久間防衛相辞任が国際社会に及ぼす波紋

防衛省の久間さんの原爆投下に関する失言で氏が辞職にまで追い込まれたという事件はアメリカでも大々的に報道された。この問題は日本の内政のみならず外交上の問題に発展する可能性が大きいからである。ミスター苺がこちらの新聞に載った久間氏の発言内容を読んで、「辞任するほどの発言とは思えない。日本語ではもっと過激なことを言ったのか?」と聞くので日本語で読んでみた。みなさんはもうご存じのことと思うが、一応掲載しておこう。下記は朝日新聞に載った演説内容。

久間氏の発言要旨
 日本が戦後、ドイツのように東西が壁で仕切られずに済んだのは、ソ連の侵略がなかったからだ。米国は戦争に勝つと分かっていた。ところが日本がなかなかしぶとい。しぶといとソ連も出てくる可能性がある。ソ連とベルリンを分けたみたいになりかねない、ということから、日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とした。8月9日に長崎に落とした。長崎に落とせば日本も降参するだろう、そうしたらソ連の参戦を止められるということだった。
 幸いに(戦争が)8月15日に終わったから、北海道は占領されずに済んだが、間違えば北海道までソ連に取られてしまう。その当時の日本は取られても何もする方法もないわけですから、私はその点は、原爆が落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだ、という頭の整理で今、しょうがないな、という風に思っている。
 米国を恨むつもりはないが、勝ち戦ということが分かっていながら、原爆まで使う必要があったのか、という思いは今でもしている。国際情勢とか戦後の占領状態などからいくと、そういうことも選択肢としてはありうるのかな。そういうことも我々は十分、頭に入れながら考えなくてはいけないと思った。

この文章を読む限り、カカシにも何が問題なのかよく分からない。日本語はニュアンスが色々あるのでやたらなことを言うと弊害があるかもしれないが、久間氏はアメリカの原爆投下には疑問も投げかけたうえで、原爆投下が戦争を終わらせるということになったのだから、ま、しょうがないか、、という意味でいったと思うのだがそれがそんなに無神経な発言だったのだろうか?


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米軍隊志願兵が減っているという嘘

先日アメリカ軍に志願する黒人の若者の数が減っているという記事を読んだ。(下記は24日付けのAPより)

WASHINGTON (AP) – 黒人のなかで軍隊に志願する人の数が最近極端にへり、アフガニスタン・イラク戦争が始まって以来三割以上の減少となった。他の仕事への可能性が急増しまた親戚などから志願を止められることが多いのが原因だ。
APが取得した統計によると志願者は四つすべての正規軍で減っており、州兵、予備軍になるとその数は劇的な落下をみせている。
この調査結果は(二つの)戦争への不人気が増えていることを反映しており、特に家族やほかの大人たちが軍隊志願を考えている高校生や大学生に(軍隊よりも)教養を高めるかキャリアを目指すべきという意見が影響を与えていると思われる。

ペンタゴンの統計によると2001年には51,500人が正規軍に志願したとある。しかしその数は2006年には32,000人と38%の減少となった。

この記事を読んでいて先ず最初にわき起こる疑問は「黒人の志願兵が減っているというが、白人やその他の人種の志願兵も減っているのだろうか?」というものだろう。で、この記事には書かれていないが、いやこの記事には書かれていないからこそ、他の人種の志願数は減っていないとほぼ確信できる。反戦偏向丸出しのAPが米軍の志願兵の数が全体的に減っていたらその事実を記載しないはずがないからである。
イラク戦争が始まって以来、アメリカの主流メディアが何度も何度も繰り返してきた嘘に、アメリカ軍人の間で戦争は不人気であり士気が落ちているというものがある。だが実際に現役軍人たちに直接「イラク戦争について士気は高いか?」などというアンケートをとれば「高い」という答えが圧倒的にかえってくることが分かり切っているため、志願兵が減っているという二次的な現象を報道することで軍人の間で戦争は不人気という世論操作に余念がないのである。
さてそうなってくると実際にアメリカ軍の志願兵はどうなっているのかという話をせねば片手落ちだろう。 The Countervailing Force6月12日付けワシントンポストに載ったこの記事を紹介している。

