応戦が不均衡だって?あったりめえだ! 悪いかよ!

イスラエルのレバノン攻撃について世界各国でデモ行進が起きている。ドイツのベルリンではイスラム教徒が集まって「イスラエルに死を!」「シオニストに死を」と唱えている。
レバノンにおけるイスラエルの攻撃は世界中に波紋をひろげている。
世界を半周してニューヨークではイスラエル支持のデモ行進が行われ、参加者は叫んだ。「レバノンに死を!」「イスラムに死を!」
国連のイスラエル大使ダン·ギラーマン氏はイスラエルが自分らが求めない攻撃に対する自己防衛を他国が認める以外に道はないとはっきり語る。(訳:カカシ)
「わが国が不均衡な軍事力を使っていると唱える国々に告ぐ。あったりめええよ! (おれっち江戸っ子でえ!)もしあなた方の都市が空爆され、あなた方の市民がわが国の市民が経験しているような恐怖におとしいれられたならあなた方はもっとひどい強大な力で応戦しているだろう。」
いよ! 待ってました! ギラーマン屋、日本一、、じゃない、中東一! 威勢がいいねえ。大向こうからかけ声が飛ぶよ!
カカシ注:
上記の翻訳にかなり私の自分勝手な装飾があったことをお詫びします。大使ともあろう人が「あったりめええよ」などと言うわけはない。正しくは「まさしくその通りですとも。」 という感じだと思う。また括弧内の江戸っ子云々は私の創作。 ただ彼の悪びれない開き直った態度を表現する言葉使いにちょっと迷った。


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有り難迷惑レバノンの国連軍派遣

今日、イギリスのブレア首相と国連のアナン会長が激化するレバノンの状況を緩和するため、国連軍を送るべきだという話をしたときいて私はとんでもないと思った。(浮世絵さん紹介

ブレア首相は記者団に対し、「われわれが停戦を図る唯一の方法は、国際部隊を派遣し、(ヒズボラの)対イスラエル攻撃とイスラエルの対ヒズボラ攻撃を中止させることだ」と述べた。

まず私はイスラエルとヒズボラが今の段階で停戦しなければならない理由があるとは思えない。停戦をして得をするのは圧倒的に負けているヒズボラほうでイスラエルは拉致された兵士を取り戻すこともできず、レバノンにむやみやたらに攻撃したという汚名だけを負わされてしまう。ここまでやったからには兵士を取り戻すか、それができなければズボラの撲滅を達成するべきだ。そうでなければ世界の反感を買ってまで行った武力行使の意味が全くなくなってしまう。浮世絵さんはもう誰かが終息させるべきだとおっしゃているが、私はまだまだ終息には時期早尚だと考える。
それに国連軍なんていってもロシアだのフランスだのが混ざっていれば、ヒズボラのイスラエル攻撃は黙認、イスラエルのヒズボラ攻撃は阻止されるというイスラエルにとっては迷惑しごくな結果になりかねない。「停戦」など単にヒズボラの体制回復の時間稼ぎに利用されるだけである。
それにレバノンに国連による平和維持団を派遣などということをきくと、これは完全に1980年代前半のデイジャブーである。(デイジャブーとは同じことが前におきたような気がする幻想のこと)
1982年にイスラエルはレバノンに攻め入ってシリア軍やPLOと戦った。そこへレバノンとイスラエルの停戦を平和的に維持させるいう目的で国連軍が派遣された。ここで派遣されたのはアメリカ合衆国、イギリス、フランス、イタリアなどである。しかしこの多国籍国連連合軍はヒズボラなどの自爆テロによってさんざんな目にあっている。
特にアメリカはベイルートにある大使館が1983年4月に自動車爆弾で爆破され60人が死亡120人が負傷したのに続き、同年10月には海兵隊とフランス空挺隊が共有していた宿舎へ爆弾をつんだ軽自動車がつっこみ、米海兵隊員241人、フランス空挺隊員297人が殺されるという悲劇を経験している。
結局国連軍はテロリストの攻撃に耐えかねて1984年にぶざまに退散してしまったのである。どうせ今回も1983年の二の舞いを踏むのが落ちである。平和も保たれていないのに敵の攻撃に圧倒されて退散するくらいなら、出動などしないほうがよっぽどもまし。
イスラエルにとっては国連のこうした動きは大迷惑といわざる終えない。


