ナッシュ均衡を使ってアメリカの銃廃止の困難さを説明

アメリカで簡単に銃廃止が出来ない事について、経済小説作家の橘玲(たちばなあきら)という人のサイトで面白い分析があったので紹介しよう。
橘は自分自身は銃規制に賛成のようだが、銃社会のアメリカで単に法律を使って銃廃止をするのは困難であることを、数学者ジョン・ナッシュが発見した「ナッシュ均衡」を使って分析している。

ナッシュ均衡は「他のプレイヤーの戦略を所与とした場合、どのプレイヤーも自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせ」のことで、この非協力ゲームでは条件によっては複数の均衡解が存在する――(略)

ここで橘は交通規則を例にあげ、多数の人が右側(左側)通行で運転しているのに、自分だけ規則にしたがわないで反対側を走ることの危険さを指摘、銃規制でも同じことが言えると語る。(強調はカカシ)

日本を含むほとんどの国は銃の所持を厳しく規制していて、誰でも簡単に銃を購入できるアメリカ社会は常軌を逸しているように見える。でもナッシュ均衡で考えれば、銃社会にも合理性があることがわかる。

銃を所持しないのが当たり前の社会に生きているぼくたちにとっては、近所の誰かがこっそり銃を持っているというのはきわめて危険な状況だ。当然、そのことを積極的に通報し、警察が厳しく取り締まるよう求めるだろう。
一方、地域のだれもが銃を持っている社会を考えてみよう。このとき法律が改正され、銃の所持を規制することになったとする。その結果もっとも不利益を被るのは、法律を守る善良な市民だ。彼らは違法なことができないから、国の求めに応じて銃を放棄する。ところが無法者は法律を無視するから、自宅に大量の銃を隠し持つにちがいない。善良な市民の家に銃がないことを知った彼らは、いつでも押し入って家族を皆殺しにし、財産を奪うことができる……。このようにいったん銃社会が成立してしまうと、まっとうなひとほど銃規制に反対することになる。

橘は単にナッシュ均衡を使って理屈だった推論をしているだけだが、実際橘の説は現状が証明している。カカシがしつこく書いているように、銃規制で銃を失うのは善良な市民だけで犯罪者から銃を取り上げることには全く役に立たないのだ。
ところで橘は『誰でも簡単に銃を購入できるアメリカ社会』と書いているが、もしこれが合法な銃購入という意味で使われているとしたら正しくない。日本の人は、いや、アメリカに住んでいるアメリカ人ですら誤解していることがあるのだが、我々は普通ウォールマートにいって「あ,アサルトウエポンください、いくらですか、はい、200ドル」何て言ってその場でお金を払って持ち帰れるというわけではないのだ。
これは州によって違うが、銃購入には待機期間というのがあって、2〜3日から2週間近く待たされる。この間に何がされているのかというと、銃購入者に犯罪歴があるかどうか、精神病患者であるかどうか、といった個人の身元調査がされるのである。これらの調査によって銃所持が合法に認められている人(禁止されていない人)のみが銃購入をする事が出来るのだ。
だから、この間小学校でおきた大量殺人事件の犯人が法律に従っていれば、精神病患者であるランザが銃所持をすることは出来なかったはずなのである。つまり、大量殺人鬼に法律など意味がないということだ。
現在銃犯罪を犯す犯罪者たちは銃を違法に所持しており、すでに既存の法律を破っている彼らには、さらに法律が厳しくなったところで全く影響がない。


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銃を廃止すると犯罪が増える、事実を認められないCNNアンカー

この間、銃犯罪研究の専門家の統計学者ジョン・ロット教授がCNNのインタビューで、銃を廃止した地域は国内でも国外でも犯罪率が増えていると語った事に対して、司会のピアース・モーガン(イギリス人)はヒステリックにロット教授を嘘つき扱いした。

申し訳ないですが、それは全くの嘘です。完全な嘘です。英国での銃殺人は平均して一年に35件です。諸外国で何が起きているのか、そういうあからさまな嘘を繰り返すのはやめるべきです。

(ロット教授をさえぎって)
いいえ、言い逃れはできません。あなたはこの間も嘘をついた。英国の銃殺人は35件です。アメリカでは11から12000件です。嘘は止めてください。あなたのせいでアメリカ人が自分たちを守ろうとするのですから。

