イラクにてイラン軍高官4人を米軍が拘束

シーア派のマフディ民兵軍の親玉はサドルは、イランの飼い犬ならぬ飼い豚(どうみても豚にみえるな、あの顔は)であることは周知の事実。イランはアルカエダと民兵のどちらも煽ってイラクの宗派間争いを企んでいる。陰謀があるとすれば、まさにイランこそがその裏に潜む悪玉である。
その根拠となりそうな情報を昨日米軍は発表した。以下産經新聞の記事より:

12月26日8時0分配信 産経新聞
 【ワシントン支局】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は25日、イラクの治安部隊を攻撃する計画にかかわっていた疑いで、イラクの駐留米軍が少なくとも4人のイラン人を拘束したと報じた。拘束者の中にはイラン軍高官や外交官も含まれているという。
 ブッシュ米政権は、混迷するイラク情勢打開のため、超党派グループからイランを含む周辺国との直接対話を勧告されているが、イランが米国に反発を強めるのは確実で、米国のイラク戦略に何らかの影響を与える可能性もある。
 報道によると、米軍は21日夜、バグダッドのイラン大使館近くで、公用車を停止させ、イラク人護衛を含む同乗者全員を拘束した。イラン人外交官2人はイラク政府に引き渡された後、保釈された。また22日未明には、イラク連立政権を構成するイスラム教シーア派の「イラク・イスラム革命最高評議会」指導者、ハキーム師の施設内を捜索、イラン軍高官を拘束したとしている。
 イラン外務省スポークスマンは25日、「拘束は国際規範に反しており、深刻な結果を招くだろう」と米国を非難した。(強調はカカシ)

イラクで革命を起こそうという連中と会議をしておきながら、「高速が国際規範に反している」などとよくいえたものだ。ま、国連の条例など無視して核兵器開発をやってるならず者国家だからこの程度の反応は別に驚きはしないが。それにしてもニューヨークタイムスは、いったいイラン高官がシーアの政治家と一緒になって何をやっていたのかという質問をする前に、イランがアメリカに反発する可能性などを心配している。全く本末転倒だ。アメリカをぶっつぶすといっているイランがこれ以上アメリカを嫌ったからって何がかわるというのか、ばかばかしい。
ま、それはいいとして、これまでイランがイラクの内政に裏から口をだしていることはさんざん話題にはのぼっていたものの、確たる証拠が提示されたことはない。この拘束されているイラン人によってイランがイラクをどのようにコントロールしようとしているのかが明かになってくれるといいのだが。
しかし、この時期にアメリカ軍がイラン高官を拘束しているという事実をわざわざ公表したというのは興味深い。ベーカー氏のイラク研究会の推薦にはイランとの対話が含まれていたが、もしやアメリカはイランと交渉をするとして、その際上手にでられるような布石を投じているのかもしれない。なにやら緊張した空気を感じる。


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ヒラリー、アイオワに次ぎニューハンプシャーでも人気降下

24日つけのリアルクリアポリティクス にアイオア州とニューハンプシャー州での最近の大統領候補支持率世論調査結果が載っている。
それによると先週初めに発表されたアイオワ州の世論調査では、民主党候補中バラク・オバマとジョン・エドワードの二人がトップの座を共有。期待のヒラリー・クリントンは第4位まで下がっている。続いて公表されたニューハンプシャーの調査でもオバマの人気があがってほとんどヒラリーと同点。共和党のほうではルーディ・ジュリアニとジョン・マケインが競り合っている。
まあ、まだ2008年の選挙まで二年近くあるのだから大騒ぎするにはまだ早いが、ヒラリーがこんなに早い時期から苦戦するのはちょっと問題があるように思う。オバマは若手でハンサムなので人気はあるのだが、政治家としては経験がほとんどない。にもかかわらず共和党との候補者と比べた人気投票ではオバマは共和党のどの候補よりも人気がある。それに比べてヒラリーはジュリアーニとマケインには負けている。
ヒラリーが民主党の候補として生き残るには今の時点で圧倒的に有利な立場にいなければならないはず。今後の選挙運動にはかなりの大金を注ぎ込む必要がありそうだ。


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’96のサウジ米軍宿舎爆弾事件、米裁判所イランの関与認定

よくイスラムテロリストによるアメリカへの攻撃をいうと、2001年の911同時多発テロが最初だと思う人がいるが、実はそうではない。1990年代だけでも最初のWTC爆破テロからはじまって、アフリカのケニアとタンザニアのアメリカ大使館で同時に起きた自動車爆弾テロ、イージス艦コールの爆破などアメリカはイスラムテロリストから何度も攻撃を受けていた。1996年にサウジアラビアの米軍宿舎で起きた自動車爆弾攻撃もそのひとつである。
私は当時の状況に詳しいFBI捜査官から話を聞いたことがあるが、サウジアラビアはもともとアメリカ軍の度重なる要請にもかかわらず、空軍宿舎の前にもう一つ防御フェンスを取り付けるなど、警備を厳しくすることに協力してくれなかったのだそうだ。だから自動車爆弾を運転した男は門をつっきって宿舎に突っ込むことが容易にできたのだという。事件後もFBIの捜査官に女性が含まれているといって全く捜査に非協力的だったようだ。
しかし、最近になってあのテロにイランが関与していたことがアメリカの裁判所によって正式に認識された。