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ハマスとヒズボラ中東市民の冷たい反応: その3

シリアの場合
シリアのアサド大統領は父親の代と違ってそれほどその勢力は強くない。特にハリリ氏暗殺の大失態でレバノンを追い出されるはめとなったことで、アサド大統領政権はかなり軍部から信用を失っている。
ここで拡大する中東の戦争についてシリア人で今はアメリカに住むアマー·アブドゥルハミッド(Ammar Abdulhamid)さんの意見を紹介したいと思う。(氏の名前は長いので、氏の書いているブログ名アマージを呼び名に使わせてもらう。)
アマージさんはシリア政府は常に国家の解放と独立のためにシリア国民が努力しなければならないと呼びかけているが、それは実は国民の目を外敵に向かせることで国内での腐敗や敗退から目をそらさせるのが目的なのだと語る。だから氏はイスラエルが何もかも悪いのだというレトリックを信じたことはないという。(カカシ注:アマージさんの文学的な英語を訳する力は私にはないので、だいたいの意訳をさせてもらった。)

我々の目の前にある問題はシリアやイランの道具としてハマスやヒズボラが国の解放のためにと紛争を起こし、我々の多くが歓声をあげながら従うのであれば、それは地獄への行進となることだ。アサド大統領による紛争の新しいラウンドは我々の滅亡を意味する。私はこれまでシリアがイラクのような運命をたどることを避けられる希望をもっていた。だがもうそれは不可能であることははっきりした。

1980年代にシリアがイスラエル攻撃から生き延びたのは奇跡ともいえる偶然の出来事が重なったからで、決してシリアが勝ったとはいいがたいというのに、アサドはまた20年前の歴史を繰り返そうとしている、シリアはあの時の経験から全くなにも学んでいないとアマージ氏。

希望的観測は別として、今回のラウンドでイスラエルが負けるとは思えない。レバノンでおきていることは今となってはもう避けられないシリアでの紛争への序章である。この紛争は数多くの悲劇と惨事を我々市民にもたらすことになるだろう。
人によっては違った見解をもつだろう。彼等はアサドやムラーたちが真剣な競争相手として立ち上がり、アメリカやイスラエルに恥を書かせたと思うかもしれない。だが私は敬意をもって反対する。だが誰が勝利者となろうとも、結局我々市民が一番ひどい目にあわされることになるのだ。

中東市民の冷たい反応: まとめ
これまで中東の支配階級はなにかあるごとに、イスラエルを持ち出すことで国内の問題から国民の目をそらすことに成功してきた。だが、私が紹介した一連の人々の意見からもわかるように、中東の市民たちは自分らの生活が苦しいことが何もかもユダヤ人のせいだという政府の言い訳をそのまま信じないようになってきている。
ことあるごとにイスラエルを指差して「ジュー!」と騒げばなにもかもおさまる時代は終わったのである。もしこの紛争がもっと拡大し、イランが戦争に加わり、アメリカがイスラエルの応援にかけつければ、中東の宗教国家はすべて崩壊するであろう。結果的にはそれは世界にとっていいことになのかもしれない。だがその経過にどれだけ多くの無実の市民や戦闘員が犠牲になるのか、それを考えると恐ろしい。
関連ブログ記事:
「ぼくら党」の言論ブログ
時事チップス


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ハマスとヒズボラ中東市民の冷たい反応: その2

さてではレバノンのヒズボラだが、なぜここ数年全くいざこざを起こしていなかったイスラエルに突然攻撃をしかけたのか、これにはレバノンにおけるシリア勢力衰退の背景がある。

みなさんもご存じと思うが、2005年2月にシリアのアサド首相がヒズボラに命じてレバノンの元首相ハリリ氏を自動車爆弾で暗殺するという事件があった。シリアはイスラエルがレバノンを撤退して以来ずっとレバノンを占領しており、レバノンにはヒズボラをはじめシリア占領軍が大手をふって歩いていた。