モーガンの理屈にはおかしな点がいくつかある。ロット教授は銃廃止により犯罪全般が増えると語っているのであり、殺人数だけに話を絞ってはいない、ましてや英国の銃殺人の数とアメリカのそれを比べてアメリカの方が少ないなどという話もしていない。モーガンはわざと話を銃殺人に限定することにより、教授を嘘つき扱いしているのだ。
しかし、CNNが使っ殺人数だけの資料においてすら、教授の提言は完全に証明されている。
英国で小銃が完全廃止になった1996年の時点の殺人数は600件。小銃廃止後の殺人数は急上昇し、2003年のピーク時には950件にまで上った。その後英国は犯罪取り締りや罰則を厳しくしたりといった対策を取り、2011年現在600件に近い数値になっているが、1996年当時の数までには下がっていない。
これが銃殺人だけでなく、銃による犯罪全般となると、銃廃止後の急上昇には目を見張るものがある。
小銃が廃止された1996年当時、イギリスの銃犯罪の率は6000件から5000件程度に下がりつつあった。それが小銃廃止後2006年のピークにかけて倍近い数に急上昇している。その後警察により取り締りがきびしくなったせいか2011年現在では7000件まで落ちているが、小銃廃止が通る以前の低さには下がっていない。
ところでここで注目するべきなのは、これらの数字は「銃を使った犯罪」に限定されているということだ。銃が廃止されたのに銃犯罪が増えるということは、犯罪者の銃獲得はそれを禁止する法律とはうらはらに、なんら支障を来していないということになる。この法律によって銃を失ったのは合法に銃を所持していた善良な市民だけである。
また、犯罪は銃を使ったものだけとは限らない。銃所持がほぼ全面的に禁止されている日本で凶悪な犯罪が絶えないとこでもわかるように、犯罪はナイフや他の狂気、もしくは素手によっても犯すことはできる。そういう時か弱い女性やお年寄りが自分や家族の身を守るには銃が一番効果がある。
これは別の調査によるものだが、イギリスではアメリカと比べて家主が在宅する家に強盗がはいる率がアメリカのそれにくらべてずっと多いという。それというのも、イギリスでは家主が銃で強盗に反撃する可能性がアメリカに比べてずっと少ないからである。
こうしたことを考慮にいれると、モーガンのイギリスとアメリカにおける銃殺人の件数だけを比べることの愚かさが歴然とする。


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悲劇を無駄にしないオバマの銃砲規制案

すでに日本でも米コネチカット州のニュータウン市にあるサンディフック小学校で起きた乱射事件については色々報道されていると思う。以下エキサイトニュースより。

米、小学校で銃乱射し26人殺害 子供20人犠牲、容疑者死亡
2012年12月15日 01時51分 (2012年12月15日 11時11分 更新)

 【ニュータウン共同】米東部コネティカット州ニュータウンのサンディフック小学校で14日朝(日本時間14日深夜)、男が校舎内で銃を乱射し、5~10歳の子供20人を含む26人を殺害した。警察は校舎内で男が死亡しているのを発見した。自殺とみられる。

犯人のアダム・ランザ(20歳)は精神障害者で、当日母親を自宅にあったライフルで殺害した後、近所の小学校に行って乱射したとみられる。ランザ家の知り合いの話によると、殺された母親のナンシーは息子を精神病院に入院させようと考えていた矢先だったという。
さて、こういう事件が起きると、必ず出て来る議論がある。それはレーガン政権時代に人権団体がごり押しして通してしまった極度な精神病患者の意志の尊重に関する問題点でもなければ、学校内における警備体制の甘さに関する批判でもない。大量乱射事件が起きる度にかもしだされるのが、なにあろう銃砲取り締まり法の強化である。
どれだけ犯罪学者やその道の専門家が長年に渡る統計から合法な銃の量と犯罪数は反比例の関係にあるという調査を発表してみても、反銃派の『銃が多いから銃犯罪が多いのだ、銃犯罪を減らすためには銃を減らすしかない』という議論は全く変わらないのである。どれだけその正反対の証拠があっても完全に無視なのだ。
そしてこういうことがある度のアメリカ市民の個人の力を弱め、政府の力を強めようする政治家たちが悲劇を利用して国民の感情をけしかけるから始末が悪い。
オバマ王はジョー・バイデン副大統領を銃犯罪減少対策部の責任者に任命し、次のように語った。