米裁判所がイランの関与認定、サウジ米軍宿舎への爆弾攻撃

2006.12.23
Web posted at: 15:50 JST
– CNN/AP
ワシントン——サウジアラビア東部、ホバル市で1996年起きた米空軍操縦士、関係者が寝泊まりする宿舎へのイスラム過激派の爆弾攻撃で、米連邦地裁は22日、事件へのイランの関与を一部認定、遺族が同国に対し約2億5400万ドル(約302億26万円)の損害賠償を請求する権利を認めた。
同裁判で、一部とは言え、イランの関与を結論づけたのは初めて。
事件では米国人19人が死亡。米連邦捜査局(FBI)は、イスラム強硬派ヒズボラのサウジアラビアの分派の犯行と断定した。ただ、イラン政府と同分派のつながりには明確には触れていなかった。
22日の判断は、FBI要員の証言を材料にした。イラン政府直轄の情報機関要員2人と同国政府職員が同分派に資金、訓練、支援物質などで便宜を図っていたと述べた。
連邦地裁の判決に対するイラン側のコメントはない。

これも古い話ではあるが、アメリカを最初に攻撃したイスラム過激派といえばイランである。1979年イラン革命直後にイランの学生たちがアメリカ大使館を乗っ取り外交官や従業員を一年半あまり人質にした事件が最初だ。今思えばイスラムジハーディストによる西洋への戦争はあの時始まったといっていい。
イラクにおいても、レバノンや、最近はパレスチナにも手を出しているイラン。全く歯のない経済制裁など屁とも思わないイラン。アメリカはいずれは戦争をしなければならなくなるだろうな。


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トンデモ陰謀説! イラク宗派間争いはCIAとモサドの企み

洋の東西を問わず馬鹿げた陰謀説を唱える人間はたえない。911同時多発テロがブッシュ大統領の陰謀だといまだに信じきっているかわいそうなひとたちがいるかと思えば、最近はイラク宗派間紛争はアメリカのCIAとイスラエルのモサドが計画したものだという馬鹿げた陰謀説をまことしやかに語る人々が出てきている。昨日も陰謀説大好きなネット上の知り合いボノボさんからの紹介で、北沢洋子なるひとのエッセーを読んだのだが、あまりのトンデモ説にコーヒーを吹き出して大笑いしてしまった。
こんなことをまじめな顔して書くのはどこのカルト信者かと思いきや、この北沢洋子というひと当人のHPを読む限り彼女は30年にわたるベテラン政治評論家だという。

国際問題評論家の北沢洋子です。私は、これまで30年に亘って、第3世界の解放運動の歴史や現状について、同時に南北問題、とくに日本と第三世界との経済関係について雑誌や本などを通じて、評論活動を続けてきました。

さて、ではこのベテラン政治評論家はイラク宗派間争いをどうみているのか、彼女のコラム『イラクは内戦』という神話 からご紹介しよう。

これは、スンニー派とシーア派間の反目と武力抗争のエスカレーションを狙ったものである。そして、これにはイスラエルのも軍情報部と秘密警察モサドが絡んでいる。彼らはイラクの内戦激化を企んだ一連の秘密作戦を展開した。その目的は、イラク国家を解体し、そして、米国がイラクを完全にコントロールし、その膨大な石油資源を手中に入れることにある。

米国防総省の計画の一部として、CIAとモサドはイラク国内で、クルドの訓練と武装を行ってきた。イスラエル情報部隊はイラクの反政府ゲリラの攻撃に対処する米特殊部隊を訓練した。それには、ゲリラのリーダー、有名な学者、科学者(すでに350人の核科学者が殺されたという)、教師(210人が殺され、3,000人が国外へ逃れた)、政治家、宗教界のリーダーなどの暗殺部隊の訓練も入っていた。…
 彼らが手がけた最初の作戦は、2006年2月22日、サマッラで起こったAskariya寺院(黄金のモスク)の爆破であった。…
 黄金モスクに対する破壊作戦はシーア派がスンニー派に対して暴力的な報復に出ることを目的としたものであった。スンニー派指導者によれば、シーア派がイラク全土、20以上のスンニー派のモスクを爆弾や迫撃砲攻撃、あるいは放火などの方法で攻撃した、…
 イラク南部のバスラでは、警察の発表によると、警官の服を着たガンマンが、刑務所に押し入り、12人のスンニー派囚人を連れ出した末虐殺した、という。これらのスンニー派に対する攻撃は、米国防総省のP2OGによる作戦であった、という。ペンタゴンは、黄金のモスク爆破事件はアルカイダの仕業であったというが、Abdul Zara Saidy師によれば、これは、占領者、アメリカ人、シオニストの工作であったと言っている。

こういう陰謀説を唱える人々が絶対にしないことは、「もしもこの説が本当であるならば、こういう状況がみられるはずだ」という科学的実験では基礎の基礎である検証をしないことである。アメリカのイラク侵攻目的が北沢氏のいうように『イラク国家を解体し、そして、米国がイラクを完全にコントロールし、その膨大な石油資源を手中に入れることにある。』であるならば、すでに三年もイラクに駐留しているにも関わらずどうしてアメリカはそれを実行していないのか、という基本的な疑問が生じる。
アメリカの目的が最初からイラクをコントロールすることにあったのなら、イラクを民主主義にしようなどという面倒くさいことをやらなくても、もっと簡単な方法がいくらでもあった。フセイン政権を倒した後、アメリカの言いなりになる独裁者をアメリカの傀儡政府として設立し、形だけの選挙で圧倒的な勝利を得させ既存のイラク軍を使って新しい独裁者にこれまで通りイラク庶民を弾圧させ、アメリカの都合のいい原油産出の契約を交わさせる。アメリカ側はイラク傀儡政権を見張る程度の「大使」を残してあとは撤退。めでたしめでたしである。
石油資源を手中にいれることだけが目的ならイラクを統括している政権がスンニでもシーアでもいいわけで、なにも新イラク軍などを訓練してスンニ派を殺す必要はないのである。いや、むしろ既存のインフラをそのままにして世俗主義のバース党を権力でつって味方につけておいたほうがよっぽども有利だ。
イラクが内戦になって一番損をするのはイラク人はもとよりアメリカである。アメリカにとってはイラクの状態が安定してアメリカに石油をどんどん送り出してくれた方が都合がいいはず。何を好き好んでイラク内乱などを企むというのだろう?
北沢氏はブッシュ大統領のイラクへの兵増強はイラクの治安安定化などというものではないと言い切る。