しかし、この事件がきっかけでそれまでたまっていたレバノン市民の反シリア軍への反感が爆発し、あちこちでシリア撤退を要求するデモがおき、シリアは一部の諜報機関を残してほとんど軍を撤退させるというところまで追い込まれていた。レバノンではハリリ氏の息子が立候補するなどして新しい選挙が行われたが、シリアの手先であるヒズボラの民兵たちはレバノンに居残りその武力を利用して新政府にも多くの議員を当選させている。レバノンにおいてシリア勢力が衰えたといえどもヒズボラの政治力はまだかなり強い。

ヒズボラがなんとかレバノンで人気を取り戻そうとしていることに関して、イスラエルに留学しているというadventureoftheultraworldさんが某掲示板で面白いことを書いている。

シリアはレバノンのハリリ首相暗殺でそれぞれ国連でかなり追い詰められている。一方、ヒズボラもレバノン国内に「いい加減ヒズボラを武装解除せよ」という世論があって、困っていた…

ヒズボラに一発やらせて、シリアとイランから目をそらせようという魂胆でしょう。今までの中東各国のひとつの行動パターンと一緒ですよ。「困ったときはイスラエル相手に事を構え、『敵はイスラエルである。われわれは分裂している場合じゃない!』って煽ることで、自分たちの危機を回避する」っていう。

しかしレバノン市民にしてみれば、いままでイスラエルとは何の争いもおきずに平和だったのに、ヒズボラのばかどものおかげでとんだはた迷惑を被ってしまったというのが本音だろう。レバノン市民が今度の攻撃で一方的にイスラエル人が悪いとは思っていないことは昨日も紹介した通り。

我々は皆有罪だ。我々全員がだ。緊急ハイワーワタニ議会だって???? 私は笑うべきか食卓の上に内臓を吐き出すべきかわからない。皆に告げておく。我々はおびえている。我々の命がかかっているのだ。我々の国はもう終わりだ。でもこれは皆我々が悪いのだ。我々ひとりひとりの責任だ。この輩を選挙で選び彼等に憎悪と殺伐な理想で自分勝手にふるまう温床を与えてしまった。そしておびえて硬直し誰かにせいにする以外になにもできないのが我々だ。(中略)我々には誰にも文句をいえた義理じゃない。

彼はレバノン市民がヒズボラの愚連隊を政治家に選んでしまったのだからイスラエル攻撃には自分らにも責任があるといっているのである。しかしレバノンの人々には気の毒なことだ。今日も今日とて彼等はイスラエルから猛攻撃をうけている。

ここで肝心のシリアなのだが、イスラエルはレバノン政府にも今回の攻撃の責任はあるといっているが、その背後にシリアがいることは間違いないわけで、イスラエルの攻撃がシリアまで及ぶ可能性は十分にある。それではこれについてシリア人はどうおもっているのであろうか?
それについては次に続く。


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ハマスとヒズボラ、中東市民の冷たい反応: その1

ことイスラエル関係の記事になると、どうしても反イスラエルの世論ばかりが取りざたされる世界の主流メディアだが、当事者であるアラブ諸国ではなにもかもイスラエルのせいだという考えはそれほど普通ではない。これは決してイスラム教徒らの間でユダヤ人に対する偏見が減っているとか、イスラム教徒の大半がユダヤ人の主権国家であるイスラエルが存在することを快く思っているという意味ではない。

ただ教養ある人々の目には、自分らの政治家たちが自分らの不能で国内政治をきちんと営めず国内からの批判がたかまると、イスラエルを持ち出してごまかそうとする行為が丸見えなのである。

パレスチナではガザからイスラエル入植者が撤去することでパレスチナは初めて自治をする機会を持った。ここでパレスチナ市民たちはイスラエルに妨害されずに平和にすむことができたはずなのに、彼等のしたことといったら不能なハマスを政権にえらび、せっかく出ていってくれたイスラエルに何千ものロケット弾をうち続け、あげくのはてにイスラエル兵を拉致してイスラエル軍を呼び戻してしまうというばかさ加減。いい加減近隣諸国のイスラム教徒らもこのハマスの愚行にはあきれている。(kokunan_jerusalem678さん紹介)