「全国ライフル協会(NRA)の会員には母親や父親もいるはずだ。この事件は彼らにも衝撃を与えたことと思う。彼らが自己反映をしてくれることを望む」

なんで、キチガイ男の乱射事件についてNRA会員が自己反映なんかしなくちゃなんないのだ?正気で責任ある善良な市民が合法に銃を所持しているということとキチガイ男のぶっちぎれ発作とどういう関係があるというのだ?
バイデン副大統領は銃犯罪削減対策に関する推薦を一日中にしなければならないことになっているが、その「解決策」は単に特定の銃砲の販売及び所持の全面的な禁止となることはオバマ王のくちぶりから言って火を見るよりも明らかである。
ところで聡明な読者諸君は、アメリカで大量の被害者が出る乱射事件の多くが学校内で起きているという事実に気がつかれたはずである。2007年のバージニア工科大学にしても今回のサンディフック小学校にしても、何故かみな学校構内。これは決して偶然ではないのだ。
当ブログでも何度か書いて来たが、アメリカにはガンフリーゾーン(銃砲持ち込み禁止区域)というのがあり、学校内及びその付近何キロメートル周辺での銃所持が禁止されている。それで普段は銃砲携帯が合法に許可されている州でも、学校構内に銃を持ち込むことが出来ないのである。
大量殺害をめざす犯罪者たちはその事実を充分に承知しているからこそ、反撃される可能性がまずない学校を狙うのである。
私が何度か紹介している統計学者で銃犯罪研究家のジョン・ロット教授は、生徒達の身の安全を守りたかったら、教師に武装させるべきだと語る
教授は事件の起きた金曜日、自分のツイートで「これらの攻撃で共通しているのは、すべてガンフリーゾーンで起きているということだ。」と書いた。翌日教授はピアース・モーガン司会のトークショーでも、「何が起きたか見てごらんなさい。これらの攻撃はみんな銃持ち込みが禁止されているところで起きています。オーロラ映画館の場合もそうです。」そして月曜日にも「私は憲法第二補正案(市民の銃砲所持権利を保証する憲法補正)について述べているのではなく、犯罪について語っているのです。」とソレンダッド・オブライアンの番組で語った。
オバマ政権が本気で銃犯罪を減らしたいと考えているのであれば、銃砲規制どころか、全国のガンフリーゾーンをすべて撤廃し、小中学校に武装した警備員を配置させるか、それだけの予算がないなら、せめて教師らを武装させ、何かの時に子供達の身を犯罪者から守れる体制を作るべきなのである。
だが、オバマ王及び民主党の本当の目的は銃犯罪を減らすことにはない。彼らは単にこの悲劇を利用して市民から銃を取り上げようと企んでいるに過ぎないのである。彼らの提案は銃犯罪とは全く無関係なのだ。
彼らの目的は政府による国民のコントロールである。武装した国民は政府のいいなりにはならない。オバマ及び民主党が一番恐れるのは自分で自分の身を守ることのできる独立した個々の市民なのである。
アメリカは銃が合法だから銃犯罪が多いという神話を信じてはならない。銃犯罪を本気で減らしたかったら現在銃砲携帯が違法な地域を撤廃し、アメリカ全国どこでも銃砲携帯を認めるべきなのである。銃が多ければ犯罪が減るという事実をより多くの人々に知ってもらう事が大切なのだ。
ちなみに、市民の銃所持率と銃犯罪率について面白い記事があったので紹介しておこう。
国民100人あたりの銃所持率を多い順に並べてみると、
1. アメリカ – 89
2. イエメン – 55
3. スイス – 46
4. フィンランド – 45
5. サルビア – 38
という具合にアメリカが圧倒的に多いのだが、国民10万人あたりの銃殺人率を比べてみると、
1. ホンドラス – 69
2. エルサロバドル – 40
3. ジャマイカ – 39
4 ベネズエラ – 39
5. ガテマラ – 35
上位五位はすべて南米国。アメリカは28位で銃犯罪率は10万人に3人の率。
また殺人に銃が使われる率についても、アメリカは一位どころか桁違いに少ない五位。
2010年に銃によって殺された人の数。
1. ブラジル – 34,678
2. コロンビア – 12,539
3. メキシコ – 11,309
4. ベネズエラ – 11,115
5. アメリカ    – 9,146
Source: UNODC & Small arms survey of 2010