陸軍五月の志願兵目標数に満たず。二年ぶりに最初の大幅減少。

昨日公開された統計によると海軍、海兵隊、空軍は五月の志願兵ゴールを超えたが、陸軍と空軍の州兵隊はゴールに満たなかったことが明らかになった。
陸軍は5,101 の志願兵を得た。これは目標数の5,500に満たない数であるが、2006年10月1日に始まり2007年9月30日に終わる今年度中の目標である8万人は満たせそうだとある。
「五月は歴史的にいって志願には難かしい月なんです。」と陸軍報道官のアン・エッジコム少佐は説明する。高校の卒業式や他の春のイベントが多いため志願兵の注意を引くのが難かしいという。
陸軍州兵隊は目標の88%を、空軍州兵隊はその77%を達成した。
海兵隊は五月2,225の志願兵が入隊しており、目標の1,665人を大幅に上回った。また海軍は目標ぴったりの2,709人、空軍は目標の 2,451人を獲得した。

ワシントンポストの記事によれば、正規軍の目標は陸軍が400人ほど満たなかったことを除けば、後は目標を達したか超えたかしている。ということは黒人志願兵が減った分、他の人種がその穴を埋めたことになる。軍隊には一般人口に比べると多少黒人の割合が多い。その原因は色々あるだろうが、経済的な理由がよく取り上げられている。APの記事にもあるように、最近のアメリカは経済状態が良いため、若者がつける職業も選択の余地が高い。ということは軍隊への人気が下がっているのは経済面の影響が大きく、戦争が不人気であるためだと断言することはできない。
APほどではないが、ワシントンポストの記事でも印象操作が行われていることに気付かれた読者は多いだろう。この記事で一番注目されるべきなのは陸軍の志願者が減ったことではなく、海兵隊への志願者が大幅に目標を超えたことにある。陸軍報道官のアン・エッジコム少佐も指摘しているように、5月と6月に軍隊志願兵の数が減るのは普通の状態である。それというのもアメリカの学校は6月に卒業式があるので、学校を卒業した高校生や大学生は若者として最後の自由な夏を楽しむため夏休みが終わる9月になってから志願しようと考えるからである。
また、陸軍への志願兵は多少減ったとはいえ、他の正規軍のほうは目標に達しており、減っているのは州兵である。もし上記にあげた二つの記事がいうように、イラク戦争が不人気なため志願者の数が減っているというのが本当だったとしたら、戦場へかり出される可能性が一番高い隊が一番不人気になるはずであるが、実際はその逆である。
戦争において一番危ない戦場へ送り込まれるのは誰かといえば、それは圧倒的に海兵隊だろう。その次が陸軍でむろん空軍は常に危険な空を飛ぶことになる。海軍は比較的安全だが、それでも中東で戦争が起きていれば長期にわたる出動が期待される。また正規軍と比べて予備軍や州兵隊は後方の援護が主な任務であり最前線にいく可能性は低い。それを考えると現在軍隊に志願した若者の傾向は実際に戦場へいく可能性の高い部署ほど人気があるということになる。
結論からいうならば、不人気な戦争とか不人気な軍隊というのはアメリカメディアが作り出した幻想であり、実際にはアメリカの若者はメディアが考えるほど腰抜けではないということだ。
私は仕事柄、軍人さんたちと会う機会が多いが、このあいだ何気なく女性の下士官らとテレビ番組の話をしていた。その時1980年代後半に人気のあったアニメの話が出て、ひとりの子が「あ、それ私が生まれる前」というので「え〜?何年生まれ?」と聞いたら「1989年」といわれて愕然となった(笑)。現在18歳の彼女は911当時まだ12歳。明らかにイラク戦争が始まってから志願したわけだが、そう思って回りを見ていたら一緒にいた軍人さんたちはみんなほとんどが18〜9歳。
頼もしいなあ、と改めて感じてしまったのであった。