これらのことは、米軍の駐留こそが、イラクの国内の紛争を抑止するものだという幻想を、メディアの協力をもって振りまいている。これこそが、ブッシュの最大の嘘である。

もしそれが本当ならば、どうしてブッシュ大統領はもっと早期にイラクへの兵増強を実現させなかったのだ? イラク戦争は最初から兵数が不十分であるという批判があった。ブッシュ政権内でもパウエル国務長官などは当初から大量の軍隊を動員すべきだとして、兵数は最小限にするべきという防衛長官のラムスフェルドと常に衝突していた。
ブッシュ大統領は多方からの批判にも関わらず何度も提出されたラムスフェルド長官の辞表を退けてきた。北沢氏は全くご存じないようだが、アメリカ軍はイラク軍(シーア、スンニ、クルドを問わず)の訓練を2004年から着々と進めており、治安維持が可能と思われる地域からその指令権をイラク軍に移譲してきている。もし、アメリカ軍こそがイラク治安維持に必要だという「幻想」をイラク市民に持たせたいなら、なぜイラク軍を独り立ちさせたりするのだ? おかしいではないか。
北沢氏はアメリカ軍によるイラク軍訓練でイラク軍の数はほぼアメリカ駐留軍の数と同等になっているにも関わらず、イラクでの反乱は全くおさまっていない、それはアメリカ軍の存在こそがイラクの紛争を激化していることの証拠だという。だからイラクでの紛争を鎮圧させたいのであればアメリカ軍が撤退するしか道はないという。
だが、それが本当ならば、どうしてイラク内乱を望企むアルカエダのような外国人テロ組織はアメリカ軍の撤退を望むのであろうか? 北沢氏が無視している現実は、アメリカ軍とイラク軍の連合軍はアルカエダおよびスンニ抵抗軍の鎮圧には非常な成功をおさめているということである。もしイラクで問題を起こしているのがアルカエダとスンニ抵抗軍だけであったならば、イラクの治安維持はほぼ大部分で成功したといえるのである。
いま、問題になっているのはイランが援助しているサドルなどが率いるシーア派民兵の反乱である。2004年にファルージャ紛争と同時に奮起したサドルのマフディ軍によるナジャフ紛争で、アメリカ軍は奴らを十分に退治しなかったことや、警察などに潜入してきたシーア派民兵の実態をイギリス軍が取り締まらなかったことなどが仇となっている。 
 
シーア派民兵の取り締まりは、シーア派が多数を占めるイラク政府にはやりにくい。特にマリキ首相はサドルとはなかよしこよしだから質が悪い。
北沢氏はアメリカ軍がイラク紛争の原因となっているという事実をこう説明する。

…最も反米の町Tal AfarやRamadiでさえ、米軍がいないときは平和な町である。現地のゲリラと提携した現地指導者が統治している。ゲリラは、警察の役目をはたし、スンニー派、シーア派地域ともに原理主義的なイスラム法が、支配している。
これらの町は、中央政府の主権や米軍の占領を認めていない。したがって、米軍が、ゲリラの支配地域に入り、ゲリラを掃討しようとすると、町は抵抗する。路地裏で、米軍は民兵のリーダーを逮捕、あるいは殺そうとするとき、これをゲリラは地雷を埋めたり、狙撃したりして抵抗する。なぜなら、ゲリラは通常町の人びとに支持されており、一方米軍の攻撃は、破壊的である。したがって、米兵の“戦果”とは、友人や家族の死によって、より多くのゲリラが生まれる。米軍が撤退すると、町は、以前の状態に戻る。しかし、破壊された町は米軍に対する怒り、恨みに満ちている。…

北沢氏の論理は話が逆である。アメリカ軍がラマディやタルアファーに侵攻した理由はアルカエダがこれらの土地を拠点にしてテロ行為を行っていたからであり、アメリカ軍がラマディに侵攻したからラマディの治安が崩れたのではない。第一北沢氏は無視しているが、ラマディやタルアファー庶民はアルカエダのテロリストたちを大手を広げて歓迎したわけではなく、彼等の侵略によって人質になっていたのである。北沢氏のいう原理主義のイスラム法というのは極端なシャリア法であって、一般市民はテロリストに統治されていたのではなく虐待されていたのである。タルアファーの市長がアメリカ軍へ送った感謝状の話は記憶に遠くない。
アメリカ軍が増えると治安が悪化する例として北沢氏はサドルシティをあげ、民兵によって警備がされていたサドルシティはアメリカ軍の攻撃によって無防備にスンニジハードのえじきとなったという。

米軍は、サドルシティのサドル派の民兵、Balad のスンニー派ゲリラを掃討するという最初の任務以外には、対応しようとしない、あるいはできない。したがって、米兵が増えると、より多くの宗派抗争が起こることになる。

これも変な論理だ。米軍が一旦攻めた場所を守りきれないというのであれば、それこそ米兵の増加が必要だという理屈につながるはず。もし、北沢氏のいうように米軍が増えれば宗派抗争が激しくなり、米軍が攻撃を進めれば進めるほどイラクのゲリラの数が増えるのだとしたら、これがアメリカにとって都合のいい状態とはどうしても思えない。こんな状況にアメリカ軍を増強すればアメリカ兵の犠牲が増えるだけではないか。どうしてアメリカはそのような宗派紛争を望むのだ? なぜアメリカがそのような状況作り出したりしなければならないのだ?