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ナイフを持った強盗、家主の .40口径小銃に遭遇

引き続き銃砲関係の記事だが、私の銃による正当防衛のコレクションに加わる事件が起きた。今度はテキサスのグランドプレーリーで起きた事件
この家主の身元は発表されていないが、犯人はギルバルト・バンデラス21歳。この男が近所の家に侵入したところ、家にいた家主のピストルに出迎えられ、腹を撃たれて重傷。この時家主は侵入者に気がついて911番(日本でいう110番)に電話中だったという。
犯人のバンデラスは強盗に入った家のすぐ近所に住んでいた隣人だった。なんともけしからん隣人だ。
近所の他の隣人は「まさか知っているご近所の人に強盗に入られるとは信じられない」と言ってショックを隠せない。
さて、ここで、もう一度先きのエントリーの内容を考えてもらいたい。
何故銃販売の数が増えると犯罪が減るのか。
強盗の立場から考えてみれば、これは一目瞭然のはず。
バージニア州やテキサス州では家主が銃を持っている可能性は高い。私が強盗を働こうとおもっている人間なら、家主が銃を持って抵抗する可能性のある家は避ける。犯罪者にプライドはない、犯罪者は怠け者が多い。だから簡単に出来る犯罪を好むわけで、犠牲者も抵抗力のない弱者を選ぶ。
アメリカでは日本やイギリスより強盗より空き巣の数が多いのも、犯罪者が銃で武装した家主に遭遇するのを恐れるからである。


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不思議!バージニア州、銃の売れ行きがあがるにつれ下がる銃犯罪

銃が多いと犯罪が減るという話はカカシはもう何年も前から何度も書いて来たが、ここ数年来銃の売れ行きが急上昇のバージニア州で、その犯罪率が降下しているという調査結果が出た。
バージニア州ではここ数年銃の売り上げが急上昇しているが、今年は近年でもその数が最高記録に達しているが、同時に銃犯罪はここ六年間でずっと減る傾向にある。この二つの現象には深い関わりがあることは、カカシの銃砲取締法カテゴリーを読んでいる読者諸君にはもうお解りのことと思う。
バージニア州で購入された銃砲は2006年から2011年にかけて、なんと73%の増加。人口増加を考慮にいれると、バージニア人口10万人あたり63%の増加になるという。
同時に銃犯罪の数はこの間に24%の減少。人口調整すると27%の減少となり、2006年の10万人あたり79件の犯罪が2011年には57件に減った。
この結果について分析したバージニアコモンウェルス大学のトーマス R。ベーカー犯罪学教授は、銃が多いと犯罪が増えるという説がよく言われるが、この調査結果はその説から離れるものとなったと語っている。
しかしバージニアの反銃所持団体のバージニアセンターフォーパブリックセイフティーのアンドリュー・ゴッダード会長は、犯罪の減少はすでに起きており、銃販売増加とは関係がないと語る。
ゴッダード会長が、何を根拠に銃犯罪増加と犯罪減少には関係がないと語るのかは解らないが、すくなくとも銃が多いと犯罪が増えるという神話は崩れたことになる。この調査結果だけで、銃が増えれば犯罪が減るという証明にはならないとしても、銃犯罪を減らすために銃砲所持を規制をすることの無意味さが、ここでもまた証明されたことになる。

「ですから、(銃が多いと犯罪が減る)という直接的な関連性を出すのは難しいですが、この数値によって確かにその可能性はみられます。


とベイカー教授は学者らしくまどろっこしい言い方をしている。だが反対に銃が多いと犯罪が増えるという説に関しては同じことは言えない。

「数学的に不可能です。なぜなら逆比例の関係にあるわけで、双方が反対の方向にむかっているからです。」「ですから、関係があるとしたら、銃が増えると犯罪が減るということです。」(強調カカシ)「個人的な意見を言えば、この結果はかなり強烈です。」