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高波たてるイージス艦

イージス艦

米イージス艦、デストロイヤー、正面から


イージス艦

米イージス艦、デストロイヤー、横から


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JFK空港テロ未遂事件容疑者の数拡大

先日未遂事件で解決し四人の容疑者が逮捕されたJFK空港パイプライン爆破テロ事件は、捜査が続くにつ陰謀に関わった容疑者の数がどんどん増えている。FBIの関係者の話によると捕まった四人は氷山の一角であり、犯人グループはもっと大きいということだ。
さらに以前に事前に暴露されて未遂で終わったニュージャージーの陸軍基地フォート・ディグス攻撃陰謀に関わったとされる Adnan Shukrijumahなるテロリストの行方をFBIは未だに捜索中だ。この男、アルカエダにとって第二の(二回に渡る貿易センター攻撃を計画した)ラムジー・ユーセフなのかもしれない。容疑者は皆外国に逃げた模様。
一方アメリカの主流メディアはこのように重要な事件を大々的に報道せず、なぜかヒルトンホテル財閥のどら娘、、おっと令嬢が免停中に三回目の酔っ払い運転をして監獄行きになった話でもちきり。もっとも今回はいつものように両親が金を使って娘を釈放させるというやり方はうまくいかなかったらしく、一旦は刑務所の所長の一存で仮釈放になったものの裁判官が激怒してパリス嬢は刑務所へ逆戻り。車のなかで大騒ぎして「ママ!ママ!」と叫び出す始末。いい大人が何やってんだ!ま、親が甘やかし過ぎた結果がこれだわな。
なんてことはどうでもいい!テロリストが国内テロを企てているというのに金持ち令嬢のスキャンダルにばかりかまけているバヤイか!まったくアメリカ主流メディアはしょうがない。


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JFK空港テロ未遂事件さらに詳細

昨日ご紹介したJFK空港へつながる燃料パイプライン爆破テロ未遂事件について、CNNジャパンに日本語の記事が載ったので、掲載しておこう。

JFK空港狙ったテロ計画摘発、4人起訴

ニューヨーク(6・3・07)──米国土安全当局と連邦捜査局(FBI)、司法省は2日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ(JFK)空港の燃料タンクとパイプラインを爆破するテロ計画を摘発し、4人を起訴したと発表した。
JFK空港には現在、テロの脅威はない。犯行計画は技術的に実行不可能とみられ、旅客機は標的ではなかった。
主犯格は南米ガイアナ出身で、以前JFK空港で貨物処理スタッフとして働いていたラッセル・デフレイタス容疑者(63)。FBIの電話盗聴記録によると、同容疑者は「米国人が好きなケネディを攻撃すれば、米国は最大の打撃を受ける」などと語っていた。2日には同容疑者の罪状認否が行われた。
共犯はガイアナの元議員アブドゥル・カディル容疑者と、同じくガイアナ出身のアブデル・ヌール容疑者、トリニダード・トバゴ出身のカレーム・イブラヒム容疑者の3人。ヌール容疑者は現在も逃亡中。
容疑者らは、1990年にトリニダード・トバゴのクーデター未遂に関与したイスラム武装勢力JAMなど、南米やカリブ海地域の過激派とのつながりが指摘されている。…

この記事だけでは詳細ははっきりしないが、この記事が計画の段階で暴露された理由というのも、どうやら内部通告があったかららしい。
この通報者の話では、彼は2006年の8月、主犯のガヤナ出身のデフレイタスとニューヨークのブルックリンで落ち合った。その当時起きていたレバノン戦争の話題が持ち上がったとき、デフレイタスはこういう時に犠牲になるのはいつもイスラム教徒でユダヤ人は罰せられないという話になった。その時デフレイタスは911など足元にも及ばないテロを企てていると通報者に打ち明けたのである。その時はそれ以上詳しい話にはならなかったが、その後デフレイタスはアラブのイスラム教徒だけが戦っているような印象を受けるが諸国のイスラム教徒が戦う意志をもっていると語ったと言う。
デフレイタスはJFK空港で働いていたことがあり、空港のどの部分の守りが甘いかを知っていると自慢げに通報者に語った。そしてニューヨークで信用できる共謀者を探しているとも語った。また損害の規模についても空港全体が崩壊し中にいる人間のほとんどは逃げられいだろうとし、クイーンの一部も破壊されると予測した。ケネディ空港を狙う理由は故ケネディ大統領はいまだに国民から慕われており、その名前をつけた空港を破壊することはケネディ大統領を二度暗殺するほどの意味があるからだと説明したという。
FBIの調べによると、このグループはJFK空港のあちこちで偵察用撮影を詳細に行っており、その計画は綿密だったようだ。しかし空港警備に当たっているニューヨーク警察やパイプラインのバックアイパイプライン社の話によると、デフレイタスが空港で勤めていた時に比べ空港の警備はずっと厳しくなっており、またパイプラインの爆破はこのグループが考えるほど簡単なものではないという話だ。パイプの一部を爆破しただけでは連鎖反応で全体に爆発や火が回るということはないようだ。
こういう計画で一番の要となる爆発物調達だが、これが一番肝心で一番困難な過程である。空港全体を崩壊しクイーン市の一部を焼け野原にしようとなれば、莫大な量の爆発物が必要となる。それだけの爆発物をFBIなどから疑われずに調達するというのは容易なことではない。誰もが簡単に手に入れられる代物ではないので、必然的に部外者の強力を求めなければならなくなる。こういうところでFBIの覆面捜査官が爆発物の仲買人として現れることが多いようだ。
無論、FBIや国土安全保障局はどういういきさつで事件が暴露されたのかということについては、今後の捜査もあることなので詳細は明らかにしていない。
JFK国際空港はアメリカでも一番交通量のある空港だ。

