シリアの場合
シリアのアサド大統領は父親の代と違ってそれほどその勢力は強くない。特にハリリ氏暗殺の大失態でレバノンを追い出されるはめとなったことで、アサド大統領政権はかなり軍部から信用を失っている。
ここで拡大する中東の戦争についてシリア人で今はアメリカに住むアマー·アブドゥルハミッド(Ammar Abdulhamid)さんの意見を紹介したいと思う。(氏の名前は長いので、氏の書いているブログ名アマージを呼び名に使わせてもらう。)
アマージさんはシリア政府は常に国家の解放と独立のためにシリア国民が努力しなければならないと呼びかけているが、それは実は国民の目を外敵に向かせることで国内での腐敗や敗退から目をそらさせるのが目的なのだと語る。だから氏はイスラエルが何もかも悪いのだというレトリックを信じたことはないという。(カカシ注:アマージさんの文学的な英語を訳する力は私にはないので、だいたいの意訳をさせてもらった。)

我々の目の前にある問題はシリアやイランの道具としてハマスやヒズボラが国の解放のためにと紛争を起こし、我々の多くが歓声をあげながら従うのであれば、それは地獄への行進となることだ。アサド大統領による紛争の新しいラウンドは我々の滅亡を意味する。私はこれまでシリアがイラクのような運命をたどることを避けられる希望をもっていた。だがもうそれは不可能であることははっきりした。

1980年代にシリアがイスラエル攻撃から生き延びたのは奇跡ともいえる偶然の出来事が重なったからで、決してシリアが勝ったとはいいがたいというのに、アサドはまた20年前の歴史を繰り返そうとしている、シリアはあの時の経験から全くなにも学んでいないとアマージ氏。

希望的観測は別として、今回のラウンドでイスラエルが負けるとは思えない。レバノンでおきていることは今となってはもう避けられないシリアでの紛争への序章である。この紛争は数多くの悲劇と惨事を我々市民にもたらすことになるだろう。
人によっては違った見解をもつだろう。彼等はアサドやムラーたちが真剣な競争相手として立ち上がり、アメリカやイスラエルに恥を書かせたと思うかもしれない。だが私は敬意をもって反対する。だが誰が勝利者となろうとも、結局我々市民が一番ひどい目にあわされることになるのだ。

中東市民の冷たい反応: まとめ
これまで中東の支配階級はなにかあるごとに、イスラエルを持ち出すことで国内の問題から国民の目をそらすことに成功してきた。だが、私が紹介した一連の人々の意見からもわかるように、中東の市民たちは自分らの生活が苦しいことが何もかもユダヤ人のせいだという政府の言い訳をそのまま信じないようになってきている。
ことあるごとにイスラエルを指差して「ジュー!」と騒げばなにもかもおさまる時代は終わったのである。もしこの紛争がもっと拡大し、イランが戦争に加わり、アメリカがイスラエルの応援にかけつければ、中東の宗教国家はすべて崩壊するであろう。結果的にはそれは世界にとっていいことになのかもしれない。だがその経過にどれだけ多くの無実の市民や戦闘員が犠牲になるのか、それを考えると恐ろしい。
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1 response to ハマスとヒズボラ中東市民の冷たい反応: その3

ぼくら党18 years ago

TBありがとうございます。この問題はいつまで続くのですかね。

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