November 23, 2007

ヒラリー危機? 大統領選挙アイオワ州コーカス地区予選

来年の11月にある大統領選では共和党と民主党それからあまり意味はないが他党からそれぞれ候補者が出て争う。しかしその前に各党は自分らの党を代表する候補者を選ばなければならない。これが大統領選挙の予備選挙である。この候補者の選び方なのだが、各州でどのように候補者を選ぶかは一般市民が選挙で選ぶプライマリーと党員だけで決めるコーカスと呼ばれる会合の二つがある。そこでその州が一番適当と考える候補者が選ばれる。候補者たちはこうやって州の支持をひとつひとつ得ていかなければならない。だから全国的に人気のある候補者でも地方での予備選で勝てるという保証はないのである。

さてコーカスの一番最初の州はアイオワ州。ここでヒラリー・クリントンの人気がちょっと危ないらしい。ワシントンポストABCニュースの世論調査(PDFファイルのリンクはこれ)によるとアイオワではバラク・オバマの支持率が30%で、その次にヒラリ・クリントンが26%とヒラリーを抜いている。しかも三位のジョン・エドワーズも22%とヒラリーを追いつめている。パワーラインによるとヒラリーの支持者は比較的若い女性が多く、コーカスに参加する人のほとんどは男性や年配の女性で若い女性は少ないのだという。アイオワでのコーカス会合は1月で非常に寒い。そういうところにわざわざ平日の夜遅くまでかかる会合に出席するほど熱心なクリントン支持者がいるかどうかわからない。

ヒラリーはこのことを十分に承知しているらしく、夫のビルを出演させて「コーカスは易しい」というビデオキャンペーンを行っているくらいだ。

しかし、ヒラリーにとってアイオワはそれほど大事ではないという人もいる。アイオワコーカスがヒラリーの選挙運動にどういう意味を持つのか、ニューヨークオブザーバーでスティーブ・コーナッキ(Steve Kornacki)が説明している。

コーナッキによれば、アイオワでのシナリオは4つ考えられる。まず第一にヒラリーが勝つこと。ここで勝てればヒラリーの候補指名はまず間違いない。なぜかといえば次の予選はニューハンプシャーのプライマリー。アイオワと違ってヒラリーはニューハンプシャーでは二番のオバマを20%も離して一番人気。 三番のエドワーズとは30%も離れている。

もしアイオワでエドワーズが勝った場合でもヒラリーはニューハンプシャーは勝てるだろうとコーナッキ。 エドワーズはアイオワではかなり熱心に選挙運動をしているらしい。しかしここでヒラリーが二番になったとしてもヒラリーにとって最大のライバルはオバマであるから、オバマに勝てさえすれば問題はない。

エドワーズはニューハンプシャーではあまり人気がないし、ヒラリーやオバマと比べ選挙資金に限りがある。そこで多分エドワーズはニューハンプシャーは飛ばしてサウスカロライナへ直接持ち込もうとするだろう。ヒラリーはニューハンプシャーを勝ち取っていればサウスカロライナで勝てる可能性は大きい。万が一サウスカロライナで負けたとしてもエドワーズよりも選挙資金が勝っているヒラリーなら2月の大型予選でエドワーズを圧倒することができる。

しかし三番目のシナリオで、オバマが勝ってヒラリーが二番になった場合はちょっと問題だ。これが起きるとヒラリーの候補指名がかなり危なくなってしまう。オバマがアイオワで勝ったら、エドワーズのキャンペーンは終わりだとコーナッキは言う。となるとここでヒラリー対オバマの一騎討ちとなるわけだ。アイオワで勝利を得ればオバマには勢いがつきニューハンプシャーでも勝てるかもしれない。アイオワとニューハンプシャーを連続で勝ち取ったジョン・ケリーの例もある。

ニューハンプシャーでは無所属がかなりの数で民主党の予選で投票する。無所属はオバマ支持が非常に多い。オバマがアイオワとニューハンプシャーで勝利をおさめればこれまでのようにヒラリーが自動的に候補指名を受けるというわけにはいかなくなる。オバマがその後積極的な運動をすればオバマ勝利の可能性は高まる。

四つ目のシナリオで、一番ヒラリーにとってよくない結果はヒラリーがオバマとエドワーズの双方にまけて三位になることだ。特に距離をあけての三位だった場合にはニューハンプシャーで勝てるかどうかでヒラリーが候補者として生き残れるかが決まることになる。

私が思うにヒラリーはアイオワでもニューハンプシャーでも勝たねばならない。なぜならば、いまヒラリーの第一人気はヒラリーが絶対に候補者に指名されると誰もが考えていることからきている。ほかの候補者たちはヒラリーが大統領候補になった場合に副大統領候補になるために存在している程度にしかメディアも民主党支持者たちも考えていない。ところがもしもヒラリーがアイオワで負けたら、ヒラリーが絶対に勝つという保証はなくなる。そうなれば、それほどヒラリーは好きではないが民主党大統領候補になる人物だからと支持している民主党員の間からヒラリーを見捨てる可能性が高まる。ヒラリーの民主党候補指名は自動的ではないということになるのだ。

先の大統領選挙でずっと民主党の有力候補者といわれていたハワード・ディーンが蓋をあけてみたら、最初のプライマリーで惨敗してキャンペーンが完全に崩壊してしまったなんて例もある。ヒラリーも今支持率一番だからといって全く油断はできない。

むろん私としては、ヒラリーおばさんだけは勘弁してほしいのだが、、、

November 23, 2007, 現時間 7:17 PM

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トラックバック日付け January 6, 2008 1:43 PM

コメント

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下記投稿者名: アレン

なぜこんなマルクス主義者がこんな支持率をもっているかはぜんぜんわけがわかりませんよね。あいつは政治屋そのもので、いくつのスキャンダルに巻き込まれたか、あるいは引き起こしたか、計り知れない感じがします。まさかオバルオフィスをまた買収できたらどうなるかは想像がつきません。

いずれにせよヒラリーの惨敗をお祈りしています。

上記投稿者名: アレン Author Profile Page 日付 November 24, 2007 10:31 PM

下記投稿者名: scarecrowstrawberryfield

アレンさん、

ヒラリーとビルにはまたまた新しいスキャンダルが湧き出てきましたよ。ミスター苺がまとめてますので英語でよかったらこちらでどうぞ。後で日本語版を別エントリーで載せる予定です。

カカシ

上記投稿者名: scarecrowstrawberryfield Author Profile Page 日付 November 25, 2007 10:46 AM

下記投稿者名: アレン

日本語で気持ちを表すことがむずかしいですが、むかつくとしかいいようがありません。ちょっと足りない気がしますけど。

グプタとクリントン組との関係を少し聞きかじってたんですが、それは航空会社にしゃか乗らないわとうたっていたヒラリーの偽善にすぎないと思い込んでいました。実態を知るとやはり知らないままのほうがましだったんじゃないかと。この世界は正義のある世界だったらあの連中は任期より刑期ですね。

上記投稿者名: アレン Author Profile Page 日付 November 29, 2007 7:33 AM

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