JFK空港はアメリカの海外旅行者の17%が使用しており、毎日5万人の利用者がある。JFKとロンドンのヒースロー空港へは2000年には2百9十万の乗客が利用した。当空港からはそのほかにもパリ、、東京、フランクフルトなど50カ国に渡り100の空港へと空路がつながっている。

またJFK空港は国内線の乗り継ぎ用ハブ空港としても有名で、2005年には4千百万人の国内旅行者が利用している。

また当空港は人間だけでなく貨物などの輸送にも大いに利用されている。この空港が長期にわたって機能不能になったときのことを考えるとまったく背筋が寒くなる思いだ。この恐ろしいテロが未然に防がれて本当に良かった。今後も国土安全保障局やFBIには多いに頑張ってもらいたいものだ。


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日米で暗躍する中国人スパイ

数週間前に日本で中国人妻を持つ海上自衛隊の海曹が秘密データを持ち出していた事件が取りざたされた。

海自秘密持ち出し 2曹聴取、妻は中国人

(2007年3月30日掲載)
 海上自衛隊第一護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」乗組員の男性二等海曹が、防衛省が秘密に指定している護衛艦のレーダーのデータなどを記録したフロッピーディスク(FD)を自宅に持ち出していたことが29日、分かった。
 二曹の妻は中国人で、神奈川県警が今年1月に入管難民法違反の疑いで妻を逮捕し、二曹の自宅を家宅捜索した際、FDなどを発見、押収したという。
 捜査当局は情報が外部に漏えいした可能性もあるとみて、自衛隊法違反(秘密漏えい)などを視野に入手経路や目的などを慎重に調べている。海自も二曹らから事情を聴いている。二曹は、海自の内部調査に対し、外部への情報提供などは否定しているという。
 関係者によると、二曹はしらねの乗組員で機関を担当。FDに記録されていたのは、護衛艦のレーダーのデータや、通信関係の周波数などで、二曹は職務上接する立場にはないという。

ジャパンタイムスの記事では去年8月にも別の海上自衛隊員が外国の潜水艦に関するデータをコピーして自宅へ持ち帰っていたと報道している。この水兵はカラオケバーで働いていた中国人ホステスにあうため上海にしょっちゅう訪れていたという。どうも日本人は中国版マタハリに狙われているようだ。
日本はアメリカから軍事技術を多く購入しているため、これらの自衛隊員が持ち出した情報は結局はアメリカの軍事技術情報ということになる。いくらアメリカが日本へは旧型のものを売っているとはいえ、最新鋭の武器とそれほど変わりがあるわけではない。中国がその情報を元に新兵器の情報を得ることくらいさほど難かしいことではないはずだ。
しかもアメリカには中国系のエンジニアがわんさかおり、彼等の多くがアメリカの防衛関係の産業につとめている。
つい先日もアメリカはカリフォルニアでそんな中国系アメリカ人がスパイ容疑で有罪になった。いや正確には輸出法に触れるという罪だが、やったことはスパイ行為である。以下CNNの記事より

中国系エンジニアに有罪評決 軍事技術情報を持ち出し

米カリフォルニア州サンタアナ(2007.05.11AP) 勤務先の軍事関連企業から米海軍の潜水艦技術などに関するデータを持ち出し、中国に提供しようとしたとして、当地の連邦地裁に起訴されていた中国系米国人、チー・マック被告(66)に10日、有罪の評決が下された。
マック被告は中国生まれで、米国に帰化している。エンジニアとしてパワーパラゴン社に勤務しながら、数年間にわたって同社の機密書類数千ページのコピーを取り、弟を通して中国当局に流していたとして、スパイ罪などに問われていた。05年、データの入ったCDや書類を持って香港行きの飛行機に乗ろうとした弟らが連邦捜査局(FBI)で逮捕され、被告自身もロサンゼルス市内で逮捕された。
捜査当局によると、マック被告は逮捕直後の取調べに対してスパイであることを認め、中国当局側の窓口となっている人物を明かしたとされるが、同被告は「自白していない」と主張してきた。被告はさらに、「弟に渡したのはすでに国際会議で発表されていた論文。コピーを取ったり国外へ持ち出したりすることが違法だとは思わなかった」と述べた。

