米大統領予選、ニューハンプシャー州はいかに?

アイオワコーカスの後は火曜日に迫ったニューハンプシャー州の予選。まずは支持率の比較からいってみよう。
まずは民主党。リアルクリアポリティクスによれば、バラク・オバマが1点から12点差でヒラリーを抜いているかと思えば、別の二つの調査ではヒラリーが4点から7点優勢とあり、なんだか訳が分からない。一番信用度の高いラスマスンの調査ではオバマが10点差で優勢。このへんが現実的なのではないかな。ジョン・エドワーズは資金切れでニューハンプシャーにはあまり力を入れて選挙運動をしていないらしく、ちょっと距離をおいて三位。ここはオバマ対ヒラリーの戦いになりそうだ。
アイオワとニューハンプシャーで続けて一位をとり損ねたら、民主党の大統領候補にはなれないのかというと別にそういうわけではない。ヒラリーの旦那のビル・クリントンは1992年の選挙でアイオワでは4%という惨敗をし、ニューハンプシャーでも二位だったが、大統領候補に選ばれたという歴史もある。しかし1992年の選挙ではビル・クリントンは比較的無名だったのにたいして、ヒラリーを知らないアメリカ人はいない。その彼女が比較的新人で政治家としての経歴も浅いバラク・オバマに続けて負けたらちょっと問題かもしれない。なにしろヒラリーの強さは彼女なら絶対に勝つという信仰のようなものがあったからで、それが二回続けてやぶられれば、その信仰は崩れる。
共和党でのほうは、期待どおり本日5日のワイオミングコーカスでミット・ロムニーが圧勝したが。(フレッド・トンプソン二位、ダンカン・ハンター三位)ワイオミングの場合は投票者は非常に少ない。それでもアイオワの敗北の後だけにロムニーにはいいニュースだろう。
共和党のニューハンプシャーでの支持率は民主党よりも安定しており、平均的にジョン・マケインがほぼ5点差で二位のミット・ロムニーより優勢だ。三位のハッカビーと二位のロムニーでは10点近い差があるので、ここはマケイン対ロムニーの戦いになる。ニューハンプシャーでロムニーはずっと安定して優位を得ていたにもかかわらず、12月中旬から急上昇してきたマケインに追い越されてしまったが、5点くらいの差ならまだ挽回することは可能だろう。
ロムニーの場合、テレビの政治評論家などはニューハンプシャーでは絶対に勝たねばならないと言っているが、私はロムニーがアイオワとニューハンプシャーで二位をとっても、後に続く州でハッカビーとマケインに負けなければ特に問題はないと思うのだが。
さて、ここで今後の大統領選挙の予選がどういうスケジュールになっているのか、kamikura.orgさんがまとめてくれているので参考にしたい。

民主党の場合、1月3日のアイオワ州、1月8日のニューハンプシャー州、ミシガン、ネバダ、サウス・カロライナと来て1月29日のフロリダ州までが序盤戦となる。
共和党は、3日のアイオワは同じだが、5日にワイオミング、8日にニューハンプシャーと来て、ルイジアナやハワイ、2月2日のメインまで民主党より多い州で行われる。
特に、アイオワ、ニューハンプシャーの結果は非常に重要で、その後の選挙に影響を与えるため各候補者は力を入れている。

その後、2008年は2月5日に、ニューヨークやカリフォルニアなど人口の多い州(共和党は21州、民主党は22週)で予備選挙が行われる。これがいわゆるスーパーチューズデーである。この時点で大勢が決する。