最も恐ろしいことは、ブッシュ政権内に、「宗派間抗争が米国の目的を達成してくれるだろう」という考えが出てきていることだ。『ニューヨーカー』誌の最近号に、SeymourHarsh記者は、CIA情報として、「十分な規模の米軍がイラクに長く駐留すれば、(イラクの)悪い奴は、殺し合いで皆死んでしまうだろう、とホワイトハウスは信じているようだ」と書いている。

最も恐ろしいことは外交問題専門の政治評論30年来のベテランを気取る北沢氏が嘘つきで悪名たかい似非ジャーナリストのシーモア・ハーシのでまかせを鵜呑みにしていることだろう。ブッシュ政権内でイラクの宗派間抗争が都合がいいと考えているひとがいるというなら、名指しで提示していただきたいものだ。
政治評論家などと肩書きはついていても、陰謀説を唱えるカルト信者の中身はどこも同じだ。


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日本右翼は拉致問題を政治利用しているか?

陳さんのところで、小森義久氏のコラム紹介があったのでそれを読んでいたら、先日うちのミスター苺が腹をたてていた北朝鮮による日本人拉致事件に関するニューヨークタイムスの記事に対する抗議だったので、ここでニューヨークタイムスの元記事と、小森さんの抗議の手紙とを比べ読みしてみたいと思う。小森氏は産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員。以前にもアメリカで発表された外務省のウェッブページの内容について抗議をしていた人だ。常に流れる日本に対する誤ったイメージをただしていこうと努力されているようだ。
さて、今回小森氏が怒っているニューヨークタイムスの記事とは何か。小森氏自身の言葉を引用させていただこう。

 ニューヨークタイムズ(17日付)が、「北朝鮮による拉致問題」が右翼勢力によってあおられているという記事を書いた。書いたのは東京支局長のノリミツ・オオニシ(大西哲光)という方のようである。
 「日本政府や拉致被害者の家族らが進める「北朝鮮人権週間」に右翼組織のメンバーが関与していると指摘。拉致問題への理解を訴えたポスターの図柄なども引き合いに出し、北朝鮮への危機感をいたずらにあおる内容だと批判した。
 さらに「日本の国外では拉致などとっくの昔に言いふるされた」問題と指摘。日本国内では「民族派の政治家や
グループ」の画策でなお連日ニュースで取り上げられているとし、「拉致問題が憲法改正や学校教育での愛国心育成と同じ“右翼好み”の課題になっている」との見方を示した。記事は、拉致問題をめぐる「より穏健な声」が右翼勢力によって暴力的に封じられているとする一方で、安倍首相は支持率がかげると「政治的な生き残りのため、拉致問題にしがみつくことになるだろう」

私にも多少偏見があるので小森氏の要約は正しいと思うが、小森氏が取り上げている部分を元のNYTの記事からひろってみよう。

日本政府のポスターには日本のティーンエージャーの目の部分が血のように赤い北朝鮮の地図によって覆われている姿が写っている。国の若者は北朝鮮の脅威によって危険にさらされている、日本人を目をさませという暗示である。
このポスターは今週行われた30年前に北朝鮮に拉致され今も(日本によれば)そこにいるとされている日本人にたいして注意を集めるための集会において顕著な展示だった。

日本政府のポスター

日本政府制作の北朝鮮拉致問題ポスター


このようなイベントに常に出席する家族、支援者、右翼組織の幹部らは初めて出席する特別来賓、安部静男総理大臣を待っていた。…
日本の外では拉致問題は4年前に北朝鮮のリーダー金正日が犯罪が起きたことを認め5人の生存者を返したことでとうの昔に語り尽くされたことである。だが、ここ日本においてこの件は熱い話題である。メディアや国粋主義者の政治家や平和憲法を投げ出し愛国心や道徳観を学校などに設立させるなどの目的と同じようにこの問題に取り組む組織などによって生きながらえているのである。
この極めて感情的な問題は穏健派の声を黙らせることへとつながっている。(穏健派は)右翼からの身体への危害や口頭での攻撃をうける危険にさらされる。…
「拉致問題は誰にでも小学生でもわかるような問題です。」大阪外交研究大学の歴史家杉田ヨネユキ氏は語る。「安倍総理はこの問題を利用してある政治目的を果たそうとしているのです。北朝鮮は悪であり、立ち向かわねばならない、彼は要するに憲法を改正し愛国心を学校などで育成しようとしているのです。この方向へ彼はわが国を押し進めているのです。そしてこの方法は非常に効果をあげています。」
「しかしこれは非常に危険です」とこの問題に関する論文発表後右翼から脅迫状を得た杉田氏は語る。「あまりにも感情的な問題なので、国粋主義に煽られすでに言論の自由までが脅かされています」

でた〜! 脅迫状! 左翼連中はなにかと自分らの意見が批判されると右翼から脅迫状受けたというが、そんな事実があるというならその脅迫状を提示してもらいたいものだ。拉致問題に関して別な意見を公表すると暴力で脅迫されるとまで書くならば、この大西という記者、きちんとした証拠があっていってるのであろう。そうでなければこのような発言はひどい名誉毀損である。
また大西氏のいう「穏健派」とはどういうひとたちのことをいうのだろうか? もう拉致問題は終わったこととしてあきらめろというのが「穏健派」の意見なのか?
もともと拉致問題は北朝鮮はおろか日本政府も全く耳を傾けなかった時代から家族やその支援者の人々が大声をはりあげて何年も訴えてきたからこそ安倍総理のような政治家も耳を傾けるようになった。そして安倍氏や小泉総理が何度も北朝鮮に圧力をかけたからこそ5人の生存者の帰還が成立したのだ。これが大西氏がいうような「穏健派」の意見などきいていたらいまだに北朝鮮はしらばっくれていたに違いない。
それに北朝鮮が「返した5人」にしてみたところで、北朝鮮の意志で戻ってきたのではなく一時帰国という条件付きで日本へ帰国した人々が北朝鮮へ戻らなかっただけの話であり、もしあのまま戻っていたら彼等はいまだに北朝鮮で人質になっていたに違いない。
ちなみに北朝鮮に迎合してばかりいる韓国はいったい何人拉致被害者を返してもらったのだ?
私は拉致問題が過激な右翼団体に乗っ取られているのかどうか知らない。だが大西記者がここまで断言するのであればその証拠を提示すべきである。どの右翼団体がどのようにこの問題を乗っ取り、どのように反対意見や穏健派を脅迫しているのかはっきり示すべきだ。それもしないであたかも日本が戦前の軍事独裁政権のような方針に逆戻りしているような報道は無責任ではないのか?
それに、拉致問題は右翼とか左翼とかいった問題ではないはず。もし左翼系の人々がこの問題に真剣に取り組んでいたら、右翼団体に乗っ取られるなどということもないのではないか? 小森氏はこう語る。