どうも家族ぐるみのスパイ行為らしい。弟に続いて兄のマックも裁判にかけられる予定である。兄のマックは1960年代に中国からイギリス圏の香港へ渡り後にアメリカに移住していた潜入スパイだったとアメリカ当局は語っている。
アメリカでは以前にもロスアラモスにある核兵器研究所に勤める中国系エンジニアによる秘密漏えいが問題になったことがある。容疑者のウェン・ホー・リーは秘密情報をよそからアクセスできる秘密指定のないコンピューターにコピーしたことは認めたが、スパイ容疑については否認。捜査の失態で確たる証拠を得ることが出来ずに無罪になっていた。
戦後60年以上もたって平和ぼけした日本では、自衛隊組織そのものの警備への姿勢がいい加減なのかもしれないが、911以後のアメリカでそのようなスパイ行為が簡単にされてしまう言い訳とは何なのだと聞きたい。
問題のひとつにアメリカはオープンソサエティーであるということがある。この間コメンターの方が「アメリカは差別意識の強い国という印象がある」とおっしゃっていたが、現実はその反対。差別をしな過ぎだと私は思う。
実はアメリカの大学で工学などの理数系を専攻する多くが外国生まれの学生であるいう現実がある。これらの学生には留学生も多いが移民も多い。言葉がよく分からない外国人は英語が堪能でなくても取得できる技術部門を専攻することが多いという理由もあるが、こうした学生のなかにはベトナム系、中国系の生徒が圧倒的多数を占める。留学生のなかにかなり多くのアラブ系学生がいることも無視できない。私の大学でも同級生のほとんどが外国生まれでアメリカ生まれのアメリカ市民は人クラス40人中でも一人か二人しかいなかった。
防衛関係の産業につとめる技術者はアメリカ市民でなければならないという法律はあるにはあるが、移民の国アメリカでは外国人が市民権を取ることはよくあることで、特に高度な技術を持ったエンジニアや科学者などは優遇される。国家秘密レベルの情報を扱う人間はシークレットクリアランスといって国防庁による身元調査を受けて認可を得なければならない。だがこの身元調査がどこまでちゃんとされているのか私はかなり疑わしいという気がする。
明らかに、調査対象が共産圏の中国系であるとか北ベトナム系だとかいう理由ではクリアランスを拒絶することはできない。そんなことをしたら人種差別だのなんだのと市民団体がうるさく騒ぐのは目に見えているし、第一それは違法だろう。かといってこれらの人々の母国とのつながりも無視できない。外国生まれの従業員がクリアランスを求める時、いったい国はどういう基準で彼等に認可を与えているのだろうか?
どうもアメリカにしろ日本にしろ警備に対する姿勢が甘すぎる。私は専門家ではないが私のようなものでもこれでいいのかな? と思うことがしばしばある。毎日扱っている情報や製品なのでそれが企業秘密であるとか国家秘密であるという意識が薄れてしまうのは分かるのだが、やはり今の世の中誰が狙っているか分からない以上、警戒に警戒を重ねて欲しいと思う。


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アメリカ軍は撤退すべき、、ヨーロッパからだけど、、、

今日保守派が行き過ぎて完全な孤立主義になってるパット・ブキャナンのコラムを読んでふむふむなるほどという気がした。私はブキャナンは最近右翼が講じてファシズムに走る傾向があるのであまり好きではないのだが、それでもたまにはいいことをいう。イラクからイギリス軍が撤退するというニュースもだが、アフガニスタンへの長期出兵も乗り気でないNATOに対して、ブキャナンはいざという時に便りにならないNATOなんか見捨て、アメリカはヨーロッパから撤退せよと言う。

NATOは世界の勢力が集まっているなどというが、実際にはヨーロッパが危機にさらされた時にアメリカから助けてもらうための保険に過ぎない。ボスニアやコソボが示すようにNATOには一人稼ぎ人に25人の扶養家族がいるようなもんだ。