ところで全国での候補者の支持率をみてみると、民主党のクリントンは44.6%でまだまだオバマの24.4を20点以上も離して一位の座を保っている。もっともこれもニューハンプシャーの結果次第でどうなるかは分からない。
共和党ではジュリアーニが二位のマケインと三位のハッカビーから三点差で一位を保ってはいるがこの程度では二人に盛りかえされる可能性はかなり高い。特にアイオワの惨敗につづき、ニューハンプシャーにおいてもジュリアーニはこれといった選挙運動をしていない。ジュリアーニの作戦はスーパーチューズデーに賭けるというものらしいが、序盤戦で全く話題にものぼらないとスーパーチューズデーでも忘れられてしまう可能性もあり、このへんは作戦を変更したほうがいいのではないかという声もある。
今夜はニューハンプシャーで共和党候補の討論会が行われている。共和党ではイラク戦争、移民問題、健康保険などが問題の焦点になっているようだ。私はどうも討論会を生で見るのが苦手なので、後でトランスクリプトを読みながらその内容を分析することにする。
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ホームレスの四分の一が元軍人という嘘

以前にイラク・アフガニスタン帰還兵は自殺率が高いって本当?で、実際にはそんなことはないという事実をマイケル・フメントの分析で紹介したが、今回はその続きでアメリカのホームレスの1/4が元軍人という去年の11月頃に評判になった記事の真偽を確かめてみよう。まずはCNNの記事から、リンクはもう切れているので内容のみ。

ホームレスの4人に1人が退役軍人、若者も 米調査

2007.11.08
Web posted at: 19:57 JST
– CNN/AP
ワシントン──米国内のホームレスのうち、約4人に1人が退役軍人で、この中には近ごろイラクやアフガニスタンから戻ったばかりの若い世代も多く含まれていることが、米ホームレス支援団体の調査で明らかになった。ホームレスとなった退役軍人には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や薬物中毒問題を抱えている人が多く、包括的な支援が必要だと訴えている。
米国におけるホームレス問題について広く調査、支援する団体「National Alliance to End Homelessness」は8日、米退役軍人省と国勢調査局の2005年資料を基に、ホームレスにおける退役軍人の割合などについて調査。
その結果、ホームレス74万4313人のうち、退役軍人が19万4254人を占めたという。

この記事の元となっているのは、the National Alliance to End Homelessness(ホームレスを終わらせるための全国同盟)という市民団体の調査部であるthe Homeless Research Institute (ホームレス調査協会、HRI)が発表した調査である。これによると政府の資料では一般人よりも元軍人のほうがホームレスになる割合は二倍も多いとし、元軍人はアメリカ人口の11%でしかないにも関わらず、ホームレスの26%もが元軍人であるとしている。しかもこの29ページに渡る調査書では麻薬中毒や精神病といったものがホームレスの原因となるというのは神話であり、本当の理由は安価な住宅が不足しているせいだとし、政府が低予算で手にはいる住宅を供給すべきだと結論付けている。
フメントによるとHRIの結論は、四人に一人が元軍人という率も、ホームレスになる原因についても間違っているという。アメリカのThe US Department of Housing and Urban Development(住宅都市開発庁)によると元軍人が占めるホームレスの割合は役18%で、1996年の23%からずっと下がっているという。だとすればイラク戦争反対派がイラク戦争のおかげで元軍人のホームレスが増えたなんていって喜んでいるのがどれだけ間違っているかが解る。
しかしこれでも一般市民に比べれば元軍人の率はかなり高いように思える。しかしここで考慮にいれなければならないのは、ホームレスシェルターにいる人口と元軍人の男女比率である。
普通社会では女性の人口のほうが多少男性を上回るが、シェルターに身を寄せる人々の間では男性と女性の比率は3:1で男性のほうが圧倒的に多い。そして元軍人の93%が男性である。男性のほうが女性よりもホームレスになる可能性は高いので、ほとんどが男性である元軍人のほうが一般市民よりもホームレスが多いのは当たり前だということになる。
それから手に入る安価な住宅が不足しているという点だが、HRIも認めているように元軍人のほうが同年代の一般市民よりも教養が高く収入も高い。事実元軍人の貧困率は一般市民の半分に満たない。となると安価な住宅が不足していることが元軍人がホームレスになる原因という説は成り立たない。
実はカカシは一昨年の暮れ、友人の行方不明になった18歳の息子をさがしてダウンタウンロサンゼルスにあるホームレスシェルターをいくつか回ったことがある。私が見る限りこれらのシェルターは清潔で、古着だが清潔な服がいくらも置いてあり、シャワーを浴びて食事をする施設も整っていた。その気になれば道ばたで寝る必要など全くないはずである。しかし友人の息子は精神分裂症を煩っており、シェルターに泊まるのを拒否して冬のさなかに裸足で町をさまよっていた。
フメントも指摘しているが、道で出合うアメリカのホームレスは家賃を払うことができないだけの一般人ではない。彼等のほとんどがアル中や麻薬中毒か精神異常者なのだ。

