アメリカ陸軍、志願兵激減の危機

本日アメリカ陸軍は史上最悪の志願兵不足に危機的状況であるという記事を読んだ。Army recruiting crisis: shortage of soldiers despite record bonuses (usatoday.com)

このUSATodayの記事によると、米陸軍は1973年に志願兵のみの軍隊に変わって以来史上最悪の志願数という危機状態だという。

好景気の時は軍隊への志願数が減るというのはよくあることで、今年は失業率が3.6%という50年以来の低さが原因ではないかと同記事は分析しているが、コロナ禍で若者の間で生まれた新しい生活習慣も影響があるのではないかとしている。

ペンタゴンはヨーロッパ駐留軍に2万人を追加し10万人に増やしたばかりだ。この状態で兵士が足りなくなるというのはかなりの問題だ。(翻訳DeepL)

  • 魅力的な民間雇用市場と有能な候補者の減少により、陸軍は隊員の補充と重要な任務の遂行に必要な若者の数が決定的に不足している。
  • 4月までに陸軍が採用した兵士の数は目標の68%で、目標より8,282人少なかった。海軍は1,473人の水兵が不足し、目標に8%届かなかった。空軍、海兵隊、宇宙軍はいずれも目標を達成または上回っていた。
  • 陸軍は、6年間の入隊を約束した新兵に対して、過去最高額の5万ドルのボーナスを支給することになりました。陸軍は6月の1週間、新兵に高校卒業資格かそれに相当するものを与えるという条件を取り消した。
  • 水曜、陸軍幹部は、陸軍を理解し、兵士としての生活を思い描くことができず、軍を含む米国の制度に対する信頼と信用を失いつつある米国人が少ないことを指摘し、募集の問題についてのメモを発表した。

クリスティン・ウォーマス陸軍長官とジェームス・マクコンビル(将軍)陸軍参謀長は志願兵を46万6千人に増やすべく新方針を発表した。なにしろこのままだと今年度末の9月30日までに44万5千人程度しか集まらない見通しだからである。

陸軍当局によると、軍人年齢の17歳から24歳のアメリカ人で軍人にふさわしい精神的肉体的なレベルの若者はおよそ23%程度だという。コロナ禍で在宅勤務に慣れた若者の生活スタイルは軍隊とは対照的だ。才能ある若者の軍隊離れは深刻である。

しかし原因はそこにあるのだろうか? この記事には書かれていないが、米軍への入隊希望者が減っているとしたら、それは今の軍隊の姿勢に大きな問題があると私は考える。だいたい最近の軍隊のリクルートコマーシャルでレズビアンカップルに育てられた女性の話を起用したり、トランプ大統領が禁止していたトランスジェンダーの入隊許可が始まって以来、ネットでは化粧した男子兵士の動画だの訳の分からないWOKEな軍人の動画で溢れかえっている。

陸軍リクルートコマーシャル

それに加えてアフガニスタン撤退の無様ぶりも記憶に新しい。こんな虹色に染まったアメリカ軍にいったいどういう若者が志願するというのだ?

アメリカ軍が全志願兵制度になってから、軍隊に志願する若者には特徴がある。これは家族の経済状況や人種や階級よりも地域的なものなのである。ちらのサイトに詳しい統計が掲載されている絶対数から言えば志願兵が一番多いのは人口の多いカリフォルニアやテキサスなのだが、人口の割合からいうと上位10州は、1サウスダコタ、2ハワイ、3アラスカ、4フロリダ、5ジョージア、6コロラド、7アラバマ、8テキサス、9ノースカロライナ、10ネバダの順である。

Joining the Military photo

伝統的にこうした州からの志願兵が多いというのも、軍隊に志願しようと思う若者の多くが家族に軍隊経験者がいる。2019年の統計によれば、ほぼ8割がたの志願兵が家族に少なくとも一人軍隊経験者がおり、なんと25%が親が軍人の家庭だ。親や親せきから過去の武勇伝を聞かされたり、軍隊で勤めることは愛国者としての義務だと聞か割れて育てば、そりゃあ自分も軍隊に入ろうという気にもなるだろう。

しかし愛国心溢れ冒険を求める若者にとって、今の軍隊は魅力的な場所だろうか?

だいたい軍隊に憧れる若者が求める者とは何か?すでに銃を持って狩りをやってるようなアウトドアな若者たちが軍隊で何をしたいと思うだろうか?

LGBTQ+αに染まった軍隊が彼等を惹きつけることができると思う方がおかしいのだ。

ここでアメリカ軍がイラクで苦戦していた2007年頃のリクルートの状況を書いた拙ブログのエントリーを張っておこう。当時アメリカ軍は長年の泥沼状態からはい出しつつあった頃であり、戦死者や負傷者の数もかなり多かった。しかし一番最前線に送り込まれる可能性の高い海兵隊は志願兵が減っていなかったという内容だ。米軍隊志願兵が減っているという嘘 – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)

イラク戦争が不人気なため志願者の数が減っているというのが本当だったとしたら、戦場へかり出される可能性が一番高い隊が一番不人気になるはずであるが、実際はその逆である。

戦争において一番危ない戦場へ送り込まれるのは誰かといえば、それは圧倒的に海兵隊だろう。その次が陸軍でむろん空軍は常に危険な空を飛ぶことになる。海軍は比較的安全だが、それでも中東で戦争が起きていれば長期にわたる出動が期待される。また正規軍と比べて予備軍や州兵隊は後方の援護が主な任務であり最前線にいく可能性は低い。それを考えると現在軍隊に志願した若者の傾向は実際に戦場へいく可能性の高い部署ほど人気があるということになる。

それでは最後にロシア軍のリクルートコマーシャルを掲げておこう。君が男ならどっちの軍隊に入りたいかな?


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ロシア・ウクライナ戦争の機密情報を漏洩した21歳の州軍空兵逮捕される

先日ロシア・ウクライナ戦争に関して、ウクライナ国内におけるアメリカやNATO軍の関与に関して機密情報を漏洩した21歳の州兵軍の一等兵が逮捕された。私は機密情報をを漏洩する行為は許せない。特にわが軍の位置や作戦を敵に漏らすような行為は非常に危険だ。

逮捕されたのはジャック・ティヘラ、21歳。マサチューセッツ州の州軍空軍の一等兵。航空警備隊所属で専門はサイバー輸送システム、いわゆるIT専門家だ。彼は「ウクライナに対する米国およびNATOの援助や、米国の同盟国に関する米国の情報評価について詳述」されてる書類の写真をディスコード(Discord)というソーシャルメディアにアップした。

興味深いのは彼の逮捕にはワシントンポストの調査がかなり貢献しており、言ってみればポストが警察の捜査に手を貸したのである。これは非常に不思議な状況だ。これまでにもトランプ政権内部の情報が漏洩したことがあるが、メディアはその情報元を隠すのが普通だった。ところが今回に限ってはメディアは政権の手先となって情報源の暴露に手を貸している。本来であれば、こういう情報こそメディアがこぞって入手し、ティヘラ本人に色々インタビューでもするのがジャーナリストとしての本筋ではないのか?それを早々に本人の逮捕に率先して協力し政権に不都合な情報元の口を塞ぐというのはおかしな話である。

機密情報を漏らすというのは決して許されることではないが、今回の場合、これは単なる漏洩というより内部告発であるという意見もある。それというのも露・ウ戦争の実情はバイデン政権が国民に知らせていた内容とかなり違っていることがわかってきたからだ。

ワシントンポストによるとティヘラはディスコード内部の招待客のみのプライベートチャットに情報をアップしていたらしい。

「(ティヘラ)は政府に対して暗い見方をしていた。若いメンバーは、米国、特に法執行機関や情報機関を、市民を抑圧し、闇に葬ろうとする不吉な力として話していたという。彼は “政府の行き過ぎた行為 “についてわめいた。OGはオンライン仲間に、政府は恐ろしい真実を国民から隠していると話した。」