サウジのコラムニスト アル・スウェィダン(Yusuf Nasir Al-Suweidan)はクウェート紙Al-Siyassaに「ケレム・シャロム分岐点の犯罪」と題する論評を寄稿した。これは、2006年6月25日ハマスがこの分岐点(検問所付近)を攻撃し、イスラエル兵ギラッド・シャリット伍長を拉致した事件である。筆者は、この犯罪行為でパレスチナ独立の夢はまた遠のいた、パレスチナ人は銃をおき、エネルギーをパレスチナ社会の建設に注ぐべきである、と論じた。

アル・スウェィダン氏はハマスによるイスラエル兵殺しと拉致は国際法に違反する犯罪であるとし、この行為はかえってパレスチナ庶民の身に危機を及ぼし、せっかく解決しかけていたイスラエル/パレスチナ問題が振り出しにもどってしまったという。ハマスはこの事件で自分らが大勝利を得たなどと騒いでいるが圧倒的に優勢なイスラエルの勢力がこの冒涜行為をみすみす羊のように黙って受け入れるはずがない、イスラエルの反撃はパレスチナ崩壊にすらつながるだろうと予測している。

イスラエルは今回のケレム・シャロム分岐点攻撃に対して、おとなしい羊の如くに振舞い、人畜無害の反応しかしないのだろうか。もしそう考えるなら、突拍子もない幻想である。この攻撃の直後、分岐点は閉鎖され、イスラエルの部隊が戦闘隊形を以てガザに入ってきた。これは昨年9月のガザ撤収以来最大の軍事行動である。イスラエルの決意は固い。三つの条件がクリアーされなければ、数時間内にガザ回廊へ侵攻するとみてよい。その条件とは、第一に拉致されたイスラエル人の釈放、第二はカッサムロケットの発射中止、そして第三が、テロ組織のインフラ潰滅である。

そしてこのガザ侵攻が実現してしまえば、すべてが振出しに戻るどころの話ではなくなってしまう。新しい現実がつくられてしまうからである。状況は振り出し地点をはるかに越えて後戻りしてしまう。追放、人口構成の変更等が話し合われ、その計画がすぐに実行に移されるかも知れぬのである。そうなれば、パレスチナ人の国家独立の夢は過去のものになってしまうだろう…。

スウェイダン氏がこのコラムを書いた時点ではイスラエルの反応はまだ激化していなかったが、氏が語るようにイスラエルの反応は常識のある人間ならだれでも予測できたはずである。氏はさらにハマスがガザでしなければならないことはテロ行為ではなくパレスチナの統治のはずだと語る。

パレスチナ諸機関がイスラエルのガザ撤収に正しく対応しなかったことに、そもそも間違いがある。剣をうち直してパレスチナ社会の建設に必要な鋤、鍬、ペンに変える必要があるのに、彼等は全く読み違えてしまった。経済開発、文化、社会の発展等が一番大切なのにである。テロ組織は、テヘランの聖職者やシリアのバース(党)政権の資金援助をうけ、それに踊らされながら、撤収をくいものにした。そして(人民は)、川から海までの全面解放といった空虚なスローガンや妄想に踊らされている。飢えて絶望的な貧しい人民が、腹のたしに全然ならぬ文句を唱えているのだ。今(人民に)必要なのは食料、医薬品、衣服その他生活の必需品なのである。自爆用の爆薬ベルトや、自動車爆弾、そして「おめでとう、おお殉教者よ、黒い瞳の処女達が君を待っているぞ」といったスローガンはいらないのだ。

むろんそんなことをハマスにできれば苦労はない。彼等には最初からそんな能力もないし意志もない。生まれた時からイスラエル憎し、ユダヤ憎しの教育しか受けていないのだ。イスラエルを攻撃しユダヤ人を殺す以外なにをして生きていけばいいのか分からないのである。そんなバカ庶民に経済開発だの文明開化だの期待するほうが酷というものだろう。

さてハマスの連中には何も期待できないとしても、いったいヒズボラはどうなっているのか? ハマスはまだこれまでの勢いというものがあるからイスラエルを攻撃し続けるというのも愚かだが理解できる。だがヒズボラとイスラエルはもうずっと戦闘状態になどない。イスラエルがレバノンから撤退して20年はたっているのではないか?いったい何が苦しくて今さらイスラエル攻撃などにおよんだのだろう。これについては次に続く。


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ミサイル迎撃システムは効果あるのか?