三年前、セントルイスにあるワシントン医学大学(Washington University of Medicine in St. Louis)の研究者がthe American Journal of Public Health(アメリカ公共衛生ジャーナル)に発表した調査によると、1980年、1990年、2000年に三度の個別の研究の結果、なんと男性のホームレスの84%が、女性のホームレスの58%が薬物中毒患者であることがわかった。もっとひどいのは88%の男性、69%の女性が精神異常だった。

元軍人について扱っている政府機関、the Department of Veterans Affairs (VA)によれば、70%のホームレス元軍人はアルコールおよび他の麻薬中毒患者であり、45%が精神病患者だという。無論双方を煩っている人もあるわけだが、元軍人のホームレスの原因が安価な住宅不足とは無関係であることがはっきりする。
しかし、ホームレスの原因が住宅不足ではないとしても、元軍人の間で麻薬中毒や精神病患者が多いのは、PTSDといった戦闘体験から来るストレスによる精神病を煩ってる人が多く、それが解消できずにアルコールや麻薬に頼っているからではないのか、という疑問は生まれる。そうだとしたら、元軍人は一般人よりも精神に負担を持っていると解釈することができ、これは無視できない深刻な問題である。
しかし困ったことに元軍人のほとんどが平和時に軍隊勤めをしていて戦闘体験がない。1945年から実際に熱い戦争があったのは17年間。その間ですらほとんどの軍人は戦闘を体験をしていない。それにホームレスで精神病を煩っている元軍人は元軍人でないホームレスに比べると半分の比率だそうだ。ここでもPTSDがホームレスの要因になっているという説が成り立たなくなる。
もっともHRIは薬物中毒だの精神病だのには興味がないのだフメントは言う。 彼等の目的は政府から住宅手当をもらうことにあるからだ。今後も彼等は本当の問題に取り組まず、元軍人を侮辱しようが、ホームレスを傷つけることになろうが、このような嘘調査をいくらでも発表することだろう。そして反軍隊のアメリカメディアがなにかとその嘘調査を大々的に発表して軍隊バッシングをすること間違いなし。我々はその度に真実を確かめることを忘れてはならない。


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アイオワコーカス:ハッカビー(共和)とオバマ(民主)の大勝利!

本日行われた大統領選挙第一予選、アイオワコーカスでは共和党ではマイク・ハッカビー候補、民主党ではバラク・オバマが勝利を遂げた。以下CNNより

民主オバマ、共和ハッカビー両氏勝つ アイオワ州党員集会

アイオワ州デモイン——今年の米大統領選の火ぶたを切る最初の党員集会が3日夜(日本時間4日午前)、アイオワ州で実施され、民主党ではアフリカ系初の大統領を目指すオバマ上院議員(46)が勝利した。共和党は、右派の支持で急浮上したハッカビー前アーカンソー州知事(52)が制した。…
CNNの調査によると、民主党では集計作業が終了し、オバマ氏が38%の支持を獲得。女性初の大統領を狙うヒラリー・クリントン上院議員(60)は29%。エドワーズ元上院議員(54)が30%で2位に食い込んだ。…
共和党では集計が93%終えた段階で、元牧師のハッカビー氏が34%を集めた。ロムニー前マサチューセッツ州知事(60)が25%。トンプソン元上院議員(65)が13%だった。
出口調査では、ハッカビー氏はキリスト教右派、女性の圧倒的な支持を受けた。アイオワ州は保守層の基盤ともされる。同氏は圧倒的な資金力を誇ったロムニー氏を破ったことについて「金より人間がより大事なのだ」と勝利宣言をした。
両党の指名候補争いは、全米初の予備選を8日に行うニューハンプシャー州が次の舞台となる。2月5日には22州の党員・予備選挙が集中する天王山の「メガ・チューズデー」(2月5日)が控える。両党の指名候補がこの時点で、事実上決まる見通しだ。