しかしチャットルームのメンバーたちは、ティヘラはメンバーたちに自分の知識をひけらかすことのほうが目的だったような感じだったと語っている。ではいったいどのような情報が漏洩したのか。APの記事から引用。

「文書は、ウクライナに対する米国およびNATOの援助や、米国の同盟国に関する米国の情報評価について詳述しており、これらの国との関係を緊張させる可能性があると思われる。

また、2月と3月のウクライナとロシアの戦場での位置関係や、失われた戦場道具の正確な数、同盟国からウクライナに新たに流入した戦場道具の数など、リアルタイムの詳細を示すものもある。

また、ウクライナの重要な防空システムのミサイルがあと少しで枯渇しそうな状況も明らかになっている。そうなれば、ウクライナの空は、すでに都市やインフラに打撃を与えているロシアの空爆や砲撃にさらされることになる。

韓国、イスラエル、アラブ首長国連邦などに関するこれまで報道されなかった機密情報も含まれている。

どれだけの文書が流出したのか、明確な答えは出ていない。AP通信が閲覧した文書は約50件で、総数では数百件に上るとの推定もある。」

インテリジェンサーの記事にはもう少し詳しい情報が載っている

「ワシントンポスト紙は、リーク元に関する報道の中で、『約300枚の機密文書の写真を確認した』とし、また、他の情報報告を書き写したと思われるテキスト投稿も確認したと述べている。メディアの報道の多くは、リーク元の約100の文書のコレクションに焦点を当てている。Post紙の報道を見る限り、当初流出したのはそれよりもはるかに多くの資料のようだが、ほとんどの文書は公開されていないようである。

今回公開されたファイルは、NSA、CIA、国防情報局、DEA、国家偵察局(米国のスパイ衛星を管理する機関)が収集した情報に基づき、主に2月から3月に作成された説明文書やスライドの写真である。文書には、同盟国との共有が許可されたものもあれば、米国のみへの公開が指定されたものもあり、これは米国の情報源からのものであることを示す大きな手がかりとなった。

この文書の多くは、統合参謀本部議長のマーク・ミリー氏のために作成されたようだが、十分なセキュリティ・クリアランスを持つ人なら誰でもアクセスできただろう。最初の画像に写っている文書は、機密扱いのブリーフィングの一部である可能性が高く、折りたたまれてページを撮影できる場所に持ち去られたようです。ニューヨーク・タイムズ紙は、画像の余白にある詳細と、リークした疑いのある人物の実家の写真の詳細とを照合することができた。

流通しているリーク文書の中には加工されたものもあるようだが、どうやらそれはリークされた後に親ロシア派のプロパガンディストによって行われたようだ。」

機密情報の漏洩は決して許されることではないので、この青年は厳重に罰せられなければならないが、しかしウクライナの戦況は我々が知らされてきているほど好況とは言えない。

政権が現在続行中の戦争に関してすべての状況を詳細に国民に説明する義務はない。そんなことをしたら敵に我々の手中を知られてしまうからだ。しかしだからと言って、負け戦をあたかも勝ち戦であるかのように報道することは国民への裏切りだ。メディアが政権のいいなりになって大本営報道しかしなければ、国民はこの負け戦のために血税をウクライナに送っていることすら知らずに生きていくことになる。

今現在アメリカのインフレはものすごいことになっている。卵一ダースが1000円もするのだ!

ロシアへの経済制裁は何の役にも立っていない。それどころかかえって欧米の燃料が足りなくなり庶民は恐ろしいほどの値上げに苦しんでいる。

前にも書いたが、カリフォルニア今期の冬は例年になく雨季が長く続き、気温も摂氏0度から10度程度の日々が三か月以上も続いた。この間に天然ガスの値段が4~5倍に跳ね上がり、苺畑家の暖房費は普段の10倍!もっと大きな家に住んでいる家庭では、ガス代の自動引き落としの最高金額の400ドル(5万円近い)を越してしまい、ガス会社から上限を引き上げるように要請が来たという。

未だにコロナ禍の悪影響で経済的に復帰していない人が多くいるというのに、それに煽りをかけるようなこの不況。そして続くウクライナの戦争。

すでにウクライナにはアメリカ軍の特別部隊が出動していることが今回の漏洩ではっきりした。つまりアメリカはすでにロシアと戦争をしているということになる。こういう大事なことは大統領だけの決断で決めてはいけないはずだ。議会はどうなっているのだ?

軍事機密情報の漏洩はいけない。だが、そうしなければならないと思った兵士の気持ちもわからないではない。


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21人の犠牲者を出したテキサス小学校での乱射事件、警察の不手際が原因か

先日テキサス州のウヴァルデ市(UVALDE)の小学校で18歳の青年により19人の小学生と2人の教師が殺された事件で、警察の対応に致命的な間違いがあったのではないかという話が出ている。

それでは当日何が起きたのか、時系列を追ってみよう。

テキサス州の公共安全局、マッククロ―局長によると、犯人の名前はサルバドル・ラモス18歳。

  • 午前11:27 a.m.: 校舎の扉が教師によって開けられた。
  • 午前11:28 a.m.: ラモスのトラックが学校近くの堀に突っ込む。扉を開けた教師は自分の電話を取りに一旦校舎のなかの部屋に戻る。近所の葬儀屋から二人の男性がトラックに近づこうとしたが、銃を持った男が出て来たため葬儀屋の方へ逃げ戻る。男は男性達の方に発砲するが弾はあたらなかった。
  • 午前11:30 a.m.: 教師と思われる人から911に交通事故と銃を持った男のことが通報される。
  • 午前11:31 a.m.: ラモスは学校の駐車場の最後の列に差し掛かる。 ラモスは学校に向けて発砲し始める。警察の車は葬儀屋の方へ向かう。学校区の警官が他の学校から呼び出され駆け付け、ラモスを車で追い抜く。この時ラモスは車の影に隠れて構えていた。警官は教師たちを容疑者と思い、彼らの方へ車を走らせる、
  • 午前11:32 a.m.: 数発の弾が学校に向けて発砲される。
  • 午前11:33 a.m.: ラモスは校舎内に入る。そこでラモスは111号室と112号室に向けて発砲しはじめる。この二つの部屋は隣同士でドアで繋がっている。この時点でラモスはすでに100発も発砲している。
  • 午前11:35 a.m.: ウヴァルデ警察から三人の警官が男が入ったのと同じドアから校舎に入る。すこししてさらに三人の警官と副保安官が校舎に入る。
  • 午前11:37 – 11:44 a.m.: さらに16発が発砲される
  • 午後12:03 p.m.: 合計19人の警官が廊下に集まった。この時112号室にいるという少女から911への電話があり、ひそひそ声ですでに同級生の何人かが殺されたと語る。
  • 同じ少女がその後10分に二回911に電話をして助を求める。
  • 午後12:15 p.m.: 国境パトロール部隊が到着。
  • 午後12:16 p.m.: 同じ少女が再び911に電話し8~9人の生徒はまだ生きていると告げる。
  • 午後12:19 p.m.: 別の少女が111号室から電話をかける。また最初の少女もこの後2回以上911に助けを求める電話をかけている。
  • 午後12:50 p.m.: 数人の警官が鍵をつかってドアを開けて入る。警官がラモスを射殺する。

この時系列を読んでいて、この事件は銃規制だのなんだのと言う話をする以前に、現場の教師や駆け付けた警官の不手際が目立ちすぎて腹が立つ。

先ず男がトラックの事故を起こし、トラックから銃を持って出て来て葬儀屋の男性二人に発砲した時点で、何故校舎のドア付近に居た教師はすぐにドアを閉めて鍵をかけなかったのだ?男が駐車場で銃を発砲している間に、教師はすぐに学校中を駆け回って反対側のドア、もしくは窓から子供たちを避難させることはできなかったのか?ともかく逃げ場のない教室に閉じこもるのは一番危険なことのはずだ。

アップデート: 5月31日現在、実は教師はドアを開け離しにするために石でドアを止めていたのだが、男が銃を持っていると知った瞬間に石を蹴ってドアを閉めた。しかしなぜかドアの鍵が閉まらなかったことが後になって分かっている。

ラモスが校舎に入った2分後にはすでに警官が校舎に入っている。何故これらの警官はラモスを追いかけて111号室に入らなかったのだ?鍵など探さなくても蹴破るか、もしくは外側の窓から入るかすべきだったのでは?子供たちが教室のなかで次々に殺されているのに何故一時間も外に居たのだ。19人も集まって何をやっていたのだ?