日本のブログを読んでいて面白いなあと思うのは、右翼で日本は武力強化をすべきだと語る人たちも、左翼で軍事強化に反対するひとたちも、同じように意見が一致するのが、アメリカが開発したミサイル迎撃システム(MD)は効果がないという点である。
私は今年初め数カ月ハワイに出張していたのだが、そのとき米海軍がハワイ近海でミサイル迎撃システム(MD)の実験を成功させたという話をきいた。ちょうど私が真珠湾を訪れた時、日米合同訓練が成功し乗組員が真珠湾にかえってきたところで、日米の記者団が船から降りてくる乗組員にインタビューをしているところに行き渡ったことがある。
アメリカではMD実験大成功ということで、軍関係の新聞などでは結構騒がれていたので、私はMDはかなり信用のおけるシステムだと考えている。具体的にMDを使うのは能率的なのかどうか、某ニュースグループで私がお世話になっている桂木さんの説明をここで引用させていただこう。

撃墜率のほうはソフトハードとも湾岸戦争の時の比ではなく、インテリジェント能力の劣る北朝鮮のスカッドに関してはかなり効果的なようですね。これも国力の問題になってきますが、盾と矛の開発競争にどこまで対応できるかと言うことが核心になってきます。この点で、北朝鮮にロシア中国並みの開発能力を求めるのは現実的ではないでしょう。
よって、現状のMDは北朝鮮の弾道ミサイルに関しては効果的だと思われます。もちろんいつの時代でも戦術的奇襲と言うのは可能で、能力はあっても危機対応がされていなければ古い兵器でも効果を挙げてしまうわけですが。
さて、対ミサイル迎撃手段はソフト的なものとハード的なものがあり、インテリジェントなミサイル(トマホーク等の巡航ミサイル)はソフト的な(チャフ、ジャミン等々・・・)迎撃が有効ですが、頭の悪い北朝鮮の弾道ミサイルのようなものは直接的にハードな手段(迎撃ミサイル等)で打ち落とすしかありません。
これに関しては現状北朝鮮レベルの弾道ミサイルに対する備えはかなりのものがあるようですが、迎撃兵器が有効であることと国としてのミサイル防衛が有効かどうかはまた次元の異なる話になります。それは国としてのインテリジェントの問題であり、ロジステックの問題であるからです。
つまり、
・ミサイル発射の兆候を事前につかんで危機管理レベルを即応体制に上げられるか。
・米国との情報共有体制の効率が発射探知から迎撃ミサイルの発射までの時間が着弾までの短い時間で出来るか。
また、
・現実問題として、発射されるミサイルに対応するだけの迎撃ミサイルを予算的な面で配備可能なのか。
・配備が決定されたとして、その生産は高度なシステム製品であるため調達は長期にわたる。
と言う問題があって組織的で政治的な話になってしまいまうわけです。
物理的能力においてはこと北朝鮮のミサイルに対する防衛はかなりの程度可能であるにもかかわらず、費用対効果と言う政治を巻き込んだドラスティックで生臭い話によって実際の防衛力は穴だらけという事態になってしまいます。もちろんやらないよりはやったほうが良い訳なんですが。
MDのミッドコースでの迎撃は基本的に成層圏外の宇宙空間なので極至近距離でない限り火薬等の衝撃波や高温ガスの効果は望めません。で、考え方としては物理的にぶつけて破壊すると言う考えが主流です。
散弾銃のようにある加害範囲に包み込むわけですが、弾道ミサイルのノーズコーンは再突入の関係もあって頑丈で、生半可なタイミングでの爆散は効果がないケースが多いのです。前方からその微妙なタイミングで爆発させる困難さと破片による加害効果の不十分さから、「弾頭を持ったミサイルでなくともよい」と言う考えのようですね。
弾道ミサイルも迎撃ミサイルもミッドコース迎撃の場合はかなりの残速を持っていますので、ぶつけたほうが確実で、もちろん当てるのは非常に難しいわけですが、それでも爆散効果の微妙なタイミングをとるよりはましみたいです。イージス艦のSM‐3の弾頭は赤外線追尾機能を持った運動弾頭のようですね。
パトリオットのPAC2までは近接信管方式でしたが、PAC3は直接衝突する方式に改められています。