ベーカー教授はフロリダ大学で銃犯罪学専門のゲイリー・クレック教授やマーク・ガーツ教授の元で勉強していたという。
以前に書いた事があるが、私は1990年くらいから銃犯罪学について興味を持ち、大学でも銃規制と犯罪の関係について論文を書いた事もあるので、クレック教授やガーツ教授らの調査は色々読んでいる。この両教授らはその調査によって、長年禁止されていたワシントンDCの小銃所持禁止が2008年に解かれたという功績もある。
ベーカー教授は、銃販売の数が増えた年の翌年には銃犯罪が減るという傾向があるという。これを教授はラグモデルとよんでいる。ラグとは「遅れて」とか「期間を置いて」という意味。つまり銃販売がふえると、すこしたってからその結果が現れるようだという意味。
銃規制運動家たちの本当の目的は犯罪を減らすことではない。もし彼らが心底犯罪を減らしたいと思っているなら、犯罪学専門家たちの研究や調査結果が常に「銃が多いと犯罪が減る」という説を強めているという事実に注意を払うはずだ。
銃砲規制奨励派の本当の目的は国民規制、国民支配にあるということを忘れてはならない。


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オバマが勝ったはずの米討論会最終回。ロムニー支持高騰をどう説明するのか

日本のNHKのオバマ偏向報道についてこの間も書いたばかりなのだが、昨晩のオバマ対ロムニーの討論会において、左翼リベラルメディアは一斉にオバマが勝ったと報道している。怠慢な日本のNHKも独自の取材もせずにアメリカ左翼メディアの焼き直しでこんなことを書いている。

米大統領選の最終討論会、オバマ大統領勝利との見方優勢
オバマ大統領はスタート直後から攻めの姿勢で、ロムニー氏が提案している中東・ロシアに関する外交政策を批判。米軍の艦船を増やすべきと主張するロムニー氏の考えは冷戦時代に逆戻りするものだと指摘し、「馬や銃剣だって減らしている」とロムニー氏に語りかけ、同氏の世界観が時代遅れであるとの皮肉を込めた。
また、ロシアが米国の「地政学上の敵」だとしたロムニー候補の発言を取り上げ、時代に逆行していると批判。「冷戦は20年前に終わった」にもかかわらず、ロムニー候補は「1980年代の外交政策に回帰しようとしているようだ」とさらに皮肉った。
これに対してロムニー候補は、オバマ大統領の中東・北アフリカ政策は、アルカイダの脅威が再び台頭するのを阻止できていない、との見方を示した。
ロムニー氏は「私を攻撃することがアジェンダではない。私を攻撃しても、中東に関する課題の解決にはつながらない」と語気を強めた。
ロムニー候補はまた、自身が以前、イランの核問題が米国にとって最大の安全保障上のリスクだと述べたことをあらためて指摘した。
最近の世論調査で上昇した支持率を脅かす恐れのある過ちを犯したくないロムニー氏は、オバマ氏の攻勢に反撃しない場面も見られ、これがオバマ氏が勝利したと受け止められる結果につながった可能性がある。
ロムニー氏は、低迷する米経済の再生を選挙公約の中核に位置付けており、たびたび議論を経済問題へと戻し、米国の国家安全保障は強い経済次第だとも強調した。
同氏は、討論会の終わりに「(オバマ)大統領を選べば、2000万人が失業し、良い職に就くのに苦労する。私は1200万人の雇用を創出する」と述べた。