警察の記者会見で、記者の一人がドアを蹴破るなり窓から入るなりしようとは思わなかったのですか、と問い詰めると局長はそれはしなかった。明らかに間違った決断だったと語った。間違ったじゃすまないだろうが!19人の子どもと2人の教師が死んだんだぞ!

バイデン大統領はウクライナの防衛のために400億ドルを送るという。そんな金があったら、全国津々浦々の学校に武装した警備員を数人常備させることが出来るだろう。外国の戦争のことより自国の子どもたちの命を守ることが先決ではないのか?

何の役にもたたない銃規制とかろくでもないことを言ってる場合か!

何度も書いているように乱射事件を銃規制で止めることは出来ない。銃を持った悪人を止められるのは銃を持った善人だけなのだ。今回テキサスの警察は完全に大失態を起こしてしまった。

アップデート:最終的に犯人を射殺した国境警備隊は、到着当初地元警察に阻止されて一時間近くも中に入れなかったそうだ。また、警察が何もしないので校舎に入って子供たちを救おうとした親たちは、反対に警察に手錠をかけられたという。いったいこの警察なにやってたんだ?Border Patrol Team Who Ultimately Killed Shooter Were Blocked From Entering School By Uvalde Police for Nearly an Hour | TIMCAST


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ロシアの計画通りに進んでいるロシア軍ウクライナ侵攻

先日私はロシアのキエフ撤退はロシア軍の当初の計画通りなのだと言う話をご紹介した。その続編を先日ご紹介した西田さんが書いてくださっているのでまたまた引用させてもらう。

先ずロシアは何故ウクライナ侵攻を実行したのか。ロシアは当初から停戦のための六つの条件を明確に宣言している。

  1. ウクライナがNATOに入らないことを保証、
  2. 非軍事化
  3. クリミアをロシア領と認める
  4. ドンバス地域の2国(ドネツク、ルガンスク)を独立国として認める
  5. 政権からネオナチの追放
  6. ロシア語を第2公用語に戻す

もともとロシアの軍事目的は、東部のドンバスの制圧「解放」のはずだった。ところがロシアはウクライナ各地を攻撃しキエフに向かって進軍した。これによって西側諜報はロシアの目的はウクライナ全土の支配だとかゼレンスキー暗殺だとか憶測していた。だが実は先日TillyBさんもおっしゃっていたように、キエフ進軍はウクライナ軍を足止めしておくためのおとり作戦だったと考えた方が納得がいく。

ロシアはドンバスに進軍したいが、直接ドンバスまで行くとなると道々ウクライナ軍の抵抗にあう。ロシア軍全体はウクライナ軍より規模は大きいがウクライナに侵攻した軍は20万人で、ウクライナ軍の60万よりは圧倒的に規模が小さい。能率的にドンパスを攻めるにはどうしたらいいのか?

さてここでドンパスがどの地域を指すのか地図をみてみよう。濃い黄色の部分のルガンスク州(Luhansk)とドネツク州(Donetsk)を合わせてドンパス地域と呼ばれる。

See the source image

南部のクリミアはロシアの勢力下にあるため、そこから北上は可能だが、物資の補給をするためには途中のマリウポリ(Mariupol)を陥落する必要がある。そこでロシアが出た作戦とは、、

ロシア軍は ウクライナ軍の主力を首都キエフや北部、東部、南部のそれぞれの都市に閉じ込め、ドンバスにいる最大規模のウクライナ軍を支援できなくする という戦術をとりました。

まず開戦早々、ウクライナ国内の補給線、制空権、コミュニケーション、長距離ミサイル網などを破壊 結果、ウクライナ軍はそれぞれの軍隊の間のコーディネートができなくなった。 3月27日の時点では 529のタンク、1177の軍備装甲車、160のコマンド・通信用のレーダーが破壊、 空軍と海軍消滅そしてそれぞれの地域での作戦が始まる。 北部: キエフをロシア軍で囲い込むことで、ウクライナ軍は首都防衛のために動けなくなった。 赤:ロシア軍支配 青:ウクライナ軍抵抗エリア

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以前に私はロシア軍が誤ってウクライナのインフラを破壊しすぎて、ウクライナのセルタワーなども破壊してしまい、自国軍内の通信が滞っているという話をしたが、その時よもぎねこさんが、ロシアが誤ってセルタワーを破壊したとは考えにくい。ウクライナのインフラ破壊は故意にやったことではないかとおっしゃっていた。西田さんの話を読んでいると、よもさんは正しかったことが解る。ロシアの作戦は最初からドンパスに居るウクライナ軍を孤立させることにあったのだ。

なぜロシアがこれだけの損傷を受けても撤退しないのか。それは犠牲は多いとはいえロシアは当初の目的を達成しつつあるからなのだ。すでにクリミアはほぼロシア管轄下にあるし、ドンパス地域の陥落も時間の問題。となるとロシアが提示した条件の一番大事な3と4がうまく行っていることになる。

交渉は弱い立場からより強い立場からする方がいいに決まっているが、ロシアはこの戦争に負けているどころか勝っているわけなので、今すぐ停戦する意味は全くないのだ。ウクライナが折れなければ停戦の希望は全くもてない。

西側のメディアの情報だけ読んでいると、ロシアのウクライナ侵攻は負け戦だという印象を受けるが、ここが我々西側の人間と東側の人間の考え方の違いがあると思う。つまり、最近の西側諸国の考えは軍の消耗に関して物凄いアレルギーがあるということ。

10年戦ったイラク・アフガニスタン戦争を合わせても米軍の戦死者数は8000人程度だった。イラク戦争が始まった当初、戦死者の数がまだ1000人足らずだった頃に、毎日のように戦死者が~、戦死者が~と反戦メディアががなりたてていたのをみて、それまでの戦争に比べたら、この程度の戦死者は非常に少ないと私は思ったものだ。しかしアメリカ軍は自国の戦死者を極力抑える戦略を取れるようになったせいで、西側諸国は戦争とはそういうものだと思い込んでしまったのだ。だからロシア軍がたった数週間の戦争で15000からの兵士を消耗したとしたら、ロシア軍の士気も衰え撤退するのではないかと勘違いしたのである。

しかしプーチンは、戦争には戦死者がつきものだと腹をくくっている。大量の戦死者が出ても目的を達成することが出来ればそれでいいと思っている。プーチンが冷酷非情な元KGBだからこそ出来る物量作戦なのだ。

西田さんは、ロシアの目的と戦略を理解していれば、一見ロシアが撤退しているかに見える記事も、実はロシアが作戦通り着々と目的に近づいていることが解ると指摘する。ロシアはキエフを落とせないのではない。キエフの陥落はもともと目的ではなかったのである。下記は読売新聞の記事より。強調はカカシ。

