経済がこのようになったのはアメリカ国民のせいではありません。しかしこれは私たちが色々と教訓にする良い機会です。そして二度と私たちは利用されてはなりません。

税金についてもペイリンは攻撃をやめなかった。さすがバラクーダとあだ名があるだけあって、噛み付いたら話さない勢いをみせていた。ペイリンはオバマが増税案に94回も投票していることを指摘。そしてバイドンが提案した年収25万ドル以上の人の税金を上げるというやり方はアメリカ社会の根源となっている中小企業を傷つけるものだと批判。そして「所得再分配」という非常に強い言葉をつかってオバマ&バイドンは社会主義的だとした。しかもバイドンは過去に増税を愛国的だと言ったことについても下記のように批判。

タッド(夫の名前)と私が住む中流社会のアメリカでは、(増税)は愛国的でなどありません。愛国的なのは政府よ、お前はいつも解決策とは限らない。いやはっきり言って問題であることのほうが多い。家族に課する税金を減らして民間企業や一般家庭が富めるようにしてくれというものです。

面白かったのは、バイドンがなにかとマケインは石油会社などの大企業の味方だという言い方をしはじめると、決まってペイリンが自分が石油産出州の知事として石油会社と政治家の癒着と戦って改革を実現したのは自分だと反撃してきたことだ。それでバイドンのマケインへのこの手の攻撃は常に裏目に出てしまった。
というわけで経済に関して、ペイリンはマケイン&ペイリンこそが変革者なのであり、オバマとバイドンはこれまでどおりの増税第一のリベラル政治家であることを印象付けることに成功した。
外交:
イラク戦争についてもペイリンの攻撃は続いた。ペイリンはオバマは戦争に反対しただけでなく、反対しないと公約していたにもかかわらず、戦争に必要な経費の予算案にも反対したこと指摘。 これについて当時真っ先に批判したのは誰あろうジョー・バイドンであること。オバマが政治的な圧力に負けて公約を破ったことや、バイドンがオバマは大統領に適していないと語ったことなども持ち出した。
自分の言葉をつかっての攻撃にバイドンはマケインも戦争の予算案には反対票を投じていると指摘した。しかしこれはマケインは別の予算案を支持していたから民主党の規制だらけの予算案に反対したというにすぎない。こういう批判は非常に不誠実だ。ま、民主党だから当たり前だが。
バイドンの息子はイラクに派遣されたこともあり、ペイリンも息子はいまイラクへ向かっている。だからイラク戦争は二人にとっては個人的にも非常にだいじなことである。しかしバイドンとちがってペイリンには根性があると私は思った。ペイリンはオバマの撤退計画を「白旗の降参だ」と批判した。

あなたがたの計画はイラクにおいて白旗の降参です。わが軍が本日聞かなければならない言葉ではありません。そしてそれはわが国民が頼りにすべきことではありません。あなたがたは増派に反対しました。増派は成功しました。バラク・オバマはいまだにそれを認めることさえできないでいます。

バイドンはブッシュ政権のイラクにおける失態を何べんも繰り返した。バイドンはそうすることでイラクの失態があたかもマケインの失態であるかのように思わせたいようだった。しかしこのやり方はばかげている。マケインは常に元防衛長官のラムスフェルドのやり方には批判的だった。マケインは最初からもっと多くの軍隊を起動しなければ駄目だと抵抗戦力が問題になる前から口をすっぱくして唱えていたkらだ。
バイドンはオバマが過去に何度も繰り返したように、ジョン・マケインは対テロ戦争の焦点をイラクにあてているが、これは間違いだと強調した。テロリストはアフガニスタンやパキスタンなどよその国にいるのだと。
これに対しペイリンは優しい笑顔をうかべながら、イラクが戦争の焦点であると語ったのはペトラエウス将軍とアルカイダだと指摘。また、ジョン・マケインはブッシュ大統領とは違うこと、バイデンが過去ばかり見て未来を見ようとしないと語った。戦略を変える増派を押していたのはマケインだ。ここでもペイリンはマケインこそが変革者なのだと主張することを忘れなかった。
イランについてはペイリンはオバマが条件抜きでイランの大統領と会談をすると言ったことについて、これはナイーブを通り越して判断力に欠けると激しく非難。そこで司会者は外交は大切ではないのか質問した。
ジョン・マケインが条件抜きでの会談はしないと言っているのは、まったく敵国との交渉を行わないという意味ではない。色々なレベルでの交渉は無論行われなければならない。そうしなければどうやってマケインのいう「条件」を設立することができるのだ?これにもペイリンは非常に良い答えを出した。
自分は数日前にニクソン時代の国務省庁官であるキッシンジャー長官と外交の大切さを語り合ったとした後で、アメリカを嫌っている独裁者と条件抜きで差し出向き合うなど正気の沙汰ではない(とまではいってないか、、、)。これは判断力が悪いだけでなく危険だと語った。
このキッシンジャー長官云々というのは、先の大統領討論会でオバマがやたらとキッシンジャー長官の言葉を持ち出してきて、長官も条件抜きで独裁者と向き合うべきだと語ったと大嘘をついたことへのジャブである。明らかにオバマはキッシンジャー長官とは面識がないが、マケインは長官とは35年来のつきあいだし、ペイリンも個人的に長官を知っているようだ。
で、討論の結果は?
全体的にみてペイリンはすばらしかったと思う。冒頭に書いたように、マケインが今回の選挙で勝つ可能性を多少でも保つためには、1)ペイリンが期待以上のパフォーマンスをすること、2)下院で経済安定法案が通過すること、だ。私はこの二つとも実現したと思う。しかしこれが実際にマケイン&ペイリンの支持率を上げることになるかどうか、それは数日後の世論調査をみるまでは分からない。
私は支持率はあがると思う。大統領討論会といい副大統領討論会といい、民主党候補の話を聞いていて、やつらが政権を握ったときのことを考えたら背筋が寒くなる思いだ。
本日は10分間で1ドルという馬鹿高いインターネットカフェから書いてるので、推敲に時間を要せない。間違いだらけのエントリーになっていたらぜひご勘弁のほどを。


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