私はこの討論を生中継で観ていたが、オバマは明らかに第二回目の討論会でロムニーが途中で遮られたリビアのベンガーズィ領事館襲撃について突っ込んで来るものと踏んでいたのだろう。現に討論会の最初の質問は領事館攻撃についてだった。ところがロムニーはその質問について、細かい事件にひとつひとつについて語るのではなくオバマ王による全体的な外交姿勢について話をしたい、と言って最初の質問をかわしてしまった。
二人の表情は画面を半々に割ったスプリットスクリーンで写されていたため、その答えを聞いたオバマ王の顔は慌てふためいていた。あきらかにオバマ王は領事館襲撃がテロ攻撃だったことを自分が国民に即座に報告したとかいうタイムラインを用意してロムニーは嘘つきだと攻撃する計画だったのだ。
軍隊を強化すべきだというロムニーの主張に、軍艦ばかり増やしてみても意味がない。などとまるで子供をお説教するような相手を侮辱した態度は、意地の悪い左翼リベラルを喜ばせたかもしれないが、造船所を頼りにしているメイン州やミシシッピ州や海軍で持っているバージニア州などをオバマが足蹴にしていることがあきらかになった。特にバージニア州はトスアップといって、民主にも共和にも転ぶ州なのに、オバマがバージニア州を見捨てたことがはっきりしたわけだ。
ところで討論会の直後、米海兵隊から海兵隊は今でも「馬や銃剣」を使っているとクレームがついた。また船の数にしてもだ、オバマ時代になって新しい護衛艦の造船は差し止めになった。最後の護衛艦はすでに完了しそれっきりなのである。ミシシッピ州のパスカグラやメインのバスアイアンワーク造船所では新しい軍艦を作る予定がないため、造船所の職員はリストラもしくは転職を余儀なくされている。
オバマによるとアメリカ海軍は新しい戦略を取っているためこれ以上の軍艦は必要ない、いやそれどころかもっと減らしてもいいと言うが、本当にそうなのだろうか?
ここ2〜3年で起きた中東のアラブの春といわれるイスラム過激派台頭の状況において、レーガンやブッシュ大統領だったら、地中海に艦隊のひとつや二つは送り込み日夜パトロールをしていたに違いない。だからリビアであのような騒動が起きたとしても、いち早く空母感から戦闘機が発進され空から襲撃者を威嚇するなり、海軍シール隊を送り込み大使及び領事館職員を救出するなり出来たはずなのである。
ビング・ウエスト防衛省元長官は、F18一機も発進されていれば、このような悲劇は食い止められたはずだという。
だが9時間に渡る襲撃の間、オバマ政権は電話や無人偵察機の中継などで現場で何が起きているかを察知していながら、援軍をおくるどころか単に指をくわえて我が国の大使と外交官達が虐殺されるのを傍観していたのである。
なぜそんなことになったのかといえば、事件が起きた今年の9月11日、アメリカの艦隊は地中海とはほど遠い場所にいたからである。世界の海を守るだけの艦隊をアメリカは所持していないから地中海のパトロールまで手が回らなかったのである。(無論最近のアラブの動乱を考えたら、地中海こそ一番重要視されるべきだと考えるのが常識だが。)
いくら空母艦や潜水艦の技術が発達しても、空母艦を守る護衛艦の数が足りなければ、世界中の海をアメリカ海軍がパトロールすることは不可能なのだ。ある程度の絶対数は必要なのである。そのことをオバマは全く理解していないのだ。
NHKの記事の中にもあるが、オバマによるせこい個人攻撃に対して、ロムニーは直接答えず『私を責めてみても問題は解決しない』と二回ほど繰り返した。最初の討論の時にオバマはロムニーの顔を直視せずに下ばかり向いていたと批判されたことを反省して、今回は逆にロムニーの顔を真正面から観ていたのはいいが、それが逆にロムニーを睨み付けているようで、せこいちんぴらがガンを付けているような印象を受けた。
それに対してロムニーは始終笑顔で相手の攻撃を軽くかわしていた。もしアメリカ内政について全く無知な人がこの対決をみたら、ロムニーが大統領でオバマが挑戦者だと思ったに違いない。
今回の討論におけるロムニーの作戦は、ひとつひとつの質問に答えることではなく、全体的にオバマの外交政策が大失敗しているということを主張すると供に、ロムニーには強いアメリカを再建する、そのためにはアメリカの経済を建て直すことが必要なのだ、という大きな目標を掲げることにあった。そして同時に自分がいかに大統領として貫禄があるかということを有権者に印象づけることにあった。そのどちらについてもロムニーは成功したと私は思う。
問題なのは、ひとつひとつの討論に得点勝ちすることではない。最終的な目的は討論を通じていかに自分が時期大統領に適しているかということを有権者に理解させることにある。
ロムニーの支持率が討論ごとに確実に上がっていることから観て、ロムニーの作戦は成功していると言えるだろう。
アップデート:カカシのブログを紹介してくてるアゴラ言論プラットフォームというサイトを見つけたので、一部転載する。

米国大統領選挙もあと二週間に迫りました。一国のリーダーを決める日程がはっきりわかるのはいいですね。来年8月末の任期満了までの間のいつか、というように衆議院の総選挙がいつになるかわからない日本とは隔絶の感がある。大統領選挙の討論会も最後の3回目が行われ、直後の世論調査ではオバマ大統領がやや巻き返したようです。