ロシア、キーウ近郊の空港から撤退…ウクライナ軍前進「30か所が管理下に戻った」2022/04/03 00:45

 【ジュネーブ=森井雄一】ロシアによるウクライナ侵攻で、米CNNは1日、露軍が首都キーウ(キエフ)近郊のアントノフ国際空港から撤退したと報じた。英国防省の2日の発表によると、キーウ周辺では露軍の撤退に伴い、ウクライナ軍が前進を続けている。一方、露軍は、軍事作戦の重心を移すと表明した東部や南部で支配地域の拡大に向け、ミサイルなどでの攻撃を強めている。ウクライナ東部のハルキウ近郊で、ロシア軍の砲撃により炎上するガス輸送管(3月31日、ロイター)

 アントノフ国際空港は、2月24日の侵攻開始直後から露軍が制圧していた。CNNは、米宇宙企業が3月31日に撮影した衛星写真と米国防総省関係者の分析を基に、空港に駐留していた露軍の軍用車両などが姿を消したと報じた。

 ウクライナ軍参謀本部は1日、キーウ周辺などの約30か所の地区が、露軍の撤退を受けてウクライナ側の管理下に戻ったと発表した。空港の南にあるブチャの市長は1日、「市が露軍から解放された」と明らかにした。

 一方、東部では露軍の攻勢が強まっている。ウクライナ軍は1日、東部ハルキウ(ハリコフ)州で輸送の拠点となっているイジュームを露軍が占領したと認めた。露国防省は、東部の複数の軍用飛行場をミサイルで攻撃したと発表した。

 南部オデーサ(オデッサ)では1日、ロシアが併合したクリミアから発射されたミサイルが着弾し、死傷者が出ているという。

 ウクライナ軍は2日、隣国モルドバのウクライナとの国境沿いでロシア系住民らが一方的に独立を宣言している「沿ドニエストル共和国」で、駐留する露軍部隊がウクライナへの攻撃を準備していると指摘した。

 一方、露軍が包囲する南東部マリウポリでは、赤十字国際委員会(ICRC)が住民の退避の支援に向け、2日も引き続き現地入りを試みている。ウクライナ大統領府の高官によると、1日にはマリウポリから独自に住民約3000人が退避したが、約10万人がいまだに取り残されているとされる。

 また、露南西部ベルゴロド州の燃料貯蔵施設がウクライナ軍のヘリコプター2機により空爆されたと露国防省が発表したことについて、ウクライナの国家安全保障国防会議のトップは1日、「事実と全く異なる」と露側の主張を否定した。

なるほど、こうして読んでいくと西田さんやTillyBさんが言っていたことが良く分かる。

ところで西田さんが参照した解説は元アメリカ軍海兵隊のスコット・リッター氏と Gleb Bazov氏とあるが、スコット・リッター氏は聞いたことのある名前だなと思った。確かこの人はイラク戦争中に、イラク大量破壊兵器の国連主任査察官だった人だが、その後にイラクに大量破壊兵器はないと言い出し、アメリカ軍のイラク侵攻に批判的な態度をとるようになっていた。それで当時は「イラクから賄賂でももらったのではないのか、この裏切り者!」と私が勝手に思っていた人である(笑)。

西田さんがロシアの侵攻経過について詳しく説明してくれているので、こちらをご参照のこと


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ロシアへの経済制裁は効き目がない説

バイデン爺が今後食料品不足は避けられないと宣言したので、一か月分くらいの食糧や必需品を揃えておく必要があると思い、主人と二人でスーパーを三軒回って色々なものをかき集めて来た。おかげでもらったばかりのお給料ががた減り!信じられないほどの出費となってしまった。それにあちこち運転して回ったのでガソリン代も馬鹿にならない。このインフレとガソリン高騰、なんとかしてくれ!

しかもバイデン爺はこの間、ガソリンの値段についても、国民がみんなで電気自動車を買えばガソリン代が一家庭平均8000円節約できるとかアホなことを言いだした。バイデンは電気自動車の相場を知らないのか?ガソリン代高騰で苦しむ庶民が一台5万ドル以上する車を簡単に買えると思ってるのか?そのローンの支払いはガソリン代の比ではない!この糞爺は全く庶民のことをなんだと思っているのだ!

何度も書いているが、バイデンがこの不況からアメリカを救おうという気持ちが少しでもあるなら、アメリカは今日からでも変わることができるのだ。だが、バイデンにその気はない。バイデンにとってロシアのウクライナ侵攻は渡りに船である。なぜなら国内における多々の問題をすべてロシアへの経済制裁のせいに出来るからだ。

ところでこのロシアへの経済制裁なのだが、一向に効果が見えてこない。ロシア軍は苦戦していると言われているにも関わらず、ロシア軍がウクライナから撤退する動きは全く見えない。いったいどういうことになっているのか。先日これもツイッターで興味深いことを言ってる人がいたので、そちらを紹介しておこう。はっきり言ってツイッターで情報の宝庫だと思うなあ。

著者はフロリダ住まいの実業家Kan Nishidaさん。彼のスレッドはこちら

「浅はかな人間は運を信じる。賢い人間は因果を信じる。」 ラルフ・ウォルドー・エマーソン ロシアにもっと制裁を!と叫ぶ人達は、 回り回って日本に災難となって帰ってくる これを想像できない、もしくは隠している。 ステップを追って見てみましょう。

ステップ1 – ロシアへの経済制裁

ステップ2- ロシアに住む市民が苦しむ ここまでは誰もが想像できますね。

ただ問題は、この制裁に期待する効果です。 市民による反乱が起きる、プーチンが折れる、クーデターが起きる などを期待しているのでしょう。 しかし。。。

これまで、アメリカによる金融・経済制裁くらって 政権が転覆したというケースはほぼないんです。 例えば、今でも制裁中の キューバ、北朝鮮、シリア、イラン、ベネズエラ 政権転覆しないどころか、むしろ現政権の権力を強め、 独裁傾向をさらに強める。

西田さんは欧米による経済制裁で転覆した政権はほぼないどころか、国民は一眼となって制裁を加えた国を憎むようになるだけで逆効果だと言う。第二次世界大戦前の日本もアメリカからの経済制裁で国民は苦しんだが、その憎しみは日本政府ではなくアメリカに向いたと指摘。

今回の制裁も、プーチンは侵攻を諦めるどころか「交渉上有意になるためにさらに軍事侵攻を拡大させる」だろうとのこと。実際ロシア軍はウクライナから撤退する様子はまるで見えないので西田さんのおっしゃる通りだろう。

またロシアへの経済制裁によって苦しむのはロシア人よりもロシアからのエネルギー輸入に依存している世界中の諸国である。例えばエネルギー生産国でない日本は天然ガスをほぼ100%輸入に頼っており、そのうちの10%がロシアからの輸入である。地方によっては広島などロシアからの天然ガスに5割も依存しているところがあるそうだ。

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天然ガスは電力にも使われている。現在原子力発電を停止している日本では深刻な電力不足が起きている。その10%をロシアから買えないのだとしたらどこから買うのか?中東から買うにしても、ガスが足りない諸外国との取り合いになり、ガス料金はもちろんのこと電気料金の莫大な値上げが予想される。ところどころで定期的な停電も避けられないだろう。

さらに、もっと酷いのは、国民がロシアへの制裁を叫ぶようになると日本がロシアに持つガス、石油の権益を手放すという話になる。 アメリカはエクソンモービルが、イギリスはBPが制裁としてロシアに持つ権益をすでに手放した。 彼らは「日本、お前も手放せ!」とプレッシャーかけてるだろう。

しかし、エネルギーを自給できない日本にはそんなに簡単な話ではない。 そもそも、日本が手放した権益はどこに行くと思いますか?