左翼系の人々が、協力をしてくれるのであれば、喜んでお受けするつもりでいるのであるが、その方々は、一向に協力してくれることはなく、あまつさえ邪魔をしようとしている。社民党のホームページに2002年10月まで「拉致はでっち上げ」という北川氏の論文を載せていたことでもわかる。今でも、「拉致被害者の救出」を言うのではなく、この記事に書かれているように「拉致などとっくの昔に言い古された問題」として、北朝鮮擁護に走っているではないか?…

このような記事で「日本発」の誤ったメッセージを世界に配信すると言うことは、拉致被害者の救出のためには、何等助けにならない。かれの言う「より穏健な声」が多くの人民を見捨てる行為であることを、彼は今後「北朝鮮政権が崩壊」し、事実が明らかになった時にどのように責任を取るつもりなのか?
土井元社民党党首のように「間違えていました」ではすまないように思うのだが?

北朝鮮の脅威は事実である。いくら地面に頭を突っ込んで見ない振りをしていても、核兵器が飛んできてからでは遅いのだ。拉致問題は北朝鮮の病的な性質を顕著にあらわす症状なのであり、日本がそれを無視すればこの病気によって日本はより蝕まれるであろう。
私は健全な国粋主義は大いに育成されるべきだと考える。「穏健派」が右翼によって国を乗っ取られるのが嫌だというなら、多少の脅迫などに腰を抜かしてないで拉致問題に真正面から取り組んだらいいだろう。日本の将来を憂うなら拉致問題の支援者を右翼といって責める前にやることがあるのではないか?
大西記事は過去にもこんな記事をかいている:
覚えておこう!NYタイムズ大西記者、ぼやきくっきりさん


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イラクへは兵増強で方針転換

私は先の中間選挙で民主党が勝ったことでかえってイラクへは兵増強が起きるのではないかと以前に書いたが、やはりブッシュ大統領はその方角へ方針を転換するようだ。以下産經新聞の記事より。リンクをなくしてしまったので抜粋を添付する。

米軍地上兵力を増強 イラク増派も視野 大統領言明

12月21日8時1分配信 産経新聞
 【ワシントン=山本秀也】ブッシュ米大統領は20日、ホワイトハウスでの記者会見で、「米陸軍、海兵隊の恒久的な兵力を増員する必要がある」と、米軍地上兵力の本格的な増強に踏み切る方針を表明した。イラク、アフガニスタンへの派兵など対テロ戦争の長期化を受けた措置だ。短期的にはイラク駐留米軍への部隊増派を含む中東・湾岸情勢への対処が想定されているが、地上兵力全体の兵力増は、在日米軍など再編の進む在外兵力全般の配置にも影響が予想される。
 混迷の続くイラク情勢について、大統領は…年明けの公表に向けて練り直しの進むイラク政策については、「部隊の増派を含むすべての選択肢を考えている」と述べた。
 大統領はイラク政策や兵員規模の増強に向けて、具体的な計画提示をゲーツ国防長官に指示したことを明らかにした。この任務のため、同長官は20日、イラクを訪問。また、新たな体制への人事刷新として、中東地域を管轄する米中央軍のアビザイド司令官は同日、来年早期に辞任することを表明した。
 地上兵力の増員目標について、大統領は言及しなかった。ミリタリー・バランス(2006年版)によると、米陸軍の兵力(予備役を含む)は現在約59万6000人、海兵隊は約18万7000人となっている…
 年明けに向けて練り直しが続くイラク政策では、6〜8カ月の期間を想定して1万5000〜3万人の部隊をイラクに増派する案が浮上している。超党派で作る「イラク研究グループ」(ISG)の報告書は、駐留米軍の役割を戦闘任務からイラク治安部隊の支援に転換することで、2008年3月までに戦闘部隊の削減をめざす方向を勧告していた。

この記事を読む限り、イラク研究グループの推薦はサンキュー、バット、ノーサンキュー(おおきにお世話様!)といったところだろうか。
イラクへの兵増強は実は撤退への布石ではないかという見方もある。確かに15万からいる軍を即座に撤退するなどということは不可能だから、表向きを繕うためにも一時的に兵を増強し撤退のために地域を安定させる必要があるというのである。
これがもし民主党大統領の率いる戦争であるならそういうこともあるかもしれない。だがブッシュ大統領においてはそのようなことはないと私は考える。ブッシュ大統領は来期があるわけではなくこの任期が終わった時点で政治家としての人生も終わるのである。だから今後のことも考えてここは穏便にすませておこうなどという心配をする必要がない。彼には誰に遠慮する必要もなく自分の信念を貫き通す強い意志があるのである。少なくともこれまでに彼は周りの反対を押し切ってその信念を貫き通してきた。いまさらその進路をかえるとは思えない。
ブッシュ大統領というのは政治家としてはまれにみるバカ正直者である。彼には裏に隠された作為とかいうものがない。ブッシュ大統領がイラクに民主主義を設立したいと言えば、これはイラクを植民地にしてイラクの石油を乗っ取りたい、という意味ではない。だから彼がイラクに兵を増強してイラクの治安維持を促進したいといえば、これはメンツを潰さす撤退したい、という意味でもないのである。
イラクには兵が増強されるだろう。そしてその率は一時的なものではなくかなりの長丁場になると予想される。ブッシュ大統領が指揮をとっている限り、目的未然での撤退はあり得ない。民主党勝利やラムスフェルド長官辞任で大喜びしたテロリストどもは今頃かなり困惑していることだろう。