この「In te Strawberry Field」は、共和党支持の在米日本人女性のブログなんだが、オバマ優勢、と報じる日本メディアの偏向ぶりに憤っています。米国内の雰囲気の変化は明らかにロムニー優位なのに、記者が自分の目や耳で確かめないから現状分析できていない、というわけ。
一方、こっちの「My Big Apple」というブログでは、今回の討論会に限ればロムニー氏の古色蒼然とした軍事観を「馬の数で戦争の勝ち負けは決まらないんだぜ」と揶揄したオバマ大統領の勝利、と書いている。ロムニー氏のは失言、というほどじゃなかったと思うんだが、印象というのは怖いモンです。いずれにせよ拮抗状態なのは間違いありません。

アップデート2:オバマの発言とは裏腹に、米軍において馬や銃剣の数は減るどころか増えているという事実がある。


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留守番中の12歳の少女、強盗に発砲

本日の銃による正当防衛のニュースはオクラホマ州はブライアン郡での出来事
12歳の少女が強盗に発砲して見事に身を守ったという話。
この少女は一人で留守番をしている家に、見知らぬ男がドアベルを鳴らすのをきいた。少女がこたえないと、男は裏庭に回り、勝手口のドアを蹴破って入って来た。少女はとっさに携帯で母親に電話をすると、母親は銃を持って自分の部屋に隠れ、警察を呼びなさいと指導。
少女は言われた通り銃を持って部屋の中から警察を呼んだ。
母親は即座に自宅へ向ったが、母親が自宅に着いた時にはすでに、警察が家の回りを取り囲み,強盗は逮捕されていた。
少女によると、男は勝手口から家に侵入。家中をかき回しながら、少女のいる子供部屋にはいろうとした。そこで少女は男が部屋のドアを開けようとしたところを、ドア越しに発砲。男はあわてて外へ飛び出したが、その場で駆けつけた警察に取り押さえられた。
残念ながら男の怪我は大した事はなく、一応病院に運ばれたがその日のうちに解放されそのまま刑務所へ。
少女に怪我はなかった。
アップデート:
ちょうどこの記事を書き終わったところで、子供の健康に良い家庭は銃の無い家庭であるという左翼リベラル小児科医師らによるリポートの記事を読んだ。はっきり言って医師は医学についてだけ論文を書くべきなのであって、分野の違う犯罪学はそちらの専門家に任せてほしいもんだ。


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元消防士、自宅に侵入した強盗を射殺

こういう話が多いので、そのうち「今週の銃による正当防衛」とでもカテゴリー作って特集でもするかな。本日はテキサス州ヒューストン市の出来事。元消防士の男性が二人組の強盗に発砲。一人を射殺、驚いたもう一人は逃走した。
この話がいつもの話とちょっと違う点は、自宅に居た男性のところへ強盗が侵入したのではなく、夜10時頃に家族と帰宅した50代の元消防士の男性が家の前で武装した男二人に待ち伏せされたことだ。男達は男性から金品を要求し、次に家に入るように命令した。
一旦家に入った強盗たちは男性を拳銃で殴り、一緒にいた男性の妹と姪に床にうつぶせになるように命令。一人が家族に銃を向けて威嚇している間に、もう一人が家の中を引っ掻き回した。
幸運なことに、家主の男性は合法に小銃を携帯していたため、冷静に強盗たちの隙を狙っていた。そのうちもう一人の男も一緒になって家の中をかき回し始めたので、今しかないと思った男性は、隙を見て強盗たちに発砲。一人を射殺、もう一人の男と撃ち合いになった。
残念ながらもう一人の男は逃走。覆面をしていたため、男性は警察に男の容姿を正確に説明することができなかった。警察は近所を捜索したが男は未だに見つかっていない。
男性は家族を守るのは自分の義務だと思ったと語っている。