今から10年ほど前に日本が手放したイランに持っていたアザデガン油田の10%の権益 覚えてますか? あれ、まるっと中国の中国石油天然ガス集団(CNPC)が譲り受けたんです。

諸外国がロシアから輸入しているのはエネルギーだけではない。例えば、農業に欠かせない肥料をアメリカは輸入に頼っているが、そのうちの1割以上をロシアから輸入しているそうだ。この間テレビのニュースで肥料の値段が上がりすぎて非常に困っているという農家の人の話しを聞いたが、そういうことだったのか。

肥料の価格が高騰すれば、必然的に食料の値段が上がる。いまでさえひどいインフレがもっとひどいことになるというわけだ。道理でバイデン爺が食糧危機が迫っていると宣言したわけだ。

また西田さんによると、半導体に使われるネオンガスの65%がモスクワとオデッサ(ウクライナ)で製造されているという。半導体が足りなくなれば自動車のシステムや冷蔵庫や電子レンジなどの家電にも影響が及ぶ。

ロシアがウクライナのオデッサの工場を制覇できたら、そこで作られるネオンガスを経済制裁した欧米に売るだろうか?

西田さんは、欧米は、自分たちの政策がうまくいかないと解った時の軌道修正をしたたかにやると言う。コロナの件でもマスクだのワクチン強制だのうまくいかないと解ると辞めてしまう。ところが日本はそれが下手だという。

日本は軌道修正苦手です、実際マスクとかワクチンとかもまだやっていますね。 欧米では最近原子力が「クリーンエネルギー」になりました しかし、日本はまだ原発反対ですね。 もっと制裁を!と叫ぶ人たちの一番の問題は、 Exitストラテジーがないこと。

期待したことが起きなかったらどうするのか? どれくらいの期間、その「期待」が起きるのを待つのか? 待っている間、どれだけの犠牲を許容するのか、国民に押し付けるのか? 何を基準に、制裁を止めるのか?

こういった事を議論または説明することなしに、 制裁、制裁、と叫ぶのは ワクチン、ワクチン、と叫ぶのといっしょだ どれだけ国民に犠牲が出てても、真実を隠し、見ないふりでズルズル行く。

結局一番とばっちりを食うのは、国民なんです。 コロナのときは、お年寄りのため、コロナ死亡者を無くすために、という誰にも否定しにくい大義名分がまかり通り、 その結果、国民、とくに若い人、子供達の貴重な2年間が失われてしまいました。

今回も、ウクライナに住む市民のため、という感情的な議論の下、 肝心の日本の国民のため、さらに次の世代である子供たちのため、 という視点での議論が全くされていないのが問題であり、心配です。

日本は確かにそうなのかもしれないが、アメリカでもロックダウンが完全に終わるまでには二年近くかかったし、マスクやワクチン強制も止めるまでに二年半もかかった。今のバイデン政権には明確なExit Strategy(出口計画)があるとはとうてい思えない。

物価の高騰で人々は贅沢できず節約するようになるだろう。コロナのおかげで大打撃を受けたレストランや劇場など、さらに追い打ちをかけて打撃を受けるだろう。

昨日も買い物の帰りにちょっとお昼ご飯でも食べて帰ろうと主人と二人で入った日本食レストラン。うな重が一人前で30ドルもした!本当は二人前頼むつもりだったのだが、結局一人前だけうな重にして、もうひとつは半額のラーメンを注文し、うな重は二人で半分づつ食べた。せちがらい世の中である。


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ロシア軍キエフ撤退は予定通りの作戦?

本日ロシア軍がウクライナの首都キエフから撤退して再編成をしているという記事を読んだ。下記は朝日新聞の記事より。

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、米国防総省のカービー報道官は29日の記者会見で、一部のロシア軍部隊が首都キエフから離れる動きを始めたことを確認したことを明らかにした。ただ、大部分の部隊は依然として現地にとどまり続けているとして「撤退」の動きであることには否定的な見方を示した。さらに、キエフを離れた部隊が東部ドンバス地方などウクライナ国内の別の地域に再配置される可能性があるとして、強い警戒感を示した。

ロシア防衛省は、軍事作戦の第1段階の目標が完了したのでキエフとチェルニゴフ方面で部隊の計画的再編成が行われている と発表。初期段階では、ウ軍にキエフ方面に軍事装備を集中させ、都市への襲撃を避けながら作戦の主要なドンバスでの活動をしたと説明。キエフ付近からは撤退しドンバス地域のほうに力を入れるため再編成しているという。

西側の報道を観ているとロシアが軍の消耗に押されて撤退を余儀なくされており、再編成せざる負えない事態になっているという印象を受けるが、実はこれが当初から目的だったというのがロシア側の発表だ。

本日ツイッターで面白い話をしている人がいたので、そちらから引用する。彼の情報元が何なのかは私は知らないし確認も出来ないので、一応こういう話もあるということで紹介しておこう。

著者はTillyB フォロー前にプロフ読んで!@TillyBeeTillyさん。

「テレビに出ない」元CIA、元UN兵器インスペクター、元DIA、元米軍インテリジェンスなど読んだり聞いたりしてると口を揃えて「西側の戦況報道はただのシネマ」と言い切る。最初に断っておくけれど彼らは分析し呆れ果ててるだけでどちらの味方でもない。(略)

最新の勝利宣言は、キエフからロシアの大軍を押し返した「勝利」になっているが、これはこの3週間のロシアの目的がキエフの占領だ、ゼの暗殺だと仮想の物語の上での戦況報道だから。 キエフを包囲したのは、ウ軍の残存部隊の大部分を釘付けにして、露が東部と南部で攻撃的な作戦を展開をできるようにする目的。

今日の報道では目的達成と、和平交渉もありキエフ周辺の部隊を大幅に撤退。西側を攻めた露軍は無傷で空域の大部分を支配し、ウクライナの最西部にあるウクライナの基地や燃料貯蔵所を攻撃。 極超音速ミサイルの使用でNATOが対抗できない事実を露呈、そして物流拠点や燃料を攻撃することで、ウクライナの物資補給や再武装、部隊の集結を支援するNATOの取り組みが阻害されている。

西部の報道をして東部でのメインのミッションから目を背けさせる目的もあるだろう、と解析。ベトナム戦争で米国がベトコンと北ベトナムの攻撃を壮大に読み違えたのと同じ過ちをしている、と。 露が淡々と緻密に長期計画されたミッションを遂行しているのが理解出来なかったら生き残りのアゾフ隊員に聞いてみろ、と結構辛辣なコメント多し。

TillyBさんはロシアとウクライナのトルコでの会談内容についても説明してくれている。

露の攻撃規模を縮小 露国防省は、この会談の直接的な効果としてウの一部地域での軍事活動を緩和することを発表した。特に、チェルニゴフ市と首都キエフ近郊の作戦を「劇的に」縮小すると約束。国境線 開戦直前までウはドネツクとルガンスクの大部分を支配し、この地域を自国の領土と考えている。 ウ代表はキエフが1991年の独立宣言時に持っていた全領土の主権を主張することを明らかにし、妥協はあり得ないとした。 

ゼ・プ会談の条件 露は将来の平和条約交渉の最終段階の一環として、首脳会談を企画することに合意したが、通例は文書が完成し、それぞれの外相が署名した後にのみ予定することができると述べてた。

