先週はマケインによる激しい攻撃を防ぐのに必死なオバマは、マケインのネガチブな選挙運動は本質的に大事な問題から話題をそらすのが目的だと何度も批難した。
ところが、実際にマケインが、では大事な問題を討論しようではないかと10回に渡る討論会を提案したが、オバマは完全に逃げでマケインの提案を頭から拒絶した。
討論会のやり方や回数については、共和党と民主党の候補がほぼ確定した今年の6月上旬から二人の間で意見が割れていた
民主党候補のオバマはリベラルなメディアの放送局から選ばれた司会者によってそれぞれの候補者が時間制限内で答え、それに対して相手側が反論をするという形を好んだ。これで選挙委員会が決めている三回に二回足して合計五回の討論会を開こうと提案した。
オバマがこういう形式を好む理由は明白だ。オバマは台本どおり舞台稽古をした討論会ならイメージ通りに演技をすることが出来る。主流メディアの司会者なら民主党のオバマに対して厳しい質問をしたりはしない。格好つけて意味のない返答をしても突っ込まれる心配は全くない。
それに対してマケインは、プロの司会者ではなく一般の有権者が自由に質問できる有権者参加のタウンホールミーティングの形で選挙委員会が取り決めている正式な三回の討論会の他に十回足そうと提案した。台本がなく、リハーサルをしていないと頓珍漢な答えをしてしまうオバマに対し、台本なしのぶっつけ本番が得意なマケインとの対照的な好みがここで現れたわけだ。
昨日、オバマはマケインが提案した十回に渡るリンカーン対ダグラス風のタウンホールミーティング形式討論会を正式に拒否した。これでオバマは選挙委員会が決めている最低限の司会者を立てた三回の討論に合意するのみとなった。
おもしろいのは、この討論会を巡って、これまで結構オバマ支持だった主流メディアの報道の仕方が多少変わって来たことである。普通討論会を求めるのは不利な立場にある候補者と相場は決まっている。勝っている人間がわざわざ討論などする必要はないからだ。だから支持率で勝っている方が度重なる討論会など無駄だと判断したとしても決しておかしくはない。にもかかわらず、主流メディアはオバマの態度に批判的である。
昨日のAP記事の見出しは『オバマ、マケインの討論挑戦に退く』(Obama backs away from McCain’s debate challenge)とあり、オバマの逃げ腰を強調。
先月30日のサンフランシスコクロニクルの社説では、オバマを正式にマケインが提案した討論に招待すると招待宣言が載った。サンフランシスコクロニクルと言えばリベラルで有名。マケインにはおよそ友好的とはいえない。その新聞社主催の討論会をオバマが拒絶すれば、リベラル市民の間ですらオバマはマケインから逃げていると思われること必定。
オバマの報道官は単に三回の討論に同意したのであって、他の討論会に参加しないと決めた訳ではないと説明している。
主流メディアは先月のオバマの海外遠征キャンペーンの間、オバマが記者会見も開かず記者からの質問に全く答えなかった態度にかなり腹を立てているようだ。帰国してからもオバマは大統領候補としては驚くほど少ない回数しか記者達の質問に答えていない。海外遠征の後も期待されたほどオバマの支持率は上がっていないし、かえってマケインとの差が縮まってしまった。
オバマはこのまま難しい質問を避けて選挙に及びたいのかもしれないが、今はまだ8月が始まったばかりである。マケインとの差が20ポイントくらいあるというならともかく、今の差はせいぜい3点。11月までには3ヶ月以上あるのだ。主流メディアが協力してくれたとしてもこのまま三ヶ月も逃げ切るのは不可能。しかもオバマは味方であるメディアを怒らせる行為を続けている。メディアがいつまでも甘い顔をしてくれると思うならオバマはまだまだケツが青い。
オバマはいずれマケインの挑戦に受けて立たなければならない。一国の大統領になろうという人間が、ライバル候補との討論もまともに出来ないと思われては選挙で勝つなどかなり難しいのではいだろうか?


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