冷戦の後、国際家のインディアナ代表リチャード・ルーガー議員などは「NATOは遠征しないなら店じまいすべきだ」と言ったほどだ。ルーガー議員の発言はソビエトの脅威が消えた今、NATOはいい加減、世界平和維持の重荷を担ぐべきだという意味だった。
しかし1990年代のボルカン危機でヨーロッパは自分たちの遊び場すら警備できないことをあらわにした。アメリカが出ていってやさしく彼等を押し避けて事の始末にあたった。今日ヨーロッパがアメリカに向けて送っているメッセージはイラクから撤退し、イタリア、ドイツ、フランスなどはアフガニスタンでも戦いたくないというものだ。
「我々は家から出る気はありません。もしアメリカが帝国遊びをしたいならどうぞご勝手に。でも私たちは半世紀も前に撤退した場所へ我々の息子たちを送り出して戦わせるつもりなどありません。ご自分でおやんなさい。」
NATOは何のためにあるのだろうか?NATOなど常にアメリカの外交を批判しながらヨーロッパが危機に陥った時にアメリカをたよりにする脛かじりに過ぎないではないか。
NATOは経費がかかり過ぎる。我々はノルウェーからボルカン、スペインからバルティック、黒海からアイリッシュ海にかけて何十とある基地に何千という兵士を維持している。
それで我々は何を得たというのだ?なぜ我々の税金が自分達を防衛しようとしない金持ちの国々のために使われなければならないのだ?ヨーロッパの警備はわが国の警備よりも大事なのか?
世界大戦の時は一次も二次もヨーロッパはドイツから守ってくれと我々に助けを求めた。そして我々は彼等を救った。冷戦の初期の頃、ヨーロッパは東西ドイツの間にはいって防衛にあたったアメリカ軍を歓迎した。
だが現在、その脅威と共に感謝の意も消えた。今、福祉機構が国の富を食い尽くし、国民は老齢化し、町々が凶暴な移民に満たされている時、彼等はアメリカにこれまで通り彼等を守ってくれというのである、我々のそのやり方を常に批判しながら。
こんなもの同盟とは言えない。こんなものパートナーシップでもない。毛布を切り裂く時が来た。彼等が自分達の国を守る気がないのなら放っておけ。歴代の国々がしてきたように強い国が弱い国を制覇すればいいのである。
第二次世界大戦から60年もたち、冷戦から15年もたった今、ヨーロッパの防衛はヨーロッパの責任だ。

さすが生粋の孤立主義だけのことはある。
しかしアメリカがヨーロッパから完全に撤退する必要はない。ドイツの基地は閉めてポーランドあたりに移してはどうなのだろう。元ソビエト圏の新しいヨーロッパはかなり親米だし、ロシアの脅威はまだまだ存在するので彼等はアメリカを歓迎してくれると思うが。
またヨーロッパだけでなく、韓国や日本からもアメリカは撤退し、アジアの防衛はアジアに任せるというふうになるべきだろう。最近日本はその気になってきてるみたいだし、韓国などはアメリカに出ていけ、出ていけ、と騒いでいるのだからちょうどいい機会だ。
この際だから金のかかる海外基地はなるべく閉めて1990年代にがたがたになったアメリカ軍の再建にお金を使うべきだ。


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北の国粋主義にあこがれる韓国

どうして民主主義と資本主義を取り入れた韓国が宿敵であるはずの北朝鮮を何かと支持し援助するのか。その理由は韓国人の北朝鮮の国粋主義と朝鮮民族至上主義へのあこがれと同調にあると語る学者がいる。韓国の大学で北朝鮮研究をしているブライアン・マイヤー教授がその人だ。(Hat tip North Korea Zone)
ウォールストリートジャーナルに載ったマイヤー教授のエッセイーから紹介しよう。

(韓国の)この支持は南北再統一を早めようという理由からではない。それは韓国はなるべく延期したいと思っているくらいだ。また餓えている子供たちへの思いやりからでもない、今や救援物資がどこへ行くのか誰でも知っている。 いや、北朝鮮を援助したいと思う気持ちはイデオロギーの共通点からくるものが大きいのだ。韓国人は北のパーソナリティカルトに苦笑いをしながらも、朝鮮人が純粋な血族でその善良な気質からどん欲な外国勢力の犠牲になってきたという平壌の見解に同意しているのである。韓国人北朝鮮と同じように朝鮮民族は世界の無垢な子供たちであり、悪いのはすべて外国人だという考え方をする傾向がある。北朝鮮はこの考えをもっと力強く表現するが、北朝鮮と韓国の間には西と東ドイツとを分けていたような明かなイデオロギーの違いは存在しない。 ボンはOstpolitikをする時に鼻をつまみながらやっていたが、ソウルはサンシャイン方針を平壌への敬意からおこなっているのである。