報道官の話からは難航しそうな印象。米側はブリンケンが露は和平に興味ないだろ、とか冷水発言。

これを読んでいく限り、この戦争がそう簡単には終わりそうもないことは良く分かる。


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ロシア軍、ウクライナ情報

Twitterで軍事オタクの人がロシア軍のウクライナ侵攻に関して色々面白い情報を発信してくれているので、そちらからご紹介したいと思う。これを読んでいくとロシア軍が何故こんなにも苦戦しているのかと解ってくるかもしれない。

この情報を発信してくれているのは阿部隆史氏(阿部隆史@ジェネラル・サポート (@GS_abetakashi) / Twitter)。先ずはロシア軍の死傷者の数を分析してみよう。

(三月十七日の段階で)ロシア軍は40%の兵力を損耗とある。 投入した兵力は16万だから6万4千。 つまり現有兵力は10万弱だ。 6万4千と聞けば多そうだが戦死+負傷+捕虜+逃亡を合計すればそんなもんだろう。 既に少将3人が戦死しており4人目として第150自動車化狙撃兵師団長が加わるかも知れないので戦死者だけで2万を越える事は充分にありえるし、それだけ戦死していれば3万程度の負傷や1万程度の捕虜/逃亡は存在すると考えられるからだ。

ありゃ... BBCの報道によるとやっぱ戦死したらしい。 前線に居る将官20名のうちこれで1/5が戦死したとあるが常識的に考えれば戦死者と同数以上が負傷するので将官の40%は戦力外になった考えられよう。

さてウクライナ側に国を憂うる勇士はたくさん居るが武器が無ければ戦えぬ。 ここでバイデンは8億ドルの武器の追加支援を決定した。 これまで2億ドルなので一挙に4倍だ。品目は携帯型地対空ミサイル「スティンガー」800基、対戦車ミサイル「ジャベリン」2千基などでドローンも含まれる。 これらは防勢的兵器なので攻撃には向かないが勇敢な歩兵が携行して良く準備された陣地で戦うなら強大な防衛力となる。 ただしコレらの援助物資が滞りなく到着すればの話だが...

ウクライナの狙撃兵は現場の司令官を狙って狙撃しているとはいうものの、特に位の高い兵だけを撃っているわけではないし、また、撃たれたら必ず死ぬというわけでもないので、狙撃兵による死傷者数はかなりの数になると思われる。死亡確認が取れている少将四人から推定して、一般兵の死亡者の数は7千から2万人にも上ると阿部氏は算定する。

何故戦死者数推定にそんなにも幅があるのかというと、アメリカ軍のように負傷兵が出た場合には救援が即ヘリコプターなどで現れ避難するため死亡率はあまり高くないのに比べ、ロシア軍のように負傷者が長期放置される場合とでは死亡率がかなり変わってくるからである。何にしても大事な点は戦死者の数ではなく死傷者の数。つまり戦闘員から外れた人数がどのくらいいるかということなのだ。

さて、それでは此処で「これから」を考えるとしよう。 4人の将官が戦死したとて戦争が終わったわけではない。 前線に20人の将官が居て4人が戦死したとするなら16人は残ってるわけで「これから戦死したり負傷したりする」というわけだ。 いや、既に数名は負傷していると考えられる。

素人考えだが、たった数週間の戦闘で40%もの兵を消耗したのであれば、もうこれは負け戦であり、さっさと退陣して講和談義に入るべきだろう。しかしそれが出来ないのが独裁者プーチンである。

阿部氏はここでどんな将軍たちが指揮を指揮を執っているのかを名前入りで詳細に紹介してくれているが、それは原文を読んでもらうとして、司令官たちの経歴がこの戦争には多大なる影響を及ぼしていると阿部氏は語る。

つまり、自分が戦車兵出身なら戦車兵の、空挺出身なら空挺の発想から抜け出せなのだという。軍隊で一番頭のいい人が居るのが砲兵。なので軍司令官に砲兵出身者があまりいない軍は賢い軍隊とは言えないのだそうだ。

砲兵ってのは砲を移動させて砲弾を撃つのが仕事だ。 その為には砲弾をトラックに積んで移動させてから集積しなくてはならない。 つまり事前準備に多大な時間と器材を要し計画性が必要となる。 勇猛や猪突猛進とは無縁の職種が砲兵なのだ。 ナポレオンは砲兵出身だから頭が良いのである。

今回のウクライナ戦争でトラックが64kmに及ぶ大渋滞を起こしたでしょ? ありゃ計画性が無いからだ。 計画を立案したのは参謀総長のゲラシモフ上級大将だそうだが戦車兵出身である。 戦車はキャタピラだから「道路が使えなきゃ野っ原走りゃいいじゃん」とすぐ言う。 トラックは道路以外走れねえんだよ。

そりゃ戦車兵にだって賢い人は居るが計画性の無い人が多い。 取りあえず砲弾と燃料を満載し道路じゃなくても走れる機動性があるからね。 そんで補給部隊に「おめえら何とかしろ!」と言う。

ロシア軍の高層部には空挺出身が多いが、空挺出身は勇敢だが計画性がなく諸職種連合の大部隊指揮官には向かないのだそうだ。

そりゃ空挺にも賢い人は居るだろうが諸職種連合の大部隊指揮官には向かないのである。 まずは事前準備と計画性、道路の重要性、輸送力の見積もりが旨く出来なきゃダメさ。 そんなのは幕僚がやるから不要だって? 冗談じゃないよ。 上の人がチェックしなきゃダメ幕僚か有能な幕僚か判断出来ないじゃないか。

(略) 幕僚が提出した補給計画や輸送計画にちゃんと目を通さず盲判を押す様では絶対、戦には勝てん。 勇猛さより綿密な補給計画が何よりも重要なのだ。 その部分が欠落しているのが今のロシア軍なのである。 負けて当然だ。 それにしても昔のソ連軍にはコーネフとかゴボロフとか砲兵出身の優秀な将官が居たんだぜ。 だから強かったのだ。

たしかに、今回のウクライナ侵攻には計画性がないなと素人ながらに思っていた。また戦闘軍だけ先に逝っても兵站が追いつかなければ武器や弾薬燃料や食料も足りなくなってしまう。ロシア軍は道路で立ち往生して食べるものも満足にない状況に陥ってしまった。

ロシア軍に残されているのは第49軍と第29軍及び空挺2個師団だけということだが、第29軍司令官であるコレスニコフ少将は既に3月11日に戦死しているので、すでに出動しているのかもしれない。

阿部氏は当初の戦死者には少将が多かったが、そのうちに少将は底をつき中称、大将へと戦死者が増えるだろうと語る。

その間3月26日現在、戦況がうまく行かない責任に問われ、6軍司令官のエルショフ中将が解任され、第1親衛戦車軍司令官のキーセル中将も「キーセル中将は、作戦の失敗と設定された目標の達成の欠如、ウクライナでの軍事作戦への徴兵の関与、および人員の大幅な損失の存在のために解雇された」という。解任といっても独裁者プーチンの牛耳る国。軍法会議にかけられて敗戦の罪をすべてかぶせられて阿部氏のいう「非業の最期」を遂げることになるのだろう。

ロシア陸軍には12個軍あり11個軍がウクライナ侵攻に投入された。 司令官のうち既に3人戦死、2人更迭された。 更に41軍は副司令官と参謀長が揃って戦死。 前線の軍司令官の半分近くが居なくなっちゃったのである。 こういうのを「負け戦」という。

投入されたロシア軍兵力は11個軍ではなく12個軍である事が確認された。 さて軍司令官を更迭した理由はプーチン並びに側近の罪をなすりつけスケープゴートにする為であるが他にも色々な効用がある。 まず残った7人の軍司令官は更迭されて裁判にかけられたりしちゃ堪らぬので急いで前線に出かけ一歩も退かずに死守命令を乱発しながら戦うである。