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内戦激化で輸血に消極的なパレスチナ庶民

ガザの病院ではこれまで通り戦いでけがをしたパレスチナ人たちが運び込まれてくる。彼等がイスラエルと戦っているあいだは地元庶民は積極的に血液の提供に応じてくれたと病院の医師たちはいう。だが、ファタとハマスの内戦が始まっていらい、病院側の嘆願も空しく提供者は激減しているという。さもあらん、パレスチナ人同士で殺しあいをしているのに自分の血液を提供してやろうなどという気にならないのは当たり前だ。元気になったらまた仲間を殺しにいくのか、という気持ちだろう。
ガザでは何百人というパレスチナ市民が町にくり出して、殺しあいをやめるようにデモ行進を行ったが、市民の願いも空しく、二度目の停戦は停戦合意の二日目の金曜日早朝、激しい撃ち合いでファタ側二人、ハマス側一人が殺され、ハマスメンバーがひとり拉致されるなど、全く守られているとはいえない。ファタのリーダー、アッバス首相は停戦を守るようにと呼びかけている。アッバス首相はまだ統一政府設立の夢を捨てていないが、側近の話では交渉の用意は全くできていないという。
前回の停戦合意は一日で崩れてしまったし、今回はたったの二日。
ま、イスラエルとの停戦条約を一度も守ったことのないパレスチナ人だが、まだその場合は異教徒との約束ごとは意味がないという言い訳もできただろうが、同じイスラム教徒同士、同じ場所にすむ同じ民族の間での約束ごとすらお互い守ることができないパレスチナ人たち。パレスチナ庶民が気の毒だと思わなくもないが、ハマスを選挙で選んだのは誰あろうパレスチナ市民。外部から見ていればテロリスト軍団のハマスが政権を握ればどういうことになるか火を見るよりも明らかだった。それが見通せなかったパレスチナ人の愚かさは本当に哀れだ。
もっと悲劇なのは、パレスチナ人たちがそう望めばパレスチナはいますぐにでも平和で豊かな独立国家となれるのに、彼等はみすみすその機会を逃してしまっているということだ。パレスチナ市民が早期選挙を実現させハマスを政権から追い出し、アッバス首相の提案どおりイスラエルの存続を承認しイスラエルとの和平交渉に取り組みさえすればいいのである。彼等がお互いを殺しあうこともイスラエル人を殺すこともあきらめて今後平和に暮らしたいと決心さえすればすべてが本当になるのである。
それなのにせせこましい勢力争いに明け暮れて彼等は自分達の民族の未来などこれっぽっちも興味がない。
ところで興味深いのはことパレスチナ・イスラエル紛争については一方的にパレスチナ人の味方をし、パレスチナの非戦闘員を対象にしたテロ攻撃や病院や学校といった場所への攻撃も、圧倒的武力を持つイスラエルに対するささやかな抵抗だといっていた人々は、同じ手口でお互いを殺しあうパレスチナ人に対して完全な沈黙を守っている。
上記の記事を提供してくれた某掲示板の投稿者アドベンさん(adventureoftheultraworld)はこう語る。

これまで、自爆・子供動員・民間人への無差別攻撃と「何でもあり」の戦闘スタイルを対イスラエルで展開していたときに、外部のパレスチナ信者が誰も批判しなかったのがいけなかったのではないでしょう。誰からも批判されなかったから「戦闘というのはこういうものだ」と思っているのではないでしょうか? そのスタイルをパレスチナ同士の戦いにも持ち込んだと。

「戦力に大きな較差があるからしょうがない」「大義のため」などと言って弁護していた人たちに責任はあると思いますよ。少なくともそういう人たちに「パレスチナの味方」を名乗る資格はない。