北朝鮮からミサイルがアメリカに飛んでくるまでには、比喩的にも現実的にも時間がかかるが、日本は近すぎるから時間がない。今の状態では先制攻撃は無理だし、ブーストフェーズで撃ち落とすことが憲法上許されるのかどうかも分からない。とにかくこのシステム開発には真剣に取り組む必要がありそうだ。


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拡大する中東戦争

昨日イスラエルの軍艦とエジプトの商船がヒズボラの空爆によって打撃を受けた。これに伴いヒズボラはイスラエルに公開戦争の宣戦布告をした。 (訳: 英語ニュースを読んでみよう)

イスラエルの軍用機がレバノンから世界へのリンクを1つ1つ壊し、イスラムゲリラグループのリーダーの本部と故郷を破壊したあと、ヒズボラは金曜日に爆薬を装備される無人航空機をイスラエルの軍艦に衝突させ、それを燃え上がらせた

ベイルートの地中海の海岸沖の軍艦への攻撃は、ヒズボラがロケットと迫撃砲を新しい武器として備蓄に加え、それをイスラエルに対して使ったたことを示した。
イスラエル軍は、それが帰途についたあと、船がひどい痛手を被って、後で何時間も燃えていたと語った。アルジャジーラテレビはイスラエル軍隊が4人の行方不明の水夫を捜していると伝えてたが、船のクルーに関する詳細はなかった。
「あなたは公開の戦争を望みました、そして、我々は公開の戦争の準備ができています」と、ヒズボラリーダーSheik Hassan Nasrallahがテープ録音された声明において言いました。彼は、ロケットでイスラエルの中により深く襲いさえすると公約した。

APの記事では詳細がないが、この時エジプトの商船は同じ無人航空機(UAV)から発射された対戦車用ミサイルによって攻撃されている。ここで注目をしなければならないのは、ヒズボラが使った新兵器が無人航空機(UAV)であり、しかも同時に二つの船を攻撃することができる性能の高いものであるということである。ヒズボラがこのような高度な武器を独自に持っているというのは信じがたい。このような新型武器を開発しテストまで行いながらすぐとなりのイスラエルに気が付かれないはずはない。背後にイランの革命軍が関わっている可能性が非常に大きくなってきた。(カウンターテロリズムブログ
またシリアはシリアでヒズボラを完全に支持すると表明している。イスラエルに開戦宣告をしたヒズボラを全面的に支持するということは、シリアもまたイスラエルとの公開戦争の準備ができているということになる。ここまでいわれてはイスラエルもシリアまで攻め入らなければメンツ丸つぶれだ。
しかしシリアと戦争をやれば、イランとも戦争になる。イスラエルの武力を持ってすればシリアとイランの連合軍を簡単に妥当することができるだろうが、イスラエルのオルメルト首相がイスラエル内部でどれだけ政治力をもっているのか、そして彼にどれだけ度胸があるのかこれはまだ完全に未知数だ。
そしてそうなった時アメリカはどうするのか、これもまだはっきりしていない。
関連ブログ記事:
海外ニュースより


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北朝鮮ミサイル実験の意外な恩恵

私はもともと日本の防衛は弱体すぎると考えてきたほうなので、日本が軍事力を強めるべしとか、北朝鮮に経済制裁を加えるべしという意見にはそのやり方云々は別として、ほとんど賛同できる。極右評論の瀬戸さんのご意見などはただ単に軍事強化を唱えるだけでなく、なぜミサイル迎撃システムを日米共同で開発する必要があるのか分かりやすく説明してくださっている。

現在、核兵器は確かに安価な最終兵器とされてきたが、この核兵器を保有するだけではテロリスト国家には対抗できない。勿論、核兵器も必要だが、核弾頭の迎撃システムの開発もまた不可欠なのである

現在、この迎撃システムの完成を目指して共同開発しているのは、米国、日本、台湾などである。日本の科学技術がなければ米国一国だけでも開発は不可能とされている。
核を持って威嚇をするような国に対して、これを撥ね退けるには、同じような核の保有だけでは抑止にはならない。核兵器と迎撃システムを完成させてこそ、真の国防体制が構築されるのである。

だが、北朝鮮のような脅威を目の前にして、日本が国防強化をすべきではないと語る人々の意見にも意外と、なるほど〜と思う部分があるのは面白い。
まずは日本がアブナイ!から、、