壮烈無比なる事この上ない。 だがそれは敵狙撃兵の的となる事を意味する。 なにしろ「この顔にピンときたら110番」じゃないけどこうして顔写真が出回ってるんだろうしね。 でも更迭されて名誉と命を失うよりゃ戦死した方がマシだよ

ということは、ロシア軍司令官はこれからもどんどん戦死するだろう。司令官を失った部隊はにっちもさっちもいかずおかしな動きをするから余計に犠牲者が出る。

しかし旅団長クラスまでは不名誉な更送などされたくないので前線に市が無着くかもしれないが、それ以下の兵士たちはどうなるのか。アメリカのようにノンコムと呼ばれる下士官たちの自由裁量が許されているような軍隊なら、不利になれば撤退する手もあるわけだが、ロシアのように上からの命令は絶対服従の軍隊では、負け戦と知っていても退くことが出来ない。兵士たちは嫌気がさしてどんどん脱走してしまうだろう。

だから普通は作戦中の前線指揮官を更迭したりしない。 「乃木を代えてはならん」というヤツだ。 まったくプーチン君の利敵行為は計り知れんな(笑)

これだけ読んでいると、ロシア軍に勝ち目があるとは到底思えない。たとえ最終的にウクライナを占領することが出来たとしても、多分ウクライナに残った地下組織によってゲリラ戦が続くだろうし、あまりにもインフラを破壊しすぎてしまったから、ロシア軍が得るものがあるとは思えない。子の侵攻で軍隊がずたずたにされてしまった今、それこそロシアに誰かが攻め入ったらどういうことになるのか?

妙佛さんも以前に言っていたが、独裁国家の怖いところは、独裁者は実際に自分の行動が国のためになるかとか、国民のために有益かなどということは全く考えずに行動する。だからこんな戦争ロシアにとって何の利益もないと普通なら考えることでもプーチンはやり通してしまうのである。


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ロシア軍の損失、10年続いたアフガニスタン侵攻を上回る

数日前にロシアの戦死者の数が一万五千近くなっているという話を聞いた時、まさかそんなバカなと思った。20年続いたアフガン・イラク戦争での米軍戦死者の数がせいぜい8000人程度だったことを考えると、ほんの数週間で15000人の戦死者なんてあり得ないだろうと思ったからだ。しかし本日ネットで拾った情報によると、ロシア軍の損失は10年続いたアフガニスタン侵攻の数をすでに上回っているという。下記の表、左側が1979年から1989年まで続いたアフガニスタンでの損失。右側がウクライナ侵攻でのこれまでの損失。一番上が戦死者の数。そのすぐ下が将軍の戦死者だ。

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断っておくが、この数はウクライナ側からの発表なので、実際こんなにひどい損失があったのかどうかは分からない。少なくともロシア政府は公式発表をしていないのでこれが正確な情報であると確信することは出来ない。私個人の意見としては多すぎると思う。

しかし、ロイターの記事によれば、去る23日(3・23・22)ロシアでは黒海艦隊の副司令官Andrei Paliy艦長の葬式が行われたとある。戦死者の合計もさることながら、複数の重要な将軍たちが戦死していることはロシア軍にとっては大打撃である。

ウクライナ発の情報によると、ロシア軍は6人の将軍とともに大佐など高官の戦死者がかなり居るとのことだ。

実際に6人もの将軍が戦死したかはともかく、高階級の将校が何人も戦死しているということは、ロシア軍の諜報能力にはかなり不足があると言わなければならない。ロシア軍はウクライナ軍の砲の位置をしっかり把握していなかったようだ。それに比べてウクライナ軍はロシア軍の特に司令官の位置をその携帯のシグナルから確定出来ていたようである。

ロイターの記事を読んでいて学んだことは、ロシア軍は非常に中央集権であるため、伍長などのいわゆるアメリカ軍でいうノンコムという下士官による判断が許されていない。アメリカ軍の強みは大佐や将軍の命令を受けなくとも、現場に居る伍長クラスの判断で即座に決断を下すことが出来ることにある。ロシア軍にはその仕組みがないため、高階級の司令官がわざわざ第一戦に出ていくことになり、その分危険にさらされてしまうということらしい。

実は日露戦争の時も、日本海軍は現場司令官にかなりの決断権をゆだねていたが、ロシア軍は上からの命令を待っていなければならず、連絡が遅れて日本軍のような臨機応変な作戦が立てられなかったという話を聞いたことがある。

ところでウクライナ軍がロシア軍高官の居場所を彼らの携帯のシグナルで追っていたという話だが、別の記事、The Ukrainians Are Listening’: Russia’s Military Radios Are Getting Ownedによると、ロシア軍はウクライナのセルを使っているため、ロシア軍の情報はウクライナ側に筒抜けなのだという話である。

アメリカの郡専門家の話によると、ロシア軍はウクライナ侵略にこんなにてこずると思っておらず、長期にわたるコミュニケーションシステムをきちんと用意していなかったのではないかという。それでウクライナ軍はロシア軍のラジオ通信を妨害したり、将軍の居場所を確定して狙撃するなどしているという。

ロシア軍はまた、彼等の秘密伝達システムがきちんと機能しないため、暗号化されていない普通の携帯を使うなどしているため、ウクライナにはロシア軍の情報が駄々洩れになっているというのだ。

そしてこのコミュニケーションの問題は、地上軍と空援軍との連携プレーがきちんとできないという弊害を及ぼしている。イラク戦争の時に色々学んだのだが、アメリカ軍は地上軍が敵陣に大量の兵士で「突撃~!」などとやるような戦争はもうしない。地上軍の役割は敵の陣営を確定し、それを空援軍に知らせて空からピンポイントで標準攻撃をするのだ。めったやたらな突撃は兵士を大量に損失させるだけで効率が悪い。また意味のない無差別空爆は民間人を多く巻き込むだけでなく、弾と燃料の無駄づかいである。

しかしロシア軍はこの無差別攻撃をやってしまったため、暗号化コミュニケーションに必要な3Gと4Gの携帯コミュニケーションタワーをも破壊してしまった。

ロシア軍はウクライナのインフラをここまで破壊する計画ではなかったはずだと専門家は言う。ロシア軍はウクライナを迅速に制覇し、なるべくウクライナは無傷のまま占領してしまおうと思って居たはずだ。

またロシア軍は戦闘員たちに適切な訓練をしておらず、ウクライナ国境に居た隊は自分らがまさかウクライナに侵攻するなどとは思ってもいなかったため混乱が生じた。ウクライナ攻撃が命令されてからたったの24時間でどこの隊が何処を攻めるのか、誰がコミュニケーションをコントロールするのか全くといって準備がされていなかったため、なんと一般市民がどこからでも聞こえるような周波でウォーキートーキーラジオを使ったりしていたというのだから驚く。

こういうおかしな戦争をやってしまうというのも、プーチンが独裁者ならではのことだ。たとえ軍内部に、この作戦は愚策だと思ってる人がいたとしても、独裁者であるプーチンに意見できる人など、もうロシアには残っていないのだろう。

もっともアメリカ軍だってバイデンによるアフガニスタン撤退時に信じられない作戦をとって無様な失態を犯しているので、人のことは言えないけどね。


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バイデン一家とウクライナの汚い関係

ニューヨークタイムスが今更認めたハンター・バイデンのラップトップは本物だった事実

2020年の10月、いわゆるオクトーバーサプライズで、ハンター・バイデンがコンピューター修理店に置き忘れたラップトップ(ノートパソコン)の中に、バイデン一家がウクライナのエネルギー会社と何やら怪しげなビジネスをしていた情報が入っていたというニュースがワシントンポストによって暴露された。しかし当時、バイデン支持のビッグテックや主流メディアは必死にこの情報を隠ぺいした。ツイッターはワシントンポストの口座を凍結し、フェイスブックや他のSNSでも、この情報が拡散出来ないよう厳しい検閲が行われた。