マイヤー教授は韓国が国の経済の発展のために国粋主義を犠牲にしてきたが、それに関して後ろめたさを感じている。だから北朝鮮の純粋な国粋主義に少なからず劣等感をもっているのだという。
無論、韓国も金正日の乱暴な言動を好ましいと思っているわけではない。だがそれでさえも外国からの圧力が北朝鮮を追いつめかえって煽っているのだと考えている。数カ月前の北朝鮮の核実験を批判する韓国人は多かったが、アメリカなどが経済制裁の話をはじめた途端、批判は北への同情へとかわってしまっった。だがこの同情は常に韓国から北朝鮮への一方通行であり、韓国の好意が北から返されることは絶対にない、とマイヤー教授は語る。
さもあらん。北朝鮮が自分らが至上最高の民族だと考えている以上、韓国が北に迎合し仕えるのは当たり前だと考えるだろう。北朝鮮は韓国人が異人種結婚を認めていることをかなり軽蔑している。特権階級である北朝鮮が奴隷階級の韓国に同情など示す必要があるはずがない。どうしてそんな簡単なことが韓国人にはわからないのだろう。
さらにマイヤー教授は、北朝鮮のイデオロギーを理解せずに、北朝鮮をスターリニストの共産主義と思い込んで、ロシアや中国を含めた6か国会議でことの進展が望めると考えるのは勘違いもはなはだしいという。

北朝鮮は中国やロシアのいい分に耳を傾けるようなイデオロギーを持った共産主義国家などではない。北朝鮮は生粋の国粋主義者であり、同席の出席者を全く信用していない。であるから「統一した前線」などといってみてもそれはただの言葉でしかない。この会議は単に韓国の北朝鮮への同胞感を高めただけである。今後も韓国からは金正日への資金援助は十分におこなわれるであろうし、その資金は武器生産に使われるであろう。 アメリカがいくら北京にもっと北朝鮮に圧力をかけるようにと要請してみても、同盟国である韓国に対してなにもできないアメリカが中国に何を期待してみても無駄だろう。

韓国は北朝鮮とは同じ国とはいえない。たとえ血族でも北朝鮮は韓国を攻めた敵であり、停戦中とはいえ朝鮮戦争は完全に集結したとはいえないのである。それに比べて韓国が現在目の敵にしている日本は確かに過去に朝鮮半島を侵略したが、それは北朝鮮が韓国を攻めたのよりも前のことだ。しかもその戦争は日本の敗戦という形で終わっているし、今の日本の政府は軍事独裁主義から民主主義へと生まれ変わったまったく別の政府である。だが北朝鮮の政府は韓国を攻めた時と全く同じ政権だ。それを同民族というだけで支持する韓国のやりかたはあまりにも原始的である。
北朝鮮は韓国からも何百人という人間を拉致している。北朝鮮は韓国人を同族だなどとは考えていない。ノムヒョン大統領が本気で北朝鮮からミサイルが飛んでこないと思っているのだとしたら気違い沙汰としか思えない。ノムヒョン大統領の支持率はたったの10%というから、一般の韓国人は大統領ほど愚かではないのだろうが、それでも血にまどわされて本当の味方である日本やアメリカを敵にまわす行為はすぐさま改めて欲しい。


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中山首相補佐が拉致問題記事で米紙に抗議投稿

先日カカシが日本右翼は拉致問題を政治利用しているか?で紹介したニューヨークタイムスに載った拉致問題の記事だが、中山首相補佐がニューヨークタイムスと提携しているインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に抗議の手紙を投稿したようだ。(Hat tip 阿比留瑠比さん)
 