安部官房長官、額賀防衛大臣、麻生外務大臣をはじめとする政府の一部の者が、声高に北朝鮮に対してでだけでなく、中国や韓国への批判を行なったり、制裁を強めたり、日本の軍事力を強化したりしようとしている…

ここは「千載一遇のチャンス!」とばかりに、今まで言いたかったりやりたかったりしたのに、野党や国民や他国の反応を気にして控えていたことを、ここぞとばかりに表に出しているように思える。今なら国民やメディアもあまり文句は言わないだろう。逆にメディアの一部は、ミサイルや核の脅威をあおってくれている…
私には、一部の者が今回のミサイル実験を「待ってました」とばかりにとらえて、ある意味では、喜々として対応しているようにさえ見える時があるほどだ…
また防衛庁は、8日には来年3月に予定していた地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備を年内に開始するほか、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)も含めた全体計画の本格稼働を、予定の2011年度から早めることを発表した。
日本は、米軍再編成に合わせて、できれば2010年ぐらいまでに憲法改正を行ない米軍と自衛軍が協力して日本やその周辺地域を共同して防衛を行なう計画を立てている。私は軍事や安保については詳しくないのであるが、その方面に詳しい人によれば、もうその後の青写真もすっかり作られており、今後は共同で軍事演習を行ないながら、その時が来るのを待っているだけなのだという。
だから、今度の北朝鮮のミサイル実験で、武器調達の計画を早めることができるかも知れないのは、ある意味で、願ったりもかなったりの面があるのだ。

私はこのブログの著者mew-run7さんのこの分析は全く的を射たものだと思う。もっともmew-run7さんは、与党のこのような動きは北朝鮮のミサイルなんかよりも日本にとっては脅威なのではないか、というご意見で、そこが私とは全く意見が異なる点である。
私は北朝鮮の脅威を言い訳にすることで日本が憲法を改憲し軍事強化ができるのであれば、これは歓迎すべき出来事だと考える。
2年ほど前だったろうか、私は日本人の集まる某掲示板にて日本の国防強化を唱えたことがある。その時そのトピックに集まっていた人々のほとんどが、北朝鮮や中国の脅威を唱える私や他の保守派の人々を被害妄想だとののしった。もしあのような考えが日本では普通だったのだとしたら、いくら政府がミサイル迎撃システムだの北朝鮮経済制裁だのを唱えても国民の支持をえられたかどうか疑わしい。
だからもし今回の北朝鮮のミサイル発射実験が日本に正しい危機感を与えて国防強化の踏み台になるというなら、これはよいことだと思う。本当をいえば、何十人という日本国民を拉致して涼しい顔をしている北朝鮮にいままで経済制裁もできなかったということ自体おかしいといえばおかしいのだが、、、
北朝鮮のミサイル実験そのものは北朝鮮にとってはあまり良い結果を生んだとは思えない。だが、このミサイル実験によって日本や欧州が自分らの国防の不十分さに気が付き、軍事強化につとめる役にたったということで、おもわぬ恩恵があったといえる。


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イスラエル空爆を受けて、、レバノン市民に聞こう!

ヒズボラのおかげでとんだとばっちりを受け、イスラエルからの空爆を受けているレバノンに市民たちは今の状況をどう考えているのだろう。私はレバノンの人々には強く同情する。イスラエルのやっていることは理解できるが、レバノンはシリアに長年占領されており、ヒズボラが政府に関与しているとはいえ、多くのレバニーズはキリスト教徒だし、いってみれば犠牲者でもある。
さて、アメリカの元陸軍特別部隊の兵士だったブラックファイブがいくつかレバノンのブロガーの意見を紹介しているので、こちらでもちょっと読んでみたいと思う。(訳:カカシ)

我々は皆有罪だ。我々全員がだ。緊急ハイワーワタニ議会だって???? 私は笑うべきか食卓の上に内臓を吐き出すべきかわからない。皆に告げておく。我々はおびえている。我々の命がかかっているのだ。我々の国はもう終わりだ。でもこれは皆我々が悪いのだ。我々ひとりひとりの責任だ。この輩を選挙で選び彼等に憎悪と殺伐な理想で自分勝手にふるまう温床を与えてしまった。そしておびえて硬直し誰かにせいにする以外になにもできないのが我々だ。 (中略)我々には誰にも文句をいえた義理じゃない。
Welcome to My Lebanese Dream