ミスター苺の予測では共和党ではロムニーが勝つだろうと考えていたのだが、ハッカビーが圧勝したことはかなり意外だ。コーカス前の世論調査ではハッカビーとロム二ーはほとんど同率だったので、たとえロムニーが二位でもその差が少なければロムニーにとってはそれほど打撃にならないだろうとされていた。アイオワは福音書キリスト教徒が多い地区なのでロムニーの選挙組織力よりハッカビーの協会組織力が上回ったということだろうか。
しかしハッカビーの圧勝はロムニーのみならず共和党にとってかなりまずい。ハッカビーには問題点が多すぎるし政治的にナイーブで経験不足な点が多くある。新鮮な改革者的イメージのあるオバマには太刀打ちできないだろう。しかしニューハンプシャーではハッカビーは全く人気がないので、ロムニーが盛りかえす機会はまだまだある。
さて、民主党のほうだが、オバマが一位なのは予想どおりとしても、二位がエドワーズで、期待のヒラリーが三位というのは面白い。去年の11月頃まではヒラリーの候補指名は間違いないとして予選など必要ないようなことが言われていたが、ふたをあけてみたら必ずしもヒラリーの勝利は保証されていないということがはっきりした。
オバマもエドワーズもニューハンプシャーでも人気があるので、ヒラリーがニューハンプシャーで盛りかえせるという保証は全くない。
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「ロムニー候補の大統領当選は断固阻止されねばならない!」 リベラル新聞の行き過ぎ社説

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アメリカでは個々の新聞が社説などでどの候補者を支持するか明らかにすることは珍しくない。しかし、最近の新しい傾向なのか、リベラル派の新聞社が共和党大統領候補のミット・ロムニーを「反支持」する社説を掲載した。いや、単にロムニーを支持しないどころか、投票者にロムニーには投票するなと呼びかけているのである。
これは12月22付けのニューハンプシャー州はコンコードモニターに掲載された “Romney should not be the next president” (ロムニーは次の大統領になるべきではない)という題の社説だ。

共和党大統領候補を部品セットから築き上げるとしたら、スポーツマンで筋肉質な体系、レーガンのような髪、カリスマ的な演説スタイル、ぱりっとしたスーツといった部品を想像するだろう。それに加えて美人の奥さんにかわいい子供たち、大成功しているビジネス。これに大統領に必要なリーダーとしての知事の経験もちょうど良い加減にある。 そして共和党のおきまりの経費節約に減税をとなえ、加えて2008年の共和党の新しい姿勢である反移民政策を取り入れ宗教に焦点をあてればもう言うことない。

こうした要素をすべてあわせ持つのがミット・ロムニーだ。彼の不穏な姿はまさに次の大統領そのものだ。そしてロムニー候補の大統領当選は断固阻止されねばならない。

コンコード・モニターはどう見てもリベラルな新聞だ。過去にイランがレーガン時代になってから人質を返還したのはカーター大統領の努力のたまものなのだといった記事を書いてみたり、以前にもロム二ーの宗教について批判的な記事を載せたり、違法移民に運転免許書を発行すべきだなどといった姿勢をとったりしている。
しかしながら、社の方針はどうあれ、候補者が大統領になるのを「断固阻止せねばならない」などと書くのは、いくらなんでも行き過ぎである。これは新聞社がリベラルであるとか保守派であるとかにかかわらずジャーナリストとして一線を超える行動だ。
新聞社が「何々候補に投票すべき」というのと「誰々だけは投票してはならない」というのとではグランドキャニオンほどの溝があるとミスター苺は言う。これは一般人が「ヒラリーだけは勘弁してほしい」というのとは訳が違うのだ。一個人の意見と主流な新聞ではその影響力は比べ物にならない。
それにしてもコンコードモニターはいったいロムニーの何が気に入らないのだろう?彼等のあげる言い訳はあまりにもくだらなく理由にもなにもなっていない。