トランプ大統領はこの件に関してテレビインタビューでも話そうとしたが、インタビュアーは「確認できない」と何度も繰り返し、トランプとそのスタッフが提供した資料を読もうともしなかった。

ところが今になってニューヨークタイムスは、修理店に預けられたコンピューターがハンターのものであったことを静かに認めた。下記はTotal News Worldより。強調は原文のまま。

ジョー・バイデンが大統領になって1年以上経った今、ニューヨーク・タイムズは、悪名高いハンター・バイデンのノートパソコンが本当に大統領の息子のものだったことを静かに確認した。

2020年の選挙の数週間前にニューヨーク・ポスト紙が掲載したラップトップの話は、主流メディアやソーシャルメディア大手によって積極的に検閲され、”ロシアの偽情報””根拠がない “とされた。

「捜査に詳しい人々は、検察がバイデン氏とアーチャー氏らの間で交わされた、ブリズマやその他の海外事業活動に関する電子メールを調査したと述べた」とタイムズは書いている。

当初、タイムズは、ジョー・バイデンと、ハンター・バイデンが取締役を務めていたウクライナのガス会社ブリスマとの間の会合が行われなかったと推測している。「バイデン陣営の広報担当者は、バイデン氏の公式スケジュールには2人の会合が記載されていないと述べた」タイムズ紙は2020年10月にこう書いている。

しかし、2021年9月の時点では、ラップトップの話はまだ “根拠がない “と言っていた。

ハンター・バイデンのノートパソコンには、長男バイデンが副大統領を務めていた時に、父親の影響力を利用してビジネス取引を行ったという証拠が含まれていた

息子の依頼で、ジョー・バイデンは、エネルギーや東欧での経験がないにもかかわらず、高給取りの役員としてハンターを雇ったウクライナのエネルギー企業ブリズマの顧問、ヴァディム・ポジャルスキーと会ったと伝えられている。

2020年の大統領選挙を追っていた我々からすれば、このニュースは新しいものではない。最初から、あのパソコンがハンターのものであったことは間違いなかった。バイデン一家とプリズマとの怪しげな関係もバイデンが副大統領の頃から言われていたことだ。

問題なのはこの情報が厳しく検閲されたことだ。実は選挙後のアンケート調査で、もしもハンター・バイデンのスキャンダルについて知っていたら、バイデンには投票しなかったと答えた人が結構いた。もしこの情報が正しく報道されていたなら、民主党による選挙違反があったとしても、トランプは楽勝出来ていただろう。

バイデンが大統領になってからアメリカでも世界でも全く良いことがない。正しい情報を検閲してバイデン政権設立に一役買ったメディアもビッグテックもその責任は重い。

リンク先のTotal World Newsではパソコンの中にあった電子メールの内容についても色々紹介しているので是非ご参照のこと。下記はその一部。

ハンター・バイデンの「地獄のハードディスク」に保存されていた未公開の電子メールには、ジョー・バイデンが息子のウクライナでの天然ガス複合企業ブリズマ・ホールディングスとの有利なビジネス取引に関与していたという、これまでにない証拠が示されていることが、明らかにされた。

ハンター・バイデンが当時の副大統領バイデンと、ブリズマボードのパートナーであるデボン・アーチャーと一緒に会議をしていたことがEメールで明らかになった

この会議のわずか数日後、ジョー・バイデン副大統領(当時)がウクライナを訪問し、ハンターとアーチャーの2人は、経験のないエネルギー会社ブリズマから多額の小切手を受け取るようになる。

財務省の記録によると、ハンター・バイデンとデボン・アーチャーの2人は、その数週間後の2014年5月から、ブリズマからの電信送金による支払いを受け始めた。これらは合計で400万ドルを超えた。


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ロシアへの経済制裁は得策か、欧州の立場から考える

ツイッターで欧州の立場からロシアへの経済制裁はそう簡単にはいかないという話をしていた人がいたので、こちらに引用する。著者は松尾豪さん。バイオを読むと「国内外電力市場・制度の調査を行っています。コメントは殆ど備忘録。CIGRE会員、電気学会正員、公益事業学会会員 資料・図表引用などのお問合せはgo.matsuo@eesi.co.jpまで。」とある。

私は、拙速な対露制裁について疑問を持っている。米国内の政治状況は不勉強なので言及しない。どちらかというと、私の問題意識は欧州委員会にある。 今回、ストラスブールの欧州議会に対露制裁を提案したのは、フランス・ティメルマンス上級副委員長である。彼は、「European Green Deal」担当、即ち環境政策担当である。

どうも、「再エネ導入」が目的化しすぎているのではないか。何故今日の事態を招いたのか。 社会経済を維持しながら、ロシアに対して最大限の打撃を与える方法は一体何なのかを考えるべきであるが、欧州委員会の再エネの更なる導入は論理的な解決になっているとは思えない(化石燃料大増産による資源価格低下を目標にすべきではないか?)。

再エネ導入を否定しているのではない。 短期・中期・長期の政策を一緒くたにして再エネを絶対視し、肝心のロシアへの打撃を与えることができない、目的不在の政策、戦略の不備を指摘しているのである。

もっとはっきり言いましょう。 エネルギー資源の対露制裁はロシアを利するだけです。資源価格の高騰を呼び、ロシアの販売量が減少したとしても、それを補って余りあるほどの収益を資源価格高騰で埋めることができる。西側諸国は一旦立ち止まって、本当にロシアに対する対応策を真剣に考えるべきだと。

もっと申し上げると、これは本物の戦争です。SDGs的な雰囲気が見受けられ、空気・流れで対露制裁が決まっていく風潮に大変な疑問を感じています。 ロシアが痛みを感じる制裁であるべきで、再エネ導入や資源禁輸が目的化するなど、あってはならないことです。これは人命がかかっている話です。

まったく松尾氏のおっしゃる通りなのだ。ロシアから原油を買えなくなれば、よそから買わなければならなくなるわけで、原油の供給が減る分値段が上がる。結局ロシアから買うしかない国々がその分高くなった原油をロシアから購入するためロシアにとってこの制裁は痛くも痒くもないというわけ。

では一体我々西側諸国はどうすればいいのか。それは松尾氏のいうように長期的な計画を立てて、それぞれの国が自給自足できるようなエネルギー生産に力を入れることである。ドイツにはすでに原発を再稼働させるという手立てがあり、これは今すぐにでも出来ることだ。

アメリカはバイデン耄碌爺が就任する前の、トランプ時代の生産に戻ればいいだけの話。これは明日からでも実現できる。自国でエネルギー生産可能な国はどんどん生産に力を入れるべきなのだ。そうやって原油や自然ガスの供給を増やし市場を溢れさせる。それによってエネルギーの値段は下がり、ロシアからの購入量も減り、ロシアに大きない痛手を負わせることができる。

アメリカやカナダによる原油や自然ガスの生産は、世界中にとっても良いことだ。特に貧しい発展途上国にとってはエネルギーの値段が下がって非常に良い結果を生む。イスラムテロリストを生み出す中東を無駄に肥やす恐れもなくなる。

もし左翼リベラルが本気で世界平和を望んでいるなら、世界各国が原発やパイプラインやフラッキングをすることを奨励すべきである。日本が原発再稼働をすべきなのは言うまでもない。

武漢ウイルスにしろロシアのウクライナ侵攻にしろ、自国のサプライチェーンやエネルギーを他国に依存することの危険性が我々平和ボケ現代人にも良く分かったはずだ。ここはウクライナ可哀そうという同情心だけでなく、頭を使って長期的な戦争に備えよう。


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