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63歳の癌患者男性、ショットガンで強盗を取り押さえる

気をつけていると、銃による正当防衛の話がよく目につくようになる。最近になってこういう話が増えたとも思えない。ということは、これまでにも一般市民が銃を使って自宅やビジネスを襲った/襲おうとした強盗を阻止した例はいくらでもあったということだ。にもかかわらず、銃を使った犯罪は即座に報道する主流メディアは、銃を使った正当防衛の話は報道しないので、一般人はそういうことが結構身近で起きていることに気がつかないでいる。
さて、本日の英雄は63歳の癌患者で自宅療養中のディクソン・スミスさん。その日二階に居たスミスさんは、奥さんが買い物に出かけたすぐあと、一階から男達の話し声がするのを聴いた。これは強盗だと悟ったスミスさん、即座にショットガンを持って男達が二階に上がって来るのを待ち構えた。
「男達はもう少しで最上階段まであがってくるところでした。私は部屋から出て男達にうつぶせになるように言いました。」とスミスさんはローカルテレビのインタビューで応えている。
スミスさんは男達を床に伏せさせたまま、警察に通報。警察を待っている間の五分か十分が非常に長く感じられたとスミスさんは言う。スミスさんは男達に変な真似をするなと忠告してずっとショットガンを突きつけていた。
実はスミスさん宅に強盗に入った二人の男のうちのひとり、ジェイムス・リオン・ポルク27歳は、スミスさんとは長年の知り合いで、ポルクが10代の頃にはスミスさんが旅行に連れて行ったりしてやっていた。しかしいつしかポルクは麻薬中毒にかかり、最近はスミスさん宅から現金やスミスさんの癌の薬を盗むようになっていたという。
まったく恩を仇で返すとはこのことだ。ポルクは仲間の男と二人でスミスさんが居ることを承知でスミスさんの家に強盗に入ったのだから、最悪の場合は恩人のスミスさんを殺して薬だの現金だのを強奪しようと考えていたと思われる。
スミスさんが老人で病人だから抵抗できないと思っての事だろうが、まったく根性の腐った奴だ。恩人の家に強盗に入るなんて。
しかしスミスさんがショットガンを構えるだけの勇気のある人で助かったというもの。スミスさんがショットガンを持っていなかったら、どんなひどいことになっていたか、考えただけでも恐ろしい。


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92歳の第二次世界大戦軍人、自宅に押し入った強盗を射殺

月曜日未明、92歳になる第二次世界大戦の軍人がケンタッキーの自宅に押し入った三人組の男に発砲し、一人を射殺、残りの二人は命からがら逃走するという事件がおきた。
警察の調べによると、24歳のロイド・マクセルは仲間二人と一緒に月曜日午前二時頃、独り住まいの老人の家の地下室に侵入。一階に押し入ろうとしたところを家主のアール・ジョーンズさん92歳の22口径ライフルに出迎えられた。
誰かが地下室から上がって来る音に目を覚ましたというジョーンズさんは、ライフルをドアに向って狙い、侵入者が入って来るを待ったという。侵入者がドアを蹴破った瞬間、マクスウェルは胸に致命的な銃弾を浴びた。ジョーンズさんは一発撃つと、近所の人に連絡。近所の人は即座に警察に通報した。
警察が駆けつけた時には、すでにマクスウェルとその仲間の姿はなかったが、隣町の警察から男が撃たれたという連絡が入り、シェボレートラックのなかで、無傷の男二人と一人の男が死んでいるのを警察は見つけた。
警察に捉えられた二人のは、ジョーンズ宅に侵入にしょうとした強盗の仲間だったことを認めている。ライアン・ダルトン22歳とドニー・イナブニット20歳の二人は泥棒及び証拠隠滅の疑いで逮捕された。
実を言うと、ジョーンズさんの家が泥棒に入られたのはこれが最初ではなかった。ここ数週間のうちにもう三度も泥棒に入られていたジョーンズさんは、こうなったら誰かが芝生の上に転がらない限りこの犯罪を止めることは出来ないと思ったという。

「わしは軍隊におったからな、耳はええんじゃ。わしが寝ようとして座った途端に『どすん、どすん』という音がしてな。誰かが地下室から上がってくるのが聞こえたんじゃ。それで銃を構えてドアが開くのを待ってたんじゃよ。奴が中に入った途端に、何もかもが終わったのじゃ。」

ジョーンズさんは、このことが今後泥棒を企む奴らへの見せしめになったのではないかと語る。
シニアシチズンだと思って馬鹿にするとこういうことになるんじゃ、わかったか馬鹿どもが!


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