私はアドベンさんほど寛大な人間ではないので、パレスチナ人のこうした行動が外部からの批判を得なかったからだという言い訳さえ受け入れる気になれない。パレスチナ人にそこまで理解を見せてやる必要はない。私はこれがアラブ人が何世紀にも渡ってやってきた戦争のやり方なのだとあえていわせてもらう。
イスラム社会には、いや古代アラブ民族の社会には、我々西洋的な価値観(日本も含む)が大事にしている道義心というものがない。我々は常に戦闘員と非戦闘員を区別してきた。日本の古い戦でも男たちの命は容赦なく断つ敵も女子供は見逃すという慈悲はあった。むろんこれは大将の人格にもより、この規則が常に守られたわけではないが原則的に非戦闘員である女子供は殺さないという暗黙の了解がある。だから硫黄島の戦いで日本兵が大量に殺されたことには腹をたてない日本人も民間人が対象になった東京大空襲などでは怒りを感じるわけだ。
西側には戦争中でも赤十字のついたビルには爆弾を落とさない、救急車は攻撃しないという規則がある。だが、パレスチナのテロリストたちはこの西洋的な道義心をあざ笑って病院に武器弾薬を隠したり救急車をつかってテロリストを運んだりしていた。イラクでもアルカエダの連中が全く同じことをしていた。彼等には戦闘員とか非戦闘員などといった区別はない。同族は同族と運命をともにする。それは女子供であってもおなじことだ。彼等が何かと女子供の悲惨な姿を西側諸国に見せつけるのは、彼等には理解できない感情だが、なぜか西側諸国は女子供の犠牲者には心を痛めると知っているからである。彼等にとってはたいして価値のない女子供の命を西側の連中が貴重に思うなら悪用してやれといったところだろう。
だからお互いの殺しあいでも彼等は全く同じことをするのだ。不思議でもなんでもない。これを彼等の悪行を容認してきた外部のせいにするのは彼等を甘やかし過ぎていると思う。むろんこれまでパレスチナがかわいそうだといって、彼等の卑怯な手段を容認してきた親パレスチナの連中に全く責任がないとは思わない。いや、むしろ大いに責任はあると思う。
もし国連がイスラエル批難の条例を出すかわりに、パレスチナのテロ行為を批難する条例をだしていたならば、パレスチナ側も自分らには理解できないがなぜか国際社会は自分らの行為を嫌っているという意識ぐらいはもてたはずだ。そしてそのような行為を繰り返す限り、パレスチナに未来はないと早くに悟ったかもしれない。であるからアドベンさんもおっしゃるとおり、このような戦いを容認していた人々はパレスチナに同情しているなどと今さらいう資格はない。
パレスチナの未来はパレスチナ人たちが握っている。早くそれに彼等が気が付いてくれればそれだけ早くことは解決する。パレスチナ人よ目を覚ませ! 未来は君たちの手中にあるのだ!


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『コーラン宣誓』でみた日本人の誤解

アメリカ初、イスラム教議員の就任の際、コーランに手をおいて宣誓をしたいといいだしたキース・エリソン議員の話が日本のブロガーたちの間でも結構話題になっているが、そこで日本の方々はかなりこの件について誤解しておられるようなので、その典型的な例をふたつほどあげてみたい。
その前に私がこの件について書いた過去のエントリーをリンクしておこう。
米初のモスレム議員聖書宣誓を拒否
アメリカのイスラム化を狙うCAIR
まずは清谷信一さんのブログ。彼のブログにコメントしようかとおもったら、うちのブログでよくコメントを下さるアラメイン伯が私のいいたいことをすべて書いて下さっていたので、コメントは彼におまかせするとして、こちらではエントリーとして書かせていただく。

そら、キリスト教関係者やら保守系の人たちは「議員辞めろ」大騒ぎです。エリソン氏はキリスト教原理主義者によって暗殺されるかもしれません。

アメリカでは裁判やら公的な仕事に就く場合とか宣誓するときには聖書に手を当てますよね。俺はバテレンじゃないし、聖書は嫌いだから聖書は使わないとか言い出したらどうなるのだろうとか、仏教徒だから般若心経で宣誓する人間とかいないんだろうか、などと昔から疑問に思っていたのですが、まさにそういうケースが起きたわけです(セオドア・ルーズベルト大統領は聖書を使わなかったそうですが)。
 まあ幾ら信教の自由を保障するといっても、それは建前の国ですから、米国世論は沸騰するでしょう。あの国はキリスト教原理主義国家ですから。ニューヨークとかロサンジェルスとか大都会はまだしも、ノースダコタやらアラバマの田舎なんぞは極めて保守的で、ホモだとバレると殺されるとかありますからね…
 移民にしてもヒスパニックがかつての日本人の移民ほど問題にならないのは彼らがカソリックからです。あれがブードゥー教とかイスラム教とか、拝火教だったら排斥されていたでしょう。
 実はアメリカは宗教に関しては実はイランやイスラエルとたいして変わらない、とう事実を認識し、アメリカは自由の国とかすべてにおいて先進的という幻想は捨てるべきだと思います。

はっきりいって、ここまでアメリカについて無知なひとにアメリカの悪口をいわれたくないというのが私の個人的な感想なのだが、、そんなことを最初からいっていたのでは議論にならないのでひとつづつ考えよう。
まずアメリカでは公の場に赴く時に聖書の上に手をあてるが、あれは憲法では「宣誓もしくは確認する」とあり、絶対にキリスト教の神に誓わなければならないなどとは書かれていない。別にアメリカの議会も保守派もキリスト教徒でもないエリソン氏にキリスト教の神に誓えと強制しているわけではないのだ。アメリカの議員なのだからアメリカの伝統に敬意を示すべきだといっているに過ぎない。
日本人の移民が問題になったのは太平洋戦争があったからであって、それまでは日本人移民は農園などの経営を通じてアメリカ社会に溶け込んでいた。ヒスパニック系の移民が問題になっていないと清谷氏が考えているなら、先の中間選挙でメキシコと国境を面しているいくつかの州でこれがどのくらい問題になったのかお調べになることをおすすめしたい。
エリソン氏が保守派に暗殺されるとか、南部では同性愛がばれると殺されるとか、イランのようにそれこそ同性愛者の首を平気でちょんぎるような国とアメリカを一緒にしないでいただきたい。アメリカではイスラム教諸国でおきているような異教徒に対する迫害は全くない。それどころか多様文化主義によってキリスト教徒のほうが他宗教に気を使うケースのほうが多いくらいだ。民間の企業や商店などではあからさまに「メリークリスマス」といわず、「ハッピーホリデー」といいましょうとか、役所などの公の場所からは十戒の書かれた壁飾りが取り除かれたり、クリスマスツリーですら飾ってはならないという規則ができたりしている。イスラム教のテロリストを集めたゴンタナモ収容所ですらイスラム教徒用の食事を出すなどという気の使いぶり。はっきりいって最近のアメリカはやり過ぎだという感じる人も少なくない。清谷氏はそういうアメリカの現状を全くご存じないにも関わらず、ただの噂話を信じ、この件についてのみでアメリカの価値観を評価しようとなさっている。非常に残念だ。
さて、今回の件でアメリカのキリスト教至上主義が暴露されたとおっしゃるのは早撃ち0.3秒のガンマンさん。