ロムニーのマサチューセッツ知事時代の経歴だけをおっていれば現実主義で穏健で、社会的な面ではかなりリベラルな面もあり民主党ともうまくやっていく才能のある人間だという印象を持つ。 一方で大統領候補としての選挙運動だけを追っていれば、彼は本格的な保守派でどんな犠牲をはらっても宗教右翼に迎合すると確信するだろう。この両方に注意を払ったとしたらいったい彼の根本には信念というものがあるのかどうか疑問が残る。

1994年の上院議員の候補者として、彼はライバル候補のテッド・ケネディより同性愛者の権利を守ると主張した。しかし近頃では同性愛結婚や養子縁組に反対であることを主張している。.
一時期彼は避妊具をもっと容易に手に入るようにしたいといっていたのが、後になって処方せんなしの避妊ピル販売を否決したりしている。
昔のロム二ーは投票者に自分は人工中絶を支持していると保証していた。「その点について揺らぐことはありません。」とロムニーは1994年に発言している。その時彼は親戚に起きた違法中絶の失敗の悲劇を引き合いに出し、人工中絶は合法で安全な形で保つべきだと語った。しかし最近では彼は自分は プロライフ(カカシ注:命を尊重するという意味だが、一般的に人工中絶に反対な意見をいう。)だと言っている。
ロムニーは幹細胞の医学調査を支持すると言っていた時があった。その時ロムニーは自分の妻の多発性硬化症を理由にこのような調査は彼のような家族を助けることになると説明した。しかし最近は主に調査に反対している。知事候補時代のロムニーは反税金政策はギミックだといっていたが、最近は(反税金議案に)まっさきに調印している。.
人は変わるものだ。変化がないことが人徳とは限らない。しかしロムニーのこうした変化は自分の野心のためだけの何者でもないことが参権者には明らかだ。

日本の読者のみなさんには、ロムニーの変化がどういう方向へ向かっているのか分かりにくいと思うが、実は彼の変化は一方通行であり、すべてが左から右への変化なのである。しかも彼の変化は突然おきたものではなく、数年にかけてじょじょに起きたものなのだ。 つまり、こんコードモニターは「ロムニー候補の大統領当選は断固阻止されねばならない」理由はロムニ年をとって経験を積むにつれて保守的になってきたからだというのである。
保守派の共和党支持者の間でも最初から右翼でない人間を疑う傾向があるとはいうものの、現実として一般人は年をとって人生経験を積むにしたがって保守的になるのは普通だ。こうした変化をとげたことで有名なのは保守派の英雄ロナルド・レーガンその人がある。ほかにも元はリベラルだったのが保守派にかわった、いわゆるネオコンと呼ばれるひとたちはいくらでもいる。年をとってから右から左へ移行するという例外がないわけではないが、そういう例は非常に稀である。
こんな一般的な心変わりをロム二ーの大統領当選を反対する理由にあげることからして、これがコンコードモニターの本音でないことは明らかだ。なぜならこのような変化なら他の共和党候補者であるマケインにしろ、ハッカビーやジュリアーニにしろ皆体験しているからだ。
リベラルなコンコードモニターは必然的に民主党支持だ。そのモニターがロムニーに強く反対するということは、ロムニーなら民主党の候補者を破れる可能性が強いと踏んでいるからだ。はっきり言って敵側の助言を聞くほど愚かなことはない。モニターが押している共和党の候補者はマケインもしくはハッカビーだが、その理由は明白だ。この二人は非常に個性が強くその政治的方針もかなり極端なため共和党全体がまとまって支持しない可能性が高いのである。
例えばジョン・マケインだが、彼はイラク戦争などの国防には強いが社会的な面では非常にリベラルだ。マケイン上院議員のおかげでブッシュ政権のもとで保守派の裁判官任命がかなり阻止されてしまったことでマケインに腹をたてている共和党支持者は少なくない。一方マイク・ハッカビーはマケインと正反対に福音書宗教右翼の支持を強く受けているが、極右翼過ぎるため穏健派世俗主義の共和党支持者に敬遠される嫌いがある。なんにしてもこの二人では共和党はまとまらない。
過激派宗教右翼は別として一般の保守派はロム二ーがモルモン教徒であることを特に気にしていないし、ジュリアーニの保守派の裁判官を任命するという公約を信じて、彼の人工中絶支持には目をつむる用意がある。つまり、ロム二ーやジュリアーニには共和党をまとめる力があるが、マケインやハッカビーは票を割る可能性が高く、従って民主党候補に有利になるというのがコンコードモニターの狙いなのだ。
だから民主党大統領当選の最大の障害物であるミット・ロムニーの大統領当選は断固阻止されねばならない、、ということになるわけだ。そういう本音を隠して理由にならない理由をあげてロム二ーの評判を落とそうなどとはいくら社説とはいえ、主流新聞としてはあるまじき態度である。