下記はレバノンのインターネット掲示板に載った意見。(訳:カカシ)

私は恐くて仕方ない。こどもの頃防空壕ですごした日々のようだ。私の周りのひとたちの気持ちはとても表現できない。「みんなヒズボラが悪い」「イスラエルのせいだ」「(レバノン)政府のせいだ」ハッキリ言って、私は誰のせいでもかまわない。罪のない市民や子供や家族全員が殺されたらそんなこともうどうだって関係ない。 (デリリアス)
私は心の底からいわせてもらう。戦争はもうたくさん。死も破壊ももうまっぴら! 地獄から舞い戻ったヒズボラに呪いあれ! この破壊もこの死も、イスラエルのせいではない! すべてお前ら(ヒズボラ)のせいだ。呪われよ! (略)
私はイスラエルとの平和を望む。今! イデオロジーなんかどうだっていい。地図のどこに線をひこうとかまわない。お前らの宗教なんかどうでもいい! 平和を今!(ボブ)

ことイスラエルとイスラム社会との戦いとなると、なんでもかんでもイスラエルが悪いという意見が大半を閉める国際世論だが、イスラエルから直撃を受けているレバノンの人々は冷静に誰が本当の悪者なのか理解されているようだ。
イスラエルとレバノン市民が手を組み一緒になってヒズボラと戦うのが理想なのだが、いったいどうなるのだろう。


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風が吹けば桶屋が儲かるじゃないが、イスラエルとシリアが戦争したら、、、

パレスチナのハマスがイスラエル兵ひとりを拉致したことで始まったこの紛争は意外な方向へ展開してきている。
昨日レバノンのヒズボラがイスラエルを攻撃し、イスラエルがレバノンに応戦をはじめたニュースはみなさんもご存じのとおり。しかし今日になってヒズボラがイスラエル国内にロケット弾を打ち込んだというニュース(英語)がはいってきた。(訳:カカシ)

ヒズボラはロケット弾を無数にイスラエル北部に打ち込み、イスラエル市民二人が死亡、95人が負傷した。

木曜日にミサイルが二発ハイファの港に落ち、ハイファはレバノンの国境30kmに渡る浜辺であることから、イスラエルはヒズボラが攻撃を「大幅に激化」させていると責めている。ヒズボラはイスラエルの第三の大都市であるハイファに向かってミサイルを打ったことを否定している。この攻撃ではけが人はでなかった。

ところで、このミサイルを打ったのが、レバノンのヒズボラではなく、シリアのヒズボラである可能性もあるようだ。もしミサイルを打ったのがシリアの差し金だったとすると、昨日もちょっと話たが、イスラエルはシリアと戦争をしなければならなくなる。だが、そうなっては黙っていられないのがイランである。
今日それを見越したかのようにイランの大統領がイスラエルがシリアを攻めたらイランはイスラエルを攻撃すると宣言した(英語)。 (訳:カカシ)

「もしシオニスト政権がシリアを攻撃するという馬鹿げた行為をしたならば、イスラム社会全体への戦争とみなし、(イスラエル)政権は非常に激しく応対されるだろう。」アクマネジャド首相はシリアのアサド大統領との電話でそのように話たと報道されている。

しかしイランがイスラエルを攻撃した場合には、イスラエルと同盟関係を結んでいるアメリカが指をくわえて黙っているわけにはいかない。軍事的な面だけを考えるなら、アメリカ軍はすでにイラク、アフガニスタン、サウジというイランを囲む国々に軍隊が配置されているので、即戦闘状態にはいることができるので全く問題はない。だが政治的にアメリカがイランと戦争ができるのかどうかとうことになるとこれは全く別な話。
とはいえイランは本気でイスラエルと戦争をやって勝てると思っているのだろうか? そしてアメリカが関わってくる可能性についてはどう考えているのだろう?
イスラエルとパレスチナのいつもどおりの小競り合いだと思っていたら、イランとアメリカを巻き込む大戦争になる可能性が出てきた。なんにしてもここ数日で大転回が期待されそうだ。


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