要は信教の自由とはキリスト教を基礎に成り立っているという現実をアメリカ国民が認識しているが故にここまで大きなニュースになっているのだろう。こんなことは当たり前のことで国家とは基本概念で均質化する必要がある。それを実現するために一番効果があるのが宗教である。そういった前提の信教の自由を掲げていたわけである。

しかし、日本ではこの「信教の自由」が一人歩きを始めた。神道は日本が古来から育くんだ神聖なものであったが、アメリカに押し付けられた昭和憲法により相対的なものとされた。独立国家の宗教が他国により蹂躙されたといえよう。
その根拠とされたのが「信教の自由」である。しかし、その「信教の自由」を日本に押し付けたアメリカ本人ですら、キリスト教至上主義であることをここにおいて暴露した。ここでアメリカという国家がどういう反応にでるか興味がある。万が一イスラム教の宣誓を排除するような行動に出た場合、アメリカの建前がもろくも崩れ去るだろう。
いいかげん、日本もくだらない昭和憲法など破棄して、日本にあった憲法を作るべきではないのか。

日本が憲法を改正したいのであれば思う存分改正すべしだとは思うが、それはアメリカに「押し付けられた」からという理由ではなく、日本の現状にそぐわないからという理由であるべきだろう。アメリカが日本に憲法を「押し付けた」といっても、アメリカは日本人に神道を信じるなとはいってない。日本が神道を基盤とした国であることを拒絶せよなどともいっていない。 アメリカが「押し付けた」宗教の自由とは、日本の基盤が神道であると国民が承知のうえで異教徒が他宗教を信じる権利を迫害してはならないということだけだ。
以前にも書いたようにアメリカはキリスト教の価値観によって創立された国であり、それが基盤となった出来た社会であるからその伝統であるキリスト教のしきたりがあちこちに残っている。それは別に異教徒にむりやりキリスト教を押し付けるというようなものではない。今度の件はそうしたアメリカの伝統と歴史をアメリカで議員をやろうという人間が尊敬できるのかということにかかっている。キリスト教至上主義などというくだらない問題ではない。以前にも書いた通りエリソン氏に聖書をつかえと強く訴えている保守派のコメンテーター、プレーガー氏はユダヤ教学者である。
私が日本語でブログを書きはじめた一番の理由は、アメリカを知らないことによって起きるこうした一連の誤解を日本の皆様に解いてほしいとおもうからに他ならない。ぜひともこのお二方のみならず、読者の皆様にはこの件を通じてアメリカの宗教観について多少なりともご理解をいただきたいものだ。


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北朝鮮軍、もっとカラオケに励もう!

こういうニュースはもう感想の書き用がない。しっかし金書記長、もっとやることがあるだろうに、、、
「もっとカラオケを!」 軍の雰囲気一変と金総書記  2006/12/21 22:12
 【北京21日共同】「軍隊に今後、もっとカラオケ装置を送ろうと思う」−。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(10日付)は、金正日総書記が今年3月に軍指揮官たちとの会合で「カラオケ装置を支給された各中隊では雰囲気が完全に変わった」と喜ぶ言葉を紹介する記事を掲載した。
 金総書記は「兵士らがカラオケ装置で歌を歌い、より高い点数を取ろうとして猛烈に頑張っており、歌のうまくない軍人も興味を覚えて歌を歌いたがっている」とうれしそうに語ったという。
 同紙によると、金総書記が自らの手帳に、既に支給した部隊と今後送るべき部隊に分けてカラオケ装置の台数を記していると紹介すると、指揮官らは「激情があふれてくるのを抑えられなかった」と伝えている。


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行く先々で問題を起こすパレスチナ人たち

ファタ対ハマスの前回の停戦は三日もしないうちにお互いに約束を破りあって殺し合いになってしまったので、今回はなんとか守ろうと新しく停戦が結ばれたかと思いきや、数時間後にはすでにひとり殺されてしまった。
この二つの勢力の争いはパレスチナ庶民からすらも大きな批判を呼んでいる。 イスラエルの新聞JPostによると、庶民達は恐ろしくて外へ出られない状況だという。

「私たちは自分達で敷いた戒厳令の元に暮らしています」38歳のエンジニアーは火曜日エルサレムポストに語った。「私の子供は8歳と12愛ですが、先週の金曜日に戦いが始まって以来学校へいっていません。外を歩いたり窓から外をのぞくことさえ危険になってきています。」

ガザ市に住む多くのひとたちがそうであるように、アブサダーさんはファタとハマスの間の「ミニ戦争」が悪化して内戦になってしまうのではないかと恐れる。「この通りでの戦いは70年代から80年代のレバノンの状況を思い出させます」と電話でのインタビューで答えた。
「多くの人たちがどうしてパレスチナ人はいく先々で問題を起こすのだろうと不思議におもっているのではないでしょうか。ヨルダンでは1970年代にPLOがもう少しで内戦を起こしそうになりましたし、レバノンでも内戦のきっかけを作りました。」

またファタもハマスもお互いに病院、学校、聖廟などをわざわざ標的に攻撃しあっている。他宗教の人たちには自分らの宗教を尊敬しないのなんのと常にうるさいイスラム教徒だが、自分らの戦いではお互いに宗教を冒涜するような行為にいつも走っている。
今度イスラム教徒が我々にイスラム教の尊厳云々という話をはじめたら、パレスチナやイラクを指差して、イスラム教徒がお互いを殺しあうのを止めたらこちらもイスラム教を考え直してもいいよ、と言ってやろう。


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