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米大統領州予選始まる! ミスター苺のアイオワコーカス予測!

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本来ならばもう少したってから始まるはずの米大統領地区予選だが、どの州も早く早くと勇み足で最初の大統領選挙アイオワ州コーカス地区予選はなんと1月4日に行われる。以前にもちょっと説明したが、もう一度この地区予選について簡単に説明しておこう。

(2008年)11月にある大統領選では共和党と民主党それからあまり意味はないが他党からそれぞれ候補者が出て争う。しかしその前に各党は自分らの党を代表する候補者を選ばなければならない。これが大統領選挙の予備選挙である。この候補者の選び方なのだが、各州でどのように候補者を選ぶかは一般市民が選挙で選ぶプライマリーと党員だけで決めるコーカスと呼ばれる会合の二つがある。そこでその州が一番適当と考える候補者が選ばれる。候補者たちはこうやって州の支持をひとつひとつ得ていかなければならない。だから全国的に人気のある候補者でも地方での予備選で勝てるという保証はないのである。

さてこのアイオワコーカスがどのように展開されるか、ミスター苺の予測を提示しておこう。以下、ミスター苺のアイオワコーカスの結果予測。
*************
僕はいつもちゃんとした情報もないうちに決定的な予測をするのが好きなんだよね。だから後になって完全にアホにみえる機会が最大限楽しめるってわけよ。
という楽しい考えのもとに、僕は予測する:

  1. 共和党ではミット・ロムニーがマイク・ハッカビーを6点差くらいで破る。
  2. 民主党ではバラク・オバマがヒラリー・クリントンにロムニーとハッカビーの差より小さい点差で勝つ。
  3. 共和党ではジョン・マケインが三位になる。
  4. 四位が誰かなんて誰も興味ない。
  5. マケインはニューハンプシャー予選までは継続するのは確かだが、そこでミット・ロムニーに僅かの差でも負ければ、サウス・カロライナ予選の前に(ミシガンとネバダのあとくらいかな)出馬を取り下げるだろう。

さて、この五つの予測をすべて外して大恥をかくことになるかどうか楽しみだね。
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民主党では無論三位はジョン・エドワーズだろうけど、彼がもう少しがんばってないのは意外だ。
最近共和党の間では宗教右翼のハッカビーが人気急上昇なのだが、カカシはハッカビーはすでに予選前にピークを迎えてしまったと考えている。これは2004年の大統領選で過激派左翼の民主党候補ハワード・ディーンが予選前の支持率がだんとつだったのに、いざ予選となったら完全にポシャってしまったのとよく似ている。


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