第一に、北朝鮮による日本人拉致問題が(政府によって)政治的な思惑のために利用されているという事実はない。この問題は、自国民の救出の問題である。
 日本人拉致被害者の多くは北朝鮮に30年近くも監禁され、全ての自由を奪われている。拉致被害者が自由と尊厳を取り戻すためにあらゆる支援を受けるのは当然である。拉致被害者の救出は日本政府の使命である。
 第二、拉致問題はまさに現在進行中の問題である。たった5名の拉致被害者が2002年に帰国しているだけであり、北朝鮮は、それ以外の拉致被害者が死亡あるいは入国していないとする自らの主張を裏付ける説得力ある証拠を示していない。
 最近、国連総会で北朝鮮の人権状況決議が採択されたことも、拉致問題を解決する必要性が国際的に認識されつつあることの表れである。   
内閣総理大臣補佐官(拉致問題担当)中山恭子

阿比留瑠比さんによれば、拉致問題対策本部は拉致被害者家族の要望と、中山氏の考えで北朝鮮からのプロパガンダにもきちんと答えていくことにしたとある。ニューヨークタイムスが北朝鮮のプロパガンダを掲載したとはいわないが、それに近い報道であったことは確かだ。
私のアメリカ人の友達の間でも日本が戦後どれだけ中国、韓国、北朝鮮に対して戦時中の旧日本政府の所行について謝罪を繰り返し経済援助をしてきたか全く知らない人が多い。ましてや拉致問題などほとんどの人が知らない。であるからニューヨークタイムスが拉致問題はすでに決着がついているなどと書けば、読者はみな「へえそうなのか」と簡単に信じてしまう。
しかしどうせなら編集者への手紙などという読者の投書欄などではなく、反論としてコメント欄に載せてもらうくらいはしてほしかった。日本政府ならそのくらいの幅をきかせてもよかったような気がする。


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民主党イラクへ二万人増兵へ方針転換か?

昨日ラムスフェルドの後任として大統領に任命されていたゲーツ氏が議会の承認を受け、正式に次期国防長官となることが決定した。 

ワシントン──米上院本会議は6日、ブッシュ米大統領から次期国防長官に指名されたゲーツ元中央情報局(CIA)長官を、95対2の圧倒的賛成多数で正式承認した。

反対票を投じた2人はともに共和党議員だった。民主党議員らは、米国がイラク戦争に勝利しているとは言えないと語ったゲーツ氏が、今後のイラク政策についてブッシュ米大統領に率直に助言することを期待し、同氏の指名を好感したもよう。ただ、米国民は国防総省のトップの交代以上に、イラク政策の包括的な転換を求めているとの指摘もある。
ゲーツ氏の指名は、前日の上院軍事委員会で全会一致で承認されていた。同氏は18日に宣誓就任する。

ゲーツ氏任命の際の公聴会でゲーツ氏が「米国がイラク戦争に勝利しているとは言えない」と発言したことがアメリカメディアでは大きく取り上げられているが、だからといって必ずしもゲーツ氏はいますぐアメリカ軍はイラクから撤退すべきであるとは言っていない。以下はAPの記事より

ゲーツ氏はアメリカ軍の撤退をいつ始めるかという質問に対してはっきりした返事をせず、「現地での事情による」とだけ答えた。また氏は確認でき次第イラクへ行って米指揮官たちと相談するつもりだと語った。

後に軍撤退の時期を特定して発表するかという聞かれたことに関して、そのような日程はアメリカの弱さを象徴するものであり「(敵に)どのくらい待てば我々が去るかを伝えるようなものだ」と語った。

これなら今までブッシュ大統領がいい続けてきたこととなんら変わりはない。民主党議員たちはゲーツ氏がイラクでアメリカが勝っているとはいえないといったことだけに喜んで、では実際にイラクでアメリカはどうすべきなのかという話には注目しなかったのだろうか? いや、いくら民主党といえどそこまで間抜けではない。
以前に私は民主党勝利=イラク撤退ではない!と書いた。むしろイラクで決定的な勝利をおさめるためには増兵すらあり得ると書いた。この予測をばかばかしいと一笑に伏した輩もいるが、実は新しく民主党ペロシ下院議長から下院諜報委員会の委員長に任命されたテキサス州下院議員(民主党)のシルベスター・レヤズ氏がイラクへ二万人の増兵を考えていることを公表した。レヤズ議員はイラクのスンニとシーアの民兵は崩されなければならないと語った。
イラク増兵を訴えているのは政治家だけではない。現地の将軍たちもその必要性を訴えている
前回の民主党の勝利と、ラムスフェルド長官の辞職によって、アメリカのイラク政策はイラクより軍隊撤退だと考えていた人たちは、かなり的外れな期待をしていたのかもしれない。


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